Side:アインス


夜見の力は強大だ……其れは否定しようもないが、それ以前に私達は敵の事を知らなさすぎる――人を操る能力、そして幻影……
夜見は他にどんな力を持って居るんだ?



「私達も、それ以上の事は分からないのです――ずっと、伝説の存在と思っていましたから……」

「だが……絵本ではよく、草花と一緒に描かれている――若しかしたら植物も操れるのかも知れないな。」

「昔話には、大抵真実が隠されているモノ……その可能性は高いでしょうね。」

「うーん、厄介な相手だな……弱点とかはないの?」

「今のところ手掛かりは無い。
 『黎明の碑』になら、何か記されているかもしれないが。」



だが、今は其れを探している時間もないか……若しかしたら夜見は、希望の欠片を見つけさせておいて其処から絶望を与える事が目
的なのかも知れないな?悪趣味な。
なんにせよ、恐らく夜見は私達の動きを読んでいる筈だ……此のまま素直に奴の元へ行くのは危険だろうね。



「確かにアインスさんの言う通りだ――なら、二手に分かれるか?
 そうすれば夜見の目も分散するし、どちらかは奴の元へ辿り着けるかもしれない。」

「確かに、此のまま固まって動いてたんじゃ狙ってくれって言ってる様なモノだ。私はその意見に賛成かな。」

「でも……嫌な予感がします。
 此処で皆様と別れたら、もう二度と一緒になれないような……」

「環……お前の不安は分かるが、此のままだと全滅の可能性が否定できん――最悪の事態だけは避けねばならないだろう?」

「そう……ですね。
 分かりましたアインス様。」

「では、私は環と共に行こう。刹那は別の道を進んでくれ。」

「分かった。英雄さん達は如何する?環達と進むか、俺と進むか……」



何方と一緒に行くかか……ふむ、これまでずっと環と行動して来たから、ここは一つ刹那と共に行動するのも良いかも知れないな。








討鬼伝×リリカルなのは~鬼討つ夜天~ 任務110
『Hal to bass to melody to』










そう言う訳で、私はお前と一緒に行く事にするぞ刹那。



「本当かアインスさん?貴女が居てくれるなら安心だ。――後は誰に来て貰うか……」

「そうだな……私は刹那と共行くとして、その前に夫々の陣営の英雄達をもう一度纏めてみるか。」


・環チーム:桜花、紅月、時継、趙雲、周倉、元姫、ソフィー、プラフタ、三成、リオ、なのは、ヴィヴィオ、ほのか、ダリウス、クリストフォ
        ロス、ウィリアム

・志貴チーム:幸村、直虎、ハヤブサ、あやね、有馬

・刹那チーム:かすみ、マリ―、アーナス、レグリナ、のぶにゃが



ふむ、矢張り環チームの英雄が圧倒的に多いな?
となると、志貴チームと刹那チームの英雄は其のままに、環チームを分散するのがベターだろうね……環チームは私を含めて17人だ
が、環と志貴が一緒だと言う事を考えると刹那9、志貴&環8で分けるのが戦力的にはバランスが良いか。

そうだな……よし、桜花、紅月、元姫、時継、ソフィー、プラフタ、ウィリアム、ダリウスは私と一緒に刹那チームに来てくれ。
残りは全て志貴と環に!!



「私は環殿とか……アインス殿、此方の事は任せてくれ。」

「あぁ、任せたよ趙雲。」

お前が居れば安心だし、お前となのはのコンビなら相当な事が無ければムザムザやられる事も無いだろうからな――だからこそ、一
緒のチームにした訳だしね。
……なのはからの無言の圧力に屈した訳では無い、断じてな。

桜花、お前もこのチーム分けで良いか?



「環と離れるのは少々不安だが……君はこの組み分けが一番最適だと思ったのだろう?ならば是非もないさ。」

「俺達モノノフが纏まってるってのも、化け物相手なら、ある意味当然の分け方だな。」

「まぁ、夜見はトコヨノオウやイヅチカナタをも凌駕する存在みたいだから一筋縄ではいかないだろうがな。
 そんな訳で刹那、私を含めた此の9人がお前と共に行く。」

「そうか……これ程の英雄が一緒だと本当に心強いよ――此れから、宜しく頼む!」



あぁ、此方こそな。
其れでだ、チーム分けをしている間に夜見の気配を探ると同時に、なのはにサーチャーを飛ばして調べて貰ったんだが、夜見は地下
に身を潜めている様でね、其処に辿り着く道はなのはのエリアサーチの結果では二つ存在しているんだ。
その何方にも、敵がいる事は間違い無いだろうけれどね。
まぁ、月並みだが気をつけてな?



「そうだな、アインス殿……お互い、無事を祈りながら進もう」

「刹那兄様、英雄様方……また、お会いできますよね?」



当たり前だろう、環。そっちには三国志最強の英雄である趙雲と、1000年の呪いを断ち切ったなのはが居るし、此方には私と、夜の
王の力を秘めたアーナスが居るんだ、きっと何とかなるさ。
夜見の所で、また会おう!



・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



と言う訳で夜見へ至るルートの一つの途中にあるフィールドに来た訳なんだが、此処は大阪城か……と言う事は、幸村の記憶を基に
構成された世界か。
だがしかし、フィールドには化け物がうろついているな?……ガキにマフウ、プニプニしたのに、碑文の欠片を持ってたのと同じ鬼、蛇
人間に如何とも形容しがたい辛うじて人型とも言えなくない何か、そしておもちゃの兵隊……ハハハ、エネミーのフルコンだな。



「此れも夜見の差し金か……だが、立ち止まる訳には行かない。
 急ぎ突破し、先へ進もう!!」

「あぁ、行くぞ!」

「鬼を討つ、鬼とならん!」

「勇者に任せな!」

「さぁ、参りましょう。」

「責任は果たさないとね……」

「一生懸命戦うよ♪」

「やって見せましょう。」

「さて、狩りの時間だ。」

「御指名とあらば、喜んで。」

「裁きを与えてやろう。」

「私は、負けない。」

「マリーが行きます!」

「是非に及ばず。」

「Buddies fight together.(共に戦おうぜ、相棒達よ。)」



此れから挑む相手は、この世界の最強最悪の魔物である夜見が生み出した百鬼夜行と言った所だが、そんな物で私達を止められる
と思ったら大間違いだ。
此方には化け物退治のエキスパートであるモノノフが4人も居るし、アーナスは邪妖を狩る聖騎士で、ダリウスに至っては鬼の頭領だ
からね……何より、第六天魔王が一緒なら負ける気がせん。

夜見と言うメインディッシュの前菜としては、少々食い足りない気がしなくもないが、押し通らせて貰うぞ!!








――――――








Side:夜見


うふふ……二手に分かれるとは考えたわね?
確かにそうなれば、私はどちらか一方の動きしか把握できないモノね――でも、其れは逆に言うならどちらかの動きは確実に把握出
来ると言う事でもあるわ。



『志貴兄様、英雄様!!』

『この魔物の数……夜見に近付いている証か?』

『ならば、尚の事押し通らねばなるまい……なのは殿、頼む!』

『任せて趙雲さん!ディバイン……バスタァァァァァァァァァァァァァ!!!』




環、志貴……早くいらっしゃい?
小夜の実子である彼方達ならば、刹那よりも……うふふ、考えただけでゾクゾクして来るわぁ――最大の絶望と出会った時、貴方は
どんな顔を見せてくれるのかしら、刹那?

うふふ、私の所に辿り着くのを楽しみにしているわ。



『全力全壊!ハイペリオンスマッシャー!!』

『『『『『『『『『『ギヤァァァァァァァァァァァァァ!!!』』』』』』』』』

『なのは殿、貴女の武は冴えわたっている……弛まぬ努力の賜物だろうな。』

『トレーニングを欠かした事は有りませんから♪』




それにしても高町なのはと言ったかしら?……私が用意した異世界のモンスター達をいとも簡単に葬るとは――彼女とアインスが同じ
チームでなかったのは私にとっては幸運だったかもしれないわね。
だけど、其の力ももうじき……ふふふ、アインスには彼女を別チームにしてしまった事を後悔して貰うとしましょう……世界の終焉まで
もう少しね……










 To Be Continued… 



おまけ:本日の浴場