一夏達が放課後の訓練を行っている最中に突如乱入して来た陽彩達……堂々と乱入して来たと言う事は、教師陣が乱入しないように正式なアリーナの申請をして
来たと言う事なのだろうが、問題は其処からだった。
陽彩は一夏に『俺と戦え』と言っただけでなく、『お前の嫁もぶちのめして俺の肉奴隷にする』と言う、誰が如何考えてもアウトな発言をぶちかましてくれたのだ。
無論、其れを聞いた一夏は秒で怒りが沸点に達した……まぁ、自分の嫁達をそんな風に扱うとか言われたらブチ切れて当然だわな。一夏は自分の嫁ズを心底愛し
てる訳だから、其れを無理矢理辱めようとする奴なんぞ滅殺上等なのだ。


「正義……テメェ、ガチで一度死んでみるか?一度死ねばその腐った根性も真面になるかもだぜ?」

「死ぬのはテメェだ織斑……俺が地獄の道先案内人になってやるよ。」


一夏と陽彩は顔がくっつきそうな至近距離で睨み合い、視線がバチバチと火花放電を起こしている光景を幻視するレベルだ――序に言っておくと、一夏も陽彩も顔
面偏差値がクッソ高いので、この光景は一部の腐女子には新たなネタになるかも知れんね。性格は兎も角、顔はイケメンの男子二人が至近距離で睨み合ってると
言うのは腐女子からしたらこの上なく美味しいシチュエーションですからな。……腐女子の思考は理解出来んて。


「其処までだ。」


一触即発の此の状況に『待った』を掛けたのは他でもない、この学園の生徒会長にして学園最強の称号を持つ夏姫だった。


「会長さん?」

「テメェ、邪魔すんじゃねぇ!」


まさかの乱入者に一夏は驚き、陽彩は牙を剥くが、夏姫はマッタク持って涼しい顔だ――学園最強の称号を持つ生徒会長たるもの、陽彩如きに牙を剝かれた程度
で怯む事などあり得ないのだ……そもそもにして夏姫は『強者』の更に上である『絶対強者』の領域に居る人物なので、陽彩如きが凄んだ所で、そんな物は蚊がと
まった程度でしかないのである。……陽彩が蚊と同じレベルか、五月蠅いし鬱陶しいし害にしかならないと、共通点多いな。殺虫剤で殺せないだけ陽彩の方が面倒
かもしれんが。


「そう言うな正義君……この勝負、生徒会が預からせて貰うよ。
 この勝負、学園祭で付けると言うのは如何かな?――生徒会でも出し物をしなくてはならないので、少しばかり何をしたモノかと悩んでいたのだが、世界に二人し
 か存在しない男性IS操縦者と、そのパートナー達の勝負と言うのは中々に盛り上がりそうだから、この勝負を生徒会の出し物にしようと思うのだけど如何かな?」


陽彩の事なんぞ何のそのな夏姫は、涼しい顔で『この勝負は生徒会で預かって、そして学園祭での生徒会の出し物にする』と言う事を提案して来た。学園祭ではク
ラスや部活だけでなく、生徒会も出し物を企画するようだが、一体何をやるかを決めていなかったらしく、『男性操縦者とその嫁ズによるバトル』は中々良い企画だと
思ったのだろう。


「……良いじゃねぇか、俺はその提案に乗らせて貰うぜ会長さんよ。
 学園祭なら外部からの人間も入るから観客の数はクラス対抗戦の時とは比べ物にならないだろうからな……其の大舞台でコイツをぶっ倒した方が面白そうだ!」


以外にもその提案に乗り気だったのは陽彩の方だった……『ウルセェ、俺は今コイツと戦いてぇんだ!』と喚き散らすかと思ったが、『大舞台で大勢の観客の前で一
夏を倒した方が俺の与えるインパクトがデカい!』と考えて夏姫の提案に乗ったのだろう。……アレだけ連敗しておきながら、如何して一夏に勝てると思うのか些か
謎ではあるが。
その陽彩の勢いに引っ張られたのか、シャルロット以外の陽彩の嫁ズも夏姫の提案に乗り気なのだが、其れとは対照的に一夏と一夏の嫁ズは難しい顔をしている
のだ……別に、今だろうが学園祭だろうが負ける要素は一切ないのだが、如何にもやる気が起きないと言う感じなのだろう。
一夏は、自分の嫁に対してふざけた事を抜かしてくれた陽彩をぶっ飛ばしてやりたいと言う気はあるのだが、夏休み中に更にレベルアップした一夏ならば、ドレだけ
夏休み中に千冬に扱かれたとは言え陽彩如き瞬殺出来るので、勝負が分かり切った試合を大舞台でやる意味がないと思っているのだ。


「良いわ、私達もその提案に乗らせて貰うわよ会長さん!」

「「「「「刀奈?」」」」」


だが、此処で口火を切ったのは一夏ではなく刀奈だった。
先程までとは打って変わって、其の顔には笑みが浮かんでいる……但し、その笑みはパッと見『人を魅了する笑顔』だが、実は『分かる人間が見たら100%卒倒す
る笑顔』であるのだが。(どんな笑顔かは御想像下され。)
そして、其れを見た一夏達は『あ、何かよからん事を思い付いたな』と直感したのだった……身内には『笑って許せる』程度のイタズラをする刀奈だが、敵に対しては
一切の容赦はしないからね。
果てさて、一体刀奈は何を思い付いたのか……











夏と刀と無限の空 Episode44
『Es ist eine schnelle Berührung, aber』










扇子に『大舞台歓迎』の文字を浮かべて笑みを浮かべる刀奈から放たれる圧力は、千冬には劣るとは言え相当なモノだったらしく、夏姫の提案に乗り気で、更に勝
つ気で居た陽彩達を一瞬怯ませるだけのモノがあったらしく、陽彩達は思わず息を吞んだ――いや、夏休み中に千冬に扱かれていなかったら、刀奈の放つ圧力に
押し潰されていたかもだ。


「へ、へぇ?お前等も会長の提案を受けるってのか……まさか、お前が答えるとは意外だったぜ刀奈?」

「気安く名前を呼ばないでくれるかしら?と言うか誰の許可を得て私の事を呼び捨てにしているのかしら?この世で私の事を呼び捨てにして良い男性は一夏とお父
 さんだけよ?……まぁ、貴方には敬称付きであっても名前を呼んでほしくないけどね。」

「オイコラ、だったら如何しろってんだよ!」

「言わなきゃ分からない?此れだから脳味噌のメモリーが初代のゲームボーイ以下の人間と話すのは疲れるのよね……端的に言って『話しかけるな』って事よ。
 こう言ってあげれば、人間になれなかったお猿さんにも分かるかしら?って、此れはお猿さんに失礼だったわね♪」


そして刀奈は陽彩達に『ゴミクズを見る様な視線』を向けると盛大に挑発する!煽る!!そしておちょくる!!
相手をおちょくって煽るのは刀奈の十八番であり、ISバトルでもこのスキルで心理戦を仕掛けて相手の冷静さを失わせてしまえば自分のペースに持って行く事も容
易いだろう。まぁ、仲間内の模擬戦では絶対に使う事のないスキルだが。


「相変わらず見事な毒舌八丁だな……『全世界毒舌競技会』ってのが存在してたら刀奈は間違いなく上位にランクインしてるんじゃないかと思うんだが如何よ?」

「否定出来ないね……其れこそ刀奈の毒舌を全て記録したら『更識刀奈毒舌大全』と言う本が出来るかも知れないんじゃないか?まぁ、敵に対して吐かれた毒を聞
 くだけならば爽快だけれどね。」

「よくもアレだけ相手をおちょくる言葉が息をするように出てくるのか少し不思議です。」

「美しいバラには棘があるって言うけど、刀奈の場合は『美しいバラには毒がある』って所だよね♪」

「多少毒がある方が、植物も動物も美しい場合が多いのも事実だ……猛毒で知られるトリカブトやチョウセンアサガオも、その花は実に可憐だからな。」


一夏達は刀奈の毒舌を賞賛(?)しているが、其れをやられた陽彩達はおちょくられた事に一瞬で気持ちが沸点に達したらしく、顔を真っ赤にしている……猿未満だ
って言われたら、そらムカつくわな。――まぁ、陽彩がやりたくなったら即行為に及んでるのを考えると、子孫を繋ぐ為でもないので猿未満なのかも知れんが。


「テメェ……言いやがったな?
 一夏をぶっ倒してお前等を倒して肉奴隷にするだけじゃ済まさねぇ……テメェ等、俺達に負けたらエロ本でヌードのグラビアやりやがれ!!」

「良いわよ?但し、貴方達が負けたその時は正義君、貴方ホモ専門雑誌でヌードグラビアやりなさい。勿論モザイク無しで♪」


ブチ切れた陽彩が何とも最低な提案をして来たが、刀奈は其れを遥かに超える超ド級のカウンターをぶちます!――エロ本でヌードグラビア以上にホモ専門雑誌で
モザイク無しのヌードグラビアってのはキツイ!ノンケの野郎だったら絶対に拒否したい事である……てか、モザイク無しって其れ普通に発刊されるのか謎だわ。


「盛り上がってるところ悪いが、其れは流石に却下だ。そんな雑誌にIS学園の生徒が載っていると言うのは大問題だからね。
 その提案は却下だが、代わりに勝利した方には生徒会から賞品として『全国共通テーマパーク無料フリーパス券』をプレゼントしよう……此方から提案したのだか
 ら、此れ位は奮発するよ。」


だが、其れは流石に色々とアウトなので、夏姫が『勝者には生徒会からの特別賞品』を出すと言って強制終了させた――普通は抽選の賞品でしか世に出る事のな
い『全国共通テーマパーク無料フリーパス券』を六枚も用意出来るってのは、其れはつまり生徒会の予算を使って買い取るって事なのだろう。……IS学園の生徒会
も中々に権力と財力があるようだ。


「会長さん、其れって使用期限あります?」

「現物が届かないと何とも言えないけれど、今からだと十月末までかな多分……あぁ、其れを使って外出する日が決まったら遠慮なく申請してくれて良い。その申請
 は最優先で通しておくから。」

「ありがとうございます。」

「って、待て織斑!テメェ、もう勝った気でいるのか!!」

「勝った気でいる?馬鹿を言うな、この勝負は俺達が勝つんだよ――千冬姉に扱かれて多少は強くなったみたいだが、其れでもお前等如きじゃ俺達の敵じゃない。
 宣言してやるぜ、学園祭の大舞台での試合は、俺達の六戦全勝だってな!」

「織斑……テメェ、その時が来たら必ずぶっ殺してやるから覚悟しやがれ!!」

「へ、やってみな。出来るならな。」


でもって、勝負が始まる前から『俺達の全勝だ』と言った一夏に陽彩が噛みついたが、一夏は首を掻っ切る仕草からサムズダウンをして『やれるモンならやってみろ
よ』と言わんばかりの態度だ。
此れに、陽彩は再び激高し掛けるが、其れよりも前に『一夏ってこんな奴だったか?』と言う思いが心中で巻き起こった――陽彩が知る『原作』の一夏は、救い様が
ない程のお人好しでなのだが、目の前の一夏は偽悪的な笑みを浮かべて『サムズダウン』しているのだから陽彩がそう思ってしまうのも仕方ないだろう。
元より自分が知る『IS』の世界とは色々と違う此の世界、特に一夏には違和感を覚えていた(戦闘力がメッチャ高い、鈍感で朴念仁じゃない等々)陽彩だが、この行
動を見てより『コイツ本当に一夏?』と言う思いが強くなったようだ……目の前の一夏は、正統派のヒーローと言うよりは、ダークヒーローと言った感じなのだから。



「織斑……学園祭がテメェの命日だ。其れを忘れるなよ!」

「テメェこそ、その日がお前の終焉の日だって言うころを忘れるなよ正義――いい加減、テメェ等に付きまとわれるのにはウンザリしてたんでな……学園祭でテメェを
 叩きのめして、終わりにさせて貰うぜ。テメェとの関係もな。」

「言っておくと、彼は凄いわよ?そして、彼だけじゃなく私達も凄いからね♪」

「宣言しよう、君程度の相手ならば、一夏ならば半分の力で圧倒出来るとね。勿論私達も彼女達を圧倒して見せようじゃないか。」

「半分だなんて……一夏なら三割の力で勝てますよロラン。
 と言うか一夏が本気を出したらその時点で試合終了です。同時に、私達が彼女達を圧倒する事も簡単だと思いますよ?」

「その意見には同意だなヴィシュヌ……一夏の実力は学園でもトップレベルだし、私達もその一夏の嫁に相応しくあるように鍛えているしな――負ける要素が全く見
 当たらないぞ。」

「精々楽しみにしてるよ学園祭の日が来るのをね……私達が貴方達を圧倒するその光景を多くの人に見て貰える訳だからね!」


疑問を持ちつつも一夏に噛みついた陽彩だったが、一夏が強烈に返して来たのを皮切りに、嫁ズも怒涛のラッシュを掛けて来た事で完全に勢いを失い、『此の……
精々粋がってろ!勝つのは俺達だ!』と、何とも言えない捨てゼリフにすらなっていないと思われる事を言ってアリーナから去って行き、箒達も其れに倣うようにアリ
ーナから去って行った。……一言も喋らんとは、何しに来たんだあの腰巾着共は?


「……お前は行かないのかデュノア?」

「いや……君にお願いがあるんだよ織斑君。
 学園祭で彼と戦うその時は容赦なくフルボッコにして欲しいんだよね。そうすれば、アイツを見限る理由が出来るからさ――正直、どのタイミングでアイツをポイしよ
 うかなって考えてたんだよ♪そろそろ、アイツのドヘタクソなアレに付き合わされるのもウンザリしてたし♪」

「お前、マジで腹黒いな。」


そしてシャルロットは矢張り腹黒い。この上なく黒い。まぁ、元々『男性操縦者のデータ』と『専用機の機体データ』が目的で陽彩に近付いた訳だから、目的が達成出
来れば何時までも一緒に居る意味は何処にもないのだけどね。……そして、直接的には言わなかったが、サラッと陽彩は夜の営みのテクニックは稚拙だと言う事が
暴露された。女性に『ドヘタクソ』って言わせるとか、ドンだけだと言う話であり、此れを直接聞かされたら陽彩のプライドは砕けてしまうかもだ。

取り敢えず伝えるべき事を伝えたシャルロットもアリーナから去り、一夏達は中断してしまった訓練を再開してアリーナの使用時間の限界まで訓練を行い、訓練後は
シャワールームで汗を流した後に皆で晩御飯――とはならず、夏姫は『今日は簪君にお呼ばれしてるんだ』と言って、アリーナで別れたので、一夏と嫁ズで晩御飯と
言う事になった。
その晩御飯のメニューは、みっちりと訓練をした後と言う事もあって可成りボリュームがある。
一夏はトンカツ定食のご飯特盛りにサバの味噌煮と青椒肉絲と回鍋肉を追加し、刀奈は唐揚げ定食のご飯大盛りと五目焼きそば、ロランは牛丼の大盛りつゆだくを
玉子付きにして其れとメンチカツ、ヴィシュヌはチキン南蛮定食のご飯大盛りときつねうどん、グリフィンはナムルカルビ丼の特盛とトンカツとワンポンドステーキ、クラ
リッサはカツ丼の大盛りと味噌ラーメンのトッピング全部乗せ……大凡並みの高校生の量ではないが、此れもまたアスリート飯って事なのだろう。グリフィンのメニュ
ーが肉爆盛りなのも最早突っ込みは不要である。


「それにしても、何だって彼は君に突っかかってくるのかな一夏?過去に彼と何かあったと言う訳ではないのだろう?」

「知らねぇよ、アイツとはIS学園に入学して初めて会ったんだからな……其れなのに何かある度に因縁付けて喧嘩吹っ掛けて来るんだから意味分からねぇってんだ
 よマジで。
 まぁ、アイツは自分が一番だって思ってるみたいだから単純に俺が気に入らないのかもな――俺が世界初のIS男性操縦者なのに対して、アイツは俺の存在が明
 らかになってから見つかった二人目だってのが気に入らないんだろうぜ……俺に言わせて貰えば『お前は何を言ってるんだ?』だけどな。」

「ホントに意味不明ね……其れに自分が一番ってドレだけナルシストなのよ彼は?……顔は悪くないから、相応の実力があれば少しばかりナルシストでも良いかも
 知れないけど、実力がないナルシストとか普通に引くわね。」

「実力がないナルシスト……正に自信過剰ですね。」

「或は極度に拗らせた中二病か……若しかしたら彼の右腕には何かが封印されているかも知れないな。」

「ナルシストでも中二病でも、どっちにしろ将来の黒歴史になるのは間違いないよね。」


晩御飯の最中、陽彩が一夏にやたらと突っかかって来る事を疑問に思ったロランが一夏に聞くも、そんな事は一夏にも分からないので、考えられる可能性を話すに
留まったが、刀奈が放った一言が切っ掛けになって『今更だけど陽彩は可成りヤバい奴』との認識に至った――陽彩は単純に一夏アンチをして一夏ハーレムをテメ
ェのモノにしたいだけなのだが、一夏からしたら初対面の相手から敵意を向けられると言うのはこの上なく意味不明な事でしかない……なので、陽彩を『ヤバい奴』
との認識を持つのは当然と言えるわな。
陽彩も一言一夏に『気に入らない理由』を突き付けておけば良かったのかも知れないが、陽彩は其処まで頭は回らなかったのだろう……見習い神から転生特典を
貰った事で満足した陽彩は、簡単に一夏アンチが出来ると思って居た訳だから、そもそもそんな事は考えてなかったんだろうけどな。


「まぁ、如何でも良いさ。アイツの事はぶちのめす、其れだけだ。
 でもって、アイツに関する話は此れで終わりにしようぜ?アイツの事を話してると折角の飯が不味くなっちまう……学食のおばちゃんが俺達の為に作ってくれた飯
 は美味しく食ってこそ、だろ?」

「「「「「確かに♪」」」」」


だが、その話も此処で強制終了――『飯が不味くなる』と言われるとは、相当嫌われてるな陽彩は。まぁ、臨海学校で一夏を殺し掛けた訳だから嫌われて当然だけ
どな……よくもまぁ、臨海学校の時嫁ズに半殺しにされなかったモンだ――いや、円夏がブッ飛ばしてなかったら嫁ズによるリンチが待っていたかも知れないがな。
その後は楽しいディナータイムを堪能していたのだが、その最中に一夏のスマホに夏姫からLINEでのメッセージが届いた……その内容は、『生徒会主催のイベント
の時はフェイスパーツをオフにして欲しい』と言う物。
一夏が『何で?』と返信すると、『フルフェイスタイプのフェイスパーツだとパイロットの表情が見えないから』との事だった――如何やら夏姫は『ガチのISバトルを行っ
ているパイロットの表情も魅力がある』と思っているらしく、生徒会の出し物を盛り上げるべく一夏達にこの要請をしたのだろう。
それに対する一夏の答えは『OKです』だった――勿論嫁ズの同意を得ての答えだ。フェイスパーツをオフにすると言うのは、その分だけ生身の部分を曝す事になる
ので、頭部に攻撃を受けたら即絶対防御が発動して機体のシールドエネルギーが大幅に減ってしまうのだが、逆に言えば頭部への攻撃を回避か防御出来れば絶
対防御は発動しないので問題ないと判断したのだろう――同時に其れは、『陽彩達が相手ならフェイスパーツオフ位のハンデがあって丁度良い』との思いが有った
のは間違い無いだろう。
其れだけを聞くと一夏達が陽彩達を侮って慢心してる様にも聞こえるかも知れないが、一夏達の此れは油断でも慢心でもなく、『強者の余裕』と言うモノだ……言う
なれば、一夏は虎であり嫁ズは女豹であり、それに対して陽彩とその嫁ズ(シャルロットは除く)は鼠に過ぎないのだ。『窮鼠猫を噛む』とは言うが、ギリギリまで追い
詰められた鼠が虎や豹に牙を剥いた所で、掠り傷すら負わせるどころかパンチ一発でKOされるのは目に見えている……つまり、其れだけの実力差があると言う訳
である。――その実力差を実際に戦ったにも拘らず認められない陽彩はある意味で憐れだと言えるだろう。その実力差を認めて己を鍛えていれば、チート特典と相
まって一夏と同レベルには成れたかも知れないからな。チートに頼ってる限りは一夏に勝つ事は出来ないだろうけどな。

そして食事の後は食休みを取ってからお風呂タイムになったのだが、今日は一夏が大浴場を使う事にしたのだけど、其処に嫁ズが一緒になったと言うのはもうお約
束であり一夏も『予想してたけどやっぱり来たか』と突っ込みは入れなかった。
まぁ、夫婦であれば一緒に風呂に入るってのも普通な事なので、一夏もすっかり慣れたモノであるみたいだし、嫁ズも一緒のお風呂タイムは純粋にその時間を楽し
んでいるので問題なしだ――本来女子が入って行かないように監視役をしているスコール先生仕事しろと言う気がしなくもないが。まぁ、スコールも一夏の嫁ズだか
らOKしているのだろう。
そしてお風呂タイムの後は一夏が嫁ズの髪をドライヤーでブローして整えてターンエンド……グリフィンだけは髪のボリュームが多いので時間が掛かるが、其れも一
夏は楽しんでいるみたいなので問題はないだろう。


尚、一夏達がこんな時間を過ごしていた頃……


「此れはコシャリ(エジプトの混ぜご飯)とターメイヤ(エジプトのそら豆のコロッケ)か……何方も大好物だよ。」

「夏姫はエジプト出身だから、頑張ってエジプト料理を調べて作ってみた……巧く出来てるかは自信がないけど。」

「……いや、美味しいよ簪君。特にこのターメイヤは、荒くつぶされたソラマメが逆に他の具材と言い感じに調和して全体の味わいを底上げしているし、超極細引きな
 パン粉のサクッとした食感も素晴らしい。」


夏姫と簪もまた良い感じの晩御飯タイムを過ごしていた。――其れは其れとして、可成りコアなエジプト料理のレシピを調べて其れを作った簪がハンパない……簪も
女の子なので、『好きな人に手料理を振る舞いたい』って思いはあったのだろう。相手も女性だと言うのには突っ込んではいけない。愛があれば性別なんてのは大
した問題ではないのだ……百合はOKでも薔薇はNGな男性が多いのに対して、百合も薔薇もバッチ来いな女性が多いのは何故なのだろうか?女性の方が守備範
囲が広いって事なんだろうな。知らんけど。








――――――








翌日、一夏達が登校すると、何やらクラスは盛り上がっていた。


「何か盛り上がってんな?一体何があったんだ?」

「さぁ?……静寐ちゃん、何を盛り上がってるのかしら?」

「あ、一夏君と刀奈さん!此れだよ!新聞部が出した号外!」


一体何事かと思い、刀奈がクラスメイトの静寐に聞いた所、その原因は新聞部が出した号外であり、そして其れを静寐から見せられた一夏と刀奈は納得した。と言
うのも、号外の見出しは『学園祭の生徒会の出し物は織斑一夏とその嫁ズvs正義陽彩とその嫁ズ!』と記されており、更に記事内部には『勝者は敗者に対して一つ
だけ命令出来る』との事が書かれていたのだ……此れは夏姫の独断だが、逆に言うならば夏姫から一夏へのプレゼントとも言えるかもだ。
陽彩が一夏に謎の敵対心を持っているのは夏姫も感じたのと同時に、『一夏と陽彩は離した方が良い』と考えてこんな事をしたのだ――其れを決断したのは、一夏
の実力があればこそだけどな。一夏の実力があれば陽彩に勝つ事は容易いと言う事は既に一学期の間に証明されている事だしね。


「会長さん……中々に面白い事を考えるじゃないか?」

「そうね……でも、私達の勝利は絶対で其れは揺るぎ様がない事よ――そして良い機会だから彼等に思い知らせて上げましょう一夏。私達に勝負を挑むと事がドレ
 だけ無謀なのかって言う事をね。」

「だな。口で言っても分からねぇ奴には、殴って分からせるしかねぇからな……尤も、アイツは殴られても分からねぇかもだけどな。」

「殴られても分からないとか、其れもう救いようがなくないかしら?」

「確認不要。」

「つまり救いようがない訳ね。」


そしてまたしても陽彩は言葉でフルボッコだ……更に此処で一夏が『学園祭で俺達は全勝するぜ』って宣言したのも大きいだろう――凡百なIS乗りが言ったのなら
ばビッグマウスに過ぎないが、一夏は世界でもトップクラスの力を持つIS乗りなのでビッグマウスではなく、其れは嫁ズも同様だと言えるだろう。嫁ズは誰もがモンド
・グロッソで優勝出来るだけの実力を有しているのだからね。

でもって、本日の授業は特に問題なく消化されて行き、ホームルームでは男装ホストクラブで提供するメニューを決める事に……此処でも様々な意見は出たが、此
れが中々決まらない。
矢張り自分達の模擬店で出すメニューには拘りたいのだろう……一夏はクラブのママだけでなく料理長も務める事になるだろうな。


「スナック系としてサンドイッチ、ピザ、たこ焼き、フライドポテト、フランクフルト。スウィーツ系でケーキ、シュークリーム、プリン、チョコレートムース、ゴマ揚げ団子か。
 流石に全部やるのは難しいから、スナック系とスウィーツ系から三つずつ選ぶ事にするか。」

「そうね。此処は公平に投票で決めましょう。」


んで、出て来た候補ので投票が行われ、その結果スナック系はピザとたこ焼きとフランクフルト、スウィーツ系はケーキとシュークリームとゴマ揚げ団子に決定!した
だけではなく、メニュー名もちょっと凝った感じのモノにする事も提案され、其れも採用する事に。
尤も本日は此処でホームルームが終了の時間になったので、メニュー名はまた後日と言う事になったのだが……『織斑ママの揚げたこ焼き』なんてメニュー名が出
て来そうな気がするな。

全ての授業が終わった後の放課後には『古武術部』で学園祭の出し物は何にするかと言う会議が行われ、様々な案が出たのだが、最終的にはヴィシュヌが提案し
た『格闘バー』で決まり、店の名前も『格闘バー・コロッセオ』に決まった。。
会場は古武術部の道場で、会場の中央にはリングを設置して格闘技の会場の様な雰囲気を出し、一夏以外の部員――つまり女子は、ラウンドガールのコスチュー
ムで接客をすると言う訳だ……四組の男装ホストクラブとは逆に、此方は男性客を呼べそうである。
『バー』とは銘打っているモノの、流石に学園祭でアルコールは提供出来ないので飲み物はソフトドリンクオンリーになるが、其れ以外のメニューならば割と自由と言
う事で提供メニューはハンバーガーとチキンナゲットとフライドポテトになり、ナゲットとポテトのディップソースはオーソドックスなバーベキューとマスタードだけじゃなく
て和風と超激辛の四種類に決まったのだった。


「時に、皆はラウンドガールのコスチュームで接客って事になったけど、俺は一体どんな格好で接客すれば良いんだ?流石に空手着で接客ってのは変だと思うから
 な……インパクトはあるかも知れないけど。」

「そうね……女子がラウンドガールなら、一夏はレフェリーのコスチュームなんて如何かしら?」

「兄さんならリングアナウンサーも良いんじゃないか?」

「ヒールレスラーの悪徳マネージャーでも良いと思う。一夏はどっちかって言うとダークサイドだからそっちでも行ける筈。」

「一夏ならばプロレスラーが入場時に使っている派手な衣装でも行けると思います……あの様な衣装が一般に売っているかが問題ですが。」


女子達はラウンドガールのコスチュームで接客するのに対し、一夏のコスチュームは如何するかと言う話になったのだが、此れも最終的にはレフェリーのコスチュー
ムに落ち着く事になった。まぁ、リングアナウンサーやヒールレスラーの悪徳マネージャーだとラウンドガールとのギャップがあり過ぎるからな。
そして、本日の部活は文化祭の模擬店での会議でお開きになる所なのだが……


「お兄ちゃん!」

「大事件よ一夏!!」


其処に軽音部のコメット姉妹が突如参上!
手にはA4サイズの雑誌の様な物を手にしているが、其の顔は可成り切羽詰まって居ると言うか、『トンデモないモノを見てしまった』と言った感じであり、トンデモない
何かがあったのは間違いなさそうだ。


「ファニールにオニール、如何したんだ?其れと、その雑誌みたいのなに?」

「大変なんだよお兄ちゃん!部活が終わったから寮に戻ろうとしたんだけど、その途中でこの本拾ったの!そしたら、そしたらトンデモないモノが描かれてたの!!」

「は?」

「口で説明するのも嫌だから、取り敢えず中身を見てみて。」


如何にもオニールの説明が要領を得ないので、ファニールからその雑誌――と言うよりは『表紙の無い薄い本』を受け取ってその中身を確認したのだが……


「ななな、何じゃこりゃーーーーーーー!!」


中身を見た瞬間一夏は絶叫した。松田優作の如く絶叫した。
其の絶叫に嫁ズや円夏、簪もその本を覗いてみたのだが、見た瞬間に全員の顔が『嫌なモン見ちまったー!』ってな顔に……一体その本に何が描かれてたのかと
言うと、まぁ一夏と陽彩が『禁則事項』してる場面です。
名前こそ『一火』と『緋色』と変えられているモノの、その容姿は一夏と陽彩其の物であるのだ……此れは確かにファニールの言う通り大事件だわな。


「ふざっけんな!何だって俺がアイツとこんなおぞましい事せにゃならんのだ!てか、誰だよこんなおぞましいモン描いたの!肖像権侵害で訴えんぞマジで!!!」

「此れは……多分下手人は漫研の誰かだと思う。『漫研が学園祭で新作売る』って言う話を聞いたし。」

「ちょっと簪、其れってマジなの?……学園祭でこんな物を売ったら間違いなく大問題になるわよ!?……いえ、学園祭で売らずとも一夏の許可なくこんな物作って
 る時点で大問題だけどね?」

「酷い内容ではあるが画力が無駄にあるのが逆に腹立たしいな……同人誌は日本のサブカルチャーでも人気のコンテンツだと思って居たが、こんなにもおぞましい
 物も存在しているとは……」

「本当におぞましい事この上ない……同性愛と言うモノを否定する気は更々ないが、しかし実在の人物をモデルにしてと言うのは言語道断ではないかな?如何に名
 前の表記を変えているとは言え、此れは紛れもなく一夏だからね?」

「私達の一夏を勝手に使うとは、つまりそう言う事ですよね?」

「間違いなく喧嘩売ってるっしょ此れ……今日は文化祭の模擬店決めで身体動かしてないから体力残ってるんだよね?……さて、如何する一夏?」

「決まってるだろ……漫研にカチコミ掛けんぞお前等!!」

「「「「「おーーーーー!!!」」」」」


その大事件に対し、一夏達は漫研へのカチコミを敢行!!一夏と嫁ズだけでなく、古武術部の他の部員も加わった事から、此れは単純に一夏だけの問題ではない
と考えたのだろう……『合法的に暴れる事が出来る』と言う脳筋少女も居たかも知れないが。


「……円夏は行かないんだ、意外。」

「私も行っても良かったんだが、此れの事を学園側に通報しないとだからな……お前こそ行かないのか簪?」

「オタクと腐女子は似ている様で決して相容れない存在だから関わり合いになりたくない……でも、漫研の子は基本的に健全なオタクだから、腐女子が居た事に驚
 いてる。」

「……会長と付き合ってるお前でもBLはダメなのか?」

「女子高で百合カップルが誕生するのは現実でもある事だけど、男子校で薔薇カップルが誕生する事は可成り稀だって言う事が、BLの特殊性を物語ってるよ。」

「さよか。」


で、一夏達のカチコミを受けた漫研は『何事!?』と驚いて居たが、一夏が例の本の事を話すと更に驚き、寧ろ逆に犯人捜しを手伝ってくれた――そして、その結果
一年一組の漫研所属生徒二名が描いた事が判明し、部室から逃げようとしていたその生徒はグリフィンとヴィシュヌに捕まり、キン肉マンスーパーフェニックスとキン
肉マンビッグボディのツープラトン『ゴッドブレス・リベンジャー』でお仕置きされたのだった……いやぁ、アレはまさかのツープラトンだった。
その後、部長が部員の暴走のお詫びとして即興で作ったとは言え『文化祭での漫研の模擬店の無料券』を渡してくれたので、其れは素直に受け取っておいた。
でもって、グリフィンとヴィシュヌにお仕置きされた生徒二人は、今度は部長によりみっちりと説教を喰らう羽目になったのだった……アニメや漫画のキャラなら未だし
も、現実に存在してる人間を使ったらアカンよな。同人、二次創作の世界に於いて『ナマモノ』はタブーだからね。
更にその後、円夏から通報を受けた千冬が漫研に現れ、この二人は更に千冬からも説教を喰らう事に……ホントに踏んだり蹴ったりだが、其れもまた自業自得でし
かないので同情は出来ないな――この二人は興味本位だったのかもしれないが、興味本位でやり過ぎると痛い目を見ると言う事が身に染みた筈だ。『好奇心猫を
殺す』とは正にこの事だわな。

カチコミを終えた一夏達はと言うと、シャワーを浴びてから本日は夫々の部屋で晩御飯を取る事にしたらしく、一夏はヴィシュヌとの晩御飯を楽しんだのだった。
因みに今日の晩御飯のメインディッシュは、タイ米の炒飯を玉子で包んだ『タイ風オムライス』だったのだが、一夏のオムライスにはオイスターソースで『Ichika LOVE
💗』と入っていた……大人しそうに見えて、意外と自己主張するタイプなのかもなヴィシュヌは。其れ以前にケチャップじゃなくてオイスターソースで書くってのは相当
に器用だな、うん。
其れに一夏は少し照れつつも美味しく頂いた。
漫研での一件はあったが、本日も概ね平和であったと言っていいだろう――寮に戻ったファニールが陽彩の部屋に例の薄い本を放り込んで陽彩に精神的ダメージ
を与えていたけどな。……ファニールGJである。








――――――








――更識ワールドカンパニー・南風野吏研究室


更識ワールドカンパニーのIS開発部門主任である南風野吏こと篠ノ之束の為に設けられた此の部屋で、束は一人PCと睨めっこしていた――だが、其れは決して新
たなISの開発とかではない。
PCの画面に映っているのは、クラス代表決定戦の時の陽彩とセシリアの試合映像なのだから――一般には公開されていない映像ではあるが、IS学園のメインコン
ピューターにハッキングを仕掛けてこの映像を入手したのだ。……IS学園の電脳セキュリティはペンタゴンに匹敵すると言うのにこうもアッサリハッキングしちまうとは
流石は束と言った所か。


「……この動き、コイツは金髪ドリルの弱点を知ってた?……其れだけなら、試合前に金髪ドリルの試合の映像でもどっかで見つけて研究すればあり得る事かも知
 れないけど、BT兵器に完全に対応するってのは、いっ君の存在が明らかになってから見つかった二人目が出来る事じゃないよね?
 いっ君だってマーちゃんのビットに慣れるには一年以上掛かったんだから……あのクズが三カ月足らずでそんな事が出来る筈がない――其れだけでもこの上なく
 異常なんだけど、其れよりも気になったのは今や表の歴史から抹消されてる楯無の名を知ってた事と、臨海学校の時に福音を『無人機』だと言い切った事だね。
 あの時ちーちゃんは福音が無人機だって事は一言も言って無かったのに、アイツは福音を無人機だと判断していた……まるで『其れが正しい事である』様に。」


キーを叩きながら、束は陽彩への疑念を高めていく。
考えてみれば、最初からおかしかった――要人保護プログラムで転校した箒の事をやたらと気に掛け、IS学園に入学後は箒だけでなく、セシリアや鈴、ラウラまでも
己の周りに囲う事になったのだから。
其れだけならば兎も角、使用している機体は束であっても再現出来ないと言う機体であり、その製作者は神だとしか考えられないのだから疑うなって言うのが無理
だってモンだろう。束を越える頭脳を持った人間など存在しないのだから。
そして、そもそもにして束は陽彩が気に入らなかった――実の弟の様に可愛がっている一夏に意味不明な因縁を吹っ掛けては勝負を挑んでいただけではなく、臨
海学校の時には機体にバグが発生していたとは言え一夏を殺し掛けたのだから。
あの時円夏が陽彩をブッ飛ばして居なかったら、間違いなく束は陽彩を拉致って、ショック死しないように麻酔で痛覚を麻痺させた上で『直ぐ死なない拷問』を行って
いただろう。


「束さんでも作れない神製のIS……そして、まるで此れから先の事を知っているかのような行動の幾つか――平行世界からやって来たなっちゃんとかたちゃんの言
 葉を信じるなら、此の世界は無数に分岐してる事になる。
 それらを総合的に判断すると……正義陽彩、お前は――いっ君をアンチすることを目的にして、神からクソチートな特典を貰って現れた此の世界にとっての最大の
 イレギュラー。正義陽彩、お前……

























 転生者だな?」


そして、今この時、世紀の大天才は世界で二人目となるIS男性操縦者の正体に辿り着いたのだった……そして、其れは同時に陽彩にとって最大の不幸だったのか
も知れない。
だって、陽彩は本来ならばこの世界の誰もが知る筈がない自身の秘密を束に知られてしまったのだから……











 To Be Continued 







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