Side:アインス


夜見へと至るルートの一つと言う事でやって来た大阪城で、まさかモンスターのフルコンパーティとエンカウントすると言うのは予想外
だったが、、この程度の相手ならば私の敵ではないな。

「闇に散れ。」

「目障りだ、視界から消えて貰おうか。」



本気を出した私と、ナイトメアを発動したアーナスの力の前では、その辺のモンスターなんかは塵芥ですらないな。
無理だと分かってはいるが、アーナスをウタカタに連れて帰りたくなって来たよ。――まぁ、何れにしても、この程度であるならば私達
の敵ではあるまい?



「その通りだが、本気を出した君とアーナスを見ていると、何方が敵なのか分からなくなって来るな……正直、化け物共に少しだけ同
 情してしまったぞ?」

「ふむ、そう言ってやるにゃ桜花よ。
 こやつらの働きは、値千金。ワシが直々に褒美をやりたく位にゃ。」



あまりに弱すぎて、桜花に同情されてるぞお前等?
夜見自身は強力であっても、使役するモンスターを異常に強化したりは出来ないようだな――否、敢えて強化しないで己の元まで辿
り着かせ、其処で絶望を与える心算なのかも知れないが。

兎に角今は、前に進むだけだな。










討鬼伝×リリカルなのは~鬼討つ夜天~ 任務111
『夜見を追って~刹那~』










さてと、化け物共を蹴散らしながら城内に押し入った訳だが……流石は城内、此れまでとは違って少しばかり強力なモンスターが出
て来るようだな?
マフウの気配を感じるが、この気配はより強力な黄泉個体か……ガキも不浄と黄泉が居るみたいだ――尤も、他のモンスターは如
何なってるか分からんけどね。



「拠点には手強い化け物が居るようね……」

「なら、先ずは其の拠点を落とすのが上策ですね。」

「良いだろう。魔人の娘が落としてやる。」



――バガーン!!



ってオイ!
レグリナ、攻撃するのは構わんが一体何時の間に跳ね床のトラップなんて仕込んだんだ!?如何考えても現場で行き成り設置でき
るモノじゃないよなあれは!?



「其れは企業秘密だ。」

「そう来たか。」

だが、敵を跳ね上げてくれたのは有り難いな?
翼のあるマフウですら、行き成り中空に放り出されてパニックを起こし、姿勢制御が出来なくなっているみたいだからね――絶好のチ
ャンスなので、其処を討つ!!
六爪流・夜叉車!!



――ズバババババババババババババババババババ!!



バケモノの細切れ一丁上がりだ。
序に拠点も制圧だな。



「アインスさんは凄いな。強くて凛々しくて、おまけに美人なんだから。」

「ふふ、嬉しい事を言ってくれるな刹那?
 だが、あまりそう言う事は軽々しく言わない方が良い――ナンパで安い男に見られてしまうからね。」

「そうなのか?」

「まぁ、知り合いに似たようなのが居るのでね……」

「気をつけるよ。
 其れよりも、拠点を制圧した事で敵の勢いが弱まった。此のまま一気に制圧しよう!」



あぁ、勿論その心算だが……如何やらそう簡単に行くモノではなさそうだぞ?……環&志貴チームの英雄達が現れたからな。
姿形は同じだが、不気味な紫色のオーラを纏っているのを見る限り、夜見が作り出した幻影なのだろうが……マッタク持って、良い性
格をしているな。



「幻影か……分かっていても倒すのは気が引けるな……」

「そうか?普通に倒せるけどな……」

本物であるならいざ知らず、偽物と分かってるなら全然平気。
こう言ったら何だが、幾ら殴った所で良心の呵責は全くない。だから私に幻影を向けるなんて言うのはマッタク持って無意味だな。
寧ろ、偽物が出て来る事には腹が立つから、遠慮なくぶっ倒してやるって言う感じだな……特に、自分自身の幻影はな!!
纏めて消え去れ……100倍ビックバンかめはめ波ぁ!!!



――ズドォォォォォン!!



「はい、終了!」

「本当に貴女は凄いなアインスさん……他の英雄達も強いが、貴女の強さは次元が違うな。
 時に、環は無事か……?志貴が一緒に居るから、きっと大丈夫だよな。」



私は規格外だからな。其れと、環達の無事は信じるしかないだろうな。
さてと、此れで2つ目の拠点も制圧した……大きな気配を感じる場所は後1つ、其処を制圧すれば大阪城ステージは全てクリアと言う
ところか?……尤も、このステージのラスボスは夜見ではないだろうけどね。



「アインスさんもそう思いますか?
 私もそう思います――何て言うか、夜見を見た時の嫌な感じが、此処ではあんまりしないんです。」

「此処は未だ道中と言う事ね。
 夜見……其の力は未知数だから、しっかりと見極めて行かないとね。」



ソフィーも分かったか……もしもこの場に夜見が居るのならば、もっと濃密な闇の気配を感じる筈だからな。
そして、お前の意見には同感だ元姫――敵を知り、己を知れば何とやらと言うが、今の私達は敵を知らなさ過ぎる上に知る時間も無
いと来ているからね。
ならば、戦いの中で見極めるしかないからな。



「まぁ、取り敢えず奴さんが、途轍もなく加虐的な性格なのは間違いねぇだろ?
 化け物の召喚に、仲間の幻影……趣味が悪いったらないぜ!のぶニャが、アンタもそう思うだろ?」

「是非にもなし……これ程までの悪は、未だ嘗て見た事がにゃい。」



勇者と第六天魔王に此処まで言わせるとは大したモノだと思うがな。
しかし、此処に夜見が出て来ないと言うのはある意味では幸運かも知れん……私の攻撃ですら完全に防ぎきったアイツを如何やっ
て倒せば良いのか、マッタク思い付かないからね。
最悪の場合、デアボリックエミッションやスターライトブレイカーすら無効にされかねんからな……リミッターを解除した状態でも何処ま
で通じるか分からん――まぁ、必ず攻略法は有る筈だがな。

其れはまぁ其れとして、此処が最後の拠点か。
拠点を守ってるモンスターは……巨大な黄金のプニプニ!?……此れがボスって、一気に気が抜けたというか何と言うか……って如
何かしたかソフィー?



「あ、アレは伝説のゴールデンプニ!!
 アレから取れる素材を錬金術に使えばスッゴイアイテムとかが作れるんですよ~~!絶対に倒して、素材を手に入れなきゃ!!」

「如何やらレアモンスターだったみたいだな……」

「まぁ、見た目が豪華なのは間違い無いからね……とは言え、此れで終わりならば一気に決めてしまおうアインス!!」

「気が合うな桜花……私もそう提案しようと思っていた所だ!!……深き闇に沈め、一刀両断!!」

「花と散れ……橘花繚乱!!」



レアモンスターとの事だったが、此れがボスだと言うのならば遠慮はせん。
桜花とのダブル鬼千切で見事に一撃必殺だ!!――尤も、ソフィーの為に完全には消し飛ばさずに素材が残る程度にはしておいた
けれどね。



「何とか勝てたが……相変わらず厄介な敵だな。環と志貴は無事か……?
 いや、アイツ等にだって英雄さん達がついてる。絶対、大丈夫だよな……」



さっきも言ったが、其れは信じるしかないだろうな。
趙雲となのはが一緒に居る以上は大丈夫だとは思うが、夜見の底知れ無さを考えると絶対に大丈夫とは言い切れないのが辛いな。
だが、此れで道を阻む敵は居なくなったな……夜見の所へ行くなら、今が好機だ。



「そうだなアインスさん。
 環達が来ないのが気になるが……きっとすぐに追いついてくれる筈だ。
 其れに……環達に万が一のことがあったなら、なおさら、この機を逃す訳には行かない――皆……行こう!夜見を倒す為に!」

「「「「「「「「「「「「「「おーーーーー!!!」」」」」」」」」」」」」


皆の気合は十分だし、確かに好機であるのは間違い無いが、どうにも嫌な予感が拭えん――攻撃が効かないのならば、最悪魔力を
限界まで上乗せしてブーストすれば如何にでもなるのだろうが、この嫌な予感は攻撃が通らない事への不安とは違うな。
言うなれば、ナハトヴァールの様な嫌な感じがする……この予感が、私の杞憂であればいいのだけれどね……








――――――








Side:夜見


うふふ……まさか此処まで巧く行くだなんてね。
高町なのはと趙雲子龍は少し厄介だったけれど、隙を突いて高町ヴィヴィオを蔦で絡めとって人質にしたらアッサリと抵抗を止めてく
れたのだから甘い事この上ないわ。
まぁ、そのお陰で私は最大の兵力を得る事が出来たのだけれどね。

貴女には働いて貰うわよ高町なのは?



「はい、了解しました夜見様。」

「そう、それで良いの。」

私が生み出した幻影ではなく、本物が敵として現れたら、貴方は如何するのかしら刹那?そして、アインス――此の子達が彼方達の
前に現れた時、どんな顔を見せてくれるのか楽しみだわ。

さぁ、いらっしゃい?――私は、此処に居るわよ。










 To Be Continued… 



おまけ:本日の浴場