Side:ダージリン


予想はしていましたが、流石におやりになりますわねみほさん……継続も知波単も、聖グロリアーナとプラウダからすれば格下の相手ですが、其
の2校との連合軍で、聖グロリアーナとプラウダの連合軍を此処まで追い詰めるのですから、矢張り貴女の戦車道は最高ですわ。
貴女にしろまほさんにしろ、西住のお嬢さんは、私の心を昂らせるのがお上手みたいね。
でも、だからこそ、此れ位では満足できませんわ……この決戦の舞台で、もっと楽しませてくれるのでしょうみほさん?



「ダージリンさんが其れを望むなら、期待には応えますよ?」

「ふふ、意地悪な言い方ねみほさん?
 貴女ならば、私の望みなどとうに分かっているでしょうに……でも、折角だから此の舞台にピッタリのBGMを選んでくださるかしらみほさん?」

「BGMですか?
 ダージリンさんのイメージから言うなら優雅なヴァイオリンとかが似合うんでしょうけど、生憎と私にはそんなの似合わないので、此処はロックン
 ロールを選ばせて頂きます!
 そもそもにして、ロックはイギリスが発祥の地なので、私達の決着の舞台に、これ程相応しいBGMは無いでしょう?」

「ふふ、其れもそうね。」

ロックはアメリカが本場だと思われているけれど、発祥其の物はイギリスだから、私とみほさんが決着をつける舞台に相応しいわ――ロックの様
にハードなリズムの戦車道を楽しみましょう。



「ちょっとダージリン、ミホーシャ!ロックな戦車道って如何言う事!?カチューシャにも分かるように説明して!!」

「カチューシャさん。」

「カチューシャ。」

「「考えるんじゃない、感じるんだ。(のですわ。)」」


うふふ、決まりましたわねみほさん。
ですが、バッチリ決まったのは良いとして、エキシビションとは言え負ける気は毛頭ないので勝たせて頂きますわ……隻腕の軍神の首は、私が
取らせて貰いますから覚悟するのね。










ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer144
『エキシビジョンの果てに!です』










No Side


最終決戦地となった大洗アクアワールドで、大洗・継続・知波単連合と、聖グロ・プラウダ連合は静かに睨み合っていた……取り敢えず、今の状
況を説明すると、大洗・継続・知波単連合はアクアワールドのすぐ近くの砂浜に陣取り、聖グロ・プラウダ連合はアクアワールドの駐車場に陣取っ
ていると言った感じだ。
其れだけを見るなら、フィールドアドバンテージは聖グロ・プラウダ連合に有るように思えるだろう――状況的には、稜線の上と下の関係に似て
いるのだから。

駐車場と砂浜の高低差は、稜線の上と下と比べれは月と鼈ではあるが、だからと言って高低差のある地形に於いては、上を取った方が有利で
あると言う事は変わらない。


「大分頑張ったみたいだけど、如何やら此処までの様ね?大人しく降参するなら許してあげるわよミホーシャ。」

「降参?……まさか、冗談でしょう?」


自分達の方が有利であると確信したカチューシャは、自信満々にみほに降伏勧告をするが、其れを受け入れるみほではない――そもそもにして
大洗は全国大会の準決勝でプラウダを下しているのだから、其処からの降伏勧告など宇宙の彼方のブラックホールに蹴り飛ばしてしまえだ。


「冗談じゃないわ。大体どうやって砂浜からこっちに上がってくる心算?
 駐車場と砂浜の段差はバンカーなんかとは比べ物に成らない位あるのに、バンカーと違って角度が無いわ――ダージリンのチャーチルだって
 この段差を超える事は不可能よ。
 迂回しようってんなら好きにすればいいけど、背中を見せた途端に撃破してあげるわ。」


其れでもカチューシャが強気なのは、今言ったように大洗の残存戦車では、此の段差を超えるのは不可能だからだ。
しかも、砂浜と駐車場の間には事故防止用の鉄柵が設けられている為、駐車場に上がる為には段差+鉄柵を越えねばならない訳で、カチュー
シャが強気になるのも当然と言えるだろう。

だが、其れはあくまで『普通に考えれば』という前提が付けばだの話だ。
使える物は何でも使う、奇策製造機、搦め手上等のみほがこの状況で『普通に考える』等と言う事をするだろうか?――答えは断じて否!!!
今もまた、カチューシャの強気な態度に口角を軽く上げると……



――ズドン!!



砂浜と駐車場の段差に向かって砲撃一発!!
如何に数100台と言う車の重量に耐えられるように転圧をかけた上でアスファルトで固め、更にコンクリートでガッチリコーティングした駐車場で
あっても、近距離からパンターの主砲を叩き込まれたら堪らない。
たちまちコンクリートもアスファルトも、序に仕切りの役割をしていた鉄柵も砕け散り、両チームを隔てていた段差の一部は、足場は悪くとも戦車
ならば通る事の出来るスロープに早変わり。
『上がれないのならば、上がれるようにしてしまえば良い』という単純明快な理論ではあるが、普通は思いついても実行しないだろう……失敗し
た場合のリスクが大きいのだから。
だが、失敗のリスクを恐れずにその一手を選べるのがみほの強みであり、同時にその一手が選べるのは、失敗しても別の一手でリカバリーする
自信があるからだ。


「ごめんなさいカチューシャさん、迂回しなくてもこっちに来る事が出来たみたいです♪」

「此れで、フィールドアドバンテージの差は無くなりましたね。」


みほのあんこうチームを先頭に、梓のウサギチーム、そど子のカモチーム、そして殿に小梅のオオワシチームと順番で即席スロープを上り、最終
決戦場である、アクアワールドの駐車場にて両チームの戦車が向かい合う形となる。
みほ達が上がってくるまで攻撃しなかったのは余裕ではなく、ダージリンは騎士道精神を重んじて、カチューシャ及びその他の隊員は、相変わら
ずどころか、更にやる事がぶっ飛んで来ているみほに驚いていたからだ。


「まほさんの戦車道が、屈強な戦士が戦うパンクラチオンだとすれば、みほさんの戦車道は、さながら奇術やイリュージョンと言ったところかしら。
 ホント、見ていても、実際に戦っても退屈させてくれませんわね。」


ポツリと呟いたダージリンの一言がみほに聞こえていたかは不明だが、その一言が合図だったかのように、合計8輌の戦車は戦闘を開始!!
何方も、狙いは当然フラッグ車なので、自然とフラッグ車を撃破する為の動きになる――モノなのだが、ダージリンは敢えてフラッグ車を狙う行動
をしないでいた。
手を抜いている訳では無い……フラッグ車を撃破しようと動いた所で、みほは必ずその一手を潰してくると考え、裏をかいて『フラッグ車以外の戦
車』を狙ったのだ。


「フラッグ車じゃなくて、私達を狙って来た……?」

「先に私達を撃破して、フラッグ車を孤立させようって作戦ですか……!!ですが、私達だって簡単にはやられません!!」


両チームともフラッグ車を含む数量での戦車戦に於いて、フラッグ車を狙わないと言うのは不可解な事であり、生じた疑問によって雑念が生まれ
て、その結果撃破されてしまう事があるのだが、梓と小梅は間近でみほと言うトンデモない戦車乗りを見続けて来た事が幸いして、此れ位の事
では疑問を持っても其れが戦いに影響する事は無かった。


「フラッグ戦なのにフラッグ車を狙わないなんて、そんなの校則違反よ!!」


だがしかし、今年から戦車道を始め、しかもデビューが準決勝と遅咲きだったカモチームはそうは行かなかった。
いや、此れがレオポンチームだったら、車長のナカジマが『フラッグ車を狙わないなんて余裕だね~~』とか言ってたのだろうが、カモチームの車
長のそど子は良くも悪くも生真面目である為に、フラッグ戦なのにフラッグ車を狙わないと言う不可解な行動に納得が出来ず、お決まりのセリフと
共にダージリンに突撃してしまったのだ。
相手がフラッグ車を狙ってこないのならば、こっちがフラッグ車を狙ってやると言う思いもあったのかもしれないが、其れはダージリンの思う壺。



――ドガン!!

――キュポン!!



『大洗・継続・知波単連合、ルノーR35、行動不能。』


チャーチルの砲撃を喰らい、カモチームは敢え無く白旗判定に。
此れで、大洗連合はこの場では1輌のビハインドになった訳だ。


「ミホーシャ、此れで数の上ではこっちが有利なったわね?」

「そうみたいですが、私は此処で撃破されたカモチームの効果を発動します。
 カモチームが撃破された時、相手チームのフラッグ車以外の戦車1輌を行動不能にします。」

「其れって何処のニュードリュア!?」



――ズガン!!

――キュポン!!




『聖グロリアーナ・プラウダ連合、マチルダ、行動不能。』


だが即座にみほは、自ら聖グロ・プラウダ連合のマチルダを撃破し、ビハインドをチャラにしてしまう――だけでなく、確りとネタをぶっこんでくるの
は流石と言った所だろう。
しかし、1:1交換になった後も、ダージリンは徹底してフラッグ車を狙いには来なかった……みほが幾ら自分を狙うように仕向けてもだ。


「みぽりん、ダージリンさん全然乗ってこないけど、大丈夫?」

「やっぱり冷静な状態のダージリンさんは強敵だね……こうなるのが分かってたからこそ、エリカさんの挑発で冷静さを失って欲しかったんだけど
 ね――冷静な時のダージリンさんには、私の策は通じないみたいだね。」


此れが冷静なダージリンの強みでもある。
戦場を広い視野で見る事の出来るダージリンは、誰よりも正確に戦局を捉える事が出来るので、状況を考えて『相手の策に付き合わない』事が
出来るのだ。
相手の策を無視する、相手の策を潰すのとは違い、結果的にではなく意図的に相手の策に付き合わないと言うのは、実は簡単な様で難しい事
なのだ……常に意図して策に付き合わないようにするには、常に冷静さを保った上で理性で感情をコントロールしなければならないのだから。
其れを完璧に出来るのは、現在の高校戦車道界隈ではダージリン位のモノだろう。
それ故に、ダージリンはカタログスペック以上の実力を出す事は出来ないので、正面切っての実力で自分を上回る相手には勝てないのだが、無
数の策を使って戦うのが得意なみほみたいなタイプにとっては天敵となるのだ。
其れを分かっているみほだからこそ、去年の全国大会や、今年の練習試合ではエリカにダージリンを挑発させて冷静な思考を奪う事をしたので
ある。
自分の策に付き合ってくれないと言うのは、策を弄するみほにとっては可成りキツイ物なのだ――本来の西住流でねじ伏せれば良いとも思うだ
ろうが、梓も小梅も西住流を修めている訳では無いので、其れもまた難しいのだ。
此のままでは、策を潰されたみほが何れ撃破されてしまうのは目に見えているが……


「如何やらフィナーレには間に合ったみたいね!!」

「此処からは、私達も参加させて貰うとするよ。」


此の土壇場でエリカとミカが合流!!


「エリカさん、ミカさん!!」

「思った以上に苦戦してるみたいねみほ?――それで、私は誰を喰い殺せばいいのかしら?」

「みほさん、オーダーは?」

「ダージリンさん以外の戦車を!!
 フラッグ車は、私達あんこうチームがタイマンで仕留めますので!!」


此処で現れたエリカとミカにすぐさま指示を出し、ダージリンのチャーチルと他の戦車との分断を試みる――そして、その上でダージリンとは1vs1
のタンクジョストで決着をつけると決めた様だ。
1vs1のタイマンならば、策も、策に付き合わない事も意味をなさない……純粋なる実力勝負――己の策が通じないのならば、西住流をもってし
て、力でねじ伏せる事を、みほは選んだのだ。


「さてと、軍神殿のオーダーに応える為にも、君には更に狂化して貰おうかなエリカさん?」

我、戦車道極!西住美保勝利絶対、敵撃滅!戦車道天下覇者大洗無敵……滅殺!!


其れとは別に、新たに参戦したエリカは、同じく参戦したミカの奏でるカンテレの音――何かもう出てる音色から、其れは本当にカンテレなのかと
疑いたくなるが――によって、更なる狂化が施され、『暴走エリカ』から『ゴッドエリカ』へとクラスチェンジしていた。
因みに何て言ってるのかは、書いた作者でも分からないので悪しからず。

やってる事は非常にバカバカしいが、凶暴性を完全開放したエリカと、捉えどころのない風の様な戦い方をするミカの相性は思った以上に良く、
其れだけでなく梓と小梅とも相性が良いらしく、あっという間にダージリンをカチューシャ達と分断してしまう。


「逸見先輩、カチューシャさんを抑えて下さい!!」

委細承知!天上天下唯我独尊、汝命奪取!!

「何言ってんのか分からないわよエリーシャ!!」


そして、分断したカチューシャ達は、大洗連合の副隊長を務める梓によって、撃破されないまでも完全にその場から動く事が出来ない鳥籠状態
となってしまった。
マダマダみほには及ばないが、軍神の一番弟子である梓は、ここぞと言う時には其の力を如何なく発揮してくれるのだ。


一方で、穏やかでないのはダージリンだ。
エリカが居なくなった事で冷静な思考を取り戻し、その上でみほとフラッグ車を含む集団を以ってして対峙し、みほの策に付き合わない事を徹底
する事で、己の優位性を確保していたのに、たった2輌の戦車が参戦した事で其れが崩されてしまった。
その結果として、みほと1vs1のタンクジョストを行う事になった……なってしまったのだ。


「(此れは……みほさんではない――エリカさんこそが、私の最大の敵だった!!)」


思わず歯噛みする……己の最大の敵はみほではなく、エリカだった事を、此処で知ったのだ。
去年の全国大会も、今年の練習試合も、全てエリカがダージリンの事を封殺したからこそ、聖グロは勝利する事が出来なかったのだ……今回は
挑発されている訳では無いが、エリカが参戦した事で己の優位性が失われたと言う事に関しては、此れまでと同じだったと言えるだろう。


「不利な状況に陥ったとしても、必ず其れを引っ繰り返してしまう……如何やら貴女は勝利の女神に溺愛されている様ね、みほさん?」

「ダージリンさん、こんな言葉を知っていますか?
 『強者である事に理由は必要ない。只強いからこそ強者なのだ。そして勝った者こそが強者なのだ』……至言だと思いませんか?」

「そうね、其れは至言であり真理ですわ。」


静かに言葉を交わすみほとダージリンだが、互いにその口元には笑みを湛えている……其れは、強者が強者と対峙した時にのみ現れる『戦い
の笑み』とも言うべきモノ。
みほのパンターと、ダージリンのチャーチルが動いたその時が、エキシビジョンの決着の時だ。


因みにだが――


「真打参上ですのよ!!」

「逸見先輩、赤星先輩、ミカさん……やっちゃって下さい。」

撃滅!!

「撃破をギリギリ免れた戦車では、相手になりません。」

「君を撃破する事に意味があるとは思えないが、勝利の為にも此処は撃破しておくべきかな。」


旅館に突っ込んだモノの白旗判定となっていなかったローズヒップが飛び入りで参戦するも、既に満身創痍の戦車での参戦は無謀であり、参戦
と同時に、ティーガーⅡ、Ⅳ号、BT-42の集中砲撃を受けて白旗判定に。


『聖グロ・プラウダ連合、クルセイダー、行動不能。』

「ちっくしょー!ですわ!!」


操縦士としてはトップクラスの実力のローズヒップだが、今回ばかりは相手が悪かった様だ……軍神の片腕では、軍神の本体に勝つ事は出来な
いのだから。


「あはは……やられちめーましたわ。」


だが、撃破されたローズヒップの顔は晴れやかだ――みほ相手に全力を出せた事が嬉しかったのだろう……ともあれ、ローズヒップの参戦は、こ
の状況を変えるには至らなかった。
となれば、みほとダージリンの一騎打ちにかかって来るのだが……


「麻子さん、行ける?」

「履帯と転輪が吹っ飛ぶから、二度目は無いが、やる事は可能だ西住さん。」

「其れで良いよ――華さん。」

「お任せ下さい……一発必中、必ず撃ち抜いてみせます。」

「OK……其れじゃあ行こうか!!」


そんな中でもみほは冷静に作戦を考えて、勝利への道筋を確立する――持ち前の超感覚によって、理論的にではなく本能で、勝利への道筋を
選び取る。
だから、其処には負けは存在してない。


「行くよ、ダージリンさん!!」

「行きますわよみほさん!!」


パンターとチャーチルが、同時にエンジンを唸らせて真正面から突撃!!
そのまま正面衝突という所で、パンターが戦車ドリフトとも言うべき軌道を見せて、チャーチルの背後を強引に奪取!!――履帯と転輪は吹っ飛
んだが、撃破判定にはなっていない以上、攻撃は可能だ。


「此れで終わりです!!見せてやる、西住の戦車道を!!!」

「負けない……貴女の首を取るのは、このダージリンですわ!!」


ダージリンも咄嗟に砲塔を動かし、みほのパンターと最後の戦いを敢行!!――共にゼロ距離砲撃を喰らったのだから只では済まないだろうけ
ども……


「私の勝ちですね、ダージリンさん?」

「えぇ、私の負けですわみほさん。」


煙が晴れた其処には、キューポラの上に立って右手を掲げるみほと、キューポラから身を乗り出してうなだれるダージリンの姿があった――そし
て、其れこそがこのエキシビジョンの結果を現していた。


『聖グロリアーナ・プラウダ連合、フラッグ車、行動不能!
 よって、大洗・継続・知波単連合の勝利です!!』



結果は大洗連合の勝利!!
そのアナウンスを聞いた途端に盛り上がる観客!!


「Wunderbar!最高だぜ!!!
 此れが大洗の実力だ!!聖グロもプラウダも敵じゃねぇんだオラ!!みぽりんだけ見てりゃいいんだオラァ!I'm Chono!!」

「俺がプロレスリングマスターなら、君は戦車道マスターだなみほちゃん……見事だったぜ、Year!!」


その観客席で黒のカリスマと、その盟友であるプロレスリングマスターは絶好調だった。


「私達の、勝ちです!!」


そして、其れに応えるようにみほは右腕を掲げて勝利宣言をし、其れに更に観客は沸き、エキシビジョンマッチは、最高の形で幕を下ろしたのだ
った――因みに、このエキシビジョンマッチは後に高校戦車道ベストバウトにノミネートされ、2位にランクインするのであった。








――――――








Side:みほ



エキシビジョンに勝利出来てたのはよかったよ――継続と知波単との連合が此処まで巧い具合に嵌るとは思ってなかったけどね……でも、継続
は兎も角、知波単は絶対に改革が必要だね……取り敢えず突撃の精神を何とかしないとだよ。

で、試合後の温泉を堪能して、学園艦に戻って来た訳なんだけど――



「Keep Out?此れ何?」



大洗女子学園の校門前には、立ち入り禁止を示す『Keep Out』が書かれた黄色のテープが――何時の間にこんな物を……一体誰が何の為に
やったのかな?
悪戯にしても性質が悪い気がするんだけど……



「此れは此れは、勝手に入って貰っては困るよ君達。」

「勝手にって、私達は此処の生徒なんですけれど……」

「残念だが、君達はもう生徒ではないのだよ。」



生徒じゃないって如何言う事か説明願えますか?
と言うか、貴方は一体何者なんですか、白髪……否、銀髪でモノクルのおじさん?……何だか、物凄く偉そうな人だって言うのは分かるんです
けれど、何方様ですか?



「ククク、其れは彼女から聞き給え。」

「生徒会長さんから?」

言うだけ言って、タクシーで逃げたか……自分の正体も明かさずに立ち去るとか非常識と言うか――それで会長さん、何があったんですか?



「……大洗女子学園は、今日この時をもって、廃校が決定された。」

「え?」

だけど、次に会長さんから発せられた一言で、私の思考は完全に停止してしまった――幾ら何でも、行き成り大洗の廃校が決定されたとなれば
ショックを受けない方が異常だからね。
でも、廃校って……全国制覇を成し遂げたのにそんなのはアリなの?――否、其れは絶対に認められない!
なればこそ、私は戦う!!――戦って、戦って、戦い尽くした先に勝利を捥ぎ取る!!



――轟!!



文科省の連中が彼是やってくれたみたいだけど、其れは無意味――だけど、私達は負ける気は毛頭ないからね……文科省の野望は、纏めて
粉砕してあげます!!
何よりも、大洗の廃校何て言う事は、絶対に認める事は出来ないからね――!!











 To Be Continued… 





キャラクター補足