Side:ブラン
「はぁ…困ったわ。」
「どうしたの?辛気臭い顔しちゃって。」
現在、正午…舞網市第2中学の校庭で柚子と共に昼食中。
あれから意気込んでみたはいいものの、冷静に考えると厳しい現実に直面していた。
「このままじゃ舞網チャンピオンシップに出場できない…!」
「あ…。」
それはLDSが主催する世界的なアクションデュエルの大会。
毎年開催されており、プロデュエリストを目指すためにはそこで高い成績を残していくしかない。
現在、オレはジュニアユースクラスなのでその中のジュニアユース選手権へ参加する事になる。
その大会へ出場するためには、公式戦を50戦以上行った上で勝率6割以上が条件。
一方でオレの今年度の公式戦の成績は現在42戦24勝18敗。
ペンデュラム会得後は勝率がだいぶ改善されたとはいえ、まだ勝率6割未満。
何よりあまり時間がないのにまだ8戦も足りていない現状はまずい。
しかも、追い打ちをかけるように学校中で公式戦に誘っても最近は断られてばかり。
その原因らしいストロング石島とのデュエルは公式戦じゃないのに。
こんなんじゃ、先が思いやられるわ…まったく。
最悪、また権現坂道場に借りを作らなくちゃならないかもしれない。
だけど、これ以上権現坂に頼りぱなしというわけにはいかない。
だから、できればそれ以外の方法で出場への手だてを見つけていかないとね。
「よう。」
「なんだ、沢渡か…」
と、オレたちに話しかけてきたのは沢渡。
結局のところ、大した怪我はなかったみたい。
オレを見かけたのはたまたまだろうけど、そっちから話しかけてくるなんてね。
「なんだとは何だ。で、またやったそうじゃないか…闇討ち。」
「は?」
「だから、あれはブランじゃないわ!」
というより、お前が襲われたアレはねねからオレじゃないって聞いてるはずだろ。
それより『また』というのが気になるわね。
ひょっとしてその件が赤馬零児がデュエルを中断した原因かしら?
「でも『また』って…?」
「融合使いに襲われたのさ…LDSの講師がな。」
「え…!?」
そういうことか…それを聞いて詳細を確認するために急に退いたというわけね。
職員が一大事で、かつ融合使いに襲われたといったら理由としては十分。
「もっとも、闇討ちをやったんだろっていうのは冗談だ。
それも俺を襲った事件も光焔からお前が犯人じゃない事は聴いている。
何より、今度の被害者は卑怯なペンデュラム使いのお前でも倒せる相手じゃないからな。」
「む、あなただって持ってるくせに。」
「え…?どういうこと?」
卑怯だなんて心外だな。
好き好んでそんなことやろうとは思わないけど。
「馬鹿言え、2枚じゃお前の言う真骨頂を発揮できない。
そう考えるとお前ばかり多数持っていて、不公平じゃねぇか。」
「…痛いところ突いてくるわね。」
「ねぇ、聞いているの?ブラン、沢渡。」
うぐ…それもそうね。
だけど、赤馬零児が既に自作のペンデュラムカードを使ってきたから…今後はどうなることか。
「けど、それも今の内だ。
噂じゃ、レオ・コーポレーションが独自のペンデュラムカードを開発中らしい…しかも、既に試作品を作り上げたとか。
俺はそれを真っ先に手に入れ、観客を沸かせてお前を倒す!デュエルでもエンタメでもな。」
既にその情報はご存じなわけね。
それにエンタメでもか…面白い事、言ってくれるじゃない。
「ふふ、期待しているわ。」
「二人とも、人の話を聞け!!」
「「!?」」
げ、話に夢中で気付かなかったけど…そういえば柚子が…どうしよう?
「ねぇ、ブラン?もしかして、ペンデュラムカードを沢渡に渡した…?」
「あの、柚子…さん?えーと…実は、ねね経由で交換した…なんて。」
――パシィィィ!!
「痛っ!?」
「知らない間に何やってたのよ、馬鹿ブラン!
こんな奴に大切なペンデュラムカード渡しちゃって!!もう!!」
「こんな奴って、その本人が目の前にいるんだがな…」
うわぁ…怒り心頭だよ、柚子…ハリセン痛い。
いや、隠してたのは悪かったけど…あの中じゃ言い出せなかったのよ。
「隠してたのは悪かったわ。
でも、ペンデュラムはオレだけのものにはしたくなかったのよ。
それに、ブレイクスルー・スキルが欲しかったもの。」
「それ抜かれたの結構、きつかったんだがな…。」
実際、嘘は言っていないわ。
社長が使ってきたときは最悪のタイミングだったから困惑しただけよ。
「はぁ…もう勝手にこんなことしないの!」
「う、ごめんなさい。」
勝手にこんなことしてすみませんでした。
でも、ブレイクスルー・スキルに助けられたのは事実。
だから、できれば今回の件は目をつぶってほしいわね。
「おっと、言い忘れるところだったが…ユーヤ、可能なら放課後付き合え。」
「え…何するつもり?」
と、ここで沢渡に放課後付き合えって…いったいどうするの?
「単刀直入に言うが、LDSに来てもらいたい。
そこで3人ほど、お前に『公式戦』を申し込みたい奴がいてだな。」
え、ちょ…急にそんなのって…?
待てよ、公式戦…?しかも3人って、これで試合数を少し稼げそうじゃない。
その話、乗ったわ。
「ちょっと、沢渡…何を勝手に!」
「悪いけど、今は黙ってて。
そういう事なら、むしろこちらからお願いしたいわね。」
「そうこなくてはな…最初に言っておくが3人とも非常に強い。
だが、今のお前じゃ精々1勝できるかどうかが関の山だろう。
それに公式戦である以上、舞網チャンピオンシップのジュニアユース選手権への出場権に響くぜ?」
「…望むところよ。」
50戦内に勝率6割を挙げるのならこの3戦で最低でも1勝はしなきゃならない。
かといって、ここで逃げだしたら今までと何も変わらない。
それに、あえて格上の強敵に挑むのはいい修行になりそうね…その話、乗ったわ。
「ごめん、柚子…塾長には今日は塾に出られないと伝えておいて。」
「…ブランがそう言うなら敷かなないわね、がんばって。」
「お互いにね。」
塾に出られないのは申し訳ないけど、思わぬところから来たチャンスだもの。
これを活かさなくてどうするの?
「それじゃ…放課後、校門で待ち合わせな。」
「了解よ。」
どんな相手が来ても、自分のデュエルを貫くのみ。
後ろ向きにならないように、心を強く持たなきゃね。
超次元ゲイム ARC-V 第13話
『LDSでエンタメを!』
そうして、放課後になり校門で沢渡と合流したのち、LDSに連れられてセンターコートまでやってきた。
前にここに来た時に痛い目にあったから思わず身構えてしまう。
それと、警備が厳重だったわね。
LDSの職員が襲撃されたばかりだから仕方ないのだけれどもね。
「センターコート…ここにあまりいい思い出はないわね。
それで、ここにオレとのデュエルを希望した3人がいるわけね。」
「そういう事だ、少し待ってろ。
おい、言われた通りユーヤ・B・榊を連れてきたぞ。」
「本当に連れてきたとはね…沢渡にしてはやるじゃない。」
沢渡が呼びかけると、その3人が現れたみたいね。
その3人に沢渡が舐められている気がするけど、気のせいかしら?
まぁ…今までやらかしたことを考えると仕方ないけど。
「私は融合コースの光津真澄よ。」
「俺はシンクロコースの刀堂刃だ。」
「僕はエクシーズコースの志島北斗、よろしく。」
各々3人がオレに自己紹介をする。
どうも、各召喚コースのエキスパートみたい。
遊勝塾に襲来した3人より強いかはわからないけど、どれも挑み甲斐がありそうな相手ね。
よし、こっちも自己紹介をしておかなくちゃ。
「わたしは遊勝塾から来たユーヤ・B・榊ことブランです、本日はよろしくお願いします。」
「こちらこそ急に呼び出して悪いね。
だけど、未知の召喚法を使う君とは一度デュエルしてみたいと思ってたんだ。」
こっちとしても、3大召喚法を使う人とのデュエルの経験が積めるからありがたいのよね。
そして公式戦である以上、エンターテイナーを目指すものとしてそう無様なデュエルはできそうにないわね。
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そう思っていた時期がオレにもありました。
「ラピスラズリの効果を得た『ジェムナイト・マスター・ダイヤ』の効果でトドメよ!」
「うわぁぁぁぁぁ…!!」
ブラン:LP2000→0
「おいおい、初っ端から先攻1キルされてんじゃねぇっての。」
まず、融合コースの光津真澄とデュエルしたのだけど…ジェムナイト怖い。
いきなり、先攻1キルの洗礼を浴びるなんて思わなかったわ。
「あなたの眼、くすんでるわ。」
「先攻1キルされたらそりゃ…ね。」
対策可能な手札誘発を握っていないのが悪いのだけれどもね。
バーンメタのアクションカードを拾えず詰みました。
先生…クノ−1のような手札誘発での妨害カードが欲しいです。
それと、絶対にこの娘…同じ融合のエースとされる辰ヶ谷真文より強いと思うの。
とはいえ初っ端からこのザマじゃ、幸先が悪いわね。
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「XX−セイバー ヒュンレイでトドメだ!」
XX−セイバー ヒュンレイ:ATK2300
――ズバァァァッ!!
「どわぁぁぁぁぁぁ…!!」
ブラン:LP1800→0
「ある程度は追い詰めただけ、さっきよりはマシだな。」
2戦目はシンクロコースの刀堂刃とのデュエル。
先ほどの光津真澄とのデュエルと比べたら健闘できたけど、またやられた。
惜しいところまではいけたんだけど、X−セイバーの展開力に加えてガトムズによるハンデスがね。
これで2敗、いよいよ後がなくなって来た…!
「残念だったな、けどいい線は行ってたと思うぜ?」
「むぅ…このままじゃ終わってたまるか。」
いずれにしても次でラスト…このまま三連敗で帰りたくない。
次はみんなを楽しませた上で勝ってやる…今に見てろ。
「最後は僕が相手だ…さっきまでみたいな無様なデュエルはしないでもらいたいな。」
「うぐ、さっきまではたまたま調子が悪かっただけよ。
前の2戦のような無様なデュエルはしない…オレのエンタメデュエルで絶対勝つ!」
「そうこなくては…わざわざ指名した甲斐がないからね。」
最後の相手は何とも言えない特徴的な髪型でエクシーズコースの志島北斗。
どんな手で来るのかはわからないが、オレの夢を叶えるためにも絶対勝つ!
『準備はいいかな?アクションフィールドオン!フィールド魔法『マジカル・ブロードウェイ』発動!』
すると、大都会の夜の街といった楽しげな雰囲気のフィールドになる。
そういえば、このアクションフィールドは…成程。
「へぇ、このフィールドを見て何を思ったんだい?」
「父さんが得意とするアクションフィールドだったって…それだけよ。」
「まぁいい。」
特別得意というわけじゃないけど、猶更負けられなくなった気がするわ。
「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」
「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!」
「フィールド内を駆け巡る!」
「見よ、これぞデュエルの最強進化系!」
「アクショォォォォォォォン!!」
「「デュエル!!」」
ブラン:LP4000
北斗:LP4000
「先攻はいただく。僕は手札から『セイクリッド・ポルクス』を召喚!」
セイクリッド・ポルクス:ATK1700
相手が使うのは星の戦士…といったところかしらね。
ここからどうでるのかしら…!
「ポルクスが召喚した時、通常の召喚権とは別にもう1体だけ『セイクリッド』を召喚できる!
これにより手札から『セイクリッド・カウスト』を召喚!」
セイクリッド・カウスト:ATK1800
これでレベル4のモンスターが2体。
「早速エクシーズ召喚かしら?」
「まだだ、僕はセイクリッド・カウストの効果を発動!
1ターンに2度まで『セイクリッド』1体のレベルを1つ変化させる!
僕はこの効果でポルクスとカウストの2体のレベルを1つずつ上げる!」
セイクリッド・ポルクス:Lv4→5
セイクリッド・カウスト:Lv4→5
そこから、レベルを1つ上げてきた。
成程、ランク5のエクシーズ狙いというわけだったのね。
「僕はレベル5となったセイクリッド・ポルクスとカウストでオーバーレイ!
星々の光よ、今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚!ランク5『セイクリッド・プレアデス』!!」
『ハァァァァッ…!!』
セイクリッド・プレアデス:ATK2500 ORU2
夜の外灯に晒された繁華街のフィールドに星の騎士って、映えるのだけど眩しい構図ね。
それで、1ターン目からランク5のモンスターをエクシーズ召喚してきたか。
どんな効果までかはわからないけど、厄介そうね。
「僕はカードを1枚伏せて、ターンエンド。」
「いくわ、オレのターン、ドロー!まずは手札から『コロソマ・ソルジャー』を召喚!」
コロソマ・ソルジャー:ATK1300
まずはこのカードの効果で動くとしようか。
「コロソマ・ソルジャーが召喚した時、手札の水族・魚族のどちらかのモンスターを墓地へ送り1枚ドロー!
ここで水属性の効果のコストで墓地へ送られた『エビカブト』の効果でデッキから水族で攻撃力800以下の通常モンスター『カニカブト』を特殊召喚!」
カニカブト:DEF900
よし、これで準備はできた。
ここでコーカサスカニカブトを出せば、プレアデスと伏せカードの両方を吹き飛ばせて優位に立てるはず。
さて、相手はどうくる…?
「まだ、あんなカード入れてたのかよ。」
「また恥を晒したいの?別にオレはそれで構わないけど?」
「じょ…冗談だ、それで前に痛い目にあってるからな。」
「…馬鹿。」
で、カニカブトを見た沢渡が馬鹿にしてくるので軽く脅しておく。
効果は覿面だけど、何故か真澄までジト目で沢渡を睨んでいるわね。
「カニカブトか…悪いが、ここでセイクリッド・プレアデスの効果を発動!
1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ使い、フィールドのカード1枚を手札に戻す!
ここでカニカブトには手札に戻ってもらう!」
セイクリッド・プレアデス:ORU2→1
――ピィィィィン!!
「カニカブトを戻してきた…!」
このタイミングでも使えるという事は、フリーチェーンでの手札バウンス…厄介な。
ここで使ってきたという事は、コーカサスカニカブトを警戒されたわけね。
だけど…そう来るなら!
「あのカードを出されると厄介なのでね…次はどうする?」
「ふふ、カニカブトを手札に戻した事…利用させてもらうわ。
手札から『カニカブト』を捨て、魔法カード『シーフードカーニバル』を発動!
これは攻撃力1000以下の水族通常モンスター1体を捨てて発動するカードで、デッキから2枚のカードをドローする!」
「やるね…プレアデスの効果を逆に利用してくるとは。」
ここでのフリーチェーンバウンスは想定外だったけど、逆に利用できておいしかったわ。
そして、このドローで次の一手が手札に来た!
さて、さっきまでの2戦では見せられなかったアレといく!
「さて、オレはスケール2の『ロブスター・シャーク』とスケール5の『シュテルアーム・ロブスター』でペンデュラムスケールをセッティング!
シュテルアームはもう片方にロブスターのペンデュラムがいる時、スケールを8にできる!」
ロブスター・シャーク:Pスケール2
シュテルアーム・ロブスター:Pスケール5→8
「ついに来るか…ペンデュラム!」
「揺れろ、魂のペンデュラム!天界に架かれ、流星のビヴロスト!ペンデュラム召喚!現れろ、雄々しくも美しい二色の殻を纏いし者『甲殻神騎オッドシェル
『フン…ウォォォォォォ!!』
甲殻神騎オッドシェル・P・ロブスター:ATK2500
「早速、君のエースモンスターのお出ましか。」
「攻撃力は互角…だな。」
確かにこのままだと相打ちにしかならない。
もっとも、ペンデュラムモンスターだからエクストラデッキに行くだけだからそこまでは痛手じゃないけど。
ここはオッドシェルに跨り、アクションカードを取るとする。
「それで、アクションカードをお探しか…だが!」
――ドォォォン!
だが、オレの前にプレアデスが立ちふさがってきたか。
アクションカード自体はその先すぐにあるのが見えている…それなら!
「でぁぁぁぁぁ!!」
――ピョィィィン…タッタッ!
「何っ…!?」
プレアデスごと踏み越えるのみ!
「…まさか、オッドシェルを乗り捨ててプレアデスも踏み台に飛び越えるなんてね。」
「やるじゃねぇか、俺とのデュエルでもこれくらいのことしてくれりゃよかったものを。」
――ぱしっ!
なんというか、する隙がなかったというか。
でも、アクションカードが取れた…!
「バトル!オッドシェル・P・ロブスターでプレアデスに攻撃!
この瞬間、アクションマジック『カレイド・アタック』を発動!
このターンの間オッドシェルの攻撃力を500アップし、このカード以外の魔法・罠の効果を受けなくする!」
甲殻神騎オッドシェル・P・ロブスター:ATK2500→3000
「こいつは…!」
「ほぅ、でかいザリガニにしては中々きれいじゃねぇか。」
二色の殻と変幻自在の美しい光が重なり合って綺麗な感じに仕上がったわ。
でかいザリガニにしてはっていう言い分が引っかかるけど。
「喰らえ『螺旋のカレイド・シュラーク』!!」
――バァァァァァ!!
「く…まさか、こんなにあっさりプレアデスを倒されるとは…!」
北斗:LP4000→3500
「さらにオッドシェルの効果でプレアデスをエクストラデッキに戻し、1000ダメージを与える!」
「くうっ…!」
北斗:LP3500→2500
このターンでは倒せないにしても、まずは1500のダメージだ。
もっとも、相手には伏せカードがまだ残ってる…だけど、突いてみることにする。
「続いてコロソマ・ソルジャーでダイレクトアタック!」
「そいつの攻撃まで通すわけにはいかないな、罠発動『ピンポイント・ガード』!
相手の直接攻撃時に墓地のレベル4以下モンスター1体を守備で蘇生し、発動ターンそのモンスターは破壊されない!
これで甦らせるのは『セイクリッド・カウスト』!」
セイクリッド・カウスト:DEF700
「むぅ…攻撃しても無意味ね。」
今回は下手に突くとまずい例だったみたいね…やってくれる。
このターン中は破壊できないんじゃ、攻撃しても無駄ね…!
「バトルを終了し、オレはカードを1枚伏せてターンエンド。」
甲殻神騎オッドシェル・P・ロブスター:ATK3000→2500
シュテルアーム・ロブスター:Pスケール8→5
「君にばかり好き勝手はさせないさ…僕のターン、ドロー!
僕は手札から2体目の『セイクリッド・ポルクス』を召喚!」
セイクリッド・ポルクス:ATK1700
2体目のポルクスか…それに先ほど蘇生させたカウスト。
早めにアクションカードを取った方がよさそうね。
「この流れ、来るわね…よっと…!」
「まだだ、ポルクスの効果により追加で『セイクリッド・ソンブレス』を召喚!」
セイクリッド・ソンブレス:ATK1550
と、ここで新たな下級を召喚してきたわね。
アクションカードは…あそこか。
「ここでカウストの効果でカウストとポルクスのレベルを1つずつアップする!」
セイクリッド・ポルクス:Lv4→5
セイクリッド・カウスト:Lv4→5
この効果でレベルを上げたのはさっきプレアデスの素材にしたものと同じ2体ね。
「僕はレベル5のカウストとポルクスでオーバーレイ!
星々の光よ、今大地を震わせ再臨せよ!エクシーズ召喚!ランク5『セイクリッド・プレアデス』!!」
『フゥゥゥゥン!!』
セイクリッド・プレアデス:ATK2500 ORU2
再びプレアデス…エクストラに戻したから当然ね。
「プレアデスの効果発動!オーバーレイ・ユニットを1つ使い、オッドシェル・P・ロブスターを手札に戻す!」
セイクリッド・プレアデス:ORU2→1
ここで使ってくるか…とりあえずオッドシェルから飛び降りて…!
――ピカァァァァ…ぱしっ!
よし、アクションカードゲット。
これは…温存する甲斐がありそうね。
「ぐ…オッドシェルを戻しても、アクションカードを取ってくるか。
だが、これでソンブレスの効果の使用条件が整った!ここでソンブレスの効果発動!
1ターンに1度、墓地のセイクリッド1体を除外し、墓地から別のセイクリッド1体を手札に加える!
僕はこの効果でポルクスを除外し、カウストを手札に加える。」
成程、ソンブレスの効果を使うためにプレアデスの効果をあのタイミングで使ったわけか。
墓地のセイクリッド1体を回収できる効果は長期戦に入った時に役だちそうね。
「これだけじゃない…この効果の使用後、もう1体セイクリッドを召喚できる!
これにより手札から先ほど戻した『セイクリッド・カウスト』を召喚!」
セイクリッド・カウスト:ATK1800
「カウストの効果を発動し、カウスト自身とソンブレスのレベルを1つずつ上げる!」
セイクリッド・カウスト:Lv4→5
セイクリッド・ソンブレス:Lv4→5
これでまたレベル5のモンスターが2体。
まさか…ね?
「僕はレベル5となったカウストとソンブレスでオーバーレイ!エクシーズ召喚、ランク5『セイクリッド・プレアデス』!!」
『ウォォォォ…!!』
セイクリッド・プレアデス:ATK2500 ORU2
そのまさかだったわ、
今回ばかりはこの言葉を贈ろう。
「またお前か。」
「放っといてくれ。」
とはいえ、これでフリーチェーンのバウンス持ちのプレアデスが2体並んだわけで厄介な布陣ね。
だけど、不思議とこの不利な状況でさえも直視していられる。
気の持ちようって大事なのね。
「ここで今呼び出した方のプレアデスの効果も発動する!
君のその怪しい伏せカードを手札に戻させてもらう!」
セイクリッド・プレアデス:ORU2→1
「それはお断りするわ。アクションマジック『カレイド・コート』を発動!
このターン、この伏せカードは相手の効果を受けない。」
「やってくれるね…それならば…!」
――ぱしっ!
「僕もアクションマジック『カレイド・アタック』を発動させてもらう!
これによりプレアデスの内1体はこのターンの間、他の魔法・罠の効果を受けず、攻撃力を500アップする!」
セイクリッド・プレアデス:ATK2500→3000
アクションカードを発動してきたか…!
こっちもアクションカードを取らないと、やられるわね。
鉄棒のステージギミックを利用すれば…!
――ブン、ブン…ぱすっ!!
このように、モンスターを使わずとも上の方にあるアクションカードをキャッチできる。
もっとも、ある程度の身体能力はないと無理なのだけれどもね。
碌に練習をしてない人がやったら怪我は免れないわ。
「バトルだ!僕は効果を受けていないプレアデスでコロソマ・ソルジャーを攻撃!」
「ただではやらせない!オレもアクションマジック『カレイド・アタック』を発動!
これでこのターンの間コロソマ・ソルジャーの攻撃力を500アップし、他の魔法・罠の効果を受けなくする!」
コロソマ・ソルジャー:ATK1300→1800
「だが、それでも攻撃力はこちらが上だ!」
――ザバアァァッ!
「っ…!」
ブラン:LP4000→3300
「ここでもう1体のプレアデスでダイレクトアタック!!」
――ザシャァァァ!!
「ひゃぁぁぁぁっ…うっ!?」
ブラン:LP3300→300
「おい、幼女苛めて楽しいか北斗!!」
「刃、その発言は誤解招くからやめろ。」
とりあえず、この攻勢は耐えられたけど…オレは立派な中二だよ!
それに刃だったかしら?えげつないハンデスしといてお前が言うなと言いたいところね。
「まぁ、いい…僕はこれでターンエンド。
このプレアデス2体の布陣を前に君はどうでるか…少しは期待させてもらうよ。」
確かに見えているとはいえ、プレアデス2体の布陣を突破するのはだいぶ骨が折れそうだ。
生半可な展開では何もさせてくれないのがオチね。
だけど、こういう不利な状況をひっくり返してこそ一流のエンターテイナーになりえる。
正直分が悪い賭けになるけど…ここで逃げてちゃ榊遊勝の娘の名が廃る!
どうせ後悔するなら…やらないで後悔するより、やって後悔するくらいの気概は見せないと!
こんな不利な状況でも、後ろ向きにならず…笑顔でプレイしないとね!
――パチンッ!
「さて、今の状況はとても厳しいものです。
わたしの場にはモンスターがおらず、相手の場には誘発即時効果で場のカードを手札に戻すプレアデスが2体もいます。」
「口調が変わった…ここで何か仕掛ける気ね!」
「あいつ、この状況からいったいどうする気だ?
あの伏せカードはさっき使わなかったところを見るに、アレじゃないだろうしな。」
恐らく沢渡の言っているアレとはブレイクスルー・スキルのことね。
引ければよかったんだけどないものは仕方がない。
結局のところ、デッキを信じるってことでしかないのだけどね。
だけど、絶対に揃えてみせる…この状況をひっくり返せる手札を!
「残念ながら、生半可な動きではその2体にいいようにやられてしまうのがオチです。
ですが、皆さん…この状況をひっくり返せるとしたら面白いと思いませんか?」
「本当にできたならな。」
「だが、不思議と応援したくなるな。」
「ふふっ、そうね。」
よし、とりあえず周りへの掴みはいいみたい。
後はなるようにやるだけよ。
「そうこなくては面白くない…精々見せてもらうよ、君のあがきを。」
「やってみせます!わたしのターン、ドロー!」
天はまだオレを見離してはなさそうね。
まだまだ必要なカードは揃ってはいないけど、やるだけやってみよう。
「まずは手札から魔法カード『サルベージ』を発動します!
これで墓地から水属性で攻撃力1500以下のモンスター2体…『エビカブト』と『コロソマ・ソルジャー』を手札に戻します!」
「あの2体を手札に…?」
「エビカブトにはもう1つ効果があったはずだ…それを使って何か出すのか?」
確かにエビカブトにはもう1つ効果がある。
だけど、その効果を利用してコーカサスカニカブトに繋げたところで効果は使用できない。
相手の場に伏せカードがないわけだからね。
それに、どうせなら相手をアッと驚かせて勝ちたいもの。
実はオレのデッキには、今の構築じゃ滅多に出せない隠された切り札が眠っている。
それで勝ってこの場を沸かせてみせなきゃ!
「それはどうでしょう?続いて、魔法カード『強欲なウツボ』を発動します!
これは手札の水属性2体をデッキに戻してから3枚ドローするカード!
これでデッキに戻すのは『エビカブト』と『甲殻神騎オッドシェル・P・ロブスター』!」
「馬鹿な、自らのエースをデッキに戻すだと!?」
「もっと、戻してもいいカードがあるはずよ…なのにいったい何を考えて!?」
確かにスケールが健在な以上、ペンデュラム召喚をしない時から戻すのは酔狂と思われるのも無理がないわね。
単に勝利を目指すだけなら別のアレを戻す方が正しいわね。
だけど、あえて戻す事で意味を成すことがあるとすればどうかしら?
より分が悪い賭けなのは間違いない、それでもやってみるのみ!
「そして…3枚ドローします!」
この3枚は…よし、どれも来てほしかったものよ。
いい感じに流れがこっちに来てる気がするわね。
平行してアクションカードも1枚手に入れておかなきゃね。
「このドローでもまだ手が揃いません…なのでこのモンスターに託します!
ここで手札から『コロソマ・ソルジャー』を召喚!」
コロソマ・ソルジャー:ATK1300
「召喚した時の効果で手札から水族か魚族のモンスター1体を墓地へ送り1枚ドローできます!
わたしは水族の『甲殻剣豪スピニー・ブレード』を墓地へ送って、1枚ドロー!
さらにスピニー・ブレードが水属性のコストで墓地へ送られた場合、追加で1枚ドローします!」
ここで合計2枚のカードがドローできる。
残り1枚…このドローに全てがかかってくるといってもいい状況よ。
「残り一回のドロー…このドローに全てがかかってくるといってもいいわ。
確率論でみるならはっきりいって無謀よ、だからこそここで引けたらすごいわよね?みんな!」
「ふ…引けるものなら引いてみることだな?ユーヤ君。」
「馬鹿馬鹿しいと思ってたけど、たまにはこういう博打で番狂わせを起こすところも見てみたいところね。」
「だから、引き当てやがれ!外したら承知しないからな!」
仮に引き当てられなかったら全てが終わるかもしれないこの状況…今までのオレならこのプレッシャーはあまりに厳しいものがあった。
だけど、不思議と今は…この周りが期待する声が心地よくさえ感じる。
引くタイミングはアクションカードを取った直後に行く!
――ひゅ…ぱしっ!
「いくわ…ドロー!」
――シャキィィィィン!タッ…!
アクションカードを取るのと同時にカードをドロー。
ここで引いたカードは…来た!
「ここでペンデュラムゾーンのシュテルアーム・ロブスターの効果を発動し、自らのスケールを8にします!」
シュテルアーム・ロブスター:Pスケール5→8
「ここでペンデュラムスケールを上げてきたという事は…!」
「結局、ペンデュラム召喚するみたいね。」
エースじゃなくても、ペンデュラム召喚はさせてもらうけどね。
「これでレベル3から7のモンスターが同時に召喚可能!ペンデュラム召喚!来て、オレのモンスターたち!
まずは、氷水の剣士『甲殻剣聖クルヴ・ヤイバー』!そして、水流の砲撃手『甲殻砲士ロブスター・カノン』!!」
『ハァァッ…!』
甲殻剣聖クルヴ・ヤイバー:ATK2100
『フゥゥ…!』
甲殻砲士ロブスター・カノン:ATK2200
「だが、折角ペンデュラム召喚で呼び出したどちらのモンスターも攻撃力はプレアデスより低い。
これじゃ、君のエースのオッドシェルを戻さない方がマシだったんじゃないか?」
「ところが、そうでもないみたいだぜ?
もう片方は知らねぇが、少なくともロブスター・カノンの方は強烈な効果を持っていたはずだ。」
そう…沢渡の言う通りこの2体は優秀な効果がある。
「ペンデュラム召喚したロブスター・カノンの効果発動!
手札からペンデュラム召喚した時、相手の特殊召喚されたモンスター1体を破壊し、デッキに戻してからあなたに500のダメージを与えます!
対象は1体目のセイクリッド・プレアデス!喰らえ、水の砲撃『ハイドロ・ブラスター・カノン』!!」
――バッシャァァァ!!
「誘発効果で除去しに来たか…ならば、ここで対象を取られた方のプレアデスの効果発動!
オーバーレイ・ユニットを1つ使い、君のクルヴ・ヤイバーを手札に戻す!」
セイクリッド・プレアデス:ORU1→0
「それなら、このタイミングでクルヴ・ヤイバーの効果を発動!
手札を1枚墓地へ送り、相手の特殊召喚されたモンスターの効果をターン終了時まで無効にできる!
さっき拾ったアクションカードをコストに、このターンにまだ効果を使っていない方のプレアデスの効果を無効にするわ!
喰らいなさい『ハーゲル・シュトラール』!!」
――シュバァァァ!!
「くっ、ならば対象となったプレアデスの効果も発動する!
オーバーレイ・ユニットを1つ使い、ロブスター・カノンの対象になった方のプレアデスをエクストラデッキに戻す!」
セイクリッド・プレアデス:ORU1→0
――ピカァァァ!!
効果が適用される前に自らエクストラに戻す事で、500ダメージを阻止したわけね。
クルヴ・ヤイバーの方は手札に戻されたけど…問題ないわ。
もっとも、いつの間にか相手がアクションカードを取っていたようね。
どのタイミングで仕掛けてくる…?
「何やってんだ、あいつ…!」
「頼みのペンデュラムでもこの程度ではな…。」
「召喚権も消費したし、いったいどうするつもりかしらね?」
む、掌を返してきたわね。
だけど、みんな何か勘違いしているわね。
「さて、君の頼みの綱のペンデュラムでの攻勢もここまでのようだね。
見たところ、君はエクシーズ・シンクロ・融合のどれも使用できないそうだからもう終わりかな?」
「ふふ、ペンデュラムは…ね。」
「…?」
誰がペンデュラムが本命だと言ったのかしら?
「確かにオレはエクシーズもシンクロも融合も使えないわ。
アドバンス召喚も既に召喚権を使ってしまっているからこのターンはできない。」
「そうなると、このターン君はもう何もできないと認めたのかな?」
「果たして、それはどうかしら?」
悪いけど、切り札を出すための召喚法はそれだけとは限らないわ。
見せてあげるわ、オレの奥の手を!
「お楽しみはこれからだ!ここで手札から儀式魔法『蟹の誓い』を発動!」
――ゴゴゴゴゴ…!
「何っ!?」
「ぎ、儀式って、あなた!?」
「このフィールドで、これって…おいおい。」
儀式魔法発動と同時に地面から亀の甲羅を纏いし蟹が合わさった合成獣が祭られている祭壇のようなものが出てくる。
そう、今回の目玉は儀式召喚で呼び出されるこいつだ!
都会の街のフィールドにこのようなオカルトめいたものは似合わない?ほっといて。
「この効果で手札からレベル8の『コーカサスカニカブト』をリリース!」
――シュボボボボ!!
手札のコーカサスカニカブトが8つの青い火の玉となって、祭壇に灯される。
これで降臨の準備が整った。
「これによりレベル8の『クラブ・タートル』儀式モンスターの儀式召喚を執り行う事が可能となる!
太古の亀甲を纏いし蟹の超獣よ、少女の誓いに応え目覚めよ!
儀式召喚!降臨せよ、レベル8『甲殻超獣クラブ・タートル』!!」
『グオォォォォォォオオ!!』
甲殻超獣クラブ・タートル:ATK2550
「ユーヤの奴…いつの間にこんなモンスターを!?」
「儀式召喚自体は昔からあるわ。
でも、扱いにくいが故に使う人は滅多に見ない…!この子、やるじゃない。」
「いや…これって、どう考えても悪役怪獣の方じゃねぇかよ…!」
儀式召喚により降臨したのは亀甲を纏ったモノアイの蟹の超獣だ。
確かにこの見た目はどちらかといえば悪役怪獣だけど、これがオレの隠された切り札だ。
実のところ、使ってなかっただけで元々持っていたのだけどね。
複数枚持っているわけじゃないから、現状は一発ネタにしか使えないのが惜しい所よ。
――パチパチパチ…!
「君がペンデュラムだけでなく、このような手も用意していたとは驚いたよ。
だが、勝負はこれから…僕にはまだ手札がある事を忘れないでもらいたい。」
「ええ…望むところよ、北斗!
バトル、オレは甲殻超獣クラブ・タートルでセイクリッド・プレアデスを攻撃!」
だけど、オレには既に勝利への道筋は見えている。
「ここで僕は手札からアクション魔法『イリュージョン・ダンス』を発動!
これで全ての攻撃表示モンスターはターンの終わりまで守備表示になる!
折角呼び出した儀式モンスターも、こんなことでは残念だったね!」
「そう来ると思ってた!オレは甲殻砲士ロブスター・カノンをリリースし、カウンター罠『ヴァッサー・シュラーク』を発動!」
「このタイミングで、カウンター罠だと!!」
これは自分のターンにのみ発動できる罠カード。
その気になればプレアデスの効果も阻止できたけど、それじゃ締まりが悪いから!
「オレのターン中での相手のカード効果の発動を無効にし、破壊!
そして、相手の手札をランダムに1枚デッキに戻す!」
「まったく…やってくれるね、君は!」
後は、立ちはだかるプレアデスと北斗をぶっ倒すだけだ!
「これで決める、引き裂け!『スプラッシュ・エクスキュージョン』!!」
『グォォォォォオオ!!』
――ザッシャァァァァ!!
「ぐおっ…!だが、次のターンの引きでどうなるか…!」
北斗:LP2500→2450
言ったはずだ、これで決めるって!
「この攻撃は2段構えだ!ここで甲殻超獣クラブ・タートルの効果発動!
戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、デッキから水属性モンスター1体を墓地へ送る事でその攻撃力分のダメージを相手に与える!」
「そういう事だったのか…!」
「だからあの時、自らのエースをデッキに…この時のために!」
「ここで墓地へ送るのは『甲殻神騎オッドシェル・P・ロブスター』!!
これで終わりだ、その攻撃力分の2500のダメージを喰らえ!!」
――バッシャァァァァァ!!
「ぐわぁぁぁぁぁぁ…!!」
北斗:LP2450→0
決まった…!
ペンデュラムだけに留まらないオレのエンタメを披露しての大勝利だ!
最後は相手や観客に向かって…一礼をしておく。
「本日はどうもわたしのエンタメデュエルをご覧いただき、ありがとうございました!」
『榊選手の戦術はなんとペンデュラムだけに留まらなかった!
儀式召喚なる隠し玉を披露し、エクシーズコースの北斗選手を見事打ち破った彼女に盛大な拍手を!!』
「「「「「わぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」
――パチパチパチ…!
「あいつ、最後の最後でやってくれるじゃねぇか。」
「ふふっ、意外と面白いものが見れたわね。」
「ふっ、こうしちゃいられない…俺も負けてられないな。」
よかった、これで少しはエンタメデュエリストとしての自信が取り戻せたわね。
さて、北斗の方は…。
「流石だよ、ブラン…君を相手として指名した甲斐があったものだ。
やはり今の僕では、ペンデュラム使いの君には敵わなかったのを思い知れてよかった。」
どうやら、向上心旺盛のようね。
そう言ってもらえるとオレとしても光栄よ。
「そうそう、今日の誘いを受けてくれた君にお礼をしなくては。」
――パパッ…!
すると、彼はお礼という名目でオレに2枚のカードを投げ渡してきたので受け取る。
この2枚は…!?
「あら、どういう風の吹き回しかしら?」
「僕に勝った以上は三大召喚法の1つは少しでも使いこなせてくれないとくれないとね。
はっきりいって、そのカードは僕たちエクシーズコースの人にとっては取るに足らないカードに過ぎない。
だが、君には喉から手が出るほど欲しかった種類のカードのはず…必ず使いこなせると信じているよ。」
そう、何とこの2枚はエクシーズモンスターだった。
見たところ大したスペックではないけど、オレのデッキと相性のいい2体だった。
思わぬところから三大召喚法で呼び出されるモンスターの1種が手に入るとは思わなかったわ。
「ありがと…大切に使わせてもらうわ。」
「では、僕たちは先に舞網チャンピオンシップで待っているよ。」
「参加できないなんて間抜けなことは勘弁してくれよ?ユーヤ君。」
「ええ、必ず。」
今回の結果は1勝2敗。
舞網チャンピオンシップのジュニアユース選手権出場への切符はまだまだ遠いけど、収穫は大きかったわ。
オレは大会出場への意気込みを胸に秘め、この場を後にした。
あまり時間はないけど、必ず参加資格を手に入れてみせる!
続く
登場カード補足
甲殻超獣クラブ・タートル
儀式・効果モンスター
星8/水属性/水族/攻2550/守2500
「蟹の誓い」により降臨。
自分は「甲殻超獣クラブ・タートル」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、デッキから水属性モンスター1体を墓地へ送って発動できる。
墓地へ送ったその水属性モンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
(2):儀式召喚したこのカードが墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「甲殻」モンスター1体を手札に加える。
蟹の誓い
儀式魔法
「クラブ・タートル」儀式モンスターの降臨に必要。
「蟹の誓い」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分の手札・フィールドから、レベルの合計が8になるようにモンスターをリリースし、手札から「クラブ・タートル」儀式モンスター1体を儀式召喚する。
(2):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、効果モンスター以外の自分の墓地の水族モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
シーフードカーニバル
通常魔法
(1):手札の水族・攻撃力1000以下の通常モンスター1体を捨てて発動できる。
自分はデッキから2枚ドローする。
カレイド・アタック
アクション魔法
(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が500アップし、このカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない。
カレイド・コート
アクション魔法
(1):自分フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
このターンそのカードはこのカード以外のカードの効果を受けない。
イリュージョン・ダンス
アクション魔法
(1):フィールドの全ての攻撃表示モンスターを守備表示にする。
この効果で守備表示になったモンスターは、ターン終了時に攻撃表示になる。