Side:みほ


中学の時の彼是でエリカさんと付き合う事になった訳なんだけど、小梅さんは大丈夫?こんな事を言ったらアレかもしれないけど、三人部屋で私と
エリカさんがカップルって言うのは小梅さんにはきつい事だと思うんだけど……



「そんな……私の事は気にしないで下さいみほさん――私はみほさんとエリカさんが幸せであるのならば其れで良いんです……だから、私の事は
 気にせず、思いっきりいちゃついてください。
 エリみほは鉄板なので。序に作者の好物ですから。」



――エリみほは正義だ!ガルパンの常識だ!古事記にだってそう記されている!!



……何か聞こえたけど無視の方向だね此れは。



「小梅……そうは行かないわよ?
 中学の三年次はみほに酒瓶を口に突っ込まれてKOされたけど……今だから言うけど、二年次には小梅もアタシと同じ方法でみほに酔い潰され
 んだからね?貴女もみほも覚えてないでしょうけど。」

「ふえぇ!?そうなんですかエリカさん!?」



マジですかエリカさん!?……と言う事は、私はエリカさんだけでなく小梅さんの初めても奪ってたって事だよね?……ゴメン、やっぱ学園艦の先
端から紐なしバンジーやって来る。
お母さんには『西住みほはリバプールの風になった』とでも言っておいて!!









ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer177
無限軌道杯に向けての準備です』









「リバプールの風になったって、獣神サンダー・ライガーの中の人かアンタは!!」

「紐なしバンジーは駄目ですみほさん!!」



後は学園艦からの紐なしバンジーを敢行すれば良いと思ってた所で、小梅さんに抱き付かれてしまいましたとさ……何でこうなるのかな?
と言うか、酔っぱらったとは言え、エリカさんと小梅さんのファーストを奪ってたとか、最低すぎるよ私……尤も、その罪滅ぼしの意味でエリカさんと
付き合う事にした訳じゃないけどね。エリカさんの事が好きなのは本当だし。
だけど、此処で新たに小梅さんがエントリーするとは予想外だったよ!!!



「小梅……正直に言いなさい、貴女もみほの事が好きなんでしょ?」

「……はい、好きです。
 中学一年の時に戦った時から好きになってました……だけど、みほさんにはエリカさんみたいな人の方が相応しいと思ったんです――だから私
 は此の思いを胸の奥に秘めておく心算でした。
 それなのに、此処で暴露されたら意味がないじゃないですか!!!」

「そうだね、無意味だね~~……」

しかも小梅さんもエリカさん同様に私の事が好きだったとさ。……如何しろっての此れ!?
戦車女子的に百合カップルは珍しい事じゃないし、私だって小梅さんの事はエリカさんと同じ位好きだけど、だからと言って二股掛けるのは絶対に
アウトでしょ!?
浮気や不倫はダメ絶対!!



「みほ、こんな言葉を知っている?『たった一人しか愛してはならないと誰が言った?』っての。」

「なんだかどっかで聞いたセリフ!?
 より詳しく言うなら、近坂先輩並みの眼鏡美人な無限の成層圏の二次創作のオリ主が、双子の弟になった原作主人公に言い放ったセリフ!!
 そして、毎度双方の作品に感想を送ってくれる皆様、この場を借りて厚く御礼申し上げます!!」

「みほさん、可成りメタいです。メタルスライムやメタル化よりもメタいです。
 それでその、私もみほさんが好きな訳でして……私では駄目でしょうか?」



上目使いで聞いて来る小梅さん……其れは反則だよ。
だけどエリカさんは良いの?私が小梅さんと付き合っても……



「別に全然かまわないわよ?こう言ったら何だけど、貴女って天然の人誑しだと思ってるから、私や小梅以外にも思いを寄せてる人が居るだろうっ
 て思ってるし。
 貴女が本気なら、何人と付き合おうと気にしないわ……ぶっちゃけて言うと、ペパロニなんかも貴女にそっちの感情持ってるかもだし。」

「そ、其れで良いのかな?って言うかペパロニさんも!?……と言う事は、ナオミさんやローズヒップさんも……」

「いえ、ナオミさんは五十鈴さんと、ローズヒップさんはルクリリさんみたいです。」



ローズヒップさんは兎も角、ナオミさんの相手が100メガショック!!って言うか何時の間にそんな関係になってたの!?全然マッタク気付かなか
ったんだけど!!



「実は全国大会の後からみたいよ?
 ナオミは2年生ながら3年のノンナと肩を並べる位の砲手だけど、華ってば今年から始めた砲手なのに、大会の要所要所で一発必中を連発して
 大洗の勝利に貢献したじゃない?
 その類稀なる才能にナオミが惚れ込んで、決勝戦の時に私達にエールを送りに来た時にコッソリ連絡先交換してたみたい……其処から、何度
 か電話で話してる内にお互いにって事みたいよ。因みに情報元は沙織。華本人から聞いたってんだから確実でしょ此れ。」

「沙織さんが言ってるだけなら兎も角、華さん本人が沙織さんに言ったって言うのなら其れはもう確定と見て良いね……これはアレかな、砲手とし
 て互いに惚れ込む所があっただけじゃなく、ナオミさんは華さんの純和風な大和撫子な容姿に、華さんはナオミさんのボーイッシュな見た目に惹
 かれたって言う事なのかな?」

「多分そうなんじゃないですかね?」



まさかのナオ華になってたとは驚きだけど、ナオミさんと華さんなら案外巧く行くんじゃないかな?ボーイッシュでざっくばらんなナオミさんと、おっと
りしてるけど芯の強い華さんはお似合いだと思うからね。

でも其れは其れとして、私の事だよ今大事なのは!!
エリカさんと付き合う事になったけど、小梅さんにもエリカさんにやったのと同じ事をしてて、小梅さんも私の事を好きで、私も小梅さんの事は好きな
訳で、そしてエリカさんは私が何人と付き合っても良いって言うんだよね?



「それで、みほさん……私と付き合って頂けますか?」

「答えは一つだよ小梅さん……こんな私で良ければお願いします!!」

「はい、此方こそ。」



西住みほ17歳、僅か9時間ちょっとの間に彼女が二人も出来ましたとさ……此れもアレかなぁ?英雄色を好むって言うのかなぁ……合ってる様な
違う様な――まぁ、深くは考えないようにしよう。

その後、沙織さん達と合流したんだけど、私がエリカさんと小梅さんと付き合う事になったのを伝えたら、驚かれたけど祝福されちゃったよ。
優花里さんに至っては『エリみほは神、みほ梅は尊いであります!』とか言ってたからね……尚、華さんにナオミさんとの事を聞いたら、少し顔を赤
くして『お付き合いさせて貰っています』って返って来たよ。
で、私とエリカさんと小梅さんが付き合う事になった沙織さんが『みぽりんまさかのハーレム!?やだもー!!』とか言ってたのは、まぁお約束って
言えるかもね。

で、其れは何かなアンドリュー、ロンメル?



『ガウ、ガルルゥゥゥゥ。(不審者其の壱。沙織のストーカーだ。)』

『キュ、キュイーン。(こっちは不審者その弐です。こっちは優花里さんのストーカーですね。)』


「成程よく分かったよ……アンドリュー、ロンメル――パワー全開で破壊光線!!」



――ドッガァァァァン!!!



「みぽりん、ストーカーは撃滅一択だけど、破壊光線はちょっとやり過ぎじゃない?って言うか、アンドリューとロンメルって破壊光線使えるんだ。」

「破壊光線は1ターン動けなくなるデメリットはあるけど、其れを補って有り余る破壊力があるから覚えさせても損はないんだよ沙織さん。
 それと、学園艦に忍び込む迷惑DQNに掛ける情けは無いよ……生徒に被害が出てからじゃ遅いから、こう言った輩は捕まえたら速攻で処分す
 るのが吉なんだよ。分かった?」

「言われてみればそうだよね……理解したよみぽりん♪」



分かってくれれば其れで良いよ沙織さん。
取り敢えず、今日も一日頑張って!



「「「「「行きまっしょい!」」」」」

「行くぞ~~。」



麻子さん、こう言う時は少しは合わせて欲しいよ……まぁ、此のマイペースさが麻子さんの魅力でもあるだろうけどね。



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で、その日の昼休み、スマホのLINEで桃ちゃん先輩に呼び出されて、学園艦のコントロールルームに来たんですけど、何かあったんですか桃ちゃ
ん先輩?
って言うか今日のランチはカツサンドですか、美味しそうですね。



「只のカツサンドではない。大洗アクアワールドとのコラボメニューであるシャークカツサンドだ。サメ肉のカツと特製のタルタルソースを挟んだサン
 ドイッチは絶品だ。
 今度お前も食べてみると良い……ではなくてだなぁ、マークⅣの在り処が分かったんだ。」

「本当ですか桃ちゃん先輩!!」

「本当だ!マジだ!!本気と書いてマジと読むくらいにマジだ!!」

「此の短期間でマークⅣの在り処を断定するとは、流石ですね王様!!」

「ハッハッハ~~!我を誰と心得る!紫天の主たる、闇統べる王ぞ!我の手にかかれば此れ位の事など造作もないわ!って、やらせるなー!」



いやぁ、桃ちゃん先輩ノリがいいのでつい。
其れで桃ちゃん先輩、マークⅣは何処にあるんですか?場所が分かるのなら直ぐにでも取りに行きますけれど?



「お前ならばそう言うと思ったぞ西住……とは言え一人では大変だろうから何人が一緒に行くメンバーを選出してくれ。
 お前と、お前と一緒に行くメンバーは午後の授業は公欠扱いにしておくからな。」

「其れは助かります……して、マークⅣの在り処は如何に?」

「……この学園艦の最深部だ。」



学園艦の最深部!!
前に一度迷い込んじゃった事があるけど、あそこの治安はアメリカのスラム街も真っ青なレベルなんだよねぇ……流石にヤバ気なクスリをヤッてる
ような人は居なかったけど、時代遅れのスケ番的な人は居たからね……此れは、一緒に行くメンバーは慎重に選ばないとだよ。

取り敢えずエリカさんと小梅さんは鉄板、あんこうチームも各分野のスペシャリストが揃ってるから確定。何よりも、いざと言う場合には華さんの『新
生徒会長』の雷名を使う事も出来るしね。
梓ちゃんは如何しようかな?……あゆみちゃんが心配するだろうから止めておいた方が良いかな?心配するだけなら未だしも、付いて来て危険
な目にでも遭ったら梓ちゃんが『プチッ』と行くかも知れないし。



「西住、道案内が必要だろう?園を同行させるか?」

「いえ、大丈夫です桃ちゃん先輩。
 最深部には、前に戦車を探してた時に迷い込んじゃった事がありまして、その時のルートを確りと覚えてますから――其れよりもマークⅣは最深
 部のどの辺りにあるんでしょうか?」

「細かい場所までは分からないが、モニターに出ている学園艦の断面図の最深部部分で赤く光っているエリアにあるようだ……其処から先は、地
 道に探すしかないのだがな。
 三徹しても此処までが限界だった……許せ西住……」



はぁ!?三徹って大丈夫なんですか桃ちゃん先輩!?って言うか授業は受けられたんですか~~~!?



「授業は会長……もとい杏ちゃんが公欠扱いにしてくれたから問題ない。
 そして三徹出来たのは、リポビタン、タフマン、アスパラ、チオビタ、リアルゴールドにデカビタと言った各種エナジードリンクを摂取したおかげだ!
 これらのエナジードリンクのおかげで、今の私はどんな事でも出来る気がする!!」

「極度の疲労と眠気がエナジードリンクで強制的に覚醒状態にされた事で、なんかヤバい状態になってるぅぅぅ!?
 すみません桃ちゃん先輩、御自身の為に眠って下さい!って言うか強制的に眠らせます!!西住流格闘術奥義、飛びつきスイング式DDT!」



――ドガバァァァァァァン!!!



「もぺ。」



首に飛びつくという過激な行為に動きの止まった相手の首を極め、其処から大きく体を振ってその遠心力を最大限に生かして極めた首を脳天から
地面に突き刺す一撃必殺の、垂直落下とは異なるDDTの究極形の一つ……桃ちゃん先輩、三徹はお疲れ様ですが、其れで身体を壊しては元も
子もないので、暫し其処で眠っていて下さい。



「西住さん、三徹よりも今の技の方が身体を壊すと思うんだけど……」

「大丈夫です、本当に頭を打ち付けた訳じゃなく、その前段階の首を極めてた時に落としただけですから……一瞬で頸動脈を〆たので、苦しむ間
 もなく精神は夢の世界にGo to Heavenです。
 皆さんも徹夜してるようだったら即座に休んでください。」

「いえ、私達は交代制でやっていたので大丈夫です。」



つまり、桃ちゃん先輩だけが謎のやる気でハッスルしちゃったという訳だね……しょうがないなぁ。
マッタク、幾ら学園の為とは言え三徹とか桃ちゃん先輩張り切り過ぎだよ……ホント、あの一件以来別人になったみたいだね?――或いは、こっ
ちの方が素だったのかもね?
あの高圧的かつ偉そうな態度は、生徒会役員であろうとして過度に自分を演出した結果だったのかな?……何にしてもマークⅣの探索、お疲れ
様でしたので、今はゆっくり休んでください。
……まぁ、三徹なんて無茶な事をした訳だから、明後日の朝まで目覚めないかも知れないけどね。

さてと、其れじゃあエリカさん達を集めてマークⅣのある場所に向かおうとしようかな?
桃ちゃん先輩が割り出してくれたマークⅣのあるエリアは、あのバーがあるエリアだった筈だから、若しかしたら案外あっさり見つかるかもだね♪



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此処に来るのも大分久しぶりだけど、相変わらず凄い場所だなぁ……最深部に居るのは船舶科の生徒だって事だけど、これは明らかに上に居る
のとは違う存在が居るよねうん。



「みほ、此処は本当に大洗の学園艦の中なの?どっかのスラムに迷い込んだわけじゃないわよね!?」

「スラムの方がマシですよエリカさん……薄暗い照明だけでもアレなのに、壁どころか天井にまで及んだスプレーでの落書きに、散乱したガラスの
 破片に、明らかに何かで殴られたとしか思えない壁の凹み――治安悪い所の騒ぎじゃないですよ此れは!!」

「まるで警察も介入できないアンダーグラウンドだな此れは……此れはそど子でも取り締まれまい。」

「麻子、気にすべきは其処じゃない気がするんだけど、其れって私の気のせいなのかな?」

「いえ、武部殿の反応は当然だと思いますので気になさる事は無いかと……ですが冷泉殿の言う事も間違っているとは言えません。此の場所の
 雰囲気は、ハリウッドのギャング映画に出て来そうな地下組織の雰囲気にそっくりですからね?
 こんな場所では何が出るか分かったモノではありません……其れこそ、一歩間違ったら戦車の化身超人であるレオパルドンが出てくるかも知れ
 ません!!」

「あら、其れは面白そうですね?」



反応は夫々だけど、流石にレオパルドンは出て来ないと思うよ優花里さん。そして、其れを面白そうで片付ける華さんマジパないね……此のメン
バーで来たのは間違いじゃなかったって確信をしたけどね。
取り敢えず私の先導で最深部まで来たんだけど、此処で前回は無かったモノ――有刺鉄線のバリケードが私達の行く手を阻んだか。……此れは
上からの侵入者を防ぐモノなのかも知れないけど、今の私達にとっては凄く邪魔なモノでしかないよね?
優花里さん、ペンチとか持ってない。



「申し訳ありません西住殿、不詳秋山優花里、今日は持ち合わせていません……お役に立てずに面目ないです!!」

「うふふ、気にしないで下さい優花里さん……此処は、私にお任せを。」



優花里さんはペンチを持ってないって言う事だったけど、此処で華さんが……見たところ、有刺鉄線を斬る道具を持っている様には見えないけど。



――シャキィィィン!!

――バラリ……




「はい、これで先に進めますね♪」

「「「「「うっそだぁ!?」」」」」

「凄いな五十鈴さん。」



麻子さん、凄いとかじゃないから。華道で使うハサミで有刺鉄線を斬るとか普通にあり得ないどころか、今の華さんはハサミを一閃して有刺鉄線を
斬ったよね!?
ハサミってそうやって使うモノじゃないから!!絶対に違うからね!!!



「みほさん……此れも五十鈴流華道の極意です。」

「成程、そう言われると納得だよ……西住流にも戦車道には直接関係ない極意が存在するからね。」

やっぱり道を伝える流派には、その道とは直接関係ない極意が存在する物なのかも知れないね。
で、そのまま最深部を進んで行ったんだけど……



「テメェ等、上の連中か?この最深部に一体何の用だ、あぁぁん?」



最深部のDQNとエンカウント!
ウェーブのかかった金髪ロングヘア―に、胸にサラシでロングスカート、そして羽織ってるのは特服って何時の時代のレディースの総長なの!?
其れは未だしも、目蓋の三連ピアスの坊主頭の女子とかJKとしてないでしょ!!……この連中、見た目がヤバすぎるけど、だからと言って私は退
かないよ!

「貴女達に其れを言う必要はないよね?……悪いけど、貴女達の相手をしてる暇はないから、大人しく道を開けてくれるとありがたいんだけど?」



――轟!!



「んな、この闘気!!
 其れに、左腕のない茶髪のショートボブの生徒……テメェ、西住みほか!!」

「如何やら自己紹介はいらないみたいだね?……先に進ませて貰えるかな?勿論、私以外の皆も。」

「モ、勿論でさぁ……親分から、西住みほはフリーパスにしろとのお達しを受けてるんで、お友達もどうぞどうぞ……親分の決定にゃ逆らえないって
 のが最深部のルールなんでね。」



そうなんだ……なら、有り難く通させて貰いますね。



其れで私達がやって来たのは嘗て私が訪れた最深部に存在してるバー『どん底』……私の勘が、此処にマークⅣが有るって言ってたから、訪れ
る以外の選択肢は存在してなかったよ。

「お久しぶりですお銀さん。」

「おぉ西住隊長、久しぶりだね?一緒にいるのはお友達かい?――取り敢えずこっちに来て一緒に飲もうじゃないか。
 カトラス、隊長さんとお友達にノンアルの黒、其れからつまみにソーセージとか燻製を適当に見繕ってくれ。」

「すまないが、私は苦いの苦手だから、クリームソーダを頼む。」



此の場所でも、自分の欲求を通せる麻子さんは普通に大物だと思うなぁ……だけど、優花里さんと話さんと沙織さんも自分の飲みたいドリンクをオ
ーダーした方が良いよ?
私とエリカさんと小梅さんは黒森峰のノンアルビールを日常的に飲んでたから慣れてるけど、初めての人にノンアルの黒は可成りキツイモノである
のは間違い無いからね。



「……すみません、私はオレンジジュースで。」

「私も、オレンジジュース……」

「では、私はノンアルコールの日本酒で♪」

「華、少し空気読んでよぉぉ!!」



あはは……華さんはいつ何時でも動じない、本物の女傑って感じだね――だけど確かに華さんは、ビールや洋酒じゃなくて日本酒が似合う感じで
はあるね。



「其れで隊長さん、態々こんな所に何の用が有るんだい?……私と飲みたくなったという訳じゃないだろう?」

「酷いですねお銀さん、私は何時かまた此処に来たいと思ってたのに……だけど、今回に限ってはお銀さんの言う事が正解です――私達は此処
 の付近にある戦車を探しに来たんです。」

「戦車って……陸の船かい?そんな物が此処にあるのかな?……と言うか、此処にあるのなら、前回隊長さんが来た時に気付いてるんじゃない
 のかい?」



其れはそうかも知れませんが、ここら辺にある戦車はマークⅣって言う、ファン垂涎の骨董品で、これを見つけ出して売れば、大洗の戦力を増強
する事が出来るかも知れないんです。
だから絶対に見つけ出さないとなんです!!!



「ん?むむむ……西住殿、厨房の奥の有れ、マークⅣじゃないですか?」

「へ、ドレドレ……あれは、正にマークⅣ!!」

前に来た時には気付かなかったけど、厨房の奥にあるのはマークⅣ!!探し物がこうもアッサリと見つかるだなんて拍子抜けだけど、これで大洗
の戦車道は強化されること間違いなしだね――マークⅣを売れば、Ⅳ号F2が3輌買えるだけのお金が集まる事になる訳だからね。
お銀さん、この戦車持って行っても良いですか?



「其れって戦車だったのか?……分からないから、燻製室として使っていたよ――まぁ、持って行くのは好きにすればいい……代わりの燻製室を
 用意してくれれば何も言う事は無いよ。」

「分かりました、代わりの燻製室は直ぐに用意させますので、マークⅣは貰い受けます!」

そんな訳でマークⅣを手に入れた訳なんだけど、状態は可成り良いし、機銃も動く……此れなら、オークションに出せばマニアが可成りの額で競り
落してくれるだろうから、良い資金になりそうだよ。
問題は、マークⅣを売り払ったお金で補填したⅣ号F2に誰が乗るかて言う事になるんだよね……戦車が増えたところで、其れを動かす人が居な
かったら何の意味もない事だからね。――さて、どうしたもんかな?



「戦車の乗り手が足りないのかい?――だったら、アタシ達が力を貸してやろうじゃないか……このどん底のメンバーが力を貸すよ西住隊長。」

「ふえぇぇえ!?マジですか!?」

「本気と書いてマジだ――アタシとカトラスにラムとフリントとムラカミが力を貸そうじゃないか……何よりも、私はアンタの事を気にってるからね?
 私達を巧く使ってくれよ西住隊長!!」

「お銀さん……」

その心遣い、確かに受け取りました……ならば私は其れに応えるだけの事――無限軌道杯、必ず制覇しないとだね!!








――――――








Side:???


ほら其処、装填遅いわよ!そんなんじゃ、その隙をみほに狙われて白旗判定よ!!自分の限界まで身体を動かしなさい――其れが出来ない位
なら、みほに勝つ事は出来ないわよ!!



「張り切るのは良いんだが、みほってのはそんなに強敵なのか?」

「アンタね……新聞くらい読みなさいよ――戦車乗りとしてみほを知らないとか無いわ。
 みほのフルネームは西住みほ……天下の西住流の次女にして、黒森峰を10連覇に導き、その後で無名の大洗女子学園を全国大会で優勝に
 導き、その後行われた大学選抜チームとの試合でも勝利をもぎ取った生きる伝説よ!!」

「あんだとぉ!?みほってのはあの西住みほだったのか!!……こりゃたしかに、油断はできねぇな……」



みほを相手に油断したら其れはイコール敗北だからね――小学生の時のあの試合だって、倒木がなかったら、勝ってたのはまほさんじゃなくてみ
ほだったんだから。
もう少し、あと少しで会えるわねみほ……無限軌道杯で戦う事になったその時は、持てる力の全てを出して戦いましょうみほ――きっと、其れこそ
が私と貴女の戦車道だと思うからね!!

無限軌道杯で会う事を楽しみにしているわみほ……私の永遠のカメラート――!











 To Be Continued… 





キャラクター補足