Side:万丈目
神楽坂の奴、思った以上に伝説のデッキを使いこなしているな。
あの重いデッキを、ものまねとは言え此処まで回せるんだから、こいつの力量自体は低くない筈だ。
「けど、遊戯さんのデッキを相手取って、裕奈も負けてないぜ!」
「其れがまた凄い事なんだがな。」
コレが裕奈の言う本物と真似の差と言う事だろう。
「せやろな。アレがもし『本物の武藤遊戯』やったら裕奈かてこうは行かんやろしね。
けど、何度も言うようにアレは『よく出来たコピー』に過ぎへんよ……裕奈は負けへん。」
そうか。
だが、裕奈は2体のシンクロモンスターを従えているとは言え、神楽坂のフィールドには攻撃力3800のナイトジョーカー。
さて、この状況を如何する…?
遊戯王×リリカルなのは×ネギま 夜天と勇気と決闘者 GX26
『伝説デッキとガチ勝負』
裕奈:LP2900
ジャンク・ライブラリアン:ATK2400
ライトニング・ウォリアー:ATK2700(戦闘耐性)
神楽坂:LP2100
アルカナ ナイトジョーカー:ATK3800
Side:裕奈
つっても如何するかね?
今の私の手札にゃ攻撃力3800を倒せるモンスターは居ないんだよね〜。
まぁ、『モンスターは』だけどさ。
「ん〜〜〜…カードを2枚伏せてターンエンド。」
さて、あからさまに罠張ったけど如何して来るかにゃ?
「エンドフェイズにトラップ発動『砂塵の大竜巻』。この効果で俺から見て右側の伏せカードを破壊するぜ!」
「エンド大竜巻…。アンタから見て右側ってーと、こっちね…」
かかし先生が!
勘もそんなに悪くないみたいね。
「『くず鉄のかかし』か。良いカードを破壊できたぜ。俺のターン!
バトル、アルカナ ナイトジョーカーでジャンク・ライブラリアンを攻撃!」
「あ〜…やっぱし本屋ちゃん狙い?」
「シンクロの度にドローされる効果と、シンクロ全体を強化する効果は厄介だからな。
くず鉄のかかしで護るつもりだったんだろうが、其れを処理した今攻撃は止められないぜ!」
まぁね、確かに『くず鉄のかかし』は私のデッキの防御の要で重要なカードだよ?
けど、今回に限っては寧ろ本命はこっち!
「そうは問屋が卸さない!永続トラップ『革命−トリック・バトル』!
このカードが存在する限り、攻撃表示のモンスター同士がバトルする場合、攻撃力の高いモンスターが戦闘破壊される!」
「なに!?」
ま、プレイヤーへの戦闘ダメージは普通に喰らうけどね。
でもコレなら、ライフさえ確保できればどんな強力モンスターも倒す事ができる。
本命はくず鉄じゃなくてこっちだったって事さ!
「く…、速攻魔法『融合解除』!これでナイトジョーカーを絵札の三剣士に分離する!」
アルカナ ナイトジョーカー:ATK3800
↓
クィーンズ・ナイト:DEF1600
キングス・ナイト:DEF1400
ジャックス・ナイト:DEF1000
其のカードでかわすか…やるね。
「今のは驚いたぜ裕奈。まさか、そんなカードを使ってくるとはな。くず鉄のかかしと併せて二段構えだったわけか。」
「メインデッキの攻撃力が低めだから防御カードは二重三重。それにコレなら自分のモンスターは護れるしね。」
私にもリスクの有るカードだけど、超攻撃力モンスターと戦闘を行う時には頼りになるからね。
さて、攻撃できるモンスターはいないけど?
「メインフェイズ2に移行する。魔法カード『大天使の施し』を発動。
互いのプレイヤーはデッキからカードを3枚ドローし、その後手札を2枚捨てる。」
「手札の入れ替えね。」
3枚引いてっと…レベスティ、戦士の生還、スキルサクセサーか。
こりゃ捨てるカードを迷うまでも無いね。
スキルとレベスティを墓地にっと。
「ふ、どうやら良いカードを引いたみたいだぜ。俺はこのターンまだモンスターを召喚していない。
ジャックス・ナイトをリリースし、来い『ブラック・マジシャン・ガール』!
「えへっ♪」
ブラック・マジシャン・ガール:ATK2000
来たな〜、遊戯デッキのアイドル兼エースの一柱!
レプリカだから精霊ではないっぽいけど…うん、人気あるのも頷ける。
攻撃表示って事は、まだ何かあるよね…
「更に『天よりの宝札』!互いに手札が6枚になるようにドローする!」
今度は手札増強!
さっきの大天使の施しで呼び込んだって事ね…引きも悪くないってか。
「ふ、行くぜ裕奈!魔法カード『賢者の宝石』!
俺のフィールドに『ブラック・マジシャン・ガール』が存在する時、手札かデッキから『ブラック・マジシャン』1体を特殊召喚するぜ!
俺はデッキから特殊召喚!来い、我が最強の僕…『ブラック・マジシャン!』!」
「ハァァァ!!」
ブラック・マジシャン:ATK2500
今度は師匠のほうか。
てかアンタの僕じゃねーでしょ…。
しっかしブラマジ師弟か…や〜な予感がするんだけど…
「魔法カード『黒・魔・導』!俺の場に『ブラック・マジシャン』が存在する場合に発動できる。
相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊するぜ!」
「宝札の効果で其れも呼び込んだってか…」
トリック・バトルが…
「まだ終わらないぜ!魔法カード『千本ナイフ』!ブラック・マジシャンが存在する時、相手モンスター1体を破壊する!
俺がこの効果で破壊するのは戦闘耐性を得ている『ライトニング・ウォリアー』!」
「な!?其のカードまで!?」
なんつー引きの強さよ…十代並みじゃん!
――ドシャァァ!
ライトニングが…やってくれんじゃない!
「こんなもんじゃないぜ!魔法カード『カオス−黒魔術の儀式』を発動!
フィールドからキングとクィーンの2体をリリースし、混沌より現れろ『マジシャン・オブ・ブラックカオス』!」
「ふぅぅぅぅ…ハァ!」
マジシャン・オブ・ブラックカオス:ATK2800
「ブラックカオスまで…!」
1ターンで3体のブラック・マジシャンとか…完全にフィールドアドひっくり返されたなぁ…。
…まぁ、次のターンでまたひっくり返すけど、コレはちょっと驚いたね。
「ターンエンドだ。」
「私のターン!魔法カード『戦士の生還』!墓地の戦士族モンスター1体を手札に加える。
私が手札に加えるのは『ジャンク・シンクロン』!で、そのまま『ジャンク・シンクロン』召喚!」
ジャンク・シンクロン:ATK1300
さっきの入れ替えのおかげで手札も墓地も整ってるからね!
ジャンクロンの効果で、ドッペルを特殊召喚だ!
ドッペル・ウォリアー:DEF800
「今度はこっちの番!レベル2のドッペル・ウォリアーに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!
集いし星が、新たな力を解き放つ。光射す道となれ!シンクロ召喚、出でよ『ジャンク・ウォリアー』!」
「ふぅぅぅぅ…トゥアァ!」
ジャンク・ウォリアー:ATK2300
「ドッペル・ウォリアーがシンクロに使用されたことで、私のフィールドにレベル1、攻守400のドッペルトークンを攻撃表示で2体特殊召喚。」
ドッペルトークン:ATK400(×2)
更に本屋ちゃんの効果で1ドロー!
加えて!
「ジャンク・ウォリアーはシンクロ召喚に成功した時、自分フィールドのレベル2以下のモンスターの攻撃量の合計分、攻撃力がアップする!
ドッペルトークンのレベルは1、合計攻撃力は800!よって攻撃力が800アップ!『パワー・オブ・フェローズ』!」
「ムオォォォォォォォォ!」
ジャンク・ウォリアー:ATK2300→3100
「攻撃力3100!?」
「だけじゃないぜ?ジャンク・ライブラリアンの効果で攻撃力は更に300ポイントアップよ!」
ジャンク・ウォリアー:ATK3100→3400
この一撃の爆発力がシンクロンの真骨頂!
フィールドアドは返してもらうよ?
「魔法カード『シンクロ・アサルトバスター』!私のフィールドのシンクロモンスター1体を選択して発動!
このターンは選択したモンスターのみが攻撃可能な代わりに、選択したモンスターは相手モンスター全てに攻撃出来る!」
「全体攻撃だと!?」
「そだよ。けど、この戦闘によって発生する戦闘ダメージは0になるけどね。
でも、攻撃力はアンタのモンスター3体を全て上回ったよ?
バトル!ジャンク・ウォリアーでブラック・マジシャンズに全体攻撃!叩き込め『スクラップ・バスター・フィスト』!」
ぶっ飛べ!!
――ドガン!バキン!ドガシャァァァン!!
「ぐ…ブラック・マジシャン…!」
見事に全員ぶっ飛んだね。
ライフは削れてないけど、フィールドアドは取り返したよ、と。
「カードを1枚伏せてターンエンド。」
さて、手札1枚で如何する?
本当の武藤遊戯なら、此処で逆転のカードを引くはずだよ?
「く…俺のターン!…まだ分らないぜ、このデュエル!魔法カード『貪欲な壷』!
墓地のモンスター5体をデッキに戻してシャッフルし、新たにカードを2枚ドローするぜ!」
マジで!?
この局面で……天性のドロー力は真似出来るモンじゃないから、コレは神楽坂本人の…!
「俺は絵札の三剣士とブラック・マジシャン師弟をデッキに戻してシャッフルし2枚ドロー。…このデュエル、俺の勝ちだぜ裕奈!」
「む、言ってくれんじゃん。そんなに良いカード引いたの?」
自身ありげだけど。
其れに手札3枚でフィニッシュ宣言て……ちょっと待って、まさか!
「魔法カード『融合』!手札の『カオス・ソルジャー』と『心眼の女神』を融合!
伝説の戦士と最強の龍が其の力をあわせ、今此処に降臨する!来い『究極竜騎士』!」
「覇ァァァァァ!」
「ゴォォォォォ!」
究極竜騎士:ATK5000
「「「究極竜騎士!?」」」
「「攻撃力5000!?」」
マジかオイ…。
手札0になったとは言え、土壇場でコレはちょっと驚くよ?
「お前のモンスターは全て攻撃表示!この攻撃で終わりだ!
バトル、究極竜騎士でドッペルトークンに攻撃!行け、『ギャラクシー・クラッシャー』!」
――ドォォォォォォン!
「差分ダメージ4600…決まったな。」
――シュゥゥゥゥ…
「…そいつは如何だろうね?」
「なに?」
「まだ終わりじゃないよ神楽坂!」
裕奈:LP800
ギリだけどね!
「馬鹿な!如何してライフが!!」
「アンタの攻撃時にこのカードを発動したぜ!速攻魔法『ハーフ・シャット』!
フィールド上のモンスター1体の攻撃力を半分にして戦闘耐性を与える!
この効果で究極竜騎士の攻撃力は5000から半分の2500になったってわけ。」
「く…!」
究極竜騎士:ATK5000→2500
コレならドッペルトークンを攻撃されても、差分ダメージは2100。
800ポイントのライフは残るんだよね〜。
「く…ターンエンド。だが、再び攻撃力5000となる究極竜騎士を相手に如何する?」
究極竜騎士:ATK2500→5000
うん、確かに今の私の手札に究極竜騎士を倒せるカードは無い。
けどドロー力なら私だって自身があるぜ!
「私のターン!……神楽坂、さっきの言葉そのまま返すよ。このデュエル…私の勝ちだ!」
「なんだと!?」
コレで揃ったからね!
「私はチューナーモンスター『アームズ・シンクロン』を召喚!」
アームズ・シンクロン:DEF800
「そして、私のフィールドに『ジャンク』と名の付くモンスターが存在する時『ジャンク・サーバント』を特殊召喚できる!」
ジャンク・サーバント:DEF1000
行くぜ朝倉!
『はいよ。頑張るとしようかね。』
「レベル1のドッペルトークンと、レベル4のジャンク・サーバントに、レベル2のアームズ・シンクロンをチューニング!
集いし意志と信念が、真実の扉を開け放つ。光射す道となれ!シンクロ召喚、暴け『ヴァルキリー・ジャーナリスト』!」
『麻帆良改め、アカデミアのパパラッチ参上さ!』
ヴァルキリー・ジャーナリスト:ATK2500
朝倉は召喚時に相手の手札を2枚まで確認できるけど、神楽坂の手札は0だから発動する必要はなし。
けどもう1つの効果は使えるし、本屋ちゃんの効果で当然パワーアップ!
『頼りになるね、宮崎♪』
ヴァルキリー・ジャーナリスト:ATK2500→2800
『私だって頑張りますから♪』
うんうん、頼りになるって。
さてと!
「先ずはジャンク・ライブラリアンの効果で1枚ドロー。で、ヴァルキリー・ジャーナリストの効果発動!
1ターンに1度、手札を任意の枚数相手に公開することで、私のフィールドのモンスターの攻撃力は公開した枚数×400ポイントアップする!
私は4枚の手札全てを公開し、全員の攻撃力を1600ポイントアップ!」
『ほいじゃ行くよ!『トゥルー・ストライク』!」
ヴァルキリー・ジャーナリスト:ATK2800→4400
『朝倉さん…凄いです!』
ジャンク・ライブラリアン:ATK2400→4000
「オォォォォォォォ!」
ジャンク・ウォリアー:ATK3400→5000
まだまだぁ!
「墓地の『スキル・サクセサー』を除外して効果発動!
墓地のこのカードを除外する事でモンスター1体の攻撃力を800ポイントアップ!効果対象は『ジャンク・ウォリアー』!」
ジャンク・ウォリアー:ATK5000→5800
「攻撃力5800…!!」
そ。
で、これがとどめの1枚!
「装備魔法『ジャンク・アタック』をジャンク・ウォリアーに装備!
バトル!ジャンク・ウォリアーで究極竜騎士を攻撃!叩き込め…『スクラップ・フィストォォォォォ』!」
「ムオォォォォォ…ハァ!!」
――ドバガァァァァン!!
「おわぁぁぁ!!」
神楽坂:LP2100→1300
一撃滅殺!
コレで終わり!
「更に『ジャンク・アタック』の効果で破壊したモンスターの半分のダメージを相手に与える。
究極竜騎士の攻撃力は5000…2500のダメージを受けてもらうよ!」
「く…そんな…!」
――ドォォォォン!
「このデッキで、負けるなんて…!」
神楽坂:LP1300→0
ふぅ…結構危なかったけど勝ったよ。
ただの物真似かと思ったら…意外とやるじゃん?
けど、物真似してるだけじゃ成長しないよ?
どんなに巧く真似ても、本物には遠く及ばないんだからさ…
――――――
Side:はやて
「な、裕奈が勝ったやろ?」
「あぁ…まさかあのデッキに勝つとはな…」
「裕奈スゲェ!」
「お見事ですね…」
「うふふ、素敵ね…♪」
…なして雪乃ちゃんはびみょ〜にベクトルがちごて感じるのやろね?
まぁえぇか。
お疲れ裕奈、思ったより苦戦したな?
「ホンッとに予想以上にね。本物の遊戯が相手だったら勝てなかったよ〜。
けど神楽坂の奴、本物には遠く及ばないだろうけど意外にやるかもよ?ドロー力もあるみたいだし。」
「確かにあの局面での究極竜騎士召喚は、驚いたで?」
貪欲だけなら『運が良い』で済ませられるけど、其処から究極竜騎士ともなるとドロー力を認めるしかないわ。
しかも、どんなに真似てもドロー力は真似出来るモンと違うから、アレは神楽坂自身の力言う事やね。
「だろうな。問題は神楽坂が其れに気付けたかどうかだが…マッタク逃げ足の速い奴だ…デッキを置いていなくなったか。」
「約束はちゃんと護ったんだから良いじゃないか。デッキを元の場所に戻そうぜ?」
ま、デッキが戻ってきたんなら取り敢えずは万事解決や。
神楽坂の事は……報告すると白塗り先生が面倒くさいから、犯人はでっち上げとこか?
「だね。どうせ私等以外に目撃者いねーし、ミラフォ喰らったアホは伸びてるから如何とでもなるっしょ?」
「そういう事やね。」
「そ、それで良いのでしょうか?」
「良いんじゃないかしら?死人に口無しよ…♪」
この阿呆は生きとるけどな。
せやけどアレやな、今回のデュエルで神楽坂が大事な事分ったかどうかやな。
「まぁ、其ればっかりは今後を見るしかないんじゃね?どうこう言ってもね〜。」
「そやな。ほな、デッキもどそか?レプリカとは言え曝しとくんはカードに悪いからな。」
「おう!早く戻してやろうぜ!」
で、こうしてデッキは元通り。
白塗り先生には『黒尽くめの大男(若本ボイス)』が犯人で裕奈に負けて逃げたって事にしといたわ。
…なんで少しびくついてたんやろな白塗り先生は?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
でもって後日!
「…あんにゃろう、全然分ってねーよね…」
「かっくじつに分ってないわ。」
私と裕奈の視線の先ではな?
「装備魔法『ジャンク・アタック』!いっけ〜〜!!」
神楽坂ぇ…今度は裕奈の真似しとるんかい…
こりゃ、神楽坂が『デュエリスト』として覚醒するのは当分先の話やな…
「ホントだよね〜……はやて。」
「裕奈…」
「「はぁ……」」
溜息も出るわな。
ホンマ、色んな意味でご苦労さんや…
To Be Continued… 
*登場カード補足
大天使の施し
通常魔法
互いのプレイヤーはデッキからカードを3枚ドローし、その後手札を2枚捨てる。
シンクロ・アサルトバスター
通常魔法
自分フィールド上に表側表示で存在するシンクロモンスター1体を選択して発動する。
このターンは選択したモンスターのみ攻撃できる。
選択したモンスターはこのターン、バトルフェイズ中に相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。
この攻撃で発生する相手への戦闘ダメージは0になる。
革命−トリック・バトル
永続罠
攻撃表示モンスター同士で戦闘を行う場合、攻撃力が高いモンスターが戦闘によって破壊される。
プレイヤーへの戦闘ダメージは通常通りのダメージ計算を適応する。