Side:鬼柳


覚悟は出来てるよな?墓地の『インフェルニティ・クィーン』の効果で、フォルト・スクライドは、このターン、貴様にダイレクトアタックが可能となるぜ!
バトル!煉獄龍 フォルト・スクライドで、プレイヤーにダイレクトアタック!!『インフェルニティ・デス・ブレイザー』!!


『ガァァァアァッァァアッァアッァアァァ!!!!』


――キュゴォォォォォォォォ……ドガバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!



「いってれぼぎゃぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
名も無きチンピラ未満:LP2000→0


フン……粋がってこの店に恐喝掛けて来た割には、この程度か――マッタク持って、この程度じゃ満足できねぇぜ。


「いよ~~!!さっすがは鬼柳の旦那!!カスリ目当てで近付いて来るチンピラなんぞ、相手にもならねぇな!!」

「敢えて手札をゼロにする事で最強の力を発揮するハンドレスコンボ……そのギリギリの強さに痺れるわね……」


だが、店に来てる客から褒められるってのは悪い気分じゃねぇ――そう言う意味では『バウンサーデュエリスト』は性に合ってるのかもしれないな。
まぁ、給料は悪くないし、俺の稼ぎがDホイールの強化改造費に一役買ってるって言うなら、其れは其れで満足して良いのかもしれないぜ。











異聞・遊戯王5D's Turn81
『Hand less Bounzer』











「いやはや、しかし相変わらずの強さだね鬼柳ちゃん?……いや、初めてここに来た時よりも、ハンドレスの凄味が増したかな?」

「さてな……自分じゃわからねぇよ。」

所変わって、俺は現在ある極道の屋敷に居る――まぁ、平たく言えば俺をバウンサーデュエリストとして雇った雇い主の屋敷だな。
ただ金を持ってるってだけなら雇われる心算はなかったが、コイツは堅気には手を出さずに、弱き者は護る本物の侠客だったから、雇って貰った。
外道と極道をはき違えてる奴等が蔓延る昨今で、本物の任侠モンに出会えただけでも僥倖だからな……そう言う意味では、ラッキーだったぜ。

更に言うなら、此処の親分が遊里のファンだったってのも大きいかもな?
俺と遊里がダチだって事を言ってやったら、物凄く興奮して、サイン色紙を求めて来たからな……まぁ、そのお蔭で採用確実だった訳だけどよ。


「なあ、本気でウチの組に入らないか鬼柳ちゃん?お前さんなら、速攻で幹部クラスになる事だって夢じゃないぜ?」

「その好意は有り難いが、遠慮しとくぜ……俺はあくまでもバウンサーだ。
 其れに、俺がアンタの組に入っちまったら、其れは遊里達との別離を意味するだろ?――そんなのは俺が嫌だし、何より満足出来ないからな。」

「そうかい……まぁ、鬼柳ちゃんならそう言うと思ったよ。――そうだ、仲間を蔑ろにしちゃいけねぇよ。
 もしも、受けてたらこの場でバウンサーをクビにしてたよ鬼柳ちゃん……お前さんは、お前さんの道を踏みしめて行きな。」


言われなくてもその心算だ。――で?


「ん?」

「それ以外に、俺に何か用があるんだろ?――アンタが、何もなしに俺を飯に誘うとは思えないからな。」

「ったく鋭ねぇ鬼柳ちゃん………その通りだ、ちょいと仕事を頼みたいのさ。」


仕事?……この組の系列店のバウンサー以外の仕事って事か?


「平たく言えばそう言うこったな――実は、俺のシマに無断で店を出した不届きモンが居てな……そいつを如何にかしてほしいのよ。
 店自体は良くあるバーなんだが、法外な値段を吹っかけるぼったくり店な上に、腕利きのデュエリストを抱えてる厄介な店で、如何にもならねぇ。
 そこで、鬼柳ちゃんに如何にかしてほしんだけど、やってくれるかい?」


……人のシマで勝手に、其れも悪徳商売とは見過ごす事は出来ねぇな?
良いぜ、組長……その仕事受けてやる。任侠モンの法を破ったクソッ垂れに、煉獄の裁きを下してやる……精々、俺を満足させてくれよな?


「頼りになるね鬼柳ちゃん――取り敢えず、子分を2人程同行させるから、何とかやってくれや!」

「「ウス!お願いします、鬼柳のアニキ!!」」


……やとわれ用心棒が、正規組員にアニキ呼ばわりされるってのは如何なんだ?――悪い気分はしないけどな。
まぁ、良い――行くぜお前等、筋を通さない下衆野郎に、身の程ってもんを教えてやろうじゃないか……無手札の鬼神が、直々に出向いてやるぜ。



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と言う訳で、件の店にやって来た訳だが――


「ダーク・アームド・ドラゴンで、ダイレクトアタック!『ダークアームズ・パニッシャー』!!」

「「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!」」
LP1000→0


「クソ弱いなぁ?……義村組?其れが如何した!!
 この店のオーナーは、この俺『石動弾』だ!!カスリ目当てで近付いて来るチンピラには容赦しねぇぞ!!」


よりにもよって、オーナーがプロデュエリストの石動弾だとはな……確かにコイツは、ヤクザ組織のデュエリストが手に負える相手じゃ無さそうだぜ。
しかし、カスリ目当てとは言ってくれるじゃないか?――然るべき所に、通すべき筋を通さなかった奴が言うセリフとは思えないな?

オイ、その辺にしとけよ?


「き、鬼柳のアニキ!!」

「……貴様が、鬼柳京介か?」

「そうだよ石動弾……俺が鬼柳京介、人呼んで『無手札の鬼神』だ。」

随分と羽振りのいい店を経営してるみたいだが、お前此処のシマを取り仕切る奴に筋は通したのか?
如何にプロデュエリストとは言え、その辺の筋を通さずに店を出すってのは、幾ら何でも思い上がりが過ぎると思うぜ俺は?

「貴様の本業はプロデュエリストか、其れとも実業家かどっちだ?
 プロデュエリストだって言うなら、今直ぐ店をたたんでプロリーグに帰れ、実業家だってんならデュエルを辞めてシマを取り仕切る奴に筋を通せ。」

さぁ、貴様はどっちを選ぶ?――其れとも、俺とデュエルをして白黒つけるか?
お前が勝てば、俺達は何も言わないで此処から去ってやるが、俺が勝ったらシマを取り仕切る奴に筋を通した上で、ショバ代を払ってもらうぜ。


「貴様……良いだろう、デュエルで白黒が付くと言うなら望むところだ!!」

「なら決まりだな……俺を、満足させてくれよ!」


「「デュエル!!」」


鬼柳:LP4000
弾:LP4000



「先攻は貰うぜ……俺のターン!!」

コイツは早々に良い手札が揃ってくれたぜ――俺はカードを1枚セットし、魔法カード『煉獄の契約』を発動。
俺の手札が3枚以上ある時、手札を全て捨て、その後捨てたカードの中から『インフェルニティ』1体を選択して、俺のフィールド上に呼び戻す!
深き煉獄より蘇れ、無限煉獄の将『インフェルニティ・ジェネラル』!!


『ムオォォォォォォ!』
インフェルニティ・ジェネラル:ATK2700



ターンエンドだ。


「俺のターン!!手札より魔法カード『レベル操作』を発動!ライフを1000ポイント払い、デッキから『LV』モンスターを2体まで手札に加える!
 俺はこの効果で、『アームド・ドラゴン LV10』と『アームド・ドラゴン LV MAX』を手札に加えるぜ!」
弾:LP4000→3000


レベルデッキか……と言う事は、さっき使ってたダーク・アームドのデッキは本気じゃなかったって事か……


「更に魔法カード『レベル上げ』を発動!
 手札の『LV』モンスター1体を特殊召喚する!!来い『アームド・ドラゴン LV5』!!」

『アンギャアァァァァ!』
アームド・ドラゴン LV5:ATK2400


アームド・ドラゴン……攻撃型のパワーデッキか。
アームド・ドラゴンの破壊効果と、高攻撃力を生かしたデッキは強力かも知れないが、俺を満足させるに足りるモノか見させてもらうぜ?


「ほざけ!このターンで貴様は終わりなのだ!!手札から魔法カード『レベルアップ!』を発動!
 この効果で、アームド・ドラゴン LV5は、レベルアップして更なる力を手に入れる!!来い『アームド・ドラゴン LV7』!!!」

『ムオォォォォォォォォォ!!』
アームド・ドラゴン LV7:ATK2800



「更に、アームド・ドラゴン LV7をリリースし、『アームド・ドラゴン LV10』を特殊召喚!!」
アームド・ドラゴン LV10:ATK3000


「そして、此れが俺の最強モンスターだ!!
 アームド・ドラゴン LV10をリリースし……最強の破壊の龍が降臨するぜ!!来い『アームド・ドラゴン LV MAX』!!」

『ウゴアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』
アームド・ドラゴン LV MAX:ATK4000


1ターンで、攻撃力4000とは流石はプロと言ったところか?
だが、確かに凄いかもしれないが、この程度じゃ俺は満足できない……貴様の持てる力を全て出してくれよな?


「粋がりやがって……だが、コイツで貴様のハンドレスは崩れるぜ!!
 手札より魔法カード『強欲な施し』!!互いのプレイヤーは、デッキからカードを2枚ドローする!!……此れでハンドレスは崩れたな?」

「そう思うか?……だとしたら甘すぎる!
 トラップ発動『インフェルニティ・インフェルノ』!手札を2枚まで捨て、デッキから捨て札と同数の『インフェルニティ』を墓地に送る!
 手札2枚を墓地に送り、デッキから『インフェルニティ・ビートル』と『インフェルニティ・ネクロマンサー』を墓地に送るぜ。」

「!!……無手札の鬼神の名は伊達じゃないみたいだな……だが、俺の勝ちは動かねぇ!
 アームド・ドラゴン LV MAXの効果発動!!手札を1枚捨て、相手フィールド上のモンスターを全て破壊する!『アームズ・ジェノサイド』!!」


――ドガァァァァァァァァァァァン!!!


手札がサンダーボルトの効果になるとは恐ろしいな……召喚出来れば、エンドカードにすらなりかねないか……


「これで、貴様を護るモンスターはない!!
 アームド・ドラゴン LV MAXでプレイヤーにダイレクトアタック!!『アームズ・デストロイヤー』!!!」


――ドガァァァァァァァッァァァアッァアァァァァン!!


鬼柳:LP4000→0



「ククク…俺の勝ちだな?」

「……そう思うか?……フィールドを良く見てみるんだな。


――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!


「な、此れは…門!?」


俺の命が尽きる刹那に、煉獄との扉が此処に繋がったって事さ……


――ギィィィィィィィィィィ……


『グオォォォォォォォォォォォォォ!!』
煉獄龍 フォルト・スクライド:ATK3000



俺の手札が0、フィールドのカードも0の状態で、俺のライフが0になる時、墓地の『煉獄の無限門』の効果が発動する。
ライフが尽きる事での敗北を無効にし、エクストラデッキから『煉獄龍 フォルト・スクライド』を特殊召喚する!
そして、この効果で呼び出されたフォルト・スクライドが存在する限り、俺に敗北は有り得ねぇのさ!理解したかプロデュエリスト!


「馬鹿な……クソ、ターンエンドだ!!」

俺のターン!!

俺は
『インフェルニティ・ミラージュ』を召喚!


インフェルニティ・ミラージュ:ATK0


そして、インフェルニティ・ミラージュの効果発動。
手札が0の時、このカードをリリースして、墓地から2体まで『インフェルニティ』を呼び戻す!!
来い
『インフェルニティ・ネクロマンサー』『インフェルニティ・ビートル』!!!


インフェルニティ・ネクロマンサー:DRF2000
インフェルニティ・ビートル:ATK1200



更に、インフェルニティ・ネクロマンサーの効果で、墓地の『インフェルニティ・ビショップ』を特殊召喚するぜ!


インフェルニティ・ビショップ:DEF2000


「此れは…まさか!!」

此処からがインフェルニティによる宴の始まりだ……置いて行かれるなよ!!
 俺は、レベル4のインフェルニティ・ビショップとレベル3のインフェルニティ・ネクロマンサーに、 レベル2のインフ
 ェルニティ・ビートルをチューニング!無の煉獄に攻め入る愚者に、無限煉獄の門番の爪牙が降り注ぐ。
 シンクロ召喚!噛み砕け
『インフェルニティ・ケルベロス』!!!

『ウワオォォォォォォォォォォォォォォォン!!』
インフェルニティ・ケルベロス:ATK2700


インフェルニティ・ケルベロスの効果発動。
俺の手札が0枚の時、1ターンに1度、相手フィールドまたは墓地のカード1枚を除外できる。
俺がこの効果で除外するのは『アームド・ドラゴン Lv MAX』!煉獄の狭間に消え失せろ!


――バシュゥゥゥゥ!


「そ、そんな馬鹿な……」


プロデュエリストって事だから多少期待したんだが、初戦はこの程度か……満足には程遠いぜ。
バトルだ!!煉獄龍 フォルト・スクライドとダイレクトアタック!!
失せろ……
『インフェルニティ・デス・ブレイザー』!!!


――キィィィィン………ドガバァァァァァァッァァァッァッァッァァァァッァアァァァン!!!!


「イッテレッボ!?」
弾:LP3000→0



フン……デュエルには満足でき無かったが、貴様をぶちのめす事が出来たなら、其れは其れで満足だぜ。
だが、兎に角約束通り、然るべき所に筋は通して――


――バガァァァァァァァアァアッァアアァアン!!


「全員動かないで、この店のオーナーには、違法商法での逮捕状が出ています……大人しくお縄につきなさい!!」


と思った矢先の乱入者はセキュリティか……まぁ、確かにコイツ等は野放しには出来ないけどな……如何してコイツ等を?


「前々から、この組織は怪しいと思って居たのだけれど、摘発の材料になるモノが無かったのよ。
 だけど、遊里さんに頼んだら、物の見事に『黒い経営実態』が明らかになったわ――本当に、今の今まで逮捕されなかったのが不思議なくらい。」


其処までか……其処までコイツ等を調べ上げた遊里に脱帽だがな。
だが、この腐れ外道は、実業家としてもデュエリストとしても再起は不可能だろうな――テメェの愚行を牢獄の中で後悔すると良いさ。

ともあれ、今回の件はコイツで一件落着って所だな





ま、俺の働きに感激した親分さんが、遊里のDホイールの新型エンジンの開発に、資金面での援助を申し出てくれたのは嬉しい誤算だったけどよ。

此れは、遊里の新型エンジン開発も加速するかも知れないな――だったら、コイツで満足出来たぜ――!














 To Be Continued… 






登場カード補足





アームド・ドラゴン LV MAX
レベル12    風属性
ドラゴン族・効果
このカードは通常召喚出来ない。自分フィールド上の「アームド・ドラゴン LV10」1体をリリースした場合にのみ特殊召喚できる。
自分のターンのメインフェイズに1度、手札1枚を捨てて発動できる。相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。
ATK4000    DEF3000



レベル操作
通常魔法
ライフを1000ポイント払って発動する。
デッキから「LV」と名の付くモンスターを2体まで選択して手札に加える。



レベル上げ
通常魔法
手札から「LV」と名の付くモンスター1体を選択して特殊召喚する。
この効果で特殊召喚されたモンスターは、エンドフェイズにゲームから除外される。