Side:レーシャ


ヴィヴィとミウラの戦いは、ギリギリではあったけどヴィヴィが制して、見事リベンジを果たした。
そして其れは同時に、ヴィヴィがなのはさんへの挑戦権を獲得した事にもなるんだけど…ぶっちゃけて言うわヴィヴィ、なのはさんに勝てると思ってる?



「分からない……でも、やる以上は負けたくない!!」

「まぁ、そう来るわよね当然。」

私だって、お母さんと戦えって言われたら、その先に何があるか分からなくとも、やる以上は負けたくない――勝ちたいって思うから。
だけど、こう言っちゃなんだけど、幾らヴィヴィがトレーニングを積んで強くなったとは言え、なのはさんとの実力差は火を見るより明らか、月と鼈だから!
真面にぶつかったら、冗談抜きで死ぬよヴィヴィ!?



「かも知れないけど、対策はちゃんとしてるから大丈夫だよ♪」

「サイですか……まぁ、全力で頑張ってきなヴィヴィ。私達は応援してるからね♪」

とは言っても、なのはさんへの歓声も物凄いから、今度はヴィヴィがアウェーでの空気の中で戦う事になる訳か………此れは少しだけキツイかもだね。

ヴィヴィとなのはさんの実力差は計り知れないけど、ヴィヴィがパーフェクト負けする事だけは考えられない――絶対に何らかの方法で一矢報いる筈!
少なくとも、私はそう信じてるからね。

絶対不利なのは分かってるけど――頑張ってねヴィヴィ!!



「はい、行ってきます!!」

「全力でお母様に挑んできてください、ヴィヴィオさん。」

「頑張ってきます、アインハルトさん!」



さて、試合開始ね!!












遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow105
『母娘対決手加減無用!!』











No Side


始まった母娘対決だが、戦いに関してはなのは方がヴィヴィオよりも一日の長がある故に、ヴィヴィオの攻撃はマッタク持ってなのはに大して有効なダ
メージを与えることが出来ないでいた。

真正面からはいざ知らず、側面や後頭部への攻撃にすら的確に対処してくるなのはを相手にして、ヴィヴィオも攻めあぐねていると言うのが正しい。


「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


――ガキィィィン!!!


今もまた、ヴィヴィオのアクセルスマッシュがなのはに対して炸裂したが、なのはは的確なプロテクションで其れを完全防御!序に、今もノーダメージ!
正に虎と子猫の戦いとも言うべきものだが、審判は試合を止める気配はなく、ヴィヴィオのセコンドからタオルが投げ入れられた様子もない……つまり
試合は続行なのである!!


「この程度なの?…遠慮しないで、本気を出していいんだよヴィヴィオ?――其れとも、此れが全開だったのかな……まさか、そんな事はないよね?」

「マダマダ、此れからだよママ!!」

「そう来なくっちゃ♪」


そしてヴィヴィオもまた、圧倒的な実力差のあるなのはに挑みながらも、その顔には苦しさではなく楽しさが浮かんでいた。
回数だけで言うのならば、なのはとヴィヴィオが全力で戦うのは、今回で2回目であるが、1回目の時はゆりかご内部でヴィヴィオが正気を失って暴走し
ていた時である上に、あの時は半ばクアットロに操られて戦って居たようなモノ。
つまり、ヴィヴィオが自分の意思でなのはと、全力の戦いをするのは此れが初めてなのだ。――だからこそ、ヴィヴィオは楽しいと感じているのだろう。

一方のなのはも、娘との戦いだからと言って手心を加える心算は毛頭ないらしく、防御に使っているプロテクションは、教導の時に使う様な物ではなく、
実戦の場で張られるような強度で展開されている。
戦闘スタイルの違いから、試合開始直後に懐に潜り込まれてしまったモノの、この鉄壁の防御でライフを1ポイントも削られていないのは見事だろう。


ジェットステップ!!

「おっと……此れは中々鋭いキックだね?
 でも、いい加減防御だけしてたんじゃヴィヴィオも退屈しちゃうだろうから、ソロソロ反撃しようかな?――スマッシャー!!!


――ドガァァァァァァァァン!!


だが、此処でなのはが動いた。
ヴィヴィオのジェットステップをプロテクションで防ぐと、間髪入れずにクロススマッシャーでのカウンターを叩き込んで、ヴィヴィオを文字通り吹き飛ばす!


ヴィヴィオ:LP30000→27000


ヴィヴィオも、咄嗟にセイクリッドディフェンダーを展開してダメージを軽減したが、それでも一気に3000ポイントものライフを削るなのはの砲撃は、ショー
トバスター系の物であっても相当な威力と言えるだろう。

更に……


アクセルシューター!!

「!!!」


吹き飛んだヴィヴィオに対して、合計36発ものアクセルシューターで追撃!
やり過ぎと言うなかれ。たとえ相手が娘であっても、全力で挑んで来たなら全力で応えるのがなのはクオリティであり、全力全壊の精神の真髄なのだ。
客席の一部から『容赦ねぇ。』『鬼だ。』等と言う声が聞こえなくもないが、そんなモノは全く持って関係ないのである。


「流石はママ、やるとなったらトコトンだね?はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


その証拠に、ヴィヴィオは自身に向かってきているアクセルシューターを、新技のフリッカーの超高速連射砲で的確に叩き落としていく。
それこそ、なのはが魔力弾の軌道を操作する間もなく……ずっとなのはと一緒に居て、その魔法を知り、そして徹底的に自分の持ち味を鍛えて来たヴィ
ヴィオであればこそ出来る芸当だろう。

だがしかし、シューターはあくまでも牽制に過ぎない。
なのはの本命は、其の後の直射砲!!そして、ヴィヴィオも其れを分かっているから、シューターを全て打ち落とした後で直ぐに魔力のチャージを開始。



「「ディバイィィィン……バスタァァァ!!」」



――ドガァァァァァァァァァァァァァァン!!!



放たれた桜色の砲撃と虹色の砲撃は、リング中央でかち合って大爆発!
ヴィヴィオの方がやや押し込まれたようにも見えたが、なのはの必殺の砲撃を押し負けながらも相殺できたと言うのは見事であると言えるだろう――現
在の管理局員の中でも、なのはのバスターに打ち勝つ砲撃を撃てるのはアインスだけなのだから。


「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ふふ、させないよ?」


其れは兎も角、爆炎が治まり切るのを待たずに、母娘の攻防は即再開!
共に視界が晴れる前にと考えて行動した結果、なのはのレイジングハートを使っての槍術と、ヴィヴィオの体術が真っ向からぶつかると言うクロスレン
ジでの戦いになっていた。

なのはは決してクロスレンジが得意ではないが、其れでもヴィヴィオを圧倒しているのだから、いやはや若干9歳から現場に出る事で培われてきた力と
言うモノは凄まじいとしか言いようがない。

しかし、ヴィヴィオの攻撃を槍術特有の円運動で防ぐなのはと、逆になのはのレイジングハート槍術の連撃を、士郎直伝の見切りで躱すヴィヴィオの攻
防は、まるで演武を見ているかのような洗練された物であり観客をいつの間にか引き込んでいた。

互いにライフに影響するダメージはない攻防だが……


「ていやぁ!!」

「!!!」


今度はヴィヴィオの方から動いた。
この攻防の中で、突如身を屈め、足を払う水面蹴りでなのはの体勢を崩しに来たのだ。
完全に意識していなかった足元への攻撃に虚を突かれ、辛うじて躱したと言っても、なのはに確実な『隙』が生まれた……いや、ヴィヴィオがこの隙を作
り出したのだ。

僅か一瞬、されど一瞬。
例え1秒であっても、戦いの場で確実に1秒間動きが止まると言うのは、其れはもう決定的な隙に他ならないのだから。

だからヴィヴィオもこの好機を逃さない!!ここぞとばかりに、攻撃に魔力を全振りしてのアクセルスマッシュを――


――バキン!!


仕掛けようとしたところでヴィヴィオの動きが止まった。
何が起きたのかなど言うまでもないだろう――なのはのバインドがアクセルスマッシュを放とうとしたヴィヴィオを拘束して、その動きを封じたのである。


「バインド……まさか!!」

「うん、足元を狙ってくるのは予想していたから。」

「そんな……!!」


何となのはは、ヴィヴィオが足元を狙ってくる事を予測し、足を払われた時の為にバインドを準備していたのだ。正に、恐るべき戦術眼と言えるだろう。
同時に此れはヴィヴィオにとっては大ピンチ!
なのはのバインドは堅く強い――其れこそ聖王化して居た時であっても、ブレイカーが放たれるまでに己に掛けられたバインドを全て外す事は出来なか
った事を考えると、今のヴィヴィオに此れを外す術はないと言えるだろう。


「さて、此れに耐えられるかなヴィヴィオ?ディバイィィィィン……バスタァァァァァァァァァァ!!!

『Divine Buster.』


そんなヴィヴィオに対して、なのはは一切の手加減をしないディバインバスターを放つ。


「クリス、お願い!!」

『(`・ω・´)ゞ』


それに対して、ヴィヴィオもセイクリッドディフェンダーを展開してダメージ軽減を試みる。
だがしかし、なのはのバスターは『動く大量破壊兵器』『生体88mm砲』『って言うかあれはマウスの擬人化でしょ?』と言われる程の破壊力がある。
如何にヴィヴィオが防御に魔力を全振りしても、其れを防ぐのはぶっちゃけ不可能だろう。と言うか、此れを喰らって無傷で居られるのはアインスと稼津
斗と言う超極悪チートバグ位だ。



――ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!


ヴィヴィオ:LP27000→500



其れを示すように、バスターの直撃を受けたヴィヴィオは、セイクリッドディフェンダーで軽減したにも拘らず、残りライフが500まで削られていた。
セイクリッドディフェンダーがなかったら、今の一撃で戦闘不能になっていたのは間違いないだろうが、不屈の心を受け継ぐヴィヴィオは、此処で終わり
はしない!!



――ギュル……!!



「!?……此れは、バインド!?」

「捕まえたよママ……」


何とバスターの直撃を喰らいながらも、ヴィヴィオはバインドを展開してなのはの動きを封じたのだ!!
ヴィヴィオのバインドはなのはから習っただけではなく、クロノからも手解きを受けているため、拘束能力に関してはなのはのバインドを上回る部分があ
り、それは同時になのはであっても簡単に解く事は出来ないのである。

正に肉を切らせて骨を断つ!骨を断たせて髄を砕く!
絶対に勝つと言うヴィヴィオの執念が、遂になのはを捉えたのだ。


「此れが私の全力全壊!!はぁぁぁぁぁぁぁ……アクセルスマッシュクアドラプル!!!


――ドガァ!ガゴォ!ガスゥ!バキィィィィィィィィィ!!!


炸裂したのは、必殺の一瞬四撃!!
左右のテンプルに、脳天、そして顎へと四撃全て的確に突き刺さった――突き刺さったが……


「お見事。」
なのは:LP30000→29999


「全力出して、やっと1ポイント……」


それも、なのはのライフを1ポイント削るにしか至らなかった。――だが、この1ポイントは大きな1ポイントだと言えるだろう。


「それじゃあ、頑張ったヴィヴィオにはそれ相応の対応をしないとだね……バインド!!」

「へ?ちょ、ママ!?」


だがしっかーし、娘が自分に1ポイントとは言えダメージを与えて、なのはが黙っているだろうか?……否、断じて否だ!!
ダメージを入れられた事が頭に来た訳ではない、寧ろそれは喜ばしい事だが、だからこそ其れに対して全力全壊で応えるのが高町なのはなのだ!!


「少しだけ、痛いの我慢してね?」

「それ、少しじゃなかった記憶があるんだけどなのはママ……」


拘束した上で、更に魔力を収集!
矢張りこれで決めるのだろう――史上最強にして最恐の集束砲撃で!!


「此れが私の全力全壊!!」

『Starlight Breaker.』

スターライトォ……ブレイカァァァーー!


――ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!


ヴィヴィオ:LP500→0

「⊂((。。⊂))」



そして結果は誰もが予想した通り、ヴィヴィオのライフを0(若しかしたらマイナス)にして、なのはの完全勝利!!
此の試合は、ヴィヴィオの成長を見せながらも、管理局のエース・オブ・エースがドレだけの力を持っているのかと言う事を、嫌と言う程知らしめる結果に
なった事は間違いないだろう。








――――――








Side:レーシャ


うん、頑張った。間違いなくヴィヴィは頑張ったと思うんだけど、この決着は流石にアレだわ。



「幾ら全力全壊言うても、其れはやり過ぎやでなのはちゃん……アカン、鬼がおる。」

「鬼じゃなくて、アレは悪魔だよお母さん。」

「いや、あれは魔王だ。『冥界の魔王』や『迅雷の魔王』もビックリな魔王だろう?――なのはなら、遊戯さんの神にだって勝てるかも知れないからな。」

「なのはと、『剣の刺さらないオッサン』が戦ったら凄い事になるかもな。
 と言うか、あの強さは、マクダウェルを上回ってるんじゃないか?……真祖の吸血鬼をも超える魔導師――ヤッパリあいつは普通に魔王だな。」



お父さんもお母さんも師匠も言いたい放題だからね。
って言うか、師匠が其処まで言うとか、なのはさんマジでハンパ無いです……流石は、闇の書とガチでやり合ったって言うだけあって凄すぎだわ。尤も
其れはお父さんとお母さんもだけれどね。

だけど、其れだけ凄い人を相手にヴィヴィオはよく頑張ったと思うよ?
たった1ポイントしか削れなかったかも知れないけど、其れはヴィヴィオが全力を出して削った1ポイントだから誇って良いと思う――私だって、お父さん
のライフを始めて削った時は、少ない数値でも嬉しかったから。

何よりも大事なのはこの戦いを次に生かす事だからね――まぁ、今回の戦いでヴィヴィが超強化されたのは間違いないとは思うけど。
兎に角、良い試合を見せて貰ったか、次は私の番ね?……デュエルインターミドルの準決勝で、思い切りブチかましてやろうじゃないの!!あの白紙の
カードも、いい加減完成させた方が良いだろうからね。

ヴィヴィの戦いを見たせいか、魂が昂るのを抑えられない――此れは、心の底から燃えて来た!きっと、そう言う事なのかも知れないわね。

今度の準決勝、楽しみになって来たわ。












 To Be Continued… 








*登場カード補足