Side:志緒
遂にやって来たなのはとの結婚式……タキシードってのは慣れないが、おかしくねぇかな?
「大丈夫っすよ志緒先輩!良く似合ってるっす!」
「其れなら良いんだが……こう言う格好ってのは慣れてねぇから、どうにも気になっちまってな……事が事だけに、駄目な姿を曝す事は出
来ねぇからよ。」
「だ、大丈夫だよ志緒先輩……良く似合ってるから。」
そういう割に笑いを堪えてるみてぇじゃねぇか四宮?
言いたい事があるならハッキリ言いやがれ!
「言って良いの?
なら言わせて貰うけど、志緒先輩の白のタキシードって、普通にヤクザだから!スーツじゃなくても、拭い去れないヤクザ臭……志緒先
輩は、蕎麦屋を継ぐよりも鷹羽組の若頭になった方が良いんじゃないの?」
「四宮……その正直さには敬意を表するが、そんだけの事を言って覚悟できてるんだろうな?」
「え?あの、なんで指鳴らしてるのかな志緒先輩?」
「決まってんだろ、テメェに拳骨ブチかます為にだ!」
「はぁ!?ちょ、ちょっと待って!
志緒先輩の拳骨とか喰らったら頭蓋骨骨折で即死だから!其れだけは止めて――!!」
安心しろや四宮……死なない程度に力は抑えてやるからよ――取り敢えず、調子に乗り過ぎると碌な目に遭わないって事を学習しな!
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE Final
『不屈の心と魂の焔』
Side:なのは
いよいよ今日は、志緒さんとの結婚式……何だか実感が湧かないけど、心がほっこりするから、私は幸せなんだろうね。
「ったく本気でアンタは幸せだと思うわよなのは?
10年思い続けた人と再会して、結ばれるなんてドレだけドラマチックでロマンティックなのよ――アンタと志緒さんの彼是は、普通に恋愛
小説になるんじゃないかって思うわ。」
「私もそう思うよなのはちゃん。
でも、私達の中でなのはちゃんが一番早く結婚する事になるなんて思っても居なかったよ。」
「え?すずかはよそーしてなかったの?
僕はモモコやシローが良いって言えば、なのははそっこーでけっこんするとおもってたぞ~?あいてはシオいがいにはいないと思ってた
し?」
なはは……フェイトちゃんは何時も通りだね?
でも、こうして皆が式に集まってくれたのは嬉しいよ――まさか、ドクター達まで来てくれるとは思ってませんでしたから。
「ハッハッハ!何を言うかねなのは君、来るのは当然じゃあないか!
君を治したあの日から、我々は共に戦ってきた同志だろう?その同志の晴れの舞台に出席しないなど、正義のマッドサイエンティストの
名が廃ると言うモノだよ!!」
「お父さん、微妙に意味が分からないわ。」
「………………」
「七緒も『なのはの結婚式に出るのと、正義のマッドサイエンティストは関係ないと思う。』って言ってんぞ親父。」
「三月ちゃんてば、なんで七緒ちゃんの言ってる事が分かるんだろう……」
其処はあれです、姉妹の絆が成せる業だと言う事にしておきましょう璃音さん。
さてと、最後のヘアメイクも終わって此れで準備完了。――本来ならベールを被る所なんだけど、祐騎君が『ベールって、何だかプライバシ
ー保護の為の映像加工みたいだよね。』って言った事により中止にしたんだよねぇ……其の後で空ちゃんに『デリカシーなさすぎだよ祐騎
君!』ってぶっ飛ばされてたけど。
まぁ、そのお陰でヘアアレンジが自由に出来たから結果的には良かったけどね。
「どう?似合ってるかな?」
「うん!スッゴク綺麗だよママ!」
「えぇ、良く似合っているわなのは……ホントに、貴女はもう大人になったのだって実感してしまうわね。」
「ホント……まさかなのはに先こされるとは思わなかったわ。
エイミィはとっくにクロノ君と結婚してるし……ヤバいよ完全に行き遅れじゃん私!もう27だし、そろそろ相手見つけないとヤバいよね?」
うん、今まで育ててくれてありがとうございましたお母さん。
其れからお姉ちゃんは頑張って相手を見つけてください……どうしても見つからない場合は、鷹羽組の梧桐さんは如何でしょう?志緒さん
と同系列のワイルド系イケメンで、収入面でも悪くないしね?
「姉の相手に何の意図があってヤクザを薦めるのか妹よ?」
「だって、私が知ってる男の人で人間的に真面で独身な人って梧桐さん位しか居ないし。ユーノ君は弟みたいなものだから恋愛対象外っ
て前に言ってたし。」
「う……まぁ、確かにそうかも知れないけど。」
まぁ、選択肢の一つって事で考えておけばいいんじゃないかな?――お姉ちゃんの腕っ節の強さなら、鷹羽組で女幹部としてもやってい
けると思うしね。
「あらあら、そうなったら士郎さんが鷹羽組に乗り込んじゃうかもしれないわね?ふふ、其れは其れで面白そうだけれど。
……さて、そろそろ時間よなのは。」
「お母さん……うん。」
いよいよ、式が始まるね。
私の人生一番の晴れ舞台……バッチリ決めないとだね。
『I think so.』
うん、どんな時でも全力全壊だよね、レイジングハート!――高町なのはとしての最後の仕事、頑張ります!
――――――
Side:志緒
さてと、式が始まって俺は一足先に祭壇の前に立ってなのはを待ってる訳だが……何ともまぁスゲェ式になったもんだなコイツは?
北都が抑えた会場は、東亰でも有数の高級ホテルのチャペルと披露宴会場だし、何よりも参加者がハンパねぇ――なのはの家族と、オ
ヤッさんと女将さん、X.R.Cのメンバーは当然として、バニングス家に月村家、八神一家にハラオウン一家、スカリエッティの所も全員来てる
しN2Rとランスター兄妹、時坂の爺さんに九重先生に吾郎先生、SPiKAのメンバーにBLAZEの面々と鷹羽組の面々……幾ら何でも凄すぎ
んだろ此れは?
……新郎側の参加者が、大分ガラ悪い気はするんだけどよ。
んで、お決まりの音楽が鳴り響いて、士郎さんに手を引かれたなのはの登場だ。ドレスの裾は、ヴィヴィオが引いてな。
ヴァージンロードをゆっくりと歩いて来るんだが……コイツはヤバいな?ウェディングドレスを纏ってるせいか、いつもと雰囲気が違うっつー
か……天使と見紛っちまったぜ。
「志緒君、なのはの事、頼んだよ?」
「士郎さん……ウッス。」
祭壇の前まで到着し、士郎さんから一言だけ言われていよいよって所なんだが……一つだけ言わせてくれ、何だってオメェが神父役なん
だフェイト!
胡散クセェ神父が来るよりはいいかも知れねぇが、お前ちゃんと進行できるのか!?
「だいじょーぶ!僕におまかせ!
なのはもシオも、僕のだいじな友達だから、僕がしんぷさんやくになって2人をいわいたかったんだ!なのはもしんぷで僕もしんぷって言
うのがちょっと意味がわからないけど、だいじょーぶ!」
『新婦』と 『神父』の違いは漢字で書かねぇと分からねぇからな。――まぁ、誰も経験した事のねぇ式になるのは間違いねぇだろうな。
「それじゃーはじめるね!
え~っと……何だこれ?しんろうたかはたしお、なんじはしんぷたかまちなのはをつまとし、すこやかなるときもやめるときも……なんだよ
ながったらしい上にめんどーだなぁ?
なのはもシオもおたがいに好きあってんだから、こんなめんどうな事しなくていいじゃん!」
「オイオイ、其れを言っちゃならねぇだろ。」
「流石はフェイトちゃんと言うか何と言うか。」
「だってさ、神さまにちかうかどうかよりも、だいじなのってなのはとシオのきもちじゃん!
だから僕は言う!なのはもシオも、おたがいをしょーがいのはんりょとしてあいすることをじぶんじしんとあいてにちかいますか!」
滅茶苦茶な理論だが、言ってる事は確かに正しいぜフェイト。
でもって、そんな事聞かれるまでもねぇ……なのはを俺の生涯の伴侶として愛する事を、俺の魂となのはに誓うぜ!
「私も、志緒さんを夫とし、生涯愛する事を、私の魂と志緒さんに誓うよフェイトちゃん。」
「よっしゃー!其れならもんだいなしだから、つづいて指輪のこーかん行ってみよー!!」
間違い無く世界中の何処を探しても、こんなノリの結婚式はねぇよなぁ……って、オイコラ四宮動画撮影してんじゃねぇ。YouTubeやニコニ
コにアップしたら話題になるかも知れねぇが、俺もなのはも有名になりたくはねぇからな。
……披露宴まで終わったら、動画削除させねぇとだぜ。
んで、指輪の交換だが……我ながら奮発したもんだぜコイツは。プラチナのフレームにダイヤモンドと翡翠を埋め込んだリングは、高校の
頃からコツコツと貯めてた貯金の8割を注ぎ込んじまったからな。
だが、一生モンの指輪にケチな事はしたくねぇから、最高の一品を特注した事への後悔はないぜ――何よりも、お前には最高の指輪を送
りたかったからよ。
「ふふ、ありがとうございます志緒さん。」
「此れ位は如何って事ないぜ。」
「指輪のこーかんかんりょー!
それじゃあさいごだーー!!ちかいのくちづけいってみよー!!」
何つーか空気がアレだが……まぁ、式の一番の盛り上がりシーンをすっ飛ばす訳にはいかねぇか――つーか、よくよく考えたら俺もなのは
も交際してからは初めてなんじゃねぇかキスは。
「そ、そう言えばそうかも知れません――でもセカンドキスが結婚式だなんて……でも、だからこそ最高かもしれません。」
「そう言う考え方も有るか……ま、これからも宜しくななのは。」
「はい……志緒さん。」
一拍の後になのはに口付けたが……ファーストキスはレモン味なら、セカンドキスはハチミツ味か?――ハチミツよりも甘いかもだな。
……こう言っちゃなんだが、もっとしたいって思っちまったからな。
「よっしゃー!此れでシオとなのははふーふになった!
それにいろんがある奴はいぎをもーしたてろー!ないやつは、てのひらがはれるくらいにせーだいなはくしゅをしろー!!」
ったく、テメェは最後の最後までだなフェイト?
だが、会場は盛大な拍手に包まれて俺となのはを祝福してくれてるから、嬉しい事この上ねぇ……マッタク持って、最高の式だったぜコイ
ツはよ!
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でもって、式の後と言えば花嫁のブーケトスなんだが……何だってブーケを2つに分けてるんだなのは?
「其れは、私がブーケを渡す相手は決まってるからですよ志緒さん。――璃音さん、空ちゃん!」
「なのはちゃん!?」
「なのはさん!?」
成程……ブーケを渡す相手は玖我山と郁島だったって訳か。
「次は、2人の番ですよ!」
「そう言うこった。
時坂と四宮も、いい加減腹括れや!男が何時までも女待たせるもんじゃねえぞ?――俺と違って、お前等には待たせる理由ってのが
存在しねぇんだからな!」
「志緒先輩の言う通りだよね……洸君、そろそろ結婚しようか?」
「いぃ!?否、俺だってしたくない訳じゃないけど、事務所の方とかが色々めんどくさくないか!?後マスコミも!!」
「そんなの何とかなるから大丈夫だって!いざとなったら美月先輩に頼めばいいし。」
「祐騎君……そろそろ結婚してください。実は葵さんからも、何時結婚するのかって言われてるから。」
「ちょ、空!?姉さんも何言ってるの!?」
「……私と結婚するの嫌?」
「嫌じゃないけど……あぁ、もう!
本当はサイフォン用アプリの開発会社を立ち上げて、其れを株式上場出来るようになってからって考えてたんだけど、此処まで言われた
ら断れないじゃん!」
ま、近い内に新たに2組の夫婦が生まれるかもだな。
何にしても、これから宜しく頼むぜなのは?
「はい、志緒さん♪」
……天国で見てるか一馬?
俺は俺の幸せを手にする事が出来たぜ――そして其れを手放す心算は絶対にねぇから、精々あの世から見守って居てくれや。
なのはの不屈の心と、俺の魂の焔が紡ぐ、此れからのViVidな日々ってやつをな!!
未来への階、全力全壊で行ってやるぜ!!
The indomitable heart and the flame of the soul are not over――Fin
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