No Side


――ブオォォォォォォン……


サーキットを疾走する2台のDホイール。
1年前に完成したライディングデュエル専用のサーキットでは、現在ライディングデュエルのタイトルマッチが行われている真っ最中だ。

「俺はチューナーモンスター『ハイパー・シンクロン』を召喚!!」
ハイパー・シンクロン:ATK1600


赤いDホイールを駆るのは不動遊星――このミッドチルダでデュエリストの頂点に立つ、押しも押されぬデュエルチャンピオンだ。
そんな遊星に挑むのは、最近ミッドチルダのデュエリストの間で噂になっている強豪デュエリストである男性。

今やデュエルはミッドチルダで最大の娯楽の1つになっており、実際にデュエルを行う者、観戦する者の両方が非常に多くなってきている。
現実に、このサーキットも近々観客席を増設する計画が上がっているのだ。


「レベル4となったジャンク・ウォリアーに、レベル4のハイパー・シンクロンをチューニング。
 集いし願いが、新たに輝く星となる。光射す道となれ!シンクロ召喚、飛翔せよ『スターダスト・ドラゴン』!!!」

『クァァァァァァァァァァァァァ…!』
スターダスト・ドラゴン:ATK2500→3300



そして、遊星が自身のエースを強化状態で呼び出し、会場の熱は一気に盛り上がる!!


「行くぞ!スターダスト・ドラゴンで、X-セイバー ソウザに攻撃!響け、『シューティングソニック』!!!」

『クァァァァ……カァァァァァァァァァ!!!!』


――キィィィィン……ギュゴォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!


「おわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
LP600→0


怒涛の攻撃で一気に決着が付き、会場は割れんばかりの歓声に包まれる――遊星の勝利と、挑戦者の健闘を讃えて。

其の歓声の中で、遊星はこの会場に居る己の妻と娘に向かって拳を突き出し、シンプルな『勝利のポーズ』を送っていた。


ミッドチルダ全体を巻き込んだ大事件から早2年が経ち、世界は目まぐるしく変化を続け――そして、新たな物語が今、幕を上げようとしていた……











遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 序章1
『始まりの光、鮮烈の序章』











Side:レーシャ


私達とミッドチルダを巻き込んだあの大事件から、あっという間に2年が経って、私とヴィヴィも今や『St.ヒルデ魔法学院』の初等科2年生。
勿論色んな事が有ったけど――

「おはよう!ヴィヴィ、リオ、コロナ!!」

「あ、おはよーレーシャ!!」

「ごきげんようレーシャ♪」

「おっはよー♪」


ヴィヴィの他にも、リオとコロナって言う仲の良い友達が出来て、其れなりに充実した日々を送ってたりします。
因みにリオとコロナは1年生の時に、偶然同じ班になった事から色々話すようになって――お父さん流に言うなら『絆が出来た』ってところかな?


「今日って半日授業だけど、放課後如何する?」

「T&Hとジムに寄ってくって事で。
 今日はお母さんも病院で検査の日だから、昼に出かけて帰ってくるのは夕方だしね。」

今日は土曜日で半日だから、放課後はたっぷりと時間がある。其れをどう使うかを相談するのも楽しみの一つ。
何時もなら真っ直ぐ家に帰るけど、今日はお母さんと入れ違いになるだけだから、どうせなら寄り道して帰りましょうってね♪

其れに寄ってくのは知ってる人が居る場所だけに限定してるから大丈夫だし♪


「検査か〜〜〜……不動司令大丈夫なのかな?」

「お医者さんの話では順調で、予定通りなら9月くらいには生まれるだろうって。」

「そうなればレーシャも双子ちゃんのお姉ちゃんだね?……大変だよ?」

「……其処は最強決闘者と夜天の主の娘として乗り切らないとならない事だと思うのです……」

確かに弟と妹が増える訳だから大変だけど、それ以上に家族が増えるのは嬉しい事だもん――大変な事もきっと大丈夫だよ♪



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あっと言う間に放課後になって、向かった先はミッドでも有名な『ホビーショップT&H』。
私の後見人のアリシアさんも働いてるお店で、ミッドのデュエリスト御用達の大型ホビーショップ。デュエル施設も有って連日お客さんが一杯♪


「あら、いらっしゃ〜〜い!よく来たね〜〜♪
 今日は新しいパックの発売日だから、レーシャちゃんとコロナちゃんのお目当ては其れかな?」

「「はい!」」


この人は高町美由希さん。ヴィヴィのお母さんである高町なのはさんのお姉さん。
本人が言うにはそろそろ三十路って事だけど、如何見ても10代後半から20代前半にしか見えないんだけどなぁ……

それはさて置き、この店に用があるのは主に私とコロナ。
私はお父さんからデュエルを習ってるんだけど、コロナもデュエルには物凄く興味があるみたい。

ゴーレム生成が得意なコロナにしてみたら、モンスターを召喚して戦うデュエルモンスターズは興味をそそられる物なのかも。
まだデッキが出来てないって事だからデュエルをした事は無いけど、デッキが出来たら是非デュエルをしてみたいなぁ♪

で、反対にヴィヴィとリオは自分でデュエルをする気はあんまりないみたいで、観客って感じになってるんだよね。
リオの方は『見る方が好き』って事だけど、ヴィヴィは絶対に『アレ』が原因だよねぇ……お父さんの使う『ジャンク・バーサーカー(なまはげ)』が。

私は結構好きなんだけど、あの見た目と、ゆりかご内で追い回された事がすっかりヴィヴィのトラウマになってるみたい…何をしてるんだか。


兎に角、新発売のパックを1つ購入。
小学生のお小遣いじゃ、そんなに沢山買えないけど、だからこそ全神経を集中して選んだパックにお宝が入ってたりするから楽しみだよね♪


おぉ、ジャンクロンが出た!此れは当たり!コロナは如何?


「私はトリッキーと、シークレットで『ミラーフォース』が当たったよ♪」

「ミラフォ良いな〜〜〜!!」


今日はコロナに運が向いたみたいね。
だけどコロナ、ミラフォは強力な分使いこなすのが難しいカードだからね?


「あらあら、今日はコロナちゃんのラッキーデーだったみたいね?」


この人はプレシア・テスタロッサさん。この店の店長さん。
アリシアさんとフェイトさんのお母さんで、私が生まれるきっかけになった人――この人が居なかったら私が生まれる事は無かったんだよね。

私はプレシアさんのクローンだけど、私もプレシアさんもそんな事は気にしてない。

って言うか、プレシアさんはもう50歳過ぎてるのに見た目が20代後半から30代前半て本気で如何言う事!?
下手したら、アリシアさんとフェイトさんのお姉さんでも通じるんだけど――若しかして、不老の魔法でもあるのかなぁ?……考えると不思議。


「貴女達のような、未来のある子がデュエルに興味を持ってくれるのは嬉しい事よ。
 公式大会出場の為の『認定デュエリスト』の登録は何時でも受け付けてるから、自分の腕に自信が持てたら何時でも来てね?」

「はい、その時は宜しくお願いします♪」

その為には、先ずは『自分だけのデッキ』を造り上げないと……そろそろお父さんのライフを半分は削れるようにならないと自信なくしちゃうよ。
うん、今日は家に帰ったら早速構築中の『ジャンクフォトン』にジャンクロンを組み込んでみよう!



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続いてはジム。

実は私達は格闘技を習ってるんだ〜〜。魔法だけじゃなく、格闘技も出来た方が色々と便利って言う事でね。
私とヴィヴィの場合は『護身』の術を身に付けるって意味合いもある事なんだけど。

で、私達の師匠って言うのが……


「我こそ、拳を極めし者也……!」

「手加減してやれよ旦那……いや、してんのか――瞬獄殺喰らっても相手は生きてる訳だしな……」


只今スパーリング用のリングで、対戦相手を絶賛フルボッコした氷薙稼津斗さんと、セコンドのノーヴェ・ナカジマ。
ノーヴェはナカジマさんの家の五女さんで、ストライクアーツの有段者――敬称はなくて良いって事だから私達は呼び捨てにさせて貰ってる。

で、稼津斗さんは、お父さんが使うカードの精霊で、最近は実体化したまま過ごしてる。
曰く『全ての次元世界を合わせても間違いなく最強』って事らしく、本体で有るカードもチート過ぎてお母さんが『永久禁止指定』を喰らわせた。

まぁ、なのはさん以上の砲撃能力と防御力、フェイトさん以上のスピードと格闘能力って言う時点で間違いなくチートなんだけどさ……


主にノーヴェからはストライクアーツの基本技術とトレーニング方針を、稼津斗さんからは空手と魔法の運用方法を教わってる。
厳密に言うなら、稼津斗さんが使うのは魔法じゃないらしいだけど、魔法で代用が出来るモノだから問題ないとかなんとか……

だけど、2人とも教え方が巧いから自分の力が少しずつでも伸びてる事は実感できる。


「レーシャなら、何れは瞬獄殺を極める事も出来る気がするんだが……」

「子供に殺人拳教えようとしないでくれよ!?」

「冗談だ――そもそも教えて出来るモノじゃないからな。」


教えて貰って出来るモノだとしても、全力で拒否しますよ其れは!純粋な空手のみでお願いします!!



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ジムで一汗流したあとは、ヴィヴィ達と別れて家に帰るだけ。


「お?なんやレーシャやないの!偶然やなぁ……ジムの方は終わったん?」

「うん。其れにそろそろお母さんも病院終わる頃だと思ったから。」

その途中で病院帰りのお母さんとばったり。
時間的に、病院が終わる頃だとは思ったけど、まさか帰り道で一緒になるとは思わなかったなぁ?あ、荷物少し持つよ?


「そうか?せやったらお願いしようかなぁ?
 普通やったらなんて事ないんやけど、やっぱりお腹の中に2人も入れてると結構しんどいわぁ〜〜……それも、この子達の元気の証やけどね♪」


お母さんのお腹はもう大分大きい。其れこそ予定日より早く生まれてもおかしくないくらいに。
無理はしないけど、出来る事は可能な限りするって言うのがお母さんの考え方だから、私とお父さんも出来る限り手伝わないとね。


「はやて、レーシャ。」

「遊星!」

「お父さん!!」

更に帰り道で、お仕事が終わったお父さんとも鉢合わせ。
お父さんは絶対に残業をしないけど、其れにしたってまだ5時にはなってないよ?……少し早くない?


「マリーとシャーリーに『今日は、もうやる事ないので身重の奥さんを手伝ってあげてください』って言われてな。
 俺としても仕事が全部終わったなら直ぐに帰りたいと思ってたから丁度良かったよ。――荷物を持つよ。」


マリーさんとシャーリーさんナイスです!
普通だったら、終業時間まで帰る事なんて出来ないんだろうけど、その日の仕事をその日の内に片付けるお父さんだからこそ出来た事だよね♪


「そう言えば、病院の結果は如何だったんだ?」

「2人とも異常なしの健康体、すこぶる順調やて♪
 私の身体の方も異常は何もなかったし、此れやったら特に事故にでも遭わない限りは、予定日通りか少し早目に無事生まれるやろうって♪」

「良かった〜〜〜♪」

「あぁ、そうだな。」


もうすぐ生まれるお父さんとお母さんの子供――私の妹と弟。
気持ちが焦っても仕方ないけど、其れでも早く会いたいって思うのはもっと仕方のない事だと思う。


「おぉ?」

「如何した?」

「如何したのお母さん?」

「なはは……今2人してお腹蹴ったわ。
 なんやろ、2人も早くお父さんとお姉ちゃんに会いたいんかなぁ?気持ちは分かるけど、焦って出てきたらアカンよ?」

「そうだな……ゆっくり待っているから、元気に生まれて来てくれ――ちゃんと名前を考えているからな。」


私も待ってるよ♪
2人が生まれて、そして5人になった家族で過ごす日々は、きっと色鮮やかなモノになるって私は信じてるからね♪













 To Be Continued…