Side:アインス


グランセル城での一夜を明かした私達は、朝一番でグランセル城出立……するより前に朝食が準備されていたので、其れを食べてから超速でギル
ドに行き、ギルドに到着すると同時にエルナンに事情を話した。
そして予想通り、アリシア女王直々の依頼となれば遊撃士協会の規定も無視出来ると来たから、此れで遠慮なく出来る。
エルナンは、『遊撃士協会グランセル支部は、全力で人質の救出にあたりたいと思います』と言ってくれたし、ジンを筆頭に、クルツ、カルナ、グラッツ
、アネラスと言った腕利きの遊撃士も協力してくれる事になった。
……クルツの様子が少しおかしくなったのが気になったが、本人が『大丈夫だ』と言っているのならば、今は其れを信じる事にしよう――確かに、もう
顔色は元に戻っているしな。



「出来れば、他の支部の遊撃士にも協力を頼めれば良かったのですが……すみません、軍に先手を取られて今朝早く関所と発着場が完全に閉鎖さ
 れてしまいました。
 今からじゃ、援軍を集めるのは難しいと思います……人質の救出は此処に居る戦力だけで遂行するしかありません――厳しいでしょうが……頑張
 って下さい!」

「ア~~ッハッハ~~!!だいじょーぶだいじょーぶ!
 ここにいるみんなはスッゴク強いし、僕だってとっても強い!そんでもって、えすてるのなかにいるクロハネはもんどーむよーで最強だから、ひとじち
 はぜんいんたすけられるって!!
 シュテルンが、『戦いにおいて勝負を決めるのは、戦力の数ではなく戦力の質です』っていってたし!!」

「ソイツは至言だな。
 ところで、人質が捕まってそうな場所は何処か、見当はついてんのかい?」

「まだ確実な情報はありませんから、私の推測でしかないのですが……最も怪しいのは――」



――カランカラン



さて、此れから人質が捕まって良そうな場所を聞こうと言う所でギルドの扉が開き、入って来たのは――



「ドロシー!?如何したの!?」



息を切らせたドロシーだった。
彼女は入って来るなり『ナイアルが来ていないか?』と聞いて来たのだが、エステルが『この間から会っていない』と答え、ヨシュアが『彼に、何かあっ
たのか』と聞くと、ドロシーは『ナイアル先輩が死んじゃう!』と言って泣き崩れてしまった……いやいやいや、何があったかは知らないが、あのナイア
ルが簡単に死ぬとは思えんのだがな?
取り敢えず、先ずは事情を聞いてみるか。









夜天宿した太陽の娘 軌跡76
『人質解放とエルベ離宮の奪還だ!』









ヨシュアがドロシーを落ち着かせ、事情を聞いた所によると、ナイアルはヨシュアから頼まれたリシャール達のプロフィールを纏めた書類を『機密書類』
としてドロシーに預け、『取材に出かける、明日の朝には編集部に戻ってくるつもりだが、万が一戻らなかったら俺の身に何か起きたと思ってくれ。そ
の時は、その書類を遊撃士協会に届けてくれ』と言っていたとの事。
それ以来ナイアルと連絡が取れなくなってしまったと言う事か……成程、確かにそんな状況では『ナイアルが死んでしまう』と思うのも無理はない。
ドロシーは其処まで言うとまた大泣きしてしまったが、其処は流石のヨシュアが『ナイアルが何処に取材に行ったかは聞いていないか?』と問い、ドロ
シーが首を横に振ると、今度は『ナイアルが話していた事を何でもいいから思い出してくれ』と来た……成程、其処から何かヒントを掴もうと言うの訳
か……矢張りこの手の事はヨシュアは巧いな。



「そう言えば先輩……あのね、リシャール大佐が……リベールのお姫様の結婚相手を捜してるって……」



あ゛?今なんつったコラ?リシャールがクローゼの結婚相手を捜しているとか、至極フザケタ話が聞こえた気がするんだが?クローゼは私のだ、他の
誰にも渡さん!!例えそれがリシャールの眼鏡に適った奴であってもだ!!



《ちょ、落ち着いてアインス!》

《此れが落ち着いて居られるかぁ!!》



――シュン!!



「今の話は本当かドロシー!」

「あ、アインスちゃん?そ、そうなの。
 先輩が通信機でお友達とお話ししてて、実はね……姫様、テロリストに狙われているらしいのー……それで、ナイアル先輩のお友達のお勤め先に
 かくまわれているんだってー……」

「ドロシー、その場所は分かるか?」

「えっと……」

「そのクローディア殿下が捕らえられているのは、もしかして……」



そう言ってエルナンが地図を持って来てある場所を指差すと、ドロシーは大きく頷いて肯定した……その場所は、エルベ離宮!!
如何やらドロシーの証言で、エルナンも確信したらしい――エルベ離宮は、元々はリベール王家の小宮殿だが、今は情報部がテロ対策捜査本部と
して使用しており、敷地内どころか、周辺の周遊道すら情報部以外の人間は立ち入れないと来れば、此処以上に人質を監禁しておくのに適してる場
所も無いだろうからね。
ドロシーに『ナイアル先輩も助けてあげて!』と言われ、即王都を出立して、一路エルベ離宮に……当然の如く凶暴化した魔獣が襲い掛かって来た
が、この程度で私達を止められると思うな!!

「道を開けろ雑魚共!おぉぉぉ……この炎で送ってやろう!」

「遅い!!」

「ったく、この魔獣共が自然とガードマンになってたとはな……せいや!」

「うおりゃー!ぶっとべー!!」



はい、瞬殺!
時に、エステルが表に出てる時に使うアーツを利用した炎の技の時の炎は赤いのに、私が表に出て同じ技を使うと青色になるのは何故なのか……
エステルは光で、私は闇と言う事なのかも知れんな。赤き炎は明るい太陽の炎、青き炎は仄暗い闇の炎と言う事か。
私が闇でエステルが光ならば、私達に敵はない――光と闇が生み出す混沌の力の前には、ありとあらゆるものが無力になるのだからな!

《時にエステル、リシャールがクローゼの結婚相手を捜してると聞いて、思わず代わってしまったが、このままで良いのか?》

《いいわよ?
 だって、囚われの御姫様を助け出すのは騎士様の役目でしょ?其れに、アタシが助けるよりもアインスが助けた方がクローゼも喜ぶと思うし。》

《その心遣いに感謝する。》

しかしナイアルめ、遊撃士でもないのにこの森を一人で通り抜けようとは無茶をする……無事にエルベ離宮に辿り着け――ない方が、ナイアルの身
の安全を考えたらいいのか?



「そうだよアインス。
 ナイアルさんが離宮で情報部に拘束されたとして、もしも彼が報道関係者で此れまでの事件の真相を全て知っている事がバレてしまったら……情
 報部は彼を放ってはおかないよ。」

「矢張りそうなるか……!」

「だから!俺達は一刻も早く!その記者さんと人質の皆を助けねぇとな!!」

「特務兵の陽動は私達に任せてね!新人君達も、作戦通りに頼んだよ!」

「あぁ、了解した。」

とは言え、此のまま行くと言うのもアレなので、陽動を担当するクルツ達に今使える身体強化系アーツを全て重ね掛けしておいた――攻撃系アーツ
は追加効果が発生しなくなる代わりに威力が高くなる私だが、補助系アーツの場合は単純に強化率が上がるみたいだからね。



「味な事をするじゃないか……だけど、此の作戦で一番大変なのは、離宮の内部に突っ込まなきゃならないアンタ達なのを忘れるんじゃないよ!」

「私達が敵を出来る限り離宮の外に誘き寄せる!突入出来ると判断したら、此方に構わず人質の救出を開始してくれ!」

「了解しました!」

「気を付けろよ!」

クルツ達に特務兵の陽動を任せ、私達は一路エルベ離宮に!



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そうしてついにエルベ離宮に辿り着いたのだが、中々警備に穴が開かないな……恐らくだが、まだ離宮内には可成りの数の特務兵が残ってる筈。
私達が突入するには構わないが、大勢の人質を守りながら脱出するとなると少しばかりきついか……エルベ離宮を吹き飛ばしても良いと言うのであ
れば、あの数が相手でも何とかなるがな。



《アインス何をする心算?》

《人質を全員救出したら、エルベ離宮ごと特務兵達を全属性の上位アーツを複合した疑似スターライト・ブレイカーで吹き飛ばしてしまおうかなって。》

《うん、絶対やめて。そんな事したら、指名手配されちゃう。》

《矢張りダメかこの手は。》

とは言え、クルツ達の方にもかなりの数の特務兵が向かった筈……此れ以上相手にさせるのは、強化系アーツを使ったとは言えキツイだろうな。



「……あと一手……せめて、入り口付近の一団だけでも捌ければ、少しは勝算が出て来るんだけど……」

「成程な……その役目、我々に担わせていただこう。」



っと、突如森の中から現れたのは、この前のシスター?……いや、違うな。
あの時、何処かであった気がしたがここに来て確信したよ――協会勤めのシスターは、協会の『騎士』でもない限りは剣を持つ事は無い。であるにも
関わらず剣を持って現れたお前はシスターではない……そうだろう、ユリア?



「ふ、君にはバレていたかアインス君。
 自分の無力さに打ちひしがれていたあの時の私を、君達は希望の光で照らしてくれた……ならば逆も然り!
 王室親衛隊ユリア・シュバルツ中尉と、以下同隊員八名、貴殿等の作戦に協力させていただきたい!」

「願ってもない事だよユリア……だが、リシャールに捕まってはいなかったんだな?」

「ああ、追っ手を躱せた一部の親衛隊員は夫々の方法で王都に潜伏して機会を待っていたんだ――遊撃士協会の決断に感謝する!必ずや人質を
 救出して欲しい。
 如何か、姫殿下を頼む!!」

「言われずともその心算だ。」

その後、ヨシュアがユリアが人質を救出している事を知っているのか警戒したが、ユリアが言うには『親衛隊は、情報部も知らない特殊な連絡方法を
持っている』と来た……何となく予想が出来たが、『種明かしは人質を救出してからにしよう』と言われては、先ずは人質を救出せねばだな。
よし、行くぞ!!



「自分達が前庭の残存兵力を引き付けます!その隙に離宮内部に突入ください!」

「クロハネ、僕もここでしんえーたいといっしょにあいてをひきつけるから、いって!僕がおーたちまわりしたほーが、より敵をひきつけられるモン!」



レヴィ……アホの子のくせに、中々考えるじゃないか。
ならばこの場はお前達に任せる――其れとレヴィ、敵を引き付けるのがお前の役目だが、しかし倒してしまっても一向に構わないからな?寧ろ、一
時間位は目が覚めないレベルでのしてくれて構わんさ。



「よっしゃー!!いっくぞー!パワーぜんかーい!!雷神滅殺極光斬ーーー!!」



レヴィの大技と共に親衛隊と特務兵達の戦いが始まり、私達はその混乱に乗じてエルベ離宮内部に。クローゼやナイアルが囚われてる場所は何処
だ?



「『紋章の間』だ!
 今回の人質は可成りの大人数だと考えられる。セオリー通りに一ヶ所に集められているとしたら、全員を収容できる部屋は其処しかない。」

「『紋章の間』……建物の一番奥にある大広間だな?分かった、急ごう。」

「おう!」

目的地が分かって居るなら、後は最短ルートを通って行くだけの事。
離宮内の特務兵や、特務兵と共いた魔獣が襲い掛かって来るが、ハッキリ言って私達の敵ではない……私のアーツ付き棒術に圧倒され、ヨシュア
のスピードに幻惑され、ジンの重い一撃で一網打尽にされる。
……掌打一発で四、五人吹き飛ばすとか、今のはもう掌打じゃなくて覇王クラウスが使っていた覇王断空拳じゃないないのか?何と言うか、初めて
会った時から、物凄い強さだとは思っていたが、漸く思い出したよ。
ジン・ヴァセックと言えば、『不動のジン』の二つ名を持つ、共和国にその人ありと言われたA級遊撃士だったな。

何故最高ランクの遊撃士が私達の力になってくれたのか……どうやら、ジンは数カ月前にある人物から『リベールで大変な事が起こりそうだから手
伝いに来てくれ』との手紙を貰っていたらしい。序に、『見習い遊撃士の娘と息子に会ったら宜しく』とも言われていたらしい。
成程、ヒルダが私達の事だけでなくヨシュアの事も知っていたのは、矢張りアイツが……



《アインス、其れって!》

《カシウスで間違いなかろうよ。》

先見の明がある奴だとは思っていたが、まさか今回の事態を予測していたとはな……此れまで色々な人間を見て来たが、カシウス程に先を見通す
奴に出会ったのは初めてだ。
そして其れだけではなく、時には厳しくもエステルは勿論、血の繋がっていないヨシュアや、ある日突然エステルに憑依してしまった私にまで優しく接
してくれるのだ――私は父親と言うモノは知らないが、カシウスは理想の父と言う奴なのかもな。

如何やらジンはカシウスに恩があるらしく、紋章の間の入り口前で、追っ手を喰い止める役を買って出てくれた……ならば私達は、紋章の間の前に
いる門番を倒すだけだ!!



「なんだ、何者だ!」

「アイツ等、武術大会で優勝した遊撃士協会の……」

「御託は要らん……ゴチャゴチャ言わずに道を開けろ!!滅殺剛金剛!!」

「遅い!!」



その門番も、私の自己強化アーツ+火属性&地属性付与の金剛撃と、ヨシュアの絶影で速攻撃滅……今のヨシュアの絶影、一般人には一発に見
えるだろうが、実は三連続で攻撃していたな?……常人の目には映らぬ速さ、ヨシュアは縮地を会得しているのかもな。
だが、これでもう邪魔するモノはない!!

「たのもー!クローゼ、ナイアル、無事か!!」

「アインス……扉は普通に開けようよ。如何して蹴破るかな……」

「扉は蹴破るモノだろう?と言うか、蹴りで開けはしたが、壊してはいないぞ?……私の蹴りで壊れないとは、エルベ離宮の扉は化け物か?」

「まぁ、最上級の部材で出来てる事は間違いないかな。」



だろうな。
取り敢えず部屋の中を見渡すと……ナイアルは居た。そして……



「アインスさん……本当に助けに来てくれたんですね?」

「約束したからな。」

クローゼもな。
ルーアンで見た時とは違って髪が長いが、この短期間で此処まで髪が伸びる事は無いから、此れはウィッグだろう……だがしかし、何でドレス姿?
人質として収容しておくのならば、ジェニス王立学園の生徒として収容しておく方が都合が良いと思うのだが……



「リシャール大佐に捕まった時はそうだったんですけれど、此処に囚われている皆さんを安心させる為に、此の格好をする事にしたんです。リベール
 の王女が一緒ならば、少しは安心出来るかと思いまして。」

「成程、お前の考えだった訳か。」

でだ、その直後にユリアを始めとした親衛隊のメンバーとレヴィが合流した……ジンは来なかったが、如何やらクルツ達の方に助っ人に行ったらしい
な……と言う事は、少なくともエルベ離宮内の特務兵は全滅した訳だ。
ジークも合流し、エルベ離宮は完全開放されたと言っても良いだろう……と言うか、ユリアが言っていた特殊な連絡方法とはジークだったんだな。
そのジークは、ユリアから『人質解放』を記した新たな文書を持たされてグランセル城に向かって行った……アレがアリシア女王に届けば、全てが巧
く行く筈だ。


とそう思っていたのだが、私とヨシュアがぶちのめした特務兵が目を覚まし、『グランセル城に最大級の人質が居る事を忘れるな!』と言って来た。
クローゼは『お祖母様に何をする心算ですか!』と問うたが、特務兵は『さぁな』と言うと、『定期連絡が途絶えれば、エルベ離宮で異変が起きた合図
になり、グランセル城にいる同胞に事が伝わるのも時間の問題……今から城に急いだところで女王は救えない!何もかもが手遅れだ』と抜かしてく
れやがったか……だがな、

「それが如何した?」

「むべ!?」



特務兵の頭を踏みつけ、そして棒術具で頬をグリグリとこねてやる……屈辱だろうな此れは。
確かに、お前の言う事にふかしがなければ此の状況は限りなく詰みに近いのだろうが、王を守る最強の飛車と角が健在だと言う事を忘れてるんじゃ
ない……特に角は、私が表に出てる時に限り、成って最強の竜と化すのだからな。
見せてやろう、詰み寸前からの逆転勝利と言うモノをな……そして知るが良い、諦めなければ未来が見えると言う事を。……砕け得ぬ闇事件の時、
未来からやって来た青年の受け売りだが、中々に的を射ていると思うな。

「だから諦めるな!!行くぞ、ヨシュア、レヴィ!」

「うん、行こう!」

「よっしゃー、カチコミだー!!」



レヴィ、だからそれは……いや、今回に限っては間違いではないか。



「待って下さいアインスさん、私も連れて行って下さい!」

「クローゼ?」

「お祖母様の身に危険が迫っていると言うのなら、私だけ黙って見ている事なんて出来ません!」



此処でクローゼが一緒に行くと名乗りを上げたか――ユリアは『危険です!』と言っているが、クローゼは頑として譲らないみたいだな……クローゼ
はアレで自分が決めた事は梃子でも曲げない頑固さがあるから、こう言い始めたら聞かんだろうさ。
孫の心配をしないお婆ちゃんが居ない様に、大好きなお婆ちゃんの心配をしない孫は居ないからな。

「ジェニス王立学園の制服に着替えるのに最速でドレ位掛かる?」

「二分半……いえ、二分あれば。」

「一分。」

「そ、其れは流石に無理です!」

「二分と言えば二分半かかる。一分の心算で一分半なら上出来だ。」

「そう来ましたか……分かりました、一分の心算で着替えてきます。」



そして一分十秒後にはジェニス王立学園の制服に着替え、腰にレイピアを携えたクローゼが現れた……うん、やっぱりクローゼはショートカットでジェ
ニス王立学園の制服の方が良いな。



《そう?あのドレスも素敵だと思うけど……》

《ドレスでは、制服のスカートだからこその絶対領域が存在しないからな。》

《絶対領域って何?》

《スカート下から膝までの……魅力満点の太ももだ!クローゼの絶対領域は健康美と機能美と外見美を備えた最高のモノだと思う!異論はあっても
 全力で無視する!!》

《思考がぶっ飛び過ぎじゃない!?》



クローゼが無事と分かって、私もホッとして箍が外れてるのかも知れん――だが、此処からはスイッチを切り替えだ。
アリシア女王からの依頼は完遂したが、今度はその女王の救出だからな……大丈夫、私達ならばやれるさ。私とエステルとヨシュアは、最高のバデ
ィなのだから!!








――――――








Side:ジョゼット


なんか情報部がバタバタしてたから、その混乱に乗じて飛行艇を奪って、王都ともおさらばだよ!!此のまま外国高飛びだーー!!



――ガクン……




って、アレ?キール兄、なんか飛空艇落ちてない?



「ヤバいな、エンジンが停止しちまった。」

「嘘でしょ!?」

「ところがどっこい、マジなんだな此れが。……こりゃ、少しでも墜落の衝撃を和らげるための事を考えねぇとな……幸い舵は効くから、落ちる場所は
 選べる……よし、あの森に突っ込むぜ!木がクッションになってくれんだろ!!」

「そんなーーー!!」

何て言うか、ドルン兄が計画したあの事件以来、僕達は碌な目に遭ってない気がするなぁ……此れも、悪い事した罰なのかな?――だとしたらもう
許してよ!!反省はしてるから!僕達がやった事は悪い事だったって思ってるから!!


そんな僕の願いが通じたのか、飛空艇は木が生い茂った場所に墜落して僕達は無事だった――だけど、墜落したその場所で、まさかの再会がある
とは思わなかったけどね。










 To Be Continued… 





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