Side:ルナ
只今深夜の23時、場所はなのはの部屋。
その部屋に居るのはなのはと雷華と冥沙と星奈。
そして、私と美由希と執務官。
このメンバーで何をしているのかと言うと…
「「終わった~~♪」」
「うむ、思いのほか早かったな。」
「此れで憂いなく夏休みが過ごせます。」
なのは達の夏休みの宿題を片付けていた訳だ。
勿論答えを直接教えるような事はしないで、分らないところを教えるだけなのだが…
「夏休みに入るその日のうちに宿題を片付けると言うのは…如何なんだ美由希?」
「フツーは無いよ?」
だろうな…執務官もご苦労様だ。
「いや、暫く滞在させてもらうんだ、此れくらいならお安いご用さ。」
そうか。
だが、明日からは朝の『ラジオ体操』があるんだろう?そろそろ寝た方が良い。
と言うか私も流石に眠い……無理だ、今日は此処で寝る…
「えっ?ルナ!?」
お休みなさい……Zzz…
魔法少女リリカルなのは~白夜と月の祝福~ 祝福29
『夏休み、Get set!』
と、まぁなのはの部屋で寝てしまった訳だが、どうにも美由希もそのままあそこで寝たようだな。
流石に執務官は割り当てられた部屋に戻ったようだが。
「美由希。」
「なに?」
「なのはと雷華は…完全に寝ぼけているよな?」
で、今は翌朝。
海鳴臨海公園の広場で行われている『ラジオ体操』になのは達と参加しているわけだ。
朝も早い事もあって、私と美由希が保護者としてな。
執務官も一緒に参加だ。
「確かに寝ぼけてるね~。目が完全に溶けてるし…」(汗)
「それでも、音楽に合わせて身体が動いているのは凄いと思うが…」
確かに――殆ど反射的に動いているように見えるのだけれど…まぁ良いか。
身体は動いているのだから、体操の効果は有る筈だ。
――~~♪~♪~♪♪♪~~♪~
此れでお終い、と。
ほら、スタンプを押してもらって来い。
「うむ。ほれ、行くぞ雷華。」
「ナノハもいい加減に、目を覚まして下さい。」
引き摺られてる、引き摺られてる(汗)……如何して起きないのだろう?
「昨日あんなに遅くまで起きてたからだと思うなぁ。なのはは寝るの早いし。」
「寝たりないと言う訳か…たしかに、普段は10時には寝ているものな。」
ん、スタンプは押してもらったか。
……まだ起きないのか?
「面倒なのでこのまま引き摺って帰りましょう。」
「いや、流石に其れは…(汗)私と美由希で背負うなりなんなりしていけば良いだろうに。」
引き摺っていっても起きそうにはないが、少なくとも雷華は。
ん?そう言えば恭也はどうしてこなかったんだ、アイツなら絶対なのはに付いて来ると思ったんだが…
「起きて早々に絡んできたから『ストラグルバインド』を八重掛けして捨てた。」
「うん、見事な判断だ。」
「クロノ君GJ♪早くも恭ちゃんの扱い方を学んでるとは、流石だね。」
この敗北を期に、恭也のシスコンが少しでも治ってくれると良いんだが…無理だな、絶対に。
――――――
Side:なのは
う~ん…一体何時の間にラジオ体操に行ってきてたんだろう?全然覚えてないの…
ルナが言うには雷華と一緒に寝ぼけながら体操してたとか…私ドンだけ?
「アレだけの強行軍を行ったのですから有る意味では妥当かと。実のところ、私も少々眠いのです。」
「実は我もだ。」
「僕もだ。ついでに朝から恭也に絡まれたせいで疲れが一気に蓄積した気がする。」
星奈と冥沙、それにクロノ君も…にゃはは、仕方ないかな?
特にクロノ君はお客様なのに手伝ってくれてありがとう♪
「構わない。年下の面倒を見るのも年長者の務めさ。」
「お~、くろの良いこと言ったぞ~~。」
そうだね~…って、
「雷華はまだ寝ぼけてるの?」
そろそろ起きた方がいいと思うけど、如何したモンかな?
「Divine Shooter.」
へ?
――ドォォォン!
「うにゃぁぁぁ!?」
雷華ーーーー!?
え、何してるのレイジングハート!?
「Homing bullet.It's a direct hit.…Was it unnecessary?」
「いや、不要って言うか…どうして?」
「うお~~!吃驚した!!」
起きた~~~!?
大丈夫なの雷華!?
「ん?全然平気!バッチリ目が覚めた!」
「Good morning.」
「お~、れいじんぐはーとが起こしてくれたのか~!ありがとうーー!」
「Don't worry.」
…其れで良いの?
取り合えずもう少し平和的な起こし方を考えようよ…
「…I'll think about it.」
そこは『はい』って言ってよ!
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ふぅ、暑いなぁ……夏だから当然だけど。
今日の最高気温は35℃を越えて猛暑日になるでしょうって言ってたけど、此れじゃ猛暑を通り越して『酷暑』なの。
「巧い事を言いますね。確かにこの暑さでは『酷暑』と言うのが適当でしょう。」
「その暑い中で街の案内をしてもらって申し訳ないな。」
「ううん、気にしないで♪」
何をしているのかと言うと、クロノ君を海鳴の観光に。
ガイドは私と星奈で。
本当は皆で来たかったんだけど、ルナはお店があるし、お姉ちゃんはお友達とお出かけ。
冥沙は図書館で、雷華はこの暑さで茹で上がってるの。
お兄ちゃんは忍さんの所………うん、居なくても良いの♪
「キョウヤが聞いたら一撃でKOされるほどのセリフですね。」
「その気持ちも分らなくないが…」
だってクロノ君に迷惑かかるもん。
さてと、クロノ君の観光案内もだけどもう1つの目的は翠屋の店内に飾る『風鈴』の買出しをお母さんに頼まれてるんだよね。
店内を飾る…責任重大だね。
「星奈とクロノ君も選んでみてね。2人のセンスでいいから。」
「お任せを。」
「僕のセンスでよければ。」
うん。
話してるうちにデパート到着。
え~と、特設会場は最上階の12階なの♪
「店内は涼しいんだな。」
「冷房が入ってるからね。さ、早く行こう?」
「そうですね。いい物が売切れてしまっては大変です。」
じゃあ、急がなきゃ!
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で、特設会場に来た訳なんだけど…
「此方は如何でしょう?音色が涼しげでいいと思いますが…」
「確かに綺麗だと思うけど、この暑い中で赤系統の色はきつくないかな?こっちの青系のほうが見た目には涼しいと思う。」
「成程。ならば視覚的涼しさと、聴覚的涼しさの観点からこの2つは決まりですね。」
「そうだな。どうせなら音色も種類があった方が良いかも知れない。」
…………全く入り込めないの!
何で?如何して、星奈とクロノ君で風鈴談義が起きてるの!?
「I don't know.」
「だよね。まさかこんな事になるなんて思わなかったの。」
「I think so.」
ミッドには風鈴て無いのかな、やっぱり。
それなら珍しいから気持ちは分らないでもないの。
星奈は拘り派だしね。
「なのは。」
「ナノハ。」
「にゃ!?」
び、吃驚した~~!
2人とも如何したの?
「いえ、取り合えず此れだけ選んでみたのですが…」
「こんなところで如何だろう?」
…たくさん選んだね。
見た目はドレも悪くないの。
音は…
――チリン、チリ~ン
――リ~ン、リ~ン
――リンリンリン…
うん、悪くない。
一杯だけど、ドレも良いなぁ…うん、折角だから全部買っちゃおう♪
お母さんから預かってきたお金も充分足りるし。
「大丈夫なのか?」
「まぁ、余ったら私達の部屋に置けば良いだけですし。」
そう言う事。
それに、星奈とクロノ君が選んでくれたんだもん、ドレかなんて限定できないよ。
お母さんもきっと気に入ってくれるはずなの♪
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「良い買い物が出来たね♪」
「はい。クロノ執務官もお疲れ様でした。」
「いや、良いさ。それにしても良い場所だな此処は。ミッドの市街地とは違って、近代化されつつも自然が残ってる。
今日回っただけでも、街の人達も人間的に良い人が多い。ミッドも見習うべきところが多いな。」
そう言って貰えると嬉しいかな。
私が育った街だから、良い印象持ってもらえるとやっぱり嬉しい。
「ところでなのは、さっき商店街を見たときにも思ったんだが、アレは一体なんなんだ?」
「あ~。アレは『提燈』。昔の街灯兼ライトで中にロウソクを入れて使うの。今は普通に電球だけど。」
3日後にお祭りが有るから、その飾り付けで。
提燈が並ぶと雰囲気出てくるの。
あ、クロノ君はお祭り行くときは甚平ね?
「ジンベイ?」
「この国の伝統的な夏の着物らしいです。私達の浴衣と並ぶ物だそうですよ。」
「其れは良い体験が出来るな。楽しみだ。」
きっと気に入ってくれるの。
うん、今年のお祭りは何時も以上に楽しくなりそう♪
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Side:ルナ
「暑いよ、クロハネ~~~。」
「夏なんだ、仕方ないだろう?」
意外と暑さに弱いなお前は。
そんなに暑いなら、私みたいに桶に張った水に足を浸けてみれば良いじゃないか、意外と涼しいぞ?
それに、休憩用に桃子が切ってくれたスイカも良く冷えていて美味しい。
うん、此れが夏の醍醐味か。
「ドレドレ……お、確かに冷たい!それにくーらーみたいに変に冷たい風じゃないから気持ち良い~!」
「暑さ弱いくせにクーラーが苦手というのも難儀だな。私も余りクーラーは好きじゃないが。」
翠屋店内は『微冷房』で、メニューや店内の雰囲気で『涼』を演出しているから良いんだが、街中の施設は少しな。
どちらかというと、こう言った涼のとり方の方が良い。
「スイカも美味しい~!ん~~~最高!」
「食べ過ぎてお腹を壊すなよ?」
「大丈夫!」
まぁ、程々にな。
もうすぐなのは達が帰ってくるはずだ。
風鈴を買ってくるだろうから、其れを付ければもっと涼しい気分を味わえる。
まさか、段ボール箱一杯の風鈴を買ってくるとは思わなかったが…
まぁ、店内レイアウトと、各部屋設置で何とかなるだろう。
多分な。
To Be Continued… 