Side:志緒
アレから、もう2週間か……時の流れってのは早いもんだぜ。まさか、これ程忙しくなるとは思ってなかったがな!クリスマスってイベントっての
は割と鬼だって知ったぜ。
まぁ、そのおかげで翠屋は大繁盛だから問題ねぇがな。
だが、其れでも2週間前のあの光景を忘れる事は出来ねぇよ……主の幸せを願って自らの消去を望んで、夜空に消えちまったアイツの事は。
まぁ、忘れられねぇからって如何かできる訳でもねぇが……今は考えるだけ無駄か――んで、オーダーは如何する?
「イチゴのタルトと、カスタードシュークリームを5個ずつで頼みます。」
「5個じゃなくて、6個だろうが?
アイツにも供えてやんな。翠屋のシュークリームを喰わねぇで逝っちまうなんざ、この上ない不幸だし、不憫すぎるからよ。」
「志緒さん……おおきに。」
コイツはあの日から、騎士達が見てない所でドレだけの涙を流したんだろうな?想像も出来ねぇぜ。
だが一つだけ分かってるのは、あの日から、はやては心の底からの笑顔ってのは見せてねぇ。笑っちゃいるが、其れは周りに心配をかけない
為の笑みだ……齢9歳で大切な人の喪失は、早々乗り越えられるもんじゃねぇ。
なぁ、リインフォース?お前は本当に此れで良かったのかよ?
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE69
『零れ落ちた祝福。掴んだ奇蹟の欠片』
とは言え、俺に出来る事は殆ど無いって言っても過言じゃねぇ。
支えてやる事は出来るかも知れねぇが、乗り越えるのははやて自身だからな?……尤も、この件に関しちゃ、俺や時坂よりも、なのはやフェイ
トの方が良いかもしれねぇか。
歳が近い方が色々と話せる事もあるだろうし、特にフェイトは同じような経験をしてる訳だしな。
「はやてちゃん……貴女のせいじゃないから。」
「はやて、君は何も悪くない!悪いのは、やてんのまどーしょをかいぞーした奴だ!
だからはやては何にもわるくない。わるくないからおちこんじゃ駄目だって!ほらほら、笑えーーーー!笑って笑ってほーふくぜっとー!!」
「なのはちゃん、フェイトちゃん……そやな、その通りや。フェイトちゃんは言葉の使い所ちょお間違っとるけどね。
いつまでもウジウジしとるのは性に合わんし、何時までもめそめそしとったら、あの子かて安心して天国に行くことは出来へんからな……もっと
確りせなアカンよな。」
思った通り、なのはとフェイトなら大丈夫そうだ。
特にフェイトの底抜けの明るさってのは、否応なしに人を元気にしちまうからな。――さて、はやてに頼まれたモンを持ち帰り用に包まねぇと…
――キィィィン……
――我が主
「「「「「「「「「「!!!!」」」」」」」」」」
って、何だ今の声は!?
頭に直接響いてくるような感じだったが、今の声は間違いなく……!
「今の声は……まさか、リインフォース!!」
「私にも聞こえた!」
「僕も聞こえたーーー♪」
「今の声は……って言うか、此れはまさか!!」
「時坂君……えぇ、似ているわあの時と!」
似ているなんてモンじゃねぇ、杜宮でのあの時と、倉敷が消えた後で起きた『奇跡の始まり』と同じ状況じゃねぇかよ?って事は、次は多分……
『海鳴か、杜宮に負けず劣らず面白い場所だね。』
――キィィン…パシュゥ……
俺達以外の時が止まった……矢張りお前かレム。
さっきの声に、其れにお前が現れたって言う事は、『あの時』と殆ど同じと思って間違いねぇんだな?
『ふふふ、其れは君達次第さ。
夜天の魔導書の主、彼女の家に行ってみると良い……其処に、書の主が望むモノがある筈さ。』
「私の望むモノ?……!!それって、まさか!!」
此れは行くしかねぇだろ?
行ってこの目で確かめて、本当に倉敷の時と同じ状況だってんなら……やるしかねぇからな!!!
「おう!……って、店空けるの不味くないっすか志緒先輩?」
「時は止まってんだから大丈夫だろ時坂。
時が止まってる間にはやての家に行って状況を確認してから戻ってくりゃいいだけの事だ。此処からそう遠い訳でもねぇから大丈夫だろ?」
「あら、其れじゃあ時が動き出す前に戻って来てね♪」
おう!……って、ちょっと待てやコラ。
桃子さん、何でアンタ動けてるんだ?レムが時を停止させた世界では、適格者かそれに準ずる奴じゃなきゃ動く事は出来ねぇ筈なんだが……
「あら、そうなの?ん~~~、何で動けるのかしら?」
「まぁ、桃子さんだからね。」
「お母さんだからね。」
玖我山、なのは、其れで納得して良いのかオイ?否、俺も其れで納得しちまいそうになったのは否めねぇけどよぉ……本気で何者だ桃子さん。
だがまぁ、動けるなら動けるでいいか。
聞いた通り、今から俺達ははやての家に行ってくるから店を空けさせて貰うぜ桃子さん?時が止まってる間に戻って来る心算だが、間に合わ
なかった場合には勘弁してくれ。
「大丈夫よ、その時は恭也と美由希に手伝わせるし、いざとなったら忍ちゃんの所にも援軍頼むから♪」
「スンマセン、忙しいってのに……」
「良いのよ、大事な事なんでしょ?
でも、その大事な事は必ずやり遂げなさい?関わった以上は、中途半端で投げ出しては絶対にダメ。自分が納得いくように徹底的にやりなさ
いね?」
「分かってるよお母さん。小さい頃から、何度も言われてるからね。」
了解っす桃子さん。
やるからには中途半端じゃなくトコトンてのは、俺と一馬が掲げたBLAZEの在り方とも一致するからな……必ずやり遂げてやる!この仲間達が
居れば、大抵の事は成し遂げられるからな!!
「行くぞお前等!!」
「「「「「「「「「おーーーーーー!!!!」」」」」」」」」」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
と言う訳ではやての家までやって来た訳だが……矢張り現れていやがったか『虹色のゲート』が!!!
「「主はやて!!」」
「はやて!」
「はやてちゃん!!」
「皆、どないしたん!?」
「いえ、何やら気配を感じたと思ったら、不思議な少女が現れ、表に出てみろと言うので……」
と、守護騎士達もか。
まぁ、此れがアイツに関する事だってんなら、守護騎士にもレムからのメッセージが有るってのは当然の事だがな――にしても、此のゲートか。
そう言う事なんだなレム?
『ふふ、そうだよ。その通りさ。
因果は此処に紡がれた……鍵を集めると良い。全ての鍵を集めたその時、君達は試練に挑む資格を得る事に成る。』
「鍵と試練か……マジで、あの時と同じみてぇだな。」
だが、杜宮には古くから時として奇跡としか言いようがない事が起こるって言い伝えがあったから其れを成し得る事が出来たんだが、海鳴にそ
う言った言い伝えが無かったら奇跡は起こしようがねぇんだが……
「奇跡……お父さんから聞いた事が有るかも。
この海鳴には不思議な力が満ちていて、時として奇跡としか言えない事が起きて来たって……まぁ、くーちゃんみたいな存在が普通に居る時
点で、大分普通じゃないんだけどね海鳴も♪」
「其処の住民が自分で言ってりゃ世話ねぇな。」
だが、そう言う事なら奇跡は起こせるかもしれねぇ!――尤も、其れは夜天の魔導書の主様の考え次第だがな?さて、如何するはやて!!!
「奇跡……そんな、まさか……取り戻せるんかあの子を、リインフォースを!!」
「取り戻せるかどうかは、お前次第だがな。」
「……如何やら、夜天の魔導書を巡る事件は、まだ終わってなかった……途轍もなく大きな『やり残し』が有ったみたいや。
そのやり残しをやり遂げる為に……力を貸して!!!」
言われるまでもねぇぜはやて!
寧ろ、この状況で力を貸さないって言う選択肢がねぇからな?……何を当たり前の事を言って居やがる馬鹿野郎。俺の力が必要なら、幾らでも
貸してやんぜ!!
「俺達もやるぜはやてちゃん!!」
「この機会、逃せないもの!!」
「言わずもがな、協力するよはやてちゃん!!」
「私も、力を貸しますよ。」
「隠しボーナスステージ、クリアしない手は無いからね。」
「最高のステージにアンコールは付き物でしょ?
そして、このアンコールでハッピーエンドに持って行かないとだからね!!!」
「主はやて、我等守護騎士は貴女の剣であり盾です……この身は貴女と共に――ご命令を!!」
「……頼むで、皆!!!」
おうよ!
必ず全ての鍵を手に入れて、試練とやらに挑むとしようじゃねぇか!!――この試練を超えた先に、アイツの復活が有るかも知れねぇからな!
祝福の風が、再び空を流れる為にも俺のBLAZE魂を全開にしてやらぁ!!
鍵の数は5個か……必ず集めてやるぜ!!――其れを集める事で、消えちまったアイツが戻って来れるってんなら絶対にな!!
さぁ、エクストラステージの攻略と行こうじゃねぇか!!!
To Be Continued… 
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