No Side
どこか異様な雰囲気が漂う占い部屋。
ここで一人のフードを羽織った少女が占いをしているようだ。
「ジュニアユース選手権に向けてみんなバタバタしてるみたいだけど。
ミエルは大丈夫…だって、明日から6連勝して出場確実ってこうして占いにでてるんだもの。」
デュエルモンスターズのカードで占いをしているこの少女の名は方中ミエル。
明日からジュニアユース選手権に出場するために6連勝する気でいるようだ。
「そして…こ、これは!」
そうして占いの結果でめくったカードの名は『アルカナフォースVI−THE LOVERS』。
タロットの大アルカナの『THE LOVERS』にあたるカード。
正位置は「合一、選択、恋愛・性愛、趣味への没頭、試練の克服」を表し、逆位置は「誘惑、不道徳、結婚生活の破綻」を意味するものであった。
「ぶはっ…いや〜ん!!」
――ドスンッ…!
どんな凄まじい妄想をしたのか、思い切り喘ぎ声と鼻血を出しながら椅子から転げ落ちる。
「はぁ、はぁ…うふふ、運命の人だなんて!やだやだミエル困っちゃう〜♪」
それの結果をミエルは恋愛的な意味で運命の人が現れるととってしまったようだ。
だが、この時ミエルはある可能性を失念していた。
そう…その相手が同じく女の子であるという可能性を。
超次元ゲイム ARC-V 第19話
『儀式使いの占い少女』
Side:ブラン
「ニコが教えてくれた住所だと…ここで合ってるのよね?」
『カァァッ、カァァ!』
ジュニアユース選手権へと出場するための5連戦…その4戦目の場所がここらしいのだけど…?
目の前にあるのは塾と言うより、まるで妖怪でも出そうな不気味な雰囲気の洋館…と言わざるを得ないわね。
実際、カラスとかが飛んでるみたいだし。
「本当にここで合っているのか不安になってきたわ…」
もっとも、門には海野占い塾と書いてある事からここでいいみたい。
まぁ…誰が相手であろうと、ここでペンデュラムのその先を見出した上で勝ちたいところね。
そうだ、ここで観客のみんなの度肝を抜いてこそ…エンターテイナーよね。
「ブランく〜ん!」
「…ニコか、驚かさないでくれるかしら?」
と、ここでニコが物々しくフードを被っていきなり現れたものだから心臓に悪いわね。
しかもノリノリで手にランプを持ってる上に恰好も妙に似合ってるし。
状況によっては場の空気を読みすぎるというのも考え物ね。
「これは失礼。お待ちしておりましたよ、ブラン君…ンフフフ。」
そうして門を開けてデュエルの場所まで案内される。
で、階段を下りているのだけど…暗くて怖いわね。
「階段まで暗いなんて…雰囲気は出てるけどやりすぎはいかがなものかしら?」
「ブランくん、足元に気を付けてくださいよ…」
「あ…えぇ、もちろ…」
――するっ…!
「って、うわぁぁぁぁぁぁ!!?」
ニコォォォォォォォ!!それフラグぅぅぅぅ!!
オレが階段から落ちる…というね!
そうして試合会場まで転げ落ちる羽目に…。
「ぐえっ…!!?」
――ドサァァァッ!!
「ふぇぇ…痛たた、なんなのもう……って…」
なんというか上を見上げたら暗い中に白いものが見えるんだけど…?
あれ…嫌な悪寒が。
「え、えぇぇぇ…!?」
「うそん?」
しかも女の子の声…あっ。
「あ〜やっちゃったね。」
「サイテー」
「女の子が女の子のスカードの中覗いてら…事故だけどさ。」
しかも、子供たちが見学してる中でこんな醜態を…どうしてこうなった。
「こ、こっ、このラッキー変態!!」
――ゴツン!
「ふぇぇ…!」
水晶玉で殴られて痛い件について。
なんというか、あんまり女の子扱いされてない気がするのが辛い。
しかもこれでほぼアウェー…あまりよろしくないわね。
「ありえない…ありえないわ!
こんな奴がミエルの運命の人だなんて。」
「あの、そもそもオレも女だから。それより…」
と、ここで相手の女の子がオレの事を運命の人なんて言うものだから突っ込んでおく。
もし同性でもいいんだったら、別にオレは構わないけど。
「なによ、うるさいわね!」
「なんというか…そろそろデュエルを始めましょ?見てる人も待たせちゃうし。」
「わ、わかったわよ!アンタが本当にミエルの運命の人かどうか…これからデュエルで占ってあげるわ!」
だから、占いまでもなくほぼ確実に違うと思うわよ…多分。
そして、この面白い子はミエルって言うみたいね。
ロリコンデブ、クイズ、ライバルと来て今度は占い師。
いいわ、やってみようじゃない。
『皆様、お待たせしました!
これよりラッキー変態…もとい、エンタメデュエリストのユーヤ・B・榊と占いデュエルで百発百中の方中ミエルの公式戦を行います!
それでは、両者が準備できたところで…アクションフィールドオン!フィールド魔法『フォーチュンテラー』発動!!』
だから、それはもうやめて。
それは兎も角、なんというかプラネタリウムとか下に魔法陣みたいなものが描かれた神秘的な空間になった。
それに図柄がタロット関連…やはり完全にアウェーという事みたいね。
上にも足場があるけど、階段とかが狭かったりするのよね。
それでいて、アクションカードにも凶悪なものが眠っていたりするのが厄介ね。
「あなたがミエルの運命の人かどうか…」
「運命とかそんなものは跳ね除けてこそナンボじゃないかしら…始めましょ?」
「むぅ、やりにくいわね…戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」
ただ、オレ自身が得体のしれない存在である可能性がある事は思い知らされている。
これからどんな辛い運命が待ち構えていても、それを跳ね除けようとする気概は見せなくちゃならないもの。
むすっとさせたのは悪いけど、平常心でいかないとね。
「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い、フィールド内を駆け巡る!」
『見よ、これぞデュエルの最強進化系!』
「「「「「アクショォォォォォン!!」」」」」
「「デュエル!!」」
ブラン:LP4000
ミエル:LP4000
「先攻・後攻はコイン占いで決めましょう?」
「いわゆるコイントスみたいなものね…いいわよ。」
いつもはディスクが自動で先攻・後攻を決めるのだけど、たまには趣向を変えるのも悪くはないかもね。
「表にはドラゴン、裏には悪魔…どちらが出るかを当てたら順番を選ばせてあげる。」
――ピィィン!パシッ…!
流石に遠めだとよく見えないわね。
だったら自分の直感を信じるのみ。
「そうね、折角だしドラゴンを選ぶわ。」
「残念、悪魔よ…やはり先を見通せない残念な方のようね。」
「…誰しもこういうこともあると思うわ。」
勘やくせなどの読みによる予測はできても未来予知は厳しいわ。
これから先に何が起こるのかなんて、想像がつかないもの。
「先攻は先を見通せるミエルがいただくわ。
モンスターを裏守備でセット、カードを1枚伏せてミエルはこれでターンエンド。」
「まずは堅実な盤面と来たわね。」
とりあえず、カードアドバンテージを得られる後攻の方が得意なのだけれどもね。
まずは順当に堅実な盤面ときたわね。
アクションデュエルでは攻撃表示で出してアクションカードを狙うのがセオリーだけど、このように相手の出方を待つのも割とよくやるわ。
「このカードが開く時、あなたとミエルの運命が…」
「御託は結構よ、オレのターン…ドロー!」
あの子の言葉からあのモンスターは表になった時に何かが起きそうね。
問題はオレの手札…流石に上級が多めで連戦を続けていれば事故を起こす事もあるわね。
いずれにしても、この手札では碌に動けないわね。
「慌てなくたっていいのに…あなた、何か悩みがあるわね?」
「あるとしても、わざわざ敵であるあなたに教えるとでも?」
「教えるか教えないかはともかく、コイン占いであなたはドラゴンを選んだ。
それは強い力で現状を打ち破りたい気持ちの表れ…行き詰ってるみたいね。」
やはりそこは占い師…鋭いわね。
確かにオレはペンデュラムの先をできればこのデュエルの中で見出したいと思っている。
だけど、少々心外だ…後一声で何か見出せそうなんだ。
だが、今の手札を言っているのだとすればあながち間違ってはいないから困るが…!
「このままターンエンドよ。」
「事故かな?」
「ブランお姉ちゃんのデッキなら…ありえるかも。」
子供たちからも酷い言われようだけど、現実は受けとめて今はデュエルに集中だ。
兎に角、今日の運気はよろしくないようね。
とりあえず、アクションカードでも探しに行くか。
「やっぱりね…ミエルのターン、ドロー。
ミエルはリバースモンスター『占術姫コインノーマ』を反転召喚するわ!」
占術姫コインノーマ:ATK800
「ここでコインノーマのリバース効果により、デッキからレベル3以上のリバースモンスター『占術姫キャンドルサラマンダー』を裏守備で特殊召喚!」
「やはりというか、リバースモンスターの類を操るみたいね。」
予想はついてたけど、リバースモンスター主体のデッキのようね。
リバース効果は少々遅い分、強力な効果である事も多いから厄介ね。
その気になれば上級のリバースモンスターも即座にセットできるモンスターは厄介ね。
「それで、あなたの未来をコインノーマが占うわ…」
すると、そのモンスターの持つ3つのコインがソリッドビジョンで示された。
「表・裏・裏…あなたは運命の選択を迫られると出たわ。」
「運命の選択…か。」
で、オレの足元にアクションカードは2枚…両方外れという事もありえる。
ある意味運命の選択といったところね。
「手札に加えられるアクションカードは1枚だけ…これが運命の選択ね。」
「乗ってあげるわ。」
挑発だろうけど…あえて乗ってみようじゃない。
――ぱしっ…!
「アクショントラップ『大凶』…うわさには聞いたことあるけど本当にあったのね、これ。」
「あなたってよっぽど運が悪いのね…その『大凶』の効果で800のダメージよ。」
「むう…」
ブラン:LP4000→3200
運の悪さは自覚してるわよ。
ねねとの初戦の時と言い、昨日の件と言い。
「このフィールドで大凶を引く確率は数万分の一よ。」
「でも、その割には大したことないわね。」
言われぱなしも嫌なので切り返しておく。
800ダメージが痛くないかと言われればそうでもないけど、もっと酷いものを引いたことあったからね。
それに比べれば痛くもかゆくもないわ。
もう片方のアクションカードが消えちゃったけど。
「口は達者のようね…ここでスピリットモンスター『占術姫の占い手』を召喚!」
占術姫の占い手:ATK1300
今度はこいつか…どう考えてもコインノーマを使いまわす気満々ね。
「召喚した時の効果でリバースモンスターのコインノーマを裏守備にするわ。」
「つまり、それでコインノーマを使いまわすと。」
「流石にわかるみたいね…バトル!占い手でダイレクトアタック!」
「このままじゃこのターンだけで半分近く削られちゃう!」
確かに前のターンは何もしなかったけど、そう簡単にやらせるつもりはないわ。
「させないわ。相手が直接攻撃する時、手札から『イージス・キャンサー』を特殊召喚できる!」
イージス・キャンサー:DEF1600
「へぇ…手の内を見せないために前のターンは何もしなかったのね。」
「そうとってくれるとありがたいわね。」
除去されずに攻撃を防ぐためにあえて召喚しなかったわけよ。
もっとも、モンスター効果が防がれたら裏目にでるのだけれどもね。
「まぁ、いいわ。エンドフェイズに占術姫の占い手は手札に戻り、ミエルはこれでターンエンド。」
「オレのターン、ドロー!」
む…ここでこれはあまりいい引きではないわね。
だけど今の手札なら最悪と言うほどではない以上、これで動き始めるとするか。
「オレは『ウィング・トラウト』を召喚!」
ウィング・トラウト:ATK1000
「このタイミングでウィングトラウト?」
「でも今の状況じゃ…?」
「いや、確かあの2体のレベルは…!来るよ!」
そういえば、この子たちにアレを見せるのは初めてだったわね。
だけど、仕込みはまだだ。
「ここでオレはスケール4の『甲殻神騎オッドシェル・P・ロブスター』をペンデュラムゾーンにセッティング!」
甲殻神騎オッドシェル・P・ロブスター:Pスケール4
「頼みのペンデュラムカードも片方だけ…それで何しようというのかしら?」
「慌てないで、お楽しみはこれからだ…!
オレはレベル3のウィング・トラウトとイージス・キャンサーでオーバーレイ!
強かな心を強固な鎧に秘め、ここに見参!エクシーズ召喚!ランク3『ハードシェル・クラブ』!!」
『ハッ…!!』
ハードシェル・クラブ:ATK1800 ORU2
「あれがブランお姉ちゃんのエクシーズモンスター…!」
「でも、思ったよりしょっぱいような…?」
「なんだかなぁ。」
思ったより反応がよろしくないわね。
でも、エクシーズモンスターって普通はこんなものであるべきはずよ?
むしろ、里久や栗音の使ってたものとかがおかしいだけだと思うわ。
「へぇ、あなた…エクシーズ召喚なんてのも使うのね……。」
「流石に主要戦術とまではいかないけどね。
さて、水族がエクストラデッキから特殊召喚された事でペンデュラムゾーンのオッドシェルの効果が発動!
このカードを破壊し、デッキから水属性で攻撃力1500以下のペンデュラム…『シュテルアーム・ロブスター』を手札に加えるわ。」
サーチしたはいいけど、問題は未だに他のペンデュラムカードが手札に入っていない事よ。
そして今の手札ではこれ以上は動きにくい…これはあまりよろしくない現状ね。
とりあえず、あの2体のどちらかを潰しておこう。
「でも、攻撃はやめた方がいいわよ…運のないものが不用意に動くと不吉な事が起きるもの。」
「言葉巧みに判断を鈍らせようとしても、オレがやる事は変わらないわ。
バトル!ハードシェル・クラブで裏守備のキャンドルサラマンダーに攻撃!え…」
「攻撃宣言時に罠カード発動『黒猫の睨み』!
自分の場に裏守備モンスターが2体以上いる場合、相手のバトルを終了させるのよ。」
『ニャー!!』
――つるんっ。
「あうっ!」
成程ね、バトルを終了させる罠だったわけか。
でも、こんなところで転ぶなんてよからぬ事が起きようとしているみたいね。
「黒猫に睨まれた…不吉。」
「しかも13匹…流石に怖ぇよ。」
効果以上に心理的なダメージ目的か。
まぁ、ここで攻撃を止められるのは想定していたのだけれど。
「ほら、言ったでしょ…不吉な事が起きるって。」
「む〜…盤外戦術が過ぎるのはあまりデュエリストとして感心しないわ。」
「そうかもしれないわね。だけど、黒猫があんなの出たのはよっぽどよ。」
あの黒猫は普通はあんなには出ないわけね。
でも、ここはターンを終了せざるを得ない。
「ターンエンド。」
「折角の忠告を無視して無駄な事をするなんて…よいしょっと!」
いや、罠を使わせたと考えればそう無駄な取引じゃないと思うのだけど。
で、相手は場所を変えてきたみたいね。
「もういいわ…やっぱりあなたはミエルの運命の人じゃない。」
「はぁ…最初からそう言ってるでしょう?」
「跡形もなく消し去ってあげるから覚悟なさい!」
結局、話聞く耳持たずか。
そして、物騒な事いってくれるわね…この子は。
「ミエルのターン、ドロー!再びコインノーマを反転召喚するわ!」
占術姫コインノーマ:ATK800
「コインノーマの効果で『占術姫クリスタルウンディーネ』を裏守備でセット。
そして手札からモンスターを裏守備で召喚し、ここで『占術姫キャンドルサラマンダー』を反転召喚!」
占術姫キャンドルサラマンダー:ATK1800
召喚権とコインノーマの効果でモンスターを2体セットしてから、ここでキャンドルサラマンダーをリバースしてきた。
さ、流石にこれは嫌な予感がするわね。
「そして闇に火を灯すキャンドルサラマンダーがリバースした時、ミエルの場の裏守備モンスター全てを表側攻撃表示にするわ。
現れなさい!『占術姫クリスタルウンディーネ』と『占術姫アローシルフ』!」
占術姫クリスタルウンディーネ:ATK1400
占術姫アローシルフ:ATK1000
「成程…これでリバース効果故のタイムラグをカバーできると言うわけか。」
要するにコンボでこそ輝くモンスターみたいね。
使いどころは難しいけど、攻撃力もそれなりに高めなのが地味に厄介ね。
「そういうこと…クリスタルウンディーネとアローシルフのリバース効果を発動するわ。
デッキ・墓地からクリスタルウンディーネは儀式モンスターを、アローシルフは儀式魔法を手札に加える。
アローシルフの効果でデッキから『超占術の儀式』を…クリスタルウンディーネの効果で『超占術姫オラクルブライト』を手札に加えるわ!」
「儀式…だと!?」
儀式モンスターと言えば儀式魔法と儀式モンスターが手札にあり、さらには原則としてリリースまで要求する重さが目立つ。
その分効果は強力なのが多いけど、デッキを専用構築にしないと扱うのは厳しいと言わざるを得ない。
連戦前にオレが一発ネタで儀式を使った事はあるけど。
「儀式モンスターと儀式魔法を手札に加えたってことは…!」
「儀式召喚…これはやばい予感がするぜ。」
「ブランお姉ちゃん…大丈夫かな?」
相手がコインノーマを使いまわしてアドを稼いだせいで来るのはほぼ確実…!
これはちょっと厳しいかも。
「その前にクリスタルウンディーネであなたを占ってあげるわ。」
『はぁぁぁぁぁ…!』
あのモンスターの水晶玉に映ったオレに黒い霧が…!?
「こ、これは…!?見えたわ、大きな力があなたを暗雲に包んでいるのが。」
まさか、これは昨日オレが忘我の状態に陥った事の暗喩なのか?
ううん、こんな占いに惑わされちゃいけない…!
「ミエルは手札より儀式魔法『超占術の儀式』を発動!」
――ズドォォォン!!
儀式魔法のお約束として…今度は空から祭壇が降ってきやがった。
あの時と違い、アクションフィールドの雰囲気と合っていてとても様になっている。
「この効果でレベル3のコインノーマとレベル4のアローシルフをリリースする!」
リリースしたモンスターが7つの炎となって祭壇に灯された…!
やっと、コインノーマがいなくなったわね。
なんて言ってる場合か…呼び出すのはレベル7の儀式か。
「リリースしたレベルの合計は7…これによりレベル7のオラクルブライトの儀式召喚を執り行う事が可能となる!
神に遣いし太古の巫女よ、古の秘術によりて今甦れ!儀式召喚!降臨せよ、レベル7『超占術姫オラクルブライト』!!」
『ハァァァァァァァァ…!!』
超占術姫オラクルブライト:ATK2600
これが恐らく相手のエースモンスター…!
なんというか神々しい感じからも明らかにやばそうな感が。
「バトルよ、超占術姫オラクルブライトでそのハードシェル・クラブに攻撃!『スプリットカード』!!」
――ピシュシュシュ!!
「ぐわぁぁぁ…!!ハードシェル・クラブが破壊される場合、素材1つを身代わりにフィールドに留まれる!」
ブラン:LP3200→2400
「堅い殻を名乗るだけあってしぶといのね…まぁいいわ。
ここでクリスタルウンディーネをリリースし、魔法カード『シングルクロススプレッド』を発動!
デッキから『占術姫』2体を守備表示で特殊召喚するわ。
来なさい『占術姫ペタルエルフ』と『占術姫ウィジャモリガン』!」
占術姫ペタルエルフ:DEF700
占術姫ウィジャモリガン:DEF0
また占術姫が増えたわね…しかも両方レベル3。
「まさか、あなたもエクシーズを?」
「そんな無粋な真似はしないわ…それよりもっと面白いものを見せてあげる。
ここで墓地から『黒猫の睨み』と『超占術の儀式』を除外しそれぞれの効果を発動するわ!
黒猫の睨みは2体、超占術は1体…オラクルブライトを除く3体の『占術姫』を裏側守備表示にするわ。
そして、カードを1枚伏せてターンエンドよ。」
ここで墓地起動を2枚使ってオラクルブライトを除いてフルセットの状態に…!
リバース効果狙いなのは予想は付くけど…何かコンボを仕込んでいるのは予想がつく。
だが、占いの結果を断ち切るためにも…オレの夢を叶えるためにもここで止まれるもんか。
「オレのターン、ドロー!
よし…これ以上、占いに振り回されてたまるか。」
ようやく来たわね…!これでやっとアレができるわ。
「オレはスケール3の『甲殻水影ドロブスター』とスケール5の『シュテルアーム・ロブスター』でペンデュラムスケールをセッティング!
シュテルアームはもう片方に『ロブスター』がある時、スケールを8にできる!」
甲殻水影ドロブスター:Pスケール3
シュテルアーム・ロブスター:Pスケール5→8
「待ってました!」
「来るよ、ペンデュラム!」
「これでレベル4から7のモンスターを同時に召喚可能!
揺れろ、魂のペンデュラム!天界に架かれ、流星のビヴロスト!ペンデュラム召喚!
手札からレベル6の『甲殻剣聖クルヴ・ヤイバー』!エクストラデッキからレベル7『甲殻神騎オッドシェル・P・ロブスター』!!」
『フゥゥゥッ…!』
甲殻剣聖クルヴ・ヤイバー:ATK2100
『ウォォォォォォッ!!』
甲殻神騎オッドシェル・P・ロブスター:ATK2500 forEX
もっとも、残りの手札のモンスターはスケール値にあてはまらないか特殊召喚モンスターなのよね。
つまり、事故から解放されているわけじゃないという。
「これが噂に聞くペンデュラム召喚…でも不吉ね。
ドラゴンを彷彿とさせる2色の殻のザリガニは不安定な状態にある事を示している。
それにさっきの蟹は足元に潜む障害…しかも焦りがある事を剣士が示している。」
「…言いたい放題言ってくれるわね。」
「つまり、ここから導き出されるあなたの未来は…大いなる挫折。
そして…あなたの未来は、暗黒に閉ざされる。」
大いなる挫折だと…?
いや、今までにもオレは幾度となく挫折と立ち直りを経験してきた。
仮に本当だとしても、このまま立ち止まるわけにはいかない!
「だとしても!どんな未来が待っていようと、乗り越えてやる!
バトル!クルヴ・ヤイバーで裏守備のキャンドルサラマンダーを攻撃!」
「未来は決まってるのよ…ここで裏守備のキャンドルサラマンダーを対象にオラクルブライトの効果を発動!
対象のモンスターの表示形式を変更するわ…これでキャンドルサラマンダーをリバース!」
占術姫キャンドルサラマンダー:ATK1800
オラクルブライトの効果は誘発即時でのモンスターの表示形式変更だったか。
自らキャンドルサラマンダーをリバースさせてきたという事は…!
間違いなくあの裏守備2体のリバース効果を使ってくるわけね。
「そしてキャンドルサラマンダーの効果でウィジャモリガンとペタルエルフを同時にリバース!」
占術姫ペタルエルフ:ATK800
占術姫ウィジャモリガン:ATK1300
「ペタルエルフの効果であなたの攻撃表示モンスターを全て守備表示にするわ。
そして、ウィジャモリガンの効果でエンドフェイズにその守備表示のモンスターを全て破壊しその数×500のダメージを与えるわ。」
攻撃を封じた上で全て破壊してさらにバーンダメージというコンボだと!?
今までのはこのための布陣だったってわけか!
だが、裏守備だったとはいえ特殊召喚された事実に変わりはない…タイミングは今だ!
「この瞬間、手札を1枚墓地へ送ってクルヴ・ヤイバーの効果を発動!
この効果により特殊召喚されたペタルエルフの効果をターン終了時まで無効にする!『ハーゲル・シュトラール』!!」
――シュォォォォ!!
「無駄よ!ここで『占術姫』の儀式モンスターが存在するため、永続罠『愚者の悪戯』を発動!
1ターンに1度、特殊召喚されたモンスター1体の効果をターン終了時まで無効にする!」
「うわっ、クルヴ・ヤイバーの効果が!?」
甲殻剣聖クルヴ・ヤイバー:ATK2100(効果無効)
あの永続罠の効果で特殊召喚されたモンスターの効果を1ターンに1度だけ封じられた…!
つまり、このコンボでオレは攻撃を封じられた上で…!
「ここでペタルエルフの効果が適用され、あなたのモンスターは全て守備表示になるわ!」
甲殻神騎オッドシェル・P・ロブスター:ATK2500→DEF2000
甲殻剣聖クルヴ・ヤイバー:ATK2100→DEF2100
ハードシェル・クラブ:ATK1800→DEF2100
ウィジャモリガンの効果でハードシェル以外は退場させられるって訳か…!
「だけど、クルヴ・ヤイバーの効果のコストで墓地へ送られた『甲殻剣豪スピニー・ブレード』の効果で1枚ドロー!」
…流石に破壊を阻止できるようなカードは来なかったか。
ここは仕方ない…!
「カードを1枚伏せてターンエンド…!」
「エンドフェイズにウィジャモリガンのリバース効果であなたの表側守備表示のモンスターを全て破壊よ!
そして、破壊された数×500のダメージを受けなさい!」
「だが、ハードシェル・クラブは残りの素材を使って耐えられる…ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ブラン:LP2400→1400
ハードシェル・クラブ:ORU1→0
「「「ブランお姉ちゃん!」」」
「一匹残ってしまったわね。
ここでオラクルブライトがあなたの未来を占い、神託の1枚のカードをここに示すわ!
ただし、普通のオラクルカードとは違い…タロットカードのように不吉なものもあるの。」
不吉なカード…だと?
そしてオラクルブライトが選択したカードは…断崖絶壁の絵柄!?
「掲げたのは断崖絶壁のカードね。
意味するのは崩壊、転落、そして終焉…!」
するとオレの脳内にある光景が映し出された…!
何故か断崖絶壁まで追い詰められ、そして…崖が崩壊し海の藻屑となって消えるオレ自身の姿が。
ただのイメージのはずなのにやけに鮮明で脳内がオレに警鐘を鳴らす。
「こ、この光景は…!」
「もうやめなさい、これ以上続けたらあなたの命にかかわるわ。」
「っ…!?」
そういえば、今までの彼女の占いは微妙に当たっていたような気がする…!
だとしたら…本当に!?
いや、待てよ…彼女が言っていた運命の人の件がある。
これが仮に外れなら、オレにもまだ望みは…十分ある。
そうだ…このまま、やられっぱなしでたまるかよ!
何が何でも、このデュエルでペンデュラムのその先を見出してやる!
続く
登場カード補足
超占術姫オラクルブライト
儀式・効果モンスター
星7/光属性/天使族/攻2600/守1600
「超占術の儀式」により降臨。
(1):1ターンに1度、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの表示形式を変更する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):自分スタンバイフェイズに、除外されている自分のカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを墓地に戻す。
(3):儀式召喚したこのカードが墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「占術姫」モンスター1体を裏側守備表示で特殊召喚する。
占術姫キャンドルサラマンダー
リバース・効果モンスター
星4/炎属性/天使族/攻1800/守 200
(1):このカードがリバースした場合に発動できる。
自分フィールドの裏側守備表示モンスターを全て表側攻撃表示にする。
(2):このカードが墓地に存在し、相手エンドフェイズに自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。
このカードを裏側守備表示で特殊召喚する。
占術姫の占い手
スピリット・効果モンスター
星3/光属性/天使族/攻1300/守 500
このカードは特殊召喚できない。
(1):このカードが召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに発動する。
このカードを持ち主の手札に戻す。
(2):このカードが召喚に成功した時、自分フィールドのリバースモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを裏側守備表示にする。
超占術の儀式
儀式魔法
「超占術姫オラクルブライト」の降臨に必要。
(1):自分の手札・フィールドから、レベルの合計が7以上になるようにモンスターをリリースし、
手札から「神占術姫オラクルブライト」を儀式召喚する。
(2):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、自分フィールドの「占術姫」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを裏側守備表示にする。
シングルクロススプレッド
通常魔法
「シングルクロススプレッド」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。
デッキから「占術姫」モンスター2体を守備表示で特殊召喚する。
愚者の悪戯
永続罠
自分フィールドに「占術姫」儀式モンスターが存在する場合にこのカードを発動できる。
「愚者の悪戯」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を対象として発動できる。
ターン終了時までそのモンスターの効果を無効にする。
(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「占術姫」モンスター1体を裏側守備表示で特殊召喚する。
大凶
アクション罠
(1):自分は800ダメージを受ける。