Side:ジャック
ふ、矢張り俺の前に立つのはお前か遊里。
エキシビジョンまであと15分と言うところか……気分が高揚しているのが自分でも分かる。
エキシビジョンはライディングデュエル故に、互いに最高にして最大の、最強のフィールをぶつけ合う事が出来る。
何よりも、サテライトでのあのデュエル…余計な横槍が入らなければ俺は負けていた。
だからこそ、お前とのデュエルはこんなにも魂が奮え、デュエリストの本能が燃え滾るだろうな……まるでお前を倒せと言っているようだ。
無論絶対王者は誰が相手であろうとも負ける事は許されん!
俺はお前を倒して、デュエリストとして更なる高みに上る!!…尤も、お前もその心算だろうがな
「ふ…絶対王者か……今この時はそんなモノは関係ないな。
お前と戦う俺は、絶対王者などではなく、只の『デュエリスト、ジャック・アトラス』だ――だからこそ思い切り掛かってくるが良い!」
遊里、お前の最高の戦術を粉砕して俺は勝つ――最高のデュエルを楽しんだ上でな。
さぁ遊里、俺とお前で最高のデュエルをしようではないか!!
異聞・遊戯王5D's Turn22
『再演!女帝vs王者!!』
Side:遊里
遂に来たわねこの時が!!あの日、サテライトでは決着の付かなかったアタシとジャックのデュエル…その決着を付ける時が!!
あのデュエルは余計な横槍が入らなければ、多分アタシが勝ってた…ジャックの手札が分からないから確かな事は言えないけどね。
でも、正直言うと、あのデュエルを中断された事はアタシの中で猛烈なもやもやになって残ってるのよね…まぁ、仕方ないけど。
けど、そのもやもやも今日で消えてくれる。
だって、エキシビジョンデュエルには途中中断なんてものは無いんだから。
互いにライフが0になるまで持てる全ての力をぶつけ合う……此れこそデュエルよね♪
「エキシビジョン5分前…そろそろスタート地点に行ってた方が良いよね。」
絶対王者を待たせるのは無礼千万だし。
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と思ってスタート地点まで来たんだけど、まさかジャックも同じこと考えてたなんて驚きかな?
まぁ、其れだけ気合が入ってるって事か――アタシとのデュエルに。
「当然だ遊里!お前は、俺が此れまで戦ってきたどんなデュエリストよりも強い……だからこそ、俺はお前に負けたくはない!
俺の最強の相手はお前だ遊里!俺はお前を倒し、デュエルストとして更なる高みを目指す!!」
「言うわねジャック…ならアタシは貴方を倒してその先の高みを目指すわ。」
――バチィ!!
きっと今のアタシとジャックは、物凄い表情なんだろうなぁ――MCさんですら硬直してるからね。
って言うか、いまリアルに火花放電が起こってたわよね?……まさかアタシとジャックのデュエリスト魂が共鳴して火花放電を…
ドンだけだ、アタシとジャックは?
『お、お……おぉっと此れは両者とも物凄い気合いだ〜〜!!
リアルに火花を散らすデュエリストの魂!或は既にフィールが高まっているのか〜〜!!』
おぉ、流石はMCさん、再起動が早いわね。
『さあ、デュエル・オブ・フォーチュンカップも遂にラストデュエル!!大会を制した上条遊里と、絶対王者ジャック・アトラスのエキシビジョンのみ!
奇しくもシティの王者とサテライトの女帝の激突となったこのデュエル、一体どれだけ激しいデュエルが展開されるのか〜〜!?
期待に胸が膨らむぞ〜〜!寧ろ期待するなって言うほうが無理な注文、無理難題だ〜〜!!
2人のフィールで会場が吹き飛ぶのではとも思うが、そんなモノは些細な問題、無問題!!
俺達は最高にして最強のデュエルが見れればそれで満足だ!そうだろ観客諸君〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!』
「「「「「「「「「「おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」」」」」」」」」」
いや、流石に会場を吹き飛ばしたらやばいと思う…多分…メイビー…
まぁ、会場が吹き飛ばないにしても、渾身のフィールをぶつける気ではいるし、其れに相手が強いと自然と自分のフィールも強くならからねぇ?
「ふ…強者同士のデュエルと言うモノは、得てして互いに限界を超えた力をぶつけ合う事になると相場が決まっている。
そしてその激闘を制した者のみが頂点に立つ事が許される――そして、其れが絶対王者であるこの俺だ!!」
「なら、アタシが其の絶対王者を倒して新たな頂を貰うって言うのも当然アリよねジャック?」
「お前ならば其れも只の戯言にはならんだろうが……其れでも言おう、やってみるが良い遊里、出来るモノならばな!!」
「生憎だけどジャック、アタシにとって出来るかどうかはあんまり重要な問題じゃないわ……大事なのはやるかやらないか!そうでしょう?」
「………くくく…ふはははははは!!確かにその通りだ!
出来るかどうかではなく、やるかやらないかだったな!!良いだろう、お前の持てる全てをぶつけてこい!」
勿論よ!!
さて、そろそろね……頼むわよレーゲンデュエル!
――ウォン!!
うん、エンジンの調子もバッチリ!
『さぁ、いよいよエキシビジョンの幕が上がるぞ〜〜〜〜!!
勝つのはシティの絶対王者か?それともサテライトの無敵女帝か〜〜〜!!』
――ピッ……ピッ…ピッ……ピ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
『ライディングデュエル、アクセラレ〜〜〜〜〜ショ〜〜〜ン!!!!!!』
――ドォォォン!!
速い!!…流石はジャック、前のサテライトのデュエルの時よりも更に速くなってるじゃない。
だけど、アタシだってアレから更にライディングテクニックを磨いたわ……ファーストコーナーは渡さない!!
「ほう……相変わらず強気のライディングテクニックだな?
最高スピードで鋭角に斬り込んでファーストコーナーを制す攻撃的なコーナーリングだが――絶対王者に同じ手は2度は通じないと知れ!!」
――グン!!
な!!機体をギリギリまで倒しての、超高速コーナーリング!!
一歩間違えば、即クラッシュの諸刃のコーナーリングテクニック……アタシの高速鋭角斬り込みに対抗する為に編み出したって事か…
『ファーストコーナーを制したのは絶対王者ジャック・アトラス!先攻はシティの絶対王者からだ〜〜!!
其れじゃあ行くぞ、デュエル・オブ・フォーチュンカップファイナルデュエル、ジャック・アトラスvs上条遊里、デュエル…スタ〜〜トォォォォォォォォォ!!』
「「デュエル!!!」」
遊里:LP4000 SC0
ジャック:LP4000 SC0
「俺のターン!!『マッド・デーモン』を攻撃表示で召喚!!」
マッド・デーモン:ATK1800
「俺は此れでターンを終了する。」
貫通効果を持った下級モンスターが1体のみ?……明らかに誘ってるわね――いいわ、その誘いに乗ろうじゃない!
「アタシのターン!」
遊里:SC0→1
ジャック:SC0→1
「相手フィールドにのみモンスターが存在する時、手札の『ジャンク・フォアード』は特殊召喚できる!」
ジャンク・フォアード:ATK900
更に、チューナーモンスター『月夜のシルバー・フォング』を召喚!
月夜のシルバー・フォング:ATK1200
「見事な速攻だな……遠慮は要らん、チューニングするが良い!」
「言われなくとも!レベル3のジャンク・フォアードに、レベル3の月夜のシルバー・フォングをチューニング!
集いし風に秘めた思いが強固な壁を撃ち砕く。光射す道となれ!シンクロ召喚、突き崩せ『有翼幻獣 キマイラ・ガイスト』!!」
『ウオォォォォン!!』
有翼幻獣 キマイラ・ガイスト:ATK2100
行くわよジャック!キマイラ・ガイストで、マッド・デーモンに攻撃!!『キマイラ・インパクト・チャージ』!!
「マッド・デーモンの効果発動!このカードは攻撃されるとき守備表示となる!」
マッド・デーモン:ATK1800→DEF0
む…守備表示なら確かにダメージは受けないからね…だけど守備力0ならキマイラ・ガイストの敵じゃない!
狂った悪魔を粉砕して!!
――バガアァァン!!
「マッド・デーモン粉砕!アタシはカードを1枚伏せてターンエンド!」
「良い一撃だったぞ遊里!俺のターン!!」
遊里:SC1→2
ジャック:SC1→2
「相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、手札の『バイス・ドラゴン』を特殊召喚出来る!
ただし、この方法で特殊召喚したバイス・ドラゴンの攻守は元々の攻守の半分の値となるがな。」
バイス・ドラゴン:ATK2000→1000
「そして、チューナモンスター『フレア・リゾネーター』を召喚!」
フレア・リゾネーター:DEF1300
レベル合計8!…ジャックもアタシに負けず劣らず速いわ。
「レベル5のバイス・ドラゴンに、レベル3のフレア・リゾネーターをチューニング!
万物を焼き尽くす孤高の絶対王者よ、天地鳴動の力を揮うが良い!シンクロ召喚!降臨せよ『煌魔龍 レッド・デーモン』!!」
『バオォォォォォ!!!』
煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000
「フレア・リゾネーターを素材としたことで、レッド・デーモンの攻撃力は300ポイントアップする!!」
煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000→3300
来たわね、ジャックのエース、レッド・デーモン!
其れも強化された状態で!
「レッド・デーモンの効果は知っているな?
全てのモンスターを攻撃表示にし、レッド・デーモンよりも攻撃力の低いモンスターを全て抹殺する!!『クリムゾン・デス・メテオ』!!」
――バガァァァァン!!
!!効果破壊だけで、凄いフィール…!だけど、キマイラ・ガイストの魂は砕けない!
キマイラ・ガイストが破壊されたとき、墓地からキマイラ・ガイストのレベルと同じになるようにチューナーと非チューナーを特殊召喚できる!
蘇れ、『ジャンク・フォアード』『月夜のシルバー・フォング』!!
ジャンク・フォアード:DEF1500
月夜のシルバー・フォング:DEF800
「モンスターは途切れないか…だが、チューナーが残るのは危険か。
バトルだ!俺はレッド・デーモンで、月夜のシルバー・フォングを攻撃!『アブソリュート・ヘル・バーン』!!」
『バオアァァァァァァァ!!』
……そう来ると思ったわジャック。
アタシだって、同じ状況だったらチューナーの方から先に処理するだろうからね…だけどそうは問屋が卸さない!
「トラップカード『ミラージュコンフュ−幻影の惑わし』!
相手モンスターの攻撃を、アタシのフィールドの他のモンスターに移し替える!
この効果で、シルバー・フォングへの攻撃を、ジャンク・フォアードに変更する!!!」
――バガァァァン!!!
「チューナーを護ったか……矢張り簡単な相手ではないなお前は。俺はカード2枚セットしてターンエンドだ。」
「簡単に勝負がついたらつまらないじゃない?アタシのターン!!」
遊里:SC2→3
ジャック:SC2→3
「『幻想の闇魔導師』を召喚し、その効果で『チューニング・サポーター』を特殊召喚するわ。」
幻想の闇魔導師:ATK1500
チューニング・サポーター:DEF300
「合計レベル7…いや8か!!…矢張り来るか!寧ろ奴が来なくては始まらん!!来るが良い!!」
えぇ、本気で行くわ!
チューニング・サポーターは、シンクロ素材となる時、レベル2のモンスターとして扱う事が出来る!
この効果でレベル2になったチューニング・サポーターと、レベル4の幻想の闇魔術師に、レベル3の月夜のシルバー・フォングをチューニング!
「集いし願いが、天空を駆け抜ける疾風となる。光射す道となれ!シンクロ召喚、飛翔せよ『輝天龍 シルバー・ウィンド』!!」
『相手はレッド・デーモンか……不足も不満もない!』
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500
えぇ、不満なんてある筈がない。
行くよシルバー・ウィンド!アタシ達の全力をもってしてジャックを倒す――異論はないでしょ?
『応!』
さてと…其れじゃあまずは、先手を取らせてもらうとしようかな?
――――――
Side:ゴドウィン
始まりましたか……大凡序盤とは思えないほどのフィールが発生しているようですね。
だが、これ程のフィールを放てるのならば、ジャックと上条遊里はこのデュエルで覚醒する筈です――赤き竜のシグナーとして。
そして覚醒の暁に、君達は私の手駒となり得るのか……ふふ、楽しみですね…
To Be Continued… 
登場カード補足
ミラージュコンフュ−幻想の惑わし
通常罠
自分フィールド上のモンスターが、相手モンスターの攻撃対象になった時に発動できる。
そのモンスターの攻撃対象を、自分フィールド上に表側表示で存在する他のモンスターに変更する。
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