Side:アインス
聖域の施設の充実差はハンパでは無いな?
温泉は勿論だが、宿舎にはマッサージチェアに娯楽用のゲームの筐体があり、酒場にはスロットマシン、鍛錬場にはバレーボールのコ
ートまであったからね。
此れだけでも驚くべき事だが、何よりも驚いたのは……
『我は腹ペコだ……ハクを寄越せ。』
「何故お前が居る神木……」
ウタカタの神木が此処に有る事だな――鬼や化け物だけでなく、異世界召喚によって色々な物がこの世界の召喚されてしまったのか
もしれないな。
取り敢えず、ハクは我慢してくれ。この世界では集めようがないからな。
其れは兎も角、刹那や志貴達とこれからも戦うと言う事を考えると、この世界に呼び出された英雄達とは彼等よりも先に接触して仲間
にしなくてはだな。
幾ら私でも、英雄と称される連中を複数相手にするのは骨が折れるからな。
「君なら誰が相手でも勝てる気がするのだが……」
「其れは言わないお約束だ桜花。」
「紅月、俺はトンでもねぇ事を聞いた気がするぜ……」
「聞かなかった事にしましょう♪」
「マジか!!」
ははは、そう切り返すとはやるな紅月?
何にしても、刹那と志貴の戦力を増幅させない為にも、私達以外の英雄を、環陣営に引き込まないとだな……世界を救うために王にな
ると言う環の覚悟に応えるためにもな。
勿論、各地の祠を抑えて力を注いでいく事も忘れずにやらねばだな。
討鬼伝×リリカルなのは~鬼討つ夜天~ 任務92
『英雄を導け~活眼の美姫~』
と言う訳で英雄らしき人物を目撃したとの情報を得たので、早速目撃例のある村にやって来たのだが……まさか、その村が化け物に
よって襲われてる真っ最中だとは思わなかったぞ!!
無論放っておく事は出来んので、即化け物退治に取り掛かった訳だが……『鬼』の他にも、この前のぷにっとしたのとか、蛇人間に良く
分からない人型の何かとか、コイツ等は一体どんな世界の化け物なのやら。
この程度の相手にやられる私達ではないが、如何せん数が多すぎる――正直な事を言わせて貰うと、力のある奴に手伝って欲しい位
だぞ本気で。
「アインス様、私が助けを呼んで参ります!」
「村の民か……其れは助かる。
出来れば、この状況にも臆しない胆力のある奴が良いな。そして聡明ならば尚良い。」
「分かりました、暫しお待ちください。」
さてと、あの村人が助っ人を呼んで来てくれるまで村を防衛せなばな……!
「アインス、オメェなら志貴や刹那を倒した技で、此の軍勢を何とか出来るんじゃねぇのか?」
「確かに出来なくは無いが……私が本気で戦ったら、化け物共も吹き飛ぶが、一緒に村も吹っ飛ぶ。序に言うなら半径一里は更地に
なるぞ多分。」
「……やっぱり制御して戦ってくれや。村を守る筈が村を吹っ飛ばしたとか洒落にもならねぇ。」
「単騎で村一つを吹き飛ばす程の力……マホロバに勧誘したいくらいです、アインス。」
「……其れは了承しかねるぞ紅月。アインスはウタカタのモノノフだ。マホロバに助っ人に行くなら兎も角、引き抜きは容認できん。」
「安心しろ桜花、元の世界に戻ったら、一度マホロバに行ってみようとは思っているが、其処に永住する気は毛頭ないから。」
矢張り私の生きる場所はウタカタだからね。――って、何か聞こえるぞ?
「誰かー!ば、化け物がーーー!!!」
「此れを村に届ければ、物資が補給できるのに……!」
来れは、補給に出かけていた村人が化け物に襲われているのか!?……その悲鳴を聞き分けた私の聴覚に驚きだが。
場所は南東に1500と、北東に700か……桜花、紅月、時継、村人を助けてくる。暫し村を頼むぞ!!
「分かった。尤も、君ならすぐに戻って来るだろうがな。」
「まぁな。瞬間移動使えばな。」
――バシュン!
先ずは北東の方からだ。此方の方が村に近い分、先に助ければ物資が早く届くからな。
村人を襲ってるのはマフウ……雑魚が、大人しくカラスの丸焼きになれ!マテリアルコピー技、ブラストファイヤー!!
――ゴォォォォォォ!!
「はい焼滅!」
「あ、ありがとうございます!此れで村に物資を届けられます。」
「あぁ、急いで行ってくれ。村ではお前の帰りを待ってる人が多いからね。」
さて、次は南東の方だな。
――バシュン!!
こっちで村人を襲ってるのは、蛇の下半身に人の上半身が生え、両腕が蛇になってる何とも形容しがたい化け物……どっかのイカレタ
科学者が作り出したバイオ兵器みたいな奴だな。
取り敢えず、気持ち悪いから……えい。
――ズバァ!!
擦れ違い様に居合で一刀両断!
蛇人間のような奴だから、一刀両断しても暫く生きてるかと思ったが、そんな事は無く大人しくお陀仏になってくれたか……良かった良
かった。
「ありがとうございます。これで村に荷物を持って行けます。」
「あぁ、直ぐに持って行ってやってくれ。」
此れで村人は助けたから瞬間移動で村に……よりも、飛んで戻るか。
そっちの方が空からフィールドを見る事が出来るから、どこにどんな敵がいるのかを見る事が出来るからね。
そして、空を飛んで帰るのを選択したのは正解だ。村に向かっているオニビを発見したからな。
化け物共め、村に火を放つ心算だな?……だが、そうはさせん!見つけた以上、村に到達する前に滅するのみだ――この距離ならば
充分に射程距離内だから、此処から狙い撃つ!
一撃必殺!ディバインバスター!!
――ドッゴォォォォォォォォォン!!
……相変わらず恐ろしい威力だな此れは?オニビだけでなく、周囲のガキやマフウまで纏めて吹き飛ばすとは……高町なのは、君は
一体如何言った考えでこの技を編み出したんだろうか?
まぁ、強いから問題ないがな。
此れで敵の火計は阻止した。
後は助っ人が来るまで村を守るだけだ……もう一踏ん張りだ桜花、紅月、時継!
「空からご帰還たぁ、派手じゃねぇか!」
「アインスは空を飛ぶ事も出来るからな。」
「空を飛べるモノノフ、素敵ですね。」
お陰様で、飛行能力を持った『鬼』が相手でも空中攻撃に苦戦させられる事は無いよ。
にしても、化け物共も焦っているな?……自分達が思っていたように村を落とす事が出来ずに、焦りが生じてきてると言った所かな?
「此方です王元姫様、如何か英雄様と村を救ってください。」
「行き成り異世界に連れて来られて……状況も掴めないまま、人助けなんてね。
でも、一度受けてしまったからには放ってはおけない……責任は果たさないと。」
「なんと聡明で胆力のあるお方だ、条件はほぼ満たしている。」
む……何やら声が聞こえるが……?
「アインス様、ご希望通りの方を見つけました。我等を助けて下さるそうですよ。」
漸く来たか!
時継、紅月、村の方を頼む!私と桜花は助っ人に来た奴の方に行ってくる。
「オウよ!英雄の役目、果たしてやるぜ!」
「村はお任せ下さい。」
「あぁ、任せた――行くぞ、アインス!」
「あぁ、勿論だ桜花。掴まれ、瞬間移動!!」
――バシュン!!
「バケモノは総出で村を襲っている様ね?……でも、一匹だけ動かないのが居る……アレが頭目かしら?
守りの薄い頭目を狙えば、敵は混乱する筈……火計を仕掛けて反撃の機会を作れば……」
で、移動した先には金髪の美女が……コイツが村人が連れて来た助っ人か。
この状況に臆する事無く、冷静に状況を把握して策を練る……胆力があって聡明でもある、確かに私が出した条件をクリアしているな。
「良ければ、策の手助けをしてくれる?」
「是非もない……此方からお願いしたいくらいだしな。」
「この村は私が助ける。
貴女達も全力で戦って。そうすれば、絶対に村を救える筈だから。」
全力ね……此処は村からも離れてるし、全力を出しても問題は無いか。……ならば、遠慮なく全力を出させて貰うとしよう!
滅殺……どぉぉぉりゃぁぁぁぁぁ!!
――ドッガァァァァァァァァン!!
「……真空波動拳か?」
「いや、滅殺剛波動……と見せかけて、ハイメガ剛ビームだ!」
「その違いは?」
「私にもよく分からない!」
だがまぁ、取り敢えず一帯の化け物は吹き飛ばしたが、次は如何すれば良いんだ?
「此処に火を点ける。周囲の敵の掃討をお願い。」
「敵の掃討か……任された。――桜花、一撃で決めるぞ!」
「あぁ、私達の力を見せようアインス!破邪剣征・百花繚乱!!」
「狼虎滅却……紫電一閃!!」
――ズガァァァァァァァァァン!
私と桜花のダブル鬼千切りで化け物共も一掃してやった!
貴様等の不運は私と桜花が此処に居た事だ――ウタカタの守護の破壊神と、ウタカタの最強の美人エースがいた事がな。――化け物
共は一掃したぞ!
「さ、て、と……お願い。」
「「はっ!!」」
此処で金髪美女が命じ、部下と思われる男達が火の矢を放ち、其れが火計の為の仕掛けに突き刺さって一気に炎上し、そのあまりの
炎の勢いに化け物共は逃げ出すが……
――ドドド!
其れを遮るように金髪美女が短剣を投げつけて逃走を阻止する……完全に相手の動きを読んでいると言う事か。
モノノフに勧誘したくなるほどの実力者だな彼女は。
「此れに耐えられる?……上々の出来ね。」
更には、短剣を投げつけて化け物を倒してしまったからな……お前、名前は?
「王元姫……この世界にもなすべき事をしようとしている人達が居るとはね……少し驚いた。」
「私も、お前のような奴が居るとは思わなかった。……私の名は、桜花だ。」
「私はアインス。宜しくな。」
しかし王元姫か……三国志の英雄にして、三国志一の女傑とされる活眼の美姫じゃないか!
……まさか、其れ程の人物と出会えるとは思ってなかったよ。
うん、間違いなく英雄を召喚したと言う訳だな。
さて、火計は成功し、相手は一気に弱体化した訳だが、此処からどう攻める、活眼の美姫?
「この機を逃さずに一気に叩く。其れが最善の策だから。」
「だよな……其れじゃあ、やって来る!」
「一気に殲滅する!!」
一気に叩くと言うのなら、私達の得意分野だ……私の六爪流と桜花の太刀のコンビネーションの前に立って居られる敵は皆無だ!と
言うか、我等の前に敵はない!!
そして、あれが化け物の頭目だろうが……私に見つかった時点で、貴様はチェックメイトだ!……冥府の闇に沈め、狂獣裂破!!
――バババババババババババ!!!
『『『『『『『『『ミギャァァァァァァァァァァァア!!!』』』』』』』』』』』
雑魚が、そのまま死ね。
そして、これにて掃討完了だ……が、これ程までに巧く行ったのはお前のおかげだな王元姫――活眼の美姫と称された其の力、特と
見せて貰ったよ。
そして、お前がこの地に呼ばれた英雄であるのは間違いない――良ければ私達と一緒に来ないか?
お前が共に戦ってくれるなら、この世界を救って、元の世界に戻る事も出来るだろうからね。――是非とも、私達の仲間になって欲しい
んだが、駄目か?
「アインス殿……断る理由は無いから、これからは貴女と一緒に戦う――それに……アインス殿と桜花殿も素晴らしい戦いぶりだった。
貴女達が居れば、私も心強いから。」
「なら、これから宜しくお願いする元姫。君の力は、私達にとって必要なものだからね。」
だな、これから宜しく頼むよ元姫。
取り敢えず、英雄を一人確保か……村を守る事が出来た上に英雄を仲間に出来た……上々の成果と言っていいかも知れないな。
――――――
Side:桜花
取り敢えず新たな英雄が仲間になった事は心強いが、だからと言って気を抜く事は出来ん――志貴や刹那よりも早く、この世界で散り
散りになってしまった英雄達を仲間にせねばな。
其れで、私に何か用か?
「桜花様、迷いの森は御存知でしょうか?
不思議な霧を纏って、踏み込んだ者達が次々と行方不明になっていて……一部では、魔物が居るのではないかと噂されていて、誰
も近寄ろうとしないのです。
如何にかして頂けませんか?」
人々が行方不明になる森……其れは確かに怪しいな。
分かった、その森、私達が調査してみる……協力してくれるなアインス?
「勿論だ。そして、私だけじゃなく元姫も力を貸してくれるらしい。」
「責任は果たさないとね。」
アインスだけでなく元姫もか――如何やら、迷いの森とやらの秘密を暴くのは、思っていたよりも難易度は高くなさそうだな?……アイ
ンスと元姫が居れば大概の敵は何とかなるだろうからね。
先ずは迷いの森の絡繰、暴かせて貰う!!――さぁ、戦の時だ!!
To Be Continued… 
おまけ:本日の浴場
Side:アインス
王元姫を仲間にした直後に風呂場にやって来たんだが……先客に紅月と桜花が居たか……まぁ、ある意味で女子会と言えるかも知れ
んが。
で、お前達は一体何処を見ている?
「アインス……その胸少し寄越せ!」
「無茶言うなオイ!」
「あらあら♪」
見てたのは私の胸か!……確かに私の胸が大きいのは認めるが、其処まで凝視する物でもないだろ……そもそもお前だってそこそこ
あるんだから満足しろ。
大体今のセリフは初穂が言うべきセリフだからな!
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