Side:みほ


来週の日曜日に、全国大会の抽選会を控えた本日は、大会前最後になるであろう練習試合の真最中!
相手は古豪の『マジノ女学院』――フランス製の戦車を使って、マジノの伝統とも言える『浸透強襲戦術』を使って来たけど、伝統の名の下に使
い古されて、錆びついた戦術じゃあ私とお姉ちゃんには通じない!



「貴女の読み通りねみほ?此処から一気に行くわよ!!」

「背後を取れば、浸透強襲戦術も恐れるに足りませんからね?……其れでは御命令を遊撃隊隊長殿♪」

「こう言う時にノリが良いよね小梅さんは?」

だけど、私の命令は只一つ!!
私達は敵部隊の背後を取る事に成功した!――なら、後は倒すだけだよ!全軍一斉掃射!!!マジノの部隊に、黒森峰の強さって言うモノを
見せてあげよう!!



「上等!!黒森峰遊撃隊の名を、敗北と共に、テメェの魂に刻み込めってな!!」

「一生消えないように、刻み込んでやろうじゃない!!」



エリカさんと小梅さんだけじゃなくて、理子さんとサトルさんもやる気は充分だね?――なら、このまま押し切るから、どんどん攻撃して!
其れこそ、相手に反撃の機会を与えないように!!



「上等!!叩き潰してやるわ!!」

「行きますよ!!」



そして、エリカさんと小梅さんの奮闘もあって、大会前の最後の練習試合も白星で飾る事が出来た……少なくとも、此れで遊撃隊の有用性を疑
問視してた一部のOG会のメンバーは黙らせられるだろうね。

でも、其れよりも気になるのは、マジノの現状かな?
毎年全国大会に出て来るとは言え、殆どが例外なく2回戦で敗退……此れじゃあ、とてもじゃないけど古豪と言う事も出来ないよ。まして、今回
の練習試合は、黒森峰が完封しちゃったわけだからね。

此れは、そろそろ伝統を壊す時なんじゃないかなマジノは……其れを考えるのは私じゃないとは言っても、伝統の縛鎖は、何処かで断ち切らな
いとだから、試合後の挨拶の後で、一言言った方がいいかも知れないね……











ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer82
『練習試合と抽選会と+αです♪』










「「「「「「「「「「ありがとうございました!!」」」」」」」」」」



試合後の挨拶は大事だ、戦車乗りの礼儀だ……じゃなくて、礼に始まり礼に終わるのが戦車道だから、勝っても負けても試合後の挨拶って言
うのは、試合前の挨拶以上に大切かも知れないね。



「継続高校との練習試合で、遊撃隊を運用していたと言う噂は耳にしていましたが、まさか本当だったとは驚きですわ、西住まほさん。
 黒森峰……引いては西住流は、正面から真っ向勝負を挑んでくるモノだと思っていましたが……」

「確かに、真っ向勝負が黒森峰と西住流の根底にあるモノかも知れないが、だからと言って遊撃隊の様な別動隊を組織しない訳じゃない。
 寧ろ、持てる戦力と使える戦術の全てを使って戦う事こそが、真の真っ向勝負と言うモノだと思うんだよ、私はね。」



お姉ちゃんはマジノの隊長であるマドレーヌさんと試合後の雑談中って所だね?
それとなく、お姉ちゃんが『黒森峰は此れまでとは変わっている』って言う事を伝えてるみたいだけど、果たして伝わるかなぁ?……伝統を守っ
てる学校って言うのは、改革が難しいからね……



「……貴女が、遊撃隊を指揮していた方でしょうか?」

「ん?あ、はい!私が遊撃隊を指揮していました、西住みほです。」

「矢張り……遊撃隊の指揮官は貴女でしたか、西住みほさん。
 『隻腕の軍神』の名は、中学の頃より耳にしていましたが、本日実際に砲を交えてみて、噂が誇張されたモノではないと感服いたしましたわ。
 実に見事な戦いぶりでしたわ……私の知っている、黒森峰や西住流とは少し違うようですが。」

「私は、私の戦い方をしてるだけですよ。え~っと……お名前を伺っても宜しいですか?」

「失礼しましたわ。
 私はエクレールと申します。以後お見知りおきを。」



エクレールさんですね、覚えました。
それで、エクレールさんの知ってる黒森峰や西住流とは違う私の戦い方は如何でしたか?今回の作戦も、結構巧く行ったんじゃないかって思っ
てるんですけど。



「えぇ、実に見事でしたわ。
 私達に気付かれないように背後に回って、本隊との挟み撃ち……だけでなく、此方の部隊を掻き乱す為に足場を崩したり、木を倒したり、ティ
 ーガーⅠをジャンプ台にしてパンターでの空中殺法を繰り出したりと、マッタク持って予想も付かない事ばかりでしたわ。
 其れだけに、あんな事をして後でお咎めを受けません事?」

「其れについては問題なしです。
 遊撃隊の運用を決めたのは隊長だし、私達遊撃隊には『独立機動権』が与えられてるので、遊撃隊の隊長である私の考えで自由に動く事が
 許されてるんです。勿論、遊撃隊の隊員達にも。
 だから、遊撃隊がどんな事をしたところで、誰も咎める事は出来ないんですよ。ルールに違反した事をしない限りは。」

そして、この遊撃隊を組織したって言うのは、黒森峰に変革の風が吹いたって言う事なんですよエクレールさん。
黒森峰は現在無敵の9連覇を達成してる『絶対王者』ですけど、だからと言って伝統の戦術に固執してたら、何時か必ず攻略法が確立されてし
まうのは火を見るよりも明らかです。
そうならない為には、伝統に固執しないで、伝統を受け継ぎつつも新たな事をやって行かないとダメだと思うんです――貴女も、そう思ってるん
じゃないですかエクレールさん?



「……分かりますの?」

「何となく……ですけど。」

「流石は隻腕の軍神ですわ……洞察力と勘の鋭さも見事なモノですわ。
 確かに私は、マジノを変えたいと思ってますの。……如何に全国大会出場校とは言っても、ここ最近は準決勝にまで進んだ事は有りません。
 過去には準優勝した事も有ったようですが、最近はめっきり……今のマジノは古豪と呼ばれるようになって久しいのですわ。
 古豪ではなく、強豪と呼ばれるようになりたい……その為には、伝統は枷でしかありませんのよ!!」



其処まで思ってるなら、変革の風は自分で起こすべきだと思いますよ?
お姉ちゃんも、誰に言われたからじゃなくて、自分自身が黒森峰の改革が必要だって判断して、遊撃隊の組織に踏み切った訳ですから……現
状を変えたいって思うなら、思った人が動かなきゃ変えられないんです。



「自分から動く……考えても居ませんでしたわ。
 目から鱗ですわみほさん!私、マジノを改革する為に自分で動いてみようと思います。そして必ずや、マジノを改革して見せますわ!
 その時は、また戦って頂けますこと?」

「はい、勿論です♪」

マジノには伝統の名の下に押さえつけられてるポテンシャルがあるから、其れを引き出す事が出来れば今よりもっともっと強くなるだろうから。
改革が成功したマジノと戦うのを楽しみにしてますよ、エクレールさん。



「約束ですわよ?」

「分かってます。」

再戦を誓って握手をしてエクレールさんとは別れたけど、きっとエクレールさんはマジノの改革を成し遂げるんじゃないかって思うよ。――柔らか
な物腰の奥に秘めた闘志は、マジノの誰よりも凄かったからね。
今年は兎も角、来年のマジノは結構な注目校になるかも知れないよ。



「だけど、そうなった方が面白いんでしょ、貴女的には?……相手は強い方が面白いモノね、みほ?」

「まぁ、其れは否定しないよエリカさん。」

どうせ戦うなら強い相手の方が良いに決まってるよ。
相手が強い方が、自分もレベルアップできるし、何よりも相手が強ければ強いだけ、試合を楽しむことが出来るんだからね?――そう言う意味
でも、マジノが強くなるのは大歓迎なんだよ♪



「やっぱりみほさんにとって、戦車道は『まず楽しむ物』なんですねぇ……まぁ、確かに試合を楽しまずに勝っても、ちょっと虚しいですけれど。」

「楽しんだ上で勝つ、其れが私の戦車道の信条だから。
 尤も、其れが出来るのも、お母さんとお姉ちゃんが私の戦車道を――分かり易く言うなら、世間的に知られてる西住流とは、全く違う戦車道を
 認めてくれたからなんだけどね?
 そうじゃなかったら、私にとっての戦車道は、窮屈でつまらないモノになってたかも……」

「師範と隊長様様ってこったね~~?
 でもさ、家元は如何なの?言っちゃ悪いけど、家元って考え方が前時代的って言うか、まるで戦争で敵を倒すかのような事を言うじゃん?
 あの考え方だと、みほの戦車道ってアウトなんと違うの?」



そう思うだろうけど、私は此れで勝ってるからお婆ちゃんも何も言わないんだよ理子さん。
……それどころか、何とかして自分の考える西住流に引き込もうと画策してたらしいからね?その計画は、お姉ちゃんがお婆ちゃんの言う西住
流に従順なフリをする事と、お母さんが流派の考え方の違いでお婆ちゃんと対立する事でうやむやになってるんだけどさ。
って言うか、お婆ちゃんの考えって化石みたいに古臭いって言うか、スポーツとしての戦車道とはまるで合わないんだよ!兎に角相手を倒せっ
て、そんなのはスポーツじゃない!
其れだけなら兎も角、勝利の為なら味方を見捨てろって、幾らなんでもオカシイでしょ此れ!?



「うん、オカシイ。ぶっちゃけ有り得ないわね……こう言っちゃなんだけど、あのお祖母様が家元で大丈夫か西住流?」

「ダメだね、問題しかないよエリカさん。
 私としては、さっさとお婆ちゃんには引退して貰って、お母さんに新たな家元になってほしいと思うのです。」

お母さんは、西住流の伝統に、私の戦車道をミックスさせて新たな西住流って言うのを描いてるみたいだし、何よりも日本戦車道の片翼を担う
島田流の家元が、若々しい千代おばさまなのに、西住流の家元が顔面ひび割れ梅干しお婆ちゃんってのはどうかと思いますので。



「顔面ひび割れ梅干しお婆ちゃんか……言い得て妙だな。まぁ、お祖母様は晩婚であったし、跡取りであるお母様が生まれるのに10年掛かっ
 ているから、お年を召しているのは仕方ないがな。
 ……しかしだ、あの干からびているお婆様をお湯を掛けて3分待ったら若々しくなるだろうか?如何思うみほ?」

「カップラーメンじゃないんだから、お湯に掛けて3分待っても若くはならないと思うよ?寧ろふやけて、もっと酷い状態になるかもだから。」

其れよりもサラッと会話に入って来たけど、マドレーヌさんとの話は終わったのお姉ちゃん?
隊長同士、意見交換とか有ったと思うんだけど、其れをしたにしてはちょっと早くないかな?……若しかして、早めに切り上げたとかだったり?



「あぁ、そうだな。その通りだ。
 如何にもマジノは伝統に捕らわれてるきらいがあるので、其れでは駄目だと暗に言ってみたんだが、如何やら伝わらなかった様だ……このま
 までは、マジノは衰退の一歩を辿るだけだというのにな……
 そう言えば、みほもマジノの隊員と話していたみたいだが……」

「うん、話してたよ。エクレールさんと。」

こっちは、割と有意義だったよ?
エクレールさんは、マジノは変わらないといけないって考えてる人だったみたいだから、改革をしたいなら自分から動かないとダメだって事を伝
えたんだけどね。

改革って言うのは難しいけど、エクレールさんなら、きっとマジノの改革を行うと思う……来年以降のマジノには要注意だよ、お姉ちゃん。



「みほが其処まで言うのならば、来年のマジノは強敵となるのだろうな?
 だが、そうであっても我等黒森峰は常勝不敗だ!――前人未到のV10は、何としても達成しなくてはな……勿論、戦車道を目一杯楽しんだ
 上でだがな?」

「そうだね、楽しんだ上で10連覇を達成しないと、意味が無いもん♪」

だから、今年の全国大会は楽しみかな?
中学の時とは違う試合が出来るだろうし、中学の時に一緒に戦ったナオミさんとつぼみさんと青子さんが、今度は敵として立ち塞がる訳だから
ね……頼もしかった仲間が、今度は最強の敵となるってのは燃えて来るよ!!!

そんな訳で、出来れば全国大会では、聖グロと、アンツィオと、サンダースとは戦いたいですお姉ちゃん!!



「そう言われても、こればかりは運だからなぁ……クジの神様が、みほの願いを聞き入れてくれるかどうかにかかっているな此れは。」

「つまりは、運頼みって事だよね……」

でも、大丈夫じゃないかな?
私の記憶が正しければ、お姉ちゃんは凄くクジ運が良くて、デパートの福引でもいっつも3等以上を当ててたし、初詣もお御籤も、最低でも『吉』
を引き当ててからね?……其れを考えると、全国大会の抽選でも、最高の番号を引いてくれる筈だって思っちゃうよ!
期待してるからね、お姉ちゃん?



「ふふ、なら期待には応えねばだ……最高の番号を引き当てて見せるさ。」

「うん、期待してるよお姉ちゃん♪」

だけど、まさか申し合わせたような組み合わせになるとは、この時は思ってなかったよ――そして、その組み合わせが、崩壊への序曲だったっ
て言う事にもね。



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マジノ学園との練習試合から3日後、全国高校戦車道大会の抽選会の日。
黒森峰は、隊長と副隊長、そして遊撃隊の車長が抽選会に参加してるんだけど……抽選会場が、東京ドームって言うのは幾ら何でもオカシク
ないかな!?
夏の甲子園の抽選会だって日本武道館なんだよ!?なのに、なんで戦車道が東京ドームなの!?運営は馬鹿なの、死ぬの!?



「気持ちは分からなくもないけど落ち着きなさいってみほ……再来年には、プロリーグの発足と世界大会の誘致を目指してる文科省の思惑とし
 ては、戦車道への注目を集めたいって事なんじゃないかしら?
 日本武道館以上の規模であり、知名度も高い東京ドームで抽選会を行えば、其れだけで注目は集まるからね……きっと、そう言う事なんじゃ
 ないかと思うわ。」

「だからって、東京ドームはやり過ぎだと思うよエリカさん……」

「因みに、此の抽選会は、絶賛ニコニコ生放送で配信中だそうです♪」

「つまり、隊長は名実ともに全国区の顔って訳か~~……此れは、絶対に負けられないね!!」



何をしてくれたのドワン○!!
幾ら戦車道を盛り上げたいからって、抽選会に東京ドームを使って、更にその光景をニコニコ生放送で流すってのはやり過ぎじゃないのかな?
まぁ、資金は連盟と文科省が出してるんだから文句はないけどね。

それで、黒森峰の抽選の番だけど……



『黒森峰女学園、3番!』



お姉ちゃんが引き当てた番号は3番……此れは、何とも激戦区に入ったみたいだね?
3番は、1回戦が聖グロで、2回戦はシード権を獲得したアンツィオ、順当にいけば準決勝はサンダースで、決勝はプラウダになるのは間違いな
いだろうからね。
つまり、この組み合わせは、黒森峰にとっては星の潰し合いになる組み合わせ……10連覇を達成する為には、黒森峰以外の4強を全てに勝
たないといけない訳か……簡単な事じゃないけど、だからこそ燃えて来たよ!!



――轟!!!

――ドォォォォォォォォッォォン!!




「……軍神招来は良いけど、東京ドームのグラウンドにクレーターを作らないでよ……人工芝のグラウンドが抉れるって、ドンだけの闘志よ…」

「今の私の戦車力は、53万だよエリカさん……試合ではもっと上がるかもね。」

「何処の宇宙の帝王だアンタは!!
 だけど、其れ位じゃないと遊撃隊の隊長は務まらないわ――隊長のクジ運が良すぎて、1回戦から強い所と当たっちゃったけど、絶対に勝つ
 わよみほ?
 誰が相手だろうと勝って、真紅の優勝旗を黒森峰に持ち帰りましょう!」

「黒森峰の10連覇に、待ったなしです♪」



うん、絶対に勝とう。
全国大会10連覇って言うのは前人未到の記録だし、姉妹で其れを成し遂げたとなれば、高校戦車道の歴史に残る事になるかも知れないから
ね……目立つのは、好きじゃないけど、此れは達成しないとだよ。

だけど、それを成す為には、私達遊撃隊がドレだけの働きが出来たかにかかって来るから、其処はキッチリ押さえておかないとね。――何にし
ても、今年の全国大会の前半ブロックは荒れるのは間違いないよ。
逆を言うなら、荒れるからこそ楽しめるって言えるんだけどね……何にしても、今年の全国大会は只で済むとは思えない――詳細は、分からな
いけど、絶対に何かが起こるだろうからね。








――――――








Side:エリカ


マッタク、大会の抽選は操作されたんじゃないかって疑うくらいの組み合わせだったわ……黒森峰が引き当てた前半ブロックには、1回戦で聖
グロ、2回戦はシード権を得たアンツィオ……順当にいけば、サンダースとプラウダと戦う事になるのは、略確定してるって言っても過言じゃない
けど、だからこそ油断は禁物だわ……2回戦の相手であるアンツィオの隊長は、一昨年の大会でまほさんを倒した安斎隊長だからね。

みほがいる以上は、そう簡単に負ける事は無いと思うけど、最も警戒すべきは新生のアンツィオかも知れないわ……で、貴女は一体何をしてる
のかしらみほ?



「気が付いたらこうなってました♪」

「やっぱりみほ分は補給しとかないとね……」

「ひっさぶさのみほさんの抱き心地ですわ~~!!此れはもう、至高の抱き心地でしたわ!」

「程々にしとけ、私が言えた義理じゃないけどな。」



サンダースのナオミ、聖グロのローズヒップ、アンツィオのペパロニがみほに抱き付いてるって、幾らなんでもオカシイでしょ此れは!!
ほらほら、サッサと離れなさいっての!みほの身体は、誘蛾灯じゃないのよ?……群がった先に『死』が待ってるのとは違うからね?――でも
まぁ、その気持ちは分からなくもないわ……中学の頃は、誰よりも信頼できる仲間だったんでしょうからね。
最高の仲間と、試合で砲を交える事が出来るって言うのは、戦車乗りとしてこの上ない幸せかもしれないから、ナオミ達がみほに抱き付くのも、
ありなんでしょうね。

だけど、覚悟して来なさい?……大会で当たったその時は、私達の全力を持って貴女達を潰してあげるわ!!



「そう来なくては面白くありませんわエリカ様!!全力で行きますのよーー!!」

「そう簡単に勝てると思うなよ?
 ドゥーチェに、みほが纏めたノートの写しを見せたら、やる気マックスだったからなぁ?
 勝ち負けは兎も角、最高の試合を試合をしようぜ、みほ!!」

「貴女との準決勝、楽しみにしてるわみほ。」

「うん、楽しもうね……全力全壊で!!」



全力全壊とは大きく出たけど、それ位じゃないと、私達を倒す事は出来ないって言っておくわ!そして、みほがそう言った以上、私達の勝利は
絶対だわ!!

「全国大会、勝ちに行くわよみほ!!」

「勿論、その心算だよエリカさん!!」



悪いけど、今年も勝つのは黒森峰で決まりよ?
他校にみほ以上の相手がいない限り負ける気はしないし、味方にみほがいるなら勝利は絶対だからね?――圧倒的な力の前に平伏すと良い
わ!!

そして思い知るが良いわ……隻腕の軍神の前に立ち塞がる事は出来ないと言う事をね――!!



なんにしても、今年の全国大会は、楽しめるモノになるのは間違いない……みほじゃないけど、燃えて来たわ!だったら、尚の事、最高の大会
にしないとだわ!!



「だね。……だから、1回戦から全力で行くから。」

「了解。寧ろそう来ないと面白くないわ!!!」

さぁて、覚悟して貰おうかしら?遊撃隊を組織した黒森峰の新たな戦車道って言うものを、貴女達に見せてあげるわ!!――そして、勝利は絶
対に譲らない!!

誰が相手でも勝つ――其れが、王者の宿命だからね?

取り敢えず1回戦の聖グロ戦は、絶対に勝つわよみほ!!――新制黒森峰の強さと、新設された遊撃隊の恐ろしさを、其の身に刻み込んでや
ろうじゃない!!

全国大会は、1回戦から油断できない相手になったけど、そんな物は問題にもならないわ。
みほとまほさんが力を合わせれば、ドレだけ強大な相手であっても勝つことが出来るって思ってるからね……だから、絶対に成し遂げましょう!
前人未到の全国大会10連覇をね!!

精々覚悟しておきなさい聖グロ……真正面から叩き潰してやるわ!!











 To Be Continued… 





キャラクター補足