Side:雪奈


お泊り会って事で、帰りのコンビニで色々と買い出し中な訳なんだが、取り敢えず飲み物とスナック菓子は鉄板だよな?――晩飯は別として、夜更
かしするなら、此れは欠かせないからな。

「メユ、遠慮しないで買えよ?」

「んと、其れじゃあ、これとこれ。」



んで、メユが籠に入れたのは、桃味の乳酸飲料とチーズ味のポテチか……可愛いなぁ本気で!!思わずお持ち帰りしたくなっちまう位だ、マジで。
――まぁ、其れは其れとして、時々コンビニってのは何処をターゲットにしてんだか分からねぇモンを発売するよな?

「カンブリア紀生物グミって、誰が買うんだこんなもん?」

「コアなファンが居るとしか言えません……と言うかマユお姉ちゃんが買ってるよ、雪女のお姉ちゃん。」



はぁ!?何してやがんだあのズベ公が!!
個人的な趣向に口を挟む心算はねぇが、モチっと考えて買えや!!明らかに色々拙いだろ、このグミキャンディーは!!



「……化石でしか知り得ない生物をグミで再現したその探求心に無限の可能性を……」

「微塵も感じねぇよ馬鹿野郎。」

「其れは残念です。」



と言うか、感じられる奴がレアだからな?――先ずは其れを認識するんだな。









ヤンキー少女とポンコツ少女とロリッ娘とEpisode6
『取り敢えずお泊り会って事で♪』










ってな訳で、帰り道がてら色々と買った訳なんだが、不覚にも今晩のメニューを如何するか考えてなかったぜ――マユとメユ、特に喰いたいモンと
かあるか?
あんまり難しいのは無理だが、アタシの範囲で出来る事なら応えるぞ?



「では、ハヤシライスで。」

「あ、私もハヤシライス食べたーい!!」

「OK、ハヤシライスだな。」

こう言っちゃなんだが、ハヤシライスはアタシの得意メニューだ……ほっぺたが落ちる位の一品を喰らわせてやるから覚悟しな!!アタシのハヤシ
ライスは、天下無敵だからね!!



「何か手伝いますか雪女さん?」

「手伝わなくて良いから大人しくリビングでメユと一緒にアタシの部屋でゲームでもやってろ。
 出来たら持ってくからよ。」

「とは言いましても、何も手伝わないのは人として如何なものかと……」

「OK、その心構えは立派だが、お前に限っては手伝わない方が人の為になるって事を認識しような先ずは。
 食器を割る程度なら兎も角、お前に料理の手伝いなんぞさせた日にゃ、下手すりゃアタシの家が燃えて無くなるわ!調理実習で、何度お前は学
 校を燃やしかけたと思ってんだ!」

「両手の指では足りませんねぇ?」

「マユお姉ちゃん、其れ色々とヤバイと思う……」



ヤバい所じゃねーよ、ヤッベーんだよコイツの場合は。
しかも性質の悪い事に、被害を周囲に撒き散らして出来た物は、見た目は兎も角味は良いからな?……料理の出来栄えも残念な美味だぜ。



「お褒めに預かり光栄です。
 では、特に手出しをしないで雪女さんの料理する姿を観察する事にしましょう。」

「いや、だからアタシの部屋で待ってろって……」

「あ、でも私も雪女のお姉ちゃんが料理するところ見てみたい!!」



おうふ、そう来たかい。
まぁ、見てたいってんなら別に構わねぇが、大して面白い物でもねぇからな?

飯の方は朝タイマーセットして来たから良いとして、ハヤシソースを作らねーとな。
取り敢えず、フライパンを火にかけて、温まるまでの間に玉ねぎ2つをスライスして、フライパンが温まったらバターを2カケ入れて、溶けた所にスラ
イス玉ねぎを入れてよく炒める。
玉ねぎがしんなりした所で、缶詰のマッシュルームを……マッシュルーム好きだから2つ投入するか。
でもって、缶詰はもう火が通ってるから、此処で一緒に牛の細切れを投入して全体に火が通るように良く炒めて、全体に火が通ったら固形コンソメ
を溶かしたお湯を加え、デミグラスソース、ケチャップ、そしてアタシオリジナルの隠し味として中濃ソースと醤油、ヨーグルトを加えて煮込む。
圧力なべを使うと、煮込みも短時間で出来るから便利だよな。
煮込んでる間に、余ったコンソメスープに適当な大きさに切ったベーコンとジャガイモとトマトを加えて一煮立ちさせて、煮立った所に溶き卵を加え
て、これでスープも出来上がり。
そして、仕上げにペッパーミルで挽きたての黒コショウで味を調えてハヤシソースの完成だ。
あとはコイツを飯にかけて、上からサワークリームを加えりゃ雪女様特製ハヤシライスの完成だぜ!



「相変わらずの手際の良さですね雪女さん。」

「凄い包丁さばきだった……プロの料理人みたいだったよ!!」

「ま、やってる内に出来るようになっちまっただけだけどな。」

さてと、お前等が部屋で待ってるなら部屋に持ってく心算だったが、そうじゃないならリビングで喰うか。
マユ、机の引き出しからスプーン出してくれ。其れ位なら、流石にドジらねぇだろうからな。



「了解しました。」

「其れじゃあ私はお皿持って来るね?そこの戸棚に有るやつで良いんだよね?」

「あぁ、適当に見繕ってくれやメユ。」

んで、準備が出来たから……


「「「いただきます。」」」


さてと、味の方は如何だ?



「……おいしーーー!!
 スッゴク美味しいよ雪女のお姉ちゃん!!こんなに美味しいハヤシライスは初めて食べたかも!――其れこそ、パパが連れて行ってくれた洋食
 屋さんのハヤシライスよりも美味しいかもだよ!」

「えぇ、実に見事な味です。
 牛肉のコクのある旨味に、玉ねぎの甘さとマッシュルームの食感がアクセントとして加わり、コンソメ、デミグラス、ケチャップの基本の味と、隠し味
 である醤油、中濃ソース、ヨーグルトが良くマッチしています。
 そして、辛い物が苦手な私でも楽しめる程度のスパイシーさを黒コショウで演出して、サワークリームが全体の味を〆てて、素晴らしい味です。」

「そいつは頑張った甲斐があるぜ。
 其れとマユ、意外とお前食レポ巧いじゃねぇか?――将来は、そっち関係の仕事を探してみちゃどうだ?」

「そうですね、前向きに検討してみる事にします。」



まぁ、お前の食レポは何かとハプニングが起きそうだけどな。
取り敢えず遠慮しないで喰えよ?親父達の分も考えて可成り大目に作ってあるから、1人3杯喰っても余裕があるからよ。



「其れじゃあおかわり~~!!」

「雪女さん、私にもおかわりを下さい。」

「へっ、良い喰いっぷりじゃねぇか?其れでこそ作った甲斐があったってもんだぜ♪」

そう言えば、こうやって自分の家で賑やかな晩飯なんてのは随分と久しぶりな気がするな?
マユとのお泊り会の時は、大概外で済ませちまうことが多かったし、そうじゃない時は基本的に1人で飯食ってからな……久しく味わってなかった
団欒ってやつだな此れは。
此れが出来たのも、偏にメユとダチになれたからかもな……マッタク、人との出会いってもんは分からねぇもんだな。



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んで、飯食った後は一休みしてから全員で風呂入って(家の風呂は無駄に広いから3人くらい余裕で入れるぜ。)、其処からはアタシの部屋でパジ
ャマパーティの始まりだ!
コンビニで買って来たスナック菓子と飲み物開けて、ゲームで遊びまくりだぜ!

「オラオラ如何した!そんなんじゃアタシの永遠のチャレンジャーには勝てないぜ?」

「負けませんよ雪女さん、私の暗黒魔王は此処からが本番です。」

「私の伝説のヒーローだって負けないんだから!」

「ハッ!あめぇんだよ!喰らえ、真・翔龍拳!!」

『KO!!Wiener is EternalChallenger!』

『翔龍拳を破らぬ限り、お前に勝ち目はない。』


対戦型乱闘ゲームではアタシが圧勝し、



「いっくよ~~?ライトニングドリフト走行!!」

「ちょ、待てやメユ!なんだその超絶コーナーリングは!?」

「トップスピードのままの華麗なるコーナーリング……雪女さんの、バイクテクニックの更に上を行きますね。」



対戦型レースゲームでは、メユがアタシをも上回る超絶技巧を披露してくれて、



「其れでは参ります……必殺、30連鎖です。」

「30連鎖って……メテオおじゃまが来たーーー!!」

「ふえーん、これじゃあ消せないよ~~!!」



パズルゲームでは以外にもマユが鬼神の如き連鎖を見せて圧勝。
他にもトランプゲームとか、双六とか、ビンゴゲームとかで大層盛り上がったんだが、だいぶ夜が更けてもメユは一向に寝る気配が無いから、一緒
にマユの勉強を見る事になった訳なんだが……



「マユお姉ちゃん、此処スペル間違ってるよ?」

「おや、その様ですね?」



いやはや、メユが確りとマユの間違いを指摘してくれるから楽だぜ。
流石に数学の方程式とかは無理だけど、英語のスペル間違い程度ならメユも分かるみたいだからな――それ以前に、小学生にスペル間違いを指
摘されるマユがヤバいけどな。



「可成りのレアででょうか?」

「希少種なのは間違いねぇが、全然マッタク持って貴重でもなんでもねぇからその辺を間違えんなよ?」

「はい、肝に銘じておきましょう。」



ったく、コイツは本気で分かってるのか疑わしいが、マユは此れで良いんだと思ってる辺り、アタシも大概だぜ。――取り敢えず、赤点にならねぇよ
うに頑張らねぇとだな。



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んで、日付けが変わる頃になって漸く3人でベットにだ。
アタシを中心に、メユが窓際でマユが床側だ――此れなら少なくともメユが蹴り落とされる事だけはねぇからな。



「成程、私が床に落ちるだけだと言う事ですね?」

「有体に言えばな。」

まぁ、ベッドから落下した位じゃ大した怪我はしねぇって――そもそも、お前に蹴り落とされるから、ベッドの下にはクッション敷いてあるからな。
そんでメユ、人生初のお泊り会は如何だった?



「スッゴク楽しかった!
 また、やりたいくらいだよ!――私の家とか、マユお姉ちゃんの家でもね。」

「そうかい、そいつは良かった。」

にしても、マユやメユの家でのお泊り会ってのは良いかもな――ま、機会があればやってみるとすっか。
何にしても、初めてのお泊り会がメユに楽しんでもらえてよかったぜ。












 To Be Continued… 



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