Side:アインス


アクシスピラーの最上部では、先ずリバースユニゾン状態の私が剣帝と戦ったのだが、その後はヨシュアにバトンタッチして今度はヨシュアと剣帝が向かい合う状況になった。
総合力では剣帝の方が圧倒的に上だが、スピードと死角を突く事に関してはヨシュアの方が上で、剣帝は私と戦った際の疲労と左肩のダメージがあるので総じては剣帝僅かに有利と言ったところだが、ヨシュアも剣帝も互いの手の内は知り尽くしているだろうから簡単に決着とはならないだろうね。



「私とした事が抜かりました。『団結の力』のカードを持って来ていたら、ヨシュア・ブライトに私達の力を上乗せする事が出来たと言うのに……何故この世界ではあまり役に立たなさそうな『ヘル・アライアンス』を持って来てしまったのでしょうか?」

「其れ、どんな効果のカードなの?」

「装備モンスターの攻撃力は、フィールド上の同名モンスターの数×800ポイントアップする、団結の力の劣化版ですね。」

「つまり私が装備しても、エステル・ブライトって名前の人が他にも居ないと意味ない訳か……いやそのカード、此の世界だとホントに使えないんじゃないの!?」



うん、全く使えんな。
其れよりもエステル、お前はヨシュアと剣帝の戦いをどう見る?



「正直、ヨシュアでも剣帝に勝つのは難しいかもしれない……だけど、アタシにはヨシュアが負けるとは如何しても思えないわ――確かに互いに手の内は知り尽くしてるのかもしれないけど、剣帝が知ってるのは五年前のヨシュアまで。
 其の後の五年間でヨシュアが培った力を、遊撃士として鍛えた力を剣帝は知らない筈だから……執行者としてだけじゃない、遊撃士としてのヨシュアの強さが、きっとヨシュアを勝利に導いてくれると思うのよ。アタシは、そう信じてる。」

「そうか……そうだな、信じる事が大事か……尤も私は家族として、お前は恋人としてと言う違いはあるだろうけれどね?まぁ、その最愛の相手から気合注入ビンタされたんだから多分大丈夫だろうさ。」

「気合注入ビンタじゃなくて、行ってらっしゃいのキスの方が良かったかしら?」

「やめい、この場に居る全員が私含めて砂吐くわ。」

ともあれ、確かに今のヨシュアには剣帝が知らない強さがあるからな……持てる力の全てをぶつければ、剣帝を凌駕する事は決して不可能な事ではないだろうさ――頑張れよ、ヨシュア。










夜天宿した太陽の娘 軌跡147
『漆黒と剣帝~そして発動する外道の悪意~』









「アインス・ブライトとの戦闘で左肩にダメージを負い、そして機動力も些か落ちている……その点に於いてのみ勝機があるかも知れないが、其れでも勝率は限りなく低いぞ?」

「……分かってる。
 姉さんが救い、教授が繕い、父さんが解き放ち、そして今、エステルと共にある此の魂……遊撃士としての心得と、《漆黒の牙》としての技……その全てをもって……《剣帝》に挑ませて貰う!」

「良いだろう……来い、《漆黒の牙》!!」



こうして戦いが始まった訳だが、此れは予想していた以上に人知を超えた戦いになっているな?
ヨシュアは矢張り自分の方が勝るスピードを前面に押し出したヒット&アウェイを基本にして戦っているのだが、そのスピードが凄まじい……私が目で追うのがやっととは、本気を出したヨシュアのスピードは『るろ剣』の『瀬田宗次郎』にも負けないのではなかろうか?
尤も、そのスピードに付いて行って、クリーンヒットを許さない剣帝もまた凄まじいとしか言えないのだがな。
ヨシュアの分身を使った全方向からの攻撃も一撃で吹き飛ばし、しかしヨシュアの本体はまた別の場所から斬りかかり、更には距離を取ってからのスロウダガー攻撃……其れすらも剣帝は躱して見せたが、今度は分身を使っての二方向からの絶影が剣帝を襲った。
絶影はそのあまりの速さから回避不能な一撃であり、流石の剣帝も此れはガードせざるをえなかったのだが、間髪入れずに反撃の一手を繰り出してくるとは……此れはヨシュアの手の内を知っていなければ不可能な事だがな。



「フフ……やるな。……ならばこちらも、全開で行かせて貰うぞ。」

「!!」



此処で剣帝の纏う闘気が一気に強くなり、次の瞬間にはスピードでは勝る筈のヨシュアをスピードでも圧倒とは行かないが互角のレベルで戦い始めただと!?……此れは、ヨシュアにとっては有難くない状況だな。
唯一勝っていたスピードが活かせないとなると、勝機はグッと遠退いてしまう訳だからね。



「如何したヨシュア?唯一勝るスピードを活かさずにどうやって勝機を掴む心算だ?」

「…………ねぇ、レーヴェ。一つだけ答えて欲しいんだ……如何して教授に協力してこんな事をしているのか……」

「!」

「前に、カリン姉さんの復讐が目的じゃないって言ったよね?『此の世界を試す事にした』……其れは一体如何言う意味なの?」



だが、此処でヨシュアが剣帝に問いを投げかけた……此れは、心理戦に持ち込む心算か?
ヨシュアの問いに剣帝は『大した事じゃない。人と言う存在の可能性を試してみたくなっただけだ。』と答えたが、人の可能性か……私自身の経験から言わせて貰うのならば人には無限の可能性が存在すると思うのだがな……その可能性が、闇の書の呪いを断ち切る事にもなった訳だからね。



「人の、可能性……」

「時代の流れ、国家の論理、価値観と倫理観の変化……兎に角人と言う存在は大きなモノに翻弄されがちだ――そして時に、その狭間に落ちて身動きの取れぬまま消えて行く……俺達のハーメル村のように。」

「!!」

「この都市にしても同じ事だ。
 嘗て人は此の天上都市で満ち足りた生活を送っていたと言う……だが、《大崩壊》と時を同じくして、人は楽園を捨て地上へと落ち延びた。
 そして都市は封印され、人々は其の存在を忘れてしまった……まるで都合が悪いモノを忘れ去ろうとするかのようにな…………真実と言うモノは容易く隠蔽され、人は信じたい現実のみを受け入れる。
 其れが人の弱さであり、限界だ。
 だが、《輝く環》は、その圧倒的な力と存在感をもって人に真実を突き付けるだろう。国家と言う後ろ盾を失った時、自分達が如何に無力であるか……自分達の便利な生活が如何に脆弱なモノであったか……そう、自己欺瞞によって見えなくされていた全てをな。」



自己欺瞞……自己欺瞞、ね。
剣帝の言う事は確かに理解出来るのだが、剣帝自身も気付いていない己の『欺瞞』があるのは間違いないんだがな……ヨシュアも其れに気付いたのか、『其れがレーヴェの目的なのか?』と問うと、剣帝は其れを肯定した上で『欺瞞がある限り人は過ちを繰り返し、第二、第三のハーメルの悲劇が此れからも起こり続けるだろう。何人ものカリンが死ぬだろう……俺は其れを封じるために《身喰らう蛇》に身を投じた。』と言って来た……『其の為には修羅と化しても悔いはない』とも。



「其れこそ、欺瞞じゃないか……!」



此処でヨシュアが斬り込んだか。
ヨシュアの言葉に訝し気な剣帝に対し、ヨシュアは『人は大きなモノの前に無力であるだけの存在じゃない……十年前のあの日、僕を救ってくれた姉さんのように!』と言ってのけた――此れには剣帝も一瞬たじろいたが、其れでもヨシュアは『その事にレーヴェが気付いていない筈がないんだ』と畳みかけ、更に『あんなにも姉さんを大切に思っていたレーヴェが……だったら、其れはやっぱり欺瞞だと思う。』と続けた……其処から、またしても激しい剣劇が展開されたのだが、剣帝の動きが明らかに鈍くなった……此れは、ヨシュアの言った事が大分効いているみたいだな?



「カリンは特別だ!あんな人間がそう簡単に居て堪るモノか!
 だからこそ――人は試されなくてはならない!弱さと欺瞞と言う罪を贖う事が出来るのかを!!カリンの犠牲に値するのかを!!」

「だったら――僕が其れを証明してみせる!
 姉さんを犠牲にして生き延びた、弱くて、嘘吐きなこの僕が……エステル達と出会う事で自分の進むべき道を見付けられた!レーヴェの居る此処まで辿り着く事が出来た!
 人は、人の間にある限り、ただ無力なだけの存在じゃない!!」

「!!!」



激しい鍔迫り合いだったが、ヨシュアの言葉で動揺した剣帝の一瞬の隙を逃さずに、ヨシュアが左右二択の一瞬八斬を繰り出し、剣帝の手から剣を弾き飛ばした……此れは、勝負ありだな。



「や、やった……!」

「へへ、勝負付いたみたいやね?」

「へっ、やるじゃねぇかヨシュア……俺もリベンジしたかったんだが、今回はお前に譲って正解だったかもな。」

「大したもんだなマッタク……剣帝は、俺でも勝てるかどうか分からんぞ?」

「やったわね、ヨシュア!」

「ヨシュアさん……」

「ヨシュア・ブライトの勝利を記念して、拍手をしましょう。パチパチパチ~。」

「いや、無表情でやるなって。ちょっと怖いぞお前……」

「いや~~、実に見事だったよヨシュア君!その勝利を、僕と一緒に分かち合おうじゃないか……取り敢えず、先ずは勝利のハグと行こうか?」

「勝利のハグに行く前に、アンタは一度地獄に逝って来なさい!!」

「ありがとぉ!そしてさようならぁ!!!」



オリビエ、何時いかなる時でも平常運転のお前にはある意味で尊敬の念を覚えるよ……見習おうとは思わないけれどね。



「俺に生じた一点の隙に、全ての力を叩き込んだか……マッタク呆れた奴だ。」

「はぁ……はぁ……ダメ、かな?」

「フッ……《剣帝》が剣を落とされたのではどんな言い訳も通用しないだろう……素直に負けを認めるしかなさそうだ。」



そして、勝負は剣帝が自ら敗北を認めたか。
此れにはエステルだけでなく、シェラザードやクローゼ、アガット達までもが大いに沸いた――特にアガットは、嘗て剣帝に決定的な敗北を味わわされただけにヨシュアが剣帝に勝ったと言うのは複雑な思いはあれど、素直に賞賛する気持ちが大きいのかもしれないな。
だがこの勝利は『なるべく相手を傷付けずに無力化する事を優先する』と言うカシウスから教わった遊撃士としての心得が大きな役割を果たしたみたいだね。
剣帝も其れを聞いた『教授に仕込まれた技術と、剣聖から教わった心得……その二つを使いこなせば、俺が負けるのも道理か』と納得し、『俺は人と言う存在を試す為に《身喰らう蛇》に協力していた。其の答えの一つをお前が出した以上、最早協力する義理は無くなった』とも言って来た。『ソロソロ抜ける頃合いかもしれないな』とも。
其れを聞いたヨシュアは、レーヴェに抱き付き『良かった、レーヴェが戻って来てくれた』と心底嬉しそうだったが……此れはまぁ、当然の反応と言えるだろうな?……ヨシュアは教授によって記憶操作をされていて、剣帝の事は覚えているのに顔も名前も思い出せない状態なっており、思い出したと思ったら敵として立ち塞がっていたのだからね。



「え~っと、アタシは何処から突っ込めばいいのかしらアインス?」

「……突っ込むな。そして五年振りとなる義兄弟の再会に感動してその光景を脳裏に焼き付けろ。」

「ご、ごめんエステル、何かはしゃいじゃって……まだ何も解決してないのに……」

「ヨシュア……もう、そんな事で一々謝らなくて良いわよ。久しぶりの仲直りなんでしょ?一杯お兄さんに甘えなくちゃ♪」

「あ、甘えるって……」

「フフ……エステル・ブライト、そしてアインス・ブライト……お前達には感謝しなくてはな……レンと言い、コイツと言い、俺に出来なかった事を軽々とやってのけたのだから。
 そして、様々な者達を導いて此処まで辿り着いた……フフ、本当にオカシナ奴等だ。」

「なんか、全然感謝されてる気がしないんですけど……」



クク、そう言うなエステル……此れは剣帝からの最大級の賛辞だよ。



「時に其処のお前……」

「ん?俺の顔に何か付いとる?」

「ケビン・グラハムと言ったか?ルフィナと言うボウガン使いの女を知っているか?」

「……アンタ、何処でその名を?」

「フ……矢張り星杯騎士だったか。数年ほど前にある一件で遣り合った事がある。その時は見事に出し抜かれたが、未だ壮健でいるのか?」

「いや……生憎やけど、事故で亡くなったで。四年位前の事や。」

「そうか、惜しい女を亡くしたモノだ……」



そして、剣帝とケビンにも何やら共通の知り合いが居たみたいだが、その人物は四年前に事故でこの世を去ってしまったのか……剣帝が『惜しい』と言うとは、余程の実力の持ち主だったのだろうな。



「そう言えば、何でレーヴェは此処に居たの?
 まさか、此の魔方陣みたいなモノが《輝く環》って事は無いわよね?」

「いや、これは単なる光学術式だ――《根源区画》より送られた力を“奇蹟”に変換する為のな……」



根源区画……其処に《輝く環》がある、そう言う事か?



「あぁ、この《中枢塔》は、いわば《環》の力を都市全体に伝える為のアンテナ兼トランスミッターに当たる。
 その直接的な影響範囲は凡そ半径千セルジュ――端末であるゴスペルを中継すれば、リベールはおろか大陸全土にも影響を及ぼす事が出来るそうだ……教授がそう言うのであれば間違いなかろう。」

「と、とんでもないわね……」



マッタクだな……つまり、異変を止める為には《根源区画》にある《輝く環》を何とかしなければ――破壊するなり機能停止させるなりする必要があると言う訳か?



「そう言う事だ……だが、《環》はそう簡単に何とか出来る代物ではない。
 アーティファクトの一種らしいが、自律的に思考する機能を備え、異物や敵対者を容赦なく排除する――千二百年前、《環》を異次元に封印したリベール王家の始祖もさぞかし苦労させられたそうだ。
 そしてお前達は、その苦労に加えて《白面》の相手もしなくてはならない。」

「当然そうなるのだろうが……お前と戦った身として言わせて貰うのならば、あの外道がお前より強いとは如何しても思えん。此の面子ならば負ける要素が何処にもないと思うのだがな?」

「アインス、確かに教授の直接的な戦闘力はレーヴェには及ばないけど、教授には其れを補って有り余る悪魔の知恵とアーツとも異なる魔術があるから一筋縄では行かないんだ。
 でも、レーヴェが協力してくれたら教授にも十二分に対抗出来ると思う。」

「コイツめ……俺が付いて来るのを当然のように当てにしているな?」

「へへ……」



此処で朗報。剣帝・レオンハルトが仲間になりましたとさ。
此れは私達にとって大きなアドバンテージになるのは間違いないだろう――戦力面は勿論の事、剣帝……いや、レーヴェは《結社》側の人間であったのだからこの塔に関しても詳しい筈だからな。この先の攻略も大分楽になる筈だ。

だが……どうやら、ヨシュアとレーヴェの和解の場に、似つかわしくない無粋な横槍を入れようとしているモノが居るようだな?



「アインス、其れって如何言う……」

「説明している暇はない、代わるぞ!」



――バシュン!!


――バガァァァァァァァァァァァン!!




エステルと交代した瞬間にレーヴェに向かって放たれた攻撃を、ギリギリのところで間に割って弾き飛ばしてやった……間一髪のギリギリと言う所だったが、些か無粋じゃないか教授殿?



「ククク、気付いていたとは、流石だよアインス君。此れでも気付かれぬように気配は消していたのだがね?」

「気配は消していても、そのドス黒い悪意も消していないのでは私には意味がない……私はこの世で誰よりも悪意と言うモノに敏感なのでね。……貴様の吐き気を催す程の悪意に、気付かぬ筈がないだろう?」

「おやおや、其れは随分な言われようだが……しかし困ったな、今の攻撃で剣帝を戦闘不能にする心算だったのだが、其れを防がれてしまうとは。
 二度目は恐らく通用しまいが……此れでは確実な実験は出来なくなってしまうが……逆に言えば確実な実験が出来なくなればこそ予想外の結果を得る事が出来ると言えなくもないか……ふむ、其れは其れで興味深い。」



何を言っているのかこの外道は……其の後も勝手に喋ってくれたが、如何やら今回の計画は《輝く環》を手に入れるだけと言う訳では無いらしい。『全ては盟主の意図によるもの』との事だが、詳細は分からないか。



「その意味ではヨシュア、君も実験の精度を狂わせる要素だ……多少の精度の狂いは兎も角、此れ以上の狂いは看過出来ないのでね……非常に申し訳ないが、ソロソロ私の人形に戻って貰うよ。」



――パチン!



そう言って教授が指を鳴らした瞬間、ヨシュアが苦しみ始め、そしてなんと一瞬で教授の隣に行ってしまった……此れは一体如何言う事だ!?



「ヨシュア……!」

「ヨシュアさん……!」

「オイコラテメェ、ヨシュアに何をしやがった!!」

「此れは……外道が、深層意識の最下層に仕込んどったんやな!?」

「フフフ、確か君は《騎士団》の新米だったね?ならば、見当は付くだろう?私の《絶対暗示》がどの様な術であるのかを。」

「くっ…………」

「ヨシュア……嘘だよね?ねぇ……こっちに戻って来てよ……!お願いだから、そんな目をしないでよぉぉぉぉぉぉぉォぉ!!!」



――バシュン!!



おぉっと、エステルの必死の叫びに強制的に入れ替わられてしまったが、そのエステルの叫びを聞いてもヨシュアは微動だにせず、その瞳には一切の感情が見て取れない……そう、まるで五年前、カシウスが連れて来た時と同じように――いや、其れ以上か。



「無駄だエステル・ブライト……今のヨシュアにはお前の声は届いて居まい。
 成程な……貴様はヨシュアの壊れた心を修復する際に《絶対暗示》を深層心理の奥底に仕込んでいたと言う訳か……そして其の深層意識に刻まれていたモノの影響力は大きく、貴様が働きかければヨシュアはたちまち貴様の操り人形になってしまうと言う訳か――ヨシュアを救う為の選択が、逆にヨシュアを苦しめる結果になったとは……過去の俺の愚かさを悔やんでも悔やみきれんか……」

「そんな……」



エステル……ショックだろうな。
だがまぁ、此れ以上この腐れ外道に喋らせておくのも癪だ――やれ、シュテル。



「其れでは出番です、『F・G・D』、『究極龍騎士』、『青眼の究極竜』、『鎧皇竜-サイバー・ダーク・エンド・ドラゴン』、『サイバー・エンド・ドラゴン』。」

「うん、召喚したモンスターに一切の手加減が感じられない。」

「此れは此れは、何とも派手なモノが出て来たが、生憎と私も此れから外せない用事があるのでね……《根源区画》で待っているから、是非とも訪ねて来てくれたまえ。」



だが、シュテルが召喚したモンスターで攻撃する前に、教授は其れだけ言うと消えてしまった……ヨシュアと共に。
《根源区画》……其処までの道のりが分からない以上は、チェックメイトなのだが、此方にはレーヴェが居る!レーヴェ、《根源区画》には如何やって行けばいい?



「この後ろにある円盤装置が根源区画へのエレベーターになっている……ソイツを使えば、目的地までは直通だが、如何やらそう簡単には行かないらしいぞアインス・ブライト?」

「其のようだな……」

私達の前に現れたのはグランセル城の地下で戦ったトロイメライに翼が生えた様な機械兵器――レーヴェ曰く『ドラギオン』と言う機械兵器だった。
其れが合計三機か……私達の足止めをする心算なのだろうが、生憎とお前達如きに構っている暇はない……現れて早々で申し訳ないが、即退場して貰うぞ……此方にはヨシュアを取り戻すと言う最重要任務もあるのでな!












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