――時空管理局・上層部
「闇の書が起動したか…」
「だが、未だ守護騎士が目覚めたに過ぎん。管制人格と防衛プログラムは起動していない。」
「それらが目覚めては危険だが、聖王協会からの予言も有る。」
「ならば『地に縛られた邪神』とやらを滅するまでは泳がせておけば良い。赤き竜の使い諸共な。」
「そうするとしよう。其の後で封印してしまえば良い。赤き竜の使いは此方に引き込んでしまえば…
何にせよ正義は、我等『時空管理局』に有るのだ。最終的に我等が勝利できれば何の問題も無い。」
大凡『正義』を掲げる集団とは思えない発言が飛び交う、この会合を知る者は局内にも殆ど存在しては居なかった…
遊戯王×リリカルなのは 絆の決闘者と夜天の主 クロス4
『決闘、紡がれる絆』
――早朝・海鳴市郊外
中心街から外れた此処は、開けた場所で人は余り居ない。
「とは言っても、流石に戦っていたら目立つんじゃないか?」
ご尤も。
遊星の言うように、幾ら人が少ないとは言っても戦い等していたら否でも目立つ。
そうでなくてもヴォルケンリッターの面々は服装で目立つというのに…
「その辺は大丈夫よ遊星君。この辺りの半径200mに結界を張ったから。この中の事は一般人には感知できないし、中に入ることも不可能。」
バックスとしての能力をフル活用し、シャマルはその辺は抜かりない。
因みにこの場には当然八神家全員集合している。
「問題が無いのなら良いんだが…」
「ふ、シャマルの結界は信頼できる。さて、そろそろ始めようか?」
シグナムは待ちきれないのか、抜刀している。
遊星も既にD・ホイールは起動しているのだが…
「あぁ…始めよう。」
そしてそんな2人に、
「まぁ、なんや。どっちかだけを応援する事はできんのやけど、2人とも頑張りや!」
はやての激励。
其れに頷き…
「フィールド魔法『スピード・ワールド2』セットオン!」
遊星がD・ホイールをデュエルモードへとシフトさせると同時にタイヤから真紅の光が放たれる。
「行くぞ!」
エンジンを吹かしたと同時に、光は翼となり…飛翔した!
「「「「「飛んだ!?」」」」」
此れにははやては勿論、ヴォルケンリッターの面々も吃驚。
まさか飛ぶとは思って居なかったのだろう。
「ふふふ…面白い。行くぞ不動!!」
「来い!ライディングデュエル・アクセラレーション!!」
遊星に続いてシグナムが飛翔し、戦闘が幕を開ける。
とは言え、お互いに流儀も様式も違う。
遊星は何時も通り、手札を5枚ドローし、シグナムは攻めるタイミングをうかがっている。
そんな中、
「俺のターン!ドロー。」
「マスター。」
「?誰だ!」
「彼方のD・ホイールです。」
D・ホイールが遊星に話しかけてきた。
「D・ホイール?一体如何言う事だ?」
「デバイスと化した事で、人工知能と言うか、人格のようなものが搭載されたのかと…
其れよりも、幾つか此の闘いに於ける注意点…通常のデュエルと異なる部分を説明します。」
「…あぁ、頼む。」
突然の事に驚いたが、そうも言ってられない。
通常のデュエルと違う点は聞いておくべきだろう。
「先ずライフポイントの初期値は8000で、モンスターの攻撃はいつでも可能になります。
戦闘で発生するダメージですが、此れは破壊されたモンスターが攻撃表示の場合破壊されたときの攻撃力がライフから引かれ、守備表示の場合ダメージは発生しません
直接攻撃を受けた場合は一律1000ポイントがマイナスされます。ライフが0になった時点で私は強制停止し戦闘続行不能になります。
基本的に相手から攻撃を受けた場合、直後にスピードカウンターが1つ増え通常のドローが可能になります。
又、相手が何もして来なかった場合、30秒が経過するとスピードカウンターが1つ増え通常ドローが可能となります。
その他、モンスターの召喚やスピードスペルの使用は通常のデュエルと変わりません…よろしいですか?」
「あぁ、分った!」
――初期ライフが8000…通常のデュエルの2倍か。しかも最初から攻撃できるのならば!
「来い、スピード・ウォリアー!」
「トゥア!!」
スピード・ウォリアー:ATK900
遊星の切り込み隊長、スピード・ウォリアーが姿を現す。
「召喚獣?成程、其れがお前の戦い方か!だが、その召喚獣では私には勝てんぞ!」
「如何かな?スピード・ウォリアーは召喚時のみ攻撃力が2倍になる!」
スピード・ウォリアー:ATK900→1800
「召喚獣の魔力が上がっただと!?」
「行け、スピード・ウォリアー『ソニック・エッジ』!」
中空を滑走し、ローラーブーツでの鋭い蹴りがシグナムに炸裂する。
――早い!だがっ!!
「スピードは大したものだが、此の程度の力では私には及ばん!」
手にした剣――レヴァンティンで防ぎ、更に弾き返す。
――強化されたスピード・ウォリアーの攻撃でも通じないか…
「カードを1枚伏せる。」
――新たなカード?だが召喚獣が増えたわけではない…
「如何やら召喚獣を呼び出して戦うと言うわけではないようだな!今度は此方から行くぞ!」
言うが早いか、一気に距離を詰めレヴァンティンを一閃、スピード・ウォリアーを真一文字に切り裂く!
「く…」
遊星:LP8000→7100
其れにより遊星のライフからスピード・ウォリアーの攻撃力900ポイントがマイナスされるが、遊星とて唯ではやられない。
「トラップ発動『チェイン・ソウル』。俺のモンスターが破壊された時、
破壊されたモンスターと同じレベル、種族のモンスターをデッキか手札から特殊召喚する。現れろ『マッシブ・ウォリアー』!」
「ムン!」
マッシブ・ウォリアー:DEF1200
現れたのは岩のような身体のモンスター。
そして攻撃を受けたことで遊星はカードのドローが可能となる。
「ドロー!」
遊星:SC0→1
――今の俺の手札に攻撃できるモンスターは無い。エンジェルバトンが使えるのは次のターン。ならば此処は守りを固めて防ぐ。
「『ロード・ランナー』を守備表示で召喚。」
「ぴゅ。」
ロード・ランナー:DEF300
続いてかわいらしい小鳥のモンスターが現れる。
「ターンエンド。」
今は此れで終える。
遊星はすぐさまシグナムが仕掛けて来ると思ったのだが…
――?何故仕掛けてこない?
そう、シグナムは攻撃してこないのだ。
良く見ると僅かに震えているように見える。
遊星が疑問に思っていると…
「ひ…」
「ひ?」
「卑怯だぞ不動!そんな可愛いものを呼び出すなど!そ、そんなものに攻撃できるはずが無いだろう!!」
――ガッターン!!
観戦してたはやて達は思いっきりずっこけた。
いや、遊星もD・ホイールごとひっくり返りそうになった。
「はっ…まさかお前、私が攻撃できない事を読んで…?オノレ、中々の策士だな!」
「何を言っている…?俺が言うのもおかしいが、ロード・ランナーに攻撃できないならマッシブ・ウォリアーに攻撃すれば良いんじゃないか?」
「!!」
「思わなかったみたいだな…」
一方で、
「…シグナムて可愛いもの好きだったん?」
「如何だろうな?俺達にも分らん。」
「てか、意外すぎねぇか?シグナムだぜ?」
「でも、案外そうなのかも。此れまでも『将』って事で『個』を捨てて『義』を通していたのはシグナムだし。
私たちの中で一番割り喰ってたのもシグナムだった記憶があるんだけれど?」
「遊星の可愛いモンスター見て一気に爆発したと言うわけかい…」
等とシグナムへの評価がちょいと変わっていた。
だが、勝負は止まらない。
「成程、確かにその通りだ。その愛らしい召喚獣を攻撃出来ないなら、その岩の如き召喚獣を攻撃するまで!」
再び雷光の素早さでシグナムの剣が煌き、マッシブ・ウォリアーに向かう。
「だが、そう巧く行くかな?」
その言葉に呼応するようにシグナムの一撃は弾かれ、マッシブ・ウォリアーは全く無傷。
「何だと?魔力ランクはさっきの召喚獣と変わらないのに破壊できない?」
「マッシブ・ウォリアーの効果だ。このカードは1ターンに1度だけ破壊されず、俺へのダメージも0になる。」
「その巨岩のような体躯は伊達ではないと言う事か。だが、1度の攻撃で破壊出来ぬならばもう1度攻撃するまで!」
振りぬいたレヴェンティンを返し、今度は逆袈裟に切り上げマッシブ・ウォリアーを両断する。
尤も遊星にダメージは無いが…
「流石だな。ドロー。」
遊星:SC1→2
「スピード・スペル『Sp−エンジェル・バトン』を発動。俺のスピードカウンターが2つ以上有るときデッキからカードを2枚ドローし、1枚を墓地へ送る。」
――よし、この手札なら。
「俺はスターゲイザー・ドラゴンを墓地へ送る。そしてチューナーモンスター『ジャンク・シンクロン』を召喚!」
「はぁぁ!!」
ジャンク・シンクロン:ATK1300
「ジャンク・シンクロンの召喚に成功した時、墓地からレベル2以下のモンスターを守備表示で特殊召喚出来る。蘇れ『スピード・ウォリアー』!」
スピード・ウォリアー:DEF400
――ランクの低い召喚獣ばかり…何をする気だ?
シグナムの疑問は、遊星の戦術で答えられる。
「レベル2、スピード・ウォリアーにレベル3、ジャンク・シンクロンをチューニング!」
ジャンク・シンクロンが背中のエンジンを起動させ、直後に緑色の3つの輪と成りスピード・ウォリアーを包み込む。
「集いし星が、新たな力を呼び起こす。光射す道となれ、シンクロ召喚!出でよ『ジャンク・ウォリアー』!!」
「フゥゥゥ…ハァ!!」
ジャンク・ウォリアー:ATK2300
青紫の身体に、何処かジャンク・シンクロンの面影を残した新たなモンスターが姿を現す。
だが、その力は先程のスピード・ウォリアーとは比べ物にならないほどに強い。
「ジャンク・ウォリアーの効果発動。召喚時、俺のフィールドのレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計分、
ジャンク・ウォリアーの攻撃力がアップする。『パワー・オブ・フェローズ』!」
「ムゥゥン!」
ジャンク・ウォリアー:ATK2300→2600
――召喚獣が進化した!?しかも魔力があの小鳥の召喚獣の数値だけ上がっただと!!?
「ふ、そう来なくては…」
「バトルだ!叩き込め、ジャンク・ウォリアー!『スクラップ・フィスト』!」
背中のエンジンをブーストさせ、速度を加味した一撃が炸裂する。
「く、これしき!」
剣で捌こうとするも、その威力に今度は逆にシグナムの方が吹き飛ばされてしまう。
「カードを1枚伏せ、ターンエンド。」
「今のは中々に効いたぞ。ならば此方も相応の技を持って挑もう!レヴァンティン『シュランゲフォルム』!」
その号令と共にレヴァンティンの形状が変化する。
標準的な片刃の剣は幾重にも分離し、夫々がワイヤーで繋がった、所謂『連結刃』へと変わる。
「不動、お前の力は賞賛に値する。なればこそ私も全力で戦おう!受けてみろ『紫電一閃』!」
レヴァンティンに強烈な魔力が集中し、其処から放たれた斬撃がジャンク・ウォリアーを襲う。
「トラップ発動『くず鉄のかかし』相手の攻撃を1度だけ無効にする!」
「無駄だその程度の小細工は我が紫電一閃の前では無意味!」
其れを示すかのようにシグナムの一撃はくず鉄のかかしをいとも簡単に粉砕し、更にジャンク・ウォリアーを両断する。
――くず鉄のかかしごと…此れが彼女の全力なのか?
遊星:LP7100→4500
「ドロー!」
遊星:SC2→3
「チューナーモンスター『ロストスター・ウォリアー』を召喚。」
ロストスター・ウォリアー:ATK1200
「ロストスター・ウォリアーの召喚に成功した時墓地からシンクロモンスター1体を特殊召喚できる。
ただしこの効果で特殊召喚されたシンクロモンスターのレベルは1つ下がって攻守は0となり効果は無効となる。」
ジャンク・ウォリアー:ATK2300→0 Lv5→4
「随分と弱体化するのだな。だがお前の狙いは別にある、そうだろう!?」
「その通りだ。レベル4となったジャンク・ウォリアーにレベル4のロストスター・ウォリアーをチューニング!
集いし願いが、新たに輝く星となる。光射す道となれ、シンクロ召喚!飛翔せよ『スターダスト・ドラゴン』!」
「ショォォォ!」
スターダスト・ドラゴン:ATK2500
現れたるは白銀の龍。
見るものを圧倒するその姿に、対峙したシグナムでさえ目を奪われた。
――ドラゴンを使役する事まで出来るのか。それにこの龍…なんと言う美しさ、そして強さだ。
この魔力…今までの召喚獣とはまるで比べ物にならん。
「スターダスト・ドラゴンのシンクロ召喚に成功した時、墓地からチューナーモンスター『スターゲイザー・ドラゴン』を特殊召喚出来る。」
スターゲイザー・ドラゴン:DEF200
「この効果で特殊召喚したスターゲイザー・ドラゴンはこのターンシンクロの素材には出来ない。
だがスターダストでの攻撃は可能!バトル!行けスターダスト・ドラゴン!『シューティング・ソニック』!」
不可視の音波攻撃が迫り、寸での所で其れをシグナムは回避する。
だが、回避したにも拘らずその余波で僅かに纏った服――騎士甲冑が損傷する。
「掠っただけで此れだけとは…その龍は相当に上位の存在のようだな?」
「スターダストは俺のデッキのエース、だが其れだけじゃない。カードを2枚伏せてターンエンド。」
新たなカードを伏せた遊星に対しシグナムは考えていた。
――あの龍は魔力ランクならばヴィータに匹敵する。だが、何故だ?私には不動が更なる隠し球を持っている気がしてならない。
其処で今までの攻防を振り返ってみる。
そして気付く。
――そう言えば不動は上位の召喚獣を呼び出す時如何していた?確かチューナーと言う召喚獣を呼び出して…
!!そうだチューナー…不動は先程新たなチューナを呼び出した。まさかそのドラゴンをも進化させると言うのか?
思わず笑みがこぼれる。
何処まで、何処まで予想を超えた戦い方をするのか、其れがシグナムには堪らなく楽しく、そして嬉しかった。
騎士として存在し、だが道具としてしか扱われていなかった今まででは己の満足できる戦いなどなかった。
しかし、永き時から目を覚ませば、新たな主は優しき心の持ち主、その主と共に居た男は異世界の英雄、いや気高き騎士だった。
「ふふふ…久しぶりだ此れだけ気分が高揚する戦いは!」
レヴァンティンを鞘に収め、魔力を集中しカートリッジをロードする。
鞘内で圧縮された魔力は既に臨界状態。
そして其れを感じ取った遊星は、シグナムの攻撃より早く動く。
「トラップ発動『緊急同調』。バトルフェイズ中にモンスターをシンクロ召喚する。」
「矢張り召喚獣の新たな進化を狙っていたか!」
「あぁ、お前ほどの相手と戦うには己の限界を超えた力が必要だ、レベル1のロード・ランナーにレベル1のスターゲイザー・ドラゴンをチューニング。
集いし絆が、新たな速度の地平へ誘う。光射す道となれ、シンクロ召喚、希望の力、シンクロ・チューナー『フォーミュラ・シンクロン』!」
フォーミュラ・シンクロン:DEF1500
「フォーミュラ・シンクロンの効果で俺はカードを1枚ドロー。」
同時に遊星のD・ホイールがそのスピードを上げる。
「シンクロ・チューナ…?進化した召喚獣でありながら召喚獣を進化させる力を持っているのか?」
「その通りだ。見せてやる、此れが俺が辿り着いた揺るが無き境地、クリア・マインド!!」
遊星の背中に龍の紋章が現れ、其れまでとは異なる風が吹き始める。
「レベル8、シンクロモンスター、スターダスト・ドラゴンにレベル2、シンクロ・チューナー、フォーミュラ・シンクロンをチューニング!」
フォーミュラ・シンクロンが緑の輪となるが、其れは今までのシンクロとは違う。
スターダスト・ドラゴンは基より遊星までも包み込む。
「集いし夢の結晶が、新たな進化の扉を開く。光射す道となれ、アクセル・シンクロォォォ!」
――バシュン
「消えた!?」
一瞬で姿を消した遊星に困惑するも、直後に背後が光り、遊星が現れる…新たな存在と共に!
「招来せよ『シューティング・スター・ドラゴン』!」
遊星と共に現れた存在は、錐揉み回転をしながら上昇しその全容を現す。
「キショァァァァ!!!」
シューティング・スター・ドラゴン:ATK3300
先程のスターダスト・ドラゴンを更に上回るその存在感。
スターダストが儚い星屑の輝きを宿した龍ならば、此方は力強い流星の煌きを宿した龍。
魔力も桁違いに高い。
「相手にとって不足無し。受けきれるか…『飛竜一閃』!」
抜刀と同時に、連結刃となったレヴァンティンから最早斬撃では済まない一撃が放たれる。
言うなれば『斬撃の特徴を持った砲撃』が襲い掛かる。
「シューティング・スター・ドラゴンの効果発動。1ターンに1度このカードをゲームから除外できる。
そしてこの効果を使用したターン、相手の攻撃を無効にする。」
シューティング・スターがその場から消え、代わりに現れたバリアが遊星を守る。
「此方の攻撃に対して防御結界を張る龍か。だが、これでお前を守る召喚獣はいない!」
「確かにな。だが、俺に攻撃できるかな?」
「何?如何言う事だ?」
「トラップ発動『シューティング・フォース』!シューティング・スター・ドラゴンが効果発動の為に除外された場合に発動できる。
このターン、俺が受ける戦闘ダメージを全て0にする!」
「何だと!」
遊星の周囲を更に強力なバリアが包み込む。
此れではとても攻撃など出来ない。
「恐るべきディフェンド・タクティクスだ…此れほど強固な守りを崩せる者はそうそう居ないぞ…」
シグナムの言は観戦しているはやて達も思った。
兎に角硬い…遊星の防御は半端ではない。
そして恐ろしい事に、その防御を崩すことに集中していたら今度はシンクロからの手痛いカウンターでペースを握られる。
「だが、あの龍は消え去った。如何する!」
「確かに俺を守る為にシューティング・スターは異次元へと消えた。だが、エンドフェイズ、シューティング・スターは再び舞い戻る!」
「キョァァァァ!」
「龍が舞い戻った…!」
「此れがラストターンだ。ドロー!」
遊星:SC3→4
「スピードスペル『Sp−ハイパー・ブースト』を発動。俺のスピードカウンターが4つ以上有るときスピードカウンターを最大値12まで増やす。
そしてエンドフェイズに俺のスピードカウンターは0になるが…このターンで決着を付ける!
スピードスペル『Sp−ファイナル・アタック』!俺のスピードカウンターが8つ以上有るとき俺の場のモンスターの攻撃力をこのターンのみ2倍にする!」
「キショァァァァア!」
シューティング・スター・ドラゴン:ATK3300→6600
「ま、魔力が倍になっただと!?」
「未だだ!シューティング・スター・ドラゴンの効果発動。デッキの上からカード5枚をめくり、その中のチューナーの数だけ攻撃できる。
行くぞ、先ず1枚目………チューナーモンスター『ハイパー・シンクロン』!」
遊星の気迫を感じながらシグナムは予測していた…恐らく遊星はチューナーを5体引き当てるだろうと。
そうなれば、恐らく自分は負けるだろう。
だが、それでも良いと思っていた。
遊星の全力をこの身で受けてみたいと、そう思っていた。
だからこそそれに備え新たな技を発動する。
「お前が全力で来るのなら、私も受けきるまで!舞えレヴェンティン!『陣風』!」
自身の周囲に連結刀を展開して旋回させる攻防一体の技。
其れを見ながら遊星は更にドローを続ける。
「2枚目、チューナーモンスター『クイック・シンクロン』。
3枚目、チューナーモンスター『デブリ・ドラゴン』。
4枚目、チューナーモンスター『ドリル・シンクロン』。」
そして運命の5枚目。
「5枚目…………チューナーモンスター『エフェクト・ヴェーラー』!
此れでシューティング・スター・ドラゴンは5回の攻撃が可能!『スターダスト・ミラージュ』!」
瞬間、4体の分身が現れ高速でシグナムへと向かって行く。
シグナムの陣風に阻まれながらも1体、又1体と確実にその距離をつめて行く。
「く…」
――防ぎきれん…此れが、此れが不動の全力!
そして遂に一箇所確実な隙が出来る。
此処までに4体の分身全てを使ったが未だ本体の攻撃が残っている。
「穿て、『シューティング・スター・ソニック』!」
遊星が最後の攻撃を宣言した所で…
「其処までや!!」
観戦していたはやてから、終了が告げられた。
「もう、良えやろ!?これ以上やる意味は無いで!」
その言葉に遊星とシグナムは戦闘を止め、ゆっくりと降下してくる。
そして、
「お前の判定勝ちだな不動。」
「いや、シューティング・スターの攻撃は決まりきっていなかった。決着を宣言したが、はやてが止めていなかったら分らなかった。」
そしてがっちりと握手を交わす。
「改めて名乗ろう。私の名はシグナム。ヴォルケンリッター『烈火の将』シグナムだ。此れからよろしく頼む。」
「不動遊星だ。此方こそな。」
一流の戦士は言葉を交わさなくとも戦えば相手のことが分る。
新たな絆が1つ、此処に紡がれた。
To Be Continued… 