Side:志緒


最終決戦から1週間が経って、ミッドチルダの復興も大分進んで来たな?――まぁ、建物の被害は其処までじゃなかったみたいだからこ
その復興具合なのかも知れねぇがな。



「スバル、こっちにセメントくれ。」

「はいよ~~♪」



でもって、現在も復興の真っ最中だ――ナカジマ姉妹の息の合ったコンビネーションで復興作業は可成り捗ってるがな……ったく、よく働
くモンだぜ。

ま、これならミッドが完全復旧するのは時間の問題だ――つー訳で、そろそろ海鳴に行かねぇかなのは?



「そうですね……ミッドの復興も一段落しましたから、ここいらで海鳴に行くのも良いかも知れませんね?
 ヴィヴィオの方も昨日で検査入院が終わって、身体は何処も異常が無いって事でしたから、海鳴に行っても問題ないと思いますし。」

「なら決まりだな。
 ……にしても、ランスター妹は完全にあの力を使いこなしてる所か、グリードの事手懐けてやがるとは驚いたぜ……まさか、グリード使っ
 て街の復興を手伝うとは思っても見なかったからな?
 北都、お前の所でアイツ引き取ったら如何だ?異界のアレコレが色々と研究できるんじゃねぇか?」

「そうですね……いえ、止めておきましょう。
 彼女の力は余りにも特殊過ぎますし、誰もが使える物ではありません……下手に藪をつついてアナコンダが出て来たら大変ですし。」

「ま、其れもそうだな。」

まぁ、アイツ自身もテメェの因縁に決着を付ける事が出来たんだから、道を誤るようなことはねぇだろうしな。

そんじゃまぁ、もう一働きしたら海鳴に行ってみるとすっか!












リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE146
『新たな一歩を踏み出す覚悟』











つー訳で、3年ぶりに海鳴にやって来たぜ。
こっちの世界では10年が経ってるって事だったが、あんまし街並みが変わった様子はねぇな?……所々店の看板が違うモノになってる
みたいだが、建物の配置とかは特に変わった様子はねぇし、海鳴臨海公園も10年前のままか……色々と懐かしいぜ。



「ここがママの居た世界?」

「うん、そうだよヴィヴィオ。」

「でもってこの公園は、10年前になのはとフェイトが史上最強の大喧嘩をやらかした場所だ。」

「えぇ!?ケンカは駄目だよママ!!」

「喧嘩じゃなくて手加減なしの真剣勝負をしただけだからねヴィヴィオ!?
 も~~!変な事言わないで下さいよ志緒さん!」



悪い悪い、どうしてもあの手の一戦を見ると、俺の中ではテメェの力を全開にしてやった大喧嘩と思っちまってな……まぁ、アンだけのガチ
勝負の後で分かり合えたんだから、全力の喧嘩ってのも間違いじゃねぇと思うけどよ。

時になのは、翠屋の方は時間は大丈夫なのか?
あの店は可成り繁盛してたから、ランチの時間が終わった後でも次の回転の時間までの仕込とかが結構あったように記憶してんだが…



「あ、其れは大丈夫です。
 お姉ちゃんや忍お姉ちゃんも手伝ってくれてますし、最近はすずかちゃんやアリサちゃんだけじゃなくてノエルさんやファリンさんも手伝っ
 てくれてるみたいですから。」

「そうなのか?……ってか忍お姉ちゃんだと?」

「アレ、言ってませんでした?お兄ちゃんと忍さんは結婚したんです。
 なので、忍さんはお姉ちゃんになって、すずかちゃんは妹になった訳です――なので、ノエルさんとファリンさんは私のメイドさんでもある
 訳なんですよ……」

「10年の間に、色々有ったんだなオイ……」

ま、悪い事じゃねぇけどよ。

で、そんな事を話してる間に翠屋に到着だ。此処がなのはの実家だぜヴィヴィオ。



「お店?」

「翠屋って言う喫茶店が私の実家なんだよねヴィヴィオ。
 自慢じゃないけど海鳴では結構な有名店だったんだよ?……その話を聞きつけたグルメ雑誌の取材を受けて、雑誌に掲載されてから
 は全国区の人気店になっちゃったけど。
 最近はクッキーとかマカロンとか、日持ちする焼き菓子はネット販売も始めたらしいし。」

「スゲェ事になってたんだな翠屋も。」

「そうなんですよ。
 でも、やっぱり目玉商品のシュークリームを目当てに県外から来る人も居るみたいで、もう嬉しい悲鳴を上げてますよ。」

「ママのお店のシュークリームってそんなに美味しいの?」



美味いなんてもんじゃねぇぞヴィヴィオ?
一度桃子さんのシュークリームを食ったら、そんじょそこ等のシュークリームじゃ全然満足できなくなんぞ?――実際に杜宮に戻って暫く
の間は、女子共は杜宮の喫茶店とかケーキ屋のシュークリームじゃ満足できなくなってたからな。



「お母さんのシュークリームは天下一品ですから。
 そのシュークリームはきっと用意されてると思うから楽しみにしててねヴィヴィオ?」

「うん!」

「其れじゃあ、行きましょう!ただいま~~~!!!」



んで、店のドアを開けてただいまってな。
お久しぶりっす、桃子さん、士郎さん。



「おかえりなさいなのは。其れと、久しぶりね志緒君?」

「10年も経ってる筈なのに、君はあまり変わらないね?」

「まぁ、俺の方は3年しか経ってないっすから、あんまり変わってはねぇと思います……そう言う事だから、お前には歳越されちまったな美
 由希……否、歳上になったからさんを付けるべきか?」

「いや、今まで通りでお願い志緒さん。
 志緒さんにさん付けで呼ばれるのとか、スッゴク違和感があるから。」

「そうか。なら今まで通り呼ばせて貰うとすんぜ。」

「お姉ちゃんはやっぱりそうなるよね……2個年上だった人が、行き成り6個も年下になったらね。
 帰って来て早々だけど、紹介するねお父さん、お母さん、お姉ちゃん。娘のヴィヴィオだよ。」

「えっと……ヴィヴィオです。」



ってオイ、行き成りヴィヴィオを娘として紹介すんのか!?
幾らなんでも其れは如何かと思うぞなのは……19歳の娘が如何小さく見積もったって5歳位の子供を娘だって連れて来たら驚く……筈
はねぇか。



「娘って……あらあら、何時の間にか私はお祖母ちゃんになってたのね?
 50になる前に孫をこの手で抱きたいとは思ってたけど、其れが叶うなんて思っても居なかったわ~~!其れでなのは、旦那様は誰な
 のかしら?」

「志緒さん♪」



待てやオイ、色々ぶっちゃけ過ぎだろ流石に。
何を流れるような会話で、色々と大事な事ぶっちゃけてやがんだ?……つーか、アンタも見てないで止めて下さいよ士郎さん。



「いやはや、昔からなのはと桃子さんの会話には割り込むのが難しくてね……何よりも志緒君が来た事と、なのはが娘を連れて来たって
 いう衝撃が大きくて、入るタイミングを逃しちゃったんだよ。」

「まぁ、其れなら仕方ねっすけど……」

取り敢えず、先ずはどっかに座って話をしようぜ?
立ち話ってのは落ち着かねぇし、此れから話す事は立ち話でするような事でもないからな……



「あら、其れもそうね?
 其れじゃあなのはと志緒君とヴィヴィオちゃんは、奥の10番席で待っててくれるかしら?直ぐにコーヒーを持って行くから♪」

「あ、まぁお構いなく。」

で、桃子さんに言われた通りに10番席に行って待つ事3分……香ばしいコーヒーと、出来立てのシュークリームを桃子さんと士郎さんが
持って来てくれたぜ。
ヴィヴィオにはコーヒーじゃなくて、キャラメルミルクってのは桃子さんの気配りだろうな。



「其れじゃあヴィヴィオちゃん、遠慮しないで食べてね?」

「いただきまーす!(モグモグモグ……)美味しー!!」

「其れは良かったわ♪」



如何やらヴィヴィオもまた桃子さんのシュークリームの虜になったみたいだな?
口の周りにクリームくっつけながら、笑顔で食べてる様を見てると、こっちまで幸せな気分になって来るぜ――このヴィヴィオを写真に撮
って、其れにロゴとか文字入れてポスターにしたらいい宣伝になりそうだしな。

其れは兎も角、士郎さん、桃子さん、俺が今日此処に来たのは、2人に大事な話があるからなんです。
まどろっこしいのは苦手なんで、単刀直入に言わせて貰いますが……俺になのはを下さい。――前にこっちに来た時までは、あまりにも
歳が離れてたんで意識はしてなかったんすけど、今回こっちに来て、成長したなのはに男として惚れました。
もっと言うなら、こっちでは10年も経ってるのに、なのはは俺の事を想ってくれていた……其処まで俺の事を想ってくれていた、なのはに
男として応えねぇのはなってねぇと思うんです。

なのはの事は絶対に幸せにするから、俺にくれませんか?



「了承。志緒君ならマッタク持って問題ないわ――と言うか、なのはの旦那様は志緒君しか居ないと思ってた位だから♪」

「クロノ君やユーノ君も中々の好漢だったけど、なのはを任せられるかと言ったらちょっとね……僕もなのはの結婚相手は志緒君しか居な
 いと思ってたから反対する理由はない。
 何よりも志緒君は、僕が審査する必要もない位に腕っ節が強いしね……正になのはの伴侶としては理想的だ――娘を、なのはの事を
 宜しく頼むよ。」



って、アッサリとOKされたな?
こう言っちゃなんだが、もう少し何らかの抵抗があると思ってったんだが、拍子抜けする位にアッサリと認められちまったぜ……そんだけ、
桃子さん達に信頼されてるって事なんだろうけどな……まぁ、面倒な事が無くて良かったと言えば良かったな。

可也ノリが軽い感じで終わったが……まぁ、桃子さんとヴィヴィオは良い感じに仲良くなったみたいだし、話を聞いて駆け付けた恭也さん
も認めてくれたから、ホントにいい事尽くめだぜ。

まぁ、恭也さんとは道場で一騎打ちをしたけどよ。


何にせよ、これでなのはとの結婚は出来るようになった訳だが……この事は杜宮のオヤッさん達にも伝えたい事だ――だが、現状では
其れは難しいか……あのゲートがまたいつ開くかは分からねぇからな。



――ヒィィィン!



「「!!!」」


って、この気配はテメェかレム!



『正解。
 今日はちょっとした報告だよ……だいぶ時間が違う空間だから簡単じゃなかったけど、海鳴と杜宮をゲートを使わずにくっつける事が出
 来たから、其れを教えておこうと思ってね。
 此れから先、海鳴と杜宮の行き来は誰でも自由に行う事が出来るようになったと言う訳さ……まぁ、僕からのプレゼントだよ。』




海鳴と杜宮を直接つないで自由に行き来できるようにしたとか、テメェの力も中々トンでもねぇなレム?
だが、そいつには感謝するぜ……此れで、杜宮のオヤッさんとおかみさんになのはの事を紹介する事が出来るからな――!

コイツは、オヤッさんの驚く顔が目に浮かぶぜ。










 To Be Continued…