Side:なのは


 ――Pipipipipipi…


 ん…朝?
 そっか、今日は約束の日だっけ。
 今日はいよいよ……うん、準備しなくちゃ。


 『Good morning Master.』

 「おはよう、レイジングハート♪」



 ――コンコン…


 「なのは、起きてるか?」

 「ルナ!うん、起きてるよ。」

 大切な日だからかな、物凄く目覚めが良いの。


 「そうか、其れは良かった。星奈と冥沙は準備が出来ているみたいだ。雷華は…まだ寝ぼけているけれどな。」


 にゃはは…雷華はしょうがないなぁ。
 けどあそこに行ったら目が覚めるよね。

 だって、今日は半年振りにフェイトちゃんが戻って来るんだもん!










 魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福37
 『再会、そして襲撃』










 お待たせ、おはよう皆♪


 「おはようございます、ナノハ。」

 「うむ、よい朝だな。誂えたようだのう。」

 「お〜〜〜、おはよーナノハ〜〜。」


 あ〜〜…雷華は本気で寝ぼけてるの。
 お〜い、起きて雷華〜。
 フェイトちゃん迎えに行くよ?


 「らいじょ〜ぶ〜〜。へいとはちゃんと迎えに行くぞ〜〜。」


 ほ、本当に大丈夫かなぁ?(汗)


 「いっそ引き摺って行っては如何でしょう?雷華は異常なほど頑丈ですから大丈夫と思いますよ?」

 「一切否定できないの。」

 でも引き摺らなくても勝手に行きそうだよねぇ?
 うん、大丈夫そうだから行こうか?


 「だな。あの金の小娘を待たせるも悪いからな。」

 「雷華は私がおんぶして行くとするさ。」

 「お願いねルナ♪」

 半年振りの再会…フェイトちゃん元気かなあ…



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・



 で、到着した『海鳴臨海公園』。
 私とフェイトちゃんにとって、うぅん、皆にとって大切な場所。
 初めて絆が繋がった場所…その大切な場所の少し開けたところに――居た。

 「フェイトちゃん…」

 「なのは…其れに皆も…!」


 「久しいなフェイトよ。」

 「久方ぶりですね。元気そうで安心しました。」

 「ひっさしぶり〜!元気だったかへいと!」

 「元気そうだな。安心したよ、フェイト。」


 皆、フェイトちゃんが戻ってくるの待ってたの。
 お手紙のやり取りはずっとしてたけど、やっと会えたね…おかえり、フェイトちゃん。


 「…!うん、ただいま…ただいま皆…!」


 おかえりなさい…フェイトちゃん。
 アレ、そう言えば…


 「フェイト…」

 「プレシアさん!」

 良かった、ちゃんと来てくれたの!
 厳しいリハビリ終えたプレシアさんは杖付きだけど自分で歩けるようになった。

 そっか、だから此処に来るのに私達よりも時間かかったんだね…


 「母さん…」

 「おかえりなさいフェイト。…待っていたわ、貴女が帰ってくるのを…」


 うん…やっぱり本当のお母さんだと違うの。
 何て言うのかな、プレシアさんからは『母親の愛情』が感じられる。
 お母さんと同じ感じがする。


 「ただいま、母さん。フェイト・テスタロッサ、只今戻りました…!」

 「えぇ…半年間、ご苦労様。良く頑張ったわね。」


 抱擁するフェイトちゃんとプレシアさん……何かいいなぁ、こう言うの。

 と、そろそろ…


 「…実に申し訳ないのですが、時間が…フェイトの着替えを考えるとこれ以上は間に合わないのですが…」


 星奈GJなの。
 今日は単純にフェイトちゃんが帰ってくるだけじゃなくて、私達の通う学校に転校してくる日。
 同じクラスなのはリンディさんとプレシアさんが何かしたんだろうなぁ…でも嬉しいから無問題なの♪


 「そうね…。ではフェイト、また後で。なのはちゃん、よろしくね?」

 「はい、任せてください!」

 フェイトちゃんはちゃんと馴染ませて見せます。


 「頼もしいなお前は。…さてと、それじゃあプレシア…」

 「そうね、引越しの方を終わらせてしまいましょう。」


 そっか、ルナはフェイトちゃん達のお引越しのお手伝いするんだったね。
 頑張ってね?


 「大丈夫だ、引越しの手伝いくらいピーク時の翠屋の忙しさに比べたら大した事じゃないさ。」

 「にゃはは…其れは確かにそうなの…」

 説得力あるなぁ…流石は『ナンバー1ウェイトレス』なの。
 まぁ、ルナが手伝うなら問題ないよね。

 それじゃあ、行こうか?


 「うん。宜しく、なのは。」


 まかせてなの♪








 ――――――








 Side:ルナ


 「アルフ、此れは何処に?」

 「ん?あぁ、其れは2階。フェイトがプレシアと一緒が良いって言うからさ。」


 成程、だからこのダブルベッドか。
 長い間あの偽者に酷い仕打ちを受けていたんだ、今は本当の母親に甘えればいいさ。

 と、言う訳でそのベッドは2階だそうだ。


 「はい、分りました。」


 引越し業者もいるから思いのほか早く終わりそうだな。


 「そうですね。…で、その…そんなにたくさん持って大丈夫ですか?」

 「問題ない。ウェイトレス業だと時には両手にお菓子やコーヒーを乗せたトレイを持って店内移動する事だってある。
  しかも混雑時にはその状態で素早く動かないといけないからな…バランス感覚と力は嫌でも身につく。」

 「はぁ…ウェイトレスと言うのも大変そうですね…」

 「まぁ人気店ゆえの事だ。」

 さてと、運び込むのは大体此れで全部かな?


 「えぇ、大体此れで。ご苦労様。」

 「まぁ、これから整理をしなきゃなんないけどね。」


 其れはそうだが、大きな家具類は業者がセットしてくれたからな。
 その他は楽だろう。


 「そうね。……フェイトは上手くやってるかしらね?」

 「其れは大丈夫じゃないか?なのは達が居るクラスだし。」

 まぁ、質問攻めにはあってるかもしれないけれど。
 なのは曰く『転校生の宿命』らしいからな、其れは。


 さてと、そろそろ私は行くとするかな。
 待たせると悪いし。


 「アースラでしたか?」

 「あぁ、ブライトハートの定期メンテナンスといったところかな?
  防護服の機能を捨て去った格闘特化のデバイスなど前例が無いとの事でな。
  まぁ、稼動データの収集目的も有るだろうが、デバイスのメンテナンスが出来るのはありがたい……持ちつ持たれつだ。」

 それに本局までは行かないからな。


 …そう言えば保護監察官としてリンディ提督が来ている筈だが、あの人は何処に住むんだろう?
 まぁ、私が気にする事じゃないか…








 ――――――








 ――時空管理局:本部


 Side:クロノ



 「「違法ハンティングと魔導師の襲撃?」」


 レティ提督の呼び出しでエイミィと来てみれば、随分物騒な事件が起きているみたいだ。
 現場の証拠映像を見ると…酷いな。
 魔導師は命は無事みたいだが怪我が酷い。
 魔力を持った大型の生物は完全に息絶えているな…犯人は相当な手練と見て間違いない。


 「此処最近、色んな次元世界で頻発しているのよ。手口から見て、複数人の同一犯であることは間違いないわ。
  更に、襲撃だけでなく犯人グループは略奪も行っているわ。」

 「「略奪?」」


 一体何を?


 「皆奪われているのよ。魔導師の力の源――リンカーコアを。」

 「「!!」」


 …どうやら厄介な事が起こっているみたいだ…








 ――――――








 Side:プレシア


 引越しも終わって、フェイトも学校から帰ってきて…ホント平穏だわ。
 ふふ、思ったよりもフェイトは馴染めているようね。

 「貴女には感謝しなくてはいけないわね、リンディ提督?」

 「え?あらやだ、如何したの突然?」

 「フェイト達の事で随分尽力してくれたのでしょう?あの子と一緒に暮らせるのは貴女のおかげだわ。ありがとう。」

 「…貴女もフェイトさんもずっと辛い思いをしてきたんですもの、これから先の平穏と幸福は目一杯受けないと。」


 えぇ、そうね。
 特にあの子、フェイトはね。


 「貴女もよ、プレシア?」

 「…そうだったわね。」



 「プレシア。」

 「アルフ…あら、如何したのその格好は?」

 まるで子犬ね?
 中々可愛いわよ。


 「狼の姿だと目立つから。」

 「工夫してみた!」


 成程ね、確かにその姿なら『少し変わった子犬』にしか見えないもの。
 近所を散歩しても平気ね。

 そんなに遅い時間ではないし、街には街灯もあるから大丈夫だろうけれど気をつけてね?


 「はい。それじゃあ、行ってきます。」

 「行ってらっしゃい。アルフ、フェイトをお願いね?」

 「任せてよ!」


 夜のお散歩ね…もっと回復したら一緒に行こうかしら?
 取り合えず杖無しで歩けるように頑張らないといけないわね。


 「そうですね。フェイトもきっと一緒にお散歩が出来る日を楽しみにしている筈ですよ。お茶、どうぞ。」

 「ありがとうリニス。………で、貴女は何をしているのかしらリンディ提督?」

 「え?緑茶には砂糖を入れるものでしょう?」

 「色々間違っているわ其れ…」

 味覚『だけ』は間違いなく変人ね…








 ――――――








 Side:なのは


 「しかし、予想通りとは言えあの小娘に対しての質問攻めは凄かったな?」

 「まぁ、私達の時も凄かったですからね。」

 「僕とへいとがそっくりだから驚いてたよね〜。」


 そうだね〜。
 でもあの質問攻めのおかげで逆にフェイトちゃんは馴染めたみたいだから良いと思うよ?

 「それに、アリサちゃんとすずかちゃんが上手に質問分別してくれたからね。」

 「えぇ、あの2人も中々見事な手際でした。」


 本当に頼りになる友達なの。
 それにしても遅いなぁ、ルナ。

 「デバイスのメンテナンスってそんなに時間かかるものなのかな?」

 「知らん。まぁ、あ奴のデバイスは特注品であるからな。時間もかかるのではないか?」


 そっか。
 じゃあ、あんまり遅くならないうちにお風呂入ろうか?
 その内にルナが帰ってくるかもしれないし。


 「賛成〜!僕お風呂好き〜!」

 「浸かりすぎて逆上せないで下さいね?」


 にゃはは、雷華は浸かりすぎる事があるからね。
 ん?



 ――ギュゥゥン…



 !?な、なに?


 『Caution.Emergency.』


 レイジングハート?


 「此れは封鎖結界!?しかも、この術式…古代ベルカだと!?」

 「古代ベルカって…ルナが使うのと同じ…!」

 私も多少は使えるけど…でも、何でそんな結界が…


 「…どうやら私達に何か用があるみたいですね。結界内に居るのは私達だけのようです。」

 「む〜〜、誰だよ折角のお風呂タイムの時に〜〜!!」


 本当に誰?
 …でも、なんだろう嫌な予感がする、無視はできないの!


 「ですね…行きますか?」

 「勿論!冥沙と雷華もいいよね?」

 「無論だ。」

 「とーぜん!」


 うん、行こう!



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・



 本当に私達以外は誰も居ないんだ。
 近くのビルの屋上に来たけど誰とも会わなかったの。

 皆は夫々別々に…

 「一体誰がこんな…?」


 ――ギュオォォォォォ!!


 『It approaches at a high speed.Homing bullet.』

 「誘導弾…!でも、此れくらいなら…はぁ!!!」



 ――ガキィィィィン!!



 シールドで何とか…けど、凄い威力…!!


 『It comes.』


 やっぱりこれは牽制…!


 「おらぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 「…速い!絶て!」
 『Protection.』



 ――ギィィィィン!!




 「ちぃ、防ぎやがったか!!」


 女の子!?しかも私と同じくらいの…!

 「何処の子?行き成り襲われる覚えは無いんだけど!」

 「るせぇ!!大人しく…ぶっとべぇ!!」


 そうはいかないの!
 此れだけの圧力には、逆らわないで…その力を利用するの!!

 「てぇぇい!!」

 「な!?うお!!!」


 うん、大成功の巴投げ。
 レイジングハート!!


 『All right.Standby ready.』


 バリアジャケット展開完了。
 白夜の魔導書も準備OKなの!


 「ちっ、やっぱし魔導師かよ…!」

 「貴女は誰?どうしてこんな事をするの!?」

 「はっ、テメェにゃ関係ねぇ!大人しく…魔力よこしやがれ!!」


 …話は通じそうに無いね。
 レイジングハート!


 『Grimoire Book of White Night.Standby.Cannon Mode Set up.』


 だったら大人しくした上で、話を聞かせてもらうから!!















  To Be Continued…