Side:はやて


番長との試合から数日が経ったんやけど、如何にもレーシャは、あの敗北を引き摺ってるように感じるなぁ?
あの試合以降、早朝ランニングに出かける時間が早くなってるし、稼津斗さんから聞いた話やと、放課後のトレーニングの量も倍増しとるって言
う事やからなぁ……ちょっと、心配やで。

「ドナイしたモンやろな、遊星?」

「……如何にも出来ないだろうな、俺達には。
 突き放すようだが、此れはレーシャが自分自身の力で乗り越えなければならない壁だから、俺達に出来る事は、黙って見守る事だけだろう?
 それに、此れを乗り越えられなければ、レーシャの成長はそこで止まる……武道家としても、デュエリストとしてもな。」



だからこそ、今は黙して見守れ言う事か……まぁ、確かに遊星のいう通りやからね。
やけど、レーシャやったら、絶対に敗北のショックから立ち直ってくれる筈や!!――私の娘が、一度の敗北で折れてまう筈がないからなぁ!!

必ず近い内に、立ち直って、本来の姿を見せてくれる筈や!!遊星もそう思うやろ?



「あぁ、そうだな。
 今はショックを受けてるだろうが、レーシャは必ず這い上がるさ……何て言っても、俺とはやての娘なんだからな。」

「そやな♪」

今は信じて待つだけやな、レーシャが敗北の奈落から復活するのをな♪











遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow92
『The Labyrinth』












Side:ノーヴェ


「ふむ、矢張りアインハルトちゃんは、U-15の大会に出場するんだね?」

「おかげさんでね……まぁ、どこぞの抜刀剣士様が盛大に焚きつけてくれたって事もあるんだけどな……えぇ、ミカヤちゃんよ?」

「焚きつけたとは人聞きの悪い……私は、只示しただけさ『チームナカジマの宣伝にもなって、己の実力を高める舞台がある』って言う事をね。」

「いや、其れだけで滅茶苦茶煽ってるから!!」

ったく、やってくれるよミカヤちゃんは――尤も、其れが確かにアインハルトのスキルアップに繋がると同時に、アタシのジムの宣伝にもなるから
頭ごなしに言う事は出来ないんだけどさ。
ま、道場運営を本格的に始めたら、ミカヤちゃんにもスタッフで入って貰う心算だけどな。



「構わないよ、親友の頼みだからね。
 其れに、天瞳流の師範代と、ナカジマ道場の経営て言う二足の草鞋も、悪くないと思っているから、喜んで関わらせて貰うよノーヴェちゃん。」

「そいつは有り難いよミカヤちゃん。」

「そう言って貰えれば光栄だね。
 時に、其れは其れとしてレーシャちゃんは如何だい?番長との試合に負けて、大層悔しがっていたみたいだけれど……」



あ~~~……其れはちょいと面倒な事になってるな。
レーシャ自身は、敗北を引き摺らないようにしてるんだろうが、明らかにロードワークの量は増えてるし、トレーニングだってオーバーワーク気味
なんだ……まるでトレーニングする事で負けた悔しさを紛らわすみたいにな。

余程悔しかったんだろうけど、此のままじゃレーシャの身体の方が根を上げそうな感じだよ。



「其れは、確かによくない傾向だね?
 このままだと、身体を壊してしまって、最悪の場合は格闘技その物を続けられなくなる可能性だってあるんじゃないのかな?」

「其れが否定できないんだけど、レーシャも両親譲りと言うか何と言うか、負けず嫌いで頑固なところが有るから、止めるのは難しいだろうし。
 そう言う意味では、アリシアさんが新型のライディングデュエルシミュレーター『ブレイブライディングデュエル』のテストプレイって名目でT&Hに
 呼び出してくれたのは良いタイミングだったと思う。
 アイツは格闘家であると同時にデュエリストだから、シミュレーターのテストとは言え、大好きなデュエルをすれば、或は敗北の悔しさから、本当
 の意味で立ち直れるかもしれないからね。」

「成程、デュエルならば確かにね。」

「それで、何とかなってくれると良いんだけどな……」

ただ、アリシアさんが只のテストプレイの目的だけで、レーシャを呼び出したとは思えないから、何か考えが有るんだろうけど、さてどうなるか…








――――――








Side:レーシャ


新型のライディングデュエルシミュレーター『ブレイブライディングデュエル』のテストをしたいって事で、アリシアさんに呼び出されてT&Hに来た訳
だけど、この新型は今まで以上に臨場感があるかも。
前のよりも、ずっとDホイールで疾走してる感が有るし、Dホイールと一緒に移動するモンスターの迫力も一層増してるし……此れは、お父さんが
相当気合い入れて作ったみたいだわ。

「バトル!銀河眼の閃光龍で、幻想の黒魔術師に攻撃!『滅びのシャイニングストリーム』!!!」


――ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
テストプレイ用NPC:LP300→0



んで、余裕の勝利!やっぱりデュエルは最高ね!!



「お疲れレーシャちゃん!新型のライディングデュエルシミュレーターは如何だった?」

「最高の一言ですよアリシアさん!
 臨場感、感じる風とかの体感、ライディングデュエル特有の迫力、全てが今まで以上にパワーアップしてる感じ!此れが実装されれば、ミッドで
 も、もっとライディングデュエルが盛んになると思う!」

「だよね~~~♪」

「なら、此れを近い内に……大会までには実装しておいた方が良さそうね。」



あ、プレシアさん。
どうも、お邪魔してま~す。



「ふふふ、貴女はT&Hのショップデュエリストなんだから、気軽に来てくれて構わないわ。
 だけど、今のデュエル、勝ちはしたけれど、何時もの様なキレがなかったように感じたわ……なにか、悩みでもあるのかしら?」

「!!!」

ぐ……流石に鋭い。って言うか、プレシアさんと私は同一人物って言えるから、ある意味で悩みとか、迷いとか、そう言うのは隠せないのかも…

うん、まぁ、悩みって言うかなんて言うか、番長に負けちゃったのがちょっとね。
試合自体に不満は無いんだ、私の持てる全力を出し切ったから。其れこそ、魔力切れを起こしちゃう位に全力の全力を出し切った訳だから。

でも、其れだけの事をしても番長には敵わなかった。――全力の全力を超えても、番長を超える事が出来なかった言うのが、如何してもね。
予選を楽々勝ち抜いて、1回戦で風の拳を得た上で勝ち抜いて、2回戦もミウラを制したって言うのに、それでも番長には届かなかった事を考え
ると、自分がやって来た事は何だったんだろうって思えて来て、トレーニングに撃ち込まずには居られないの。

ノーヴェにも言われたけど、オーバーワークなのは分かってる!分かってるけど、トレーニングをして鍛えないと、また負けるんじゃないかって言
う恐怖に駆られて、どうしようもないんだよぉ……



「成程ね……やっぱり貴女は『私』なのね……」

「へ?」

「私も、子供の頃から大きな力を持って居たわ。其れこそ、貴女の歳の頃にはリンディと一緒に管理局の嘱託もやっていたしね。
 だけど、実際に任務に出て壁にぶつかる事も多かったわ……そして、壁にぶつかったその時は、今の貴女みたいに我武者羅にトレーニングに
 打ち込んだり、吹っ切る為にリンディに模擬戦と言う名の喧嘩を売ったりもしたわね。」

「ホント、子供の頃は任務で何かあるたびに、プレシアに喧嘩売られて堪ったモノじゃなかったわよ。」



リンディさんも……だけど、私には其れは出来ないですよ。
ヴィヴィ達に喧嘩を売る気にはならないし、稼津斗師匠に喧嘩を売ろうものなら、情け容赦ないコンボから瞬獄殺で滅殺されそうですので。(汗)



「其れは確かに(汗)
 でも、それ以外にも思い切り弾けてみるのも良いモノよ?気分を思い切り解き放って、気分を弾けさせるだけで、随分と感じが違うモノなの。」

「弾ける……と言う事はつまり、弾けた結果が『雷光少女プレシアちゃん』であったと?」

「何で知ってるの!?子供の頃の黒歴史を!?」



あ~~……どうも、遺伝子だけじゃなくて、適当に記憶も受け継いでるみたいで、夢って言う形でプレシアさんの過去を見る事が有るんですよ。
銀河提督リンディちゃんも凄かったけど、雷光少女プレシアちゃんはマジで破壊力半端ないですわ……今度あの衣装でデュエルしようかな?



「其れだけは止めて!本気で止めて!黒歴史を掘り返さないで!!
 って、話が逸れたわね?……まぁ、何が言いたいのかと言うと、迷ったり躓いたりした時は、迷いの原因とは関係ない事をしてみるのも大事だ
 と言う事なのよ。」



其れは……分からないじゃないけど、でも私は……如何すれば良いのか分からないよ。
トレーニングをどれだけしても、今みたいにシミュレーターでデュエルをしても、番長戦での敗北の悔しさを断ち切る事が出来ない……!!このま
まじゃ駄目だって分ってるのに!!



「なら、俺とデュエルしようぜレーシャ?」

「へ?……って、番長!?如何して此処に!?」

「なに、新型のライディングデュエルシミュレーターのテストプレイをしてるって聞いたんで、来てみればお前が居たもんでな?そんで、なにやら
 悩んでるみたいだから、チョイとデュエルを挑ませて貰ったって所だ。」



マジで!?……てか、なんで番長がテストプレイの事を――アリシアさんが流したな!?
其れで番長が……だけど、番長はデュエルは見る専だった筈だよね?デッキは持ってるの?



「心配すんな、デッキは持ってるぜ?――ついさっき組み上げたばかりだけどな。
 だが、こうしてテメェのデッキを持った奴が、挑んで来たんだ、デュエルを受けないなんて言う選択肢は有り得ねぇだろレーシャ?」

「其れは当然だよ番長……売られたデュエルは買うのが、デュエリストの礼儀だからね!!」

だから、このデュエルは全力で受けるよ番長!!



「そう来なくちゃな!!……なら、始めるとしようぜ?」

「インターミドルでは負けたけど、デュエルでは負けないよ、番長!!」


「「デュエル!!」」


レーシャ:LP4000
ハリー:LP4000




先攻は貰うわ!私のターン!
手札から魔法カード『銀河の宝札』を発動!手札から『ギャラクシー』または『フォトン』と名の付くモンスターを墓地に捨てて、カードを2枚ドロー
する!

私は手札の『銀河眼の光子竜』を墓地に捨てて2枚ドロー!
そしてマジックカード『死者蘇生』!このカードの効果で、墓地の銀河眼の光子竜を復活させるわ!!


『ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』
銀河眼の光子竜:ATK3000




先攻ターンは攻撃できないから、カードを1枚セットしてターンエンド。



「なら行くぜ!俺のターン!」



期せずしてやる事になった番長とのデュエルだけど、此れは絶対に負けられない!!
インターミドルで負けた上に、更にデュエルでも負けたなんて言う事になったら、其れこそ二度と立ち上がる事が出来なくなりそうだからね。

だから、このデュエルは負けられない!!


格闘では負けたけど、デュエルだったら私に分がある……だから、このデュエルは勝たせて貰うよ番長!!インターミドルの雪辱も含めてね!













 To Be Continued… 








*登場カード補足




銀河の宝札
通常魔法
手札から「ギャラクシー」または「フォトン」と名の付くモンスター1体を墓地に捨てて発動する。
デッキからカードを2枚ドローする。