Side：はやて 新たな力の覚醒に至って、私と準は斎王を倒した…倒した筈やった。 せやけど、今度は斎王の身体の中から更に強い闇が具現化して現れてきよった……コイツはまるで闇そのもの……何者やコイツ？ 遊奈と十代は既にやる気満々みたいやけど、未知の相手と行き成り戦うって言うのは危険が多いのは世の常でありある種の常識やな。 まぁ、この２人がちゃちな罠にはまるとは思えへんのやけどね。 って、問題は其処やなくて、目の前のコイツが何モンなのかって言う事や。 少なくとも世界の征服とかを考えてる訳やないやろうけど、目的が分からない相手程不気味なモノもあらへんからなあ…… 「おいコラバケモン！！イキナリ現れて随分物騒やないの？ 　遊奈と十代は既にやる気やから、細かい所に付いては問いただす心算は無いけど、少しだけ答えてもらおかなぁ？――アンタ何モンや？」 コイツが斎王に取り付いてたって言うのは間違いない。 せやけど、今現れたコイツと、私と準が倒した奴は恐らくは別者や……斎王も邪悪な意志が云々言うとったしなぁ？誤魔化さんと答えんかい！！ 「ククク……破滅の光を打倒しただけの事はあるな小娘、俺を前にして全く怯まないとは大した胆力だと褒めてやるぞ。 　まぁ、其れはお前以外のガキ共にも言える事だが……神官共ですら恐れた俺を見ても動じないとは、良い退屈しのぎになりそうだ。 　そして俺が何者かと聞いたな？……俺の名はトラゴエディア……３０００年前に生まれた怨念と憎悪の権化とでも言っておくか。」 怨念と憎悪の権化やと？……何や、それだけでも碌なモンやなさそうやなぁ？ しかもなんやねん３０００年前て？そんな超古代の恨み憎しみが何だって斎王に宿っとんねん？――どうにも面倒な事情がありそうやなぁ…？ 遊戯王×ﾘﾘｶﾙなのは×ネギま　　夜天と勇気と決闘者　ＧＸ116 『悲劇と憎悪の権化トラゴエディア』 Side：遊奈 ３０００年前って、随分長生きじゃんよトラゴエディアさんとやら――そんな大層なお爺ちゃんが、なんだって現代に現れたってのよ？ 「ククク……俺は３０００年前に罪人として裁かれた人間に宿っていた憎しみの心そのものだ。 　３０００年前のエジプトで、王朝の神官共は千年アイテムなどと言うモノを造り出すために１つの村の住人を生贄にした…俺の故郷をだ。」 「千年アイテムって……バトルシティのDVDで遊戯やマリクが持ってた金色のアレの事だよね！？ 　其れを生み出すために１つの村が生贄にって……そんな事を王様が命じたって言うの！？其れは幾ら何でも非道過ぎると思うんだけど！？」 「……神官共の話ではファラオは知らなかったのだろうな……俺にとっては同罪だが。 　ククク……神官共は愚かにも俺に罪を問い、逆に自分達の罪の大きさを目の当たりにする結果になったのだがな……！」 何時の時代も、一番偉い人に不都合な真実が伝わらないってのは変わらない事なのかねぇ？……で、其れでどうなったのよ？ ハネクリボーとかのカードがアンタに力をってのも良く分からないし？ 「罪を問うその方法に使われたのが、その小僧の持つ『白き羽の精霊』だった。 　そいつに俺の心臓を取り込ませ、そして『マアトの羽』と共に天秤に置き、俺の罪の重さを量ったのだ――故にそいつは俺の心臓其の物よ。 　だが、心臓を取り込まれた事で俺の力は弱まり、更にそいつがマアトの羽を取り込んだせいで心臓を取り戻す事も出来なくなってしまった。 　結果として、俺は石板に封印され、更に石板ごと砕かれて王墓の一室に幽閉される事となった……３０００年もの間な。 　ククク……だが、考古学などと言って墓を発いてくれた連中が居てくれたおかげで、俺はこの暗闇から脱する事が出来た……」 「俺のハネクリボーがお前の心臓を取り込んで…！！」 「そうだ……俺はずっとそいつを探していた……そして見つけた、忌々しいマアトの羽共々な！！」 マアトの羽って、確か準のエースの『光と闇の竜』だよねぇ？影丸爺ちゃんがそんな事言ってたし。 まさか、十代の相棒と準のエースが古代エジプトと関係があるとは思ってなかっての……デュエルモンスターズの起源的にはアリかもだけどさ。 てか、そうするとアレか？自分の力を取り戻すためにプラネットの力が必要だったとかそんな感じ？ 「勘が良いな小娘……その通りだ。 　目覚めた俺は手始めに、そこのエドとか言う小僧の父親に取り付きそいつの力をコピーしカードを生み出す力を得た。 　そして、その後斎王に宿ったが、其処に破滅の光が入り込んできてな……今までは深層意識に沈んでいたと言う訳だ。 　それでも、ジ・アース、SATURN、VENUS、Jupiter以外のプラネットを作り出す事くらいは出来たがな。 　だが、今のデュエルで破滅の光が倒された事で、俺はこうして出て来る事が出来た……感謝するぞガキ共！！！」 成程…惑星の力を宿したプラネットなら、奪われた心臓に力を注いで復活させる事は可能だったって事ね？ ん？そうなると私のスターダストは何でよ？スターダストは強い力を秘めてはいるけど、プラネットでも何でもないカードだよ？ 「此れは全く偶然だがな……俺が幽閉されていた王墓は、俺が生きていたよりも更に２０００年前の戦いの舞台だった場所らしい。 　その戦いに使われた『白銀の龍』の魂が其処には在り、それがより俺を強固に封印する結果になった――その力を利用させてもらったがな！ 　俺が力を完全に取り戻すには、その龍のカードも必要だったのだ……ククク、おかげで俺の力は完全に復活したぞ！！」 スターダストにそんな力が……アンタ中々凄い存在だったんだね。 「お前の事は分かった……だが化け物、お前はそうして復活して何をしようって言うんだ！世界征服でもする心算か！！」 「世界征服？……ククク…面白い事を言うな小僧、まぁ、やって出来ない事は無いだろうがな。 　目的か……復讐すべき相手は既にいないが……だが、この力を使って世界を混沌に落として暇潰しと言うのもまた悪くないかもしれん。」 「暇つぶしだとぉ！！」 「ふざけるな貴様ぁ！！そんな事の為に数多の人の命を弄ぶつもりか！！」 「其れが如何した？俺からすれば、所詮は長くて１００年程度の人の命など塵芥の虫けらに過ぎん。 　虫けら如きの命をいちいち気にするか？……虫けら如きは精々俺の退屈しのぎなるのがお似合いだろう…クックック………」 ………うるせぇよバケモンが、テメェ如きが人の命を軽々しく語るんじゃねぇ！！ 「せやなぁ……人の命をその長さで図るなやボケナスがぁ！！ 　命は何にだって一つや！それを手前勝手に弄ぶ権利は誰にもあらへんで！！そんな事も分からんのかいこのダボがぁぁ！！！」 命を軽々しく扱う事は絶対に許さないぜ！！ 何よりも、私とはやての前で今の発言は絶対に許さねぇ！！ 私もはやても、前世では若くして死んじゃった……だからこそ、命の重さは誰よりも知ってる心算だよ――だからこそテメェの今の発言は極刑モンだっぜ！ 「オイ、デュエルしろよバケモン。 　テメェのその腐りきった考え、塵すら残らずぶち砕いてやるぜ！！」 「お前の事は許せねぇ！！この場で叩き潰してやるぜ化け物！！！」 「クックック…良いだろうガキ共、お前達とのデュエルは楽しめそうだ。」 ――ギュゥゥゥン……！ 「全力で来るが良い！叩きのめしてやる！！」 再度斎王の身体に入ったか……まぁ、そうじゃなきゃデュエル出来そうにないからね。 だけどトラゴエディア、私と十代を相手にして勝てると思うなよ？私と十代は最強の『主役コンビ』だぜ？負ける筈がねぇっての！！ 「行くぜ十代！！」 「おう！！俺達のデュエルでアイツを叩きのめすぜ遊奈！！」 「やってまえ遊奈、十代！！人の命を軽んじてるボケを叩きのめしたれぇ！！」 「多くは語らん……ぶちのめせ、十代、遊奈！！」 言われるまでもねぇっすよ！！ 行くぜバケモン！大人しく眠ってれば良かったって後悔させてやるわ！！ 「「「デュエル！！！」」」 遊奈＆十代：LP４０００ 斎王（トラゴエディア）：LP４０００ 「先攻は貰うぜ！！俺のターン！！手札から魔法カード『ヒーロー・コール』を発動！ 　このターンのバトルフェイズを行わない代わりに、デッキからHERO１体を特殊召喚する！来い『E・HERO　シャドー・ミスト』！」 E・HERO　シャドー・ミスト：ATK１５００ 「シャドー・ミストの効果で、デッキから『マスク・チェンジ』を手札に加える。 　更に魔法カード『マスク・チェンジ』を発動！シャドー・ミストを墓地に送り同属性の『M・HERO』をエクストラデッキから変身召喚する！！ 　闇の仮面と鎧をその身に纏い、漆黒の正義を貫き通せ！変身召喚！頼むぜ、『M・HERO　ダーク・ライザー』！！」 『テアァァァ！！』 M・HERO　ダーク・ライザー：ATK２５００ 「カードを１枚セットしてターンエンド！」 行き成りレベル７の上級HEROとは、流石にやってくれるじゃん十代！ 元々手札の枚数で言うなら、私等はアイツ等の倍って事になる訳だからアドバンテージがあるし、行き成りの上級は更にアドバンテージだぜ！！ 「行き成り七つ星のモンスターと来たか……そうでなくては楽しめん。俺のターン！！ 　カードを２枚伏せ、マジックカード『恵みの宝札』を発動！相手よりも手札の枚数が少ない場合、手札が５枚になるようにデッキからカードをドローする。 　更にこの効果でドローしたカード１枚に付きライフを７００ポイント回復！ 　俺がドローしたカードは３枚！よって２１００ポイントのライフを回復する！！」 斎王（トラゴエディア）：LP４０００→６１００ 手札強化にライフゲインか……果たしてどんな戦術を使ってくるんだろうね？ 「……ターンエンドだ。」 「「はぁ！？」」 伏せカード２枚でターンエンド！？ 手札増強しといて、其れでもなお手札事故？それとも何かの誘い？……モンスターが居ないってのは攻め込むチャンスかもしれねーけどさ…… 「……迷っても仕方ないか、私のターン！ 　チューナーモンスター『ファイターズ・シンクロン』を攻撃表示で召喚！！」 ファイターズ・シンクロン：ATK８００ ファイターズ・シンクロンの召喚に成功した時、自分の墓地のレベル４以下の戦士族モンスター１体を効果を無効にして特殊召喚できる！ そして、こういう変則デュエルでは、この効果はパートナーの墓地も対象に出来るからね？ 十代の墓地からシャドー・ミストを特殊召喚するぜ！！ E・HERO　シャドー・ミスト：ATK１５００（効果無効） 「おぉ！遊奈も全力だな！行き成りレベル７のシンクロモンスターを呼ぶのか！？」 「勿論！手加減は不要っすよ！寧ろデュエルは常に全力全壊ってね！此れデュエルの鉄則！！ 　行くぜバケモン！私は、レベル４のシャドー・ミストに、レベル３のファイターズ・シンクロンをチューニング！ 　集いし金の閃光が、虚空を引き裂く剣となる。光差す道となれ！シンクロ召喚、煌け『ライトニング･ウォリアー』！」 『ウオォォォォォォォォ！！！』 ライトニング・ウォリアー：ATK２４００ 何を狙ってるか知らないけど、此処は攻め込むが上策！！ バトル！！M・HERO　ダーク・ライザーでダイレクトアタック！！ぶちかませ『ブラック・パルサー』！！！ ――ビシュアァァァァァァァ！！！ 「フン……攻めて来たか…」 斎王（トラゴエディア）：LP６１００→３６００ まともに受けた！？一体何で……何かの誘いかそれとも……？ だったら、追撃の一発で其れを見極めてやるわ！！ライトニング・ウォリアーでダイレクトアタック！！閃光一閃、『ライトニング・パニッシャー』！！ ――バチィィィィ！！！ 「クハハハハハ！実に素晴らしい攻撃だ！！」 斎王（トラゴエディア）：LP３６００→１２００ またまともに受けた！？……まさか本気であのカードはブラフで、手札事故を起こしたって言う訳？ 本当にそうなら、儲けもんなんだけど――何となく、嫌な予感をバリバリ感じるのよね……カードを２枚セットして、ターンエンド！ 「クックック、俺のターン！！……ターンエンド。」 んな、又してもモンスターを出さず、更には新たなリバースも出さずにターンエンドですってぇ！？ 本気で何を考えてんのコイツ！？次のターンで攻撃を受けたら終わりだってのに……ダメだわ此れ、何を狙ってるのか戦術がまるで読めねーわ…… 「お前やる気があるのかよ！！其れとも俺達を馬鹿にしてるのか！！」 「如何だろうなぁ？……その答えは自分で見つけるが良い！」 「答えを見つける前にぶっ倒してやるぜ！！俺のターン！！！」 その意気は良いけど、気を付けなよ十代――コイツは間違いなく何かを狙ってるわ。 こんだけ追いつめられたってのに、アイツの顔には一切の焦りも何もないからね……絶対に良からぬ事を考えてるのは間違いねーよ……！！ 『藪をつついて蛇を出す』ってんなら兎も角、藪をつついて出て来たのがアナコンダだった！！……なんてのは流石に笑えねーからね……！ 　Ｔｏ　Ｂｅ　Ｃｏｎｔｉｎｕｅｄ…　 ＊登場カード補足 ヒーロー・コール 通常魔法 このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。 デッキからレベル４以下の「HERO」と名の付くモンスター１体を選択し、自分フィールド上に特殊召喚する。 恵みの宝札 通常魔法 自分の手札が相手の手札よりも少ない場合に発動できる。 手札が５枚になるようにデッキからカードをドローし、この効果でドローしたカード１枚につき７００ポイントのライフを回復する。