No Side


ここはネオ・ドミノシティから遠く離れた異国の地にある大都市『ミアレシティ』。
きれいに整備された石畳通りに西洋風の建物が連なる美しい街並みが特徴的だが、一方でライディングデュエルに適したハイウェイコースもある。
主に芸能方面が盛んな都市であるが、そこにある人気のない路地裏で密かにデュエルが行われていた。
1人はチンピラみたいな少年で、もう一人は…。


「オッドアイズ・アーマー・ドラゴンでトドメだ!『スパイラル・シュラーク』!!」


――ドガシャァァァァ!!


「ぶへらぁぁぁぁぁ…!!」
チンピラ:LP1800→0


かつてシグナーやダークシグナー達に仇なしたサイコデュエリストの少女…ブランシュ・ノーチラスであった。
人工のシグナーの痣の影響がなくなったためか、身体的に急成長を遂げており半年前の面影は殆どなくなっている。
あの頃のような刺々しさや狂気は殆ど無くなったといってもいいが、今しがた憂いのある表情をしていた。


「さてと、そっちの知っている事を話してもらおうか。」

「ひぃっ…!俺は何も知らねぇ!
 むしろ、こっちがこのデッキの出所を知りたいくらいだ!!」

「そう…なら、早く警察とか行ってさっさと持ち主にデッキを返してやれよ。」

「ひえっ、すみませんでしたぁぁぁぁぁ!」


このチンピラからは何も情報を得られそうにないとわかると、彼女はDボードに乗ってその場を立ち去った。
かつての彼女なら容赦なく血祭りに上げていただろうが、あの頃と比べるとだいぶ穏やかになったようである。
そして、何かの手がかりを求めているようであるが…。


『臨時ニュースです。先ほど、またしてもミアレシティでデッキが強奪される事件が発生し…』


これは、ネオ・ドミノシティでのゴースト事件の時期にこの舞台で起きたとある事件の話。
ブランシュはその事件を早く解決するために奔走していた。










異聞・遊戯王5D's 外伝 −esprit− Turn1
『融合じゃねぇ!』










Side:ブランシュ


「はぁ…今回も収穫なしか。」


先ほどのチンピラとのデュエルも特に目ぼしい収穫はなし。
最近は少しでも気になる情報を得ようと人気の少ない路地裏でこういう奴の相手をする事が多いのだけど、こんなのばかり。
突然目の前にデッキが置いてあったとかそういうのばかりで、目ぼしい情報は得られていない。
この地で起きているデッキ強奪事件を解決するまでは、既に隣国へ行ったミスティの下へは戻れないのにな。

なにせ恥ずかしながら俺も盗難の被害受けてる以上、このまま帰るわけにはいかないわけだ。
カオスエクシーズは兎も角、シェルアーマーまで盗まれたという体たらくだからな。
変な輩にトビーの命が与えてくれたこいつが悪用されると思うと、気が気でいられない。
数日前に、別のデッキを持っていったために自分の部屋に置いていたけど何者かに盗まれた。
ミスティ曰く、俺らしき奴が持って行ったらしいのだけど…そんな馬鹿な。
俺らしき奴ってことは犯人は俺のクローンとかかも知れないけど、もしそうならとっくに他の目撃情報が出てきてもおかしくないんだがな。

ただ、俺の場合は強奪ではなく盗難だから同一犯じゃないかもしれない。
だけど、この現状はどうにかしないと。
このままじゃ被害ばかりが増える一方だ。


――キィィィィィン!!


「ん、こいつは…?」


そう思いながら帰路につくためにDボードを走らせていると…誰かにつけられたか?
後ろに一台の白いDホイールに乗った白のライダースーツの姿があるな。
…こいつ、何者だ?


「ようやく見つけたぜ『氷海の白い悪魔』!!ここで会ったが百年目、俺とデュエルだ!」

「いきなり出てきてなんなんだアンタは…!」


いかにも厨二的な二つ名で呼ばれ、思わず頭を抱えたくなる。
実はある事件が切欠で一部の奴からは、こう呼ばれるようになったんだ。
この地方で武者修行をしていた際に、あるテロ集団を潰した事があってだな…。
俺だけの功績じゃないけど、その暴れぷりが原因で畏怖されるようになったわけだ。
勿論、その前にも地方の大会を荒らしてた事も原因の1つだろうけれども。


「アンタじゃねぇ、俺の名はユーゴだ!

「融合?」

ユーゴーじゃねぇ!ユーゴだ!!間違えてんじゃねぇ!」


こいつ、ユーゴって言うのか。
ふざけて融合ってボケてみたけど、このようにキレられるみたいだからこれ以上はよそう。

いずれにしても、これは逃げられる状況じゃなさそうだ。
ま、いいか…突っかかって来る以上は何を知ってるか吐いてもらわないとね。
どうもアホっぽいからあまり期待はしないけど、事件解決に役に立つ情報を持ってるかもしれない。


「あ〜、はいはい…ま、挑まれた以上は逃げるわけにはいかないね。」

「そうこなくちゃな!いくぜ!」


俺はまだぎりぎりDホイールに乗れる年齢じゃないから、ライディングデュエルはエンジン付きスケートボードみたいなDボードで行っている。
馬力やその他のスペックなどはDホイールとは厳しい差があるけど、そこは小回りの良さや例のアレなどでカバーするしかない。


――フィールド魔法『スピードワールド2』セット。デュエルモードオン。


「「ライディングデュエル、アクセラレーション!!」」


――グン…


さて、ライディングの先攻・後攻は第一コーナーをどれだけ早く曲がったかによって決まる。
やはりというか機体差を埋めるのは難しいわけで…先に曲がられたか。
仕方ない、まずはお手並み拝見といかせてもらおうか。


「「デュエル!!」」


ブランシュ:LP4000
ユーゴ:LP4000



「先手必勝、俺のターン!自分フィールドにモンスターが存在しない時、手札からSR(スピードロイド)ベイゴマックス』を特殊召喚できる!」
SRベイゴマックス:ATK1200


複数のベーゴマを連ねたようなモンスターが出てきたけど、速攻型か?


「ベイゴマックスが召喚・特殊召喚に成功した時、デッキからベイゴマックス以外の『スピードロイド』1体を手札に加えられる。
 俺はチューナーモンスターSR(スピードロイド)三つ目のダイス』を手札に加え、そのまま召喚!」
SR三つ目のダイス:ATK300


チューナーという事は、いきなりシンクロ召喚というわけか。
名前に反して融合使いというわけじゃなさそうだ。


「俺はレベル3のベイゴマックスに、同じくレベル3の三つ目のダイスをチューニング!
 十文字の姿持つ魔剣よ、その力で全ての敵を切り裂け!シンクロ召喚!現れろHSR(ハイスピードロイド)魔剣ダーマ』!!」


HSR魔剣ダーマ:ATK2200


やはりというか、早速シンクロモンスターを出してきた。
攻撃力は高くはないみたいだが…!


「魔剣ダーマの効果発動!1ターンに1度、墓地の機械族1体を除外し相手に500ダメージを与える!」


――シュゥゥン!!


「っ…!」
ブランシュ:LP4000→3500


む、ダメージレースで先手を撃たれたか。
後で響くだろうけど、現状は大したものじゃない。
なにせ、まだ始まったばかりだしな…本番はここからだ。


「俺はカードを1枚伏せて、ターンエンドだ。」

「俺のターン!」

ブランシュ:SC0→1
ユーゴ:SC0→1



「俺は手札から『コロソマ・ソルジャー』を召喚!」
コロソマ・ソルジャー:ATK1300


「このカードが召喚に成功した時、手札の水族か魚族のモンスター1体を墓地へ送り1枚ドローする!
 ここで、俺のフィールドの水属性1体――コロソマ・ソルジャーをリリース!
 デッキから『オッドアイズ・ドラゴン』を墓地へ送り、手札からこのモンスターを特殊召喚する!
 現れろ、甲殻の鎧纏いし二色の眼を持つ竜『オッドアイズ・アーマー・ドラゴン』!!」

『ガァァァァァァァァァ!!』
オッドアイズ・アーマー・ドラゴン:ATK2800



「早速出やがったか、オッドアイズ…!


こいつはオッドアイズ・ドラゴンをデッキに入れる必要があるとはいえ、俺の新たなエース級の強力なドラゴンだ。
シグナーを憎んでいた時の俺とは一味も二味も違うぜ。








――――――








Side:ユーゴ


なんて奴だ…DボードのくせしてDホイールに食らいついて来てやがる。
それに、少しばかり俺のDホイールの動きが悪い気がするのはどういうことだ?

まぁ、走れてはいるし今はいいか。
で、いきなり相手はエース級のモンスターを出してきやがった。
こいつの能力相手じゃ、墓地の三つ目のダイスの効果は意味をなさねぇか。


「バトルだ!オッドアイズ・アーマー・ドラゴンで魔剣ダーマを攻撃!
 このカードは攻撃した時、ダメステ終了後まで一切の効果を受けない!喰らえ『スパイラル・シュラーク』!!」


――ドガァァァァァ!!


「おっと、危ねぇ…!」
ユーゴ:LP4000→3400


流石に『氷海の白い悪魔』と評される奴のフィールだけあって凄まじいな。


「やりやがったな…百万倍にして返してやるぜ!

「お、おう…俺はカードを2枚伏せてターンエンド。」

「いくぜ、俺のターン!」


ブランシュ:SC1→2
ユーゴ:SC1→2



「俺は手札からSR(スピードロイド)ダブルヨーヨー』を召喚!」
SRダブルヨーヨー:ATK1400


「ダブルヨーヨーが召喚した時、墓地からレベル3以下の『スピードロイド』1体を特殊召喚できる!
 この効果で呼び戻すのは、チューナーモンスターSR(スピードロイド)三つ目のダイス』!」
SR三つ目のダイス:DEF1500


「今度はレベル7のシンクロ…か。」


ああ、だが今度のは一味違うぜ!


「いくぜ!俺はレベル4のダブルヨーヨーにレベル3の三つ目のダイスをチューニング!
 その美しく煌く翼翻し、光の速さで闇を穿て!シンクロ召喚!現れろ『偏光龍 クリアウィング』!!」

『グオォォォォォォ…!!』
偏光龍 クリアウィング:ATK2500



「何だ、こいつ…決闘龍、なのか?

「それが何だかよくわからねぇが、こいつが俺のエースモンスターだ!」


そもそも、俺には決闘龍ってのがなんなのかさえわからねぇしな。
もっとも、このままじゃお前のオッドアイズは倒せない…ならば。


「ここで罠発動『スピードリターン』!これで墓地の『スピードロイド』1体を特殊召喚する!
 この効果で呼び戻すのはHSR(ハイスピードロイド)魔剣ダーマ』!!
 そして、クリアウィングの攻撃力はフィールドのこのカード以外のシンクロモンスター1体につき500アップする!」

HSR魔剣ダーマ:ATK2200
偏光龍 クリアウィング:ATK2500→3000



これでオッドアイズの攻撃力は上回ったが、まだまだいくぜ!


「さらに墓地から『スピードリターン』を除外し、もう1つの効果も発動!
 こいつでお前のオッドアイズの表示形式を変更させてもらう。」
オッドアイズ・アーマー・ドラゴン:ATK2800→DEF2000


「このままでも倒せるのに表示形式を変更した…貫通持ちか。」


そういうことだ。
このままでも奴のライフを0にできなくはないが、もっと行かせてもらうぜ!


「さらに、スピードスペル『Sp−スピード・グラビティ』を発動!
 相手のモンスター1体の攻守をターン終了まで俺のスピードカウンター1つにつき500ダウンさせる!
 俺のスピードカウンターは2つ…よって、オッドアイズの攻守は1000ずつダウンだ!」
オッドアイズ・アーマー・ドラゴン:DEF2000→1000 (ATK2800→1800)


「バトルだ!魔剣ダーマでオッドアイズに攻撃!貫通攻撃を喰らえ!」


――ドォォォォォォン!!


「っ…!」
ブランシュ:LP3500→2300


この攻撃は通ったか…だが、あの2枚の伏せカードが発動しないのが気味が悪い。
だが、何であろうと叩いてみるのみ。


「これで終わらせてやる!クリアウィングでダイレクトアタック!『ヘルダイブ・ソニック』!!」


――ビュゥゥゥゥン!!


「そうはさせるか、ダメージ計算時に罠カード『回遊流し』を発動!
 まずはこれでこの戦闘でのダメージを半分にする!うわあああぁぁあぁっ…!
ブランシュ:LP2300→800


やっぱ一筋縄じゃいかねぇか。
これじゃ、魔剣ダーマの効果込みでも削り切れねぇ…!


「その後、デッキからレベル3の水族『ザリガニカブト』を手札に加える。」

「バトルは終了だ。俺は魔剣ダーマの効果を発動!墓地の機械族1体を除外し、お前に500ダメージを与える!」

「ぐはっ…これで、追い詰められたというわけか。」
ブランシュ:LP800→300


だが…このままいけば、次の俺のターンでスピードカウンターは4。
手札にはスピードスペルが1枚あるから今度こそ仕留められる。
墓地には攻撃を無効にできる三つ目のダイス、そして手札には…これならいける。


「俺はこれでターンエンド!」








――――――








Side:ブランシュ


まさか、どこの馬の骨とも知らない奴が決闘龍を思い出させるドラゴンを持っていたなんてな。
だけど、あいつの反応を見る限りでは多分違うだろうとは思う。
恐らく…今は盗まれてて手元にないけど、俺のシェルアーマーみたいなものかもしれない。

それにしても、ここまで追い詰められたか。
あいつのフィール、遊里ほどじゃないけど中々凄まじい。
そして、次のあいつのターンでスピードカウンターは4。
スピードスペルを握られてたら、スピード・ワールド2の効果でお陀仏という寸法だ。

だけど、詰めが甘い。
こっちは幾度となく死線を潜り抜けてるんだ、このターンで決めれば何も問題はない。
こいつに勝てないようじゃ、遊里へのリベンジは到底果たせないだろうしな。


「俺のターン!」


ブランシュ:SC2→3
ユーゴ:SC2→3


「悪いけど、このターンで決めさせてもらうとするかな。」

「何…俺の場にシンクロ2体がいる中、このターンで決めやがるだと?」


ああ、そうだ…このターンで決められないと逆にこっちがやられるからな。
もっとも、クリアウィングの方はもう1つ効果を持ってそうだけど…まずは見極めさせてもらうとするか。


「スピードカウンターが2つ以上あるため、スピードスペル『Sp−エンジェル・バトン』を発動!
 デッキから2枚ドローし、手札から1枚を墓地へ送る。
 ここで『ザリガニカブト』が手札から墓地へ送られた事で効果発動!
 デッキから『カニカブト』と『ザリガン』を1体ずつ手札に加える。」

「カニカブトとザリガン…!」


サポートが多いとはいえ、何も知らなきゃ弱小通常モンスターでしかないからね。
それでも、俺のデッキを支えてくれる存在だ…今にその可能性を思い知らせてやる。
だけど、その前に…まずはこっちだ。


「ここで俺の場にモンスターが存在しないため、墓地の『ドライ・シュリンプ』を除外し効果発動!」

「最初のコロソマ・ソルジャーのコストで墓地へ送ったモンスターか…!」


そういうこと…ちなみにこいつの効果は墓地へ送られたターンには使えなかったりする。


「そうだ。この効果で墓地の融合素材モンスターを除外し、レベル6以下の『甲殻』の融合モンスター1体を融合召喚する!」

「だから、ユーゴーじゃねぇ!ユーゴだ!!
 …なんて言ってる場合じゃねぇ!モンスター効果での墓地融合か!」


別にアンタのこと言ってるわけじゃないからな。
…自分で突っ込んだけど。

ライディング形式だと基本的に通常の魔法カードを使えないから融合主体の戦術は難しいというのが常識。
『Sp−スピード・フュージョン』はスピードカウンターが必要なだけでなく、各種融合サポートに対応していないのがあまりに厳しい。

それなら、罠やモンスター効果で融合召喚ができればその問題点は容易にカバーできるというわけだ。
一時旅をしている時に、モンスター効果での融合という戦術に巡り合えた。
シンクロとエクシーズ全盛期な今だからこそ、融合戦術で革命を起こすのもアリだと思う。

そういえばネオ・ドミノの方では、SXキラーという意味不明なのを使うゴーストなんてのが出てきたという噂もあった。


「俺は墓地の『オッドアイズ・ドラゴン』と『ザリガニカブト』を除外し、融合!
 甲殻纏いし者よ、神秘の竜と共に潮渦巻きて新たなる力と生まれ変わらん!融合召喚!現れろ『甲殻激竜オッドアイズ・ガリデス・ドラゴン』!!」

『ガァァァァァァァア…!!』
甲殻激竜オッドアイズ・ガリデス・ドラゴン:ATK2000



「攻撃力は魔剣ダーマにも及ばねぇみてぇだが…!」

「そう、こいつの真骨頂はモンスター効果だ。
 デッキからレベル3以下のモンスター1体を墓地へ送り、オッドアイズ・ガリデス・ドラゴンの効果発動!
 このカードが融合召喚に成功した時、特殊召喚されたモンスター1体を対象として手札に戻す!
 対象はクリアウィング!手札の代わりにエクストラデッキへぶっ飛べ『ボルテクス・ウェーブ』!!」


――ザバァァァァアア!!


「そうはいかねぇ!俺はクリアウィングの効果を自らを対象に発動!
 1ターンに1度、場のカード1枚を対象とし、このターンに1度だけそのカードを対象とする相手のカード効果を無効にする!
 ガリデス・ドラゴンの効果は対象を取る効果…よって無効だ!『スペクトル・シャット』!!」

「防がれたか…それなら…!」


成程、対象を取る効果を1ターンに1度だけ無効にできるというわけか。
やはりというか、中々強力なドラゴンといえる。
だけど、あくまでこれで無効にできるのは1ターンに1度でしかない。
それにこの効果のコストで墓地にモンスターを仕込むのが本当の狙いだ。


「続いて、墓地から『フリーズ・シュリンプ』を除外して効果を発動!」

「今度はさっきのガリデス・ドラゴンのコストで送ったモンスターか…ってまた融合じゃねぇか!


ガリデス・ドラゴンは除去だけでなく発動時に墓地肥やしもこなせるのが強み。
状況に応じて、色々と仕込める潤滑剤としての役割もあるわけだ。
そして、フリーズ・シュリンプも墓地起動での融合カードだ。


「この効果で手札・フィールドから融合素材モンスターを墓地へ送り、『甲殻』の融合モンスター1体を融合召喚する!
 俺が融合するのは、手札の『ザリガン』と『カニカブト』!
 鋭き棘よ、甲冑と共に潮渦巻きて新たなる力と生まれ変わらん!融合召喚!現れろ、月光に潜みし深淵の狩人『甲殻怪人カブトザリガン』!!」

『グッフッフ…!』
甲殻怪人カブトザリガン:ATK2500



で、この2体の融合でこのように強力なのが出せるわけだ。
ザリガニカブトのおかげで素材が揃いやすいため、かなり出しやすい部類なのも魅力。

もっとも、まだ展開は続けさせてもらうけど。


「さらに俺はスピードカウンターが2つ以上あるため、スピードスペル『Sp−ヴィジョン・ウィンド』を発動!
 これで、墓地からレベル2以下のモンスター『ザリガン』を甦らせる!」
ザリガン:ATK600


「だが…!」

「慌てるなよ、俺はまだ通常召喚を行っていない。
 俺はザリガンをリリースし、『甲殻砲兵ロブスター・カノン』をアドバンス召喚!」

『フンッ…!』
甲殻砲兵ロブスター・カノン:ATK2200



「ロブスター・カノンが手札からの召喚・特殊召喚に成功した時、相手の特殊召喚されたモンスター1体を破壊し500ダメージを与える!
 確か、クリアウィングの効果は1ターンに1回のみ有効だったな?
 クリアウィングに狙いを定め、撃ち放て『ハイドロ・ブレイカー』!!」

「ちっ、クリアウィングの弱点を狙ってきやがったか…!
 だが…俺は手札からSR(スピードロイド)エアシューター』を除外し、ロブスター・カノンを対象に効果発動!
 これでターン終了までロブスター・カノンの効果を無効に…あっ!


あ、気付かれたか。
残念ながら、カブトザリガンがいる以上はそうはいかない。


「気付いたようだけど、ここでロブスター・カノンを対象にカブトザリガンの効果を発動!
 墓地の水族モンスター1体を除外し、ターン終了時までロブスター・カノンを対象として発動したモンスター効果を無効にする!
 これでエアシューターの効果は無効…よって、結局クリアウィングは退場となる。」


――バシュゥゥゥゥゥン!!


「ぐっ、クリアウィングが…!」
ユーゴ:LP3400→2900


まずはクリアウィングを撃墜。
ちなみに除外したモンスターはザリガンだ。
というわけで、そろそろ決めるとするか。


「バトル!まずはカブトザリガンで魔剣ダーマに攻撃!」

「やらせねぇ!俺は墓地の三つ目のダイスを除外して効果を発動し、この攻撃を無効にする!」


やっぱりそうか…前のターンでのオッドアイズの攻撃時に墓地をチラ見してたのが見えたからな。
だけど、それで守れると思わないことだ。


「悪いけど、そう来ることは想定内だ。
 除外された水族のフリーズ・シュリンプをデッキに戻し、カウンター罠『ギョッ!』を発動する!
 このカードの効果により三つ目のダイスの効果の発動を無効にさせてもらう。」

「うげっ、そのカードを伏せてやがったのか…!」


その気になればクリアウィングの効果も無効にできたけど、あえてとっておいたわけだ。
このように墓地起動のモンスター効果を防ぐためにもね。


「よって、攻撃は続行だ!引き裂け『シザース・エクスキュージョン』!!」


――ズバァァァァ!!


ぐおっ…!
ユーゴ:LP2900→2600


「続いて、ロブスター・カノンでダイレクトアタック!『バレル・ストライク』!!」


――ドガァァァァ!!


「ぐぁぁぁっ…!」
ユーゴ:LP2600→400


「さてと、後で話はじっくり聞くとして…これでトドメだ!
 オッドアイズ・ガリデス・ドラゴンよ、その二色の眼で捕えた全てをぶっ飛ばせ!『螺旋のスウィール・ストリーム』!!」


『ガァァァァァ…!!』


――ドバッシャァァァァァア!!



「があぁぁぁぁぁぁぁ…!!」
ユーゴ:LP400→0






決着と同時にあいつのDホイールが停止したな。
とりあえず話を聞かないと。


「いっちっち…噂通り強いなぁ、流石は『氷海の白い悪魔』と評されることはあるぜ。」

「…とりあえず、俺の事はブランとでも呼んでくれれば。」


その二つ名で呼ぶのはやめるんだ…聞くだけで頭痛くなってくるから。
それよりも…。


「で…どうして、いきなり俺に勝負を挑んできたんだ?
 しかも、デッキ強奪事件で騒がれてるこんな時期に。」

「ああ、それについてだが…ブラン、って呼べばいいんだったな。
 いきなり挑んできて悪かった…けど、その実力を見込んでお前に頼みがあってきた。

「…俺に?」


どうやら俺の実力を頼って、何かお願いしに来たみたいだ。
デュエルに挑んできたのは、その実力を確かめるためだったんだろうな。

だけど、俺も人のお願い聞いている暇はない状況だ。
まいったな、無下にするのもどうかと思うし…話だけでも聞いてみるか。


「俺の幼馴染のリンってのがいるんだけどよ。
 実は数日前からてっきり見かけなくなって心配なんだ、それで…」

は…?


ちょっと待て…リンって言ったか?
そういえば居候先の親父さんがその子の名前を呟いていたような気が…?
しかも数日前ってことはごく最近だろう。
俺のデッキが盗まれたのは3日前で強盗事件はその後に多発してる。

となると、まずはこいつを親父さんに会わせてみるか。


「待った、悪いけど話は後だ。
 まずは来てほしい所があるから、ついてきて。」

お、おい…!待てって!


――ギュイィィィィィン!!


立ち話もあれだし、ついてくるように促してDボードを走らせる。
まずは居候先まで行くか…だけど、まずは親父さんに連絡だ。


『おお、ブランくん!どうした急に?』

「急にごめん、実は…リンって子の幼馴染を自称するユーゴって奴を見つけたんだけど。」

『何だって!?それでは、直ちにハンサムハウスまでそのユーゴくんを連れてきてもらえないだろうか?』


親父さんにユーゴのことを伝えると、やはり関心を持ったようで連れてくるように促してきた。
それなら、話が早い。


「ああ、そのつもり。今、彼を連れてそっちに向かってるところだ。」

『わかった。では、到着を待っているよ。』


そして、通信が切れる。
できるだけ、早く向かわないと。









「そういや、さっきのデュエル…俺のDホイールの調子がおかしかった気がするんだが?」

「さ、さぁ…?気のせいじゃないかな?」


ごめん、実のところサイコパワーの力で後ろから引っ張って無理やり付いていたなんて言えない。
こっちはDボードでどうしても機体差がありすぎるから、Dホイールに本気出されたら勝負どころじゃないからね。
早く、Dホイールに乗れる年齢になってライセンス取りたい。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



「来てほしい場所って…ここか?」

「ああ、ここが俺が居候している『ハンサムハウス』だ。」


そういうわけで目的地へ到着。
ここはミアレの住宅街の一角にあるハンサムハウス。
親父さんが拠点としている探偵事務所だ。
利害の一致と彼のご厚意により、俺はここに居候させていただいていたりする。


「ただいま、連絡通り例の彼を連れてきた。」

「おっと、失礼します。」

「おお!お帰り、ブランくん!それに君は初めましてだったね、ユーゴくん。
 私がハンサムハウスの所長のハンサムだ、よろしく。」

「お、おう…こちらこそ。」


入った先で出迎えてくれたのが親父さんことハンサムだ。
ハンサムというよりもダンディというのが相応しそうな風貌な気がするけど、突っ込まないでおく。
一件胡散臭そうだけど、路頭を彷徨う羽目になった俺に手を差し伸べてくれた恩人なのは事実だ。


「ああ、それで君にはリンについて話してもらいたい。」

「いいぜ、実は…」


そして、ユーゴが話したのは主にリンのこと。
彼女はユーゴの幼馴染らしいのだけど、親父さんの所にも世話になっていたらしい。
それで彼女が行方を眩ませたのは俺がデッキを盗まれた日と同じだった。
そうなると、このデッキ窃盗事件に関わっていると考えるのが自然だ。
だけど、問題はそのリンが目撃されたという情報が何もないことだ。

待てよ、俺に似た奴をミスティは見かけたと言っていた。
しかも、オカルトめいたものがあるということはシグナーの存在や俺のサイコパワーなどが立証済み。
そう考えると…俺たちが相手をしようとしている奴は、相当厄介だと容易に推測できる。
だからといって、捨て置くわけにはいかないけど。

そして、俺と親父さんで事件を解決するのに奔走している事をユーゴに話しておいた。
すると、彼は…。


「今のところ、リンを探し出す唯一の手掛かりなんだ。
 それに、デュエリストの魂たるデッキを強奪するなんて凶行を許せねぇ!
 頼む、俺もこの事件を解決するのに協力させてくれないか!」


自ら、捜査に協力を申し出てくれるみたいだ。
ここで俺と親父さんは互いに表情で合図する。


「私たちとしても事件を迅速に解決するために、一人でも多く協力者が欲しかったところだ。
 ユーゴくん、私たちは君を歓迎しよう。」

「そういうわけで、改めて宜しく。」

「ああ!」


こうしてユーゴが事件の捜査に協力してくれることになった。
と、ここで親父さんが話を切り替える。


「それでブランくん、彼以外には特に収穫はなかったわけか。」

「悪い…今日もダメだった。」

「ふむ…人気のない路地裏でしか起こりえないはずなのだがな。
 それでも捜査が上手くいかない理由、こうは考えられないだろうか?
 君が二つ名を持つほどの有名人で実力者なのは私もご存じだ。
 つまり、犯人は君を相当警戒しているため姿を現さないのだと私は睨んでいる。


言われてみると一理ある。
確かに俺はここで名を轟かせている有名人みたいだからな。
もし相手が俺が来ることを察知できていたとしたら、そんな勝ち目の薄い戦いはしたくないだろう。
本当にそうなら、俺には捜査は務まらないという事か。


「確かに、ということは俺には…」

「つまり、有名になりすぎるというのも状況によっては考え物というわけだな。」

「いや…大丈夫だ、私にいい考えがある。


親父さんには何かアイデアがあるみたい。
それで、上手くいければいいのだけど。
とりあえず、手段はあまり選んでられない現状だ…何が何でも試してみるべきか。








――――――








No Side


ここはミアレシティの地下深く…薄気味悪いとある研究施設の一部屋。
この中で水面下で活動を続ける者が二人いる。
一人は恰幅の良い体型をし、研究に没頭しているあまり陽の光を浴びておらず不健康そうな白い肌をした科学者の男。

そしてもう一人、寝台に仰向けで寝ている全身を黒いスーツで包んだ女性がいる。
なお、彼女はフルフェイスのヘルメットを被っておりその素顔は伺えない。

ここで彼らは何やら実験を始めるようである。


「クセロシキおじさん…いつも思うのだけど、本当に寝てるだけでいいんだよね?」

「そうだゾ、このまま寝てれば実験は勝手に終わる。」

「うん、わかった…」


そして、彼女はクセロシキと呼ばれた男の言う通りに眠りにつく。
すると、彼が手元にスイッチらしきものを用意し…。


「臨床テストを再開するゾ…リモートコントロール機能、オン。」


音声認識によりスーツの機能を作動させると、寝ていたはずのスーツの女が起き上がる。
ヘルメットの顔面部には『E』の文字らしきものが浮かび上がっていた。


「では…エスプリよ、手筈通りにいくのだゾ。」

「ハッ…!」


すると、瞬時にエスプリと呼ばれたスーツの女が外へと消える。
人間業とは思えないその動きはスーツの機能によるものだろう。


「ここまでで身体強化機能、リモートコントロール機能、スニーキング機能、デッキイジェクト機能ともに良好。
 あるお方から手渡された予算がもうじき尽きるが、今のところテストは順調。
 もうすぐだゾ、我が研究の悲願『イクスパンションスーツ』の完成は…!」


そうして彼は狂気の笑みを浮かべるのであった。

一人の科学者の狂気が生み出し、人知を超えた4つの機能を内包した『イクスパンションスーツ』
今しがた、ミアレシティはその脅威に晒されているのであった。














 To Be Continued… 






登場カード補足






甲殻激竜オッドアイズ・ガリデス・ドラゴン
融合・効果モンスター
星6/水属性/ドラゴン族/攻2000/守2500
「オッドアイズ」モンスター+水族モンスター
「甲殻激竜オッドアイズ・ガリデス・ドラゴン」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが融合召喚に成功した時、デッキからレベル3以下のモンスター1体を墓地へ送り、フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを持ち主の手札に戻す。



甲殻怪人カブトザリガン
融合・効果モンスター
星5/水属性/水族/攻2500/守1600
「ザリガン」+「カニカブト」
このカードは上記カードを融合素材にした融合召喚でのみ特殊召喚できる。
(1):1ターンに1度、自分の墓地の水族モンスター1体を除外し、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
このターン、そのモンスターを対象として発動したモンスターの効果を無効にする。
この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「甲殻」モンスター1体を手札に加える。



オッドアイズ・アーマー・ドラゴン
効果モンスター
星7/水属性/ドラゴン族/攻2800/守2000
(1):このカードが手札にある場合、自分メインフェイズに自分フィールドの水属性モンスター1体をリリースして発動できる。
自分の手札・デッキ・フィールドから「オッドアイズ・ドラゴン」1体を墓地へ送り、このカードを手札から特殊召喚する。
(2):このカードは攻撃する場合、ダメージステップ終了時までこのカード以外のカードの効果を受けない。



甲殻砲兵ロブスター・カノン
効果モンスター
星6/水属性/水族/攻2200/守1700
「甲殻砲兵ロブスター・カノン」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが手札からの召喚・特殊召喚に成功した時、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊し、相手に500ダメージを与える。



コロソマ・ソルジャー
効果モンスター
星3/水属性/魚族/攻1300/守1200
(1):このカードが召喚に成功した時、手札の魚族・水族のモンスター1体を墓地へ送って発動できる。
自分はデッキから1枚ドローする。



ザリガニカブト
効果モンスター
星3/水属性/水族/攻 850/守 900
「ザリガニカブト」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが手札から墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「カニカブト」「ザリガン」1体ずつを手札に加える。



ドライ・シュリンプ
効果モンスター
星1/水属性/水族/攻 0/守 600
「ドライ・シュリンプ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。
自分の墓地からレベル6以下の「甲殻」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。



フリーズ・シュリンプ
効果モンスター
星2/水属性/水族/攻 500/守1100
「フリーズ・シュリンプ」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):自分メインフェイズに自分フィールドの水属性モンスター1体をリリースし、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
(2):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。
自分の手札・フィールドから「甲殻」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。



偏光龍 クリアウィング
シンクロ・効果モンスター
星7/風属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1):1ターンに1度、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
このターンに1度だけ、そのカードを対象として発動した相手のカード効果を無効にする。
この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):このカードの攻撃力は、このカード以外のフィールドのSモンスターの数×500アップする。



SR(スピードロイド)エアシューター
効果モンスター
星3/風属性/機械族/攻1000/守 900
「SRエアシューター」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手メインフェイズにこのカードを手札から除外し、フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。



スピード・ワールド2
フィールド魔法
(1):このカードはカードの効果を受けず、フィールド魔法カードをセット及び発動できない。
(2):お互いのスタンバイフェイズ毎に発動する。
このカードに自分用スピードカウンターを1つ置く。(最大12個まで)
(3):自分が「Sp」 魔法カード以外の魔法カードをセット及び発動した場合に発動する。
自分は2000ダメージを受ける。
(4):このカードのスピードカウンターを任意の個数取り除いて発動できる。
取り除いた数によって以下の効果を適用する。
●4つ:手札の「Sp」魔法カードを任意の数だけ相手に見せ、その数×400ダメージを相手に与える。
●7つ:自分はデッキから1枚ドローする。
●10つ:フィールドのカードを1枚選んで破壊する。



Sp−スピード・グラビティ
スピードスペル
(1):相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力・守備力は、ターン終了時まで自分のスピードカウンターの数×500ダウンする。



Sp−エンジェル・バトン
スピードスペル
(1):自分のスピードカウンターが2つ以上存在する場合に発動できる。
自分はデッキから2枚ドローし、その後手札を1枚捨てる。



Sp−ヴィジョン・ウィンド
スピードスペル
(1):自分のスピードカウンターが2つ以上存在する場合、自分の墓地のレベル2以下のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。



回遊流し
通常罠
(1):相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動できる。
その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージを半分にする。
その後、デッキから魚族・水族のレベル3以下のモンスター1体を手札に加える。



スピードリターン
罠カード
(1):自分の墓地の「スピードロイド」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
(2):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、相手フィールドの攻撃表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの表示形式を変更する。