Side:はやて
全く持って不思議な事もあるもんや。
「転生なんてな…」
名前も姿も同じで『転生』いうんは、なんや違う気もするんやけど…
1年前…9歳の時に不意に思い出した『前世』の記憶。
物凄く駆け足な人生やったなぁ…
「せやけど、私がおるって事はなのはちゃん達もこの世界におるんかなぁ、レイジングハート?」
「I don't know.」
前世でのなのはちゃんの相棒は、どうも私と一緒に転生したらしい。
両親が仕事で家におらんから、良い話し相手や。
起動させた時の形が『シュベルトクロイツ』なんは私の影響やろな…この世界では起動させる事なんて先ず無いけど。
「ま、思い出したんは悪い事やあらへんやろ。出かけよか!」
「All right.Let's Duel!」
うん、うん、せやな!
この世界で大人気のカードゲーム『デュエルモンスターズ』!
私もすっかり大ハマリ!
絶好の『デュエル日和』や!
遊戯王×リリカルなのは×ネギま 夜天と勇気と決闘者 GX2
『出会ったようです!』
Side:裕奈
物心付いた時から、私には断片的に前世の記憶があった。
で、10歳になった時に、其れは完全な形で蘇った。
「仲間の為に犠牲になるとか、中々格好良いじゃないですか前世の私。」
多分ネギ君は勝ったと思う。
逝く寸前にネギ君に会ったしね……てか私以外にもあれだけの人から『元気』貰って負けたら嘘だよ。
まぁ、其れは兎も角としてだよ?
「如何して有るんだろうね仮契約カード?」
ネギ君と交わした仮契約の証が何故か有った。
やってみたら『アーティファクト』も普通に出たし。
でもそれ以上に…
『ゆーな如何したの?』
「ん〜…ちょっと感傷に浸ってた。」
カードの精霊だって言う『エフェクト・ヴェーラー』を見ることが出来るんだよね〜。
まぁ、前世がアレだっただけに驚きはしないけど。
……改めて考えると『色々』とトンでもないよね麻帆良って…
「この世界も楽しいけどね。」
大人気のカードゲーム『デュエルモンスターズ』。
カードを実体化させる『デュエルディスク』とかマジですごいよ!
初めてやってからすっかりはまったよ。
学校が休みの日に、こうやってデュエルディスクとデッキを装備して出かけるのは最早当たり前になってる。
其れに今日は絶好のデュエル日和だからね〜何か起きそうな気が…
「マテやこら!思いっきり反則やんか!!」
何か起きたっぽいね〜〜!
ふっふっふ…騒ぎを聞いて黙ってられるゆーなちゃんじゃないよ!
『あ、待ってよゆーな!』
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
で、騒ぎの現場に到着すると私と同じ位の女の子が、これまた同じ位の男の子と言い争ってる。
デュエルディスク装備してるから、デュエルで何か有ったのかな?
「何々、如何したの?」
取り合えず声掛けてみますか〜。
てか如何見ても男の子達の方が『悪者』に見える……てか絶対悪者だよね。
「あ、ちょっと聞いてや!……は?」
アレ?何か驚いてる?
「どったの?」
「え〜と…初対面の人にこんな事言うんは失礼やと思うんやけど……何か憑いとるよ?」
え、ゴミかなんか付いてた!?
「ちゃうちゃう『付く』やなくて『憑く』や。肩の辺りに何か浮かんでるやん。」
「若しかして見えるの?」
「バッチリ見えとるよ?ん?普通は見えへんの?」
「らしいよ?良く知らないけど。…で、どしたの?何か怒鳴り声が聞こえたけど。」
精霊の事は後にして、取り合えず何が有ったのか聞いておきましょう。
「せや!あのな、今しがた其処におる子にデュエル挑まれたんよ。」
うん、うん。
「でな、売られたデュエルは買うが礼儀や思ってデュエルしたんやけどデッキがな、ルール無視した禁止カードてんこ盛りのデッキやったんや。」
はぁ!?
「何其れ!?最低じゃん!ルール守らないで勝って何が楽しいの?」
ルールを守るのはゲームで最低限のマナーでしょ!?
使用禁止のカード使うとか何考えてんの!?
初代決闘王のみが使う事を許された『神のカード』ってのは有ったらしいけど、アレは公式ルールの外の存在でしょうに!
「知るかよ!勝てばいいんだぜ?つーか、俺様が勝ったんだお前のデッキよこせよ。」
「嫌や言うとるやろ!ルールも守れん卑怯モンに魂のデッキわたせるかい!
大体にして、自分が勝ってからアンティの提示するとか姑息にも程があるわ!!」
うっわ〜〜〜…聞けば聞くほど最悪じゃんコイツ。
何だろう、身体の奥からふつふつと湧き上がるものが…
その湧き上がるものが私に告げる!このセリフを言えと!!
「…おい、デュエルしろよ。」
衝動に駆られるまま言ったらガラが悪くなっちゃいました!
でも、仕方ないよね……マジでムカついたし!!!
こんなに腹が立ったのは、前世でドネットさんの事を勘違いした時以来だよ!
「はぁ?何言ってんのお前?」
「御託はいらないぜ!やるのかやらないのか決めなよ?」
有無は言わさないよ!
「ちょ、そないな勢いで言うて大丈夫なん?アイツのデッキは…」
「例え禁止カードてんこ盛りの外道卑怯極悪デッキが相手でもデュエリストには引けない場面てモノがあんの!!」
「…あ、うん。そやね。やったら、お願いしても良ぇかな?アイツに目にモノ見せたって!」
言われるまでもないって!!
「分かった。やってやるよ!その代わり、俺が勝ったらお前達2人のデッキ貰うからな?」
「やってみなさいって!この『ゆーなキッド』が本物のデュエルを教えてあげる!」
「ゆーな頑張れ〜〜!」
任せなさい!
今のゆーなちゃんは天下無敵の最強モードだよ!!
「「デュエル!!」」
明石裕奈:LP4000
ガキ大将:LP4000
覚悟しなよ……この似非デュエリスト!!
――――――
Side:はやて
勢いで任せてもうたけど大丈夫やろか?
私が感じた『デュエリストのオーラ』的にゆーなキッド……多分本名はゆうなちゃんやろうけど、あの子の実力はきっと私と互角。
ふつうにやったら負けへんやろうけど、アイツのデッキはルール無視の極悪デッキ。
先攻を取られたら最悪、私と同じ結果になってまう…!
「先攻は貰うぜ!俺のターン!!」
あ、アカン!
先攻だけでも最悪やのに、もしあのカードが揃ってたら先攻ロックKill確定や!!
「俺は魔法カード『苦渋の選択』(禁止カード)を発動!デッキからカードを5枚選んで相手に見せ、相手はその5枚から1枚を選択する。
選択したカードは俺の手札に加わり、残りは墓地へ送る。
俺が選ぶのは『ホーリー・エルフ』2体と『クリッター』『サイバー・ポッド』(禁止カード)『処刑人マキュラ』(禁止カード)の5枚!さぁ、1枚選べ!」
行き成り禁止カード使ってのコンボかい。
しかも今選んだカードて……お願いや気付いてやゆーなキッド!
「んじゃホーリー・エルフ選択する。」
「へへ、ホーリー・エルフを手札に加え残りは墓地に送るぜ。
そして墓地のホーリー・エルフと処刑人マキュラをゲームから除外し『混沌帝龍−終焉の使者』(禁止カード)を特殊召喚!」
混沌帝龍−終焉の使者:ATK3000
やっぱり手札にもっとったか…!
と言うことは……アカン、もうコンボの為の手札は揃ってしまってる!
「うわっ…マジで禁止カードだらけの反則デッキだ…。でも勝つのは私だよ!」
…なんやろうこの子?
この状況、やばすぎる状況やのにまるで諦めてへん……見た目も性格もまるっきり違うのに、なのはちゃんみたいや…
「更に魔法カード『死者蘇生』発動!墓地のクリッターを守備表示で特殊召喚!」
クリッター:DEF600
せやけど、やばい状況に変わりはない。
混沌帝龍とクリッター…間違いない!確実に『アノ』カードが手札にある…
「このデュエルも俺の勝ちだぜ!ライフを1000ポイント払って混沌帝龍の効果発動!」
ガキ大将:LP4000→3000
あ、アカン!!
「甘い!その効果発動にチェーンして手札のエフェクト・ヴェーラーの効果発動!
手札からこのカードを捨てることで、相手モンスター1体の効果をエンドフェイズまで無効にするよ!」
「残念でした〜〜♪」
「なにぃ!?」
何と此れは吃驚さんや。
万事休すか思たら、手札からモンスター効果発動して混沌帝龍の効果を止めてもうた。
此れやったらあいつは無駄にライフを失ったのと同じやで。
「読んでたんか?アイツの戦術。」
「まーね。馬鹿な私だけど、あれだけ露骨な戦術見せられたら誰でもわかるって。」
ま、そうやろな。
「混沌帝龍の効果で全部のカードを墓地に送って、バーンダメージを与えた後、クリッターの効果で『八汰烏』(禁止カード)をサーチして召喚。
そのあと、混沌帝龍の効果で墓地に送った『アサルトシュナイダーTurn0』(禁止カード:オリカ)を除外して先攻アタック。
八汰烏の効果でロック決めて、ゲームエンド狙う気だったんでしょ?」
ご名答。
私もこのコンボでやられた。
幾ら『手札0』がデッキのコンセプト言うても、墓地発動のカードが0でドロー不可やったら勝てるはずも無かったわ…
せやけどこの子は違う!
エフェクト・ヴェーラーの効果で混沌の効果を潰した。
こうなったら先攻ロックKillは不可能や。
「な、何だよそのカード…手札からなんて聞いたことねぇぞ!」
「アンタが知らないだけでしょうに。で、如何するの?」
「ぐぬ…ターンエンド。だがこのターンで俺を倒さなきゃお前の負けだぜ!」
確かにそうやな。
せやけど何でかな……もうアイツにターンが回る事は無い気がする。
「ねぇ。」
「ん?なに?」
「目に物見せろとの事だったけど…別に粉砕・玉砕・大喝采しても構わないんでしょう?」
おぉう、まさかそのネタを知っとるとは。
「無論や。デュエリストの魂見せてやってや!」
「OK!私のターン。手札のボルト・ヘッジホッグを墓地に送り、チューナーモンスター『クイック・シンクロン』を特殊召喚。」
クイック・シンクロン:ATK700
ちゅ、チューナモンスター?
まさか、ゆーなキッドも私と同じシンクロ使い…?
「更に私のフィールドにチューナーが存在する時、墓地のボルト・ヘッジホッグを特殊召喚出来る。」
ボルト・ヘッジホッグ:ATK800
この布陣…間違いない。
この子、シンクロ使いや!
「行くよ!レベル2のボルト・ヘッジホッグに、レベル5のクイック・シンクロンをチューニング!
集いし力が戦士の拳に炎を宿す、光射す道となれ!シンクロ召喚、燃え滾れ『ニトロ・ウォリアー』!」
「ムゥゥン!」
ニトロ・ウォリアー:ATK2800
「し、シンクロ召喚!?」
「よっしゃ!レベル7のシンクロモンスターや!」
シンクロの力は絶大や。
如何言う訳か、使う人を私以外には見たこと無いけど。
「ニトロ・ウォリアーに装備魔法『ファイティング・スピリッツ』を装備。
この効果でニトロ・ウォリアーの攻撃力は相手フィールドのモンスター1体につき300ポイントアップ。
アンタのフィールドのモンスターは2体。よって攻撃力は600ポイントアップする!」
ニトロ・ウォリアー:ATK2800→3400
よしっ、攻撃力が混沌帝龍を上回った!
此れは行けるかもしれへん!
「バトル!ニトロ・ウォリアーで混沌帝龍を攻撃!そしてこの瞬間ニトロ・ウォリアーの効果発動!
ニトロ・ウォリアーは、私が魔法を発動したターンのバトルフェイズ中、ダメージ計算時に1度だけ攻撃力が1000ポイントアップする!」
「ヌォォォォォォ!!」
ニトロ・ウォリアー:ATK3400→4400
「攻撃力4400!こら凄いわ…!」
元々の攻撃力が2800もあるのに、自分の効果で更にパワーアップできるんか。
「行け〜〜!『ダイナマイト・ナックル』!!」
「おわぁぁぁぁ!!」
ガキ大将:LP3000→1600
「更にニトロ・ウォリアーの効果発動。
ニトロ・ウォリアーが戦闘で相手モンスターを破壊した場合、相手フィールドの守備表示モンスター1体を攻撃表示にし続けて攻撃できる!
『ダイナマイト・インパクト』!」
「な、なんだよその効果はぁぁ!?」
クリッター:DEF600→1000
ホンマ、なんちゅう効果や。
状況によっては大ダメージ……私の予感通り、アイツに次のターンは無かったな。
「1度攻撃し、更に相手のモンスターが減ったことで、ニトロ・ウォリアーの攻撃力は合計1300ポイントダウンする。」
ニトロ・ウォリアー:ATK4400→3100
「でも、クリッターを粉砕するには此れでも充分でしょ!ニトロ・ウォリアー、『ダイナマイト・ナックル』!」
「どわぁぁぁぁぁぁ!!」
ガキ大将:LP1600→0
「凄い!先攻ロックKill潰しての逆1Kiiとはやるやないか、ゆーなキッド!」
「初手にエフェがいなかったらやばかったけどね〜。ま、かなりマジでしたから。」
それでもや。
「ち、チキショー!覚えてろよお前等!!」
あ、行ってもうた。
なんつーかやることなすこと、全部が小者の悪人やなぁ…
まぁ、あのマッドサイエンティストクラスの悪人がおっても、其れはそれで迷惑やけど。
ま、それはさておき、、
「ありがとうな。おかげでデッキ盗られずに済んだわ。」
「いいって事。てか、騒ぎの現場に居合わせたり、それを聞きつけたりしたらしたら黙ってられない性質なんだよね〜。」
そりゃ、何ともアレな性格やけど…嫌いや無いな。
「せや、自己紹介しとらんかったな。私は八神はやていうんや。はやてって呼んででや。」
「おぉっと、名乗られたら、こっちも名乗らないのは礼儀知らずだよね。ゆーなキッド改め明石裕奈。裕奈って呼んで欲しいにゃ〜。」
やっぱり、裕奈ちゃんやったか。
「ほな、ヨロシクな裕奈ちゃん!」
「こっちこそねはやて!」
会ったばかりやけど、裕奈ちゃんとは気が合いそうや♪
*補足説明
アサルトシュナイダーTurn0(禁止カード)
レベル4 闇属性
戦士族・効果
墓地に存在するこのカードを除外することで、先攻プレイヤーはバトルフェイズを行える。
このバトルフェイズで相手に与えるダメージは1000ポイントまでとなる。
ATK1500 DEF1200
To Be Continued… 