「ん〜夜風が気持ち良いにゃ〜。」
ホテルの外で入浴後の涼をとっているのは裕奈。
些か浸かり過ぎて、軽く逆上せたらしい。
「ん〜星が綺麗っすね。」
火照った身体には夜風が心地良い。
存分に涼んでいるわけだが…
「1人で外に出るのは危険だよ?」
「へ?」
聞きなれない声が聞こえた其の瞬間、裕奈の意識は闇へと落ちる。
「個人的に怨みは無いけど彼を誘き出すための餌になってもらうよ。」
白髪の少年はそう言いながら裕奈を抱えその場から消えた。
ネギま Story Of XX 12時間目
『色んな意味で大騒動!』
無論裕奈が消えた事に気が付かない稼津斗ではない。
一瞬感じた外部の人間の気配を掴み取り、其れを頼りに追跡を開始している。
――何で関係の無い一般人を巻き込むんだ…阿呆が。
裕奈を攫った犯人に心の中で舌打ちしつつ僅かに残っている気配を頼りに追跡を続けていた。
――御叮嚀に態と気配を残して、か。まったく御苦労な事だ!
ネギやエヴァは恐らく気付いていないだろう。
尤もエヴァは余り自分から動く性格ではないので気付いたとして、修行の一環としてネギと明日菜を向かわせるんだろうが。
――手早く終わらせるとするか。
ホテルとある程度距離が離れたのを確認すると気を開放し一気に追跡速度を上げるのであった。
――――――
一方、裕奈が攫われ其れを稼津斗が追っているなどと言うことは露ほども知らない面々は…
「くちびる争奪!!修学旅行でネギ先生&稼津兄とラブラブキッス大作戦ーー!!」
「「「「わー!」」」」(パチパチパチパチ)
「って何でやねん!!」
何やら不穏な事で盛り上がってた。
此処は和美のアーティファクトの内部。
乗り突っ込みも見事だね亜子。
「良い質問だね亜子。先ずは此方を御覧なっせい!!」
言うと同時に巨大なモニターに何かが映し出される。
其れは稼津斗とネギに関する何らかの表の様に見える。
「此れは一体なんだい?」
「ネギ君と稼津兄に対する我がクラスのメンバーの好感度だー!!因みに稼津兄に対しての好感度から私達は抜いてある!」」
「「「「なんだってーー!?」」」」
驚天動地とは正にこの事、一体何時調べたのか?
と言うかそれ以前に…
「そんなもの如何やって調べたでござるか!?」
ご尤もである。
「あのオコジョ君に手伝わせてね。何か人の好感度とか分かるんだって。」
「もう、何が何やら…」
「気にしちゃいけないよ。で、皆の衆此れ見て何か気付かない?」
言われて表を良く見てみる。
ネギに対しての好感度、此れは言うまでも無くまき絵とあやかがぶっちぎりのトップである。
対して稼津斗への好感度は…
「ゆーながぶっちぎりや…」
「此れは意外だね。彼女は極度のファザコンだと思ったが?」
「ふっふっふ其処だよ。私もこの結果には些か驚いたけどね考えてみれば納得なのさ!
元々裕奈はネギ君に少なからず好意を持っていたみたいなんだけど其れはあくまで年下で可愛い、つまり対象としては弟のようなもの!
だが、其処に自分の父親より若くて格好良い稼津兄が登場!ネギ君よりずっと大人でクールなのにノリが良く、
頭脳も腕っ節も最強クラス、授業は分かりやすいし教え方も上手い!此れに惚れずに居られるかぁぁぁ!!」
「で、でも裕奈さんだったら性格的に何か行動起こしそうですけど…」
「甘いよのどか、其処が難しいとこさ。裕奈自身己の気持ちが分かってないさね。」
「無自覚でござるか…で、其れと此の企画との関連性は?」
「裕奈の気持ち気付かせようと思ってね。」
「ホンで本音は?」
「其処から起きるであろう大騒動を楽しもう〜〜!!」
「矢張りか!!」
「わはは。でも裕奈の気持ちを気付かせようってのも本音さね。いずれにしても面白いものが見れると思うよ〜。」
稼津斗に『今日くらいは純粋に修学旅行を楽しめ』と言われたせいもあるだろう、色々とやる気である。
騒動を誘発させておきながら自分は安全圏で高みの見物とは…
「成程…で、其の明石は何処に居るんだい?」
「は?」
「稼津斗殿も居ないでござる。」
ゲーム開始が近づき各班から出場者が続々と集まって来ている。
が、其の中に裕奈は居ないし稼津斗もモニターには映っていない。
「ま、まさか…裕奈の奴フライングで稼津兄を連れ出したかー!?」
「何と、まさか!?」
「だとしたら大胆極まりないね?」
「それだけは絶対に無いと思うんやけど…」
「勝手に盛り上がって聞きそうに無いです…」
勝手に盛り上がる和美と便乗して盛り上がる楓と真名。
のどかと亜子は無視を決め込みつつ、ゲームの状況だけは確り把握しておく事にしたらしい。
「何か妙な殺気がしますね…」
「言われてみれば確かに。」
「異様な感じがします…」
此のゲームの参加者の妙な殺気を感じ取ってる者が矢張り居た。
…嵐、起きそうだね。
――――――
場所は変わってホテルから大分離れた雑木林の一画。
勝手に話題の中心にされていた裕奈は、魔法で拘束され身動きが取れなくなっていた。
「何で縛られてんのー!?」
「言っただろう?彼を誘き出すための餌だってね。」
若干危機を感じてる裕奈に対して白髪の少年は極めて冷静且つ冷徹…感情が備わっているのかすら疑わしい。
「随分と高級な餌を使うな…俺を釣るには勿体無いんじゃないか?」
「カヅ先生!」
「へぇ…思った以上に早いね?」
程なくして現れた稼津斗。
裕奈は安堵し、少年は相変わらず感情の篭らない表情で返す。
「態と俺に分かる様に逃げておいて良く言う。今日位は大人しく作戦練ってるものと思ったが…関係無い一般人を巻き込んで、一体俺に何の用だ?。」
「メインは君の力量の偵察さ。尤も、よしんば排除するつもりでもあるけどね。」
「排除ね…分かり易いな。ならお望み通り俺の力を見せてやる。排除…出来るならやってみると良い。」
其の瞬間、少年の側頭部に蹴りが突き刺さる。
「!?」
反応するどころではない。
予備動作は愚か動いたのすら分からない、気が付いたら蹴り飛ばされていた。
すぐさま反撃を試みるが…
「遅い。」
間髪居れずに今度は背中に肘打ち…完全に背後、真逆からの攻撃。
――此れは…『入り』すら分からないほどの瞬動…?
考えたところで足払いで体制を崩される。
体勢を立て直す間も与えずにボディ・ブロー、膝蹴り、横蹴りに後ろ回し蹴り。
目にも止まらない速さで矢継ぎ早に攻撃が繰り出されていく。
攻撃を受けている少年以上に驚いているのは裕奈だ。
――み、見えねー!てか一方的じゃん、カヅ先生一体何者?
己の理解を超えた目の前の出来事に目を丸くするのみ。
だが、其れでも稼津斗が異常なまでに強いという事だけは理解できた。
「終わりだ…波導掌!!」
迅雷の如き連続攻撃の〆は気を込めた強烈な掌底。
少年は吹き飛ばされて岩に激突。
「さて如何する?まだ続けるか?それとも此の場は引くか?」
問い掛ければ少年はすぐさま立ち上がる。
まるで読めなかった其の表情には幾らかの驚愕が浮かんでいるようにも見えるが…矢張り深くは伺えない。
「少し認識が甘かったね。これ程とは思わなかったよ…しかも此れで尚本気じゃないみたいだしね。」
「うっそ本気じゃないの!?」
偶にTVで見る格闘技の試合など所詮はスポーツの延長でしかなかったのだと思わせるほどの稼津斗の猛攻。
が、其れを喰らった少年をして未だ本気ではないと言う。
底の見えない強さに驚きつつ、しかし安心したのもまた事実。
此の分ならば稼津斗の負けは無い=自分も無事にホテルに戻れるだろうと考えたのだ。
だが、其の考えは少年の行動で破られる事と成る。
「これ以上は続けるのは得策じゃないね。君の実力は手に負えるものじゃないらしい…引かせてもらうよ。
深追いをしてくるとは思わないけど念には念を入れておくとしようか…」
「逃走用の煙幕でも張るか?」
「否…こうするのさ!」
少年が手を上げた瞬間…
――ドシュ…
「え…?」
石の槍が貫いた。
裕奈の胸部を。
「明石!!」
「拘束したときに、既に設置しておいたんだ。引く場合の時間稼ぎには使えるだろうからね。」
「貴様ぁ!!」
「僕には構ってられないだろう?急所を外したとは言え長くは持たないよ?」
確かに其の通りである。
幾ら急所を外してあるとは言えダメージは計り知れない。
このまま何の処置もしなければ5分と経たずに絶命は免れない。
「く…」
こうなった以上、少年に対処するどころではない。
裕奈の救命の方が最優先である。
「ま、精々頑張るんだね…それじゃあね。」
瞬間少年の姿は消え、後には水溜りが残るのみ。
転移系の魔法だろうがそんなことは如何でもいい。
すぐさま裕奈の拘束を解除し救命処置を開始するが…
――くそ…心臓は外れてるが肺をやられてる。此れじゃ月詠でホテルに戻っても亜子のアーティファクトで回復させるまでは持たない。
如何すれば良い!?如何すれば明石を助けられる!!
考えている間にも裕奈の顔色はどんどん悪くなり呼吸も弱くなっている。
――何か…何か無いのか!?
焦るばかり。
と、僅かにシャツが引っ張られる。
見れば裕奈が非常に弱々しくシャツの一部を掴んでいる…
「明石…」
「…や…死にたく…ないよぉ…た、すけて…カヅ、せんせぇ…」
其の目から光が消えかけている。
最早一刻の猶予もならない。
――!!ある!たった一つだけ此の状況でも明石を助ける方法が!!だが…
「…生きたいか、裕奈?」
意を決し問い掛ける、苗字ではなく名前で。
其の問いに弱く、しかしハッキリと裕奈は頷いた。
「分かった…先に謝っておくよ、助ける為とは言えお前から『人としての生』を奪うことを許してくれ。」
そして、
「我が名は氷薙稼津斗、此れより明石裕奈を我が従者とする。」
紡ぐは仮契約の為の詠唱。
其の瞬間に橙色の魔方陣が出現する。
そう、此の状況での救命方法…其れは裕奈を自身の従者とし不死にすることで『死』の概念から切り離すと言うもの。
「命の灯を守るために絆を紡ぎ、其の絆を持って契約と成す。仮契約!!」
強烈な光が溢れ契約が成る。
そして契約完了の証である『仮契約カード』が出るが其れには構っていられない。
此れはあくまで救命処置の第1段階が終了したに過ぎない。
「契約執行180秒!稼津斗の従者、明石裕奈!」
すぐさま契約によって繋がったラインを通してオリハルコンの力を送り込む。
少しでもオリハルコンからの影響を強くして心臓をオリハルコン製にしなければ不死の力は得られない。
――此れじゃあ間に合わない…ならば!
「特殊契約『銀閃華』執行追加180秒!」
送り込む力を更に強くする。
その影響で裕奈の周りには銀色のオーラが発生する…と同時に貫かれた部分が塞がり、顔色も良くなり呼吸も安定してくる。
「先生、もう大丈夫っす。」
「裕奈…良かった。」
不死の力が宿れば同時に無限のエネルギーをも得る。
裕奈はすぐさま起き上がり稼津斗に向き直る。
「ウン大丈夫!寧ろさっきよりも元気になった感じ。」
回復した身体には貫かれた跡すらない。
浴衣の損傷部分以外は傷一つ見当たらない。
「オリハルコンの力で不老不死となり無限のエネルギーを得たんだ最早プロスポーツ選手ですらお前の足元には及ばない。」
「其れは凄いっすね。で、カヅ先生なんで私を不老不死になんて出来たの?」
当然くるであろう疑問。
不老不死に成ろうと何だろうと助けてくれたのだ、其の事をとやかく言うつもりは無い。
が、矢張り何故そんなことができるのかは疑問が残る。
「色々と話すべき事があるんだろうが、端的に言えば俺自身がオリハルコンの心臓を持つ不老不死の存在だからだ。
特別な事をしなくとも俺との契約を交わしたものは例外無く不老不死となる。」
此れを皮切りにかつて真名達にしたのと同じ話を裕奈にした。
簡潔に、しかし重要な事は全てを伝えた。
「凄まじい人生送ってたんだ…」
「信じてくれるのか?」
「流石に此れだけの事が目の前で起きたら誰だって信じるよ。おまけに亜子や本屋が不老不死に成ってるとはね〜。」
「彼女達は俺と共に歩んでくれると言った。5人との契約は彼女達の意思だ。
だがお前の場合、救命処置とは言え俺の独断で人ではなくしてしまった…本当にすまない。」
「謝んないでよカヅ先生。そうしなきゃ死んでたんだし、感謝こそすれ怨むなんて罰当たり。
それにさ、あんな状況でなんてドラマみたいだけど、私も先生の事好きだったんだ。亜子達と同じように。」
少し照れつつ其れでもハッキリとそう伝える。
「だからさ、私も一緒に居て良いよね?」
「あぁ…勿論だ。」
迷いの無い瞳に頷き、仮契約カードを渡す。
6人目の従者が此処に誕生した。
「此れが契約の証か〜。」
「色々と機能があるが、其れは又今度な。尤も亜子かのどかに聞けば俺以上に上手く説明してくれると思う。
さて、ホテルに戻ろう。きっと大河内達が心配しているぞ?」
「だね。でも結構離れてるみたいだけどどうやって?」
「安心しろ。俺には無影・月詠…所謂『瞬間移動』が有る。ホテルまでなど一瞬だ。」
そう言いながら気を探り始めるが…
「…………何だ此れは?」
「如何したの?」
「何と言うかホテル内部から『闘気』『殺気』『怒気』『妄念』『執念』『雑念』『怨念』色んなものが入り混じって感じるんだが…」
「…はい?」
「まぁ戻れば分かるか…」
一瞬で姿が掻き消え…
あっという間にホテル嵐山…なのだが…
「何此のカオス…」
「如何やら狂乱の宴真っ最中のようだな…」
2人がこう言うのも無理は無い。
3−Aの生徒何人かが何故か枕片手に大立ち回り。
『他者の迷惑って何?』と言わんばかりの状況だ。
さて如何したものかと考えた矢先…
――クイクイッ
「ん?クスハか。」
何かに引っ張られそちらを見るとクスハが。
「如何したんだ?」
屈んで視線の高さを合わせた瞬間…
「♪」
――ちゅ♪
不意打ちでキスされた。
其の瞬間に白い魔方陣が展開される…仮契約の魔方陣が!
――仮契約だと!?
驚いている間に契約完了。
カードが出現し、おまけに…
「何で人の姿に成ってるんだ?」
「しかも美人さん…」
目の前には綺麗な白髪と金の瞳の女性が。
其の頭には狐の耳、そして腰の辺りからは8本の尻尾が生えている。
「仮契約で霊格が上がったからだと思うんだ。」
「元々位の高い八尾の妖狐ならオリハルコンの影響下に入った瞬間その力を我が物としたというわけか…」
「なんか凄ぇ…」
突然の事に驚きながらも仮契約カードのコピーを渡す。
「しかし何で仮契約が?此処に入って来た時には何も感じなかったが……まさかキスした瞬間に発動する時限式魔法陣か?誰がこんな…」
「あ、それやったのあのオコジョだと思うよ?何かやってたと思ったら此れだったんだ…もっと早く燃やしとけば良かったなぁ…」
「じゃあ此のカオスもそのオコジョとやらのせい?」
「ううん、此れの犯人はカズミ。」
「何だと…!?」
何かやらかすだろうとは思っていたがまさか此処までの狂乱の宴を展開させるなど一体何をしたと言うのか?
「確かね…「くちびる争奪!!修学旅行でネギ先生&稼津兄とラブラブキッス大作戦ーー!!」だったかな?」
「…裕奈よ俺は何処から突っ込めば良いと思う?」
「もう全部スルーで良いんじゃないっすか?」
どっと力が抜ける。
特に裕奈は瀕死から復活したばかりだから余計に脱力感を感じる。
「しかし、時限式の契約魔法が有るとなるとネギ辺りが危ないな…何人も従者が乱立されるぞ?」
「マダ大丈夫みたいだよ?ま、ネギ坊主の『代り人型』が何体かキスされたみたいだけど。」
「あぁ…アレか。」
刹那がネギに何か渡していたのを思い出す。
アレはつまり陰陽道で使う『代り人型』だったらしい。
「と、なると本体が雪広辺りに襲われる前に何とかしないとな…」
「先生、もう遅いかも…」
裕奈の指差す先、其処では…
「あら?」
あやかが躓いて転びそうになり、
「いいんちょさん!」
其れをネギが助けようとして…
――ドッシーン!……ちゅ
2人まとめて倒れて、キスして、契約完了…良くあるオチが付いた。
「…2人ともちょっと一緒に来てくれ。」
稼津斗の『ナニカ』が切れた。
――――――
「まっさかあの狐が旦那にやるたぁ思ってなかったが、アニキのスカも含めて6枚か。
旦那のはどうやっても回収できそうにねぇが其れを差し引いても\50万オコジョ…大儲けだぜ!!」
此方はホテルの外。
明日菜曰く『エロオコジョ』、稼津斗曰く『生もの』ことカモが悪役全開の笑みを浮かべてウハウハ状態。
十数分前にクスハにこんがり焼かれたのに実に復活が早い…此れもギャグ属性ゆえか?
「しっかし朝倉の姐さんから兄貴と旦那に対するクラスの好感度を教えろと言われた時には何かと思ったが、
よもやこんな面白ぇことやらかしてくれるとはなぁ!おかげで俺っちはぼろ儲けだ…「ほう、そいつは良かったな…」…ぜ!?」
突如背後に感じる悪寒。
全身を駆け巡るは言いようの無い恐怖。
本能が告げる生命の危険。
背後に稼津斗と新たに従者になった裕奈とクスハが居た。
「さて、何か言い残す事は有るか?有っても聞かないがな。」
はっきり言って怖い。
目の部分が陰になってて余計に怖い上、無言で睨み付けてる裕奈とクスハが怖すぎる。
「此の狂乱の宴は、まぁやりすぎた感は有るが羽目を外したい年頃だし、何より修学旅行で羽目を外すなと言うのが無理な話だ。
それに和美を含め参加者は此れより新田から然るべき仕置きを喰らうだろうからそれで終いだ。
が、お前の場合全く関係ない一般人をネギの従者に仕立て上げようとしたし何より仮契約を利用しての私腹肥やしなど言語道断だ。」
指を鳴らすと同時に気がカモを拘束する。
「え?あの、ちょ、旦那!?」
「生もの…少し頭冷やそうか?」
「其のセリフは一部の人間には物凄いトラウマだぜぇぇぇ!!?」
「問答無用…消え去れ。虚空裂風穿!!」
「其の読ませ方は無理強引過ぎるぅぅぅ〜〜〜〜」
――バガァァン!!
吹き飛ばされたオコジョは爆発した。
まぁ大幅に威力を抑えてはやったので死んでは居ないだろう。
「…汚い花火だぜ。」
「すっご…」
「でも今のでも全力の6%位だと思う。」
「マジっすか…」
「さてと…」
カモを始末した稼津斗は今度は何やら別の事を始める。
「亜子とのどかは眠ってるか…となると直接は関わってないな。和美と真名と楓は起きてるから此の騒ぎを見物していたか…
稼津斗の従者、朝倉和美アーティファクト強制解除!朝倉和美、龍宮真名、長瀬楓…強制転送!」
「カヅト何したの?」
「和美、真名、楓の3人を新田が待ち受けるロビーに強制転送した。此の騒ぎの首謀者が仕置きを受けないのはアンフェアだろ?」
「そっすね。」
納得。
流石にやりすぎた以上は仕置きを受けるは当然。
如何に従者と言えど稼津斗はその辺は妥協しない。
尤も罰を受けたらそれ以上咎めるつもりは無いが。
「さて、もう良い時間だし休むか。と言いたいが裕奈、此れから特殊空間で2年間の修行を行おうと思うんだがイケるか?
無理なら麻帆良に戻るまで延期するが…」
「特殊空間て?其れに2年!?」
驚く裕奈に勿論説明する。
「時の流れが違う空間だ。入れる人間を俺とお前に限定すれば大体2年が外の流れで20分と言ったところだな。」
「2年が20分だと戻ってきても日付は変わってない…なら明日の朝までは戻ってきてからもたっぷり寝れると。
なら大丈夫。亜子達も其処で修行したんでしょ?だったら今夜で追いついた方が良さそうだし。」
あっさり受けることを決めた。
つまり明日の朝には裕奈も最強戦士の仲間入りと言うことだ。
「悪いがクスハは亜子とのどかと一緒にいてやってくれ。」
「了解。ユーナ、修行頑張ってね。」
「おっす。頑張ってくる!」
こうして修学旅行2日目は様々な騒動が起きて終わりを告げた。
なお1晩正座と言うキツイお仕置きであったにも拘らず、ネギと一緒と言うことであやかにはある意味で至福の時だったらしい…
To Be Continued… 