Side:アインス


大阪城フィールドを攻略して辿り着いたのは、何とも不思議な場所だな?――不気味に発光する木々が生えている地……刹那、此
処に夜見が居るのか?



「おそらく間違い無いと思う――俺の持つ神器『天剣』が反応してるから、此処に何かがあるのは間違い無い筈だアインスさん。
 其れにしても此の場所、よく見ると、廃墟みたいな物が有るな?
 怖くて寂しいが、凄く綺麗な場所だ……此処に夜見が居るとしたら、何を考えて此処に来たのかは分からないが、きっと罠がある
 と見て間違いない。
 何にしても、きっと此れが最後の戦いだ。
 英雄さん、一緒に夜見を倒し、世界を救ってくれ!!」

「言われるまでもない……私達はその為にこの世界に来たのだからね。」

「安心しろ刹那。夜見は必ず倒す。
 我等モノノフにとって、化け物退治は日常茶飯事だからな――紅月と時継も異論はないだろう?」

「勿論です……私自身は英雄と呼ばれるのは好みませんが、英雄と称された其の力、ご覧に入れましょう。」

「へっ、勇者に任せな!!」



モノノフ一同は異論はないぞ?
いや、私達だけでなく、元々お前のチームだった連中と、私が刹那チームに配属した面々も、やる気がリミッター解除しているみたい
だからね。
最強にして最悪の魔物を倒すには充分だ……覚悟しておけ夜見――貴様の事は、必ず滅してるからな!!










討鬼伝×リリカルなのは~鬼討つ夜天~ 任務112
『邪悪なる魔物~復活の夜見~』










予想はしていたが、道中は化け物だらけみたいだ……まぁ、私達が負ける相手ではないが、流石に数の多さは面倒極まりないな?
六爪流で切り裂いても良いんだが、この程度の奴等は刀の錆になる価値もないからな――思い切り力でねじ伏せるまでだ!!



――ゴゴゴゴゴゴゴ……



「アインス?何をする心算だ?」

「野暮な事を言うな桜花……私達の行く手を阻む馬鹿共を強制的に退かすだけだ……喰らえ!デアボリックSLB!」



――ドッゴォォォォォン!!



範囲魔法と集束砲の合わせ技は、矢張り反則級だな。
さて、此れで雑魚共は纏めて片付けた……尤も、直ぐに補充されるだろうけどね。



「そうだな……そもそもにして道は幾つかある――果たしてどのルートを選ぶべきか……」

「ドレでも良いんじゃないか?
 道は複数だが、恐らく何処を通っても最終的には夜見に通じてる筈だ……夜見は如何やら私達が悩んだりする姿を観察するのが
 好きなようだからな。
 其れを考えると、私達に意味のない選択肢を与えて悩ませるのもまた道理なのだろうさ。」

「……言われてみれば、確かにそうかも知れないな。
 だが、そう言う事なら此処は最短距離を行くのが最善だ――英雄さん、今しばらく俺に力を貸してくれ!!」



勿論だ――なんだが、道中の敵は揃いも揃って私達の敵では無いな?
一般兵にはソコソコ脅威の存在なのだろうが、我等モノノフにとっては大した相手ではない……ぶっちゃけて言うなら、私と桜花と
紅月と時継で一人頭500匹は殺したぞ?
次点がアーナスの480位だがな。



「まぁ、此れでも一応教皇庁のエージェントだから、化け物退治には慣れてるからね。
 其れよりも、如何やらここから先に進むには門番を倒さないといけないみたいだ。」

「マフウ……其れも、黄泉個体か。」

「ふむ、鴉天狗と来たか?良かろう、今宵の酒の肴は鴉天狗の焼き鳥にゃ。」



門番ね……黄泉個体を配置したのは悪くないが、手練れのモノノフ4人と、英雄として呼び出された者達の前では足止めにすらなら
ないな?
其れとのぶニャが、マフウは食って食えない事も無いが、あまり美味い物ではないからお勧めしない。



「アインス、お前さん『鬼』を食った事があんのか?」

「極寒の領域で遭難してしまってね……食べるモノも底を突いて仕方なくだ。
 マフウの肉は兎に角臭い。生きるために食べたが、正直言って好んで食べたい味じゃない……どうしても食べるなら、葱と生姜と
 ニンニクをたっぷりと混ぜ込んだ醤油と紹興酒の併せダレに三日は付けてから調理すべきだな。」

「……取り敢えず、久遠の奴にマフウだけは調理すんなって言っとくか…」



マホロバの里には『鬼』を調理する者が居るのか……チャレンジャーだな。
さてと、黄泉個体とは言えマフウ如き、今更敵ではないので瞬殺してやったが、此れはまたワラワラと化け物共が湧いて来てくれた
みたいだな?
門番が倒された事で危機感を覚えたか……数の暴力で私達を足止めする心算か?



「如何やらそうみたいだね……よし、此処は部隊を二つに分けよう。
 そうだね……俺とかすみ、レグリナとのぶニャが、ウィリアムと時継と紅月は此処で化け物共を食い止めるから、他は全て夜見に
 向かってくれるかな?」

「ダリウス……あぁ、任せた!」

門番を倒して開かれた門の先には洞窟が広がっているみたいだね?……幻想的だが、何処か不気味さも感じさせると言うのは、ラ
ストダンジョンとしては最高のシチュエーションかもな。

「道を開けろ……オベリスク・ゴッドハンド・クラッシャー!!」

「エリク、頼む!」

『ピッギャー!!(回れ回れば回る時ーー!!)』



尤も、出てくる敵は殆ど雑魚――否、単純に私達が強過ぎるだけか。
他の化け物は良く分からないが、『鬼』に関しては小型だけだからな?召喚術の影響で、化け物共がこの世界に居る訳だが、大型
の『鬼』を呼び寄せる事は無かったと言う事か。
まあ、雑魚共では相手にならん。
出てくる端から私達に滅殺されているのだからな……尤も、倒しても倒しても次から次へと化け物を送り込んでくる夜見の力は驚異
だとは思うがな。

とは言え、倒しに倒して如何やらゴール付近まで来たようだな?
此処から見える先には道はない……このゴールに夜見が居るのは確実だしね。



「悲しい歴史に終止符を打つ……皆、力を貸してくれ!」

「あぁ、行くぞ刹那!!」

夜見……その首貰い受ける!!



「うふふ、来たわね?さぁ、私と遊びましょう?」

「現れたな夜見。遊ぶか……良いだろう、遊んでやるさ――但し、遊戯の代金は貴様の命だがな!ハァァァァァァァ!!!!」

「ヨルドの力……格の違いを教えてやろう。」



――轟!!



夜見との戦い、出し惜しみなどする必要はないな。
私は力を解放し、アーナスもナイトメアに変身したからね――最強の魔物と言えど、数多の世界を壊して来た破壊神と、半妖の力を
完全開放したアーナス相手に何処まで出来るか、試させて貰うぞ!!
一刀流抜刀術……疾走居合!!から、二刀流極意、回転剣舞六連!そして六爪流奥義……楽には死ねんぞ!!

「泣け!叫べ!!もがけ苦しめ、そして死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「貴様はもう、お終いだ!」



八稚女をブチかました後に、アーナスが爪で夜見を貫いて大ダメージは確定だ――尤も、此れで即死しなかった辺りが伝説の魔物
なのだろうがな。
だが、夜見が弱ってるのは確実だ、此れはこのまま押し切れるか?



「ふふ……流石は英雄様。とても強いのね。」

「!!小夜……!!」

「伯母上?其れじゃあ、この夜見は……一体!?」

「敬意を表して、秘密を教えてあげるわ。
 実はね、本物の私は此処に居たの……貴女達が戦っていたのは偽物……私が作った幻影……如何、良く出来ているでしょう?」



今戦っていたのは幻影だったのか!!……道理で手応えが無い筈だ……クソ、とことん悪趣味だなお前は!!
しかも新たに現れた幻影の夜見には攻撃が当たらないだと?一体如何言う事だ!!……あの、纏っているオーラのせいか?



「あら、私を倒す術を知らないのね?……なら、残念だけどここで倒れるしかないわ。」

「クソ……今は奴を倒す術がない。
 悔しいが、逃げて再起を図ろう。」

「く……今は其れが上策か!!」

となれば最速で逃げるぞ。
瞬間移動が使えれば一番いいんだが、此処は夜見の瘴気が充満していて外の仲間の気配を探る事が出来ないから、瞬間移動は
使えないからね。



「あら、もうさよならだなんて酷いわ……皆、彼等を引き留めて。」

「夜見様の命令です、貴方方は逃がしません。」

「夜見様の命令だからね……全力全壊で行くよ!!」

「嘘だろ!?環が、夜見に操られてる――否、環だけじゃなくて英雄さんも!!」



く……最悪だな此れは!!
これは、環と志貴のチームは夜見の手駒になってしまったと言う事か――此れはチーム分けを間違ったかもしれん……なのはと趙
雲が敵になるとか、幾ら何でも笑えないぞ!!
とは言え、幸いなのは連中が追って来てる事だ……立ち塞がったなら倒さねばならないが、追ってくるのならば全力で逃げれば良
いからな!!

そんな訳で……ちょっと反則だが、マイティガードグレート!!ヘイスト+リジェネでスピードアップ+体力回復だ!!
兎に角全速力で走れ!!



「本当は、未だ私は力を完全に取り戻してはいないわ……だから、植物を通じて大地の力を集めていたのよ。
 でも、其れももう終わり……私は近い内に力を取り戻す――其れが何を意味するか分かる?……そう、世界が終わるの。」



この、言いたい事言ってるなマッタク!!
だが、攻撃が全く当たらないのでは戦いようもない……兎に角今は撤退だ――よし、洞窟の入り口まで到達だ!!
ダリウス、皆、今すぐここから離脱するぞ!!
今の夜見には、私達の攻撃は一切通用しない上に環達が操られてしまった!
――戦っても此方の戦力をイタズラに消費するだけだ……一度退いて、態勢を立て直すぞ!!



「君が其処まで言うとは……如何やら夜見は、俺達が思っていた以上の相手だと言う事だね。」

「お主程の手練れが、そう言うとはな……敵に背を向けるのは不本意じゃが、退くもまた兵法か……者ども、退却にゃ!」



あぁ、幾ら私でも攻撃が効かないのではどうしようもないからな……って、其れよりも逃げろ!追い付かれたら、桜色の砲撃に吹き
飛ばされるぞ!!!

更に全員をヘイスト+リジェネ状態にして速攻で逃げるが……矢張り簡単には逃がしてくれないか!!



「ねぇ、行かないで?遊び足りないの。
 大丈夫、怖がる必要はないわ……直ぐに終わらせてあげるから。」

「悪いが此方は終わる心算は毛頭ない!!」

現れた小夜は、幻影の夜見と違って不気味なオーラを纏っていない……ならば攻撃は通るな?
とは言え、殺すのはNGだからせめて一撃で終わらせる……おぉぉぉりゃぁぁぁぁ!燃えろぉぉぉぉぉぉ!!!



――バガァァァン!!!



拘束の踏み込みから肘打ちかまして、そして胸倉掴んで炎を爆発させる……琴月 陽と言う技だが、生身のお前には大ダメージだ
ろう小夜?



「うふふ……中々良かったわ。
 良いわ、今回は行かせてあげる。最後の時間を、皆で楽しんで……」

「チッ……今のでも大したダメージにならなかったのか。」

「君の攻撃を受けても無傷とは……夜見とはそれ程の相手なのか……」

「ナイトメアの私と、銀髪になったアインスさんの攻撃が一切通用しない相手か……此れは、可成り厄介だね。」



だな。
取り敢えず何とか逃げ延びたが……さて、如何したモノだろうね此れは?



「くっ!環や志貴、其れに英雄さん達まで操られるなんて……!
 其れに……俺達は夜見に、傷一つ追わせる事が出来なかった――此のまま、滅びを待つしかないのか……?
 いや、諦めてなるものか!
 聖域に戻って、色々調べてみよう。きっと、未だ手段はある筈だ!」

「そうだな刹那、諦めるにはまだ早い――無敵の敵など存在しないからね。」

絶対に破られる事が無いと思っていた、私の呪いですら砕かれたのだから、夜見を倒す手段は必ず存在している筈さ。
そのカギとなるのは、例の碑文なんだが……何とか碑の欠片を見つけ出して夜見の秘密を明らかにする以外に、夜見を倒す手段
を見つからないと見て間違い無いだろう。
先ずは、持てる戦力を総動員して、碑の欠片が何処にあるのかを調べるのが最優先事項かも知れないな。










 To Be Continued… 



おまけ:本日の浴場



取り敢えず、聖域に戻ってきたら温泉だ。此れからの戦いの為に英気を養う意味でも温泉は外せないな。
時にプラフタ、今更だがお前は本来は錬金術のレシピ本なんだよな?……其れが風呂に浸かっても大丈夫なのか?



「はい、問題はありません。
 この身体はソフィーが作ってくれた人形ですので、本体である本が濡れる事は有りませんから。」

「そうか、なら安心したよ。」

しかしまぁ、何だってソフィーはお前の身体をそんな風にしたんだろうな?
いや、身体は兎も角あの服は色々アウトだろ……オッサン臭い言い方をさせて貰うなら殆どハンケツだからなお前の服は……



「ソフィーも試行錯誤した末なのでしょう。
 そもそもにして人形の身体であるのならば、あまり服は必要ないのでは?」

「其れを言ったら身も蓋も無いからな?」

「あ、矢張りそうですか。」



う~む、ソフィー自身の服がアレだから、お色気と言う事は無いと思うんだが……まぁ、単純にプラフタに似合う服を究極的に考えた
結果なんだと思う事にしておこう。