Side:レーシャ


ミウラの相手はミカヤさん……此れはまた1回戦からキッツイ相手との対戦になったもんだねミウラも?
ルーキーvsベテランの対決は、会場が湧くかもだけど、其れでも観客の9割はミカヤさんの勝利を信じて疑わない――言うなればアウェイでの戦い。

其れだけでも相当にミウラにはやり辛い状態だと思うけど、其れでも観客の1割は『ルーキーが何かやらかしてくれるんじゃないか』と期待してると思う。
って言うか、1回戦で私達『チームナカジマ』が弩派手にやっちゃったから、ルーキーに期待する人は例年よりもずっと多いんじゃないかな多分。

と言う事で、そんなに緊張しないで行ってくるのが良いと思うよミウラ?


「かかかか、簡単に言わないで下さいよレーシャさん!
 エリートクラスの初戦って言うだけでもあれなのに、相手はインターミドル常連組のミカヤさんですよ!?緊張するなって言うのが無理ですって!!」

「うん知ってる。同じ立場だったら、私だって多分緊張すると思うし……だけど、緊張し過ぎはNGだよ?
 私も、強い相手とデュエルするときは緊張もするけど、それ以上に『楽しもう』って思って、緊張を蹴り飛ばしてるの。其れは格闘技でも同じ事でしょ?」


って言うか、エリートクラスとは言え、1回戦からミカヤさんみたいな有名選手と戦えるなんて物凄く光栄な事だと思わない?
普通に考えたら、私達みたいなルーキーが上位選手と戦う事なんて夢のまた夢でしょ?――だったらこの戦いを思いっきり楽しまないと損だよ絶対。


「楽しむ……確かに、僕みたいなルーキーが、ミカヤさんみたいな上位ファイターと戦う機会なんて滅多にない事ですよね?
 だったら、この機会を思い切り楽しんで、自分の全力を出さなかったら損だし、何よりも僕と戦ってくれるミカヤさんに失礼ですね……なら、僕は!!」


緊張は解れたみたいだね?……んじゃ、私は此れでお暇するわね?

「それと、私はどっちかって言うとミウラを応援する側だからね?
 本戦に上がって私と戦うんでしょ?……だったら、可成り厳しいかもしれないけど、ミカヤさんを倒して1回戦を突破して見せて――期待してるよ。」












遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow33
『超絶バトル!新人vsベテラン』











Side:ミウラ


「どうだ、まだ緊張しているか?」


全然大丈夫です師匠!
さっきのレーシャさんの言葉に押された訳じゃないけど、リングに上がった瞬間に緊張なんて吹き飛んじゃいました――凄く、落ち着いてるんです僕。


「なら良いが、相手はインターミドル屈指のトップファイターだ。
 こう言っちゃなんだが、実力差は言うまでも無く月と鼈……10回やったら9回はオメーが負けるだろうよ。
 だが、10回中の1回をこの試合でもぎ取る心算で行け!総合力では兎も角、一撃の重さではオメーの方が絶対上だ!アタシが保証してやるぜ!」


はい!思い切りいきますヴィータさん!
大体にして、ミカヤさんの方が僕よりも強い何て言うのは分かり切ってる事ですから、僕は僕なりに思い切りぶつかって、その上で勝ってみせます!!
僕を此処まで鍛えてくれた師匠たちの為にも、そして本戦で僕と戦う事を望んでるレーシャさんの期待に応える為にも!!


「お前とレーシャが戦うには予選突破が必須なんだが……その心意気は大切だ。
 もう、私達から言う事は何もない……お前の思うように、思い切りぶつかって来い。」

「はい!行ってきます!!!」



『さ~~~て、今度もまた注目の一戦だ~~~!ミカヤ・シェベルvsミウラ・リナルディの一戦は、此れまで以上に注目かも知れないぞ~~!?
 片や格闘家にしてルーキー、片や剣術家にしてベテランと言う、まさに対極に居る2人の戦いはマッタク持って予想が付かない~~~~!!!
 更に、チームナカジマの例を考えると、今年の新人は決して軽く見る事が出来ない!何かやらかしてくれるんじゃないかと期待しちゃうぜ~~~!!
 兎に角、この一戦はエリートクラス1回戦でも特に注目の一戦であるのは間違いない!!もう待ちきれないぞ!バトル、スタ~トォォォォォォォォォ!』


『……では、試合開始!!』



ミウラ:LP12000
ミカヤ:LP12000



って、ミカヤさんと試合前の挨拶もそこそこに、行き成り試合開始!?幾らなんでも唐突過ぎますよ~~~!!


「確かに唐突だな……唐突過ぎて、虚を突く事も出来なかった。
 だがまぁ、試合は始まったんだ――お互いの本気を出しきって、悔いのない戦いをしようじゃないかルーキー君?」

「はい……宜しくお願いします!」

とは言え、僕の打撃とミカヤさんの斬撃じゃ、ミカヤさんの方がリーチでは絶対的には有利なのは間違いない。
なら僕は、剣を振う事が出来ないくらいの『より近い間合い』で試合を組み立てなきゃだけど、多分それはさせて貰えない――だったら!!

「破ぁ!!!」

「む……速いな!!」


――ガキィィィン!!!


先ずは、ミカヤさんのライフを少しでも削る!!
徹底的に鍛えた、僕の豪打は何時の間にか鉄パイプですら折り曲げるまでの破壊力を有するに至った……なら其れで、防御を超えた一撃を――


「速く重い一撃だが、攻撃軌道が素直すぎる……其れでは、トップ選手には通じないよ?」


え?


――ズバァァァァァァァァ!!!


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ミウラ:LP12000→8000


み、見切られた……其れになんて鋭い斬撃何だろう……一気にライフを持って行かれるなんて――此れが、インターミドル上位者の実力!!
でも、だけどアインスさんは『勝負に絶対はない』って言ってたから、勝機はある。


「ほう?今の一撃でKOする心算だったのだけれど、見かけによらず頑丈だな君は?……如何やら、私は中々に運が良いらしい。
 ナカジマちゃんの所と言い、君と言い、今年の新人は如何やら粒揃いらしい、そんな新人と1回戦から当たれるとは実に幸運だと思うよ。
 さぁ、まだまだこんな物じゃないだろう?大幅にライフを失ったとは言え、クラッシュエミュレートも発生してないんだ……存分にやろうか?」

「はい!!」

マダマダ試合は始まったばかりだし、僕もまだまだやれる……マダマダ勝負はこれからですよミカヤさん!








――――――








No Side


先手を取ったのはミカヤだが、大ダメージを受けたミウラの瞳から闘志は消えてはいない。
体勢を立て直したミウラは、再び間合いを詰めて鋭いミドルキック――


――クンッ



「!?」

と思った瞬間に身を屈め、回し蹴りのモーションは其のままに足を刈り取るかの様に、蹴りを放つ。
だが、其処は流石にインターミドル上位常連のベテランのミカヤだけに、咄嗟に鞘を地面に突きたてる事で蹴り足をガード。見事だろう。


「やれやれ、何て運動能力だ……美由希先生に師事して居なかったら、今ので完全に足を刈り取られていたところだ。
 だが、君の狙いはもう分かった、次は無い!」

「其れは如何でしょうか?」

「……なに?」

「ハァァァァァァァァァァァァァァ!!」


――バキィィィィィィィィィィ!!!


しかし、ミウラの豪打は鞘で止められるモノではなかったようだ。
蹴り足を半ば強引に振り抜き、力任せに鞘をブチ砕き、其のままミカヤの足首に水面蹴りが一閃!!

「馬鹿な……何て馬鹿力だ……く……!」
ミカヤ:LP12000→10000(クラッシュエミュレート:右足首打撲)


更に、クラッシュエミュレートまで発生させ、ミカヤの機動力を僅か乍ら奪う事に成功したようだ。
とは言え、此れでやられるミカヤではない。

「やってくれるじゃないか……此れだから、インターミドルは毎年面白い!」

鋭い蹴りのダメージに顔をゆがめるも、お返しとばかりに晴嵐を一閃し、それが合図だとばかりに、目にも留まらない超速連続斬撃をブチかます。
真面に喰らえば即KOだろうが、ミウラの師には現代に於いて最強と言っても過言ではない剣士が居るので、この攻撃を見切る事は出来る。


出来るが、完全にノーダメージで済ます事が出来るかと言われれば其れは絶対に否。
如何にシグナムに及ばないとは言っても、ミカヤの剣技は若干18歳にして既に一流の域に居ると美由希が太鼓判を押す程の腕前なのだ。
其れを完全に見切る事は不可能に近く、決して大きくはないが、しかし確実に小規模被弾を繰り返し、ミウラのライフは少しずつ確実に削られて行く。


「く……」
ミウラ:LP8000→(ちょくちょく削られ)6400


このままいけばジリ貧だろうが、だからと言って簡単にやられるミウラではない。

乱撃の最中に、何を思ったか再び身を屈める。
又しても足破壊かと、ミカヤは晴嵐でガードしようとするが……


「てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


――バキィィィィィィィィ!!!


「ぐは!!」
ミカヤ:LP10000→6000


何とミウラが放ったのは、水面蹴りでは無く、バク宙しながら蹴りを放つ、蹴撃の神技とも言える難易度SSの一発『サマーソルトキック』!
完全に虚を突いた一撃は、見事ミカヤを捕らえ、強烈な一発で吹き飛ばす。序に、大幅にライフを削る事も出来たようだ。


ともあれこれは好機だ。


吹き飛んだミカヤに向かって、今度はミウラが追撃の一発を繰り出す。


「そうはさせない!!」


――バキィィィィィ!!


「ぐは!?」
ミウラ:LP6400→300


事は出来なかった……正に完璧とも言うべきタイミングでミカヤがカウンターを一閃!
完全に虚を突かれたミウラは、点をずらす事も出来ずにそれを真面に喰らい、一気にライフが3桁にまで削られてしまった。


此れは流石にキツイだろう。
此れまでの戦いで、ミウラの全身には無数の切り傷が発生して居る上に、残りライフが3桁と言うのは余りにも分が悪いとしか言いようがない。


だが其れでも……


「ま、まだです!!」


その闘志は消えていない。
普通なら、ようやく手にした反撃の芽を潰され、更にKOギリギリのダメージ受けたとなれば、戦意が喪失すると言うモノだが、ミウラはそうでないらしい。
誰が如何見ても満身創痍な見てくれとは裏腹に、瞳の闘志は消えず、それどころか『此処から勝つ気』が満々なのだ。


そして、其れを示すかのように……



――ギュイィィィィィィィィィン



ミウラの足元……専用デバイス『スターセイバー』に凄まじいまでの魔力が集まり圧縮される。


知る人が見たならば、きっとこう言う事だろう――ブレイカーだと。

そう、ミウラが切り札として切ったのは、ミッドでその名を知らぬエース・オブ・エースの最終奥義とも言える集束砲を応用した一撃だったのだ。


此れにはミカヤも、否会場全体が静まり返り、その瞬間を待つ。


ミウラの覚悟が篭ったブレイカーは、決まればミカヤの残りライフを消し飛ばすのは言うまでも無いが、ミウラ自身がもう一発喰らえば即KOと言う状況。
故に、一瞬の判断ミスが勝敗を分けるのだ。


「……行きますよミカヤさん……!」

「来い……君の必殺の一撃を制して、私は先に進む!!」


そう言った瞬間に、ミウラが間合いを詰めて最強の蹴りを一閃!
そして、其れに合わせるようにミカヤも晴嵐を振うが……


――バリィィィィン!!


「馬鹿な!?」


蹴り足と晴嵐がぶつかった瞬間に、晴嵐の刀身は砕け散った。
ミウラの覚悟を込めたブレイカーが、晴嵐を超えたのだ!――つまり、ミウラの最大集束蹴撃はミカヤに炸裂する訳で―――


「抜剣・流星!!」


破壊力抜群の一撃が、ミカヤに炸裂!!


「ぐわぁぁぁぁぁぁあぁああ!!」
ミカヤ:LP6000→0


そして、ライフは0に!
だがしかし……


「そう簡単に!!」

「へ?うわぁぁぁぁぁぁ!?」
ミウラ:LP300→0


道連れだと言わんばかりに、ミカヤはミウラの頭を掴むと、ダウンの勢いのままにDDTを炸裂!此れにてミウラも見事にライフ0と相成った。


だが、そうなると結果はダブルKOとは行かないだろう、トーナメントなのだから。
如何にかして決着を付けねばならない――残る勝敗の決定方法は、10カウント以内に立ち上がれるか否か……其れに尽きるだろう。


「1……2……3……!!」


カウントの最中に先に動いたのはミカヤだった。
僅かに指を動かし、何とか立とうとするが、如何にも巧く行かないようだ。――思いのほかダメージが大きいのかもしれない。


だが、ミウラの方はピクリとも動かない。
このままだとミカヤの勝利となるが………


「ミウラー!こんな所で終わらないでよ!!私と本戦で戦うんでしょ?なら、こんな所で負けるなーーーー!!」


「!!!」


観客から飛んで来たレーシャの一言が琴線に触れたのか、糸が弾かれたかのようにミウラは飛び起き、ファイティングポーズを取って見せる。
まだまだやれると言う意思表示なのだろう。


「8……9……10!」


そして、10カウントが終了し――





立っていたのは、ミウラだった。
ミカヤも何とか立とうとしたが、右足のダメージが大きく、更に最後の一撃で相当にダメージを受けたらしく、片膝をつく事しか出来なったのだ。



『決着ーーーーーーー!!
 1ラウンド決着だが、何とも見応えのある壮絶なバトルを制したのはミウラ・リナルディ!!優勝候補のミカヤ・シェベルを下しての大金星だ
ーーー!』



「え?僕の……勝ち?」


其れはつまり、ミウラの勝利!
超大金星の勝利を、ミウラは掴み取ったのだった。








――――――








Side:レーシャ


ミウラ……まさかミカヤさんを下すとは思わなかったよ。
だけど、何でミカヤさんは立つ事が出来なかったんだろう?見た感じだと、其れほど深刻なダメージを負ってたとは思えないんだけど……


「其れは、彼女の戦闘スタイルが大きな理由だろうな。」

「稼津斗師匠!……其れって如何言う事ですか?」

「武器戦闘を得意とする者は、総じて下半身への攻撃に弱いが、それ以上にボディへの攻撃に耐性がなさすぎるんだ。
 恐らく、ミカヤ自身、アレだけ強烈な打撃を腹に喰らうなんて事は初めてだったんじゃないか?……だとしたら、大凡耐える事など出来ないさ。」


成程。

でも、其れを加味したとしてもミウラの強さは半端じゃないって事でしょ?


良いね……燃えて来たよ!





「レーシャさん、互いに本戦に駒を進めて、そして戦う事になったら加減はしませんよ?」

「上等じゃないミウラ……敢えて言うよ……私に勝てると思ってんの?」

「勝ちますよ、絶対に!」

「……やってみろ、絶対に負けないからね!!」

ミウラ・リナルディ……番長とならんで、目下私の最大のライバル……直接対決になったその時は、全力で相手になるわ!!そして絶対に勝つ!!!


初出場のインターミドルは、如何やらとっても楽しいモノになるかも知れないわね。













 To Be Continued… 








*登場カード補足