Side:吹雪
これは……一体何がどうなっているんだ?
ブルー寮の一室に立ち込めた漆黒の霧……此れがトンでもないモノだと言う事は、僕にだって分かる。否、デュエリストならば分かる事が出来る筈だ!
何故こんな物が此処で……ん?
「吹雪……来てしまったのか……?誰にも気付かれないように細工した筈だったんだが……お前の鋭さを誤魔化す事は出来なかったって事だな。」
「……藤原?」
「悪いな吹雪、如何やら巻き込んでしまう事になりそうだ。
まぁ、俺と違ってお前は未だ大丈夫かも知れないが……だが、一時的に闇に捕らわれてしまうのは仕方のない事なのかも知れないな……」
闇?一体何を言ってるんだ藤原?
「今は分からなくても良いさ、何れ分かる時が来るだろうからな。
……そうだ、そのマスクはお前にやるよ吹雪……俺からの選別と思って受け取ってくれ。――じゃあな吹雪、お互い生きてたらまた会おうぜ。」
「ちょ、待て!!待つんだ!!」
何処に行く気なんだ君は!!
ダメだ、そっちに行っちゃダメだ!!そっちに行ったら、君は二度とこっちに戻って来る事が出来なくなる!!だから行くな!!行ってはダメなんだ!!
待て、待つんだ!!藤原……藤原ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
遊戯王×リリカルなのは×ネギま 夜天と勇気と決闘者 GX189
『掘り起こされる記憶の断片』
「!!!」
……ゆ、夢…か……マッタク、夢見が悪いのも程がある……神様と言うのは、意外と意地悪なのかも知れないな。
だが今の夢は……僕がダークネスと化してしまった原因の一端だったような気がする――其れこそ、僕が無くしてした記憶の断片なのかも知れない。
だが、そもそも僕がダークネスと化したのは兎も角として、何故僕の記憶はこんなにも虫食い状態なのだろう?
或は、ダークネスと化していた居た頃の記憶が意図的に封印的な何かを施されているのかも知れない……だが、だとしたらそれは一体何の為にだ?
考えても答えは出そうにないか……だが、僕のやるべき事は見えて来た。
このアカデミアでの異変に、ダークネスが無関係であるとは思えない――ならば、僕が再びダークネスと化して、デュエルを行う事で何か分かる事が有
るのかも知れないからね。
とは言え、其れは危険なデュエルになるだろうから、戦う相手はちゃんと選ばないとだね♪
――――――
Side:はやて
準が謎の変態を叩きのめして数日。
あれ以来、目立った何かは起きんで、今日も今日とてアカデミアの授業を熟し、午前中の授業が全て終わって、現在何時もの面子で本館の食堂にてラ
ンチタイムの真っ最中。
遊奈が元に戻るまでは、レッド寮の『遊はや食堂』はお休みやからね。
「私は大丈夫だよ?」
「いや、無表情の人間が包丁持ってる光景が、アンだけ怖いとは思わへんかったから、其れが理由やで?ぶっちゃけ、私の心臓が持たへんて!!」
アレはホンマに怖かったからなぁ~~~……前世では心臓に毛が生えてるとか言われた事のある私でも、背筋が寒くなったでうん。
其れに、食堂やったら夫々が好きなモノ頼めるから、色んなメニューが並んで見た目には楽しいやん?おかずの交換とかも出来るしな♪
因みにメニューは、十代がエビフライ定食、準がチキン南蛮定食、遊奈がカツ丼セットの蕎麦大盛りで、明日香ちゃんはナポリタンセットや。
マックがハンバーガーとフライドチキンのコンボセット(ドリンクはコーラ)なんは、流石はアメリカ人てとこやな。尚、私は関西風たぬきうどんセットやで。
「関西風たぬきうどん………共食いか?」
「……其れは暗に、私の事を『タヌキ娘』て言うとるんか準?」
「色々と策を弄させたら、お前は天下一品だからな。デュエルでも、駆け引きの心理戦に持ち込むのが得意だし、タヌキの要素は盛りだくさんだろう。」
「其れを言われると否定できんのが悲しいなぁ!?」
『特務六課時代には、ウェンディに『ちびたぬ隊長』って陰で言われたらしいからね♪』
なんやとぉ!?其れホンマなん、なのはちゃん!?
まさか、直属の部下にそう呼ばれていたとは……もしも、前世で其れを知ってたら、間違いなくウェンディを関西風にシバキ倒しとったやろうね。
そう呼ばれるのもまた、親しみやすさの表れと取る事が出来なくもないんやけど、流石に凹むわぁ~~~……
「相変わらず賑やかだね君達は、同席させて貰っても良いかな?」
「兄さん?」
「吹雪さん、俺達は別に構わないぜ?」
と、此処で吹雪さん登場や。――オーダーしたメニューはラーメンセット(ラーメン+半炒飯+餃子)か……ちょっと意外なチョイスやな?
吹雪さんやと、もっとお洒落なパスタセットとか選びそうなもんやけどね?
「あはは、好きなんだよラーメン。特に醤油ラーメンがね。」
「そうだったんだ。意外。」
ホンマに意外やね。
せやけど、吹雪さんが同席するて珍しいんやない?いや、レッド寮の食堂には入りびたりやったけど、本館の食堂で一緒ってのは今まで無かった筈や。
――若しかしてとは思いますけど、何か考えとります?
「まぁ、正解だよはやてちゃん。
今日の放課後、僕とデュエルをしてほしいんだ――出来れば、十代君に僕と戦ってほしいんだ。」
「おぉ、俺とか?吹雪さんとデュエル出来るって言うなら、寧ろ俺の方からお願いしたいくらいだぜ!!!」
やっぱ考えとった……でも、其れがデュエルの申し込みと言うのはちょお解せんなぁ?
こんな事言ったらアレやけど、吹雪さんは留年しとるから、学年は私等と同じで授業カリキュラムも同じやから、実技の授業でデュエルする事は幾らでも
ある……それなのに態々今日の放課後にデュエルを挑んでくるって……ホンマにデュエルの申し込みだけなん吹雪さん?
「うん、勿論只のデュエルじゃない……正確に言うならば『ダークネス』となった僕とデュエルしてほしいんだ。」
「「「「「「!!!!」」」」」」
ダークネスやと!?
嘗てセブンスターズの一員として現れ、真紅眼のコンボで十代を追い詰めたダークネスとデュエルやと!!本気なんか吹雪さん!!
「本気なの兄さん!!
十代とのデュエルでダークネスの支配から解放されたって言うのに、また再びダークネスとなると言うの?下手をしたら今度こそ闇の底に……!」
「明日香の言う通りやで吹雪さん!何だってそんな事……!!」
「まぁ、落ち着いて。僕も伊達や酔狂で言ってる訳じゃない。
確かにダークネスの力は凄まじいけれど、だけどどうして僕はダークネスとなってしまったのか、其れが分からないんだ。
僕は闇に近かった訳でもないのに、其れでも何時の間にかダークネスと化し、そしてセブンスターズの一員として動いていた……其れが如何しても解
せないんだ――僕がダークネスと化してしまった原因を探る事が出来れば、或は何か分かるかも知れないからね。
それに、若しかしたらダークネスと化していた頃の僕の記憶だって蘇るかも知れない……そうなれば、より詳しく何かが分かるかも知れないからね。」
……言われてみれば、其れもそうやな?
せやけど大丈夫なん吹雪さん?またダークネスに支配される可能性があるのやけど……
「まぁ、間違いなく支配されてしまうだろうけど、だがその状態で全力のデュエルを行えば、ダークネス時代に失った僕の記憶を蘇らせる事も可能だ。
そして、僕の失われている記憶が戻れば、或は此度のアカデミアの事件に関する何かが分かるかも知れないからね?
其れに、僕がダークネスに支配されたとしても、君達が何とかしてくれるだろう?だから、このデュエルを受けて欲しいんだ。」
「そう言う事なら、喜んでデュエルさせてもらうぜ吹雪さん!!
ダークネスだろうとなんだろうと、俺のHEROが闇をブチ砕く!!やってやるぜ!!」
其れも対策は充分か。
せやったら当然十代はデュエルを受けるやろな……挑まれたデュエルは拒まん主義やからね。
此れは、凄いデュエルになりそうやで……
――――――
Side:十代
で、授業が全部終わって放課後になって、俺達は目的地に向かった訳なんだが――先に来てたんですね吹雪さん?
「僕から誘ったのだから、遅刻は厳禁だよ。
其れに、このデュエルは未来を映し出すモノだと思ってるからね……さぁ、全力でデュエルをしようじゃないか!!」
「細かい事は無しだって?……へへ、俺的にはそっちの方がありがたいぜ。彼是考えるのは俺には合わないからな。」
「それでこそ十代君だ……だが、此処からは!!!!」
――轟ォォォォォォォ!!
此れは、嘘だろオイ!!
吹雪さんから闇のオーラが溢れ出してくる……此れは、初っ端から本気で行かないと、逆に此方が不利になるかも知れないからな…
「久しぶりだな遊城十代…まさか、再び復活できるとは思っても居なかったが、よもやこのような形で再びデュエルする日が来るとはな。」
「其れは俺もだぜダークネス。」
「ならば、あの日のリベンジマッチを受けて貰おうか?――私が負けっぱなしと言うのは如何にも釈然としないのでな。」
だろうな……吹雪さんだったら気にしないかもだけど、プライドの高いダークネスには屈辱以外の何者でもないのかもしれないよな。
だからと言って手加減はしないぜダークネス!!
失われてしまった吹雪さんの記憶を取り戻す為にも、俺は負けられないからな!!
「負けられないか……其れは私とて同じ事!あの時の借りを此処で払うと言うのもまた一興!!覚悟は良いな、遊城十代!!」
「言われるまでもないぜダークネス!!」
「「デュエル!!」」
十代:LP4000
ダークネス吹雪:LP4000
このデュエルで、吹雪さんに全てを思い出して貰うぜ!!!
尤も、ダークネスの支配からも解放しないとだからな……まぁ、やるだけやってやるぜ!!こんな機会は、滅多にあるもんじゃないからな!!
兎に角、このデュエルに、先ずは勝たないとな!!
To Be Continued… 
*登場カード補足
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