Side:夏姫


分かり切った事ではあったが、2組のクラス代表決定戦は、一夏と鈴が裏金代表候補を速攻でぶちのめしたか。……一夏と鈴の連携が見事だっ
たと言えば其れまでだが、僅か1分半で倒されるとは幾ら何でも弱すぎだろうあれは。
……あんなのが、鈴に次ぐ成績だったとは、中国のレベルを心の底から疑いたくなってしまうぞ本気で。

と言うか、この程度ならば鈴を金との天秤にかけて切った中国は阿呆としか言いようがない……金に目がくらんで、優秀な人材をみすみす手放
すと言う事になったのだからな。

此れで2組の代表は鈴だろうが、この一戦で一夏の実力を示す事は出来ただろう――と言うか、僅か1ポイント差での決着にいちゃもんを吐くっ
ていうなら、アタシが直々に話を聞いてやる心算だからな。



「大丈夫よ夏姫、あの大舞台で一夏も鈴も力を示したのだから不当な扱いを受ける事は無いと思うわ。
 特に一夏は、織斑一秋とは違って、性格的にも最高だし、何よりも結果を出してるからね――最終的に負けたとは言え、あの試合で一夏を『弱
 い』と思った人はいない筈よ。」

「だな……まぁ、中には一夏の実力を認めようとしない奴も居るがな。」

尤もそれは、自分が天才だと思ってる最も性質の悪い馬鹿の極みの一秋と、その金魚のフンである散の事だがな……マッタク、同じ遺伝子を持
っている筈なのにこの落差は一体何のか、少々神様に問いたいくらいだ。

只一つ言える事は、一夏と一秋は一卵性とは言え全く違うと言う事だな。
一夏はどんな困難な壁にぶち当たっても、必ずそれを克服する『強さ』があるが、一秋には其れが無い――其れが、一夏と一秋の差って訳だ。

IS学園で、恐らくは人生初となる壁にぶち当たったであろう天才君は、果たしてそれを乗り越える事が出来るのか……ま、無理だろうな。










Infinite Breakers Break14
『授業と就任パーティと龍の到来』










そんでもって、今日の一組の授業はISを使った訓練みたいだ……果てさて、一体何をするのやらだ――まぁ、千冬さんの事だから、隙のない授
業メニューを用意してるんだろうけどね。



「蓮杖姉、レイン、織斑、オルコットは前に出ろ。」



っと、此処で1組の専用機持ちが前に出る事に……態々専用機持ちを前に出したと言う事は、アタシ達で実演的な何かをするのだろうか?
少なくとも模擬戦は無いだろうな。まだ、ISの操縦すら真面に出来る生徒が殆ど居ない状況で、模擬戦など見せてもあまり意味は無いし、実戦的
な訓練は、基礎固めをしてからでないと意味は無いからね。
尤も、その基礎固めも、個人差が出るのは間違い無い――鷹月、相川、谷本の3人は積極的にアタシに授業で分からなかった事や、未だ授業
では習ってない事を質問して来て自分から学ぼうとしているし、のほほんさんは何でも整備関係に滅茶苦茶強いらしく、ISに関する知識は一流の
エンジニアに負けず劣らずだからな。
箒だって授業中は積極的に発言するし、分からない事はアタシ達に聞いて来る――そう言う連中は間違い無く基礎固めが出来るのも早いんだろ
うが、只授業を聞いてるだけの奴とか、授業中にも関わらず授業を聞いてない奴等は何時まで経っても基礎固めは出来んだろうな。

特に酷いのは散だ。
箒が向上心を持っているのに対して、アイツはマッタク何もしない上に、授業中も一秋の事ばかり気にしていて、千冬さんの出席簿アタックを喰ら
った回数は数知れず。
束さんの妹と言うだけで、IS学園に強制入学させられたのは不満もあるだろうが、お前を入学させるために、受験者を1人脱落させなければなら
なかったのだから、其れを考えたらもっと真剣になれると思うのだけどな……言うだけ徒労か。

其れで織斑先生、アタシ等は何をすればいいんでしょうか?



「お前達には飛行と急降下からの急停止、そして武装の展開をやって貰う。
 各自、専用機を展開しろ。」



成程、そう言う事か。
確かにそう言った動作のお手本を見せるなら、専用機を持ってる連中に任せた方が早いからね……なんて事を考えてる間にフリーダム展開!
今日は授業だからセーブモードで充分だな。

マリアも既にセーブモードで展開を完了しているし。



「ふむ、蓮杖姉とレインは0.1秒か、文句のつけようがない。
 オルコットは0.3秒……まぁ、悪くは無いが代表候補生と言う事を付け加えると及第点レベルだな。
 そして、大体予想はしていたが1秒とはあまりにも遅すぎるぞ織斑!最低でも0.5秒で展開できるようになれ。」



1秒って……オイオイ、一夏だってストライクを偶然起動した直後であっても展開速度は1秒を切っていたって言うのに、まさか1秒を切る事が出
来ないとは、コイツ絶対にクラス代表決定戦の後、ISを動かしてないな。
はぁ……アタシとマリアにあそこまで徹底的に差を見せつけられておきながら、その差を埋める為の努力をしないとは、マッタク持って最悪な主を
持ってしまった白式に同情するぞマッタク……



「では、先ずは飛べ。上空100mまで上昇したら、次の指示があるまでその場で待機するように。」

「了解しました織斑先生。フリーダム、行きます!」

飛べとの事なので、先ずはアタシがフリーダムの翼を広げてハイマットモードにして飛び立ち、其れに続く形でマリア、オルコット、一秋の順に飛
び立つ。
速度に関しては、ハイマットモードのフリーダムがダントツだが、プロヴィデンスも重装甲の重装備であるにも拘らずフリーダムに負けず劣らずの
速度を出し、其れからは遅れてはいるがブルー・ティアーズのカタログスペック上の機動力を考えれば、カタログスペック以上の力を出していると
言えるレベルだろう。
……そして、其れに大分遅れている白式は一体……近接戦闘型なのだから、機動力は相当に高い筈なのに、射撃型で機動力に劣るブルー・テ
ィアーズにすら負けるとは信じられん。

お前、本当に大丈夫か?真面に飛行できないなんて、致命的だぞ?



「そうは言っても、なんか空を飛ぶって言うのがイメージできないんだよ。
 ISが飛行機みたいな形だったら飛ぶイメージが出来るんだけど、人型が其のまま空を飛ぶって言うイメージが分からない!つーか、自分が飛
 ぶイメージなんて湧く筈ないだろ!!」

「アタシとマリアは確りイメージ出来てるんだがな。」

「まぁ、私達の場合は、機体に分かり易いブースターとかスラスターが付いてるから、イメージするのが楽なのかも知れないけれど。」

「織斑さん、イメージは所詮イメージですわ。
 そうですわね……織斑さんが最もイメージしやすい『飛行』の形を思い浮かべてみては如何でしょうか?」

「其れが出来れば苦労しないんだよなぁ……」



イメージが出来ない……典型的な左脳人間の弱点だな其れは。
何でもかんでも理詰めで考えて、理論が無いと何も出来ない――直感を司る右脳の働きが弱い人間が陥りやすい症状だな此れは……尤も、究
極的に理論を極めているのなら、イメージも理論的に捉える事が出来るのだろうけどな。

と言うか、只の飛行で此処まで難儀するとか大丈夫かコイツ?……否、駄目だな絶対に。
何と言うか、コイツは絶対に自分が巧く飛べない原因を白式に求めているだろうからなぁ……己の未熟さを認める事が出来ないのでは成長は望
めないか。

この程度の奴が一夏の努力を嘲笑っていたかと思うと本気で腹が立つな。



『コラァ!なにをしている一秋!さっさと降りてこい!!』

『何をしている馬鹿者!!』

『授業の妨害をするな、この阿呆が!!』




で、下では散の馬鹿が山田先生のインカムをぶんどって、一秋を一喝し、その結果千冬さんと箒のダブル鉄拳制裁を喰らう結果に……本気でア
イツは救いようのない阿呆だな。
こう言っちゃなんだが、脳みそはゆで卵の如く皺が無いんじゃないかと疑ってしまうぞマッタク。



『コホン……少々中断したが、其処から急降下と急停止をやって貰う。目標は地上10cmでの停止だ。』



ふむ、課題は急降下と急停止か。
地上10cmならば、其処まで難しくは無いが……誰から行く?



「では私から……お先に失礼いたしますわ蓮杖さん、レインさん、織斑さん。」



っと、先陣を切ったのはオルコットか。
文字通りの急降下から、地面にぶつかるギリギリで姿勢を整えて急停止――結果は10cmジャスト。アタシとマリアにはボロ負けしたが、腐っても
鯛ではないが、代表候補生と言う事も有って其れなりの実力は持っていたか。



「其れじゃあ、次は私が行くわね?」

「ふ、マリアの妙技を見せてやれ。」

「勿論その心算よ。」



二番手はマリア。
地面に向かって急降下すると、ドラグーンを展開し、計11機のドラグーンも一緒に地面に向かって急降下し、そのまま10㎝の地点で着地し、ドラ
グーンもプラットフォームに戻す……言葉で言うのは簡単だが、急降下しながら11機のドラグーンを操るのは相当の技量が無いと、到底不可能
な事だからね……今のはマリアだからこそ出来た事だな。

「其れじゃあ次はアタシが行かせて貰おうか。」

セミファイナルを務めるのはアタシ。
先の2人とは対照的に、真っ逆さまに地面に向かって超高速ダイブ!!――地面が迫り、クラスメイトの悲鳴も聞こえるが、地面に激突するギリ
ギリで体勢を立て直してホバリング。
ジャスト10cmだ。



「見事な技量だが、今の様な事は止めろ。正直言って心臓に悪いからな。――授業中に生徒がミンチになったなど、シャレにもならん。」

「あ~~……うん、其れは確かにそうかも知れない、次からは自重しますよ織斑先生。」

こう言っては何だが、自分でやってもスリル満点だったから、見ている方は、相当にハラハラしただろうからな……刺激過多にならないように注
意する必要がありそうだ。

所で一秋は如何した?



「うわーーーー!止まらないぃぃぃ!!?」



――ドッゴォォォォォォォォン!!



そう思った矢先、一秋がグラウンドに向かってダイレクトアタック!!!……目標地上10cmを大幅に超えて、まさかクレーターを作るとは予想外
だった……おーい、生きてるか織斑一秋(救いようのない大馬鹿者)



「生きてるよ!つーか蓮杖、いま俺の名前に滅茶苦茶不愉快なルビ振っただろ絶対!!」

「何訳の分からん事を言ってるんだお前は?地面に激突した衝撃で、脳細胞が死滅して馬鹿になったのか?
 まぁ、其れだけ速攻で反応する事が出来るのなら大丈夫だろうがな……取り敢えず、絶対防御が発動した事に感謝しておけ――少なくとも白
 式は、お前を守ったのだからね。」

「本当に機体に命を救われたなお前は。
 だが、幾ら何でもIS操作の基本とも言える飛行と、急加速と急停止が出来ないとは情けないにも程があるぞ織斑!」

「いや、そうは言っても俺は未だISの総搭乗時間30時間にも届いてないんだから無茶言わないで下さいよ織斑先生!!」



へぇ?時間が足りなかったから巧くないと?……天才とは思えない理由だな其れは。
本当の天才であるのなら、寧ろ30時間乗っていれば既にISを自分の手足のように扱えるようになっている筈なんだがな?何とかと天才は紙一
重と言うが、実はお前は『何とか』の方だったんじゃないか?
めんどくさい事になるから口には出さんがな。

と言うかお前、こんなに大きなクレーターこしらえて如何するんだ?
此のままでも授業をやるには問題ないだろうが、部活動に影響が出るんじゃないのか?――如何しましょうか、織斑先生?



「織斑、自分で作ったクレーターは自分で処理しろ。
 お前はもうこの時間は受けなくて良いから、授業終了までにこのクレーターを埋めてグラウンドを直せ。ISの使用は許可するから、出来るな?」

「えぇ、俺一人でやるの!?」

「当然だ、お前がやったのだからな。
 其れとも何か?お前は自分の不始末を、女子に手伝わせる心算か?ISを纏わなければ、か弱い存在である女子高生に。」

「ぐぅ……分かったよ!やりますよ、やればいいんでしょう!!!」



うん、まぁそうなるだろうな。
アレだけのクレーターを埋めるのは時間がかかるし、この時間内で直さねば他のクラスや運動系の部活動に迷惑が掛かるからね。まぁ、己の訓
練不足が招いた結果だ、真摯に受け止めるんだな。

そんな訳で授業は進み、今日は取り敢えず全員がISに慣れる事からだったな。
飛行、急発進と急停止は、取り敢えず1学期中に習得する事を目標にしろと言う所か。

授業其の物は、一秋を除いた専用機持ちが、割り振られた生徒に打鉄やラファールの動かし方を教えるって感じだね――恐らく、当分は実技は
こんな感じの授業が続く事になるだろうね。
ISに慣れるには、何が無くとも兎に角ISに乗るに限るからな。

因みにまったくの偶然とは言え、鷹月、谷本、相川の3人はアタシの班だったんだが、アタシの予想通り此の3人は筋が良かったね。
まだぎこちないとは言え、取り敢えず10歩歩く事が出来たからな――此れを考えると、入試の実技試験があるのは国家代表か代表候補、後は
企業代表なのかも知れないな。
まったく素人の人間に実技試験を行った所で、結果は分かり切ってるだろうしね。尤も、その代わりにペーパーの難易度が少し高めになってるの
かも知れないけどね。

取り敢えず、お前達は素質があるみたいだから、これからも励め。
望むのならば、アタシ達ISRIの訓練を見学、或いは参加してくれても一向に構わん――と言うか、向上心のある者は大歓迎だから、『もっと上手く
なりたい』と思ってる奴は、放課後の第1アリーナに来い。
アタシとマリア、そして2組の鈴と一夏は大抵は其処で訓練をしているからな。ISRIの企業代表が、直々に鍛えてやろう。

尤も、アタシ達の指導は可成りハードだから、付いて来れるかどうかはお前達次第だがな――って、なんか嫌な予感がするぞ此れは!!
マリア、オルコット、耳を塞げぇぇ!!



「「「「「「「「「「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」」」」」」」」」」



ヤッパリか!!
何と言う音波兵器……入学した時よりも絶対にパワーアップしてるだろ此れは!!と言うか、今の何処に黄色い歓声を挙げる理由があったのか
30文字以内で説明しろ!!



「『蓮杖夏姫、下手な男子より可成りのイケメンさんだから仕方ない。』、句読点を含めてジャスト30文字よ夏姫。」

「無駄な能力発揮するなマリア!そして、激しく納得いかん!!」

「うむ……確かに蓮杖姉は、並の男子よりも遥かにイケメンなのは否めんか……モテる女は辛いな蓮杖姉。」



何でそうなるのか……はぁ、頭が痛いな此れは。
まぁ、嫌われるよりは万倍良いと言う事にしておくのが吉だな――取り敢えず、鷹月と谷本と相川の3人は、成長次第では此方側に引き込む事を
考えておいた方が良いかも知れないね。



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そして放課後。
授業終了後に、スコールさんをアタシの部屋に呼んで、更識との協力に関するいろんな事を改めて確認。楯無も一緒にな。
まぁ、既に決まってる事を再確認するだけだから、其れ程時間がかかる事も無かったが、流石にお菓子広げてコーヒー飲みながらって言うのは
如何なんだ?アタシが言えた義理でもないけれどね。
取り敢えず、ゴールデンウィークに入ったら楯無をISRIの本社に連れて行かないとだろうな……束さんが『たっちゃんの専用機を開発する!』って
張り切ってたからね。


それにしても日本の暗部である更識と世界中の裏事情に精通してる亡国企業が協力体制を敷いてるなんて事が世間に知れたら、後ろ暗い事を
してる連中は飛びあがるだろうな。
なんにせよ、これで世界規模の暗部が出来たと言う事になる訳だから、IS関連の裏の事情に介入しやすくなるな。


其れは其れとして、アタシとマリアは只今2組の代表就任パーティに参加中だ。
本来なら1組のアタシ達が参加するのはお門違いなんだろうが、一夏と鈴に誘われたのを断るのは悪いし、2組の連中に『是非』と言われたら参
加するしかないからね。

とは言えアタシとマリアだけって言うのは居心地が悪いから、箒とのほほんさんに、鷹月と相川と谷本も連れてきてるんだがな。
呼んでも居ないのに参加してる楯無は、最早突っ込み不要だ。



「アタシがクラス代表になった以上、代表が戦うクラス対抗戦での優勝は約束するわ!
 デザートフリーパス券は必ず手に入れてあげるから、大船に乗ったつもりでいなさい!相手が一夏以上でない限り、アタシは負けないから!」

「期待してるよ凰さん!!」

「タイタニック号に乗ったつもりで応援してるよ!!」



待て待て、タイタニックは駄目だろ?出向して直ぐに沈没するからな。
其処はアレだ、アメリカの原子力空母である『ロナルド・レーガン』に乗った心算でいた方が安心だぞ?――何と言ってもアメリカの原子力空母が
5隻あれば、大概の国は1週間で落とせるらしいからね。

まぁ、今はISが存在してるからその限りでは無いのかも知れないがな。



「はいは~い!ちょ~~っと、お邪魔します!
 新聞部2年の『黛薫子』で~す!1年2組のクラス代表と、何かと話題の初の男性操縦者にインタビューに来ました~~!あ、これ名刺ね♪」



なんて事を考えてる内に、これはまた強烈そうなのが来たな?
片ポニと言う程ではないが、髪を左耳の辺りで1本に縛って、眼鏡を掛けた風体は、一件大人しそうだが、新聞部と言う辺りが油断できん……彼
女からは、ジャーナリストとしてのオーラを感じるからね。



「其れでは2組の代表になった凰鈴音さん、意気込みをどうぞ!!」

「そうねぇ?……龍の爪牙に切り裂かれたいって奴は、何時でもかかって来なさい?
 どんな時でもアタシは逃げも隠れもしないわ!だけど、アタシに挑むなら、龍の餌食になる覚悟を決めて来るのね!!」

「おぉ、良いねぇ!此れなら捏造する必要もなさそうだ。」



いや、それ以前に捏造するな。
捏造はジャーナリスストとして最もやってはいけない事だ!!OK!?



「流石に捏造記事は認められないわよ薫子ちゃん?」

「いぃ!?居たのたっちゃん!?……アハハ、捏造ってのは流石に冗談だって。
 これくらい言えば、もっと良いコメント貰えるかなーって感じだからね。――其れでは、続いて、世界初のIS男性操縦者の一夏君から何か一言
 貰えるかな?」



……無理矢理話題を変えたな。
だが、振られた一夏はどう応える?下手な答えを返す事は出来ないと思うが……



「期せずしてISを動かしたけど、俺がISを起動したのには何か意味があると思う。
 だから俺は、その意味が何であったのかを明らかにするために粉骨砕身努力していく心算だぜ――其れが、俺に課せられた使命だからな!」

「おぉっと、これまたカッコいいコメントを貰ったわ!!
 其れじゃあ最後に、そんな一夏君の双子の姉である蓮杖夏姫さんにお話を伺おうと思います。一言どうぞ!!」

「って、トリがアタシか!!」

これは幾ら何でも予想外だ……まぁ、良い、何を聞きたいんだ?



「是非とも、IS学園での目標なんかを聞かせて貰えるとありがたいかな~~?」

「そう言う事か……なら此処で宣言する。
 アタシは現生徒会が存続している内に生徒会長に戦いを挑み、そして勝ちたいと思っている!――その為には努力は怠らん!!
 お前の在学中に、生徒会長の椅子は私がもらうぞ楯無!」

「大胆不敵な宣戦布告ね……良いわ、乗ってあげる!何時でもかかって来なさいな!!」



言われずともその心算だ。
尤も挑むのは、お前がISRIからの専用機を受領してからになるだろうがな。



「ニヒルに笑う蓮杖さん……カッコ良すぎる!!」

「これは、結構良いかも……!!」

「とりあえず、此処に『キマシタワー』タグを追加しておこうね!!!」



追加するな馬鹿!!
はぁ、これもまた宿命なのかは分からないが一つだけ言わせて貰うなら、アタシに喧嘩を売るなら火傷では済まない痛手を被る事を覚悟してから
にしろよ?
覚悟もない奴が挑んでくるのは、不快極まりないからね。



「「「「「「「「「きゃーーーーー!!」」」」」」」」」」

「カッコいいのだ、ナッキー!!」

「「「蓮杖さん……素敵すぎ。」」」



もう突っ込まんが……鷹月と谷本と相川は、もう完全にアタシ側か――なら徹底的に鍛えるだけだからな。
其れで、他に何かあるか薫子さん?



「なら最後に、夏姫さんの決めセリフが欲しいかな?」

「其れ位ならば問題は無いが………決めセリフか、ならば『アンタじゃ燃えねぇな!』此れで如何だ?]



「充分です!!って言うか、夏姫ちゃんマジでイケメンすぎ!!この女殺しめ!!!」



天地神明に誓って、其れは無いと言い切る。と言うか、誰が女殺しかこの野郎!
アタシにはモテてる認識は無いからね……まぁ、アタシが無自覚なだけかも知れないから、本当にモテていると言うのならば、その現実は受け入
れる心算だ――尤も不純な輩は排除する、其れは何があっても変わらないがな!








――――――







Side:???


やってきたわIS学園!!
此処にあの人が、鈴お姉ちゃんが居るんだよね――待っててねお姉ちゃん、もうすぐ会いに行くからね!!

所で総合案内所って何処?……IS学園到着早々、道に迷いましたーー!!……仕方ない、知っていそうな人を捕まえて道案内を頼むしかなさ
そうね。

はぁ……初っ端から前途多難だわ此れ。



「む……編入生か?こんな所で何をしている?」

「神の助け!!実は総合案内が何処にあるのか分からなくて迷ってたんです~~!!」

「其れは災難だったな……私で良ければ案内しよう。」



ありがとうございます!恩に来ます。



「大袈裟だな。
 そう言えば名乗り遅れたな……私は織斑千冬と言う。この学園で教師を務めている。まぁ、宜しく頼む。」



織斑千冬って、まさかのブリュンヒルデ!?……学園到着直後に、こんなビッグネームにエンカウントするとは予想外だったわ。
だけど、其れに呑まれてちゃ、学園生活は送れないから、名乗らないと。

此方こそ宜しくお願いします織斑先生。――私は凰、凰乱音です。












 To Be Continued… 



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