Side:束


うん、あの馬鹿共の愚行は私も見てたから、本気でぶっ殺してやろうかと思ってたけど、私の怒り以上にいっ君の怒りは限界突破しちゃったみたい
だね此れは……まぁ、愛しの鈴ちゃんがあそこまで甚振られたんだから、怒るのは当然だけどさ。

でも、だからと言ってこう来るとは思わなかったよ!



「んあ?なんだそれ、ストライクEの追加武装か束?」

「まぁ、間違ってないよオーちゃん。
 実体刀『ガーベラストレート』と『タイガーピアス』――レーザーブレード対艦刀と違ってPS装甲は切り裂けないけど、その分エネルギー消費がゼロ
 って言う武装だよ。」

「ガーベラストレートとタイガーピアス……菊一文字と虎徹か。
 大層な名前の刀だが、一夏にでも送ってやんのか?アイツはレーザーブレードよりもこっちの方が得意かもだしな。」



まぁ、正解かな?
いっ君が『使い捨ての性能で構わないからストライクの追加装備を送ってほしい』って言って来たから、急ごしらえで作ったんだよ――一応実体刀
としては最低限の強度と斬れ味は保ってるけど、これは本当に1回限りの使い捨ての性能だよ。
いっ君の剣の腕前に耐えられる性能の刀を作るなら、幾ら束さんでももっと時間が無いと無理だし。

でも、これはあくまでも要求の一例に過ぎないんだよね……オーちゃん、これ見てみ?



「……束、俺は一体何処から突っ込めば良いんだ?
 装備の凶悪さか、其れとも一夏の怒りのボルテージにか、そもそもにして可成り無茶苦茶な装備であるにも拘らず、其れを何とかしちゃうであろう
 お前にか!?」

「うん、我ながら、其れ全部思ったよオーちゃん。」

でもまぁ、あのクズ共には相応の裁きが必要だから、いっ君の望みは全部叶える方向で行きましょうかね?……いっ君の持てる力を全てぶつけて
あのクズ共を滅殺しちゃっていいよ!

特に篠ノ之散――アイツはもう妹でもなんでもない……いっ君の大切な人と、私の可愛い妹分を痛めつけてくれた敵だからね。









Infinite Breakers Break31
『学年別トーナメント開幕』










Side:夏姫


鈴への暴行事件から早くも1週間が経って学年別タッグトーナメントの当日なんだが――もう、起きても大丈夫なのか鈴?
幾ら束さん製のナノマシン入りのカプセルを飲んだとは言っても、まだまだ本調子ではないだろう……自室で寝てた方が良いんじゃないのか?
――無理をして全快するのが遅れたなんて言うのは洒落にもならないぞ?



「其れについては大丈夫よ夏姫。たば姐さんのおかげですっかり完全回復したから!
 でも、トーナメントには出れないから――アタシの分まで大暴れしてよね一夏!観客席から全力で応援してるから!勿論、一夏以外の皆もね!」

「オウよ!鈴の応援があれば、俺は絶対無敵だ、誰が相手でも負ける気がしねぇ!!」

「誰にも負けないとは大きく出たな一夏?……其れはつまり千冬さんにも勝てると言う事か?」

「……作中最強のキャラは除外の方向で。
 多分だけど、あの人はやろうと思えば一足飛びで猛スピードで走るバイクに生身で追い付いて、運転手を叩きのめす事位は出来るんじゃないか
 と思うから。」



ハハ、流石に千冬さんは除外か――まぁ、千冬さんや束さんは遺伝子レベルのチートバグと言っても過言じゃない位の身体能力をしてるし、やろう
と思えば生身でIS撃破出来るかもだから仕方ないけれどな。



「誰があのクズ共と当たる事になるかは分からんが、誰が当たったとしても奴等の惨めな敗北をお前にプレゼントしてやるから楽しみにしておけ凰
 鈴音!」

「あら、其れは楽しみにしてるわラウラ。――其れと、何度も言ってるけどアタシの事は鈴で良いっての。」

「うむ、其れは分かっているのだが、軍の部隊の仲間以外はどうにもフルネームで呼ぶクセがついてしまっている様でな……ついついフルネーム
 で呼んでしまうだ。あれ程の
 長年染み込んだ癖と言うのはなかなか抜けるモノではない様だ。」

「確かに、長年染みついたクセと言うのはなかなか抜けないモノだよラウラ。」

だが、ラウラの言うように一秋と散の馬鹿と当たったその時は、瞬殺などせず徹底的にボコって、大衆の面前で惨めな姿を曝した上でぐうの音も出
ない位に叩きのめしてやれ。
其れこそ、二度とISに乗る気が起きない位に徹底的にな。



「言われるまでもないぜ夏姫姉……アイツ等は、俺の一番大切な人に手を出した――ぶっちゃけ100回ぶっ殺しても足りない位だからな!」

「いえ、100回でも足りないわよ一夏。」

「私は出ないからアレだが、最早アイツ等はISに乗る資格すらない――姉さんの夢の結晶であるISで鈴に暴行を行ったのだからな。……私の実力
 がもっとあって、専用機があったのならば、直々に成敗している所だ!」

「ならば、モッピーの思いは私が受け継ぐのだー!
 あの馬鹿とゴミは滅殺なのだ!――って言うか、比較するにも馬鹿とゴミに失礼極まりないねあの2人は!!」

「本音、キャラが壊れてる……まぁ私もそう思うけど。」

「何にしても織斑君と散さん――うぅん、織斑と散は滅殺一択だよ……私達の仲間に手を出した罪は、極刑でも足りない位だからね。

「静寐もキャラが壊れてる!?って言うか微妙に殺意の波動に目覚めてる!?」

「殺意の波動だと?ならば瞬獄殺だな!」

「ラウラ、其れは間違ってないけど違う!瞬獄殺とかマジヤバいから!」

「鈴お姉ちゃんにこんな事した奴等は、滅殺しても全く問題ないと思ってるアタシが居る。ぶっちゃけて言うなら、アイツ等の事ぶっ殺したいから!」

「き、気を確かに!物騒過ぎますわ乱さん!」



……まぁ、アタシが言うまでもなかったかもしれないな――静寐とラウラと乱が少々物騒かも知れないがな。
だが、あの大馬鹿者達は其れだけのことをしでかしたんだから慈悲を掛ける理由が何処にもない――アタシと楯無は学園の防衛があるからトーナ
メントに参加する事は出来ないが、その分もお前達がやってくれ。



「夏姫ちゃんの言う通り――私達の分までキッチリお願いするわ。
 正直言って、織斑君と散さんは生徒会としても何とかしないといけないと思ってたからね……此のトーナメントを機に、徹底的にやらせて貰うから
 その為にも、キミの活躍に期待してるわよ一夏君♪」

「うっす!なら、其れに応えられるように頑張ります楯無さん!」

「うむ、宜しい!その意気やよし!
 やっぱり男の子は元気がなくちゃダメよ♪――だから一夏君、キミには生徒会長権限で特例を認めてあげる……織斑一秋と篠ノ之散のコンビと
 戦う事になったその時は、キミのやりたいようにやってくれて構わないわ。
 相手の命さえ奪わなければ、ドレだけやっても不問とするから。」



オイオイ、これはまた随分と大サービスだな楯無?――まぁ、お前も其れだけ怒ってると言う事なのかも知れないがな。
だが、これでもう如何足掻いても、奴等が勝つ可能性は限りなくゼロだ……殺しさえしなければ不問となれば、一秋達にドレだけの事をしても問題
無いと言う事だからな。








――――――








Side:一夏


遂にやって来たぜ学年別トーナメント!!
鈴の怪我は、束さん特製の治療用ナノマシンで完治したけど、だからと言ってアイツ等が鈴にした事が帳消しになるって訳じゃない――楯無さんが
生徒会長権限とか言ってフルボッコ許可してくれたから徹底的にやってやるぜ。

学年によって出場タッグ数が異なるらしいけど、1年生は学年最多の32組64人……ってのは良いとして、清香とのほほんさんのタッグ以外、専用
機持同士でタッグ組んでるってのはどうなんだ?
1回戦で専用機タッグによる星の潰し合いが行われない限り、学園の訓練機で参加する生徒が優勝する可能性はないだろ此れ?
そもそもISRI製の機体は、束さんに言わせると『現行ISの世代に当て嵌めるとしたら、第12世代位かなぁ?』との事だったから、第2世代の打鉄や
ラファールじゃ相手にならないぜマジで。

でも、其れは其れとして2年生の出場タッグは最小の8組16人……この出場人数の少なさは、若しかしなくても去年のトーナメントで楯無さんがや
らかしたのか?



「正解だよ蓮杖君♪」

「うわぁ!行き成り現れないで下さい薫子先輩!」

「ごめんごめん!トーナメント開催前に、何かと話題の男性操縦者にインタビューしようと思ってね。」

「はぁ……其れは別に良いですけど、楯無さんは何をしたんですか、去年のトーナメントで?」

「たっちゃんだけじゃなくて、ダリルちゃんもなんだけど、去年の1年生での専用機持ちってたっちゃんとダリルちゃんの2人だけで……あ、今使って
 るのとは別物だけどね?
 機体の性能差もさる事ながら、搭乗者の実力がハンパなくってたっちゃんとダリルちゃんが決勝でぶつかるまで、2人は秒殺を繰り返し……準決
 勝では秒殺すら超えた瞬殺。
 でもって、決勝戦は互いに譲らない超バトルが展開されて、決着が付いた時にはアリーナは半壊……しかも最後は時間切れでシールドエネルギ
 ーの残量がたっちゃんの方が5ポイントだけ多かった判定勝ち。
 今年はたっちゃんは出てないけど、ダリルちゃんは出るって事で出場者が激減しちゃったの――今年出場してるのは、己の腕に自信のある生徒
 か、単なるバトルジャンキーか、身の程知らずかのどっちかだね。」



……楯無さん、そしてダリル先輩も何してんですか?
勝負は全力手加減なしってのは当たり前の事かも知れませんけど、明らかに格下の相手には少しくらい手加減してあげましょうって!そうじゃない
と心が折れて、下手すりゃ学園去りますからね!?



「いやぁ、アレでも手加減してたらしいからねあの2人は。
 んで、今年はダリルちゃんが新しい機体になって、たっちゃんも連休明けに新しい機体になってるからね――もし、たっちゃんまで出場してたら絶
 対に2年生の出場生徒はもっと少なくなってた。」

「と言う事は、楯無生徒会長とダリル先輩が組んで出場してたら……」

「2年生は全員が敵前逃亡なのだ~~!」



楯無さんとダリル先輩のタッグとか、マジ怖すぎだろ……いや、夏姫姉と楯無さんのタッグよりは幾らか優しいかも知れないけど。――で、その可能
性が否定できないぜのほほんさん。



「お~~、ずばりな事言うね本音ちゃん!確かにあの2人がタッグを組んで出場したら、2年生の出場生徒はいなくなるわ――其れでも出場する生
 徒が居たら、其れはもう救いようのないバトルジャンキーだわ。
 っと、本筋がずれたわ。
 さて、其れでは蓮杖君、此のトーナメントにかける意気込みなんかを語ってくれると嬉しいんだけど?」

「強引に切り替えたっすね薫子先輩……」

まぁ、意気込みをと言われたら、其れは勿論優勝を狙いに行く――ってか、優勝しますよ。
ちょっとアクシデントがあって出場できなくなった鈴に、俺の優勝をプレゼントしたいですし、学園の警備の為に出場できない夏姫姉にも、俺の優勝
って言うのを届けたいですしね。
ラウラとの連携も結構良い感じに仕上がってますから、負ける気はしませんよ。



「おぉ、カッコイイね蓮杖君!
 此れは良いコメントが貰えたけど……ぶっちゃけ、キミの彼女である鈴ちゃんをリンチした織斑君と篠ノ之妹さんと当たったら如何する心算?」

「……何で知ってんすか先輩?
 あの一件は、あの時アリーナにいた生徒以外は知らない筈っすよ?……その場にいた生徒には緘口令が敷かれてたんで。」

「おぉっと、ブン屋の情報網を甘く見ちゃダメだよ蓮杖君。
 騒ぎを聞きつけて、私もあの場所には居たんだよね――人目に付かない観客席だったけどさ。
 だから、あの一件の事は良く知ってるんだよ……ぶっちゃけて言うと、あそこまで性根の腐った人間は見た事が無いから、あの2人は手加減なし
 でブッ飛ばしても誰も文句は言わないと思うんだ。」



居たんすか!?……全然気付かなかった。ドンだけ気配消してたんだこの人は。
でもまぁ、見てたんならアイツ等の下衆っぷりは良く分かってますよね?……叩きのめしますよ、徹底的に。――其れこそ、二度とISに乗ろうと思わ
ない位に徹底的に。
下手すりゃ、アイツ等を廃人にするかも知れません。だろ、ラウラ?



「あぁ、奴等はISに触れる資格すらない。
 ISに搭載されている閃光弾でも使っての目潰しなら兎も角、唐辛子スプレーを持ち込んで目潰しを行い、更に零落白夜で機体を強制解除してか
 らのリンチなど言語道断!
 奴等には地獄すら生温い。」

「地獄を越えた煉獄を、アイツ等には味わわせてやりますよ。」

「Go to Hell待ったなしだね此れは?其れなら、期待してるわ蓮杖君、ラウラちゃん。」



期待には応えて見せますよ薫子先輩。


さてと、1年生のトーナメントの組み合わせがオーロラヴィジョンに表示されて来たな?
1回戦の組み合わせは、コンピュータを使ってのランダム決定って事だったが……此れはまた、何とも良い具合の組み合わせになってくれたみた
だな?……神様が本当に要るってんなら感謝したいくらいだぜ。
ISRIの連中同士が1回戦でぶつかる事は無くばらけてくれたから、星の潰し合いだけは無くなったんだが、それ以上に最高だったのは……


・1回戦第16試合:蓮杖一夏、ラウラ・ボーデヴィッヒペアvs織斑一秋、篠ノ之散ペア


1回戦のラストであのクソっ垂れ共と戦う事になった事だ。
普通に考えたら決勝でって思うんだろうが、アイツ等が決勝まで勝ち残れるとは思えねぇから、確実に戦う事の出来る1回戦でぶつかる事が出来
たってのはこの上ない幸運だ。俺的には、マジで大吉ってやつだぜ!

1回戦の最終試合ってのは観客も注目するし、現状では世界に2人しか居ない男性操縦者同士の直接対決となれば注目の的だろうからな……そ
の大舞台で徹底的に叩きのめしてやる!

ラウラ、全力で行くぜ!!



「うむ、了解したぞ蓮杖一夏!
 奴等にISに乗る資格はない……精々身の程と言うモノをその身に刻み込んでやろうではないか!奴等には惨めな敗北こそがお似合いだ!!」

「一夏君、思い切りやっちゃって!――貴方に、私達の思いを預けるから。」

「やってしまえイッチー!スズリンの仇を取るのだーー!あの馬鹿共を、フルボッコだーー!!」



言われなくてもその心算だぜ静寐、のほほんさん。
一秋と散は、絶対にやっちゃならねぇ事をしやがった……だから、その代償は払って貰うぜ、利子付きでな!!

覚悟しとけよクソっ垂れ共、テメェ等に待ってるのは俺とラウラによる地獄だ――徹底的に叩きのめしてやる!……そうなってから謝っても遅ぇから
な!!
テメェ等は滅殺だ……そうされても文句が言えないだけの事をしちまったんだから、大人しく裁きを受けやがれだぜ!!

鈴が受けたリンチの礼、100倍にして返してやる!!……辞世の句を詠む準備でもしときやがれだぜ!!








――――――








Side:夏姫


……何だろう、学園から可成り離れてる筈なのに、一夏の怒りのオーラを受信したぞ?……まぁ、鈴があんな目に遭ったんだから、其れだけの怒り
を感じるのは当然と言う所かも知れんが、下手したら此のオーラだけで人を殺す事が出来そうだ。冗談抜きでな。

こう言ったら何だが、今の一夏と一秋が戦ったら、あの馬鹿は間違い無く滅殺されるんじゃないか?



「間違いなく滅殺されると思うわ夏姫ちゃん。下手したら抹殺されちゃうかもね。」

「間違いなくそうなるでしょうね。
 一夏君は怒りながらも、怒りと理性を分ける事が出来る……燃え盛る怒りを宿しながらも、明鏡止水の理性を別に機能させる事が出来るから、怒
 りのパワーを純粋に使いこなす事が出来る訳だからね。」



楯無だけなくスコールさんもそう思うか。――アタシもそう思ったがな。
冷静な理性と、燃え盛る怒りが巧く共存出来たら其れはもう最強だからな……今の一夏には、何人たりとも――其れこそ、下手したら千冬さんでも
止める事は出来ないかも知れないからな。



「織斑先生以上って、一夏君は最強キャラかしら?」

「ラスボスすら超えた使用禁止の隠しキャラだ――限定状態でのみな。」

まぁ、向こうは向こうに任せるとして、アタシ達はアタシ達の仕事に集中しようか?
如何やら、招かれざる客が現れたみたいだしね……マッタク持って、無粋な奴等が居たもんだな。



「えぇ、無粋にも程があるわ……このタイミングで仕掛けてくるなんてね。」

「クラス対抗戦の時に現れた無人機と同じみたいだけど……此処から先には行かせないわよ?――クラス対抗戦に続いて、学年別トーナメントま
 で中止にさせる訳には行かないモノ。」

「そう言う事だから、退場願うぞ……戦闘力5程度のやられ専門の雑魚が!」

空を警備してたアタシ達の前に現れたのは、クラス対抗性の時に現れた甲殻類みたいな無人機と、スパイダーベースに人型の上半身が鎮座した
異形の無人機が多数――数は全部で50って言う所か?

対して此方の総数は20程……数の上では圧倒的に負けているが、だからと言って負ける要素は何処にもないな?


アタシと楯無とスコールさんは専用機だし、我が1組の副担任にして元日本代表候補だった山田先生も居るから、この程度の襲撃位は余裕で対処
出来る!!
此処から先には行かせない……全機残らずスクラップにしてやる!



「えぇ、行くわよ夏姫ちゃん!!」

「ふふ、格の違いと言うモノを見せてあげるわ。」



其れが合図となって、無人機との戦いになった訳だが……こう言っては何だがハッキリ言ってアタシ達の敵ではないな?
陽電子リフレクターを装備してるから防御面ではもっと堅いと思ってたんだが、其れも近距離戦を徹底すればほぼ無力化出来るからな?
加えて、その近距離戦で陽電子リフレクター発生装置を破壊してしまえば怖いモノは何もない……実際に、楯無とスコールさんと山田先生は的確
に陽電子リフレクター発生装置を潰してた上で撃破しているしね。

他の教師陣も、撃破は出来なくとも陽電子リフレクター発生装置の破壊には成功している……そろそろ終わらせる――此れで闇に沈め雑魚共!



――ガシャン!

――ピッッピッピッピッピッピッピッピ!!!



マルチロックオン完了!!
この一撃からは逃れる事は出来ん……喰らえ、ハイマットフルバースト!!



――ドッガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!



アタシ達の前では数の暴力など問題にならないと知るんだな。――貴様等如きは、アタシ達の敵にもならん……もう少し歯応えのある相手と戦い
たかっったよ。……警備員としては問題発言かも知れないけどね。



「その意見には同調するけれど、如何やらこれで終わりじゃないみたいよ夏姫ちゃん?」

「あぁ、寧ろ本番は此処からだな楯無。」

雑魚共を倒した、其れは良いんだが、その後ろから明らかにISを越えたとしか思えない機体が出て来てくれたみたいだからな……並のISの5倍は
あるであろうその巨体は、全長10mは下らないね。

よもやこれ程の巨人が降臨するとは予想外だったが、アタシ達の仲間ではない以上は敵だから、滅するのみだ――コイツを学園に上陸させてしま
ったら大変な事になるからね。

「何処の誰が送り込んだ物かは知らんが、貴様は余りにも場違いだからこの場で退場願おうかな?」

「そもそも貴方には特別席は用意してないので♪」



此処で煽るか楯無よ。
だがまぁ、悪い選択肢じゃない――無人機に生体脳が使われてるって考えるなら、此方の言葉は通じる筈だから、例え動物的な本能しか無くとも
何となく馬鹿にされたのは察するだろうしね。
其れを察すれば、本能の怒りに火が点いて攻撃は激しくなるだろうが、同時に雑にもなって対処が楽になると言うモノだからな。

この期に及んで誰が来たからと言って驚く事は無いが、無粋な事をしてくれた無人機は、悪いが破壊させて貰うぞ!――巨体と言うのは、時として
只の的になり下がるからね!

お前が何者で、何が目的でIS学園に来たのかは分からなけど、排除させて貰うぞ!!










 To Be Continued… 



機体設定



・ザムザザー

形式番号『YMAF-X6BD』。甲殻類の様な外見をした、正体不明の無人IS。
クラス対抗戦の時にも現れ、何処の組織が何の目的で開発したのかは一切不明だが、人の生体脳がパーツの一部として組み込まれて居る事か
ら、非人道的な方法で開発されたのは間違い無いと思われる。
本機はクローや多彩な装備による攻撃力を持ち、陽電子リフレクターの装備によって戦艦の主砲さえも防ぎきる高い防御力を獲得しているが、近
接戦闘には弱いと言う弱点がある。


・ゲルズゲー

形式番号『YMFG-X7D』。蜘蛛の様な6本足の下半身に人型の上半身が乗っかっている半人半虫の外見をした謎の無人機。
ザムザザーと同様にクラス対抗戦の時にも現れ、此方にも人の生体脳がパーツの一部として組み込まれている。
6脚の安定性を活かし、山岳地帯等の不整地において高い踏破性を有するが、移動速度自体は通常のISに遠く及ばない。
よって通常は底部スラスターによるホバー飛行を行う。
陽電子リフレクターや多数の火器を搭載しているが、ザムザザー同様に近接戦闘にはめっぽう弱いと言う弱点がある。