ミリアリアがディアッカに対して行った事はアークエンジェル内でも問題になるかとも思いきや、ミリアリアはお咎めなしとの処分が下されていた。
『捕虜への暴行』は、どんな理由であれ行ってはならないモノであるのだが、『捕虜への暴行』は戦争に勝った場合は兎も角として負けた場合、軍事裁判等で非常に不利となる要素になるからであり、普通ならばミリアリアの行動は問題視されるべきモノなのだ。
そうであったにも拘らずお咎めなしとなったのは、『婚約者を失って精神的に不安定だった』、『婚約者の死を捕虜であるザフト兵が揶揄ったように口にした事が原因』、『そもそもにして正規の軍人ではないので軍隊での規則に則った罰を与えるのは違う』と言う事情があったからだった――尤も、其れとは別にナタルはマリューに対し、『捕虜の扱いや武器の管理に関して見直した方が良いのではないか?』と進言してはいたが。
「武器の管理か……ミリィ、お前あのナイフ何処から持って来たんだ?」
「此の前オーブに行った時に実家にあるコレクションから持って来てたのよ。」
「そうなのか……って、コレクションってなんだよ!?」
「私のナイフコレクションだけど?
ナイフって柄や刃によって夫々印象が異なるから単純に『職人の業物』として見ると結構楽しいモノがあるのよ……刀より安価で買えるから学生の私でも集めるのは難しくないし。
もう一つの趣味である写真と同じくらいナイフ集めるのも好きなのよ。」
「趣味の温度差がハンパねぇなオイ……因みにコレクションの中で一番お気に入りのナイフは?」
「ナックルガードの付いたコンバットナイフかなぁ?ナックルガード付きの柄のデザインがメカメカしい感じがして好き。刀身が真っ赤なのも良い感じ。」
「赤い刀身って材料何で出来てんだか……」
尤もミリアリアが使ったナイフは自前だったらしく、ミリアリアの意外な趣味も明らかになっていた。
其れはさて置き、アークエンジェルは未だにアラスカ基地から入港許可が下りずに海上に停泊しており、イチカはミリアリアを誘って甲板で釣りをしていたのだった――ミリアリアを誘ったのは、ディアッカとの一件に関して少しでも気晴らしになればと思ったからだ。
「……イチカはさ、オーブ軍の軍人なんだよね?軍人って、死ぬのは怖くないの?」
「……軍人でも死ぬのは怖いさ。
だけど軍人にとって死ぬよりも怖い事は守るべき国と人を守る事が出来ない事だ……軍人ってのは国と、その国に住んでる人達を守る為に存在してる訳だからな?
其の軍人としての本分を達成出来ない事の方が死ぬのより怖い――逆に言えば、テメェの命で国を守る事が出来るなら死の恐怖を一瞬で払拭出来ちまうのも軍人だ。
プロの軍人ってのは精神面で結構な矛盾を抱えている存在なのかもな……っとぉ、アタリが来たぁ!引きが強い……ミリィ、手を貸してくれ!一緒に力の限り竿引っ張れぇ!!」
「えっと、此れで良い!?」
少しばかり大事な話をしていたところでイチカの竿に大きなアタリがあり、イチカはリールを巻きながらミリアリアに助っ人を頼み、ミリアリアもイチカの釣り竿を掴んで思い切り引っ張る。
其れでも中々釣り上げる事は出来ずにいた。
「ミリィ、切り札を出す!俺が仰け反ったらその勢いのまま竿を引っ張れ!」
「えっと、了解!!」
「喰らえや、俺は男だが『淑女のフォークリフト』!!」
此処でイチカが淑女のフォークリフト……プロレス技の芸術品と言われているジャーマン・スープレックスを、生みの親である『プロレスの神様』こと『カール・ゴッチ』も絶賛するレベルで見事に決め、其れに合わせてリールを巻きまくり、ミリアリアも力の限り釣り竿を引っ張った事で遂に針に食い付いた大物を釣り上げたのだった。
「まさかの3m越えのクロマグロだったとは……トロの部分は寿司にして、赤身は燻製に、中落ちはこそげ取ってマグロハンバーグにしてから冷凍するか。
頭は豪快に兜焼きにするのが良いな。貴重なカマトロとほほ肉は寿司にするけどな。」
其の大物は体長3mオーバーで体重200㎏オーバーのクロマグロであり、マグロ漁氏ならば此れが二本取れれば一年遊んで暮らせるだけの金を手に出来るモノだった。
其のマグロをイチカは早速調理して、日持ちしないトロの部分と希少部位のカマトロとほほ肉は寿司で提供し、トロであっても筋が多くて生食に向かない尾の身はステーキで提供してアークエンジェルクルーから大絶賛だっただけでなく、捕虜であるカタナとディアッカも大絶賛だった。
そんなマグロ尽くしの食事が終わったところでようやくアラスカ基地から通信が入り、マリューとナタルとムウがアラスカ基地に呼び出されたのだった。
機動戦士ガンダムSEED INFINITY PHASE32
『闇の始動~Chaos with no end in sight~』
アラスカ基地に呼び出されたマリュー、ナタル、ムウは其処でアラスカ基地の最高責任者である『ウィリアム・サザーランド大佐』による査問が行われていた。
「ラミアス艦長、連合のモビルスーツであるストライクをコーディネーターの少年に操縦させていたとの事だが、一体何を思ってそんな事をさせていたのかね?
我ら地球連合にとってコーディネーターは討つべき敵である事は君も理解していると思うのだが?」
「彼は……キラ・ヤマトはヘリオポリスでのザフトによるモビルスーツ強奪現場に偶々居合わせて、そして彼は生きる為にストライクに乗り込み、未完成であったストライクのOSを自分用にであるとは言え完成させて起動し、そして戦果を挙げてきました。
コーディネーターであっても彼はザフトと立派に戦ってきました……故に、私はキラ・ヤマトをアークエンジェルに搭乗させ、ストライクのパイロットとした事が間違いであったとは思いません。」
サザーランドは早速、『連合の新鋭機であるストライクにコーディネーターの少年を乗せていた事』を問題視して、其処を突いて来たのだがマリューは毅然とした態度で其れに対抗し、『キラが居なかったらアークエンジェルは此処に辿り着いていなかった』と言う事を暗に示していた。
「……其れは確かにそうかもしれないが、オーブから出向して来ているコーディネーターの兵士は……!」
「イチカ・オリムラ君ですか?
彼はキラ君以上の戦果を挙げていますよ――現在アークエンジェルが収容している捕虜二名もイチカ君が落とした機体のパイロットですが、彼に何か問題がありますか?」
「ぐぬぬ……無い。」
サザーランドはアラスカ基地の最高責任者であり、大佐の地位にいる人物ではあるのだが、その根幹には『コーディネーターの存在は絶対に認めない』と言う理念に凝り固まった人間であり、其れ故にコーディネーターであるイチカとキラの存在が此処までアークエンジェルを生き延びさせて来たと言うのが心底気に入らないのだろう――ナチュラルの選民主義思考はコーディネーターよりも遥かに強いので、コーディネーターの少年が戦果を挙げていると言うのも忌々しい部分があるのだ。その反面、『ザフト軍の戦力を削ったのは大きい』とも考えているのだから勝手な話である。
そもそもにして連合はコーディネーターを忌み嫌っているにも拘らず『戦闘用』としてコーディネーターを生み出していた過去があるのだから矛盾どころの話ではないのだが。
「戦果もそうだが、其れ以外でもオーブの坊主の功績は大きいよな?
アイツの作る旨い飯はアークエンジェルクルーの士気を高めてくれるし、同世代のヘリオポリス組には『同世代の現役軍人』って事で俺達よりも慕われてるみたいだし、現役軍人だけに少年組では誰よりも的確な判断が出来てるからな。」
「イチカ・オリムラとキラ・ヤマト、此の二人のコンビがアークエンジェルの中核であったのかもしれません……其の中核の半分は今は喪失してしまいまった訳ですが……」
イチカとキラの二人が居なかったら、アークエンジェルはヘリオポリスから脱出する事は出来ても、最初の補給地であるアルテミスでブリッツの奇襲を受けてアルテミスと運命を共にしていただろう。
加えてイチカはアークエンジェルのモビルスーツパイロットとしてだけはなく、アークエンジェル内ではクルーの食事を作ったり、ヘリオポリス組が大人組に対して言い辛い事も代わりにズバッと言ってくれる事もあったので、アークエンジェルに於ける中心的な人物であったのは間違いないだろう。
だからこそ、マリューもムウもナタルもサザーランドの偏見に満ちた言い分を受け入れる事が出来ないのだ――サザーランドの物言いは、軍人としての言葉ではなく選民主義思想とコーディネーター排斥理念に凝り固まった者の台詞でしかなかったのだから。
「時に、現在我が艦に収容されている捕虜二名の処遇はどのように?
此のまま我が艦が預かるのか、それとも身柄を此のアラスカ基地に引き渡した方が良いのか……私としては戦艦に収容しておくよりも基地で収容すべきと思うのですが……」
「その捕虜二名は引き続きアークエンジェルに収容しておきたまえ……捕虜とは言え、コーディネーターが此の基地に入るなど汚らわしくて敵わん。」
「……了解しました。」
加えて捕虜の受け入れまで拒否したサザーランドに、マリューもムウもナタルも、『アラスカ基地に来たのは間違いだったかもしれない』と考え始めていたのであった。
――――――
時は少し巻き戻り、アスランがプラントに戻るためにシャトルのターミナルまでやってくると、其処にはイザークの姿があった。
イザークはカンザシと共に次の作戦に参加するので地球に残る事になっているので、プラントに戻るアスランを見送りに来たのだろう――何も言わずに戦友を送り出すのは不義理と思ったのかもしれない。
「イザーク……」
「新型を受領するそうだな?
新型機と言うのは既存の機体よりも高性能である場合が多いが、其れだけに扱うのが難しい部分もあるのだが、まぁ貴様なら大丈夫だろう……だからさっさと新型を貰って戻って来い。
貴様の居ない戦場は張り合いがないのでな。」
「そう、だな……出来るだけ早く戻れるようにするさ。」
「そうしろ。
それと、今回はクルーゼ隊長の命令でお前の下に付いたが、次の機会があれば今度は俺がお前を部下にしてやる……だから新型を貰って戻って来ても死ぬなよアスラン!」
「……分かった、約束だイザーク。」
ヘリオポリスから今まで戦場を共に駆け抜けた戦友はがっちり握手を交わし、其の後にアスランはターミナルからシャトルに搭乗してプラントへと戻って行き、イザークはシャトルが見えなくなるまでターミナルからシャトルを見送っていた。
「用は済んだ、戻るぞカンザシ。」
「アスランを部下に……其れってかなり難易度が高いと思う。
アスランのお父さんのパトリックさんは新たにプラント最高評議会の議長になったって言うし……でもイザークのお母さんもザラ派のナンバー2だから無くはないのかな?」
「其処には突っ込むなぁ!」
其の後車内で待っていたカンザシと漫才的な遣り取りを行いながら、イザークはシャトルのターミナルからザフトのカーペンタリア基地へと帰還――する間に暫しカンザシとドライブデートを行い、道中にある店でショッピングをしたり、食事をしたりしたのだった。
因みに食事をしたのはカーペンタリア基地近くにある『寿司バー(要するに回転寿司)』のチェーン店である『Kura Sushi』で、イザークもカンザシも心行くまで寿司を堪能したのであった。
―――――――
時は戻り、マリュー達がアラスカ基地で査問を受けていた頃、ミリアリアは再びディアッカが収容されている部屋を訪れていた。
食事の時間でもないので完全に私用でやって来たのだが、部屋に入って来たミリアリアに、ディアッカは気まずそうな雰囲気だった――ディアッカとしては、捕虜のせめてもの抵抗としての軽口だったのだが、其の軽口はミリアリアの心の傷を抉ってしまっていたのだから気まずくもなうだろう。
其の直後に殺されそうになったのに、イチカの空砲からは身を挺して守られたのだから尚更だ。
「あ~~……その、なんだ……さっきは、そっちの事情を知らなかったとは言え、馬鹿な事を言っちまって悪かった。
本当にアンタが彼氏を喪っちまってたとは思わなかったんだ……なんてのは言い訳にもならないんだろうけどよ……でも、だからこそ俺は死んじまったアンタの彼氏の事を聞いとかなきゃならねぇ……アンタの彼氏がどんな奴だったのか、其れすら知らないのにあんな事言っちまったなんてイザークに知られたら、其れこそ殺されちまう。
其れがなくても、俺は其れを知らなきゃならねぇと思うからさ。」
「……良いわ、話してあげる。」
ディアッカの言葉を聞いたミリアリアは、自分とトールがどんな関係であったのかをディアッカに包み隠さず全て話した。
自分とトールは『恋人関係』を超えた『許嫁関係』であり、ミリアリアの親とトールの親が決めた婚姻関係ではあったが、自分はトールを愛していて、トールもまた自分の事を愛していた事を。
「トールを殺したのはアンタじゃない……だけどアンタはトールを殺したザフトの一員でもある……ねぇ、私は一体如何すればいいの?
トールの命を奪ったザフトは憎い。だけどアンタを殺してもザフトへの憎しみは無くならない……私は如何すればいいの?如何すればいいのよ……教えてよ、誰か教えてよ……」
「殺しに来たなら殺れば良いだろうとは、言ってもやらねぇよな流石に……ったく、こんなのは俺のキャラじゃないんだけどよぉ……」
其れを聞き、ミリアリアの苦しい心の内を聞いたディアッカは何を思ったのか突然ミリアリアの足を払った。
其れは全く予想外の事であり、足を払われたミリアリアはバランスを崩して其のまま倒れ込む事になったのだが、倒れた先にはディアッカが座っており、其処に身体を支えるために突き出したミリアリアの両手が突き刺さった……顔面に。
如何に体格差があるとは言っても、ミリアリアの全体重を支えるために突き出された両手を頭だけで受け止める事はディアッカにも不可能であり、ミリアリアの両手を喰らった頭は其のまま後方に身体ごと倒され、ディアッカは床に背中を強打する事になったのだった。辛うじて後頭部を強打する事だけは首に力を入れて回避したのだが。
「い、イキナリなにするの!?」
「よ、予想以上に痛ぇなぁ……アンタが俺に暴力振るっちまったら問題になっちまうだろうが、今のは俺が動かした足が偶然アンタの足に当たって、そんでもってバランスを崩しちまったアンタが偶々俺を床にぶっ倒す結果になったんだから問題にはならねぇよな?事故だ事故。
取り敢えず、さっきの馬鹿な発言に対しての俺なりのケジメって事だ……自分で自分を殴っても良かったんだが、アンタからの一撃じゃないとダメだって思ったからな。」
「なら『一発殴れ』って言えばいいでしょうが!今この部屋には私とアンタしかいないんだから!私が言わなきゃ分からないわよ!!」
「あ……言われてみればそれもそうだな?」
「気付きなさいよ此のバカ!」
「悪い、マジでバカだわ俺!」
ディアッカなりに考えて自分への罰を与えた訳だが、其れはミリアリアが言ったように『一発殴れ』と言えば良いだけの事であったので、ミリアリアに『バカ』と言われても致し方ないだろう。
だが、このやり取りの中でミリアリアの顔にはザフト兵のディアッカの前であっても笑顔が出て来ていたので、精神面は大分落ち着いてきたのかもしれない。
その後、ミリアリアは『取り敢えずこれで分けにしてあげる』と言ってディアッカの頭に一発『空手チョップ』をかましてから部屋を後にしたのだった。
――――――
同じ頃、プラントのクライン邸にて療養中のキラは、戦いとは無縁である此の場所で平和な時間を享受していた。
モビルスーツもなければ戦う相手もいない、唯々流れて行く穏やかな時間、時折聞こえるラクスの歌声……ヘリオポリスでの一件から無くなってしまった平和で平穏な日々が此処にはあった。
其れはキラの心身を癒してくれたが、同時に『自分だけこんな平和な時間を過ごして良いのか?』と言う思いもキラの中には生まれていた――何よりもキラが気になったのはアークエンジェルに残したままにしてしまった恋人であるフレイの事だった。
「(フレイ……君は無事なのか?
イチカが居れば大丈夫だとは思うけど……あの後アークエンジェルがどうなったのかも今の僕には知る術がない――けど今の僕は今再び戦場に戻る事を決断する事も出来ない……僕は、自分が何のために戦うのか、その答えが出ないから。)」
「キラ、考え事ですか?」
「……僕は、此処に居ていいのかな?」
「良いのですよキラ。
此処に居れば戦わずに済みます。憎んでいない相手と戦う事もありません……貴方が平和な時間を過ごしても誰も非難する事もしません……だから、キラが望むのであればドレだけ此処に居ても構わないのですわ。」
「…………」
フレイの事は気になれど、だからと言って今再び戦場に戻ると言う事をキラは選択出来ないでいた――此のままキラは戦う事を止めてしまうのか、それとも自分なりの『戦う理由』を見付けて再び戦う事を選ぶのか、其れはキラにしか分からない事だろう。
――――――
場所は再びアラスカ基地。
査問と言う名のサザーランドの『コーディネーター大嫌い披露会』も漸く終わり、アークエンジェルにサザーランドから命令が下されたのだが、その命令とは『ムウ・ラ・フラガ、ナタル・バジル―ル、フレイ・アルスター』の転属命令だった。
ムウとナタルの転属だけならば未だしも、所謂『民間協力者』であるフレイへの転属命令と言うのは異例――と言うよりも、連合の軍規である『レジスタンスを含む民間協力者の配置転換は認めない』と言うモノに違反するモノだった。
なので当然マリュー達も抗議したのだが、サザーランドは『連合の軍服を着ている以上は民間協力者ではなく正規兵』と言う意味不明な理論を振りかざして来たのだった――此の手の暴論を振りかざす相手には如何なる正論も意味は成さないので、マリュー達も打つ手なしだったのだが……
「はいどーも!アラスカ基地のお偉いさん、フレイの転属は軍規違反だろ?
だからフレイの転属は無しだ……フレイの転属取り消さないと、此れをゴシップ紙とかネットにうっかり流しちゃうかもしれないぜ俺?この事実が表沙汰になったら、アンタお終いだよな?」
此処でイチカが現れてスマートフォンの画面をサザーランドに突き付けた。
その画面にはサザーランドにとっては表沙汰になったら拙い情報が此れでもかと言う位に並べられており、其れを見たサザーランドは一気に顔を青くすると同時に、イチカにどうやって此処まで来たのかを問うたのだが、イチカは『ビャクシキで基地に乗り込んで、警備兵はぶっ倒して来た』とトンデモナイ事を言ってくれたのだった。
普通に考えるとイチカがやった事は大問題なのだが、其れ以上にサザーランド的にはイチカがスマートフォンの画面に表示した事が表沙汰になったら自分の連合での地位が危うくなるので、フレイの転属を取り消さざるを得なかったのだった。
「イチカ君、何を見せたの?」
「アイツにとって表沙汰になったらヤバいモノ……タバネさんが『此れは役に立つと思うよ』ってメールで送って来たんだけど、マジで役に立ったな。」
其の情報源はタバネであり、またも抜群のタイミングで必要な情報を送って来てくれたおかげでフレイの転属は回避出来たのだが、ムウとナタルの転属は回避出来ないので、アークエンジェルは優秀な副艦長と頼りになる兄貴分兼優秀なモビルアーマーパイロットを失う事となり、キラとストライクの喪失に続く戦力低下を余儀なくされてしまうのだった。
そして同じ頃、アラスカ基地の近くにはサングラスを掛けた金髪の男が現れていた――其れは仮面を外し、代わりにサングラスを掛けたザフトの兵士であるラウ・ル・クルーゼ、その人であった。
To Be Continued 
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