「「「「はぁ、はぁ、はぁ…」」」」

 「「「「「「「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ…」」」」」」」

 童美野中央病院の霧恵の病室はまるでハルマゲドンの跡地だった。
 アキ、氷雨、響、美咲に7体の霊魔導師達全員で霧恵を押さえ込んだのだ。

 「き、霧恵は本当に重傷なの?」

 誰が漏らしたか分からない呟きはこの場の全員の総意であった…











 『時を越えた遭遇(であい)と絆』〜後編〜











 「「「………」」」
 遊戯&遊哉&遊星:LP11600

 波動竜騎士−ブラック・マジシャン・ガール:ATK3300
 氷炎龍皇−ラガン:ATK4000
 ガーディアン・エアトス:ATK3000
 スターダスト・ドラゴン零式:ATK3700




 「中々やる…」
 「忌々しい…!」
 ダーツ&パラドックス:LP8900

 Sinメテオ・ブラック・ドラゴン:ATK4200
 Sinサイバー・エンド・ドラゴン:ATK4700
 オレイカルコス・ゴーレム:ATK3500


 コロシアムと化した巨大遺跡では人類の未来を左右するであろうデュエルが続いていた。
 3対2の変則デュエルのライフアドバンテージは遊戯達に有る。
 だが、フィールドアドバンテージはフィールド魔法とSinの速効性によりダーツとパラドックスが上。
 故に一瞬の隙が勝負を分ける。


 「私のターン!くくく…チューナーモンスター、Sinパラダイム・ギアを召喚。」
 「ギギギ…」
 Sinパラダイム・ギア:ATK1200



 「「チューナーだと!?」

 「不動遊星、緋渡遊哉、シンクロ召喚が貴様等だけの戦術と思うなよ!レベル8Sinメテオ・ブラック・ドラゴンに、レベル4Sinパラダイム・ギアをチューニング。
  暗黒の魂が深淵の闇より混沌をもたらす。シンクロ召喚、絶望を与えよ『Sinカオティック・ドラゴン』!!」
 「グガァァァァァ!!」
 Sinカオティック・ドラゴン:ATK5000→5700



 「攻撃力5700…!」

 最高レベル12のモンスターにして基本攻撃力5000。
 更にSinオレイカルコスによって強化されその力は凄まじい。

 「相変わらずチートモンスターが好きだな…この引き篭もり仮面は。」

 それでも余裕を崩さず毒を吐くのは遊哉らしい…のか?

 「ふん、大きな口を叩くのもそれまでだ。
  教えてやろう、Sinカオティック・ドラゴンは戦闘を行う相手モンスターの攻撃力を半分にし、相手に与える戦闘ダメージは倍になるのだ!」

 「うぉぉ、チート以外の何者でもねぇ!」

 「滅ぼしてやる…Sinカオティック・ドラゴンでガーディアン・エアトスに攻撃!『Sinスパイラス・ドライブ』!」

 「く…!」
 ガーディアン・エアトス:ATK3000→1500



 「そうはさせない!スターダスト零式の効果発動!」

 当然遊星は其れを阻止しようとする。
 だが、此処はダーツが一枚上手。

 「無駄だ。永続(トラップ)発動『オレイカルコスの呪縛』。この効果で相手モンスター1体の効果を無効にし、このカードの対象になったモンスターはリリースできない。」

 「く、読んでいたか…!」

 チェーンの関係上、オレイカルコスの呪縛に対してスターダスト零式の効果は使えない。
 此れにより、パラドックの攻撃を通してしまう事になる。



 ――ドォォォォォ!



 「うぬぅ…」
 「此れくらいで…!」
 遊戯&遊哉&遊星:LP11600→3200


 一気にライフを削られ、ライフアドバンテージまで失ってしまう。

 「此れだけではない。Sinカオティック・ドラゴンが戦闘を行った場合、相手のライフに1000ポイントのダメージを与える!」


 「なに!?」
 「1000ポイントのダメージだと!?」
 「この、チート野郎…!」
 遊戯&遊哉&遊星:LP3200→2200


 「攻撃が終了した事によりエアトとスの攻撃力は元に戻るが…」

 ガーディアン・エアトス:ATK1500→3000

 「まだ、Sinサイバー・エンドの攻撃が残っている。喰らうが良い『エターナル・エヴォリューション・バースト』!」



 ――ドン、ドン、ドォン!!



 「くぅ…耐えてくれ、エアトス!」
 「大丈夫です、此れしき…!」
 遊戯&遊哉&遊星:LP2200→500


 1万以上あったライフはこのターンだけで僅か500にまで削られてしまった。
 いよいよ、本気と言ったとこだろうか?

 「少し本気を出せばこんなモノだ…カードを1枚伏せてターンエンド。」

 3人は正直焦っている。
 諦めては居ないが如何せん不利過ぎる。
 遊戯が伏せた2枚のカードで逆転できないことはないが其れにはまだ準備が整っていない。
 如何にこの3人でもこの状況を覆すのは簡単ではない。
 だが遊戯は考えていた、あの時の光景を。
 時を越える前に見た、神殿に封印されていた2体の竜のことを。


 そして、其れは起こる。







 ――――――








 「え…?」
 「此処は?」


 パラドックスがターンを終了した瞬間、遊哉と遊星は見知らぬ場所に居た。
 其れは遊戯から聞いていた神殿、そして封印が施されている竜。


 「こいつ等はもしかして…」

 「緋渡、俺にはこの竜の名前が分かる。」

 「俺もだ遊星。」

 2人は自分が名前を理解した竜に近付きその足に刺さっている剣を握る。

 「つまりは決着付けろって事だな!」

 「そうみたいだな。」

 剣を握る手に力を込め一気に引き抜く。

 「「目覚めろ!!」」

 瞬間、光が溢れた…








 ――――――








 「如何やら封印を解いたらしいな。」

 遊戯は全てを理解していた。
 ターンを前に一瞬、意識が飛んでいた遊哉と遊星。
 それだけで全てを理解した。

 「遊戯さん…」

 「2体の竜が君達を選んだんだ。迷わず行こう、遊星、遊哉!」

 「はい!俺のターン、魔法(マジック)カード『錬金術の産物』を発動。全てのプレイヤーは手札の魔法カード1枚を墓地へ送りデッキからカードを2枚ドローする。」

 先ずは手札の入れ替え。
 この効果を受けながら、ダーツとパラドックスは不審に思っていた。
 遊哉と遊星の雰囲気が変ったことを感じたのだ。


 一体何が?


 其れは遊星の一手で判明する事になる。


 「(遊戯さんが墓地の送った魔法カード…此れなら!)俺は更に『ディアボロスの翼』を発動する!!
  全ての墓地から魔法カードを選択し、選択したカードと融合して新たなモンスターとなる。
  俺は遊戯さんの墓地の『バーサーカー・ソウル』を選択!現れろ『アサルト・バーサーク・ドラゴン』!!」
 「ウガァァァァァ!!」
 アサルト・バーサーク・ドラゴン:ATK2000



 「馬鹿な…4体目の名も無き竜だと!?」
 「こんな事がありえるのか!」

 ダーツとパラドックスは驚きを隠せない。
 ダーツの記憶では名も無き竜は3体だったはず。
 パラドックスもそう聞いている。
 だが、現実に4体目の竜が目の前に存在しているのだ。

 「バトル!スターダスト・ドラゴン零式で、オレイカルコス・ゴーレムに攻撃!唸れ『アサルト・シューティング・バスター』!!」



 ――バァァァァァン!



 「ぐおぉぉ…」
 ダーツ&パラドックス:LP8900→8700


 「この瞬間アサルト・バーサーク・ドラゴンの効果発動!俺のモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊した場合手札のモンスターを墓地の来る事で、
  攻撃したモンスターの攻撃力を1500ポイントアップさせて追撃を可能にする!」
 「シュォォォォォ…!」
 スターダスト・ドラゴン零式:ATK3700→5200



 「「!!!」」


 「Sinサイバー・エンドに攻撃、響け『アサルト・シューティング・バスター』!!」



 ――バシュゥゥゥゥ!



 「くぉぉぉぉ…!」
 ダーツ&パラドックス:LP8700→8200


 「く、流石は伝説の竜…だが、次の私のターンで貴様等の負けは免れん。」

 確かに。
 ライフ500では次のダーツのターンで止めを刺されるのは確実だろう。

 「カードを1枚セット。確かにこのままなら俺達の負けだろう。」

 遊星もそれは理解している。

 「だがこのターンのエンドフェイズにアサルト・バーサーク・ドラゴンの効果発動!
  俺の手札を全て捨てる事で次の相手のターンをスキップする!」

 「何だと!?」

 この効果は極悪極まりない。
 強制的に遊哉にターンが回ってくるのだ。

 「此れがチャンスだ。頼むぞ緋渡!」

 「任せとけ!俺のターン!」

 これこそが好機。
 逃す手はない。

 「ターンをスキップだと…チートはどっちだ!」

 「主人公は何やっても良いんだよ、このタコ!速効魔法『手札断殺』を発動。
  全てのプレイヤーはデッキからカードを2枚ドローし、その後手札を2枚捨てる。」

 又しても手札の入れ替え。

 「一体何を考えている。」

 「其れは俺が教えてやるぜ!」

 此処で遊戯が動く。

 「手札断殺の効果で墓地に送った『結束の使者』の効果発動。このカードが墓地へ送られたときフィールドに『ユニティ・トークン』を1体特殊召喚する。」
 「うにょ。」
 ユニティ・トークン:星4・光・戦士・攻守1000

 「流石は遊戯さんだぜ。俺は『ヴァルディウスの鱗』を発動。コイツはフィールド上のカウンターやトークンと融合して新たなモンスターとなる。
  行けヴァルディウス!遊戯さんのフィールドのユニティ・トークンと融合、現れろ『ドラグーン・オブ・ユニティ』!」
 「シュゥゥゥ…!」
 ドラグーン・オブ・ユニティ:ATK2200



 「5体目だと…」

 「何処まで予想を上回る気だ…!」


 此処に来てダーツは漸く気が付いた。
 既に伝説の竜の力は更に進化していると。
 そして自分達を倒す為に新たに2体の竜が目覚めたことも。


 「ドラグーン・オブ・ユニティの効果発動。このターン俺のフィールドのドラゴン族以外のモンスター1体に、俺達のフィールドのドラゴンの攻撃力を集中させる!
  ガーディアン・エアトスに龍の力を全て集約する!『パワー・アブソリュート』!」
 「力が…漲ってきます!」
 ガーディアン・エアトス:ATK3000→18200


 「此れで終いだ!ガーディアン・エアトスでSinカオティック・ドラゴンに攻撃!『フォビドゥン・ゴスペル』!!」
 「神罰です!!」



 ――ズバァァァァ!



 エアトスが手にした流星剣−シューティング・レイヴで、Sinカオティック・ドラゴンを真一文字に切り裂く。
 発生する戦闘ダメージは10000以上。
 倒す事ができたのだろうか…?


 「く…危なかったな…」
 「流石に今のは効いたぞ…」
 ダーツ&パラドックス:LP3900


 「ま、そう簡単には勝たせちゃくれないか。」

 「当然だ。(トラップ)カード『究極の体力増強』を発動した。戦闘ダメージが発生する前に、私達のライフを倍にする。」

 「(まぁ今のターンで遊戯さんの準備は整ったみたいだし…俺は此処までかな。)カードを1枚伏せてターンエンド。」

 正直な事を言えばこのターンで倒したかったと言うのが本音だろう。
 だが、1対1なら兎も角、此れは変則デュエル。
 無理に自分がフィニッシャーになる必要はない。

 「私のターン。(ふ…来たか)私は、私とパラドックスのフィールド上のカード全てと、手札5枚を墓地へ送り『Sinオレイカルコス・ウロボロス』を特殊召喚!」
 「シャァァァァァァ!」
 Sinオレイカルコス・ウロボロス:ATK∞



 「攻撃力∞!?」

 「だが、そいつの特殊召喚によりオレイカルコスの呪縛は消滅し、スターダスト零式の効果が復活する!」

 「甘いな、不動遊星。Sinオレイカルコス・ウロボロスは特殊召喚時に墓地のカード効果を得る事ができる。
  私は当然オレイカルコスの呪縛の効果を付与し、スターダスト零式の効果を再び無効にする。」


 厳しい条件をクリアして出した切り札と言うべきか。
 無限大の攻撃力にこの効果は流石に厳しい。
 だからと言って、遊戯達3人は慌てないし焦らない。
 既に迎撃の準備は出来ているのだから。


 「無限大の攻撃力の前では全てが無力。此れが真の終焉だ。Sinオレイカルコス・ウロボロスでアサルト・バーサーク・ドラゴンに攻撃『インフィニティ・ダークネス』!」



 ――ゴバァァァ!



 「名も無きファラオよ、今度こそ私の勝ちだ。」
 「さらばだ伝説のデュエリスト達よ!!」

 既に2人は勝ち誇る。
 だが、遊戯は不適に笑い迎撃に入る。

 「そいつは如何かな?伏せ(リバース)カードオープン!影の衛兵(シャドー・ガードナー)。攻守0の衛兵トークン2体を守備表示で特殊召喚する。」
 「「ハァッ!」」
 衛兵トークン:DEF0×2


 「そんな物が何の役に立つ。悪あがきは止めろ。」

 「果たして悪あがきかな?速効魔法『転生の雫』を発動。ライフを半分払い、墓地のモンスター1体を特殊召喚する。」
 遊戯&遊哉&遊星:LP500→250



 ――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…




 「遊星…!」

 「あぁ…来る!」

 「蘇れ、『オベリスクの巨神兵』!!」
 「ウォォォォォォォ!」
 オベリスクの巨神兵:ATK4000


 現れたるは破壊神。
 デュエルキングの象徴たる三幻神の1体オベリスク。
 その圧倒的力は、それだけで周囲を震えさす。


 「これが、遊戯さんの神…!」

 「感激だぜ。まさか生で見れるなんてな!」

 遊哉と遊星は興奮を隠せない。
 伝説の神をその目で見ることが出来たのだから無理は無いが。

 「オベリスク…何時の間に墓地に…!まさか!」

 「そうだ。遊星の使った錬金術の産物でオベリスクをドローし、遊哉の手札断殺で墓地へ送ったのさ。」

 そう、あの2枚の手札入れ替えカードは遊哉と遊星の戦術だった。
 強力な神を遊戯の元に呼び込む為だったのだ。

 「だが、神と言えど攻撃力4000…無限大の攻撃力の前には無力だ!」

 「俺がそんな事も考えず神を蘇らせたと思うのか?」

 「なに…?」

 「見せてやるぜ。(オベリスク)の最上級特殊能力発動『ソウル・エナジーMAX』!!」
 「ムゥゥゥン!」


 遊戯の宣言と共に、衛兵トークンがオベリスクへと吸い込まれていく。


 「神の最上級能力だと…?」

 「教えてやるぜ。オベリスクは2体の生贄を捧げる事で、攻撃力が無限となりその攻撃力で相手モンスター全てを粉砕する!」
 「フォォォォォ!」
 オベリスクの巨神兵:ATK4000→


 攻撃力は此れで対等の無限。
 更にこれは加減算不可能な数値の為、これ以上の強化も弱体化もありえない。


 「吹き飛ばせオベリスク!」


 ――ガシィィィン!


 「行くぜ!『ゴッドハンド・インパクト』!!」



 ――ドゴガァァァァァァァァァァァァ!!!



 凄まじい力と力。
 無限の力同士が衝突し凄まじい衝撃が巻き起こる。



 ――バァァァァン!



 「うおわっ!!」
 「くぅぅぅ!」
 「………!!」

 「これが、神の力…!」
 「だが…!」


 炸裂した力に耐え切れず、5人とも吹き飛ぶ。


 「やったか!?」

 「いや、攻撃力はどっちも無限大…相打ちじゃねぇのか?」


 爆破の粉塵が収まる。
 遊哉の言う通り、2人のライフは3900のまま。
 更に新たなモンスターまで存在している。


 「ふ、神の登場には驚いたぞ。だが、Sinオレイカルコス・ウロボロスが破壊された事で新たなモンスターを特殊召喚することが出来た。」

 「Sinオレイカルコス・ウロボロスが破壊されたとき、デッキか手札から『Sinオレイカルコス・リヴァイアス』を特殊召喚できるのだ!」
 「グググ…!」
 Sinオレイカルコス・リヴァイアス:ATK?


 「Sinオレイカルコス・リヴァイアスの攻守は特殊召喚時の我等のライフポイントの10倍となる。」
 Sinオレイカルコス・リヴァイアス:ATK?→39000

 「更にこのモンスターが存在する限り、私達に発生するダメージを10万まで無効にする。…ターンエンドだ。」

 此処までくると最早執念の塊。
 攻撃力39000にしてダメージ合計10万までを無効にする。
 つまり遊戯達が勝つにはいっきに103900以上のダメージを与える必要がある。
 だが流石にそんな事ができるのだろうか?


 「何処までも諦めの悪い奴だぜ。俺のターン!波動竜騎士−ブラック・マジシャン・ガールの効果発動。
  俺のスタンバイフェイズ時にデッキから魔法カード1枚を手札に加える事ができる。俺はデッキからエクス・カリバーを手札に加えるぜ!」
 「どうぞ、マスター。」


 遊哉もこの瞬間に動く。

 「このターンで終わらせるぜ!伏せカードオープン『友情の一撃』!このターンフィールド上のモンスター1体に俺達のモンスターの攻撃力を集約させる。
  波動竜騎士−ブラック・マジシャン・ガールに全ての力を集約する!」
 「波動竜騎士よ私達の力を受け取ってください!」
 「ありがとう!ありがたく使わせてもらうよ♪」
 波動竜騎士−ブラック・マジシャン・ガール:ATK3300→18200



 「俺も行くぞ!伏せカードオープン!速効魔法『揺ぎ無き結束』!」

 遊星も決着の為に動く。

 「フィールド上のモンスター1体の攻撃力を、俺達の場のモンスターの数だけ倍化させる。俺達の場のモンスターは6体。
  よって、波動竜騎士−ブラック・マジシャン・ガールの攻撃力は6倍になる!」
 波動竜騎士−ブラック・マジシャン・ガール:ATK18200→109200


 「2人とも見事だぜ!」

 遊戯は未来のデュエリストたる遊哉と遊星を賞賛し、最後の一手を打つ。

 「装備魔法『エクス・カリバー』を波動竜騎士−ブラック・マジシャン・ガールに装備。
  このカードを装備したモンスターの攻撃力は2倍になる!」
 「パワー全開!!」
 波動竜騎士−ブラック・マジシャン・ガール:ATK
109200→218400


 「ば、馬鹿な…!」
 「こ、攻撃力21万以上だと!」


 「ダーツ、パラドックス此れが結束の力だ!」
 「この一撃で今度こそ終わりだ!」
 「精々地獄に引き篭もってろ!!」


 ダーツとパラドックスは此処に来て漸く悟った。
 自分達がどんな手を使おうとこの3人には元より敵わないと言うことを。


 「トドメだ!波動竜騎士−ブラック・マジシャン・ガールでSinオレイカルコス・リヴァイアスを攻撃!」
 「ハァ!」



 「「「『アルティメット・ストリーム』!!」」」
 「全力全壊ぃぃぃぃ!!!」


 1週間前の遊哉&遊星vsパラドックスの時の比ではない。
 放たれた力の奔流はSinオレイカルコス・リヴァイアスを一瞬で飲み込みダーツとパラドックスを直撃する。


 「馬鹿な…私では…私の力では何も変えられないというのかぁぁぁぁ!!」
 「オレイカルコスの神よ…!」


 ダーツとパラドックスをも飲み込んで尚その力は止まらない。




 ――バガァァァン!




 遺跡の壁を破壊したところで漸くエネルギーは消えた。
 其れでも、遺跡の半分が消滅した事から凄まじいパワーだったのが伺える。
 無論その場にダーツもパラドックスも居ない。
 今度こそ完全に消滅したようだ。


 「…此れは!」

 「ヴァルディウスのカードが…!」

 遊哉達にも異変は起こる。
 力を貸してくれた竜のカードが消え始めたのだ。
 無論、遊戯は理由を知っているため慌てない。

 「焦る事はないさ。伝説の竜達は役目を終えた、そして再び自分達の力が必要な時が来るまであの神殿で眠りに付くんだ…」

 「「遊戯さん…」」


 5体の竜のカードが消えると同時に、遺跡は音を立てて崩れ始める。


 「ちぃ…最後までお約束かよ!遊星、遊戯さん脱出だ!此処もヤバイ!」

 其れを合図に3人とも走り出す。
 そして、3人がD・ホイールで脱出した直後、遺跡は完全に崩壊した。








 ――――――








 ――童美野中央病院



 「もう、行くんですか?」

 遊星が遊戯に聞く。
 既に病院の中庭には、遊戯、ぐうや、遊星の3人に加え、霧恵とアキ、そして3人娘も集結している。

 「あぁ、ダーツ達を倒した以上、俺が此処にとどまる理由は無いからな。」

 「確かに。」

 遊哉は苦笑いで応える。
 遊戯の後ろには時を越える為にブラック・マジシャン師弟が既に準備を完了している。


 「遊哉、遊星、君達に会えてよかったぜ。」

 「そんな、俺達こそ彼方と一緒に戦えたことを誇りに思います。」

 「今度会う事があったら、そん時は俺とデュエルしてくれよ、遊戯さん!」


 そして3人は手を重ねる。
 其処に霧恵達も手を重ねる。


 「又会おうぜ未来のデュエリスト達!」

 「では、失礼する。」

 「バイバイ、遊哉君、遊星君♪」


 強烈な光が遊戯を包み込む。



 ――キィィン…!



 光が収まると其処に遊戯は居ない。
 如何やら過去に戻ったらしい。


 遊哉達は暫くその場に佇んでいたが…




 「あ〜〜〜〜〜〜!!!」



 霧恵の叫びで我に返る。

 「如何した迦神?」

 「何か有ったのか、霧恵?」

 遊哉と遊星は心配するが…


 「遊戯さんにサイン貰うの忘れた〜〜〜!!」



 ――ズルッ…!



 霧恵の返答に思わず全員ズッコケそうになる。
 そしてこうなれば真っ先に動くのは遊哉だ。


 「でぇぇい、そんな事かい!もっと大変な事だと思ったろうが!!」

 「大変なことじゃない!伝説のデュエルキングよ!」

 「気持ちは分かるけどよ…てかお前なんで此処に居るんだよ!絶対安静だろ!!」

 「だって暇なんだもん!」

 「だ〜〜〜!大人しくしてねぇと退院できるのが先になるぞ!!」



 何時もの如く始まった夫婦漫才に遊星達は苦笑い。
 この時代は概ね平和である。












 そして…











 ――キィィィ…



 「此処は…僕の部屋?」

 遊戯は自分の時代に戻ってきていた。
 時間を確認すれば自分が未来へ跳んだときから大して経っていない。
 恐らく時間にして1分にも満たないだろう。


 「(戻ってこれたな。)」

 「うん。ねぇ、もう1人の僕。」

 「(何だ相棒?)」

 「また、遊星君と遊哉君に会えるかな。」

 「(きっと会えるさ。俺達が信じていればな。)」

 「うん!」


 遊戯は頷き、自室の窓から夜空を見上げる。
 見事な満月が童美野町を照らしている。


 未来のデュエリストとの再開を願いながら、遊戯は暫く満月を見続けていた…











 FIN




 後書き座談会




 吉良「シーン…」⊂(。。⊂)

 遊戯「えっと如何したんだろう…?」

 遊哉「過労死だな。」

 遊星「死んでるな。」

 闇遊戯「それなら…魔法(マジック)カード『死者蘇生』!!」


 ――ピカァァァ!



 吉良「うっしゃ〜!復活!!」

 遊戯「良かった生きてた。」

 闇遊戯「随分苦労したみたいだな?」

 吉良「うっす。内容は決まってても文書量が半端無かった。前回より更に長くなって結果3部作に…」

 遊星「しかし前回以上に凄い事になってるな…」

 遊哉「前回以上のチートカードのオンパレードだな。特に名も無き竜。」

 闇遊戯「ダーツとパラドックスも中々だと思うぜ。」

 遊星「あいつ等は元々チートキャラですから。」

 遊戯「確かに。」

 吉良「取り合えず多人数でのデュエルはマジで難しいっす。如何しても1人2〜3ターンが限界だしね。」

 遊星「その中で其々に見せ場を持たせる必要があるんだな。」

 吉良「そう言う事。」

 遊哉「にしてもお前本当に異常な攻撃力好きだよな〜。前回の114600もそうだけど…」

 遊戯「今回の218400なんて実際には絶対無い数値だよね…」

 吉良「まぁその辺は二次創作ってことで納得してくれ。」

 遊哉「開き直りかい…!」

 吉良「ワッハッハッハッハ」



 座談会終了







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