Side:夏姫


無謀にも一夏を襲撃した馬鹿をKOした後、刀奈達も合流し襲撃犯を拘束。……何時ものメンツだけでなくフォルテも一緒に来たか。
其れも只拘束するだけじゃなく、暴れられないように肩関節と股関節を外した上でロープで拘束したんだが……敢えて突っ込ませて貰うぞ楯無。
なんだって亀甲縛りで拘束した?いや、こっちの方が屈辱的だと言うのは分かるが、普通に縛るよりも手間がかかるだろう?



「更識流の拷問術の一つよ此れは。
 相手に苦痛と恥辱を同時に与える事で自白を引き出すモノなのよ……其れとも、此れの上位拘束術である『開脚背面合掌縛り』の方が効果抜群
 だったかしら?」

「いや、其れは別の意味で色々とヤバいから、こっちで良い。」

まぁ、何にしても四肢の関節を外された上に、完全に拘束されてしまった以上、お前に出来る事は何もない――故に、知って居る事を洗いざらい吐
いた方が身の為だぞ?



「……」

「……黙して語らずは賢いかも知れんが、黙秘権なんてモノは無いから、語らずと言うのならば力尽くで聞き出す事になるぞ?
 此処が日本本土か、アメリカや欧州各国なら黙秘権も認められるだろうが、IS学園はあらゆる国の法の外にある治外法権の極みと言っても良い
 場所だから、一般的な法は効力がない。
 もう一度だけ言うが、貴様の黙秘権など存在しない……アタシ達だって最終手段を使いたくはないんだ。諦めて素直に話せ。」

「夏姫の言う通り、素直に言った方が良いわよ?……此処で強情を張ったところで、貴女に良い事は何もないんだから。」

――【自白希望】



刀奈の扇子に現れた文字には全力で同意だ……お前が自白してくれれば、其れだけ手間も省けるからな。
此処で大人しく自白するか、其れとも力尽くで吐かされるか……さぁ、お前は何方を選ぶ?アタシとしては、前者を選んで欲しい所なんだけれど?



「四肢を外され、更にロープで縛られて充分拷問だと思うんだが?」

「あらあら、更識流拷問術に於いて、その程度はまだまだ序の口……相手に口を割らせる為の手段としては拷問とも呼べない軽いモノだから拷問
 じゃないわよ?
 更識流拷問術の本領は、相手を殺さずに苦痛を与えるモノだから……フフ、最後には相手の方が『話すから、もう殺してくれ』っていう位だから。」

「其れはまた、何とも恐ろしい事この上ないな。」

多少の誇張はあるだろうが、暗部の拷問術ともなれば、その辺のマフィアや暴力団の行う『死んでも構わない』的な拷問とは違うだろうから、相当
厳しいモノになるだろうな。
何にしても、黙していた所で得は無い……大人しく話す方が良いと思うぞ?一夏の抹殺と、ストライクの強奪に失敗した時点で、お前は女権団から
斬り捨てられただろうからね。










Infinite Breakers Break61
急転直下の急展開――だがマジだ』










「女権団が、私を斬り捨てた、だと?」

「……驚く程の事でもないだろう?と言うか当然の事だ。」

お前は与えられた任務を失敗したのだから、女権団からしたら用済みも良い所だ――一夏の抹殺とストライクの強奪、何方かだけでも成功したの
ならば未だしも、何方も成し遂げる事が出来なかったばかりか、こうして返り討ちにあって捕縛されているんだからな。
此れではお前は女権団に帰る事も出来んからな……何時まで経っても戻って来なければ、女権団の連中がドレだけ阿呆でもお前が任務に失敗し
た事を悟るだろう。
そうなれば、任務に失敗したお前は連中にとっては不必要な存在だから助ける事はない……任務に失敗した能無しを、女権団の様な集団が救出
するとは思えん――連中にとって必要なのは『優秀な女性』らしいからね。



「そんな事は……!!」

「無い、と言い切れるか?
 女権団は、元々は女性の社会的立場向上を目的に作られた団体だったが、ISが登場してからはISが女性にしか扱えない事を理由に、女性を優
 秀種、男性を劣等種と見て、男性排斥を掲げるイカレタ集団になり果てている――酷いのになると、男性と交際している女性すらも敵視しているら
 しいじゃないか。
 挙げ句の果てには、女権団に所属している自分達を優秀だと思い込み、優秀でないものは女性であっても卑下する一種のカルト集団と化した連
 中にとって、任務に失敗した輩など居ない方がマシだろうからね。」

そもそもにして、この手の任務を失敗した奴を助けに来る事など滅多にないモノだ――否、助けるどころか情報の漏洩を恐れて、任務に失敗した時
点で消される可能性の方が高い。
そう言う意味では、お前は消されなかっただけまだ運が良いのかも知れないな……お前にとってはバッドエンドかデッドエンドの違いでしかないだ
ろうけれどね。
或いは、最初から捨て駒として考えられていた可能性もあるが、学園への潜入方法は兎も角、欠陥品のリムーバーを持たされてた辺り、案外その
可能性は否定できないかも知れないわね。



「だが夏姫よ、だとしたら、連中は何故そんな事をしたのだ?」

「……IS学園の、と言うよりは一夏の実力を図るためかも知れないな。」

「俺の実力を?でも、何のために……」



男性のIS操縦者など、女権団の連中からしたら目障りで邪魔な事この上ない存在だから、何れ抹殺する心算だったのだろうが、相手の実力がドレ
程か分からない状態で仕掛けるのはリスクがあると考えたんじゃないか?
だから、まずはコイツを仕掛けて小手調べ……コイツを返り討ちに出来るようならそれなりの実力があると推測できるし、仮にコイツがお前を始末
してしまったら、それはそれで結果オーライと言う事になるからね。
何にせよ、このままでは埒が明かん……さて、どうやって口を割らせたものか……



「何事が起きたかと思えば女権団の回し者が居たのか……マッタク持って迷惑な連中が紛れ込んでくれたモノだ。」

「えぇ、マッタクね千冬……折角の打ち上げが台無しだわ。」



千冬さんとスコールさんも来たのか。……って、さっきまで結構いい感じに出来上がってたのに、なんか素面に戻ってるような気がするんだけど。
まさか、驚異的なアルコール分解能力の持ち主だったとか言わないよな?



「仕事モードに入れば酔いなど普通に醒める。
 ましてや今回の事は、学園の生徒が外部の人間から襲撃されたと言う、余りにも大き過ぎる事態だから、酒に酔ってなどいられんさ――尤も、宴
 に水を注してくれたコイツには、少々O・HA・NA・SHIが必要かも知れんがな。」

「千冬さん、そのセリフはどっちかと言うと束さんが言った方が良いセリフだと思う。」

「……確かにそちらの方がしっくりくるな?ふむ、となると束専用ISは、レイジングハートと言う事になるのか?」

「可成り使い古されてるネタだとは思うけれど、多分そうなるんだと思う……ワン・オフ・アビリティーはSLBで。うん、其れはとっても怖すぎるな。
 と言うか、今更かもしれませんけど、今は織斑先生と呼んだ方が良いのでしょうか?」

「いや、プライベートの方で構わん。
 仕事モードとは言ったが、コイツに対してIS学園の教師として接する心算は全くないのでな……戸籍上の姉弟でなくなったとは言え、血の繋がっ
 た弟を害されて黙ってられる程、私は出来た人間ではないからな。
 正直な事を言うのならば、今すぐコイツを竹刀でぶっ飛ばしてやりたいところだ。」

「千冬さんがそれをやったら、確実にコイツは絶命すると思う……」

「そうか?コブくらいは出来ると思うが、死には至らないと思うぞ流石に。」

「……出席簿が凶器になる人が使う竹刀は、既に殺傷能力のある武器だと思う。」

其れは其れとして、教師としてではなく一夏の姉として対応すると言う事か。
嘗ての姉と今の姉……如何やら、お前は一夏の姉2人の怒りに触れたらしい――否、姉貴分であるダリルやオータムさんの事も考えると4人?
アタシの恋人である刀奈も一夏の姉と言えるから5人か?……何にしても、お前は戦闘力的にはこの世界で10本の指に入る相手を敵に回したと
いう訳だ。
このまま何も話さなければ、更識流拷問術+αがお前に行われる事になるのは確実だ――それでもまだ、黙して語らずを貫くか?



「……ガキ共だけなら未だしも、千冬様が出て来たのならお手上げか。
 分かった、話させて貰う――だけど、私が知ってる事は決して多くない……私だって、『IS学園の学園祭に潜入し、蓮杖一夏を抹殺するか、ストラ
 イクを強奪してこい。またはその両方を成せ』としか言われてねぇんだよ。
 リムーバーも、その時に渡されたモンだ……ガキを殺すか、専用機を奪うかって言う楽な任務だと思ってたのに、こんな事になるとはお笑いだ。」



漸く口を割ったか……だが、其れはまた何ともお粗末な命令だな?
一応、学園祭に参加する為の裏工作はしていたみたいだが、任務の目的が何であるのかを知らせてないと言うのは、お粗末にも程があると思うぞ
アタシは――女権団は、何時もこんな感じのお粗末な計画で行動しているのか?



「知らん。
 だけど、女権団の上には更なる力を持った組織が存在しているのは間違いねぇな――女権団のトップが、『教授』と呼ばれる人間と電話でやり取
 りしてるのを何度か見た事があるけれど、『教授』の言う事には絶対的に従っていたみてぇだからな。」

「女権団の更に上の組織、だと?」

「そいつ等は、一体何者なんだ?……俺を殺すようにアンタ達を焚きつけたのは、一体誰だ!!!」



一夏……まぁ、その怒りは当然だな。
至極身勝手な理由で殺されかけただけじゃなく、相棒であるストライクまで奪われかけたのだからな……女権団の上位組織が何者なのか、アタシ
も知りたいわ。
弟を殺されかけて、黙ってる事は出来ないからな。



「その組織についてはマッタク持って知らん。と言うか、女権団でもその組織について知っているのは上級幹部だけだからな。
 私の様な下の連中は、その組織の名前も分からないしな――ただ、連中が居るからこそ女権団は存在する事が出来るのだと言っておくがな!
 ……私が語る事が出来るのは、此処までだから、後は自力で調べやがれ!!」

「これ以上知っている事は無いか……なら、もう用はない。」

「此処で大人しく眠ってな!!」



――ガスゥゥゥゥゥゥゥ!!!



「べぎゃばぁぁぁぁぁ!!」



これ以上の情報を持ってないのならば用はないので、アタシのシャイニングウィザードと、一夏のシャイニングケンカキックを同時に叩き込む、姉弟
合体ツープラトン『シャイニングサンドウィッチ』で撃滅だ。……前歯が数本吹っ飛んだみたいだな。
だが、向こうの方から仕掛けて来たと言うのなら、女権団を攻撃する正当な理由が出来たと考えても良いよな千冬さん?



「あぁ、叩き潰しても問題は無いが……IS学園としては、精々抗議文を送る事しか出来ないぞ?――如何に、あらゆる国家の法の外にある学園と
 は言え、直接的な武力行使は出来ないからな。
 学園長も、女権団を攻撃する事は是としない筈だ。」

「まぁ、当然そうなるわよね……なら、この件は亡国企業が対処させて貰うわ。」



学園としては出来る事に限界があると言うなら、それ以上の力をもってしてと来たかスコールさん……確かに、学園としては対処出来ないかもしれ
ないけれど、亡国企業が対処するのならマッタク持って問題はないからね。
寧ろ、今回の案件は亡国企業が対処すべき事だと言えるしな。



「亡国企業、だと?お前がそうだと言うのかスコール?――いや、其れだけでなく夏姫達も……!!」

「あぁ、アタシ達はISRIの企業代表であると同時に亡国企業のエージェントでもある――と言うか、ISRI製の機体を使っている連中は、ISRIに属する
 と同時に亡国企業にも属しているんだよ。
 アタシと一夏と鈴とマリア、静寐と清香と癒子に箒、楯無と簪も亡国企業所属と言う事になるな。――序に言っておくと、スコールさんは亡国企業
 の大幹部だ。」

「大幹部、だと?」

「あらあら、驚いたかしら?」

「正直な事を言えばな……まさか、実態はつかめなくとも、世界的に有名な亡国企業、『ファントム・タスク』のエージェントが此れ程までに学園に居
 たとは思わなかったからな。
 だが、亡国企業として対処すると言う事は……そう言う事なんだな?」



予想の通りだよ千冬さん……亡国企業は女権団を徹底的に叩き潰す――二度と再起出来ないようにな。
そもそもにして、一夏を殺そうとした時点でアタシ的には女権団は滅殺以外の選択肢はあり得ん……大事な弟を殺そうとした等と言うのは、絶対に
看過出来る事ではないからな。
亡国企業としても、経営するISRIの専属パイロットが襲われたと言う事で、女権団に報復する理由は充分だしね。



「そのとーり!ストライクを強奪するだけじゃなく、いっ君の事を殺そうとした連中なんかに容赦はしない!全力全壊でぶちのめすだけっしょ!!
 とりあえずいっ君ストライク貸して!リムーバーに対しての防御プログラムを全員分構築する為の参考データが必要だから――あぁ、心配しなくて
 も明日の朝には全員分+学園のIS分だけ用意できるから!!」

「って、何所から湧いた束!!」

「姉さん、イキナリ現れないで下さい……さすがに驚きますから。」

「ハッハッハ、其れは出来ない相談だよちーちゃん、箒ちゃん!
 いっ君のストライクがいっ君の元から離れた反応があったから、全速力で来て、来る間に何があったのか調べてみたら、そこで伸びてるズベ公が
 上等かましてくれたみたいだからねぇ?
 それをやった馬鹿共を叩きのめすために、こうしてやってきたと言う訳なのだよ!!」



束さん、相変わらずぶっ飛んだ人だな貴女は。
だが、貴女が来てくれたと言うのは心強いと言うのが正直な所だ――リムーバー対策やら女権団の本拠地の割り出しやらと、やらねばならない事
が結構あったからね。
束さんの事だ、女権団の本拠地だって既に調べが付いているんだろう?



「モチのロンだよなっちゃん!女権団の本拠地は東京の一等地にある高層ビルさ!!
 表向きは女性用の衣服や何やらを扱う会社って事になってるけど、その実態は男性排斥を掲げた狂人の集団ってね……まぁ、束さんが開発した
 ISがこういう連中を増長させる事になったのかも知れないけど、其れでも女権団は少々調子に乗り過ぎた――ここらで叩き潰しておく以外の選択
 肢は存在しないのだよ!」

「その意見には、諸手を挙げて同意するよ束さん。
 女権団の様な女尊男卑の集団は、この世から滅ぶべきだと思うからね。」

何にしても、女権団は撃滅一択だから良いんだが……其れとは別に、お前をどうしたモノだろうなマドカ?
千冬さんそっくりの容姿に、『織斑』の名を関していると言うのはただの偶然とは思えないし、一夏の事を『兄さん』と呼ぶ理由も分からないからな?



「そう言えば、この子は一体何者なんだ?……10年ほど前の私に似ているが……」

「ククク、似ているに決まっているだろう姉さん。……姉さん?姉さんと呼べる相手が複数いるから、呼び分けないと分かり辛いな……ちー姉さんと
 呼ばせて貰っても良いだろうか?」

「……すまん、予想外の呼び方に油断してたところにボディブローを喰らった気分だ。」

「千冬さん……心中察します。
 だが千冬さんがちー姉さんだと、アタシはどうなる?」

「夏姉さんかな?」

「となるとアタシは?」

「鈴姉さんだな。」

「そうなると私は……」

「箒姉さんだな普通に。」



姉が多いな……ではなく、本気でお前は何者なんだ?――まさかとは思うが、失踪した一夏と千冬さんの両親の隠し子だったとかじゃないよな?



「フム、当たらずとも遠からずかな?
 ちー姉さん、夏兄さん……私は貴方達の妹にあたる存在だ――尤もそれは、遺伝子上での事になるけれどな。」



当たらずとも遠からずって……それ以上に、遺伝子上の事と言うのはどういう事だ?
遺伝子の上では間違いなく一夏と千冬さんの妹だがそれ以外の事はそうではないと言う事なのだろうか……何やら、きな臭い感じがして来たわ。



「私は、最強の戦闘力を持った人間を作り出すと言う狂った計画、『織斑計画』によって生み出された、ちー姉さんのスペアだ。」



そして、その予感は的中したか……まさか、千冬さんのスペア――クローンだったとは驚いたよ。
だが、それ以上に『織斑計画』とは一体?……どう考えても禄でもない計画であるのは間違いないが、その計画の中で生まれたのがお前だと言う
のならば無視する事は出来ないからね。
何よりも千冬さんと、蓮杖となる前の一夏の姓である『織斑』の名を関した計画と言うのは気にするなと言うのが無理な話だからな……マドカ、お前
の知っている事を話してくれるか?



「勿論だよ夏姉さん、元よりその心算で此処に来ていた訳だからね。
 だが、これから話す事はかなりショッキングな内容だから覚悟しておいてくれ――可成り胸糞の悪くなる内容も多分にあるから……興味本位で聞
 こうと思ってる連中は、即刻此処から去る事をお勧めする。
 私の誕生にも関わってくる事だが、織斑計画は、本気で狂っているとしか思えないモノだからな。」



マドカはそう言ったが、だからと言ってこの場を離れる奴は一人もいないみたいだね……どんな衝撃的内容であっても、受け止める覚悟があるって
事だろうね。
だから遠慮はいらないから、話してくれマドカ――お前の知っている『織斑計画』とやらのを全て。



「……了解だ。それじゃあ話すぞ――」



こうして、マドカの口から織斑計画とやらの詳細が語られる事になったのだが……その内容に、アタシ達は揃いも揃って驚愕するとは思っていなか
ったわ。
まさか、ここまで狂った計画があったとは、想像もしていなかったからね……








――――――








Side:イルジオン


女権団のヒットマンは、『予定通り』失敗したみたいだな……まぁ、あの程度の腕前では蓮杖一夏に勝つ事は出来ないと分かっていたが、リムーバ
ーの使用にまで踏み切ってくれるとは有り難い事この上なかったな。
何にしても巧く行ったのは間違いない――此れで、IS学園と言うか、ISRIが女権団を攻撃する正当な理由が出来たからな。
同時にそれは、私達が女権団を潰すための行動を起こす事が出来ると言う事だ……女権団は、そろそろ不必要だと思っていたからな――正に渡
りに船と言ったところだ。
教授、女権団は完全に壊滅させてしまって構わないのだろう?……組織だけでなく、構成員も全て抹殺してしまって良いんだよね?



「あぁ、マッタク持って問題はない……二度と再起出来ないように壊してくれたまえ。
 彼女達は、中々に使える駒ではあったけれど、駒はあくまでも駒でしかないから、使った後はきっちり処分しなくてはだ……君も其れには賛同して
 くれるだろうイルジオン?」

「まぁ貴方の言っている事は間違いではない、其れだけは言っておくよ。」

女権団はあくまでも私達の駒に過ぎないから、役目を終えた駒は処分一択だからな……まぁ、連中は増長し過ぎていたから、何れ完全に滅する心
算だったけれどな。
其れが、少しだけ早くなっただけの事だから、特に思うところもないさ。



「マッタクだね。
 あぁ、だがイルジオン、君の判断で構わないのだが、そこそこ腕の立つ人間が居たら連れて来て貰っても良いかな?……記憶と感情を奪った上
 で強化を施したらどうなるのか実験をしたいのでね。」

「……本当に、悪趣味だな教授は――私の判断でいいのならば、そうしよう。」

女尊男卑の阿呆共の集団に、教授の眼鏡に適う奴が居るとは思えないけれどね……居たら居たで驚きだけれど。
出るのは、私と……人形数人とザクとグフを5機ずつ連れて行けば十分か。
そう言う訳だから一秋と散、お前達は今回はお留守番だ。



「はぁ?なんでだよ!!俺は、もう十分戦えるぞ!!」

「そうだ!私も一秋も戦闘力は前とは比べ物にならないレベルに達しているんだ――誰が相手であっても負ける気はマッタクしない!!!」

「そうかも知れんが、今回の一番の任務は女権団の壊滅だ。」

お前達ならば出来るかも知れないが、今回の相手はあくまでも女権団だから蓮杖一夏や篠ノ之箒は討伐対象外であり、其れを殺したとなれば、色
々と面倒な事になる――特に蓮杖一夏は、今や表向きには世界で唯一の男性操縦者なのだからね。
お前達が戦う舞台は、近い内に用意してやるから、今回は我慢してくれ――お前達とて、連中とは完全決着を望んでいるのだから、乱戦のゴタゴタ
の中で、偶発的に倒してしまったと言うのでは満足出来ないだろう?
お前達が望む決着をつけるためにも、今回は大人しく留守番をしていてくれないか?



「言われてみれば……確かにその通りだぜ――一夏の野郎をぶっ殺すには、相応のステージがあって然りだからな!!」

「箒を殺すのならば、確かに相応の舞台があればだ……女権団との戦いに乗じてでは、私は満足できない――箒の事は、この手で倒し、其の上
 で惨たらしく殺してやらねば意味はない。
 良いだろう、今回だけは我慢してやる。」

「聞き分けが良くて助かるよ。」

ヤレヤレ、一秋と散は私が思っていた以上に壊れているみたいだな……嘗ての弟や姉を簡単に『殺す』と言うなど、真面な人間では言う事は出来
ないだろうからね。
まぁ、こいつ等が壊れているかどうかはさほど問題ではない……私達にとって都合よく動いてくれる駒であるかどうかが重要な事なのでね。
――一秋と散はそこそこ使えるみたいだから、精々利用させて貰うさ……教授も、そう考えてコイツ等を取り込んだんだろうからな。


だが、それ以上に、私を見たらどんな反応をするのかが楽しみで仕方ないなオリジナルよ……自分が何者であるかも知らずに生きてきたのだろう
が、ここいらで己が何者であるかを知ってもいいんじゃないかと思うからな。


お前は私で、私はお前だ蓮杖夏姫……其れを知ったとき、果たしてお前はどんな顔を見せてくれるのか――ククク、楽しみだ。
其れでは、行くとするか。

「初陣だ……思い切り暴れるぞ、ジェノサイドフリーダム……!!」

オリジナルとの邂逅とは別に、女権団を滅するのも忘れてはならないからな――ISの登場で増長した女尊男卑の集団には消えて貰うとしようか?
この世界に、貴様らの様なカルト集団とも言える連中は必要ないのでね……そろそろ、表舞台から退場してもらうぞ。
貴様らは、もう用済みだからな――精々足搔くだけ足搔けば良いさ……其れもまた、無駄な足搔きに終わるのだからな。――無様に足搔いて散る
のが貴様らにはお似合いだぞ女権団。
足搔くだけ足搔いて、踊り疲れて死ぬがいいさ……其れこそが、貴様等女権団に最も相応しい終焉の姿だからな――そのまま朽ち果てるが良い。
フフ、後の世に今日は祝日になっているかもしれないな……『女権団崩壊の日』と言う感じでな――では、それを現実にするとしようか?
貴様等は完全に滅する……覚悟は良いな女権団――これまで、散々いい思いをして来たんだ、その代償を纏めて払ってもらうからその心算でいる
んだな。
オリジナル達が仕掛けると同時に、私達も仕掛ける……その時が、女権団終焉の時さ――









 To Be Continued… 





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