プロローグ

 

 

 

此処はとある街。

平凡な街。

どこにでもある街。

そう。

この瞬間までは。

 

 

 

キュオンッ…

 

ギュガッ

 

ギャギャギャギャンッ

 

ガシャッ…

 

 

 

その街にある人通りの少ない並木道。

そこの空気が歪んだ次の瞬間、赤いバイクが唸りを上げて飛び出してきた。

勢いは衰えず、バイクは地面へと激突し、それに乗っていた青年は地面へと投げだされる。

1回、2回、3回…

地面にバウンドし、何度目かの接触でようやく制止する。

その服は所々破れ、額や各所からは血が流れているのが確認できる。

 

 

 

Side.???

 

「かっ…はっ…あ…」

 

何が起こったんだ…

此処は…どこだ…

俺はさっきまで『      』、いや、『    』とデュエルをしていて…

……『      』?

『    』?

誰の事だ?

それに『デュエル』とは一体…なんだ?

 

「ぐっ…」

 

視界が赤に染まる。

体中に激痛が走る。

何がいったいどうなっている…

俺は…死ぬのか…

自分が誰なのかも分からないまま…

 

『行けええええええ!! 遊星えええええええ!!』

 

そうだ…

 

「遊星…俺は……不動…ゆう……せ…」

 

俺の意識はそこで途絶えた。

 

 

 

Side.なのは

 

タッタッタッタッタッ

 

「な…なのはちゃん!?」

「ちょっと! いきなり走り出してどうしたのよ!」

 

後ろから親友二人の声が聞こえる。

だが構わずに走り続ける。

 

「声が聞こえたの!」

「はぁっ!?」

「声?」

 

そう。

声が…何かが助けを呼ぶ声が聞こえた気がした。

誰なの?

わたしを呼んでいるの?

あなたは…わたしを変えてくれるの?

未来に何も見えないわたしに、何かを見せてくれるの?

 

「はっ…はっ…はっ…」

 

心臓が痛い。

息が苦しい。

喉が熱い。

運動が苦手なわたしにとって、こんな全力疾走は辛いの一言だ。

だけど、足は止まらない。

行かなきゃいけない気がするから。

そして、見つけた。

 

「!!」

「なのはちゃ…人!?」

「ちょっと…これヤバいわよ! 早く救急車!」

 

真紅の機体。

赤に染まる人。

運命が動き出す音がした気がした。

 

これが、後に英雄と呼ばれる青年、不動遊星さんと。

わたし、高町なのはの出会いだった。


















   To Be Continued…