Side:夏姫


任務は無事に終了し、ミッションコンプリートを労う意味で、アタシ達は学園の大浴場を絶賛満喫中だ……地下100mから汲み上げられているという温
泉は実に素晴らしいからね。
こうしてゆったりと浸かっているだけでも疲れが吹き飛んでいきそうな気がするよ。



「ホント、この温泉は溶けるわ~~……ゆったりたっぷりくつろげる温泉は至福の時よね……ホントに溶けちゃいそうだわ。」

「大変だ楯無、両腕が溶けかけているぞ?」

「嘘!?」

「うん、嘘だ。」



――ドンガラガッシャーン!!



……此れはまた盛大にずっこけたな?浴槽でずっこけると言うのも器用なモノだが、其処まで盛大にずっこける必要はなかったのではないだろうか?
いや、ずっこけさせた張本人が言う事でもないかも知れないが。
取り敢えず、大丈夫か楯無及び、その他のずっこけた諸々方?



「あのねぇ夏姫、アンタいい加減に真顔でボケかますの止めなさいよ!ボケかマジなのか分からない上に、真顔だから余計に油断してたボディに来る
 のよアンタのボケは!!」

「そう言われても、冗談を言う時やボケる時にどんな顔をすればいいのか分からないと言うのが正直な所だ。」

「言われてみると、夏姫って無表情って訳じゃないけど、あんまり大きく表情変わらないよね?笑う時も『ニコッ』って感じじゃなくて、口角が僅かに上が
 る程度だし。
 ……まぁ、そのクールさが楯無さんと言う恋人が居るにも拘らず、夏姫に熱を上げる女子が居る原因でもあるんだけどね。」

「そうなのか静寐?――だが、幾らアタシに熱を上げても無駄だぞ?アタシには楯無が居るからね。」

「な、夏姫、其れはとっても嬉しい事を言ってくれたけど、流石にそんな事を真顔でナチュラルに言われちゃうと、私もちょっと照れちゃうんだけど?」

「アタシは思ったことを素直に言っただけだが、ダメだったか?」

「だ、ダメじゃないけど……あうぅぅ~~///

「楯姐さん?楯姐さ~~ん?……楯姐さん戦闘不能!Winner、夏姫!!」


――カンカンカン~~!!


何の勝者だ何の。其れからどこから持って来たゴング。――使うのは良いがちゃんと元の場所に戻しておけよ?

其れは兎も角だ、取り敢えず学園の方は何とかなったので、此度の件の黒幕にはキッチリと制裁をお願いしますよ束さん――貴女ならば、どんな相手
であってもキッチリ断罪する事が出来るだろうからな。

――束さん、遠慮なくやっちゃって下さい。









Infinite Breakers Break95
Rabbit Judgement~天才の裁き~』









Side:束


はいは~~い、遠慮しないでやらせて貰うよなっちゃん!!……って、なっちゃんからの通信受けてねぇし!――まさか、念話ってモノだったりするの
かな此れは?う~~む、この束さんでも分からない事が多いみたいだねこの世界は。ま、何でも分かっちゃったら面白くも何ともないからね。
何でも出来る事は何も出来ないのと同じってのは至言だと思うよ――取り敢えず次元を超えた神電波乙。

さて、気を取り直して本題と行こうか?

本日、この束さんの可愛い、其れこそ目に入れても痛くないどころかもっと突っ込んでってな感じに可愛い妹である箒ちゃんと、その箒ちゃんの大事な
友達が通うIS学園が何処かの馬鹿に襲撃されました。何処かの馬鹿に襲撃されました。
はい、大事な事だから2回言ったよ。

まぁ、襲撃してきた馬鹿共はIS学園の精鋭部隊によって返り討ちにされた訳なんだけど、束さんとしては箒ちゃんと箒ちゃんの友達を危険に晒したって
いう事は絶対に許せる事じゃないんだよねぇ?
それこそ、怒り爆発、カムチャッカファイヤー、激おこぷんぷん丸、『俺は怒ったぞフリーザー!!!』ってな感じでブチキレてる訳さ……いやぁ、自分で
も、核保有国のコンピューターをハッキングして世界中に核ミサイル発射するのをよく思い留まったモンだと思うねマジで。



「束、お前は審判の日を起こす心算だったのか?」

「いやそんな心算はないけど……いっその事、其れやってこの束さんお手製アンドロイド『T-八百君』を野に放とうかリインちゃん?」

「やめれ、洒落にならん。」

「まぁ、其れは流石に冗談だけどね。」

さて、今私が言った事に覚えのある奴は居るよね?――まぁ、此の束さんにはIS学園を襲った相手が誰であるのかなんて言うのはとっくに分かってる
んだけどね。
此処で其れを暴露するのは簡単だけど、正解の発表はちょっと待っててね?
答えが分かった人は、此方のメールアドレスまでどしどしメールカモン!正解者の中から抽選で5名様に『豪華数の子入り松前漬け1.2㎏』をプレゼン
ト!どしどし応募してね!!



「束、若干趣旨がずれてないか?と言うか、此処でハッキングを終えて良いのか?」

「いいんだよリインちゃん、正解は私が明かすよりも、このデータを受け取ったイギリス、ドイツ、台湾、フランス、イタリアが明らかにしてくれるからね。
 ――イタリアの子は専用機こそ持ってないけど、其れでも代表候補生だからね。
 其れが危険に晒されたとなったらイタリアも黙ってないって――下手したら、アメリカに刺客送るかもだよ……ゴッドファザーの舞台になった位に、イタ
 リアのマフィアは有名だからね。
 加えて、イタリアのマフィアは可成りの武闘派で銃器も充実してるから、アメリカのギャングとか目じゃないからね~~。」

「……前から思ってた事だが、お前は味方ならば頼もしいが絶対に敵回したくない相手だな。」

「其れは最高の褒め言葉と受け取っておくよリインちゃん。」

だけど、今回はそんな束さんを敵に回した大馬鹿野郎が居るからね……キッチリと己の愚行を後悔させてやるさ。
そんな訳で、ピッポッパッとな。



『……こちらホワイトハウス。見た事のない番号だが誰かね?』

「はろはろ、マクドナルド・トラップ大統領閣下、見た目は不思議の国のアリス、中身は正義の極悪マッドサイエンティストの篠ノ之束さんだよ~~♪」

『んな、ドクター篠ノ之だと!?……何故この番号を――いや、君ならば知っていても不思議はないか。
 だが、何故私に電話を掛けて来たのかね?』




んっとね~~、大統領閣下はさっきの束さんの生放送見てた?



『あぁ、アレか……確かに見ていた。……と、同時に驚いている。
 よもやドクター篠ノ之の妹君が居るIS学園を襲撃した輩が居るとは……マッタク、何処のテロリストかは知らないが、命知らずな輩が居たモノだよ。』


「あ、閣下もそう思う?良いねぇ、話が通じる人は嫌いじゃないよ。
 だけどさぁ、その命知らずな輩ってのは、閣下の国の事なんだよねぇ……IS学園を襲ったのは、アメリカ軍の極秘部隊である『ゴースト』とか言う連中
 だった訳だからさ。」

『ゴーストだと?何だ其れは、私は知らないぞ?』



アンタが知っていようと知らなかろうと、そんな事は如何でも良いんだよ――大事なのは、アメリカ軍の極秘部隊がIS学園を襲撃して、箒ちゃん達を危
険に晒したって言う事なんだよ。
私は其れが許せないんだ……まぁ、大事な妹が危険に晒された事に怒らない姉は居ないよね?居たとしたら、そいつはもう姉でもなんでもねぇし。

兎に角、今回の事はお前等アメリカがやった事だろ?ゴーストのIS部隊の隊長だったアメリアからの証言も得ているからね。



『アメリア?……スマナイが、其れは誰かね?軍に問い合わせても、そのような者が居た記録は無いとの事だが――そうなれば、此れは只の言いが
 かりではないですかなドクター篠ノ之?』




……やっぱりそう来やがったか――まぁ、ゴーストの連中は社会的に存在を抹消された奴等だから、その素性が明らかになった所でアメリカのお偉い
さんは『知らぬ存ぜぬ』を貫く心算だったんだろうけど、甘いんだよ!!
アメリア――リアちゃんの髪の毛からのDNA採取はとっくに済んでて、其のDNAパターンをお前等が保存してるアメリカ国民全てのDNAパターンと照ら
し合わせた結果、リアちゃんと合致するパターンがあったんだよね~~。
其れってつまり、リアちゃんはアメリカ生まれのアメリカ国民って事であって、そんでもってIS学園を襲撃した奴の一人だったって事だよね?ねぇ!?
此れでも白を切る心算なのかな~~?



『知らない!私は知らないぞそんな事!!』

「ふぅん?あくまでも認めない訳だ……なら仕方ない、本当は穏便に済ませたかったんだけど、そうも行かないみたいだから束さんの最終手段である
 最悪の手札を切る事にしようかな。」

……アメリカが保有している全てのISのISコアを停止させる。
そしてその上で核ミサイル発射ボタンをハッキングして、アメリカ全土に核ミサイルを投下してやる――先の大戦で、原爆によって日本がドレだけの事
になってしまったのか、其れをその身で味わうと良いよ。



『そ、其れは止めてくれドクター篠ノ之!!我が国を核で焼くなど……』

「無慈悲に広島と長崎の人達を核で虐殺した奴が何言ってんだい――先の大戦でお前等がやった空襲や原爆投下は、民間人を攻撃してはならない
 って言う国際法をバリバリ破ってんのを忘れんなっての。
 其れとね、束さんは敵とみなした相手に容赦する心算なんて1mmたりともねーんだよブワァーカ!!」

そもそもさ、束さんの逆鱗に触れておいてタダで済むと思ってたのかな?――いや、思ってないよね?
あわよくば箒ちゃんを捕らえて、箒ちゃんを交渉と言う名の脅しの為のカードにして束さんの事を自分達の都合の良いように使おうと思っていたような
脳ミソちゃぶれてる、脳足りんにそんな事を考える事なんて出来ないだろうからね。

「とは言え、束さんはお前等みたいに無関係な人間を大量に虐殺する趣味は持ち合わせてないから、核ミサイルの投下だけは止めといてやるよ。
 流石にそんな事しちゃったら箒ちゃんが悲しむしね~~?」

『た、只の脅しか……心臓に悪い。』

「おやおや、束さんは核ミサイルの投下だけは止めてやるって言っただけだよ?其れなのに何を安心してるのかな、大統領閣下殿?」

『な、何だと?如何言う事だ?』

「核ミサイルの投下はしないけど、アメリカが保有してるISコアを停止させるのを止めるとは言ってないんだよね~~?ってかさ、お前等に絶賛激おこプ
 ンプン丸の束さんがなにもしないと思ってる訳?
 そもそもにしてさ、IS学園の襲撃もそうだけど、疑似ISコアとか作ってる時点で『ふざけんな』って感じなんだけどねぇ?しかもそのパチモンは束さんが
 作ったオリジナルのコアの半分も性能がないクセにさ~~?
 私はね、自分の大事な人達を傷つけられるのと、自分が作った物を穢されるのが誰よりも嫌いなのさ……お前等アメリカはその両方をしくさったんだ
 から相応の対応するに決まってんでしょ?」

『んな!?』



其れでも、お前が非を認めて、IS学園に謝罪を入れて賠償金を支払ったら其れで許してやる心算だったけど、如何やらそれは望めないみたいだし、最
強最悪の切り札を切らせて貰うとするよ。

「リインちゃん、やってしまいなさい。」

「言われるまでもない……ディスクイン。そして読み込んだ後に、このファイルをメールに添付して、各国の首脳陣に強制送信だ――その中身を確りと
 読み込んで、欺瞞だらけの大国に抗議と制裁をブチかましてやってくれ。」



リインちゃんGJ!
学園に代表候補生を寄越してた、イギリス、ドイツ、イタリア、台湾に今回の襲撃の詳細を記した文書データをバッチリ送信してやったぜ、ブイブイ!!
でもって、其れだけじゃなくて国連と国際IS委員会にもね!
更に、其れに付け加えて大統領閣下のスキャンダルや噂のロシア疑惑の真相なんかも纏めて色んな所に一斉送信!国内外の政治家に、スキャンダ
ルが大好物のマスコミ各社とかにね~~♪
序にSNSにも拡散させちゃお~~~!
そうだそうだ、大統領閣下だけじゃなくて、今回の襲撃作戦を考えたアメリカ軍上層部の連中のスキャンダルやら何やらもバッチリ明らかにしてやらな
いと不公平だよね~~?
其れから其れから、前のオオバマ政権の8年間以外では普通に行われてたゴーストのヤバい任務の事とかも明らかにしなきゃダメじゃん!――前の
大統領の時は、ゴーストの任務も要人警護を裏から補佐したり、テロ組織の未然壊滅とかだったのに、それ以外の政権の時は大統領が政敵と決めた
相手の暗殺、他国の兵器の破壊や強奪、大統領にとって不利益になる人物の抹殺とかヤバい事ばっかりやってたみたいだからね。



『ひ、ひぃぃ!?ななななな、何だ此れはぁぁぁ!?各国から非難と抗議のメールやらファックスやら電話が大量に!?
 ……はぁ!?ワシントン市民がホワイトハウスを取り囲んでるだとぉぉぉ!?ドクター篠ノ之、一体何をしたぁぁ!!!』


「何って、閣下が……あぁ、もう面倒だからお前で良いか。
 お前が知らぬ存ぜぬを貫こうとした事実を世界中に発信してやったんだけど?
 お前やアメリカ軍上層部の脳足りん共のスキャンダルやゴーストの任務内容、そんでもって話題のロシア疑惑の真相なんかをね。
 いっや~~、これから大変なんじゃないの?世界中のマスコミにも送ってやったから暫くは寝る時間も削ってマスコミの取材を受ける事になると思う
 よ~~?人気者は辛いね~~。
 まぁ、お前が幾ら言葉を並べたところでだ~れも信じないんじゃないの?裏であれだけの事やってた奴の言う事を信じろとかマジ無理だし。如何考え
 ても弾劾まっしぐら間違いなしって奴~~?」

『止めろ!今すぐ此れはちょっとした悪戯で真実ではないと、そう世界に言ってくれ!貴女の要求には真摯に対応するから!!』



アハハ、今更何言ってんの?既に遅いんだよ馬鹿。
事が起きてから慌てても無駄。時すでに遅し、後悔先に立たず、覆水盆に返らずってね。私が事を起こす前に認めとけばよかったのに、馬鹿なモンだ
よマッタク。
其れからISコアは……停止して腐らせるのも勿体ないから、アメリカ保有のIS全機ハッキングして束さんに返して貰うからその心算でよろしこ~~。
序に言うと、束さんは近々コアの量産と、男性用ISを開発をする心算なんだけど、量産したコアと男性用ISは1つたりともアメリカにやる気はないから其
の心算で~~!
あと、株価も大幅に下落させて、1ドル10円台の超超円高にしてやったから!アメリカの品は日本で安く買いたたかれ、日本の品はアメリカが高値で
買うしかなくなったってね!
経済でも地の果てに落ちちまえってんだ!!



『ドクター篠ノ之、君はアメリカの国民を殺す心算か!!』

「は?何言ってんのお前?確かにアメリカは大混乱に陥るだろうし経済も大打撃を受けるだろうけどさ、其れでくたばるアメリカンじゃないよね?
 普通にスラム街みたいな場所でも生きてる人達が居るんだから、どんな逆境でもアメリカ国民は生きてけるでしょ?――其れこそ、お前みたいな人
 間のクズがどうなったかなんて一切関係なしにね。」

だけどまぁ、其れもまた如何でも良い事だよ。
私の目的は只一つ、箒ちゃん達を危険な目に遭わせたクソッタレ共に然るべき制裁を下してやる事だった訳で、其れは確りと果たす事が出来たから。
だから、もうお前と話す事はないんだよ大統領閣下……精々弾劾されて、牢屋行きになっとけこのクズ。今回の襲撃を企てた軍の上層部のクソッタレ
共と一緒にね!!
グッバイ、アディオス、さよ~なら~~!!!



――ピッ!



スマホの向こうで何か喚いてたみたいだけど、もう束さんの知ったこっちゃない……箒ちゃん達に手を出したらどうなるのか、死ぬほど後悔しやがれっ
てんだ。
今まで世界のリーダー気取って好き勝手やって来たんだ、今度は底辺に落ちてその苦労を味わうんだね。



「容赦がないな束?」

「流石にやり過ぎちゃったかなリインちゃん?」

「いや、私はやり過ぎたとは思ってないよ。
 先刻の襲撃、夏姫達が居なかったらきっと学園側に……生徒達に被害が出ていた。最悪の場合は死者が出てもおかしくなかっただろう――如何に
 織斑千冬がオーバースペックの超人であろうとも、数が相手では如何にも出来ない事があるからね。
 その可能性を考えた場合、此れでやり過ぎと言う事は無いと思う……寧ろ、核ミサイル投下でアメリカ焼滅とならなかっただけ良かったと思うべきだ
 とすら私は考えているよ。」

「実を言うと、人工衛星ハッキングして、そんでもってちょちょいとオンライン改造でビーム兵器搭載して、宇宙からアメリカにSLBをプレゼントしようかな
 って事も考えてたりしたんだけどね?」

「其れは駄目だ!地球に向けてのSLBダメ絶対!地球を砕く心算かお前は!!」

「非殺傷なら大丈夫じゃね?」

「非殺傷でもピンクの元気玉は厳禁!良いね!?」

「ちぇ、つまんねーの。」

「楽しいとかつまらないとか、そう言うレベルの問題じゃないからな?下手したら地球そのものが無くなりかねない問題だから、其処をよく認識してくれ
 束――地球が無くなってしまったら、人類を宇宙にと言うお前の夢も潰えてしまうのだからな。」

「おぉっと、その通りだったね。」

少しばかり頭に血が上って冷静さを欠いちゃってたよ、失敗失敗――束さんの夢は、ISで人が宇宙に進出する事なんだから、地球其の物がなくなっち
ゃったら本末転倒だもんね。

時にリインちゃん、束さんが出した問題の解答って来てる?



「メール受信ソフトがパンクしそうなくらい来ているよ……まさか、これ程の反響あるとはな――あ、未読メールが5万件超えた。いや、7万を超えた。」

「うっそーん?」

「マジだ。」



あはは……意外と皆興味があったんだね――で、犯人は何処が一番多いのリインちゃん?やっぱりアメリカだったりする?



「お前が開発した高性能コンピューターを使って処理してるが、其れでも次から次へとメールが来て大変なんだが……今解析が完了しているメールで
 は、ダントツで中国が多いな。
 次いでアメリカ、ロシアと続くんだが、中国の得票率は今現在75%だ。」

「うっわー、信頼ねーなレッドチャイナ!!」

まぁ、『嘘も100回言えば真実になる』とか教育する国だし、現行犯で逮捕されても『やってません』とか言う奴等だから信頼しろとかそもそも無理な話
だとは思うけどさ……そんな国の国民でありながら、鈴ちゃんはなんであんなに素直でいい子なのか――八重歯を見せた屈託のない笑顔とかマジで
箒ちゃんにも負けない位に可愛いしね!!
あんな良い子が将来的には束さんの義妹ちゃんに……グヘへへへ、堪りませんなぁ?



「……もしもし、病院ですか?救急車を1台お願いします。可成り精神が逝っちゃってる患者が約1名……」

「リインちゃん、少し調子こいたのは謝るから其れは止めて!!束さんは精神病じゃないから!中二病をこじらせてる訳じゃないからね!!」

「そう思うなら、そのウサミミエプロンドレスを先ずは何とかしろ!異世界に行った時みたいにスーツに白衣で居れば良いだろうが!!」

「おぉ、その手が有ったか!気付かなかったよ!!」

「お前、天才だけど馬鹿だろ!?」



ハッハッハ、天才と馬鹿は紙一重なのさリインちゃん――いや、馬鹿を極めたのが天才なのかも知れないよ。
歴史を紐解いてみても、天才と言われてる人達は、何処かに問題があって、ある意味では馬鹿の極みだった訳だからね――そう言う意味では、世界
に激震を走らせるのは何時の時代だって馬鹿だったって事かもよ。
今の世界だって、束さんって言う宇宙進出を夢見た馬鹿が作っちゃった世界だからね。――尤も、私とちーちゃんに白騎士事件を起こさせた犯人には
殺意マックスだけどさ……今すぐ瞬獄殺って気分だし。
ま、其れは何れやってやるけどね――取り敢えず今は、IS学園を襲撃した馬鹿共に制裁で来た事を喜ぼうってね。



「ならば祝杯を挙げるか?上物のスコッチとスモークサーモンならあるぞ?」

「OK、リインちゃんGJ!!」

で、この後リインちゃんと祝杯を挙げましたとさ。
だけどまぁ、今回の事で世界は改めて理解しただろうね……私を、世紀の正義の極悪マッドサイエンティスト篠ノ之束を敵に回したら如何言う事になる
のかを。
束さんは敵とみなした相手には容赦しねーから……其れを、努々忘れない事だね。








――――――








Side:イルジオン


戻ったぞ教授。取り敢えずIS部隊の半数――25人を拉致って来た。捕獲する際に電撃喰らわして気絶させたが、それ以外には何もしていないから状
態は悪くないと思うぞ。



「おぉ、此れだけあれば充分だよイルジオン……此れだけの個体があれば、我々の戦力不足も解消できるからね。ホントにいい仕事をしてくれたよ。」

「其れは別に良いが、そいつ等を如何する心算なんだ教授?」

そいつ等はヤバい薬物なんかを投与されて、並の人間とは比べ物にならない力を得ているが、其れでもオリジナルや織斑計画で生まれた者には遠く
及ばないのは確実だ。
正直な事を言わせて貰うのならば、戦力としては期待出来ないと思うぞ?



「うむ、確かに此のままでは戦力にはならないだろうが、私を誰だと思っているんだいイルジオン?
 京都での戦いでは負けたが、私は一秋君と散君を取り敢えず戦えるレベルまで強化し、そして今も更なる強化の真最中なのだよ?――彼等とは違
 って、元の強さがある者を強化すれば、充分な戦力になり得るだろう。
 尤も、改造された者達に自我が残っているかどうかは分からないがね。」

「……そう言う事か。」

マッタク、相変わらず考えている事が外道過ぎて笑う事すら出来ん……コイツには本当に人間としての心があるのか、疑いたくなってくる――私とオリ
ジナルを生み出した連中も大概だと思うが、教授はそれ以上だからね。
正直、教授の事は好きではないが、一応は私を拾ってくれた恩人だから、最低限の恩は返してやるが、私の目的はあくまでもオリジナルの抹殺と言う
事を忘れるなよ教授?
其れを邪魔立てするのならば、お前であっても殺す。其れを覚えておけ。



「此れは、怖い怖い……肝に銘じておこうイルジオン。――まぁ、君は精々妹殺しに精を出してくれたまえ!それが君の役目なのだからね!!!」

「貴様に言われなくともその心算だ。」

蓮杖夏姫、私のオリジナルにして、私の居場所を奪った相手……私は必ずお前を殺す!お前を殺して、私は本当の私になる!!
永遠の自由を落とすのは、自由なる虐殺だ……必ず殺してやるぞオリジナル……必ずだ!!――妹殺しも上等だ、私はその為だけに今まで生きて
来たのだからな!!

その命は必ず貰い受けるぞオリジナル……蓮杖夏姫――たった一人の妹よ。








――――――








Side:夏姫


お風呂タイムが終わって、アタシは只今刀奈と一緒にベッドの中……まぁ、分かり易く言うのなら事後で、刀奈はアタシの左腕を腕枕にしている所だ。
まぁ、その左腕で刀奈を抱き寄せてるアタシもアタシだがな。

で、アタシは自由が利く右手でスマホを操作してる訳なんだが……此れはまた、盛大にやらかしてくれたな束さん?



「夏姫、何かあったの?」

「あぁ、あったよ最高に愉快にしてクレイジーな事がな。
 ……束さんがアメリカを事実上崩壊させたらしい――今回の襲撃の彼是や、大統領および軍上層部のスキャンダルが世界中に拡散されて凄い事に
 なってるだけじゃなく、アメリカ保有のISが一斉に勝手に動き出して何処かへ飛び去ったんだと……行き先は束さんの移動式ラボだろうな。
 ISRIの本社に行ったら、アメリカに付け入る隙を与える事になるだろうからね。」

「それは、大分ぶっちゃけたわねぇ束博士……此れ、完全にアメリカ終了のお知らせじゃない?」

「少なくとも、今のアメリカ合衆国は終わったと見て間違いないだろうね。」

此れだけのスキャンダルや何やらが世界中にばら撒かれたとなっては大統領の弾劾は避けられないし、そもそもアメリカ国民が今の大統領に『No』を
突き付けるだろうからね。
現大統領の弾劾によって、新たな大統領が誕生するだろうが、アメリカの失墜は最早止めようがない――まぁ、此れも自業自得故、同情する気はマッ
タク無いけれどな。

……そう考えてしまうアタシは、冷酷な人間なのかな?



「そんな事はないわよ夏姫――自業自得で自爆した奴の事を心配するのは、お人好しを通り越した只のお馬鹿さんよ。
 人の心配をする事自体は悪い事ではないけど、自業自得の馬鹿には慈悲も同情もありはしないでしょ?――そんな奴の事を気にするのは、其れこ
 そ時間の無駄でしょうに。」

「刀奈……そうだな、その通りだ。」

「でしょ?……其れに、その馬鹿共がトチ狂って何かしたとしても、私と夏姫なら負けないでしょ?……私達なら、何があっても負けないと思うから。」

「……あぁ、その通りだな。」

アタシ達ならば誰が相手であっても負ける事はない……至言だな。――刀奈の言うように、アタシ達ならば誰にも負けないさ。
其れを再認識させてくれてありがとう刀奈……お前は本当に最高のアタシのパートナーだよ。



「ふふ、其れは私もよ夏姫……貴女と結ばれてよかった――うん、愛してるって言うのかな?」

「あぁ、其れだ。私も同じ気持ちだよ刀奈。」

その後は……まぁ、察してくれ。
取り敢えず、今回のIS学園襲撃事件は此れで終わった訳だが、此れだけの事が行き成り起こった事でアタシも刀奈もすっかり失念していたよ――来
週から、タイ、オランダ、カナダ、ギリシャ、ロシア、ブラジルの代表候補生がIS学園に編入して来ると言う事をな。
此れは、また一悶着ありそうな気がしてならないが、其れを楽しみだと思ってるアタシが居るのもまた事実か……如何にも、愉快な事になりそうだね。












 To Be Continued… 





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