Side:アインス


環と志貴の連合軍が夜見に操られてしまったしまったと言うのは、可成りの痛手だな――特に、趙雲となのはが夜見の支配下に置
かれてしまったと言うのは大きいな。
私が本気を出せば負けはしないだろうが、その代わり何方も無事では済まないからね……状況を打開するためには、碑文を集める
しかないんだが、その碑文も何処にあるのか分からないのではな――さて、如何した物か。



「英雄さん、聞いてくれ!
 碑の欠片ある場所が分かったんだ。」



なんて事を考えてた矢先に朗報だな刹那?――だが、どうして分かったんだ?



「何故か分からないが……夜見が目覚めてから、神器が力を増してる気がしてな――試しに占ってみたら、神器が三つの場所を指
 し示したんだ。
 『黎明の碑』は、夜見を封印できる唯一の希望だ……何としても探し出そう!
 其れと……操られた仲間達についても、助けられるかもしれない。
 王宮に古い歴史書があるんだが……其処に『神器によって穢れを払い、人の病を治した』と言う一文がある――書かれている事
 が真実ならば、神器の力で彼等を取り戻せるかも知れない。」



これは、思った以上の情報だな?
碑の欠片の在り処だけでなく、仲間を取り戻す手段まで見つけるとは大したモノだ……碑の欠片にしろ、仲間を取り戻すにしろ、刹
那の力が必要になるから同時にとは行かないが……此れは、一筋の光が見えたかもしれないな。










討鬼伝×リリカルなのは~鬼討つ夜天~ 任務113
『碑の欠片~封印~』










兎に角、神器の力を使えば、夜見に操られてしまった皆を取り戻せるんだな刹那?



「あぁ。多分だけどな。
 但し、あの本によると、準備には其れなりの力と時間が必要になるみたいだ――皆が集まっている場所に行って、一気に浄化す
 るのが良いだろうな。」

「確かに、其れが最もベターな方法かもな。」

「英雄さん……こんな事になって、本当にスマナイ。――でも、もう少し俺に力を貸してくれ!
 碑の欠片を集めて、仲間を取り戻せば、きっと夜見を封じられる筈だ――どうか……宜しく頼む!」



言われるまでも無いな。
元より、仲間を奪われたままにしておく心算はなかったし、この世界も救う心算だったからね。……そもそもにして、世界を救わない
と元の世界に戻れない訳だからな。



「ま、一筋の光が見えただけでも今後の方針が決めやすくなるってもんさ。
 だけど、碑の欠片の回収にも、仲間達の奪還にも刹那さんの力が必要となると、チームを分けて同時進行ってのは出来ないんだ
 よね……碑の欠片の回収か、仲間の奪還か、何方から行うべきだろうね?」

「考えるまでもねぇだろアーナス。先ずは仲間の奪還だぜ!
 戦力を揃えておきゃ何かあった時にも対処はしやすくなるし、碑の欠片の回収だってやり易くなるってモンだ。」

「時継よ、其方の言う事も一理あるが、ワシは碑の欠片の回収を先に行うべきだと思うニャ。
 欠片を集め碑文を完成させていく中で、夜見に操られてしまった者達を、より効率よく奪還する術が分かるかも知れにゃい故な。」

「確かに何方も大切な事だから、何方が先の方が良いと一概に言えないのが辛いな……元姫、君ならば如何考える?」

「其処で私に振るのね桜花殿。
 どちらからでも良いと思うけれど、恐らく操られた英雄達を浄化すると言うのは、碑の欠片を探すよりも刹那殿の負担が大きくなる
 のは確実……其れを踏まえると、仲間達の解放と碑の欠片の回収は交互に行って行った方が良いかも知れない。」



成程、そう言う考え方もあるな。
神器が碑の欠片の在り処を示したとは言え、その場所から欠片を探すには神器の力が必要になるが、神器の力を使う事で消費す
る刹那のパワーは仲間達を夜見から解放する時の方が大きいだろうからね。

「そう言う事なら、交互に行っていくとして、最初に何方を行うかは天運に任せてみるとするか?」

「天運?何をするのでしょうアインス?」



大層な事じゃない、このコイン……モノノフ達やのぶニャがには金貨と言った方が分かり易いかな?
コイツを弾いて回転させ、落ちて来た所を取る。そして、掌の上のコインが表か裏かで如何するかを決めようと言うのさ。
今回は、表が出たら仲間の奪還から、裏が出たら碑の欠片の回収から始めようと言う訳だ――時継ものぶニャがも、運に任せた
結果なら文句はないだろう?



「そうだな。
 天の神様がそうしろってんなら、其れに従うってのも悪かねぇな。」

「うむ、其れならば文句はない。アインスよ、早速やってみるがよい。」

「了解だ。それじゃあ、絵のある方が表、無地が裏で行くぞ。」



――ピン



結果は……裏か。碑の欠片の回収からだな。(実際に作者がコイントスを行いました。)
と言う訳で刹那、神器が示した欠片の在り処まで案内してくれ……流石の私でも、全く知らない場所では瞬間移動出来ないから。



「分かった。付いて来てくれ、英雄さん!」



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で、その場所にやって来た訳だが……まぁ、予想はしていたが、夜見は此処にも配下を送り込んで来たか――当然だな、己にとっ
て不利になる情報が示された碑の欠片を私達に回収されたくないと考えるのは道理だからな。
だが、こんな奴等がうろついていたのでは落ち着いて欠片を探す事も出来ない……さっさと殲滅する!!



「あぁ、アインスさんの言う通りだな。
 だが、如何やら戦力は互角みたいだから、先に拠点を取って戦線を押し上げるぞ!!」

「あぁ、其れが良いだろうな刹那……ならば此処はバラけて行動した方が良さそうだ――そちらの方が効率よく拠点を取って行ける
 だろうしな。」



ツーマンセルだな。
私と桜花、時継と紅月、かすみとマリー、元姫とアーナス、ダリウスとレグリナ、のぶニャがとウィリアム、ソフィーとプラフタの組み合
わせだな……刹那は、私達と一緒に来い。



「あぁ、分かった。
 だが、それにしても敵の数が多いな?アインスさんの言うように、夜見に思惑を感づかれたのか……だが、諦めない!
 碑の欠片は必ず手に入れる!」

「その意気だ刹那……この程度の奴等、一気に殲滅する!行くぞ桜花!!」

「あぁ!我等、『鬼』を討つ鬼とならん!!」



一気に行くぞ!タマフリ連続発動!渾身、韋駄天、鎧割、軍神招来!!
如何やら夜見は操った仲間達の幻影を配置したみたいだが、本物ならばいざ知らず、幻影如きでは私達を止める事は出来ないと
知れ!!

「絶!!」

「斬り捨てる!!」



私の六爪流と、桜花の大太刀のコンビネーションの前に敵は無い。――其れが英雄の幻影であっても、私と桜花の前では塵芥に
過ぎん。
ウタカタの破壊神とエースの前には如何なる敵であっても無力であると言う事だ……現状では無敵キャラである夜見を除いてだが
ね。
更に其処に刹那の天剣での攻撃と、相手の動きを制限するバインドボイスがあるのだから負ける事は無い。

そして其れは私達だけでなく、全てのタッグに言えるみたいだ。
サーチャーを飛ばして戦場を確認した所、どのタッグも問題なく拠点を抑える事が出来ていたからね……ソフィーとプラフタのコンビ
が、敵の頭上から巨大なウニと魚を落下させたのには流石に驚いたけどな。……と言うか、アレは錬金術で作ったモノなのか些か
気になるところではあるな。

だが、これで拠点は全て抑えた……残るは敵の本陣だけだ!!



「あぁ、其処に碑の欠片が有るみたいだからな……このまま押し切ろう!!」

「勿論だ!一気に終わらせる!!」

と言う訳で敵本陣に突撃したんだが……



「夜見様の邪魔をする者には消えて貰おう……」

「何をやっているんだ志貴!正気に戻れ!!」



其処に居たのは志貴……不気味なオーラを纏ってない所を見ると、幻影ではなく本物か!!
さて、如何した物だろうな……碑の欠片を回収すると同時に、志貴を取り戻すか?



「いや、碑の欠片を回収するなら志貴は奪還できない――志貴も神器を持っているから、儀式に対しての抵抗をしてくる筈だ……そ
 うなると、俺も可成りの力を消費してしまうからな。」

「成程な……そうなると、其れを見越して夜見は志貴を寄越したのかもな。」

マッタク、性格が悪いにも程があるぞ夜見。
だが、志貴だけ本物を送り込んだのは間違いだ……如何に本物とは言え、私ならば無力化するのは雑作もない事だからな!!
ハァァァァァァァ………覇王!!



「何だ?」

「炎熱ぅ……轟竜!咆哮!爆裂閃光魔人斬空羅漢拳!!」



――バッガァァァァァァァァァァァァン!!



「アインス、今のは一体……」

「うむ、我が主から教えて頂いた漫画に出て来るやたらと強いキャラの限りなくアホっぽい技なんだが、意外と威力があったみたい
 で驚いている。」

手加減はしたから、志貴が粉々になったと言う事は無いだろうが……おーい、生きてるか志貴?



――ヒィィィン……



「此れは……神器が反応している?」

「く……此処は?私は何故ここに……?」

「此れは……良かった、志貴が元に戻った。」



マジで?
これは予想外だったな……儀式を行わずとも、神器を持つ者は、神器同士を反応させてやれば自然と浄化されるようだな……尤も
その為には強いショックを与えなければならないみたいだがね。
だが、何にせよ此れで本陣は制圧した――後は碑の欠片を回収するだけだな。

さて、時に大丈夫か志貴?



「私は……」

「志貴!この……心配かけやがって!」

「私は……すまない……お前にも、英雄達にも、迷惑をかけたな……」

「本当に其の通りだ!
 環を守る筈のお前が、操られてこっちを襲ってくるなんて、よーく反省しろよ!――けど……お前が帰ってきてよかったよ。
 お帰り、志貴。」

「刹那……ああ、ただいま。」



如何やら大丈夫のようだな。
さて、この碑の欠片には、なんて書いてあるんだ?



『王、三つの神器によって夜見を泉の底へと沈めん。』



うん、これだけでは何も分からないな。
既にある欠片と合わせて意味を読み解いてみるか――まぁ、其れでも分かるかどうかは謎だけどな。



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で、聖域に戻って来た訳なんだが、如何だ、何か分かったか刹那?



「残念だが……夜見の封印方法を突き止めるには、未だ情報が足りないみたいだ。
 他の欠片も探さないとな。」

「まぁ、そう簡単には行かないだろうね。」

だが、急いては事を仕損じるだから、焦らずに行こう。
碑の欠片は一つ回収できたから、今度は仲間の奪還だ――待っていてくれ、必ず夜見の呪縛から解放してやるからな!










 To Be Continued… 



おまけ:本日の浴場



一仕事した後は温泉だ。異論は認めない。
で、そんなにじろじろ見てどうしたソフィー?若しかしてこれを飲みたいのか――残念だが、未成年に酒を飲ます事は出来んな。



「そうじゃなくて……あの、如何やったらアインスさんみたいに胸が大きくなるんですか!?」

「そっちか!!」

いや、どうやってと言われても、私の場合は製作者がそうしたからそうなったのであって、私が何かをしたから胸が大きくなった訳で
は無いのだが……そう言っても納得しないよなぁ?
まぁ、何だ、私からアドバイスするとするなら、牛乳を飲め!そして胸をよくマッサージしろ。
マッサージする事で血流が良くなって、胸に栄養が行きやすくなるから。



「そうなんですか?其れじゃあ頑張ってみようかな♪」



純粋だなぁオイ!!
此処まで純粋だと、将来何処かで悪い詐欺に引っ掛かったりしないかどうか心配だよ……此れは、プラフタにソフィーの安全を守っ
て貰うように言った方が良いかもな。
だがソフィー、お前は其の純粋さを失わないでくれ。――其れはきっと、とても貴重なモノだからね。