Side:アインス


これまでに起こった事を簡潔にまとめると……


・刹那が戦の準備をしているらしい

・なら受けて立つわ

・敵が罠を仕掛けて来た→仕方ないから乗ってやろう

・その隙に環が攫われた

・奪還しなくては

・でも、戦場に魔物が現れたっぽいで?

・魔物は私達モノノフが何とかするから、環の方を頼んだぞ趙雲←今此処


とまぁ、刹那軍との戦いの最中に何とも面倒な事が起きてしまった訳だが、環の奪還は問題なかろうな――ハッキリ言って趙雲となの
はが組んだら私でも可成り苦戦しそうだから、言っては悪いが刹那軍の英雄達では勝てんだろうさ。

「桜花、時継、紅月……行くぞ!!」

「あぁ!我等、『鬼』討つ『鬼』とならん!」

「へっ、カラクリ人形の大冒険!ってな。」

「行きましょう。私達ならば、やれます。」



さてと、化け物共は何処だ?――纏めて叩き切ってやる!!









討鬼伝×リリカルなのは~鬼討つ夜天~ 任務106
『明かされる真実~泉の対価~』










化け物を探す道中で山賊に出くわしたりもしたが、碌に戦闘訓練も受けていない暴力集団などモノノフの敵ではなく、アッサリと蹴散ら
してやった――んだが、紅月がボコった山賊に説教かまそうとしたので、其れを止める方が大変だったな。

そして、件の化け物を見つけた訳なんだが……ガキの集団と、プニプニしたのと、蛇人間と、アレは『鬼』か?
筋骨隆々の体躯に、鋭い牙と頭の角は、どう見ても『鬼』なんだが、私達の世界に居た『鬼』とは随分と雰囲気が違う――しかもアイツ
からは僅かにだが人の気配を感じるからな。

別の世界から転移して来た化け物――私の予想が正しければ、何らかの実験か、或いはウィルス感染で化け物になってしまった人
と言った所だろうか?



「アレが、元々は人だったと言うのか?」

「俺とは別の意味で人間じゃなくなっちまった訳か――尤も、俺と違って、アイツ等は精神の方も化け物になっちまたみてぇだがな。」

「最早、アレを救う事は出来ないでしょう……苦しまぬように逝かせてあげるのが、せめてもの情けですね。」



だな。
奴の相手は私が引き受けるから、桜花達は周りのガキやら何やらを頼む。



「お任せ下さい、アインスさん。」

「よっしゃ、いっちょブチかますか!」

「油断するなよアインス――アイツはガキ達とは違うようだからな。」

「あぁ、分かっているよ桜花。」

だから、手加減なしの本気で行く。
六爪流だけでなく、力を解放した銀髪紅眼の状態でな!!――先ずは先制!敵を飛び越えると見せかけて、足を引っ掻けるようにし
蹴りを入れる!
着地と同時に敵の踝の辺りを蹴り、左手で袈裟切り→横薙ぎの連続技に繋ぎ……

「遊びは終わりだ!泣け、叫べ!そして死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

禁千弐百壱拾壱式・八稚女!勿論、彩華にまで繋いだ大ダメージコンボだ――マックス版で喰っても良かったんだが、この状況では
敵に隙を曝す事になるから自重した。
まぁ、本気モードの私の攻撃を喰らったら、ゴウエンマですら一撃滅殺だから、アレくらいの相手なら即死で間違い無いな。



――ツンツン



突いてみても、まるで反応がない、只の屍になった様だ。
って、何か落ちてるな?淡い輝きを放つ翡翠色の石の欠片……成形された跡がある上に、何か文字が彫ってある――此れは、何か
の石板の一部か?
取り敢えず、重要なモノかも知れないから回収しておくか。

桜花、そっちは如何なった?



「見ての通り制圧完了だアインス。
 噂に聞いた八つ草の英雄と、自称勇者が一緒だから極めて楽勝だった。」

「オイコラ、自称ってのは聞き捨てならねぇぞ桜花!!」

「まぁ、今の貴方を見て勇者と思えと言うのは無理がありますよ時継。」

「チクショウめ……博士の奴も、どうせなら生前の俺によく似たカラクリ人形でもこさえてくれりゃあ良かったのによぉ!
 まぁ、こうして生きてるだけで儲けモノだから、文句を言ったら罰が当たっちまうがな。」



有無、問題なく制圧できたみたいだな。
モノノフのランクで言うなら、桜花も時継も紅月も最高のSランクと言えるのは間違い無いから、この程度の敵は相手にならんか。

とは言えマダマダ化け物共は湧いて来ているな……さて、如何した物か?



「アインス、君は趙雲と合流してくれ。此処は、私達が何とかする。」

「桜花?」

「そうだな。
 趙雲と嬢ちゃん達なら何とかなるだろうが、万が一って事も有る――お前さんが一緒なら、その万が一すら無くなるだろうからな。」

「環の奪還の方をお手伝いしてください――この程度の雑魚、貴女が相手をするまでもありませんし。」



……分かった。
必ず環を奪還して見せるさ!!

ならば、瞬間移動を使うか……え~と、なのはは何処だ?――見つけた!!



――バシュン!!



「うわ、アインスさん!?」

「おっと、驚かせてしまったか?
 瞬間移動で、お前の所まで来たんだが……状況はどうなってる?」

「えっとですね、敵の軍勢は殆ど蹴散らしたんですけど、如何にも誘導されている気がしてならないんですよ……地上では趙雲さんと
 ヴィヴィオが奮闘してるから負けはしないと思いますが……」



うん、確かに趙雲とヴィヴィオが無双してるな?――此処に空からお前の砲撃やら射撃が降り注ぐんだから、刹那軍からしたら悪夢で
しかないだろうな。

っと、環を見つけた!!



「此処は危険です!私に構わず、逃げて下さい!!」



は?一体何を言ってるんだ?



「そろそろですね……レグリナさん、お願いします。」

「良いだろう、裁いてやる。」



此れは、挟撃が狙いか!
ならば、レグリナがマリーと合流する前に撃破するだけの事――魔人の娘だか何だか知らないが、世界を滅ぼす破壊神に勝てると思
うな!!



「お前か……今度こそ、落としてあげるわ。」

「落とされるか馬鹿者。」

お前の戦い方は、罠を使っての物だろう?
確かにトロイホースや振り子刃などの罠を自在に使うみたいだが、逆に言うと罠を使わない肉弾戦は苦手な上に、徹底して近付かれ
てしまっては己も巻き込みかねないから罠は使えない――つまり、クロスレンジに持ち込んでしまえばお前は恐れる相手ではない。



「く……!」

「罠に頼った戦い方が仇になったな――上空の高町なのは一等空尉、トドメを頼む。」

「はーい♪全力全壊、ディバインバスター!!!



――ドッゴーーーーン!!!



「そんな、馬鹿な……!!」

「はい、此れまでよってな。――しかし、相変わらず凄まじい砲撃だねなのは?」

「其れしか取り柄がありませんので。」



いやはや、大したモノだと思うぞ?
一つ覚えの砲撃が通ると思ってか、と嘗て言ったが、お前の砲撃ならば誰が相手でも通るのだろうな――大してダメージを受けなか
ったとは言え、私のシールドを抜いた事も有る訳だからな。


さて、其方は如何だ趙雲?



「アインス殿か。
 マリー殿は倒し、環殿を奪還する事が出来た。」

「皆様、ご迷惑をおかけしてしまいました……申し訳ありません。」



いや、お前が攫われたのは私達にも原因があるからお前だけのせいじゃないさ。――其れよりも、今はやる事があるだろう?
――如何やら本陣の門が開いたようだからな。

「刹那は、私達を招いているのかも知れん。」

「ならば……今参ります、刹那兄様。」



ならば行くぞ刹那の元にな!!







――道中の雑魚共を蹴散らしてる最中だから、『銀の意思』でも聞きながら待っていてくれ。






で、雑魚共を蹴散らして刹那の本陣に到着した訳だが……



「もらった!!」

「はぁぁぁぁ!!」




アーナスとかすみが強襲して来たか!!
だがそうはさせん!趙雲!!



「委細承知!覇ぁぁ!!」

「おぉぉぉりゃぁぁぁぁぁ!!」


私の六爪流と、趙雲の槍で弾き返してやる――まぁ、大したダメージにはならなかっただろうが、其れでも強襲が失敗したのは激痛だ
ろう?強襲に失敗したその時は、真っ向から戦うしかないのだからな。

だが、今の攻撃は環を狙っていた……如何言う心算だ、刹那!



「泉の力は、余りにも強大だ。
 操るには、其れなりの対価がいる。」

「対価……?」



っと、そう言えば環は其れを知らなかったか――だが、今其れを言うと言うのか刹那!!
お前は、真実を告げれば環は必ず王になろうとすると言っていたじゃないか……否、真実を告げねばならない程に追い詰められてい
るのか刹那は。



「王の生命だ。」

「なに……?」



私と桜花とソフィーと元姫以外は知らない事だから、趙雲も驚いているようだな。



「王とは、この世界の犠牲者……お前がそんなものになる必要はない。」

「いいえ、刹那兄様。だからこそ、私が王にならなくては。」



だが、既に環は覚悟を決めているから、絶対に退かん。
私としても環の事は死なせたくないから出来る限りのことをする心算だが、環の覚悟を無駄にするのも御免だ……だから、私は環の
意思を守る為に戦おう。



「環殿……ならば、私がその大志を守り抜く!」

「環ちゃんの覚悟、私が守るよ。」

「私だって頑張っちゃうから!」

「ふ、気が合うな趙雲、なのは、ヴィヴィオ――私もそう思っていた所だ!!」

来い、刹那、アーナス、かすみ。
環を止めたいと言うのならば、私達を倒してみるが良い――尤も、お前達がドレだけの力を持っていたとしても、私と趙雲となのはとヴ
ィヴィオのチームが負ける事だけは無いと断言できるがな。










 To Be Continued… 



おまけ:本日の浴場