ヘリオポリス崩壊後の戦闘は、突如飛来したニンジン型閃光弾でザフト軍は視界を奪われアークエンジェルを見失う結果になったのだが、其れ以上に問題なのはアスランの命令違反だった。
アスランは待機を命じられたにも拘らず、其れを破って出撃したのだから。
「其れで、何か申し開きはあるかねアスラン?」
「命令違反とは貴様らしくもない……先程は戦闘中だったから何も言わなかったが、何故出て来た?」
「連合の……ストライクのパイロットは、俺の親友だったんです。」
其れに対してラウとイザークがアスランの真意を聞いて来たのだが、アスランの口から出て来たのは予想外の答えだった。
連合のモビルスーツの一機に乗っていたのが親友だったとか、其れは最悪極まりない運命の再会としか言いようがなく、まさかの事にカタナやイザークも何も言えずに居て、軽口上等なディアッカも何も言えず、二コルに至っては顔が青褪めていた。
「其れはまた何とも皮肉な運命だが……アスラン、君はその親友を如何したい?」
「出来る事なら説得したいです……でも其れが出来なかった其の時は、俺がこの手でアイツを討ちます――他の誰かにやられる位なら、俺の手で終わらせます。」
ラウは更に聞いて来たが、其れに対するアスランの答えは己の望みを伝えつつも、其れが不可能だった場合は自らの手でキラを討つとラウに誓うモノでもあったが、或はアスラン自身も『最悪の場合は嘗ての親友を自らの手で』と覚悟を決める為に口にしたのかも知れない。
「ふむ……ならば自分が納得出来るまでやってみるがいいアスラン。
説得出来れば其れで良し、出来なかった其の時は討つとなれば、何方に転んでも連合のモビルスーツ一機は使用不能になる訳だからな。」
「説得とは少しばかり甘いと思うが……貴様の気持ちも分からんではない。
だが戦場で相手を説得すると言うのは簡単な事ではないからな?……貴様がストライクのパイロットの説得に集中出来るように、ビャクシキの方は俺達がなんとかしてやる。」
「ビャクシキは私のモノよ?……と言いたい所だけど、残念だけど今のグラディエーターじゃビャクシキには勝てないのよねぇ?
さっき確認してみたら、グラディエーターもストライクやビャクシキと同様にバックパックを装備出来るようになってるみたいなのよ……でも、そのバックパックが今は無いから、グラディエーターはその真価を発揮出来てないのよねぇ……何とかして下さい隊長。」
「カタナ、君は中々の無茶振りをしてくれるな?……まぁ良い、プラントの方に打診しておこう。出来次第、此方に運んでもらう手筈を取っておこうか。」
アスランがキラの説得に集中出来るようにビャクシキの方は引き受けると言うイザークは、アスランの事をライバル視しては居るモノの、だからこそ己がライバルと認めた相手が戦場で最大の力を発揮出来なくては気分が悪いのだろう。
其れはさて置き、クルーゼ隊は先の『ニンジン型閃光弾』によってアークエンジェルを見失ってしまったのだが、ラウは『アークエンジェルは補給のために友軍の軍事要塞アルテミスに進路を取る』と予想して、進路の前後を抑える作戦を――アークエンジェルを挟撃する作戦を立てるのだった。
機動戦士ガンダムSEED INFINITY PHASE6
『補給地に向かう大天使と、其れを阻むモノ』
ニンジン型閃光弾によって無事に離脱したアークエンジェルは一路アルテミスへと向かっていた。
モビルスーツの戦闘ではイチカとキラの方が有利だったが、アークエンジェルは航行エネルギーは兎も角として、戦闘の為のエネルギーと弾薬は必要最低限しか搭載していないので、一刻も早く補給をしたい状況であり、あの場から無事に離脱出来たのは有り難い事だった。
「あのニンジンミサイルのおかげでザフトの連中を撒く事が出来たが……一体誰があんなモンを放ってくれたのやらだぜ?……オーブの坊主、お前さん何か知ってるんじゃないのか?」
「知ってるっちゃ知ってるけど、俺にも良く分からないんだよなあの人は……つか、何処で見てんだよあの人は?多分だけど、さっきの宙域にはアークエンジェルとザフト以外の艦船は存在してなかったんだろミリィ?」
「えっと……うん、レーダーのログを見ても存在してなかった。」
「と言う訳で、あのニンジンが何処から放たれたのかは全く不明!
只一つだけハッキリしてるのは、少なくともタバネさんは俺の敵じゃないって事だ……だからと言って俺と一緒にいるアンタ等の敵じゃないかって言われると、そうとは言い切れないんだよなぁ……あ~~、でもストライカーパック届けてくれたからキラはタバネさんの敵じゃないな。」
「イチカ、タバネさんって何者なの?」
「俺もガキの頃に孤児院で一度会っただけなんだけど、なんつーか一度見たら忘れられない強烈なキャラだったな。
先ずは艦長をも上回る胸部装甲を搭載して、胸元が大きく開いたエプロンドレスを着て、頭にはうさ耳型の謎の機械を装備してた……でもって、俺がスマホを手に入れたら教えてもいないのにメール送って来たからなぁ?
今日だけでも俺がヘリオポリスに行く事知ってたし、ビャクシキがオーブが俺をテストパイロットに想定して開発してたモビルスーツって事を知ってたしな……まぁ、兎に角色々と規格外の凄い人って認識で良いと思うぞキラ。」
「そうなんだ……凄い人なんだねタバネさんって。」
「うおぉぉい、其れで納得するのか坊主!!」
先のニンジン型閃光弾に関しては何処から放たれたモノかは分からなかったが、イチカがタバネがドレだけぶっ飛んだ人間なのかをザックリと説明し、キラも其れで納得していた……キラ以外は『其れで良いのか!?』と言った感じだったが、此の場に於いて唯一タバネの事を知っているイチカがザックリと言い切った事で其れ以上の追及は出来なかった。
「タバネさんの事は一先ず置いといてだ、アークエンジェルはアルテミスに向かってるんだよなマニューもといラミアス艦長?」
「えぇ、其の通りよイチカ君……食料も弾薬も最低限しか積んでないから、地球に降りる前に補給をしておかないとだから。」
「となると、アルテミスに向かうまでにまたザフトの襲撃を受ける可能性が高いか……恐らくはザフトもアークエンジェルがアルテミスに向かうって事を予測してる筈だからな――若しかしたら挟撃を受けるかもだぜ。」
「挟撃か……その可能性は確かに十分あるな?俺のゼロもすぐに出れるようにしておいた方が良さそうだ。」
そして更にイチカはラウの予想の更に先を読んでいた。
軍人としての年季はラウの方が上だが、イチカはオーブ軍にて史上初となる入隊から二年で尉官にまで昇進すると言う偉業を成し遂げており、其れだけの功績を上げた実力の持ち主故に、若さ故の柔軟な思考で歴戦の経験を上回る事も出来ていたのだ。
そんなこんなで、次の出撃に向けて己の機体の状態を見に行ったイチカとキラだったが、ビャクシキとストライクは整備機材が充分でないのが嘘だと思うレベルの整備が成されていた。
圧倒的にスタッフが足りていないアークエンジェルだが、不幸中の幸いと言うべきかモビルスーツの整備スタッフに関しては整備長の『コジロー・マードック』を筆頭に潤沢に揃っていた――連合の新型モビルスーツの搬送と言う事で、アークエンジェルに駆り出されていたのだが、其れが今回は逆に良かった訳だ。
「おやっさん、俺達の機体は如何っすか?」
「おぉ、お前さん達か!
ストライクもビャクシキもバッチリ整備しといたぜ!其れと、ストライクに関してはPS装甲の電圧を少し調整して青い部分が黒くなるようにしといた。PS装甲は黒いほど堅いって事だったからな。」
「ありがとうございます、マードックさん。」
そのマードック達整備士の手によってストライクはPS装甲の電圧が調整されてより堅い装甲を手にしていた。
まだ開発されたばかりのPS装甲だが、其れでも『赤いほど強く、黒いほど堅い』と言う事は分かっていたので、マードックは軍人ではないキラの生存率を少しでも上げようと、ストライクのPS装甲の強度を上げてくれたのである――整備スタッフから『おやっさん』、『オヤジ』と慕われているマードックは人情溢れる人なのだ。
機体の状態が万全である事を確認したイチカとキラは、ブリッジの仲間達に声を掛けて食堂にて少し早めのディナータイムと相成った。
アークエンジェルにある食料はレーションやら缶詰、レトルト食品と言った保存が利くモノなのだが、イチカはヘリオポリスのスーパーで食材を買い込んでおり、其れを使ったメニューが提供された。
本日のアークエンジェルのディナーメニューは『カニカマボコとシラスと辛子高菜の炒飯』、『タラの唐揚げ油淋ソース』、『カルビチゲスープ』だった――無重力の宇宙空間ではあるが、アークエンジェルの艦内は地球と同様の1Gが発生しているので、汁物も問題なく提供出来るのである。
「何だ此れ……ガレッジの学食よりも美味い!」
「この炒飯のパラパラ具合、こんなに美味しい炒飯は初めて食べた……!!」
そして其れを食したクルーは、その美味しさに驚いていた。
其れこそ、コーディネーターに対して偏見を持っているフレイまでもが一口食べた次の瞬間には夢中になってしまったくらいなのだ――イチカの料理の腕前はオーブ軍では有名であり、其れこそ非番の日にはオーブ軍の食堂の厨房に立つ事も多く、その腕前はオーブ軍の食堂の料理長が『食堂のスタッフに欲しい』と言ったレベルなのである。
「うん、とっても美味しいよイチカ。此れだけの料理が作れるなんて、凄いね?」
「まぁ、趣味だからな料理は。」
暫しの憩いの時間だが、その時間は長くは続かなかった。
――ビー!ビー!!
艦内に警報が鳴り響き、同時にコンディションレッドが発令される。
其れはつまりザフト軍が現れたと言う事であり、そうなったら戦闘は避けられない――なので、ブリッジクルーは各自持ち場に戻り、イチカとキラはドッグに直行してイチカはビャクシキに、キラはストライクに乗り込む。
「矢張り挟撃されたか……アークエンジェルの前は俺がやる。後は任せて良いかキラ?」
「うん、任されたよイチカ。」
『ストライク、発進スタンバイ。ストライカーパックはエールを装備します。進路クリア。ストライク、発進どうぞ。』
「キラ・ヤマト。ストライク、行きます!」
『続いて、ビャクシキ、発進どうぞ。』
「イチカ・オリムラ。ビャクシキ、行くぜ!!」
そしてアークエンジェルのカタパルトから発進する。
今回キラのストライクが装備した『エールストライカーパック』は中距離の高機動型のストライカーパックで、ストライカーパックに搭載されているビームサーベルの他にビームライフルとシールドを搭載した形態だ。
ランチャーやソードと比較した場合、特出した能力はない代わりに、特別弱点もない汎用性に富んだストライカーパックだと言えるだろう。
ビャクシキとストライクがアークエンジェルから発進したのと同時に、クルーゼ隊の艦から出撃して来たイージス、デュエル、バスター、ブリッツ、グラディエーターが攻撃して来た。
先程の戦闘で武装を破壊されたバスターとブリッツだが、アークエンジェルに追い付くまでに補修を済ませていたようである……クルーゼ隊の整備士も相当に優秀であると言えるだろう。
アークエンジェルの前方からはグラディエーター、デュエル、バスターが。後方からはイージスとブリッツが攻撃を行っているようだ。
先ずアークエンジェルの前方への攻撃は、ビャクシキが搭載された火器を一機に放つフルバーストで相殺した後に、雪片を分割して一本をヒャクライにマウントして銃剣にした変則的な二刀流でグラディエーター、デュエル、バスターに向かって行く。
ビャクシキが複数の相手を同時に出来る事は先程の戦闘で分かっているので、カタナ達は攻めあぐねるかと思いきや、グラディエーターがビャクシキと真っ向からぶつかり、デュエルとバスターは其のサポートに入って機体の性能差を埋めようとして来た。
デュエルはGAT-Xシリーズでは最初に完成した機体だけに装備はシンプルだが、その分扱い易く不得手な距離も存在しない上に白兵戦に関しては高い性能を持っているのでグラディエーターの近接戦の隙を補う事は容易であり、バスターは元々が超強力な火力を持ってしての砲撃戦と後方支援を目的に製造されたのでサポートは得意分野と言えるのだ。
グラディエーターとデュエルだけならば近接戦闘で互角に遣り合えるビャクシキだが、其処にバスターの砲撃も加われば流石に苦戦は免れない……ので、イチカは先ずバスターを行動不能にする事にした。
「姿勢を崩したわね?貰ったわ!」
激しい斬り合いの中で繰り出されたグラディエーターの斬り上げを避けたビャクシキは、しかしそこで体勢を崩してしまい隙が生まれる……そしてその隙を逃さずにグラディエーターはミステリアスレイディで斬りかかって来たのだが――
「ところがギッチョン、トラップ発動ってな!」
此処でビャクシキがオオタカのブースターを全開にして緊急離脱し、更に其の際にデュエルを踏み台にしてグラディエーターの斬撃の軌道上に蹴り飛ばし、結果としてグラディエーターの斬撃はデュエルに誤爆。
ミステリアスレイディは実体剣だが、高周波振動ブレードが搭載されている事でPS装甲に対しても有効なダメージを与える事が可能となっている――が、カタナはギリギリの所でミステリアスレイディを横倒しにして『刀身でぶっ叩く』攻撃にした事でデュエルは無事だった。
だがその隙にビャクシキはバスターに接近していた。
バスターは砲撃戦と後方支援を目的に造られた機体だけに近接戦闘の為の兵器は一切搭載されていない為、近距離戦になったら一気に攻撃手段を失ってしまうと言う致命的な弱点が存在するのだ。
一応、二門の大型火器を鈍器として使用する事も出来なくはないが、其れは所詮悪足搔きでしかない。
「チョイッサー!」
「コイツ……!」
ビャクシキはバスターに至近距離で電磁リニアランチャーをブチかましてメインカメラとツインアイを破壊して行動不能にさせると同時に雪片を逆手に持ち直してバスターのコックピットを突き刺そうとする。
「やらせるか、貴様ぁ!!」
「今回は、ちょっと裏を掻かれたわね……!」
しかしそこにグラディエーターとデュエルが割って入り、ビャクシキの攻撃をデュエルがシールドで防ぎ、グラディエーターがバスターをビャクシキから引き剥がした。
そして、デュエルがビャクシキに至近距離でビームライフルに搭載されているグレネードを放ち、爆炎を巻き上げると、グラディエーターとデュエルは破損したバスターを引き連れて其の場から撤退したのだった。
バスターからの後方支援が受けられなくなったとなると、基本的な武装しかないデュエルと、バックパックがないグラディエーターでは、バックパックを搭載して機体能力を100%引き出したビャクシキと遣り合う事は可成り難しいと考えたのだろう。
同じ頃、イージスとブリッツの相手をしてたストライクは苦戦を強いられていた。
エールストライカーパックは汎用性に富んだストライカーパックではあったが、特出した武装がないだけに、素人であるキラにはその真価を発揮する事が出来ていなかったのだ――ランチャーストライカーパックとソードストライカーパックのメイン武装が何方も『当たれば一撃必殺』だったから余計にだろう。
特に射撃に関してはヘリオポリスでの戦闘ではゲイボルグやアグニと言った超強力な火器を使って使っていたが、細かい狙いを必要とするビームライフルは初使用な事もあって如何しても無駄弾が多くなってしまったのだ。
そしてGAT-Xシリーズのビームライフルはバスターを除いてマニュピレーターの掌のコネクターから機体本体のエネルギー供給を受けて使用する為、連続で使用すれば当然機体エネルギーは減少し――
――キュゥゥゥン……
やがてPS装甲を維持する事が出来なくなり『PSダウン』を誘発する事になる。
アークエンジェルに搭乗した整備士達によってストライクのPS装甲はより堅くなって防御力が上昇していたのだが、PSダウン状態になれば防御力は一気に低下し、其れこそ実弾兵器でも必殺になってしまうレベルなのだ。
正にストライクは絶体絶命となったのだが、此処でイージスはモビルアーマー形態に変形すると、先端のクローでストライクを掴み取る。
「アスラン……!」
「キラ、このままお前を連れて行く!話は其れからだ!」
アスランは先ずはキラをプラントに連れて行って、其処から話をしようと考えていたようだ――そう言う意味ではストライクがPSダウンを起こしたのは有り難い事だったと言えるだろう。
PSダウン状態のストライクに残されたエネルギーは僅かであり、イージスの拘束を振り解く事すら難しいのだから。
「ぬわぁに、勝手に人のバディ連れて行こうとしてんだゴルァ!誘拐の現行犯で逮捕すんぞテメェ!!」
「ビャクシキ……イチカ!」
しかし此処でグラディエーター、デュエル、バスターを退けたビャクシキがイージスのクローを電磁リニアランチャーで攻撃して拘束を緩め、その隙にストライクはイージスの拘束から脱出する。
そしてビャクシキは雪片を双刃モードで右手に構えてストライクを守るようにイージスとブリッツに相対する。
「坊主、差し入れだ!」
「ムゥさん……ありがとうございます!」
更に此処でムゥがアークエンジェルに積まれていたストライカーパック運搬用兼ストライカーパックを搭載しての戦闘が可能なモビルアーマー、『スカイグラスパー』で出撃してストライクにランチャーストライカーパックを渡し、其れを受け取ったストライクはストライカーパックに内蔵されたメインバッテリーによって機体エネルギーが回復してPS装甲も復活する。
同時に其れは、ストライクには母艦があれば機体エネルギーを即時に回復出来る事の証明でもあった――同様の事は、バックパックに大容量のバッテリーを搭載しているビャクシキにも言えるだろう。
逆に言えば同様のバックパックさえ開発してしまえばカタナのグラディエーターもまたストライクやビャクシキと同様に運用が出来る訳だが。
とは言え、母艦があればエネルギーの補給が容易な機体と此処で此れ以上遣り合うのは得策ではないと判断したアスランは、二コルに『此処は一時撤退する』と言う事を伝えてクルーゼ隊の母艦に戻り、全機が戻ったクルーゼ隊の母艦は、『此れ以上はアルテミスに駐屯している連合の部隊と戦う事になる』と判断して宙域から離脱し、アークエンジェルは改めてアルテミスへと進路を取るのだった。
そしてアルテミスに到着する前に、イチカはキラに頼んでアークエンジェルのクルーとなっているヘリオポリスの工業ガレッジの仲間達をアークエンジェルの中央デッキに呼び出していた。
「イチカ、言われた通りに皆を呼び出したけど……」
「OKだキラ。
俺は回りくどいのは好きじゃないから単刀直入に言うぜ……お前等、アルテミスに到着する前に軍服から私服に着替えとけ。」
「「「「「え?」」」」」
呼び出されたキラの仲間達に対して放たれたイチカの一言は『軍服から私服に着替えておけ』と言う予想外極まりないモノだったが、同時にキラはイチカが態々其れを口にしたと言うのは伊達や酔狂では無いと言う事を感じ取っていた――出会ってから僅か数時間だが、その数時間で四回もの戦闘を共にした事で、イチカとキラの間には確固たる『バディ関係』が構築されており、だからこそキラはイチカの言った事が何か意味があると思ったのである。
そして、アークエンジェルは遂に友軍の基地であるアルテミスに到着したのだった――
To Be Continued 
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