Side:志雄


リインフォースを取り戻して、闇の書事件も一段落って所だな。
あの日はクリスマスだったから、リインフォースの復活記念を兼ねて盛大なパーティが開催されたが、リインフォースは恐縮しながらも満更で
もなかったし、はやてや守護騎士の連中は心底嬉しそうだったから、パーティを開いた甲斐もあったぜ。

まぁ、シャンパンで酔った郁島と玖我山が、夫々四宮と時坂に絡んだのは、ある意味では予想通りだったな。

だが、クリスマスが終われば、今年は後6日か……こっちの世界に来て、もう8カ月以上が経っちまったって事になるが、全く持って早いもん
だぜ――其れだけ、充実してたって事なんだろうけどな。



「え~~と、牛乳に蜂蜜に砂糖に小麦粉と無塩バター、其れからアーモンドプードルと粉糖にココアパウダー……此れで全部ですよね?」

「買い物メモはそうなってるし、数も間違ってねぇから大丈夫だろ。
 さっさと清算済ませて、翠屋に戻ろうぜ?幾ら俺でも、真冬の寒空の下をあんまり歩きたくはねぇからな。」

「なはは……天気予報によると、今年は稀に見る厳冬みたいですからね――今日もちらほら雪が舞ってますし。」



厳冬か……東北の人達からしたら此の程度の雪は何て事ないんだろうが、慣れてない関東の人間にとっては、此の程度の雪でも大事だな。
実際に、首都圏ではJRが止まってるからな――京王線だけは謎の気合で動いてるけどよ。

何にしても、年の瀬でも翠屋の忙しさは変わらねぇから、店が休みになる大晦日まではバッチリ働かねぇとだな。










リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE76
『The Battle Of ACE!』










さてと、買い出しも終わり、今は休憩時間だ。買い出しを手伝ってくれたなのはもな。
流石に只休憩時間を過ごすのも暇なんで、なのはと『ゲート・オブ・アヴァロン』で対戦中だ――元はゲーセンのゲームだが、其れのアプリ版
を作っちまう四宮は、マジでスゲェな?天才ってのは伊達じゃねぇか。

今は21対24で俺が負けてるが、此処で俺は最強の7のカードを出すぜ!



「なら私は、此処でチェンジのカードを使って、志雄さんの場のカードと私の場のカードを入れ替えます!」

「そう来たか……なら俺はフォースを発動し、俺の数値を倍にするぜ!」

「此処でフォースですか……だったら、ボルトを発動し、フォースを破壊して無効にします!!」



ボルトを持ってたか……発動タイミングも申し分ないぜ。
だが、残念だったな?俺は手札から1のカードを捨てて、その特殊効果を発動すんぜ!1のカードは最弱だが、ボルトによって破壊されたカー
ドを復活させる事が出来る。
これにより、俺のフォースは復活して再び俺の数値を倍にする!――さて、これ以上の手はあるかなのは?



「ん……んんん~~~~~……ま、参りました。
 ボルトを最後まで温存してたから、今回は勝てると思ってたんですけど、まさかボルトを無効に出来る1のカードを持ってるとは思いませんで
 したよ志雄さん――完敗です。」

「だが、1のカードが無かったら俺は負けてたからな……お前の戦術其の物は良かったと思うぜ?
 今回は、たまたま俺の方に運があったから俺が勝ったが、お前の方に運が有ったら、1のカードを引っ繰り返す2枚目のボルトか、或はフォ
 ースのカードがあったかも知れねぇからな。」

ま、勝負は時の運てやつなんだろうな。
ゲーセンでの俺のレベルは8から上げてねぇが、今のなのはの実力なら軽くレベル7までは行けるだろうな。――最高レベルの11になってる
時坂はドンだけだって話にもなるが……

さて、休憩時間はまだあるから、もう一勝負すっか?



「はい!」

『Master.』

「って、如何かした、レイジングハート?」

『A strange magic reaction was caught.(おかしな魔力反応を捉えました。)』

「おかしな魔力反応?」

「なんだそりゃ?」

『I don't knwo.Moreover a reaction isn't fixed. The size of the magic is changing irregularly.
 (分かりません。しかも、反応が一定ではありません。魔力の大きさが不規則に変わっています。)』




不規則に大きさが変わる魔力反応だと?
クロノから聞いた話だと、魔力反応の感知はリンカーコアの感知だから、幾ら外に放出してる魔力を小さくした所で、感知する魔力は変化しな
いって事だったが、其れが変わるってのはどう言うこった?



「分かりませんけど、でも謎の魔力反応を無視する事は出来ません!
 危険が無ければそれで良いですけど、もしかしたらジュエルシードみたいな危険物の可能性だってありますから!!」

「だな……なら如何する?――なんて聞くまでもねぇか。
 桃子さんに一言言って、魔力反応の正体を突き止めに行くとすっか!!」

「はい!!」



つー訳で桃子さん、レイジングハートが変な魔力を感知したんで、なのはと一緒に其れの正体を確かめに行ってくるぜ?
夕方のピークも過ぎてるし、俺が居なくても大丈夫だろ?………もしも、忙しくなりそうだったら四宮を徹底的に使ってやってくれ。アイツは何
かと労働回避しようとしやがるからな。



「はいはい、行ってらっしゃい。気をつけてね?祐騎君には洸君と同じ位は働いて貰おうかしら?」

「ちょ、其れおかしいでしょ!?僕は僕の仕事ちゃんとやってるからね!?てか、洸先輩と同じ仕事量とか絶対無理だから!!」

「とか言いつつ、ツイッターに仕事中の彼是を、割と頻繁に呟いてるよね祐騎君。しかも写真付きで。……お仕事しながら、サイフォンで投稿っ
 て言うのは如何かと思うよ?
 やっぱりウェイターさんが仕事中にサイフォン弄ってるって言うのはお客さんの印象も良くないと思うし……だから、少し自重しよう?」

「あ、其れは大丈夫だよ空。フロアではやってないから。
 投稿は、厨房に下がった時とか、裏口からゴミ捨てに行ったときとかにやってる事だから、少なくとも客の目に留まる事は無いし、こう言うの
 も翠屋の宣伝に繋がるじゃん?」



……だが、仕事中にサイフォン使ってる事に変わりはねぇよな?
士郎さんも桃子さんも寛大だから何も言わねぇが、一般のコンビニとかだったら、勤務中にそんな事してたってだけで普通にクビだからな?
株で儲けて世間の荒波に揉まれてないから仕方ないのかも知れないが、そんな事だと将来苦労する事間違いなしだぜ?――少し真面目に
働くって事を覚えるべきだな。

つっても、度が過ぎりゃ流石に士郎さんも桃子さんも注意するだろうし、其れでも聞かない時には郁島が何とかするから大丈夫だろ。
時にレイジングハート、魔力反応ってのは何処にあるんだ?



『A magic reaction is 2. 1 another will be in the sky of the UMINARI shrine in the UMINARI seaside park sky.
 (魔力反応は2つ。1つは海鳴臨海公園上空、もう1つは海鳴神社の上空です。)』




魔力反応は2つか……となると、二手に分かれる事になるが、なのははどっちに行く?どっちに行きたい?



「海鳴臨海公園の方に行きたいです。
 あそこは、私にとって大切な場所だから、其処に現れた魔力反応は、私が正体を突き止めて、場合によっては対処したいです!!」

「そう来ると思ったぜ。
 あそこはフェイトとの最終決戦地であり、フェイトとダチになった場所であり、フェイトと再会した場所だからな……了解した。なら俺は、海鳴神
 社の方に行くぜ。」

何にしても気をつけろよ?相手は正体不明な何かな上に、リンカーコアの出力が変わる妙な存在みたいだからな。ヤバそうな時は、直ぐに応
援を呼べよ?時坂でも、クロノでも誰でも良いからな。



「はい。
 志雄さんの方も気をつけて下さいね?志雄さんだったら誰が相手でも負ける事は無いと思いますけど、万が一って言う事はありますから。」

「慢心厳禁てやつだな――そんじゃまぁ、行くとすっか!!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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・・・



さてと、海鳴神社の上空まで来た訳だが、取り立てて妙なモンは見当たらねぇな?久遠が夜の空中散歩してるって訳でもねぇし……まさかと
は思うが、妙な魔力反応とやらは自然消滅したのか?


――グン


って、事はねぇみたいだな?スゲェプレッシャーを感じたからよ。
此れは、如何考えても友好的なモンじゃねぇ。明らかに、こっちとやる気満々の奴の気配だぜ――殺気は感じねぇが、馬鹿正直な闘気はガン
ガン感じるからな!
隠れてねぇで、正体を現しな!俺と戦いたいってんなら、相手になってやんぜ!!


――ヴォン……


って、何だと!?テメェは……!!



「私怨はないが、我等の目的達成の為に――闇の書を完成させるために、お前の魔力を貰うぞ。」

「シグナム!!」

此れは一体どう言うこった?
確かシグナム達守護騎士は、今日は保護観察官であるレティ提督との面会日だったからまだ地球には戻ってきてねぇ筈だが……其れ以前
に『闇の書』だと?
闇の書は、今はもう本来の姿である『夜天の魔導書』に戻ってるってのに、守護騎士であるシグナムが闇の書って呼ぶのは幾ら何でもオカシ
イし、『闇の書を完成させるために魔力を貰う』ってのもあり得ないぜ。

姿形は、シグナム其の物だが、テメェ偽物だな?



「偽物?……何の事か分からないが、何れにしてもお前の魔力は貰って行く――悪く思うなよ?」

「ハッ!誰が、テメェなんぞに魔力をくれてやるかよ!
 恐らくテメェはレイジングハートが感知した魔力の一つなんだろうが、シグナムになり替わろうなんざ、烏滸がましいにも程があんぞオイ!!
 テメェの正体が何モンで、何が目的かは知らねぇが、あの誇り高い筆頭騎士を穢すってんなら容赦はしねぇ……覚悟して貰うぜ!!」

吼えろ、ヴォーパルウェポン!!



「其れがお前の得物か?
 身の丈以上の剣を片手で扱うのは驚きだが、其れでも私に勝つ事は出来ん――抵抗しなければ、苦しむ事もない。大人しく我等の糧となる
 が良い。」



生憎だがお断りだぜ。
だが、シグナムの姿で現れた此奴は、如何考えたって真面な存在じゃねぇ――悪いが、先ずはぶっ倒して、その上で正体を暴かせて貰う!
何より、テメェの方から仕掛けて来たんだ、ぶちのめされても文句言うんじゃねぇぞ!!








――――――








Side:なのは


不思議な魔力反応を辿って辿り着いた海鳴臨海公園の上空に居たのは……ヴィータちゃん?



「おい、テメェの魔力を寄越せちびガキ。
 大人しくしてりゃ、痛い目見なくて済むぜ……抵抗するってんならブッ飛ばすだけだけどな。――さて、如何する?」

「ちょっと、ヴィータちゃん?一体如何言う事?
 悪ふざけにしたって性質が悪いよ?魔力を寄越せだなんて、はやてちゃんの為に魔力を集めてた時みたいな事を言うだなんて、なんでそん
 な事を言うの!?」

「あぁ?何訳分からねぇ事言ってやがる!
 大人しく寄越す心算がねぇなら、力尽くでも奪い取ってやる……覚悟しやがれ!!」



違う!此の子はヴィータちゃんじゃない!
闇の書事件の時の、はやてちゃんの為に魔力を集めてた時のヴィータちゃんになり切ってる何か……まさか、此れが謎の魔力反応の正体?
だとしたら、如何やら只事じゃないみたいだね此れは。

何でこんな事が起きちゃったのかは分からないけど……取り敢えず、先ずは目の前に現れた、ヴィータちゃんの偽物を倒さないとだね!!
全力全壊!覚悟して貰うの!!








――――――








Side:???


ククク……良いぞ、その調子で暴れ回れ『闇の欠片』よ!戦って力を集めよ!
貴様等が戦う事で、我の力も蓄積されて行き、其れが最終的には闇の書の復活に繋がるのだからな!そして、闇の書が復活した時こそ、我
の望みが叶う時だ。

我こそが真なる王よ!
夜天の小鴉共々打ち砕いて、この世界を真なる闇で覆いつくしてやろう!!

その世界を想像しただけで、笑いが止まらぬわ!!クククク……フワァッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!












 To Be Continued…