Side:みほ


継続高校との練習試合は勝てたけど、だからと言って気を抜く事は出来ない――勝って兜の緒を締めよって言葉がある位だから、勝利に慢心
したら、待っているのは敗北だからね。

だから、毎朝の基礎訓練は欠かせないよ。
10kmのランニングに始まって、ダンベル運動なんかで筋力強化をしつつ、身体の柔軟性は失わないようにする……此れだけの朝練が出来る
ようになっただけでも、アスリートとしては、結構なレベルなんじゃないかな?



「そうかも知れないけど、私の目指す高みは、まだまだこんなこんなもんじゃないわ!!――貴女を越えるのが私の目標だからね、みほ!!」

「其れは私もですよみほさん♪」

「エリカさん、小梅さん……」

其れはまた、何とも嬉しい事を言ってくれるね?――なら、2人の為にも私は最強の存在として居続けないとだよ……それが、礼儀だろうから。



「最強とは大きく出たけど、其れ位じゃないと越え甲斐もないわ。
 ん?……でも、みほが最強なら、まほさんだって最強な訳で、つまりは最強の姉妹で、その姉妹が揃ってるんだから――今更ながらに、負け
 るなんて事は有り得ないわね絶対に。」

「……勝負に絶対はないと思うけど、確かに負けは想像出来ないかなぁ?」

こう言っちゃなんだけど、今年の黒森峰は、恐らくお母さんが現役だった頃の黒森峰より強い……若しかしたら過去最強かも知れないからね。
だけど、他のチーム……特にサンダース、聖グロ、アンツィオに、この間戦った継続は要注意の相手だから、大会で当たった時には気をつけて
行かないとだね。










ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer81
『黒森峰での日常風景です』










さて、幾ら戦車道の絶対王者である黒森峰だからって、機甲科の生徒が四六時中戦車に乗ってるなんて事は無くて、普通の授業だって勿論
ある。と言うか、戦車道は何方かと言うと放課後の部活動に近い感じだからね。

で、黒森峰は偏差値も高めの学校だから、学業のレベルも当然高くて、授業態度も真面目な生徒が多い……筈なんだけど、この光景は間違
いなく私達のせいかな、エリカさん、小梅さん?



「いや、コイツ等の自業自得でしょ?行き成りはキッツイから止めとけって注意しといたのにやるからこうなるのよ。」

「私達の朝練は、行き成り参加して出来るモノじゃないですからねぇ……戦車道の時間までに復活出来ると良いんですけれど……?」

「其れは多分大丈夫じゃないかなぁ?……戦車乗りは、戦車の前ではシャキッとするモノだから。」



「「「「「「「「「「Zzz………」」」」」」」」」」



クラスの内、約10人が授業中であるにも関わらず爆睡中!
せめてもの救いはイビキをかいてない事だけど、其れにしたって見事な爆睡っぷりだよ。

まぁ、無理もないかなぁ?
寝ちゃってる人達も、朝の自主練はしてたみたいだけど、今日は、私が率いる遊撃隊のメンバーが行ってる、特別メニューの朝練に参加してた
訳だからね?

10kmのランニングに始まり、ダンベル運動(片方5kg)左右200回ずつ、腹筋200回、スクワット200回を熟して、其の後で筋肉が柔軟性を失
わないように、中国式の太極拳やスポーツヨガで身体を解して、最後に入念なストレッチって言うメニューを大体3時間で行うんだから、慣れて
ないと授業が睡眠学習になるのは仕方ないかな?



「聞いてるだけで吐き気がしてくる練習内容だが、西住も逸見も赤星も、なんで平然としてられるんだ!!」

「何でって、そりゃあ慣れてるからじゃないですかね?
 ぶっちゃけ、西住流フィジカルトレーニングを中学の頃に3年連続で合宿で熟した身としては、この程度の朝練はウォーミングアップ程度?」

「もうすっかり慣れちゃいましたからねぇ?多分、直下さんと時坂さんも、クラスは別ですけど平然としてると思いますよ?」

「そして私の場合は、小学生の頃からこれ以上のハードトレーニングをやってるので、今更これくらいどうって言う事は無いんですよ先生♪」

「其れだけのハードトレーニングを行って尚平然としているとは……此れが西住流――恐るべし!
 とは言え、此れだけの生徒が寝てたんじゃ授業にならん。遊撃隊の隊長として、何とか寝てる連中を起こしてくれないか西住?」



え~~?そう言われても、起こして起きるかなぁ?
こんな事言ったら身も蓋もないけど、寝てる人達は全員深い夢の中……人によっては、意識や魂が遠い宇宙の果てのブラックホールか、異界
に飛んでると思うからねぇ?……如何やったら、起きるかなぁ?



「何を迷っているのよみほ?貴女には、熟睡してる相手や寝ぼけてる相手を一発で覚醒させる必殺技があるでしょう?
 其れを使えば、寝てる連中なんて速攻で起きるわよ!それどころか、気合が入って逆に授業に身が入るんじゃないかしら?……こう言っちゃ
 なんだけど、恐ろしい程に似てたからねアレは……」

「一瞬、本当に隊長に一喝されたのかと思いましたよアレは……」

「あぁ、確かにその手があったね。」

それじゃあ、授業を進める為にも一発行こうか?
ふぅ……お前達、如何に朝練で疲れているとは言え、授業中に居眠りをするとは何事だ!!


「「「「「「「「「「はいぃぃぃぃ!すみませんでした隊長!!!」」」」」」」」」」


「……本当に起きたし。」

「本当に似てるわよねぇ……貴女とまほさんが夫々真似したら、師範でも見分けがつかないんじゃないのかしら?」



そう思うかもしれないけど、お母さんはバッチリ見分けるんだよ此れが。
確か小学校の時だったと思うけど、お姉ちゃんと髪型取り換えての入れ替わりをした事があったんだけど、お姉ちゃんはアッサリとお母さんに見
破られちゃってたからね?
と言うか、真面目で実直なお姉ちゃんには声真似なら兎も角として、ガチの物真似とか無理です。……であるにも拘らず、ガンダ○SeeDのラク
○のキャラソン歌わせると満点を叩き出すんだけど。

其れは其れとして、皆起きた?
幾ら朝練で疲れたとは言っても、授業で寝ちゃダメだよ?起こす為にお姉ちゃんの真似をして言ったけど、言った内容は私が思ってる事だから
ね?……興味本位で、遊撃隊の朝練に参加するのは勝手だけど、其処でへばったからって授業で寝るのは言語道断だよ!



「た、隊長じゃなくて、遊撃隊長だった?」

「お、オッソロしく似てたわぁ……流石は姉妹……顔は似てないけど、遊撃隊長が低めの声出すと、隊長にそっくりの声だわぁ。」

「此れが、西住流の真髄……御見それしました!!」

「……色々と突っ込みたい所は有るけど、私が言った事は分かったかなぁ?……分かったら、返事をしてほしいんだけど?

「「「「「「「「「「Ma'am Yes Ma'am!!」」」」」」」」」」



宜しい。
と言う訳で寝てた人達は全員起きたので、授業を続けて下さい先生。え~っと、確か今日はテキストの38ページ目からでしたよね?……如何
かしましたか?



「西住、お前は絶対に最高の指揮官になれるんじゃないかと思うわ私は……10年前に隊長を務めた私を竦ませるとは大したモンだわ。

「?」

なんか、先生も若干引いてたみたいだけど、どうしたんだろうね?
まぁ、良いか……此れで授業が円滑に行われる訳だから。――尚、1時間目の必修外国語であるドイツ語の授業では、ドイツ系クォーターのエ
リカさんが終始無双でした!
私もドイツ語は得意だけど、流石にエリカさんみたいにネイティブな発音は出来ないからね……今更ながらに、流暢にドイツ語を話すエリカさん
ってかっこいいなぁ。
小梅さんから聞いた話だけど、中学時代――特に3年生の時にはラブレターが絶えなかったって言うのも納得かな?

……こんな事言ったらアレだけど、中学時代に貰ったラブレターの数を競ったら、私とエリカさんって結構いい勝負なんじゃないかなぁ?
尤も、私とエリカさんのラブレターの総数を合わせても、多分お姉ちゃんが貰った数には遥かに及ばないんじゃないかって思うけどね……まぁ、
お姉ちゃんのネームバリューは、国際強化選手って事も有ってワールドレベルだから比べるのが間違ってるけどね。








――――――








Side:エリカ


みほの一喝(まほさん仕様)で何とか授業が成り立った後は、居眠り組の目も完全に覚めて、授業が滞る事は無かったわね。
で、授業は進んでただいま4時間目……昼休み前の此の時間だけど、水曜日の今日は、体育なのよね?昼休み前の運動って事で、何時もよ
りもお腹が空くから、この後の学食は結構激戦なのよ。
まぁ、私は中休みの時に、水曜日限定のデミハンバーク定食を予約しといたから安心だけど。

その体育の授業は、本日はサッカー。
女子高でサッカーと思うだろうけど、なでしこジャパンの活躍で女子サッカーは盛り上がりを見せてるし、ドイツ風の流れを汲んでる黒森峰でサ
ッカーは外せないでしょうよ?
ドイツは、過去に何度もワールドカップを制覇してるサッカーの強豪国だからね。

で、試合のチームは申し合わせたかのように私と小梅と、そしてみほが一緒のチーム。
ポジションとしては、小梅が特殊ディフェンダーであるスイーパー(最後線で待機し、斬り込んで来た相手フォワードを止めるディフェンスの切り
札)で、私とみほがトップ2のフォワード……負ける気がしないわね。
流石に50分の授業中で前後半を分ける事は出来ないから、40分間の1ゲームだけど、授業とは言え絶対に勝つ――行くわよみほ!!



「うん、行こうエリカさん!!」

「黒森峰の軍神と狂犬は、戦車だけじゃないって教えてあげるわ。」

コイントスの結果、キックオフを得たのは相手の白組だけど、其れ位は丁度良いハンデだわ……遊撃隊隊長と副隊長のコンビネーションを、其
の目に焼き付けてやろうじゃないの。



――ピーーー!!



で、試合開始。
相手はオーソドックスなパスから攻めて来たけど甘いわ……スライディングカットでボールを弾けば、其れをみほが巧くトラップしてからドリブル
に繋いで一気にゴール前まで!

そうなれば当然、相手のディフェンダーはみほを潰しにかかる訳なんだけど……



「おぉっと、そうはさせないよ?エリカさん、お願い!!」

「任されたわみほ!!」

ディフェンダーがカットに入る前に、みほは私に弧を描くような軌道でのパスを出してくれた……そして、此れは私にとっての絶好球に他ならな
いわ!!
地面を蹴って跳躍して、そのままサッカーボールを右足で一閃!!


――ズバァァン!!

――ピピィ!!



決まったわ、ジャンピングボレー!
先ずは1点先取ね。ナイスパスよみほ!!



「エリカさんも見事なシュートだったよ♪――此のまま一気に突き放しちゃおう!!」

「了解!」

んで、再び相手の攻撃から。
細かいパスはカットされると読んで、私とみほの頭上を越える大きなパスを出して来たわね?……まぁ、悪くない判断だとは思うわ。
前線にパスを出せば、速攻に繋げる事も出来るし、学校の授業じゃオフサイドみたいな良く分からないルールは適用されないから攻め込み過
ぎるって事も無いからね。

パスを受け取ったミッドフィルダーの子も、速いパス回しでフォワードの子に回して、こっちのディフェンダーを躱してゴールまで一直線って所だ
けど、ゴール前にはスイーパーである小梅が居る。
其れを考えれば真っすぐ突っ込むのは悪手……となれば、当然パス回しで小梅を抜こうとするはずだけど……



「見切りました!!
 パスで抜く……と見せかけての強引な突破は読んでましたよ?ボールは頂きます!!」



パスは見せかけだって読んだ小梅が、見事なインターセプト!からの前線へのロングパス!!
其れをミッドフィルダーの子がヘディングで私に繋いで、其処から一気に斬り込む!ディフェンダーがカットに来たけど……甘い!!


――バシュン!!


「えぇ!?な、何この高速フェイント!?」

「必殺の超鋭角フェイントよ!」

急激な方向転換が必要になるから、足には可成りの負担がかかるんだけど、みほ達と毎日行ってるトレーニングで培った、ゴムの柔軟性と鋼
の剛性を併せ持つ筋肉の前には無問題よ!
さっきは御膳立てして貰ったから、今度は貴女が決める番よみほ!!



「ナイスパス!それじゃあ華麗に決めちゃおうかな?……此のディフェンダーを躱す所からね!」



言うが早いか、みほはカットに来たディフェンダーに背を向けるとボールを背面方向に大きく蹴り上げてから急旋回し、その過激な動作で一瞬
の虚を突かれた相手の横を抜き去り、落ちてきたボールをオーバーヘッドキック!



「行けぇぇぇぇ!!」



其れも只のオーバーヘッドキックじゃなく、オーバーヘッドでのドライブシュート……大きく下に落ちるドライブ回転をオーバーヘッドで放った場合
には、回転が逆になるから浮き上がるシュートになる訳で、みほのシュートはゴール手前で大きくホップして、キーパーの手をすり抜ける形でゴ
ールネットを揺らしたわ。

「魅せてくれるじゃないみほ?サンタナターンからのオーバーヘッドドライブだなんて、機甲科じゃなかったら女子サッカー部が勧誘に来るんじゃ
 ないかってレベルよ?」

「えへへ~~、どうせなら華麗で派手に決めたかったからね♪」

「狙い通りに華麗で派手に決まったわよ。」

で、其の後も試合は、私とみほと小梅の居る紅組が終始有利に試合を進めて、終わってみれば6-0の圧勝。(因みに私とみほで夫々ハットト
リックで、小梅は驚異の5ブロックと5インターセプトを達成。)
自分で言うのもなんだけど、私とみほと小梅が組むと、戦車道じゃなくても最強みたいね?


因みの此の授業の事が、サッカー部の先輩の耳に入って、サッカー部の部長が『機甲科所属なのが本気で恨めしい』って血涙流してたって話
を聞いたけど、其れは諦めてとしか言いようがないわ。

私達の本領は、やっぱり戦車道だからね。








――――――








Side:みほ


そんなこんなでお昼休み。そして、場所は食堂。
朝ごはんは手作りだけど、流石にお弁当まで用意してる暇はないから、どうしてもお昼は食堂になっちゃうんだよね……尤も、黒森峰の食堂の
レベルは高いから文句はないけど。

午前中に体育があってお腹が空いてるから、私は……ハヤシライスを大盛りで。
其れが主食で、おかずに鯖の塩焼きと、メンチカツと、コロッケと、回鍋肉。其れでお味噌汁の代わりに味噌ラーメン、牛乳はパックで宜しく。



「す、すっごいわねみほ……そんなに食べて大丈夫なの?」

「ボリュームが物凄いですよ此れ……体重計に乗るのが怖いレベルです……」

「ところが全然平気なんだよね此れが?
 如何やら、左腕ないって言うのは結構身体にとっては負担が大きいみたいで、体育で身体を使った後はとってもお腹が減るんだよ……それ
 こそ、エネルギーを求めてるようにね。」

だから、此れで良いの。
確かに高カロリーなメニューだけど、摂取カロリーを上回る消費カロリーがあるから、食べ過ぎて太るって事も無いし、何よりも毎日のトレーニン
グで『燃える身体』になってるから、動き回った後は此れ位食べないと身体が持たないんだよ。

大体にして、私ほどじゃないとは言え、エリカさんと小梅さんも何時もよりも大盛りだよね?
エリカさんはライス大盛りに加えてハンバーグがキングサイズだし、小梅さんのチキン南蛮定食も、チキン南蛮が2枚乗せになる極盛タイプだか
らね……まぁ、御飯が美味しく食べられるのは良いって事で♪



「あぁ、その通りだな、
 医食同源と言う言葉があるように、食は身体の基礎となるモノだからね?……食事が美味しく摂れている間は、大病はしない筈さ。」

「あ、お姉ちゃん……其れと、近坂先輩も。」

「ちょっと席が埋まっててね……相席しても良いかしら?」



はい、其れはもう。
遊撃隊のトップ3と、本隊の隊長と副隊長が、こう言う場所で一緒になったって言うのは、新聞部にネタを提供する事になるかも知れないけど、
記事にされて困る事なんて何一つないから、問題なしだよ。

時にお姉ちゃん、今日のランチのメニューは何かな?私の見間違いじゃ無ければ、トレイの上には食欲をそそるスパイシーな香りを放つ、至高
のビーフカレーが見えるんだけど?



「見間違いじゃないぞみほ、紛れもなく私の本日の昼食は、黒森峰特製のビーフカレーだ。」

「うん、其れは分かった。
 だけど、昨日も、そしてその前も……ぶっちゃけて言うなら、お姉ちゃんは昼食を食堂で済ませてる上に、頼むのは決まってカレーって言うの
 は如何言う事!?」

好物に祟りなしとは言うけど、お姉ちゃんの場合はカレー食べすぎ!!
まさかとは思うけど、朝からカレーを食べたりしてないよね?……もし、そんな事をしてたらちょっとお話が必要なんだけど……その辺は如何な
んですか近坂先輩?



「流石に朝はトーストと珈琲で済ます事が多いけど、其処まで乱れてはいないと思うわよ?……其れでも、昼食は毎日カレーだけどね……
 夜は私が作るから兎も角、昼までは制限できないわ流石に……まほは『カレーの王女様』って言っても良いかも知れないわねマジで。」

「お姉ちゃんがカレーの王女様なら、エリカさんはハンバーグのお姫様ですね……」

「誰がハンバーグ姫か!」

「だってエリカさんのランチも、週に3~4回はハンバーグだし?ただ毎日じゃないから王女様じゃなくてお姫様♪」

なんて、くだらない冗談を言ってる場合じゃないよね?
お姉ちゃん、幾ら栄養バランス的には優れてるとは言っても、ランチが毎日カレーっていうのはどうかと思うよ?『好物に祟りなし』って言葉があ
るとは言え、幾ら何でも食べ過ぎです!!



「そうか?此れでも抑えているんだぞ?
 本音を言うなら、1週間の内、4日は3食カレーでも私はマッタク問題ない!寧ろウェルカムだ!!カレーは正義だ、異論は認めんぞ絶対!」

「うん、其れ色々間違ってるから!」

はぁ……お姉ちゃんは、戦車に乗ってる時はカッコいいし、普段の生活の中でもカッコよさが際立つ人なんだけど、所々でポンコツさが顔を出す
んだよねぇ?――其れが魅力って言えば魅力なのかも知れないけどね。

取り敢えず近坂先輩、お姉ちゃんの食生活には目を光らせておいてください――くれぐれもカレーを食べ過ぎないようにさせてください。



「まぁ、出来る範囲でやってみるわ。……まほのカレー好きは、凄まじいから難しいかも知れないけど。」

「そこは、何とか頑張って下さい!!」

お姉ちゃんのカレー好きは、お母さんや菊代さんが引くレベルだったので難しいかも知れないけど、食べ過ぎるようだったら何が何でも止めて
下さい!
場合によっては多少荒っぽくても許可します、妹として!!



「OK、任されたわみほ。」

「カレーの食べ過ぎは駄目なのか?……何も問題は無いと思うんだが……」

「……その認識がそもそも大問題だよお姉ちゃん。」

取り敢えず、幾ら好物だからって、食べ過ぎは厳禁!
栄養バランス的に優れてるとは言っても、カレーは刺激物だから摂り過ぎは身体によくないからね?……カレーを食べるなとは言わないけど、
毎日食べるなら昼食のみで!分かった?



「むぅ……みほに言われたら従うしかないな……もしも約束を破ったら、お母様や菊代さんに言いつけられてしまうだろうからね?
 其れはとっても恐ろしいので、食べ過ぎないって誓うよみほ。」

「其れなら良いです。」

流石のお姉ちゃんも、お母さんと菊代さんには頭が上がらないんだよね……お婆ちゃんには従うふりをしながら、見えない所で中指を立てたり
してるけどさ。

所で、そろそろ全国大会の時期だよね?
大会の目標とか有るのかな、お姉ちゃん?



「全国大会の目標だと?……聞くだけ野暮だなみほ。
 我等黒森峰は、此れまで無敵の9連覇を達成しているんだ……ならば今年の目標は、10連覇達成以外にないだろう?
 お前の中学時代の同級生が夫々、聖グロ、サンダース、アンツィオに分かれたのを考えると簡単な事ではないだろうが、大激戦を制してこそ
 勝利には意味があるからな。
 そして、大激戦を制して10連覇の偉業を達成したとなれば、話題にはなるし――この大記録を、お前と一緒に成し遂げたいからな、みほ。」

「お姉ちゃん……うん、絶対に勝とうね!!」

私と一緒に10連覇の偉業を成し遂げたいって、嬉しい事を言ってくれるねお姉ちゃんは?
――だけど、その思いは私も同じなんだよお姉ちゃん?10連覇の偉業を達成すれば、お姉ちゃんと近坂先輩……ぶっちゃけて言うなら、3年
生全員の評価に箔が付くからね。

全国大会は決して楽な戦いじゃないだろうけど、必ず勝とうねお姉ちゃん――大丈夫、私達ならやれるよ!!



「みほ……あぁ、そうだな、私達ならやれる。
 何よりも、私にもお前にも心から信じられる仲間が居るんだ……ならば、負ける事等有り得んな――!!」

「うん、有り得ないよ!!」

大会の抽選会まであと1週間……どんな組み合わせになるのかは分からないけど、初めての高校戦車道の全国大会は、間違いなく大荒れに
なるって言う事だけは確かだろうね。

ふふ……何処とどんな戦いが出来るのか、今からワクワクして来たよ♪楽しみだね、全国大会が!!



「えぇ、楽しみだわ……ドレだけの猛者が居るのか、想像しただけでワクワクして来るわ!!」

「それでも、勝つのは私達ですけどね?……絶対に負けませんよ、みほさん率いる遊撃隊を有する黒森峰は!!」



そうだね……必ず持ち帰って見せるよ、真紅の優勝旗を黒森峰にね!!――きっと楽しめるだろうね、高校戦車道の全国大会は……!!!











 To Be Continued… 





キャラクター補足