間も無く1時間が経つ決勝トーナメント会場には既に全ての観客が戻ってきている。
後は時間が来るのを待つばかり。
そして…
「レディース&ジェントルメン!さぁ『闘いの王国』もいよいよ準決勝だ〜!
此処からは、この俺が司会を勤めさせてもらっちゃうぞ〜!!」
童美野町のデュエル大会でお馴染み、派手なリーゼントのMCが登場し、決勝トーナメント・準決勝が始まった。
遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel18
『激突!2体の巨龍』〜遊哉vs遊星〜
デュエルリング上には既に遊哉と遊星がスタンバイを完了している。
お互いに手の内は知り尽くしている2人は如何なるデュエルの展開するのか?
「準決勝最初のデュエルは緋渡遊哉vs不動遊星だ〜!
互いにシンクロのドラゴンを切り札とするこのデュエル、一体どんな戦いなるのか?
さぁ皆準備は良いか!行くぜ、準決勝第1試合、デュエル・スタート!!」
「はぁ…相変わらずテンション高いおっさんだぜ。」
「確かにな。だが緋渡、このデュエル勝たせてもらう!」
「へ、星は俺のほうが上だ。全力で行くぜ!」
互いのデュエルディスクが展開される。
「「デュエル!!」」
遊哉:LP4000
遊星:LP4000
「先攻はもらうぞ緋渡。俺のターン。『ジャンクシールド・ガードナー』を守備表示で召喚。」
「むん!」
ジャンクシールド・ガードナー:DEF1500
「カードを1枚伏せてターンエンド。」
先ずは守備固め。
序盤は『守り』で整える遊星の何時ものパターンだ。
「俺のターン。手札のハイパー・ドラグーンを墓地に捨て『ツインブラスト・ドラゴン』を特殊召喚!」
「シャァァ!」
ツインブラスト・ドラゴン:ATK2400
対して遊哉は序盤から上級モンスターを召喚しての『攻め』の展開。
こちらも何時もの戦術と言える。
言わば『最強の矛vs最強の盾』とも言えるこのデュエル…どんな戦いが此処から展開されるのか、非常に楽しみでは有る。
「バトルだ!ツインブラスト・ドラゴンでジャンクシールド・ガードナーに攻撃!『ハイドロ・ツイン・キャノン』!」
「やはり攻撃してきたか。だが、ジャンクシールド・ガードナーは1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない!」
限定的な戦闘耐性で持ちこたえようとするが…
「分かってるぜ。だが、ツインブラスト・ドラゴンはバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる!
追加攻撃だ!ジャンクシールド・ガードナーに2回目の攻撃!『ハイドロ・ツイン・キャノン』!」
――ゴバァァァ!
強固な守りを打ち抜く攻撃…最初の攻防は『矛』が勝ったと言えるが…
「く…だがこの瞬間、罠発動『ウォリアーズ・リベンジ』。俺のフィールドの戦士族モンスターが戦闘で破壊された場合、
デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を特殊召還できる。来い、『ガントレット・ウォリアー』!」
「ムゥン!」
ガントレット・ウォリアー:ATK400
強固な守りも簡単には砕けない。
モンスターを途切れさせず戦況を守るのも遊星の得意技だ。
「(ガントレットを呼んで墓地にはレベル2のジャンクシールド…次のターン来るか!)カードを2枚伏せてターンエンド。」
「俺のターン。チューナーモンスター『ジャンク・シンクロン』を召喚!」
「はぁぁぁ!」
ジャンク・ウォリアー:ATK1300
「ジャンク・シンクロンの効果発動。召喚時墓地からレベル2以下のモンスター1体を守備表示で特殊召喚できる。
蘇れ『ジャンクシールド・ガードナー』!」
「フゥゥ!」
ジャンクシールド・ガードナー:DEF1500
シンクロの準備が整った遊星。
『守』から『攻』へ体制が変わった。
「レベル2、ジャンクシールド・ガードナーにレベル3、ジャンク・シンクロンをチューニング!
集いし星が、新たな力を呼び起こす。光指す道となれ!シンクロ召喚、出でよ『ジャンク・ウォリアー』!」
「フゥゥ…テァ!!」
ジャンク・ウォリアー:ATK2300
「更にガントレット・ウォリアーの効果発動!このカードをリリースし俺の場の戦士族モンスターの攻撃力を500ポイントアップさせる!」
ジャンク・ウォリアー:ATK2300→2800
モンスター効果で遊哉のドラゴンを上回る。
基本攻撃力の低さは効果でカバーする。
其れが相手にとっては意表を突かれるのだ。
「バトル、ジャンク・ウォリアーでツインブラスト・ドラゴンに攻撃『スクラップ・フィスト』!」
「やはり攻撃したか、伏せカードオープン『魂の交換』!俺の場のモンスター1体をリリースしてバトルを終了させる。
そしてその後俺の墓地からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。来い『ハイパー・ドラグーン』!」
「ガォォォォ!」
ハイパー・ドラグーン:ATK1500
遊星の攻撃を罠で回避する。
そしてチューナを蘇生…この辺りは遊哉も抜かりが無い。
「ふ…そう簡単には行かないか。バトルが終了した事でジャンク・ウォリアーの攻撃力は元に戻る。
カードを2枚伏せてターンエンド。」
ジャンク・ウォリアー:ATK2800→2300
手の内を知っているが故の激しい攻防。
しかも今度は『攻』の遊哉がターンを取る。
「俺のターン、『ミッドナイト・ウィング』を召喚。」
ミッドナイト・ウィング:ATK1700
「今度はこっちから行くぜ遊星!レベル4のミッドナイト・ウィングにレベル4のハイパー・ドラグーンをチューニング!
燃え盛る紅蓮の双眸、そして灼熱の牙よ、全てを焼き払い此処に降臨せよ!シンクロ召喚!烈火の化神『炎龍皇−アグニ』!」
「存分に暴れようぞ!」
炎龍皇−アグニ:ATK2900
「出たー!緋渡遊哉のエースモンスター『炎龍皇−アグニ』だー!猛る炎の龍皇は不動遊星のライフポイントをも焼き尽くすのか〜!?」
「シンクロ素材にしたモンスター2体の効果発動!ミッドナイト・ウィングを素材にしたレベル8以上の
ドラゴン族シンクロモンスターは、相手の罠では破壊されず、攻撃力が600ポイントアップする。」
炎龍皇−アグニ:ATK2900→3500
「更にハイパー・ドラグーンを素材にしたレベル8以上のドラゴン族シンクロモンスターは
戦闘では破壊されず攻撃力と守備力が500ポイントアップする!」
「漲ってきたわぁ!!」
炎龍皇−アグニ:ATK3500/DEF2100→ATK4000/DEF2600
2体のモンスター効果で一気にアグニを強化してきた。
此れは流石に攻撃型の遊哉と言える。
「アグニの効果は知ってるよな?この攻撃が通れば俺の勝ちだ!炎龍皇−アグニ、ジャンク・ウォリアーに攻撃!
『インペリアル・ストライク・バスター』!」
「燃え尽きよ!」
――ゴバァァァ!
「く…相変わらず激しい攻めだな緋渡。」
遊星:LP4000→2300
「俺は究極の『攻撃型』だ。此れくらい予想してただろ?そしてアグニの効果が発動!
破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与えるが…」
「その効果は通さない。罠カード『エフェクト・バリア』を発動。このターン俺に発生する効果ダメージを1度だけ0にしカードを1枚ドローする。」
大幅にライフを削られたものの、即死は防いだ遊星。
「更に罠発動『エネミー・キャンプション』!俺のモンスターが戦闘で破壊された時、
相手の墓地からレベル4以下のモンスター1体を俺のフィールド上に特殊召還できる。」
「何だと!?」
「俺はお前の墓地からレベル4のミッドナイト・ウィングを特殊召喚。」
ミッドナイト・ウィング:ATK1700
更には遊哉の墓地からモンスターを特殊召喚。
モンスターが途切れない。
「(ハイパー・ドラグーンじゃなくてミッドナイトを…手札にレベル4のチューナーが居るって事か…なら。)
カードを2枚伏せてターンエンド。」
「俺のターン。チューナーモンスター『スターダスト・ウォリアー』を召喚。」
「ヌァ!」
スターダスト・ウォリアー:ATK1500
「やっぱりチューナーを持ってたか…来い、遊星!」
「行くぞ緋渡。レベル4ミッド・ナイトウィングに、レベル4スターダスト・ウォリアーをチューニング。
集いし願いが、新たに輝く星となる。光指す道となれ!シンクロ召喚、飛翔せよ『スターダスト・ドラゴン』!」
「キョァァァァァ!」
スターダスト・ドラゴン:ATK2500
「緋渡遊哉の攻撃をかいくぐり、此処にスターダスト・ドラゴン登場〜!
炎の龍皇と星屑の龍、最後にこのフィールドに残っているのは果たしてどちらなのか〜!?」
「来たかスターダスト…しかもミッドナイトの効果で罠耐性を得て攻撃力が600アップか…」
「それだけじゃない。スターダスト・ウォリアーを素材にしたスターダスト・ドラゴンは戦闘で破壊されず攻撃力は700ポイントアップする。」
スターダスト・ドラゴン:ATK2500→3800
戦闘耐性と罠耐性を得たそれぞれのエースモンスター。
睨み合う2体の巨龍に観客も息を呑む。
「強化されたとは言ってもこのままじゃアグニには敵わない。だが、魔法カード『スター・ストライク・ブラスト』を発動!
このターン、スターダストの攻撃力は1000ポイントアップし、バトルフェイズ中に2回攻撃できる!」
スターダスト・ドラゴン:ATK3800→4800
「強化+連続攻撃…やるな遊星…」
「行くぞ緋渡!スターダスト・ドラゴンで炎龍皇−アグニに攻撃、『シューティング・ソニック』!」
――バシャァァァ!
「ぐ…此れくらい…!」
遊哉:LP4000→3200
「更に『スター・ストライク・ブラスト』の効果でスターダストはもう1度攻撃できる!追撃だスターダスト!響け『シューティング・ソニック』!」
――ゴバシャァァァ!
「ちぃぃ…耐えてくれアグニ…!」
「無論…今の我は戦闘では無敵だ!」
遊哉:LP3200→2400
一気にライフポイントが並ぶ。
流石に準決勝とも為ると数ターンでライフの大幅な変動が見られる。
「今のは効いたぜ遊星!半返しだけで悪いが…このダメージ返させて貰うぜ!伏せカードオープン『ダメージ・リフレクション』!
このターン俺が受けた戦闘ダメージの合計値の半分のダメージを与える。
俺が受けた戦闘ダメージは1600…800ポイントのダメージを受けてもらうぜ!」
「そうはさせない!手札の『ハネワタ』を墓地へ送って効果発動。このターン俺に対して発生する効果ダメージを1度だけ0にする。」
カウンターで効果ダメージを狙った遊哉に対しモンスター効果で此れに対処する遊星。
お互いの手の内は知っている両者だからこそ出来るハイレベルデュエル。
自然と観客も盛り上がってくる。
「読んでたか…」
「お前とは沢山デュエルしたからな。カードを1枚伏せてターンエンド。」
スターダスト・ドラゴン:ATK4800→3800
ほぼ同じライフに戦闘破壊できないエースモンスター。
つまりは魔法をはじめとした効果で如何に相手を倒すかの闘いと言う事になる。
「俺のターン!手札のストライク・ドラゴンを墓地へ送り、アグニの効果発動!
このターンアグニの攻撃力を墓地へ送ったドラゴンの攻撃力分アップさせる。
墓地へ送ったストライク・ドラゴンの攻撃力は2000!アグニの攻撃力は2000ポイントアップする!」
「喰らい尽くそうぞ!」
炎龍皇−アグニ:ATK4000→6000
「バトルだ!炎龍皇−アグニでスターダスト・ドラゴンを攻撃!『インペリアル・ストライク・バスター』!」
「滅せい!!」
――ゴバァァァァ!
強烈な炎が遊星のライフを削り取る。
遊星:LP2300→100
「…だが、この瞬間罠発動『クロス・カウンター』!このターン俺が受けた戦闘ダメージの倍のダメージを相手に与える!」
強大なダメージを逆手に取った正に『カウンター』。
この効果で発生するダメージは4400。
決まれば勝ちだが…
「うぉぉ!速攻魔法『龍の秘薬』!墓地のドラゴン1体をゲームから除外しその攻撃力分ライフを回復する!
俺は墓地の『ツインブラスト・ドラゴン』を除外しライフを2400ポイント回復する!」
遊哉:LP2400→4800→400
魔法効果で何とかライフをつないだ。
「危なかったぜ…そしてこの瞬間に罠発動『痛みの代価』。
互いのプレイヤーはこのターン受けたダメージ500ポイントにつき1枚デッキからカードをドロー出来る。
尤も、ドロー出来る最大数は4枚までだが…俺達は互いに4枚ドローする事になるわけだな。」
「ドロー強化か…。」
「カードを1枚伏せてターンを終了だ。」
互いのライフは残り僅か。
佳境に入ってきたデュエルに益々歓声は高まりMCの実況にも熱が篭る。
「俺のターン。(どうする?俺の手札には魔法カード『戦いの同調〜バトル・シンクロ』がある。
このカードを発動すればスターダストの攻撃力はアグニの攻撃力分アップし緋渡を倒せるが、問題はあの伏せカードだ。
もしアレが『解龍の儀』のようなカードなら俺は負ける…如何するか…?)」
「遊星何考えてるんだろう?」
観客席で毎度おなじみ3人娘と霧恵&アキ。
次の手を打たない遊星に不思議なようだ。
「迷ってるのよ。」
「「「?」」」
良く分からないらしい。
「遊哉も遊星もライフは残り僅か。恐らく遊星の手札にはスターダストを強化するカードがあるわ。」
「でもあの1枚の伏せカードが何なのか…其れが気になって攻めあぐねてる。これは心理戦ね…」
「(此れに賭けるか…)魔法カード『チューニング・ドロー』を発動。墓地のチューナ1体を除外しデッキから新たにカードを2枚ドローする。
!(此れなら…!)カードを3枚伏せてターンエンド。」
「おぉ〜っと、不動遊星は攻撃せずにターンを終了したー!伏せカードで迎え撃つつもりなのか〜?
さぁ、此れに如何出る緋渡遊哉〜!!」
「俺のターン!流石だな遊星俺の伏せカードはお前の読み通りだ。これがラストターン!アグニでスターダストを攻撃!」
終幕を宣言し攻撃を仕掛ける。
「来たか…速攻魔法『戦いの同調〜バトル・シンクロ』!戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分スターダストの攻撃力をアップさせる!」
スターダスト・ドラゴン:ATK3800→7800
「させるか!伏せカード発動、速攻魔法『解龍の儀』!俺のドラゴン1体の攻撃力を倍にする!」
炎龍皇−アグニ:ATK4000→8000
「まだだ!罠発動『スターダスト・オーバー・ドライヴ』!エンドフェイズまでスターダストの攻撃力を3倍にする!」
スターダスト・ドラゴン:ATK7800→23400
一気に攻撃力が増加していく。
でも未だ止まらない。
「まだまだぁ!手札より速攻魔法『バトル・シンクロ』発動!」
「そのカードも持っていたか…!」
「当然だ。この効果でアグニの攻撃力はスターダストの攻撃力分アップする!」
炎龍皇−アグニ:ATK8000→31400
「だが俺のカードは未だ有る!速攻魔法『ハーフ・シャット』!フィールドのモンスター1体の攻撃力を半分にする。」
「!!!」
炎龍皇−アグニ:ATK31400→15700
最後の1枚は自分のモンスターの強化ではなく相手モンスターの弱体化。
3枚全てに意味があった。
「俺の勝ちだ緋渡。」
「…そいつは如何かな?」
「なに!?」
「流石だぜ遊星。まさか此処までの戦術仕込んでるとはな。だが…これでお前は全てのカードを使った事になる…
勝つのは俺だ!手札の『龍皇近衛騎士』を墓地に送って効果発動!
このターン『龍皇』の攻撃力は戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする!」
「これが我らの力よ!」
炎龍皇−アグニ:ATK15700→39100
遊星の場に伏せカードはもう無い。
激闘…決着
「喰らえ『インペリアル・ストライク・バスター』!」
「終いだ!」
――ゴォォォォォォ!
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
遊星:LP100→0
「け、決着〜!!この激しい攻防を制し、決勝戦へと駒を進めたのは『龍皇』を従えた緋渡遊哉だ〜〜〜!!」
「「「「「「「わぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」」」
激闘の決着に観客から惜しげもない歓声が送られる。
「く…まさかあの3枚が破られるとは…流石だ緋渡。」
「正直、弱体化させてくるとは思わなかった。お前とのデュエルはやっぱり最高だぜ遊星!」
がっちりと握手を交わす。
「決勝戦、頑張れよ。」
「あぁ…必ず勝つ!」
この時、既に次のデュエルに出るためアギトとアキは準備を完了していた。
続く第2試合…『幻影の使い手』vs『黒薔薇の魔女』は大きな嵐を予感させた…

To Be Continued… 