Side:アインス
新たな仲間として三成が加わったと言うのは嬉しい事だな?
武力は充分だったが、知将と言えるのは元姫だけだったから、新たな知将が加入と言うのは嬉しい事この上ないよ――元姫と光成が
知恵を出し合えば、最高の策が出来上がるだろうからね。
「其れは否定しないけど、アインス殿は猛将である上に知将でもあるから、作戦を考えるのを手伝って欲しい。」
「戦場で戦うだけが戦ではないのだよ。貴様も、知を尽くせ。」
そう言われてもだな、私の戦の知識は古代ベルカ――此処とは違う世界の物だからあまり役に立つとは……
Q:古代ベルカの戦争ってどんな感じ?
A:取り敢えずデカい力使ってぶっ飛ばせって感じ。その究極型がゆりかご。
思えないんだけど、だからこそ見えて来た物が有ると言うのは否定しない――確かに戦場を駆けるだけが戦ではないから、知将として
の役目も果たさなければだな。
「猛将である上に知将……オメェは本当に底なしだなアインス?」
「そうだな。どうせだから『歩く底なし沼』とでも名乗ってみるか?」
「歩く底なし沼……ふむ、言い得て妙かも知れないね。」
今のを分かってくれるかダリウス。……マッタク、私の世界の『鬼』もお前のような奴だったら、争わずに平和に暮らせるんだけどな。
まぁ、そうなったらそうなったでモノノフは商売あがったりになるけれどね。
討鬼伝×リリカルなのは~鬼討つ夜天~ 任務98
『若き誠実なる龍~趙雲子龍~』
で、作戦会議な訳なんだが……如何やら私はまとめ役となって、元姫と三成の意見を総括して作戦を立てなければならないようだな。
些か大変かもしれないが、三国志の英雄と、戦国の英雄が議論の末に導きだした作戦と言うのは興味深い――祠は環軍が略抑えて
居るし、戦力も充実しているから全ての祠を抑えるのは難しくないが、可能であれば無駄な戦闘を行わずに済ませる事も視野にか。
刹那や志貴が、話し合いに応じるだけの何かがあれば、其れもまた可能になるだろうが……現状では難しいだろうね。
「環様、一大事でございます!
ソフィー様が、単身で敵地へ向かわれました!敵に囲まれ、危機に陥っていらっしゃいます!如何か、急ぎ救援を!」
「ソフィー様が!?なぜ、そんな事に……」
「分かりません……ただ、その前に、ソフィー様は民達と話をしていらっしゃったようです。」
「民達と……?
……ソフィー様は優しくて、仲間思いのお方――きっとこの行動にも、何か意味がある筈です。
兎に角、あの方を失う訳には……すぐに救援を送りましょう!」
と思ってた矢先に事件発生!ソフィーが単身で敵地に向かっただと?……無茶を通り越して、其れは無謀だぞソフィー!?
アイツの錬金術は頼りになるし、数少ない癒し系キャラだからな――絶対に失う訳には行かん!必ず助け出さなくてはだ!!
「マッタクだ……敵地に単身で乗り込むなど、無謀なのだよ!」
「急いで救援に向かいましょう――そして、助け出して少しお説教ですね。」
……まぁ、その気持ちは分からなくないが程々にしてやってくれプラフタ。
彼女みたいなタイプは、あんまりキツク説教されると、可成り落ち込んでしまうタイプだろうからな……落ち込み過ぎてやる気が失せて
しまっては痛手なのでね。
「大丈夫です。
ソフィーにも何か考えがあって単身で出掛けたのでしょうから、その考えが有益であったのなら、其処を褒めて上げれば酷く落ち込
む事も無いでしょう……お説教は、叱る部分と褒める部分を巧く使ってです。
序に、褒めるべきところについては、ソフィーの好きな甘いお菓子でもご褒美としてあげれば大丈夫でしょう。」
「いや、子供か!」
「甘いお菓子……なら、あんまんでも作ろうかしら?」
「そして、作る気満々だな元姫。」
でもって、期待に満ちた顔をするなダリウス!――まぁ、元姫の作るあんまんは、ソフィーを助け出したら皆で美味しく頂くとして、今は
ソフィーの救出だ!
毎度のように瞬間移動で行くぞ!
――ソフィーの気配を探って居たら、とても大きな力を2つ感じたが、アレは一体何だったんだ?しかも、1つはとても懐かしい感じがし
たが、まさか古代ベルカの時代からも英雄が召喚されたとでも言うのだろうか?
……まぁ、会ってみれば分かるな。
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・・・
で、やって来たのはプラフタを仲間にした時と同じ場所……元姫が言うには冀州と言う場所らしい――この世界は、召喚された英雄の
記憶にある風景が再現されるとの事だったが、まさか三国志の世界をこの身で体験する事になるとは思わなかったよ。
其れで、状況はどうなっている?
「伝令!
ソフィー様は、未だ敵地のただ中におり、予断を許さぬ状況です!
我々も敵の注意を引こうと尽力していますが……何時まで持つかどうか……一刻も早く救援を!」
「ソフィー……どうしてこんな危ない場所に一人で……如何か、無事でいて下さい……」
マッタクだなプラフタ。
彼女の錬金術がドレだけ凄いとは言っても、数の暴力に勝てるとは思わん……まぁ、数の暴力に押し負ける頃には、敵が大量に投擲
されたフラムや、頭上から降りそそぐイガグリで大分壊滅してるかもしれないけれどね。
とは言え、救出が早いに越した事は無い――元姫、土地勘のあるお前に先導を頼んでも構わないか?
「任せてアインス殿。冀州の地形は略記憶してる。
敵がどんな布陣を敷いてるのかも予想がつくし、其の予想の通りの陣が敷かれてたとしたらソフィー殿が何処に行ったのかも大体の
見当がつくから。」
「其れは頼りになるな。」
「土地勘のある者が先導する……戦の基本だな。
だが、正面から攻めるだけと言う訳にも行くまい――俺は、別動隊を率いて敵を撹乱する。何人か連れて行って構わんな?」
別動隊か……あぁ、そうしてくれ三成。
連れて行くなら、紅月と時継とダリウスを連れて行くと良い。そちらの方が戦力バランスもとれているからね。
「ふむ、見事な兵力の分け方だ……お前のような奴が俺の世界にも居たら、秀吉様の天下統一の障害となるか、或いは手助けとなっ
たかもしれないな。」
「私としては、其れよりも前の時代に行って、織田信長を本能寺から救い出して、一緒に天下を統一したいなぁ……」
「お前と信長公が手を組んだら、本気で手が付けられないのだよ!」
だろうな。
さて、其れじゃあ行くとするか!――待っていろよソフィー、今助けてやるからな!
――――――
Side:趙雲
ヴィヴィオ殿と出会ってから数日、色々な場所を回って来たが、まさか冀州とよく似た場所に出るとはな……否、似ている所ではなく、
此処は冀州そのものだ。
「しかし、奇妙なモノだな。
ヴィヴィオ殿の世界では、私達の事が物語として伝わっているとは……」
「結構人気があって、其れを題材にした色んな作品があるんです。
で、そういう作品に於いて主人公率がダントツに高いのが趙雲さんで、次いで関羽さんなんですよ。――でもって、趙雲さんは大体イ
ケメンなんですよ。
三国武将を全員女性にしたっていう作品では超美人さんで描かれる事が多いですしね。」
「其れはまた何とも……しかし、私が女性と言うのは想像がつかないな。」
「あはは……まぁ、TSは一部のコアなマニアですからね。
でも、本物の趙雲さんに会って、創作の趙雲さんは間違ってなかったかなって。本物の趙雲さんも、スッゴクカッコイイですから!」
其れは光栄だヴィヴィオ殿。
しかし、これまで訪れた場所とは違い、此処は些か騒がしい……この喧騒は、戦の其れによく似ているが……?
「この地のマタタビは、ワシの物よ。者ども、盗人を捕らえい!」
「わわ、見つかっちゃった!……このマタタビ、絶対に欲しいのに……」
今のは……聞こえたか、ヴィヴィオ殿?
「はい、バッチリと。
マタタビがどうのこうの言ってたみたいですけど、其れって自生してる此れの事ですよね?……育ててるのを盗んだらダメだと思いま
すけど、自生してるなら誰の物でもありません。
なのに、其れを取った人を盗人呼ばわりして捕らえるなんて言うのは間違ってます。」
「あぁ、マッタクだ。
ならば、追われる者を助けねばなるまい……此処は私に任せて、ヴィヴィオ殿は下がっていてくれ。」
「そうは行きません趙雲さん。私だって一緒に行きます!
ちゃんと戦う力は持ってますから!クリス、セットアップ!!」
『(`・ω・´)ゞ』
――ヒィィィィィン!!
「準備完了です!」
此れは、ヴィヴィオ殿が大人の姿に?
何と言う不思議な術……此れがヴィヴィオ殿の言っていた魔法と言うモノなのか……だが、確かに大人の姿であるのならば対格差で
劣ると言う事も無くなるから戦えるだろう。
ならば、共に追われる者を助け出そう!
「はい!!」
先程の声の主は……あの少女か!
如何やら単身で追手を退けていたようだが、大分疲労の色が見える……そろそろ限界が近そうだ。
「諦める訳には……此れがあれば、皆を幸せに出来るのに……」
皆の幸せを願って居る少女を見捨てる事は出来ぬ……ハァァァ!!!
――ガッ!バキィ!!
「アクセルスマーッシュ!!」
――ドッガーン!!
ふむ、見事な一撃だヴィヴィオ殿。如何やら、間に合ったようだな。
多勢で子供を取り囲むとは……この様な狼藉、見過ごせぬ!――趙子龍が、相手となろう!!
「高町ヴィヴィオも、相手になります!!」
「ヴィヴィオ殿、一気に敵を蹴散らそう!」
「了解です!!」
多くの人々の幸せを望む子供を盗人扱いして、多勢で取り囲むと言う狼藉を働いた事を、後悔すると良い――この超子龍、狼藉を働い
た者に、容赦する心算は一切ない……いざ参る!!
――――――
Side:アインス
クソ……敵を蹴散らしたのに門が開かないとはな――と言うかこの門は一体何で出来てるんだ?
私が殴っても、六爪流で斬りつけても、果てはあの小さき勇者の必殺技であるディバインバスターでも破壊できないとは……素材はオ
リハルコンか、ミスリルか、はたまたPS装甲か!?
この強度では、後はSLBをかます以外に方法は無いのだが……
「な、何て強さだ……逃げろーー!!」
って、行き成り門が開いたぞ?
此れは、向こう側から門を抑えていた兵が逃げ出したという事か?――だが、一体なんでだ?
「あ、アインスさん!其れに皆も!!」
「ソフィー、無事だったのか!」
「マッタク、心配したぞ?」
「ソフィー殿、無事だったのね?」
「無事でよかったです。心配しましたよソフィー。」
無事でよかった。――其れで其方の方は?
いや、一人はまさか……ハニーブロンドの髪に紅と翠のオッドアイ……オリヴィエ、なのか?
「へ?えっと、まぁ、間違いではないです。私はオリヴィエのクローンですから。
でも、私はオリヴィエじゃありません。私はヴィヴィオ。高町ヴィヴィオです。」
「オリヴィエのクローンだと!?……そんな者が居たとは驚きだが……高町だと?
若しや君は、あの小さき勇者の――高町なのはの関係者か?」
「はい。高町なのはは私のママです。とは言っても、血は繋がってませんが。」
……ママか。何時の間にか君もそう呼ばれる位に成長していたという事か――まぁ、血が繋がっていないという事は養子なのだろうけ
ど、そうであっても親権を得るには、相応の年齢に達している必要があるだろうからね。
其れで、其方の方は?
「貴女は、此の子の仲間か?
私は趙雲、蜀漢の地より、此処に来た――この窮地を乗り切る為、共に戦おう。」
趙雲――三国志でも名高い英雄じゃないか!
まさか、其れ程の者が召喚されるとはね……だが、蜀の龍と称されたお前が味方であるのならば頼もしい事この上ない――一気に攻
めるぞ!!
「て、敵の増援が到着しました!それも可成りの数です!」
「敵は、貴女が来た道に陣取ったようだ……突破するのは難しそうだな。
だが、此処に留まっていては追撃を受ける。速やかにあちらの道から退却しよう。」
其れが上策だな。
纏めて吹き飛ばしても良いんだが、此処は真正面から押し切る!ウタカタのトップ2と、三国志の英雄2人、そして至高の錬金術師2人
が集まった力を知るが良い!!
――と言う訳で、ただいま無双中だから少し待っていてくれ。……しかし趙雲は本気で強いな?将に勝るとも劣らないレベルだよ。
と言う訳で敵を蹴散らして、脱出口まで到着!
しかしまぁ、三国志の物語で伝えられている以上に強いな趙雲は……味方になってくれると頼もしいんだが――先ずは此処からの脱
出が最優先だな。
この地に陣取っていたのは刹那軍だったが、幸いにも脱出口を守っていたのは英雄ではなかったので、簡単に倒す事が出来たがな。
「趙雲さん、ありがとうございました!此れで、皆に万能薬が作れます!」
「そうか。
困窮している民の為に戦っていたのだな。君も、そして君の仲間も。」
「はい!アタシは、環ちゃんって子の友達なんですけど……環ちゃんはとってもいい子で、この世界の人達の為に頑張ってるんです!
だから、アタシも役に立ちたいなって。
皆を守る為にも、元の世界に戻る為にも、頑張って世界を救わないと。」
「成程……ならば、私にも手伝わせて貰えないだろうか?
この世界を救う必要があるのなら……あなた方の様に、立派な志を持つ仲間と戦いたい。」
「私も手伝います。
関わっちゃった以上、無視はできませんし、世界を救うって言うなら仲間は多い方が良い筈ですから。」
本当か?
もちろん大歓迎だ趙雲、ヴィヴィオ――三国志一の英雄と、小さき勇者の娘が仲間と言うのはとても頼もしいからな……だが、其れは
其れとして、何か言う事があるんじゃないのかソフィー?
「あ!うう~……
ごめんなさい、心配かけちゃって!」
「……まぁ、良いでしょう。
貴女の思いは間違ってはいませんから。
でも……もう一人で無茶はしないで下さいね?」
「うん、約束する。」
ならば良い。
結果的には、民の役に立つものが調達出来た上に、この上なく頼りになる仲間を得る事が出来た訳だから、寧ろ良くやってくれたと言
う所だからね。
何にしても、これから頼りにしているぞ趙雲、そしてヴィヴィオ!!
To Be Continued… 
おまけ:本日の浴場
さてと……戦闘の後は一風呂浴びるのが基本だが――何故いる三成?
「今は男の時間だ……迂闊すぎるのだよ!」
「そう言われても、明確な男女の使用時間規制がある訳じゃないから困るぞ――まぁ、親睦を深めるには、裸の付き合いが一番らしい
からね……親睦を深めようじゃないか三成?」
「その大胆さは評価できるが……少しは恥じらいを持て。」
ハッハッハ、其れは無理な相談だ。
1000年も生きてると、恥じらいなど党の昔に宇宙の彼方のブラックホールに蹴り飛ばしているのでね――まぁ、お前が慣れろ三成。
取り敢えず、今日は風呂上がりの牛乳に有りつけたから良しとしておこう――しかし、何だって風呂上がりの牛乳は、此処まで美味し
いのか……一度検証してみる必要がありそうだな。
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