Side:志緒
レムの奴、海鳴と杜宮を繋げたとか言ってやがったが、よくよく聞いてみたら、杜宮の九尾の白獣と、海鳴の蒼眼の白龍の力を借りてって
事だったみたいだな?
まぁ、アイツ等の力を使えば、何の矛盾が生じる事も無く、2つの世界を繋げる事が出来るんだろうけどな。
そんなこんなで繋がった世界で、俺はなのはとヴィヴィオを連れて、オヤッさんの店の前に来てる。
日時を確認したら、あっちに行った日と同じで、時間も20分しか経ってなかったか……此れならオヤッさんと女将さんを心配させなくて済み
そうだな。
先ずは、なのはのとヴィヴィオの事を紹介しねぇとな――士郎さんと桃子さんは認めてくれたが、オヤッさんと女将さんにも認めて貰わねぇ
と、俺としてはスッキリしねぇからな。
「その気持ちは、少しだけ分かる気がしますよ志緒さん。
お父さんとお母さん、其れにお兄ちゃんとお姉ちゃんに祝福されたのは嬉しかったんですけど、志緒さんのご両親に挨拶をしないって言う
のは、違うと思いますから。」
「マッタク持ってその通りだな。」
なら、気合入れて行くとしようぜ!――まぁ、オヤッさんは生粋の江戸っ子って感じだから、案外アッサリ俺となのはの事を認めてくれるか
も知れないからな。
女将さんは……まぁ、大丈夫だろうな。
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE147
『This is True Love Makin It』
ウッス、只今戻りました、オヤッさん、おかみさん。
「オウ、戻ったか志緒。何処行ってやがった……ってオイ、随分別嬪な嬢ちゃん連れて来たじゃねぇか!」
「おかえりなさい志緒……あらあら此れは、若しかしてなのかしら?」
「大体予想通りっすよ女将さん。その事でちっとばかし話があんですけど、良いっすかね?」
「良いぜ、なら座敷の方に上がんな――そっちの嬢ちゃん達もな。」
「「はい、失礼します!」」
さてと、何をどう話すべきだろうな?
恐らくレムと、2体の神格の存在によって、向こうの世界とこっちの世界は、杜宮と海鳴が隣り合う都市として存在してる事で繋がってる。
其れを考えると、海鳴で起きた事件に俺が関わってた事をオヤッさん達が知ってる可能性もある訳で……取り敢えず、何処まで知ってる
のか、其れを確かめてからだな。
座敷に上がって、女将さんが茶を持って来てくれて……ヴィヴィオには緑茶じゃなくて抹茶オレっすか此れは?
「そう。安心して、普通の抹茶オレでリンディ茶じゃないから。」
「女将さん、何であの危険な飲み物知ってんすか!?」
「あら、志緒が教えてくれたのよ?
最近知り合ったリンディ・ハラオウンって言う人が、緑茶に有り得ない程の砂糖と牛乳を入れて飲んでたって。」
コイツは完全に予想外だ……まさか、其処まで知ってるとはな。――となると、少なくともなのはの事は知ってる可能性が高いか……自己
紹介しちまえ、なのは。
「はい。
初めまして、高町なのはです――その、志緒さんとお付き合いさせて頂いてます。」
「おぉ!お前さんが志緒の言ってたなのはちゃんかい?
確か3年前だったか?志緒から『高町なのはって言う、一本筋の通った凄い女がいる』って聞いたのは――どんな女傑かと思ってたが、
こんな別嬪さんだったとは、驚いたぜ。」
「貴女が志緒の言っていた……志緒も良い子を見つけたのねぇ?」
ヤッパリなのはの事も……こりゃあ、相当大規模な修正が行われたみたいだぜ。
「なのは嬢ちゃんについては分かったが、そっちの金髪の嬢ちゃんは何モンだ志緒?」
「そうっすね……ほら、自己紹介しな。」
「え~っと、ヴィヴィオです。なのはママと、志緒パパの娘です♪」
「ヴィヴィオちゃんね?志緒となのはさんの娘なの~……って、娘ぇ!?」
「志緒!テメェ、何時の間にガキこさえてやがった!!」
ヴィヴィオ、余計な事まで言うな!
其れと落ち着いてくださいオヤッさん、女将さん!確かにヴィヴィオは俺となのはの娘っすけど、ヴィヴィオは6歳っすよ!?明らかに歳の
差がおかしい事は分かるでしょう!
ヴィヴィオは実の娘じゃなくて、ちょっととある事件に巻き込まれて親を喪っちまった孤児で、俺となのはが保護して身元引受人になって養
子にする事にしたんすよ――言うのが遅くなっちまいましたが。
「成程そう言う事か。
だが志緒、オメェとなのは嬢ちゃんが其の子の親だって事は、つまりはそう言う事なんだよな?」
「ウッス……俺はなのはと結婚しようと思ってます。其れを伝える為に連れて来たんすよ。――俺となのはの結婚を認めてもらいたくて。」
「そうねぇ……なのはさん、貴女は志緒で良いの?
貴女ほどの子なら、志緒よりもいい相手が居ると思うけれど……」
「志緒さんが良いんです。志緒さんじゃないと嫌です!
志緒さんとはずっと前に出会ってて、その時から好きだったんです……でも、最近再会するまで10年も会ってなくても、其れでもその思
いは変わりませんでした。
私は志緒さんが好き――いいえ、愛しています。志緒さん以外の人との結婚なんて考えられませんから。
何よりも、ヴィヴィオが私と志緒さんの事を親だと思ってくれてるんですから、志緒さん以外だなんて有り得ませんよ。」
……其処まで言われると若干照れるが、此処まで思われてる俺は果報者だぜ。
加えて、俺達の気持ちもだがヴィヴィオの事を考えると、俺となのはが夫婦にならなきゃ嘘だしな……そんな訳で、駄目っすかオヤッさん、
女将さん。
「俺達が如何かよりも、志緒、オメェなのは嬢ちゃんの親御さんとは話したのか?」
「ウッス、先になのはの両親と家族に話しました。
思ってたよりもアッサリ了承されちまいましたよ……尤も、なのはの兄貴とは一発決闘ブチかましたっすけどね。」
「そうか……なら、俺から言う事は何もねぇ。あるとしたら、なのは嬢ちゃんとヴィヴィオ嬢ちゃんを必ず幸せにしろって事だ。」
「なのはさんの親御さんが認めたのならば、私達が言う事は何もないわよ志緒……だけど、夫に、父親になると言うのは生半可な事では
ないから、確りとね?」
「オヤッさん、女将さん……ウッス、肝に銘じます!」
「ありがとうございます!」
「良かったね、ママ、パパ♪」
マッタクだぜ……此れでなのはの両親にも、オヤッさんと女将さんにも認められたから晴れて結婚できるからな――後で北都に結婚式場
を見繕って貰わねぇとな。
んで、其の後は話に花が咲いて、色々と話し込んだ結果、夜も更けちまったんでなのはとヴィヴィオは泊まってく事になったんだが、まさか
2人とも俺の部屋で寝る事になるとは思わなかったぜ……まぁ、良いけどよ。
でもって翌日は、なのはとヴィヴィオを連れて杜宮観光だ――店を休みにしてくれたオヤッさんの心遣いに感謝だぜ。
先ずは、杜宮記念公園に行ったんだが、ヴィヴィオがスケボーパークに興味を持ったみたいで、試しにやらせてみたら、最大難易度のBコ
ース上級を5回チャレンジでクリアしやがったぜ……俺が思ってた以上に運動神経が良いのかもなヴィヴィオは。
「かも知れませんよ?
こんな事言うのはアレですけど、ヴィヴィオは最高評議会が切り札として生み出した子ですから、基本的な身体能力が高めに作られてて
もおかしくありませんし。」
「確かにその可能性は否定出来ねぇな。」
だが、そう言う事なら俺とお前で其れを正しい方向に伸ばして良きゃいいだけのこった。
デカい力ってのは、使い方を間違えなければ必ずいい方向での結果を出してくれっからな――俺や、お前みたいにな……だろ、なのは?
「ですね。――ヴィヴィオー、そろそろにしてクレープでも食べない?」
「クレープ?うん、食べるーー♪」
はは、すっかり母親が板についてんななのはは。
んで、屋台のメロンクレープ食った後はアクロスタワーにだ。
運良くロビーにはモリマルが居たから、ヴィヴィオと一緒に写真を撮らせて貰ったぜ――保護した時のことが影響してるのか、ヴィヴィオが
やたらとモリマルに懐いて、モリマルが少し困惑してたけどな。
そしてそれ以上に運が良かったのは、アクロスシアターでSPiKAのライブをやってたって事だ。
流石にチケットなしじゃ入れねぇだろうと思ってたんだが、時坂の奴が『内緒っすよ?』って言いながらステージ裏からライブを見せてくれた
から、ヴィヴィオにも良い物を見せてやる事が出来たぜ――時坂には、今度何か奢ってやらねぇとな。
んで、昼飯はヴィヴィオが『ハンバーガーがいい』って言うもんだから、駅前の『モズバーガー』で済ませたぜ。
全員ポテトとドリンクが付くセットメニューで、俺が牛カツバーガー、なのはが海老カツバーガー、ヴィヴィオはエッグてりやきバーガー。
後は其れに、16Pのナゲットを付けてだな。
中々旨かったのは事実だが、それ以上に俺もなのはも、手と口をてりやきのタレで思いっきり汚しながら旨そうに食べるヴィヴィオに見入
っちまったな……親としては困る所なんだろうが、こうやって食うのは子供の特権だから注意すんのは無粋だしな。
腹を満たした後は、なのはの希望で繁華街である蓬莱町にな。
其処のゲーセンで、なのはが『ゲート・オブ・アヴァロン』で次々とレベルを上げて行って、怒涛の11人抜きで時坂と同じレベル12になって
全国ランキングに名を連ね、ヴィヴィオも『みっしぃパニック』で本日の最高得点を叩き出してたからなぁ……意外とゲーマーの才能がある
のかも知れないぜ。
「そう言いつつ、志緒さんも『ドラゴンボールZENKAI』で、アルティメット悟飯使って全国ランキング1位になってましたよね?」
「オンラインでタッグになったブルーベジータのおかげだけどな。」
取り敢えずゲーセンを堪能した後は、カラオケってとこだったんだが、その前にアキに会ってな。
なのはとヴィヴィオの事を聞かれたから、嫁と娘だって紹介したら、何を暴走したのか、なのはとヴィヴィオの年齢から、13の時のなのは
を俺が孕ませたって妄想に至ったらしく『犯罪っすよ志緒さん!』とか言って来たから、取り敢えず殴って黙らせたぜ。
前に時坂にも同じことを言われた事があるが、オメェもかアキ!――ったく、揃いも揃って……俺はロリコンじゃねぇからな。
そんなこんなで、時は過ぎて行って、士郎さんと桃子さん、オヤッさんと女将さんに認めて貰ってから、10日が経ち、遂に俺となのはの結
婚式の日がやって来たぜ。
コイツは、最高の式にしねぇとだな。
To Be Continued… 
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