準決勝第2試合に出場するためにフィールドへ向かうアキ。
 其処に通じる廊下には遊哉と遊星。
 そして、霧恵と氷雨、響、美咲の3人娘にレン。
 この大会で得た新たな仲間達が集まっていた。

 「アキ頑張れよ。」

 「あんな奴さっさと倒しちゃいなさい!」

 「頑張ってねアキ!」

 「応援してるよ。」

 「ブラック・ローズ・ドラゴンで焼き尽くしちゃえ!」

 「アギトっちの実力はまだ未知数だけど…アキッちなら大丈夫っさ!」

 「決勝で待ってるぜ!さっさとあのいけ好かねぇ銀髪野郎をぶっ倒して来い!」

 其々アキにエールを送る。

 「皆…ありがとう。必ずかって見せるわ!遊哉…決勝で待っていて!」

 万感の思いを胸に、アキは戦いの場へと歩を進めていった。







 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel19
 『迫り来る幻影』〜アギトvsアキ〜








 「準決勝第2試合のデュエルはアギト=アルツベインvs十六夜アキだ〜!
  恐るべき戦術で1回戦を突破したアギトと、黒薔薇の魔女の異名を持つ十六夜アキ!
  このデュエルを制し決勝へと駒を進めるのは果たしてどちらなのか!?
  さぁ準備は良いか?行くぜ、準決勝第2試合、デュエル・スタート!!」



 「「デュエル!!」」


 アギト:LP4000
 アキ:LP4000







 「負けんじゃねぇぞ、十六夜!!」
 「アキ様頑張って〜!」

 「今度はまともなデュエルしろよ!銀髪!!」
 「お前はそれでもデュエリストか!!」





 会場からはアキへの声援、アギトにはブーイングの嵐。
 さながら甲子園球場での阪神vs巨人状態。


 「おやおや…如何やら僕は悪役のようだね?」

 「1回戦の貴方のデュエルがよほど気に入らなかったみたいね…」

 「其れは君もだろう十六夜アキ。さて、始めようか…闇のデュエルを!!」

 瞬間アギトから黒い瘴気が溢れ出すしリングを覆いつくす。
 明らかに異常な光景だが観客は気付いていないのか特に騒ぎなどは起きない。

 「此れは…?それに闇のデュエルですって?」

 「その通り。此処ではデュエルのダメージは現実のものとなる…君の力と同様にね。
  だから君も遠慮せずに力を使うと良い…十六夜アキ、『黒薔薇の魔女』よ!」

 「ダメージが現実に…まさか!貴方1回戦も!」

 「ご明察。あんなクズ如何なっても良いけどね。唯安心しなよ、僕を倒せば彼も目を覚ますさ。」

 「許さない…覚悟しなさい!『黒薔薇の魔女』の力…味合わせてあげるわ!!」

 アキの髪飾りが吹き飛ぶ。


 「ふふふ…其れでいいよ。そうじゃなくちゃ倒し甲斐が無いからね…僕のターン!」


 異様な雰囲気の中で始まった準決勝第2位試合。
 先攻はアギトから。

 「さて、このデュエル先ずはヴィジョンの力の一端をお見せしようか。
  僕はエクストラデッキから『サイバー・エンド・ドラゴン』を墓地へ送り…現れろ『ヴィジョン・サイバー・エンド』!」
 「クガァァァァァ!」
 ヴィジョン・サイバー・エンド:ATK4000



 「ヴィジョン・サイバー・エンド?…このモンスターは一体?」

 現れたのは強力な機械族モンスター『サイバー・エンド・ドラゴン』に酷似したモンスター。
 だがその姿は非常に不気味である。
 絵違いの『黒いサイバー・エンド・ドラゴン』とも違うその姿。
 言うなれば『ネガ像』が一番ピッタリだろうか?

 「驚いてくれたかな?ヴィジョンは対応するモンスターをデッキかエクストラデッキから墓地へ送る事で特殊召還できるのさ。
  そしてヴィジョンとはすなわち幻影。このモンスターはサイバー・エンド・ドラゴンの幻影体と言うところか。」

 「幻影体…」

 「そしてヴィジョンの強さはその速攻性にある!
  エクストラデッキから『青眼の究極竜』をデッキから『究極宝玉神レインボー・ダーク・ドラゴン』を墓地へ送り、
  さぁ現れろ!『アルティメット・ヴィジョン・ドラゴン』『ヴィジョン・レインボー』!」
 アルティメット・ヴィジョン・ドラゴン:ATK4500
 ヴィジョン・レインボー:ATK4000


 「攻撃力4000以上のモンスターがいきなり3体…」

 「少しは驚いてくれたかな?ターンエンド。」

 「私のターン。」

 最高クラスの攻撃力を備えたモンスターがいきなり3体。
 しかし、このくらいでアキは尻込みするようなデュエリストではない。

 「チューナーモンスター夜薔薇の騎士(ナイトローズ・ナイト)を召喚。」
 夜薔薇の騎士:ATK1000


 「夜薔薇の騎士の効果発動、このカードの召喚に成功した時手札からレベル4以下の植物族モンスター1体を特殊召還できる。
  私は『ポイズン・プラント』を特殊召喚!」
 ポイズン・プラント:ATK1500


 合計レベル7。
 何が来るのかは誰にも分かっている。
 故に観客の歓声は大きくなる。

 「レベル4のポイズン・プラントに、レベル3の夜薔薇の騎士をチューニング。
  冷たい炎が世界の全てを包み込む。漆黒の華よ開け、シンクロ召喚!咲き乱れよ『ブラック・ローズ・ドラゴン』!」
 「ショォォォォ!」
 ブラック・ローズ・ドラゴン:ATK2400





 「出たー!ブラック・ローズ・ドラゴン!!」
 「アキ様〜!」
 「一気に決めちまえ十六夜!」



 ブラック・ローズ・ドラゴンの登場に一気に会場が沸く。


 「ブラック・ローズ・ドラゴンの効果発動!召喚時フィールド上の全てのカードを破壊する『ブラック・ローズ・ガイル』!」


 強烈な疾風がフィールドを包み込み全てのカードを消し去る。
 アキの力によって物理レベルにまで高められたソレは容赦なくアギトを襲う。

 「ふ…凄まじい力だよ十六夜アキ。まさに『黒薔薇の魔女』と称されるだけの事は有る…見事なものだ。
  だが、相手が悪かったね、如何に君の力が強くとも『幻影』を葬り去る事は出来ないよ?」

 「何ですって?」

 「君は実体無き幻を攻撃できるかい?ヴィジョンも同様さ、よく見てごらん?」

 「………!此れは!」

 ブラック・ローズ・ドラゴンの効果でフィールド上のカードは全て消し去ったはずだった。
 だが、アギトのフィールドには消滅した3体のモンスターが!

 「此れがヴィジョンの効果だよ。破壊されても永続罠扱いで僕のフィールド上に留まり続ける。」

 「ヴィジョン…幻影と言うだけはあると言う事ね…カードを3枚伏せてターンエンド。」

 倒しても幻影として残り続けるヴィジョン。
 その不気味な能力は一筋縄では行きそうに無い。

 一方、観戦中の遊哉、遊星、霧恵は違和感を覚えていた。


 「緋渡、妙だと思わないか?」

 「だな。あの野郎、1回戦とはまるで戦術が違う。こっちが本気だってのかよ…ふざけやがって!」

 「其れにあの黒い瘴気見たいのは一体何?」


 他の観客には分からないだろう、アギトの体から噴出した黒い瘴気。
 『闇のデュエル』の象徴たる其れを3人は認識していた。

 「マスター、私が調べてきましょうか?」

 「エアトス…あぁ頼む!」

 「遊星、僕も行ってくるよ。」

 「エフェクト・ヴェーラー、任せた。」

 「じゃあアタシも行ってくるぜ霧恵!」

 「ヒータ…宜しく。エリアもお願いできる?」

 「お任せ!頑張ろうねヒータちゃん!」

 「ちゃん付けすんじゃねぇ!!」


 で、3人のデッキから4体の精霊が瘴気を調査に向かった。



 そのデュエルリングでは…

 「僕のターン。手札から『天よりの宝札』を発動。互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにデッキからカードをドローする。」

 アギトが最強の手札増強を使い、戦術を整えていった。

 「いい手札だ…僕は魔法罠ゾーンのヴィジョン3体を墓地へ送り『影喰いの龍』を特殊召喚!」
 「ギュルル…」
 影喰いの龍:ATK?


 「攻撃力不明…」

 「如何にも。影喰いの龍の攻撃力は特殊召喚の際に墓地に送ったヴィジョンの攻撃力の合計となる!
  僕が墓地に送ったモンスターの攻撃力の合計は12500!
 「ガァァァァァ!」
 影喰いの龍:ATK?→12500


 「攻撃力12500!」

 「更にモンスター効果発動。デッキの上から3枚をめくりその中のヴィジョンを任意の数僕の魔法罠ゾーンに置く。
  …くくく、めくった3枚は『ヴィジョン・デーモン』『ヴィジョン・サイバー・ダーク』『ヴィジョン・バルバロス』
  全てヴィジョンモンスター…よってこの3体は永続罠として僕のフィールドに現れる!」

 不気味な影が再びフィールドに現れる。

 「十六夜アキ、君を守るモンスターは居ない…全く悪い癖だよ。相手の強力モンスターを見るとすぐさまブラック・ローズでリセットする。
  だが、その後に追い込まれることも多いのにね…此れで終焉だ!影喰いの龍でダイレクトアタック!」

 「よく喋るわね…でも何時までも相手が同じ戦術を取るとは思わないほうが良いわ。
  トラップ発動『リバイバル・ブラック・ローズ』。このカードの効果で墓地のブラック・ローズ・ドラゴンを蘇生させるわ。」
 「シュゥゥゥ…」
 ブラック・ローズ・ドラゴン:ATK2400


 「ふぅん…だが攻撃力2400じゃ影喰いの龍の敵じゃない。粉砕しろ影喰いの龍よ!」

 「甘いわ。永続トラップ発動『カースオブ・ローズ』。私のフィールドに『ローズ』と名の付くモンスターが存在する場合に発動できる。
  相手モンスター1体を選択し選択したモンスターの効果を無効にする。そしてそのモンスターは攻撃できない。」

 「やるね。」
 影喰いの龍:ATK12500→0



 攻撃力不明のモンスターの最大の弱点。
 それは効果を無効にされるとその攻撃力が0に為るという事。
 アキはその弱点を見事に付いたと言えるだろう。

 「まぁ此れくらいやってくれなきゃ面白くないよ。カードを1枚伏せてターンエンド。」

 「私のターン。トラップ発動『ビギナーズ・ガーデニング』手札からレベル4以下の植物族モンスターを特殊召喚できる。
  現れなさいチューナーモンスター『ローズ・エンジェル』!」
 ローズ・エンジェル:ATK800


 「手札から魔法カード『即時発芽』。この効果で手札からレベル4以下の植物族モンスター1体を特殊召喚する。
  来なさい『ローンファイア・ブロッサム』!」
 ローンファイア・ブロッサム:ATK500


 「ローンファイア・ブロッサムの効果、私のフィールドの植物族モンスター1体ををリリースし、デッキから植物族モンスター1体を特殊召喚する。
  ローンファイア・ブロッサムをリリース!現れよ『ギガプラント』!」
 ギガプラント:ATK2400


 「レベル6のギガプラントに、レベル3のローズ・エンジェルをチューニング。
  魔性の薔薇が全てを包み込む、その力で世界を覆いつくせ!シンクロ召喚、天上界より現れよ『魔天使−ローズ・ヴァルキリー』!」
 「……!」
 魔天使−ローズ・ヴァルキリー:ATK3200


 「ローズ・エンジェルの効果発動。このカードがシンクロの素材となったときデッキから『天使』と名の付く植物族モンスターを2体まで手札に加える事ができる。
  私はデッキから『凛天使クィーン・オブ・ローズ』と『煌天使ローズ・プリンセス』を手札に加えるわ。」

 此処でアキの猛攻が始まった。
 シンクロ召喚にサーチ効果、更にアキの戦術は続く。

 「魔法カード『薔薇天使降臨』を発動。手札から『天使』と名の付く植物族モンスター1体を特殊召喚する。
  おいでなさい『凛天使クィーン・オブ・ローズ』!」
 「はぁ!」
 凛天使クィーン・オブ・ローズ:ATK2400


 「未だよ!チューナーモンスター『ラヴァ・ローズ』を召喚。」
 ラヴァ・ローズ:ATK0


 「レベル7凛天使クィーン・オブ・ローズに、レベル2ラヴァ・ローズをチューニング!
  天界の裁きが悪しき野望を打ち砕く、光の麗人よ今こそ現れよ!シンクロ召喚、天孫降臨『識天使−ローズ・ワルキューレ』!」
 「ひれ伏しなさい…悪しき者よ!」
 識天使−ローズ・ワルキューレ:ATK3200



 1ターンで2シンクロ。
 そして、並ぶ3体もの上級モンスター。
 おまけにそのうち2体は攻撃力3000オーバー、流石に凄い。


 「このターンで終わりにするわ。ローズ・ワルキューレで影喰いの龍に攻撃、『ローズ・パニッシュメント』!」


 ――バシュゥゥ!


 「いいねぇ…良い一撃だ。闇の力と君のサイコパワー…実に痛い。」
 アギト:LP4000→800


 大幅にライフが削られる。
 が、問題は其処ではない。

 「な、それは!?」

 「此れが闇のゲームだ。失ったライフポイント分、プレイヤーの身体は闇に喰われるんだよ。」

 「そんな…」

 「さて、強烈な一撃をありがとう十六夜アキ。此れはお礼だ受け取ってよ。
  僕がダメージを受けた事で『ヴィジョン・ゾーマ』を特殊召喚!」
 ヴィジョン・ゾーマ:ATK1800

 「そしてこの効果で特殊召喚されたヴィジョン・ゾーマは僕が受けたダメージをそのまま相手に跳ね返す!」

 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 アキ:LP4000→800

 「こ、この痛み…私の力以上?でもミスしたわねヴィジョン・ゾーマは攻撃表示ローズ・ヴァルキリーの攻撃でお終いよ!」

 「其れは如何かな?速攻魔法『姿無き敵』。僕のフィールド上の『ヴィジョン』をリリースしバトルを終了させる。残念だったね。」

 カウンターを打ち、攻撃を回避。
 正に『幻影』の如くつかみどころの無い戦術。
 お互いにライフが1000を切った以上このデュエルもそろそろ終焉が近い。

 「カードを2枚伏せてターンエンド。」









 「アキの攻撃が通りきらなかった…」

 「だが、状況は十六夜が有利だ幾らなんでも3体の上級モンスターは簡単には倒せないだろ。」

 「そうだけど…」

 「嫌な予感がする。」

 「…まぁな。普通なら此れで決まったようなもんだけどよ…あの野郎何か狙ってやがる。」

 遊哉達の『嫌な予感』は的中する事になる。








 「僕のターン…くくく十六夜アキ、まさか3体もモンスターを用意してくれるとは思わなかったよ。
  これで僕の勝利はゆるぎないものになった。」

 「何ですって?」

 「教えてあげるよ。君のフィールド上のモンスター3体を墓地へ送りアトミック・ヴィジョン・ドラゴンを僕の魔法罠ゾーンに呼び出す!」

 「そんな!」

 折角呼び出した上級モンスターを1瞬で除去。
 だが、アキもそれは読んでいる。

 「やるわね、でも…トラップ発動『薔薇天使の復活』!私の墓地から『天使』又は『ローズ』と名の付くモンスター1体を特殊召喚する!
  舞い戻りなさい『識天使−ローズ・ワルキューレ』!」
 識天使−ローズ・ワルキューレ:ATK3200

 「そしてローズ・ワルキューレの効果発動。このカードの特殊召喚に成功した時墓地の『魔天使−ローズ・ヴァルキリー』を特殊所召喚できる!」
 魔天使−ローズ・ヴァルキリー:ATK3200

 「ローズ・ワルキューレが存在する場合にローズ・ヴァルキリーが特殊召喚された時墓地から『ブラック・ローズ・ドラゴン』が蘇る!」
 ブラック・ローズ・ドラゴン:ATK2400

 除去された3体のモンスターを即座に復活させてきた。

 「無駄な事だね。僕はフィールド魔法『幻影の世界=ヴィジョン・ワールド』を発動!」

 如何にも不気味な景色が現れる。
 まるで蜃気楼のように実体無き景色がゆらゆらと揺れ動いていて気味が悪い。

 「此れは…」

 「ふふふ…君の死に場所さ。ヴィジョン・ワールドが有る場合僕は召喚条件を無視して『ヴィジョン』を特殊召還できるのさ。」

 「!!」

 「さぁ現れろ『ヴィジョン・デッド・ドラゴン』!」
 「ウゴォォ…」
 ヴィジョン・デッド・ドラゴン:ATK3500


 「攻撃力3500…でもトラップ発動『薔薇の芳香』相手フィールド上のモンスター1体の攻撃力を
  私のブラック・ローズ・ドラゴンの攻撃力分ダウンさせる!」

 ヴィジョン・デッド・ドラゴン:ATK3500→1100


 「おやおや…先手必勝は結構だが詰めが甘かったね。此れで僕の勝ちは確定だ!
  チューナーモンスター『ヴィジョン・クラスタ』を召喚!」
 ヴィジョン・クラスタ:ATK500

 「チューナー…そんな…。」

 「良い表情だ、最早打つ手は無いだろうがサレンダーなんてさせないよ。」

 瞬間、黒い瘴気がアキに纏わりつき一切の動きを封じてしまう。

 「此れは!身体が…」

 「闇のデュエルの敗者には死が訪れる。さぁ絶望しろ!レベル8ヴィジョン・デッド・ドラゴンに、レベル2ヴィジョン・クラスタをチューニング!
  憎悪と絶望の幻影よ、全ての救いを喰らい尽くせ!シンクロ召喚、終焉の使者『ヴィジョン・カオティック・ドラゴン』!」
 「GAAAAAAAA!」
 ヴィジョン・カオティック・ドラゴン:ATK3500

 「ヴィジョン・カオティック・ドラゴンは僕のフィールド上のヴィジョンと名の付くカード1枚に付き攻撃力500ポイントアップする。
  僕のフィールド上の『ヴィジョン』は合計6枚!よって攻撃力は6500!」
 ヴィジョン・カオティック・ドラゴン:ATK3500→6500

 「更にマジックカード『幻影の刃』を発動!永続罠扱いのヴィジョン1体を他のヴィジョン1体に装備させる。
  そして装備モンスターの攻撃力は装備したヴィジョンの攻撃力分アップする!
  僕は攻撃力5000の『アトミック・ヴィジョン・ドラゴン』を『ヴィジョン・カオティック・ドラゴン』に装備!」
 ヴィジョン・カオティック・ドラゴン:ATK6500→11500







 「攻撃力11500だと!?わざわざ攻撃力上げなくたって終わりじゃねぇか!オーバーキルかよ!」

 明らかに限度を超えた攻撃力の上昇に遊哉は叫ぶ。
 其処に瘴気を調査していた精霊達が戻ってくる。

 「マスター!」

 「エアトス、如何だった?」

 「アレは『闇のゲーム』です!」

 「闇のゲームだと!?」

 「あんな攻撃受けたらアキさん死んじゃうよ、遊星!」

 「馬鹿な!」

 「アタシ達だけじゃどうにもならねぇ!」

 「霧恵、遊哉君、遊星君力を貸して!」


 「OK!頼むよみんな!」

 霧恵がアウス、ウィン、ライナ、ダルクを呼び出す。

 「頼むぞスターダスト!」

 遊星もスターダスト・ドラゴンを出す。

 「アグニ、ミヅチ…任せた!」
 「任せな。」
 「あの娘…守って見せよう!行くぞ皆の者!」


 アグニの号令で精霊達はフィールドへと向かって行く。

 「俺達も行くぞ!」

 遊哉達も客席からフィールドへと向かう。









 「さぁ終わりだ十六夜アキ…死の闇に沈め!
  手札の『ヴィジョン・ブレイカー』を捨てこのターン、ヴィジョン・カオティック・ドラゴンは相手モンスター全てに攻撃できる!
  全てを消し去れヴィジョン・カオティック・ドラゴン!『ヴィジョン・ヘル・ブラスター』!!」


 強烈な炎がアキに向かって打ち出される。
 闇に動きを封じられたアキに避ける術は無いが…


 「させぬわ!この痴れ者が!!」

 アグニを筆頭に精霊達がアキを守るように立ちふさがる。
 精霊の力は=カードのステータスではない。
 精霊としては最上級に位置するモンスターが10体。
 アキへの攻撃はかき消される。
 無論、其れがデュエルに影響する事は無くアキのライフは0になるのだが…

 「「アキ!」」
 「十六夜!」

 遊哉、遊星、霧恵の3人も到着する。

 「皆…助けに来てくれたんだ…」
 アキ:LP800→0




 「ななな何だ!?何が起きているんだ?デュエルの勝者はアギト=アルツベインだ!
  だが、緋渡遊哉、不動遊星、迦神霧恵の3人は一体如何した事だぁ!?」






 「この野郎…『闇のゲーム』なんざふざけてんのか!」

 「ふざけてる?心外だな。僕は本気さ…本気でそいつを殺すつもりだった!」

 「テメェ…」

 「君達が邪魔したおかげで其れは出来なかったけど…だからさ緋渡遊哉、決勝では君を完全に葬ってあげるよ!」

 「上等だぜ、このクズ野郎!」

 今にも激突しそうな雰囲気である。


 「スト〜ップ!決勝戦は20分の休憩を挟んでからだ〜!今は落ち着いてくれ緋渡遊哉〜!」


 「MCのおっさん…分かってるよ!アギト…テメェの幻影は俺の龍皇が焼き尽くしてやる…覚悟しとけよ!」
 「首を洗って待っているが良い、デュエリストの魂を汚す愚者よ!」

 「くくく…せいぜい楽しませてよ。あんまりあっけないとつまらないからね。」



 こうして出揃った決勝戦進出者。
 猛き『龍皇』と、実体無き『幻影』の激突まで、後20分。





















  To Be Continued…