Side:一夏


やっと、漸くこの時が訪れたぜ……テメェ等をぶちのめす機会がな!!
一秋、散……テメェ等、覚悟は出来てるんだろうな?――鈴にアレだけの事をしてくれたんだ、骨の一本や二本で済むと思うなよ……二度とふざけ
た事が出来ない様に叩き潰してやるぜ!!



「吼えるね……まぁ、弱者の言う事なんて何て事は無いさ……勝つのは俺なんだからね。」

「ハハハ!お前達は私と一秋に負けるのだ……無様に散るが良い。」



はぁ……如何やらコイツ等は実力差を見抜く事も出来ないみたいだ……分かっちゃ居たが三流との戦いかよ――マッタク持ってつまらない戦いに
なりそうだなラウラ?
下手すりゃ秒殺じゃねぇか此れ?



「うむ、その意見には同感だ蓮杖一夏。
 織斑先生の弟と篠ノ之束博士の妹ではあるが、コイツ等は所詮クズに過ぎん……圧倒的な力の差を見せての完全勝利と行こうではないか?
 ――恐らく、大勢の観客が其れを望んでるだろうからな。」

「まぁ、コイツの悪評は学園中に知れ渡ってるからな……まぁ、ぶっ倒す事に変わりはねぇけどよ。」

さて、来いよ天才君……返り討ちにしてやるからよ!



「調子に乗るなよ蓮杖ーーー!!」

「『さん』をつけろよ、このクズ野郎!!」

テメェ等は絶対にやっちゃならねぇ事をしやがったんだ……その罪は、俺が裁いてやる!――テメェ等が鈴にした事を、100倍にして返してやるか
ら、精々お祈りでもしてろ!!
二度とこんなふざけた事をしない様にするために、徹底的にぶちのめさせて貰う……大切な人を傷つけられた奴の怒り、其の身で味わいな!










Infinite Breakers Break33
『馬鹿と阿呆の公開処刑である』










Side:夏姫


スコールさんに言われて、アタシと楯無は学園に戻って来て学園長に簡単な報告をした後にアリーナに来た訳なんだが、如何やらタイミングはバッ
チリだったみたいだ。
試合が始まるのは此れからのようだからね。



「夏姫、其れに楯姐さん、戻って来てたの?」

「あぁ、今し方だがな。」

「でもベストタイミングで戻って来たと思うわ――此れから一夏君の試合が始まる訳だしね……まぁ、試合前から勝負は見えているけれど。」

「ハハ、事実だとしても言ってやるな楯無。本当の事過ぎて可哀想になって来るからな。
 何より、一秋みたいなプライドが高くて中身のない馬鹿は、自分の気に入らない事実を言われるとキレて喚き散らして面倒な事この上ないから。」

まぁ、此の試合の後はアイツ等は学園から居場所がなくなるかも知れないから本当の事を言われても耳に入らなくなるかも知れないけれど……。
其れで清香、のほほんさん、恒例の学食食券が賞品のトトカルチョはどうなってる?



「えっとね~、イッチーとラウラウのコンビが倍率1.25倍で、対戦相手のアレは倍率340倍~~♪」

「アレって……もうさ、本音は名前すら呼ぶ気ないよね?まぁ、気持ちは分かるけど。
 やっぱり一夏君とラウラのコンビの方が圧倒的に人気だね――織斑篠ノ之ペアに賭けたのって、超万馬券狙う感じで買った僅かに3人だけ。
 しかも一点買いだってんだから可成りのギャンブラーだよ。」

「……私としては、織斑のペアに賭けた人が居る事に驚きよ夏姫ちゃん。」

――【ギャンブラー魂?】



「あぁ、アタシも同感だ。」

大穴も大穴、10年に1回出るか出ないかのスーパー万馬券だろうに……そんな危険な博打をよく打つ気になると、少々感心してしまう位だな。
取り敢えず、殆ど誰もが戯け者コンビが勝つとは思ってない訳だが、そう思われてるとも知らずにあの2人は勝てると思ってるんだろうね……子供
の頃からまるで成長していないなアイツ等は。



『さぁ、学年別トーナメント1年生の部の1回戦も、遂に最終試合!
 対戦するのは、この2組!
 嫁の仇は俺が取る!赤く染まった機体は俺の怒りの証!『怒れる大剣二刀流』蓮杖一夏と、ドイツ黒兎隊現役隊長、人呼んで『ベルリンの黒い
 雨』ことラウラ・ボーデヴィッヒペア!
 対するは、お前本当に織斑先生の弟か?『自称天才(笑)』織斑一秋と……『暴力金髪ポニテ』篠ノ之散!』




此処で試合前のアナウンスか……しかし今のアナウンス、『嫁の仇は俺が取る』って、恐らくは薫子さんが大会を盛り上げようと情報を流したな?
あくまでも『噂なんだけど』とでも言ってだろうが。
しかしまぁ、一秋と散の紹介が酷いな?ってか、一秋の紹介の後の微妙な間……散のはアノ間で適当に思い付いただろ絶対に。
否、物凄く端的に事実を言い表しているとは思うが……って、癒子が早速、今のアナウンスを録画した動画をSNSにアップしてるし――仕事が早い
事だな。
……因みにタイトルは?



「『ブリュンヒルデの弟と、天才ウサギの妹の悲しい二つ名(笑)』で。」

「OK、良くやった。中々良いセンスだ。
 一夏達が勝ったら、学食の『絢爛全部乗せうどん』をご馳走してやろう。」

「やった♪」



さてと、フィールドでは……アナウンスを聞いた一秋と散が大層キレているなぁ?
こう言っては何だが、お前達の此れまでの行いが、その不名誉な二つ名を貰うに至ったんだから素直に受け入れた方が良いんじゃないか?って、
無理か……其れが出来てればもっと昔に己を見つめ直す事が出来ていただろうからな。

ま、精々足掻けよ馬鹿共?
鈴にアレだけの事をした貴様等に対しての一夏の怒りはオーバーブーストしてるし、ラウラも一秋に対しては嫌悪感しかもっていないからな……散
に関しては、腰巾着程度にしか思ってなくて如何でも良いみたいだが。

しかしまぁ、束さんに使いきり装備を頼んだのは知ってたが、実体刀だけでなく二連装リニアガンにプラズマキャノンジェネレーターを搭載して、疑似
バラエーナを搭載するとはね――その負荷に耐えられるようにPS装甲の電圧を上げた事で機体が真っ赤になっているが、其れが逆にインパクトに
もなっているな。

まぁ、奴等を断罪するにはその姿はピッタリだろうよ。
精々、己のアホさ加減をその身で感じて敗北するが良い一秋、散――其れが貴様等にはお似合いだ、貴様等の様な性根の腐ったクズ共にはな。








――――――








No Side


『其れでは1回戦最終試合、試合開始!!』


ついに始まった1回戦の最終試合。
試合開始のコールと共に、一秋と散は馬鹿の一つ覚えの様な突撃をするが……


「覇王!!」

「「!!??」」


裂帛の気合と共に発せられた一夏の一言と、同時にとられた奇妙なポーズに驚き、思わず動きを止めてしまう……まぁ、此の2人でなくとも大概の
人間は動きを止めてしまうだろうが。


「炎熱ぅ……」


更に其処から一夏の奇妙な動きは続き、太極拳の如きゆっくりとした動きで身体を動かし……


「轟龍!咆哮!」


たかと思うと、今度はやたらとキレのある動きをし、そのまま一秋の懐に飛び込み……


爆裂閃光魔人斬空羅漢拳!!

「ぶべら!?」


滅茶苦茶腰の入った重いボディブローを一閃!!
其れを喰らった一秋は錐揉み回転しながらアリーナの端まで吹っ飛ばされ、フェンスにバウンドして天井の方に飛びあがり、その途中でアリーナの
シールドに激突して、其のまま地面にダイビングボディプレス!
一応絶対防御があるから死にはしないだろうが、今ので大幅にシールドエネルギーが減ったのは間違いないだろう。

と、誰もがそう思ったのだが……


「お前、何でシールドエネルギーが減ってない?……否、回復してるんだ?」


一秋の白式は確かにシールドエネルギーが大幅に減った筈なのに、其れが今は完全回復している……誰が如何考えたって、其れはおかしい事だ
ろう――試合中に減った
シールドエネルギーが回復する事など有り得ないのだから。


「ハハハ、恐れ入ったか!
 此れこそ俺が作り上げた『シールドエネルギー自動回復装置』だ!!
 此れを搭載したISのシールドエネルギーは減った瞬間から回復を始める……其れも毎秒100ポイントずつな!コイツを搭載した俺に負けはねぇ。
 俺のシールドエネルギーが切れる事は無いんだからな!!」


その正体は一秋が独自に開発したシールドエネルギー自動回復装置。
毎秒100ポイントの回復と言うのもさる事ながら、こんな物を開発してしまうと言うのは、腐っても天才と言う事なのかも知れない……尤も、只単純
に悪知恵が働くだけなのかも知れないが。

だが、明らかに此れはISの試合に於いては反則と言えるだろう――シールドエネルギーが驚異的なスピードで回復する機体が存在してしたら、そ
れは完全に試合が成り立たなくなるのだから。


「シールドエネルギーが自動回復って……卑怯よ織斑!!」

「そんな卑怯な手を使っても勝ちたいだなんて……最低!アンタ、本当に織斑先生の弟なの!!」

「こんな卑怯者が専用機持ちだなんて……アイツの専用機の白式が可哀想だよ!!
 一夏君、ラウラちゃん……もう徹底的にやっちゃって!!」


其れを現すかのように観客席からは非難轟々!――視察に訪れていた、モンド・グロッソの大会組織委員会のメンバーもまた、ISを使用した試合
を破綻させるものを持ち出して来た事に対して渋い顔をしている。


「シールドエネルギーの自動回復か……良いね、最高だぜ。
 つまり、お前は一撃でやられる事は無い訳だからな……徹底的に蹂躙してやるよ――テメェが鈴にした事を100倍にして返してやるぜ!!」


だが、そんな中で一夏はブレードストライクのフェイスプレートの裏で笑みを浮かべていた。
シールドエネルギーの自動回復は確かに反則だろうが、逆に言うなら自動で回復するためにドレだけ攻撃しても回復量を上回るダメージを与えな
い限りは戦闘不能状態にはなり得ない――つまり、徹底的にボコる事が出来るのだ。

一夏は拡張領域から武器をコールし、右手に巨大なハンマーを呼び出す。
柄に四角いハンマーヘッドが搭載された形は標準的な形だが、ハンマーヘッドの大きさは杭打ちなどに使う木製ハンマーの10倍はある巨大な物
であり、見た目の凶悪さはハンパない――二振りの実体刀とプラズマキャノンジェネレーター以外に一夏が束に頼んだ装備の一つ『グシオンハンマ
ー』だ。


「行くぜ!」


其れを手にすると同時にイグニッション・ブーストを発動し、更にグシオンハンマー内部の噴出装置を最大に吹かしての超重い一撃を一秋に叩き込
む!!
真正面からの攻撃ではあるが、余りにも速かったため、一秋は避ける事が出来ずに何とかガードするモノの、その一撃の重さから又しても盛大に
吹き飛ばされてしまう……尤も即時にシールドエネルギーが回復するが。


「貴様!よくも一秋を!!」


だが、目の前で二度も一秋とブッ飛ばされた散は黙っていない。
打鉄のブレードを抜いて一夏に斬りかかろうとするが――此れはタッグマッチである。


「ふん、少し大人しくして居ろ雑魚が――そうだな、暫しそこであの雑魚が真なる強者に蹂躙される様を指を咥えて見ているが良い。」

「がっ!?う、動けん……貴様、何をしたドイツ人!!」

「さてな。」



一夏に向かう途中でラウラのシュバルツェア・レーゲンの停止結界AICによって動きを封じられ、その場で動けなくなってしまう――これでもう、散は
事実上のゲームオーバーと言えるだろう。ラウラがその気になれば、何時でもトドメを刺せるのだから。

つまりは一夏と一秋の一騎打ちと言う事になるのだが……


「オラオラオラ!如何した天才君よ?剣の使い方すら忘れちまったのかオイ?反撃してみろよコラァ!!」

「クソ!黙れ出来損ないのくせに!!」

「お前、俺を出来損ないって言う度に自分の価値を自分で下げてるって気付いてるか?……気付いてねぇよなぁ?
 この会場に居る皆が思ってるぜ――『その出来損ないに良いようにやられてるお前は一体何なんだ』ってな!――ったく、卑怯な手を使わないと
 この程度かよ……剣てのは、こうやって使うんだよ!!」


其れはもう試合になっていなかった。
一夏はガーベラストレートとタイガーピアスの二刀流で華麗な攻めを見せるが、一秋の方は雪片を剣道の型(其れも相当に滅茶苦茶)で振り回して
居るだけで、全て一夏には捌かれ、逆に一夏の攻撃は全てクリーンヒットしているのだから。
シールドエネルギーの自動回復が無かったらとっくに一秋は戦闘不能になっているだろう。――其れ位に滅多斬りにされているのだ。

だが、ガーベラストレートとタイガーピアスも使い捨て装備である為に強度に難があり、連続使用の末に刀身が折れてしまった。
其れを見た一秋は、これは好機と見て突撃して来るが、甘い。


「光となれ!!」


――ドッガァァァン!!


「朝起きて 右も左も 原始人。」


――Destroy!


再び拡張領域から新たなハンマー、『ゴルディオンハンマー』をコールした一夏によって、轟天爆砕の一撃をカウンターで喰らい又してもブッ飛ばさ
れてしまう。
一夏の読んだ一句はハタハタ謎だが、更に落ちて来た所に疑似バラエーナとビームライフルショーティの超連射によるフルバーストを喰らわせ、追
撃として、シュベルトゲベールの連斬からの居合を一閃!


「七の太刀……落葉!からの、桜花斬月!!繋いで桜花無双撃!!」


其処から更なる居合を繋ぎ、体重を乗せた連続斬り、力任せの唐竹割のコンボを決めて大ダメージを叩き込む!!


「ふむ、そろそろ私も動くか……では、先ずは貴様から沈んでもらおうか篠ノ之散?」

「な、何を!?」


一方でラウラは、自分も参戦する為に散を撃破する事にしたらしい――或は、喚き散らす散が鬱陶しくなったのかも知れないが。
なんにしても、AICで動きを止められた散に成す術はない。


「ではサラバだ。」


言うが早いか、ライラはワイヤーブレードを一閃し、更に其処からレールカノンを超連射して散の打鉄のシールドエネルギーをガリガリと削りまくる。


「シルフィードダンス……一丁上がりだ。」

『篠ノ之散、シールドエネルギーエンプティ!』


そして、遂にシールドエネルギーが尽き、此処で散は脱落。ラウラが、現役軍人の貫禄を見せつけての勝利だった。
同時に此処から一秋は、一夏とラウラの二人を相手にしなくてはならないと言う事であり、其れはもう絶望的な物でしかない――一夏一人に苦戦
していたと言うのに、其処に現役軍人のラウラが加わったら、勝利の可能性など皆無でしかない。
しかも、己が搭載したシールドエネルギー自動回復装置のせいで簡単に負ける事すら許されないのだから。


「さて、其れでは処刑の時間と行こうか?ザ・ワールド!!」

「!!――か、身体が動かない!?これは……!!」

「停止結界と言うモノでな……私のレーゲンの能力だ。貴様は此れで、指一本動かす事も出来ん。見えてる事が、逆に恐怖だろう?」

「ひ、卑怯だぞ!!」

「ハッ、鈴に目潰しと粘着弾喰らわせた分際で良く言うぜ……鈴が味わった痛み、テメェもその身で味わいやがれ!!」


ラウラがAICで一秋の動きを止めると、其処からは一夏とラウラによる一秋のタコ殴り祭り!
主に一夏はシュベルトゲベールを使った剣術で、ラウラは体術を持ってして、徹底的に斬って、殴って蹴ってボッコボコにして行く――だが、シール
ドエネルギーが0にならないから負けられない。
一秋は、完全に自分が作った装置が裏目に出てしまっていた。



「アラアラまぁ、見事なまでにフルボッコねぇ?いっそ清々しいくらいだわ。
 しかもアレだけ攻撃して、白式の装甲には只の一発も当てずに、全て装甲で覆われてない所を的確に狙ってるんだから凄いわよねぇ♪」

――【Rush63Hit!】


「だな。
 しかも一夏とラウラが使ってるのは、テイルズシリーズの剣技と格闘術じゃないか……フルボッコの中にもネタを挟んでくるのは見事と言うべきな
 のか悩む所ではあるな。」

「若しかしたら、共鳴秘奥義が出るかも。」

「その可能性は否定出来んな簪。」

「でも、これなら行ける!押し切っちゃって、一夏君、ラウラ!!」


観客席からも一夏とラウラペアを応援する声が上がり、アリーナ内は割れんばかりの一夏コールとラウラコール!――一方的な蹂躙であるにも関
わらず、ブーイングではなく歓声が上がる辺り、ドレだけ一秋が学園の生徒達に嫌われているのかが分かるだろう。


「行くぜラウラ!!」

「合わせろよ、蓮杖一夏!」

「人と!」

「精霊の力!」

「この刹那!」

「天に轟する!」

「これが!」

「私たちの!」

「「虎牙破斬・咢!!」」


「ジュードとミラの共鳴秘奥義だったみたい。」

「さよか。」


その歓声に応えるように、一夏とラウラは見事なコンビネーションを披露し、一秋を叩き伏せる――シールドエネルギー回復装置のおかげで辛うじ
て戦闘不能にはなってはいないが、徹底的にボコられた一秋の顔面は頬が膨れ上がり、右の瞼が腫れて鼻血を垂れ流すと言う、顔面崩壊レベル
の酷い物となっていた。

加えて、此処で更なるアクシデントが一秋を襲う。


「な、シールドエネルギーが全快していないだと!?」


此れまで完全回復していたシールドエネルギーが30%しか回復していなかったのだ。――当然一秋は慌てるが……


「……回復限界を超えたんだろ?
 自動回復つっても、回復を上回るダメージを何度も受ければ、オーバーフローを起こして正常に作動しなくなるってもんだ――特に俺とラウラのコ
 ンビネーションを喰らったなら当然だぜ。」

「な、そんな馬鹿な!!」

「現実を受け入れろよクソったれ。」


一夏の一言によってその種明かしがされた。
如何に自動回復であるとは言っても、自動回復の限界を超えたダメージを何度も受けたら、自動回復機能がオーバーヒートして正常な動作が出来
なくなって然りなのだ。

そして、其れは一秋にとっての死刑宣告に他ならない。


「此れで終いだ……喰らえ、スターバーストストリーム!!」


一夏はシュベルトゲベールを両手に持つと、そのまま大剣二刀流で斬って斬って斬りまくっての16連斬を一秋にブチかます!!――それも、只ぶ
ちかますだけでなく、16発全てを人体の急所に叩き込んでだ。
余りにも危険な技だが、其れだけに絶対防御が連続で発動し、結果白式はシールドエネルギー回復装置の回復量を遥かに上回るダメージを受け
てついにシールドエネルギーが回復する前に尽きてしまう。
回復前に0になってしまっては、回復しようがない――一秋は、此処で散ったのだった。


『織斑一秋、シールドエネルギーエンプティ!
 よって、勝者蓮杖一夏ラウラ・ボーデヴィッヒペア!!』



アリーナにアナウンスが響き渡り、一夏とラウラの勝利が決定!!――此の試合は、圧倒的な実力差を見せつけた試合であったと言えるだろう。
そして同時に、一秋と散は、無様な姿を曝す結果になったのだった。








――――――








Side:一夏


ったく、この程度とは訓練にもならなかった――この程度の奴に馬鹿にされてたとは、過去の自分が情けなくなって来るぜ割とマジでな。
だが、コイツ等の事を叩きのめす事が出来たから良いとするか……尤も、俺としてはまだまだボコり足りねぇ所なんだけどさ――コイツ等は、マジで
ぶっ殺してやるって思ってたからな。

「取り敢えず戻るかラウラ?」

「そうだな……マッタク持ってつまらん試合だった。」



ですよね。
本気で弱すぎたぜコイツ等は……この程度の実力で、よくもまぁ学年別トーナメントに出てくる気になったもんだ――その根拠のない自信には敬意
を評さない事も無いけどよ。

さっさと戻って2回戦に備えるか――ってラウラ危ない!!



「へ?」



――バガァァァァァァァァァン!!!



「!!」

何かがラウラの機体にぶち当たって爆発しただと!?オイ、大丈夫かラウラ!!



「く……絶対防御のおかげで何とかな……だが、一撃でレーゲンが解除されるとは恐ろしい破壊力の爆弾だ。
 この威力と、僅かに青みを帯びたオレンジ色の閃光……プラスチック爆弾か。」

「プラスチック爆弾だって!?」

何だってそんな危険物が?――もしもラウラが機体を解除してたかと思うとゾッとするぜ……!!



「ククク……一秋が万が一の為に作っておいてくれたプラスチック爆弾だ。
 私も一秋も機体が解除されてしまったが、貴様等の機体も行動不能となれば勝者は居ない……アハハハハ、試合には負けても勝負に勝てばい
 いのだ!
 爆弾はまだある、全部喰らわせてやるぞ!!貴様等は此処で死ね!!」



散!未だくたばって無かったのかよ!!テメェ……最後の最後までふざけた事をしてくれやがるな!!
それ以前にプラスチック爆弾の製造とか、何考えてやがる一秋!こんな危険な物作って、もしも誰か死んだらどう責任取る心算なんだよお前は!
ってか、そもそもにして爆弾作ってたとか、如何考えても厳罰は免れねぇぞオイ!!



「ISには絶対防御があるし、アリーナと観客席はシールドで隔てられてるんだから誰も死にはしないだろ?
 其れに厳罰は免れないだって?IS学園は治外法権だ。ここではどんな国のどんな法律も当て嵌まらない――確か、IS学園の法規に殺人や爆発
 物製造に対しての罰則は盛り込まれてなかったよな?」

「テメェもくたばって無かったのかよ?無駄に頑丈だなマッタク。
 あのなぁ、其れは屁理屈ってもんだろうが……人としてやっちゃいけない事の区別もつかねぇのかテメェは!」

「煩い!俺は天才だ……天才ってのは何をやっても許されるんだよ!
 そもそもにして、お前等は俺に負けて地面に這いつくばるべきなんだ……お前達が戦闘不能になれば、俺と散が繰り上げで1回戦突破になるか
 らな!!大人しく、プラスチック爆弾の餌食になっちまえばいいんだ!!」



何処までも性根の腐った卑劣な奴等だぜ――そうまでして、汚れた勝利を手にしてでも勝ちたいのかよお前達は……だとしたら救いようはない!
二度とISに乗る気が起きない位に、徹底的にぶっ潰してやるぜ。


尤も、ラウラのISは解除されてしまったから、俺が一人でって事になるけどな。



『VTシステム起動……実行します。』

「え?な、なんだこれは!!止めろ、私はそんな力など求めてはいない!!――私が求めるのは、力ではない……力じゃない――力じゃ……うわ
 ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」




って、行き成り現れた黒いドロドロがラウラを飲み込んだだと!?
……一体如何言う事なんだよ此れは……あのドロドロは、まさかシュバルツェア・レーゲンか?ラウラが、ISに取り込まれたって言うのかよ!!
如何やら厄介事が起きたみたいだが、だからと言って無視できるもんじゃないよな此れは?

仲間のラウラが己のISに捕らわれて帰還できませんでしたなんてのは、流石に笑えないからな……一体何がどうなってるのかは分からないが、ラ
ウラを先ずは助け出さないとだな。

何が起きて、どうしてそうなったのかは分からないが、この状況が相当にヤバいってのは理解出来る――と言う事はラウラにだってヤバい事が起
きてる筈だからな……あんまりゆっくりしてる暇はなさそうだぜ。

少しだけ待っててくれよラウラ――必ずお前を、助けてやるからな!











 To Be Continued… 



機体設定



・ブレードストライク・ブラッディフォーム

形式番号『GAT-X105E 02S bloody』。
ブレードストライクに束お手製の使いきり装備を搭載した一時的な強化機体。
新たに実体刀の『ガーベラストレート』と『タイガーピアス』が装備され、二連装リニアガンに『プラズマキャノンジェネレーター』を搭載し、拡張領域に
『ゴルディオンハンマー』と『グシオンハンマー』と言う2種類の打撃武器を収納している。
また、追加武装の負荷に耐えられるようにPS装甲の電圧が引き上げられており、装甲色が真っ赤に変わっている。