Side:まほ


OG会が強烈に推して来た、火力重視の部隊編成での電撃戦は、みほの裏をかく事が出来たみたいだが、ソミュアが此方に突っ込んで来た事
で、逆に此方が虚を突かれる形になってしまったか。
あの突撃が計算されたモノであるとは考え難いが、偶然なのだとしたら、計算されたもの以上に恐ろしい――大洗が、此方の奇襲をやり過ごす
事は天運によって決まっていたという事も出来るのだからな。



「此れは、完全にやられたわねまほ……みほは裏の裏も読んでたみたいだわ。」

「みほが読んでいたのか、それとも天運がみほに味方したのか、其れは分からないが、此方の奇襲が大した効果を上げる事が出来なかったと
 言うのは間違いないだろう。
 圧倒的に有利な戦力で電撃戦を仕掛けたにもかかわらず、結果は1:1交換だったのだからね。」

「1:1交換だと大洗が不利だけど、ソミュア1輌で他の9輌を逃がす事が出来たと考えれば十分すぎる効果だわ。
 そして、逃げたって事は今度はみほの方から仕掛けてくるわよね――みほは、きっと今回も無限に作戦を考えてるんでしょうね。」



あぁ、みほは強いだけでなく、次から次へと、奇想天外な作戦を思いつくからな……しかもその思い付いた作戦が、軒並み相手に刺さる作戦な
のだから相手にとっては嫌な事この上ない。

閃光は対策としてサングラスを持って来ていたから辛うじて防げたが、こうも周りがスモークで覆われてしまっては追撃のしようもない。
此処はスモークが収まるまでは大人しくしているのが上策だ――或は此れすらもみほの思惑の範囲内なのかも知れないがな。



「その可能性、少し否定できないわ――みほは、中学の頃から兎に角搦め手が得意だったからね……貴女の妹は、相当に強いわ。」

「其れがみほだからな。」

ともあれ、煙幕が晴れたら行動を開始する!――さぁ、次はどんな一手を見せてくれるんだみほ?折角の決勝戦なんだ、お互いに出し惜しみ
はなしで行こうじゃないか。









ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer132
『絶対完全無欠の戦士を撃滅せよ!です。』










No Side


電撃戦を仕掛けて来た黒森峰に対し、大洗は(操作ミスが原因だが)アリクイチームが敵部隊に突撃をブチかまして相討ちだが1輌を撃破。
1:1交換ではあるが、この突撃によって黒森峰の攻撃の手が一瞬緩んだのは、大洗にとっては幸運だっただろう。その隙を突いて煙幕を張っ
て次の行動に移る事が出来たのだから。


「いやぁ、しかし何時も以上に派手に煙幕張ったわねぇ?
 何この煙の量、旬のサンマを50匹一度に焼いたって此処までの煙は発生しないわよ?この分じゃ、強烈な風が吹かない限り、視界が回復
 するまでに最低でも5分はかかるんじゃない?」

「煙幕だけでなく閃光弾も喰らわせたから、もっとかかるかもしれませんよ?」

「お姉ちゃんだったら、閃光対策として全員にサングラスの携帯を命じてる可能性があるから、煙幕だけの効果時間を考慮して行動した方が良
 いかも知れないね。」


黒森峰の奇襲をやり過ごした大洗は、そのまま最初の目的地である稜線を取る為に斜面を登り始めていた。
みほの予定では、稜線を取りに行く途中で黒森峰と真正面からエンカウントし、其処で煙幕と閃光を喰らわせ、無傷の状態で稜線を取る心算
だったのだが、まさかの電撃戦を仕掛けられた事で予定が僅かに狂ってしまった――こんな序盤でアリクイチームが脱落する予定ではなかっ
たのだから。


「(大洗の1輌損失は、単純に考えて黒森峰の2輌損失に等しい――となると、この稜線での攻防で最低でも3輌は撃破しないと後々が厳しく
  なってくるかな。)
 カモさんチームは、大洗の部隊の一部を隠すように煙幕を継続、カメさんチームとアヒルさんチームは稜線の中腹まで登ったら作戦の為の準
 備をして。」

「了解よ西住隊長!」

「気合と根性で頑張ります!!」

「いやぁ、こんな大胆な作戦を思いつくなんて流石は西住ちゃんだね~?アタシが黒森峰の隊長だったら、即刻降参してるわ。」

「褒め言葉として受け取っておきますよ会長さん。」


だが、予定外の事態が起きても、みほは慌てる事なく着々と作戦を進めていく。
数で劣る大洗が稜線を取ってフィールドアドバンテージを得んとするのは、数や実力で劣るチームの常套手段とも言える作戦だが、如何やらみ
ほはプラスαの一手を考えているらしい。


「西住隊長、煙幕が晴れ始めました……此処からですね本番は。」

「そうだね梓ちゃん……仕切り直しである稜線での戦いこそが本番だよ。」


大洗の部隊が稜線を上っている間に黒森峰の部隊を包んでいた煙幕は晴れはじめ、其処に僅かに風が吹いた事で煙幕が完全に晴れる。
だが、煙幕が晴れたその時、大洗の部隊は既に稜線の7割を登っていた所だった。








――――――








煙幕が晴れ、『さぁ追撃だ!』と言う所で黒森峰の部隊が見たのは、既に大洗が稜線の7割まで登っている光景だったのだが、それには隊員
だけでなくまほですら驚きを隠せない様子だった。
煙幕が晴れるまでの間に、ある程度稜線を登ってしまう事は予想していたが、まさか此処まで早いとは思わなかった――と言うか、これ程のス
ピードで登るのを予測しろと言うのが無理なのだ。

何故ならば、大洗の部隊には足回りに難のあるポルシェティーガーと、重量級で足の遅いティーガーⅡが存在しているのだから。


「もうあんな所まで登ってる!?」

「しかも未だに煙幕撒き散らして!!……舐めるなよ大洗!!」


隊員達が色々言ってる中で、まほは静かに考えていた。


「(大洗のティーガーⅡは、レギュレーションギリギリの魔改造が施された戦車だから、本来の防御力を下げる代わりに車重を軽くしてエンジンと
  履帯への負担を軽くしているから、エンジンの出力を調整してスピードよりも馬力が出るようにしてやれば稜線を素早く登れるのも納得出来
  るが、ポルシェティーガーではそれは出来ない筈だが……否、ポルシェティーガーだからか!!)」


大洗のティーガーⅡは、みほが中学時代に手に入れ、その後魔改造が施された戦車であり、そのスペックは防御力こそオリジナルのティーガ
ーⅡには劣るモノの、総合能力――特に機動力に関してはオリジナルのカタログスペックを上回っているのだ。
其れを考えれば、エンジンの出力を調整して、機動力でなく馬力に重点を置けば稜線を素早く登る事は可能なのだ。
だが、ポルシェティーガーはそうではない――と考えた所で、まほはポルシェティーガーだからこそ出来る裏技に気が付いたようだ。


「やられたな……確かにポルシェティーガーではあの稜線を素早く登る事は出来ないが、其れはあくまでも全てが実際のスペックに順じたモノ
 であった場合に限られる。
 大洗のポルシェティーガーは、大戦期に使われていたモーターに魔改造を施し最大限までトルクチューンして馬力を上げ、ギア比の方は機動
 力を重視した設定にしていあるらしい。」

「へ?」

「うそ!?」

「其れってレギュレーション違反じゃないんですか!?」


まほが言った可能性について、声が上がるが、まほは其れを手を挙げて制すると、何故そんな事が出来たのかの説明を始める――部隊を稜
線に向かわせた状態で。


「確かに大会にはレギュレーションが存在し、所謂『45年ルール』がある訳だが、実はこれには落とし穴とも言うべき抜け道が存在してる。
 エンジンは確かに当時のモノに限定しているんだが、モーターとギア比に関しては一切の制限がない――此れは、ポルシェティーガーなんて
 戦車を使う所はないだろうとタカを括っていた連盟の失態でもあるが、モーターの規制がない以上、ポルシェティーガーのモーターに如何なる
 改造を施してもルール違反と言う事は出来ない……少なくとも今大会中はな。
 ギア比についても同様だ――レギュレーションでは、ギア比については一切触れていないから、ギア比を本来のスペックとは違うモノに変えた
 ところで、今大会中は其れを違法とする事は出来ない。」

「ま、マジっすか?」


其れを聞いた黒森峰の隊員全員が『勝つ為ならマジの意味で手段を選ばねぇ!』と思ったのも仕方ないだろう――ルールで禁止されてないグ
レーゾーンを堂々と使って来たのだから。
だが、此のグレーゾーン利用はみほが決めた事ではあるが、だからと言って勝つ為に形振り構わなかった訳ではない……改造するのはあくま
でも戦車だけであり、偵察その他は全てルールの範囲内で行っていたのだから。
みほが嫌うルールのグレーゾーンは、偵察などの隠密行動に於いて、見つかるリスクを軽減するため、或いは絶対に見つからない空からの偵
察のためにドローンなんかを投入するのを嫌うのである。
逆に言えば、グレーゾーンの戦車位はウェルカムと言っても良いだろう。――そもそもにして西住流と並ぶ戦車道の一大流派である島田流が
流派の象徴としているセンチュリオンは、同じ戦車であっても試作機名称か、正式採用名称かでルール違反か否かが変わる可成りグレーゾー
ンの戦車なのだから。

何にしても今大会中に限ってはオーバースペックのポルシェティーガーは全然合法な訳だが、同時に其れは黒森峰にとって驚異となる戦車が
大洗に存在している事にもなる。
ポルシェティーガーは色々と問題の多い戦車ではあったが、攻防力に限って言えば黒森峰の象徴とも言えるティーガーⅠと同格なのだ。
そんな戦車が機動力と馬力の両方を手に入れたら、其れはもう最強間違いなしとも言えるのだから。


「何れにしても、あそこまで登られてしまった以上、稜線はくれてやるしかない――が、数は此方の方が有利だ。
 数の差で押し、大洗を稜線から撤退させる!」

「「「「「「「「「「Jawohl!(了解!)」」」」」」」」」」


其れでも黒森峰に退くという選択肢はない。
普通ならば稜線を取られた以上、相手の土俵に乗るような事はせず、稜線に陣取った相手に別動隊を組織して奇襲をかけたり、敢えて退く事
で稜線から引き剥がしたりするだろう。
だが、まほはそんな事はせずに真っ向から稜線に陣取った大洗に向かうように指示。……余りにも無謀な指示であるのは間違いないが。
普段のまほでも退くという選択はしないが、其れでも部隊を散開させて四方から取り囲むような布陣で稜線上の相手を逃がさないようにするの
だが、今回は本気で真正面から向かっていく――其れこそが祖母の提言する西住流の戦い方だと理解しているからだ。
西住かほの言う『西住流』は、兎に角勝利第一主義であり、退く事を許さずに前に出て、圧倒的な火力で相手を蹂躙する事を是としている。
だから、稜線を取った相手に対しても真正面から挑む事しかしないのだ……故に、今年の黒森峰は一部の戦車道ファンから『突撃馬鹿の知波
単以上の突撃馬鹿』と言う評価を下されていたりするのだ。


「やっぱり真正面から……まぁ、御祖母ちゃんの『西住流』ならそう来るよね。
 全車、撃ち方用意!……Schießen!!(撃て!!)」

「その命令を待ってたわみほ!Ich werde es aufgeben und mich darum kümmern!(纏めて薙ぎ払ってやるわ!)」

「最終形態となったⅣ号の力、たっぷりと見せてさし上げます!」

「L型になったⅢ号を舐めないで下さい!」

「有利な状況下で攻撃するって言うのはどんな気分かしらエルヴィンさん?」

「其れを聞くかそど子先輩?だが、聞かれたなら答えよう!最高にハイってやつだ!!」

「そど子じゃないわよ!!」

「そんじゃまぁ、ポルシェティーガーの主砲を喰らって貰おうかな♪」


そんな黒森峰に対し、稜線を取った大洗は、みほの号令の下に砲撃を開始!
同時に黒森峰の部隊に砲撃が矢継ぎ早に突き刺さる――機関銃と言うのは言い過ぎかも知れないが、絶え間ない砲撃が襲い掛かって来た
のだ。
此れもまたみほの作戦だ。
如何に稜線を取ったと言えども、黒森峰相手にセオリーの戦術では通じないと考え、稜線を取った後の砲撃を、全ての戦車が微妙にタイミング
をずらして撃つ事にしたのだ。
織田信長の火縄銃3段撃ちではないが、攻撃タイミングをずらす事で、砲弾装填→照準セット→砲撃の一連の流れで生じる攻撃の隙間を可能
な限りゼロにしてしまったのだ。
更に、次弾が装填されるまでの間は機銃での攻撃もしているのだから、大洗の攻撃は戦車ガトリングと言っても過言ではないだろう。

そして、みほの作戦は其れだけに留まらない。


「じゃんじゃじゃーん!お邪魔するよ黒森峰の諸君♪」

「気合と根性でぶちかます!!根性最強ーーー!!」


「ヘッツァーとクルセイダー!?」

「この野郎、何処から湧いた!!」


黒森峰の部隊の両翼からカメチームのヘッツァーと、アヒルチームのクルセイダーが躍り出て、虚を突かれた黒森峰の部隊を強襲し、クルセイ
ダーはパンターの、ヘッツァーはヤークトパンターの履帯を一刀両断!
中学時代のみほが得意としていた伝家の宝刀『履帯切り』を喰らわせたのだ。


「あ~~!また、履帯が……!」


しかも履帯を切られたヤークトパンターは、履帯を切られる事に定評のある(やな定評だな……)直下の車輌だったのだ……此れはぼやきたく
もなるだろう。



――ピン



「ん、メール?……エリカから?試合中に何よ?」


そんな直下のスマホに試合中であるにも関わらず、エリカからのメールが入る。
何事かと思って直下もメールを開くが……



『履帯(笑)』



其処に書かれていたのは人の神経を逆撫でするには充分なモノだった――下手に絵文字を使わずに、シンプルな文面であるのが逆に見る者
をムカつかせる事この上ない。


「エリカーーー!誰が履帯だ誰が!!」


無論、これには直下もキレる。まぁ、当然だろうが。
だがしかし、これだけで終わらないのがエリカだ。



――ピン!



「またエリカから?今度は何よ?」


再び受信したエリカからのメールを直下は開くが……



『誰が履帯(笑)ですかって?お前ーー!m9(^Д^)』

ぶっ殺す!!!


其処に書かれていたのは更にムカつく一文。
しかも今度は絵文字を使う事で逆に相手の神経を煽っているのだから見事だ……と言うか、人をイラつかせる事に関しては、逸見エリカと言う
少女の右に出る者は居ないだろう。

其れは兎も角、ヘッツァーとクルセイダーの乱入は、黒森峰の部隊を混乱させるには充分だった。と言うか、部隊内をちょろちょろと動き回る戦
車は鬱陶しいが、同士討ちのリスクもあるから攻撃する事も出来ない故に放置するしかなかったのだ。
其れが指揮系統の混乱を齎したのは、笑えない事ではあるが。

だが逆に指揮系統の混乱は大洗にとって好機でしかない。
攻撃の手が止まった戦車は、所詮的でしかないのだから。



――ドガァァァァァン!!×3

――キュポン!×3




『黒森峰女学院、パンター2輌、ヤークトパンター1輌、行動不能!』


その隙に、大洗の戦車ガトリングでパンター2輌とヤークトパンター1輌を撃破!
攻守速のバランスが良いパンターと、ティーガー並みの火力とパンターの機動力を有しているヤークトパンターを撃破出来たのは大きいだろう。
元々数の差があるので3輌撃破した所で黒森峰が圧倒的に有利なのだが、高性能の戦車を3輌撃破出来たと言うのは戦果としては充分だと
言えるだろう――機動力の高い車輌を撃破してしまえば黒森峰は攻守力が高いだけの鈍亀でしかないのだから。


「(パンター2輌にヤークトパンターを1輌……取り敢えず此れだけ撃破出来れば充分かな?これ以上は、数の差のせいでこっちが不利になる
  からね。)
 全軍に通達。これより私達は作戦の第2段階に移行する――全車、『ブラックアウト』作戦を開始!」


そしてみほは、稜線での攻防は此処までだと考え、次なる作戦を発動!
その瞬間に、大洗の部隊から発煙筒が投げられたのだが、何と発煙筒から湧き上がったのは通常の白煙ではなく、より視界を遮る『黒煙』だっ
た!……如何やら、大洗は発煙筒にも魔改造を施していたらしい。


「今度は黒煙だと!?……みほ!!」

「あーばよ、父つぁん!!」


完全に視界を失った黒森峰を尻目に、大洗の部隊は稜線を難なく離脱して、次の目的地である市街地へと向かう――そう、みほが最も得意と
する市街地戦の舞台へとだ。
黒森峰の視界を完全に奪った以上、略確実に黒森峰よりも先に市街地に到着できるのは間違いないだろう。


「其れじゃあ、レオポンさんチーム、やっちゃって!」

「合点だい!」


更に、市街地へと通じる橋の一つを、ポルシェティーガーを使って落とすという抜かりの無さ!――おまけに落とした橋の手前には黄色のヘルメ
ットを装備したみほとエリカと小梅が揃って頭を下げている『工事中』の看板を立てているのだから芸が細かい事この上ないだろう。

尚、此処まで到達した黒森峰の部隊は迂回路を探す羽目になったのだが、工事中の立て看板はまほがキッチリと確保したらしかった。








――――――







Side:みほ


アリクイさんチームが序盤でリタイアするって言うアクシデントはあったけど、アリクイさんチームの特攻のおかげで黒森峰が仕掛けて来た電撃
戦をやり過ごす事が出来た訳だから、アリクイさんチームはある意味でMVPだね。

まさかの電撃戦に虚を突かれたけど、ここからは私のターンだよ!
この川を渡った先に、市街地がある訳だからね……川の深さは精々30cmほどだから、戦車だったら問題なく通る事が出来る――此処を突っ
切って行くのが最短ルートだしね。

「上流からクルセイダー、Ⅲ号、ルノー、Ⅳ号、Ⅲ突、パンター、ポルシェティーガー、ティーガーⅡの並びで川を渡って行きます!」

「重い車輌を川下に配置する事で他の戦車が流される事を防ぐのね?……よくもまぁ、そんな事を思いつくって感心するわみほ。」



ふ、褒め言葉と受け取っておくよエリカさん。
古今東西あらゆる戦車道の作戦を知ってる私にとって、誰も思いつかないような作戦を考えるのなんて言うのは造作もない事なんだよ――あ
らゆる戦術を知っているからこそ、色んなアイディアが浮かんでくるしね。
そもそもにして、奇想天外な作戦を考えるのは、ある意味で私の趣味とも言えるしね。

何にしても、この川を無事に渡り切れるか如何かがこの戦いの結果を左右するのは間違いないだろうから、やるべき事全てやっておかねばな
らないだろうね。

其れじゃあ、行こうか!!改めて……Panzer Vor!!



「「「「「「Jawohl!」」」」」」」



うん、良い返事だね♪
其れでは此れより、市街地戦を行うために、市街地に向かって渡河を遂行する!市街地で黒森峰を迎え撃つよ!!


さて、川を渡り切れば私の十八番のフィールドまで一直線な訳なんだけど、何やら嫌な予感を拭う事が出来ないんだよね……具体的に言うな
ら、『水』に関する何かが起きる気がしてならないよ。
『水難の相』が出てた時に、去年の滑落事故が起きた訳だしね……この渡河は、是非とも何もなく終わって欲しいものだよ――今度こそ最悪レ
ベルの事態が起きるであろう可能性は誰にも否定できないからね。

だけど、此処を渡らない限り市街地に到達する事は出来ないから、危険を承知で行かなきゃだね――そして市街地に入ったその時が、この戦
いの本番だよ!
さて、行くとしようか!










 To Be Continued… 





キャラクター補足