Side:みほ


マッタク持って予想外だったけど、大洗女子学園が今年から戦車道を復活させるって言うのは、私達にとっては嬉しい誤算だったかな?
戦車道部を立ち上げる心算でいたけど、選択必修科目で戦車道を復活させるなら新たに部を設立する必要はないし、選択必修科目なら、新
設の部活よりも人は集まるかも知れないからね。



「希望を言うなら、最低でも準決勝を戦うための15輌分の戦車と、その分の人員を確保したい所だわ。
 同学年では優花里と華と沙織が確定して、1年は澤が幾らか心当たりがあるみたいだけど、だからと言って15チームを確保できるかっての
 は分からないでしょう?」

「そもそもにして15輌も戦車が有るか分かりませんからねぇ。」



其れは其れだよ。
もしも戦力が足りないなら、足りない分は戦術と腕で補う事も出来るからね――ぶっちゃけて言うなら、大洗の所有戦車が何で何輌であって
も私は、全国大会で黒森峰を下して頂点に立つ!
それ以外は有り得ないからね!!



「大きく出たわねみほ?……だけど、其れ位の気概が無いと全国制覇は出来ないわ!」

「私達の力で、大洗を勝利に導きましょうみほさん。」



うん、その心算だよ小梅さん!
大洗女子学園の戦車隊は、未知数の力を持って全国大会に殴り込みをかける!!――何とも言えない感じで、ワクワクして来たよ!!










ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer102
『大洗女子学園で戦車探します!!』










と言う訳で放課後――つまりは戦車道の時間。放課後でお仕事が終わってるのでロンメルとアンドリューも一緒に参加。
集まったメンバーは、私達を含めて30人……こう言っちゃなんだけど、アレだけ派手な勧誘活動をしたにしては少ないとしか言いようがない。
まぁ、その辺は私達の活躍次第では、追加の参加者が現れるかも知れないから、現時点での人数は、あまり大した事では無いのかも知れな
いけどね。

で、倉庫前に集まった戦車道の履修者……私達と生徒会以外は初めて会う人達だけど……なんて言うか個性的な人達が多いような気が。
まず一番に目を引くのは、コスプレをしてるとしか思えない集団。
眼鏡にスカーフに六文銭の鉢巻にドイツの軍帽……歴史女子の究極形って言う所かな彼女達は?

続いて目を引くのは、バレーボールのユニフォームを着た一団……バレー部なのに戦車道をやるのかな?二足の草鞋は難しいんじゃないか
と思うんだけど、やる気があるなら大丈夫だろうね。

でも一番目を引くのは、長身に赤目と銀髪で大凡高校生とは思えないプロポーションの美女!あの人は本当に高校生なのかな!?



「まぁ、此処に居るんだから高校生でしょ。制服着てるし。
 だけど、今のはあくまで貴女の主観……この中で一番注目を浴びてるのは、間違いなく貴女と澤よ?」

「へ?そうなのエリカさん?」

「そんなに注目されてるんですか、私と西住先輩って?」

「貴女達、其れはボケなの其れとも素なの!?
 みほが注目されてる理由は何時も通りだけど、澤は澤で、そんなみほと普通に話してるからよ!おっと、私達は同学年だからノーカンよ?
 此れだけ注目の的となってる2年生と親しげに話す1年生……注目されて然りでしょう?」



成程、確かにちょっと納得。
クロエちゃんも私には話しかけてくるけど、梓ちゃんほどじゃないからね?――まぁ、注目されようがされまいが、その辺は別にあんまり意識し
てないけどね。戦車道とは直接関係ないし。



「西住さん、逸見さん、赤星さん!バレー部に入ってくれませんか!!」

「「「是非!!」」」

「うわぁ!い、行き成りなんですか!?」

「唐突にも程があるわよ、アンタ達!!」

「部活の勧誘って、其れを此処でやるのは如何かと思うんだけど……」

「其処は根性で何とかなります!!」

「「「何その超脳筋理論!?」」」


思わず突っ込みを入れる位のトンでも理論だよ其れ!?知波単学園にだって、これ程の脳筋は存在してないんじゃないかって思う位にね。
でも、なんで私達に声を掛けて来たのかなぁ?



「西住さん達の身体能力がトンデモナイからに尽きます!
 聞いた話によると、西住さんは片腕でウルトラC級の技を繰り出し、逸見さんはレスリング部のヘビーバックを殴り飛ばし、赤星さんは跳び箱
 10段を軽々クリアしたとか!
 其れだけの身体能力があるなら、必ずバレーボールでも力になってくれる筈です!だから、是非ともバレー部に!!」



成程、そう言う事か~~……でも、ごめんなさい、無理です。
私は戦車道に集中したいし、其れはエリカさんと小梅さんも一緒だからね?……其れに、こんな事を自分で言うのはアレだけど、私みたいな
身体障碍者が高校の体育総体には出れないと思うんだ。戦車道には『車長専任免許』があるから、私でも参加できるけどね。

「其れに、バレー部なら如何して戦車道を?」

「バレー部は人数不足で廃部になったので、其れを復活させるために、戦車道で活躍してバレー部に部員を!!」

「いや、其れ意味ないでしょ?
 幾らバレー部が戦車道で活躍したって、集まるのはバレー部の部員じゃなくて、戦車道の履修者だと思うわよ普通に考えて?」

「なんだって~~!?其れは考えてなかった!!」



いや、其れ位は普通分かると思うんだけどね?
だけど、履修した以上は、戦車道を真剣にやって欲しいなぁ?――バレーボールとは違うけど、戦車道には戦車道の面白さがあるからね。
折角履修したんだから、戦車道の事を深く知って欲しいんだよね、経験者としては。



「言われてみれば、確かにそうかも。
 私達は確かにバレー部だけど、今は戦車道履修者……なら、今は戦車道に真剣に打ち込む事こそが、スポーツマンとしてのあるべき姿!
 よーし、根性で戦車道を頑張るぞー!!」

「「「はい、キャプテン!!」」」



あはは……取り敢えず、バレー部の皆さんは大丈夫そうだね。



「諸君、良く集まってくれた!今此処に、大洗女子学園戦車隊の復活を宣言する!!」



っと、此処で生徒会のモノクル……河島桃さんが皆の前に出て、大洗女子学園の戦車隊の復活を宣言。と言う事は、此処で大洗が保有する
戦車が発表されるのかな?
私物として持ち込んだパンターとティーガーⅡは有るけど、大洗がどんな戦車を保有してたかは、幾ら何がドレだけでも構わないとは言っても
把握しておく事に越した事は無いからね。



「其れで保有戦車は何ですか!?パンターですか!ティーガーですか!!?」

「速攻で喰い付いたわね優花里は……」

「優花里さんらしいと言うか……でも実際問題、保有戦車は大事ですね?幾らみほさんが車長として優秀とは言っても、保有戦車が余りにも
 低性能では、カバーし切れないかも知れませんからねぇ?」

「ん~~っとね、今の所ある戦車は此れかな?」



――ギィィィィィ……



倉庫のシャッターが上がって現れたのは、Ⅳ号戦車D型――なんだけど、何て言うか物凄く錆びついてるなぁ?
大洗が戦車道をやってたのは20年以上前の事だから、その時から人知れず放置されてたのなら仕方ないかも知れないけど、この保存状態
は流石に有り得ないよ……お父さんが居たら、整備士魂に火が点いたかもだよ。



「うわ、ボロボロじゃん!!」

「ワビサビがあって宜しいんじゃないでしょうか?」

「此れは鉄さび!!」



うん、巧い事を言うね沙織さん。
でも確かにボロボロだけど……エンジンは生きてるから少し直してあげれば起動するし、転輪も動くから履帯を付けてあげれば大丈夫。
うん、これなら行けます!



「おぉ、其れは良かった!
 此れがダメだったら、西住ちゃんが持って来た2輌だけだったからね~~。」

「其れでも、これで漸く3輌です。
 他に戦車は無いんでしょうか?……流石に3輌だけって言うのはキツイと言うか、幾らなんでも其れで全国制覇は、ぶっちゃけ無理です。」

「其れは重々承知してるよ西住ちゃん。
 あくまでも倉庫に残ってたのが其れだけって事で、如何やら学園艦のあっちこっちに戦車が隠されてるみたいなんだよねぇ?――ってな訳
 で、先ずは学園艦の何処かに存在してる戦車の捜索から始めようと思うんだけど、如何だい?」



『如何だい?』って言われても、戦車が足りない以上は探すしかないですよ会長さん。
ドレだけの戦車が何処に隠されてるかは分かりませんけど、可能な限り探し出して戦力を整えないと、全国制覇なんて夢のまた夢所か、弱者
の思い描いた根拠のない絵空事になっちゃいますからね。



「でも、戦車を探す前に隊長と副隊長を決めませんかみほさん?
 幾ら戦車を見つけても、戦車隊を指揮する隊長と、隊長を補佐する副隊長が決まって無いんじゃ、戦車隊としての形を成してませんから。」

「其れは、確かに小梅さんの言う通りかも。
 戦車を探す前に、隊長と副隊長を決めた方が良いかも知れませんね、会長さん?」

「一理あるね~~?でもさ、そう言う事ならヤッパリ西住ちゃんが隊長でしょ?」

「へ?私ですか?」

「ちょ、会長がやるのではないのですか!?」

「いやいやかーしま、西住ちゃん達が戦車道を如何してもやらない、やらなかったらこの学校から追放されるって言ってもやらないって言うな
 ら、そん時はアタシがやる心算だったけど、西住ちゃん達戦車道取ってくれたから、アタシがやる意味ねーでしょ?
 って言うか、西住ちゃん以外に隊長は居ないっしょ?何たって、戦車道界隈ではその名を知らぬ人は居ないって言われる『隻腕の軍神』だ
 よ?天下の西住流だよ?黒森峰10連覇の立役者だよ?
 此れだけの実力のある戦車乗りを有してるのに、その人を隊長にしないだなんて、大洗の常識を疑われちゃうってモンさ。」



あの、あんまり持ち上げられても困るんですけど会長さん?其れに、会長さんの意見だけじゃなく皆の意見も聞いてみないと――



「みほが隊長なのに異存なし。って言うか、隊長はみほ以外ないわ。会長さんも言ってたけどね。」

「私もみほさんですね?
 中学では1年生の頃から隊長を務めていたんですから、戦車道経験者の中でも隊長経験は抜群に多いですから。」

「矢張り隊長は西住殿です!
 逸見殿や赤星殿も捨て難いのですが、矢張り西住殿は隊長を務めてこそです!!」

「私も西住先輩が隊長を務めるのが良いと思います。
 殆ど素人の集団とも言える大洗の戦車道を纏め上げる事が出来るのは西住先輩以外には居ませんから!」

「私も西住先輩にだナ。
 先輩の隊長としての腕前は超一流だからネ?本気で全国制覇を目指すなら、西住先輩以外の隊長は有り得ないヨ。」

「うむ、私も西住さんに一票だ。
 幼馴染の子が戦車道をやっているんだが、中学の全国大会の準決勝と去年の高校大会の2回戦で完敗したと言っていたからな。」



って、エリカさんと小梅さんと優花里さんと梓ちゃんとクロエちゃんが私を推薦して、更に赤いマフラーを巻いた歴女チームの人も私を推薦して
来たって本気で!?
私が隊長で良いの!?



「西住ちゃんで良いんじゃなくて、西住ちゃんが良いんだよ。
 西住ちゃん、大洗女子学園戦車隊の隊長、引き受けてくれないかな?」

「……分かりました。誠心誠意、隊長を務めさせていただきます!」

まぁ、確かに私の場合、誰かの下に付いて戦うよりも、自分で指揮を出した方が戦いやすいからね――其れを知ってるから、お姉ちゃんも黒
森峰で遊撃隊を組織した訳だし。
其れで、隊長は私が勤めるとして副隊長は……此処はやっぱりエリカさんかな?



「私?そうね、貴女に副隊長として任命されるのは光栄なんだけど、私は澤を推すわ。」

「えぇ!?私ですか!?」

「あ、確かに其れはアリですねエリカさん♪
 澤さんなら、この中の誰よりもみほさんと一緒に戦ってますし、中学時代は隊長のみほさんの下で副隊長を務めていたんだから適任だと思
 います。って言うか、これ以上の適任は居ませんよ。」



梓ちゃんが副隊長……成程、其れは確かにやり易いかも。
こう言ったら何だけど、私の型のない戦術を体系化して明光大の戦車道の基本戦術にしちゃったのは、脱帽ものだからね?……何だか中学
の頃を思い出しちゃうけど、梓ちゃん、副隊長をお願いできるかな?



「――はい!精一杯頑張ります!!」

「此れで無事に隊長と副隊長が決まった訳だけど、戦車道経験者の皆には、雰囲気が出るから階級でも与えとこうかね?
 隊長の西住ちゃんは一佐、副隊長の澤ちゃんは三佐、逸見ちゃんと赤星ちゃんは一尉で、武藤ちゃんは二尉って所だね~~♪」



っと、此処で更に階級ですか会長さん?
私と梓ちゃんが佐官で、エリカさんと小梅さんとクロエちゃんが尉官ですか……まぁ、私と梓ちゃんの役職を考えたら妥当な所ですけど、そうな
ると、未経験者の皆さんはどうなるんでしょうか?



「ん~~?其れはアタシも含めて、全員二等兵で!宜しくお願いしまっす隊長!!」

「はい、任されました!」

まさか二等兵とは……でも、自分をそういう位置に置く事が出来る会長さんは凄い人かも知れないね?人は誰しも自分を誰かの下に置こうと
は思わない生き物だからね。

では、そう言う事で改めて戦車を探しましょう!



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と言う訳で戦車探し開始。
全員でグダグダ動くのもアレだから、チーム分けをして、手分けをして探す事にね。
因みにチーム分けは――


・Aチーム:私、優花里さん、沙織さん、華さん
・Bチーム:エリカさん、リイン・E・八神さん、坂口桂里奈ちゃん、宇津木由紀ちゃん、高安美里ちゃん
・Cチーム:小梅さん、根津茜さん、大野あやちゃん、桧山直子ちゃん、小沢よし江ちゃん
・Dチーム:梓ちゃん、クロエちゃん、山郷あゆみちゃん、丸山紗希ちゃん
・Eチーム:バレー部の皆さん
・Fチーム:歴女の皆さん



こう言ったチーム分け。生徒会の皆さんは報告待ちの裏方さんで、戦車の運搬なんかは自動車整備部に頼んでるみたいだね。

だけど、この広い学園から戦車を探し出すって言うのは容易じゃないよ……せめて何処にあるのか位の目星がついてるなら未だしも、情報ゼ
ロの状態から見つけるなんて、九牛の一毛だよ。
と言うか沙織さん、駐車場に戦車は無いと思うよ?



「だって戦車だって車じゃん!止めてあるかもしれないでしょ?」

「2~3日前なら兎も角、20年も駐車場に放置されてたら、普通に撤去されると思うんだけど……優花里さんと華さんは如何思う?」

「まぁ、間違いなく撤去されると思うであります。」

「誰も乗らない戦車が置いてあっては邪魔でしょうから……駐車場にはないのではないでしょうか?」

「が~~ん!でも、其れじゃあみぽりんは何処にあると思うの?」

「少なくとも人目に付かない所じゃないかと思うよ?」

大洗は20年前に戦車道を廃止してるって事だけど、そうなった場合は学校の資金稼ぎの為に多くの戦車は売られちゃったんじゃないかって
思うんだけど、当時の戦車道履修者の中にはどうしても売りに出したくない戦車を何処かに隠した人達が居たと思うんだ。
そうなると、人目に付かない所にこそ戦車があるんじゃないかな?



「あ~~!それです西住殿!!
 お母さんが言ってました!大洗の戦車隊は、20年前に廃止になる時に、何輌かの戦車を学園艦の色んな所に隠したって!!其の内の1
 輌は、確か山の方に隠したとか……」

「お手柄だよ優花里さん!!」

まさか、そんな事を知ってたとはね!
山の方って言うなら、一カ所しかないから探す場所は限られてくる――優花里さん、この功績を評価して、貴女を二等兵から一等陸士に昇級
します!



「西住殿から、昇級を直接言い渡されるとは、感激ですぅ~~~~!!」

「大袈裟だなぁ、優花里さんは。」

だけど、冗談抜きで此れは有り難い情報だよ。




そんな訳で、大洗の学園艦で唯一の小山にやって来たんだけど、小山とは言っても範囲はとっても広いから、此処から1輌の戦車を探すって
言うのは至難の業だね。
取り敢えず雑草が鬱陶しいから、ロンメル『火炎放射』!!



『♪』



――ゴォォォォォォォォォォォォォ!!




「よし、これで大分探しやすくなったね。」

「戦車探す為に、山を焼き払わないで下さい!!」



でも、これで大分視界がクリアになったでしょ優花里さん?
……まぁ、焼き払った範囲に戦車が無いのは、言うまでもない事だけどね……いっその事、山を丸ごと燃やしちゃった方が早いかな?山を殲
滅しちゃえば、楽だよね?



「ゆかりん、みぽりんの背後に、黒い胴着を着た褐色肌で赤い髪の毛を逆立てた赤目のオジサンが見えるんだけど!?」

「拳を極めし者ならぬ、戦車を極めし者ですねぇ今の西住殿は……ぶっちゃけ勝てる気がしません。」



うふふ、結構マジだからね。
ん?如何かした華さん?花をヒクヒクさせて……



「いえ、植物と燃えカスの匂いに交じって、鉄と油の匂いが……此方からです。」

「えぇ、分かるの!?私は何も感じなかったけど………」

「華道をやっているからでしょうか、少々匂いには敏感みたいです――私だけかもしれませんが。」



うん、間違いなく華さんだけだと思う――世界広しと言えど、決して大きくは無いけど面積としては広大な山の中で鉄と油の匂いを嗅ぎ分けら
れる人なんていないと思うからね。

で、その華さんの嗅覚を頼りにして辿り着いた先には、驚く事に本当に戦車があった!
38(t)戦車B/C型……お世辞にも強力とは言えない戦車だけど、軽戦車って言う事を考えたら悪くないスペックだし、機動力もソコソコあるか
ら、戦局をかきまわす事は出来るだろうしね。

取り敢えず、これで1輌は確保だけど、他のチームがどんな戦車を探し出したのかが問題だね――戦車道では、保有戦車が其のまま戦力に
直結するから、どんな戦車が有るかによって、戦術を考えないとだからね。
果たして、どんな戦車が見つかったのか、だね。



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で、戦車探索も終わって、その結果は……


・Aチーム発見戦車:38(t)戦車B/C型
・Bチーム発見戦車:巡航戦車クルセイダーMk.Ⅱ
・Cチーム発見戦車:なし
・Dチーム発見戦車:Ⅲ号戦車J型
・Eチーム発見戦車:なし
・Fチーム発見戦車:Ⅲ号突撃砲F型




6チーム中4チームが見つけられたなら、結構いい結果だね。
私が持って来たパンターとティーガーⅡ、保管されてたⅣ号D型を入れて全部で7輌……今の人数を考えたら妥当な車輌数だけど、問題はど
のチームがどの戦車に乗るかだよね?



「西住ちゃんは、持って来たどっちかの戦車に乗るっしょ?んで、空いたどっちかにも経験者が――っつーか、信頼できる性能の戦車には経
 験者が乗るべきっしょ?
 そっちの方が性能を十分に発揮できるし。」

「其れは確かに。――私は、パンターに乗ります。中学校の頃からの相棒ですから。
 なので、ティーガーⅡは任せて良いかなエリカさん?って言うか、エリカさん以外に、ティーガーⅡの性能を引き出す事は出来ないから。」

「嬉しい事を言ってくれるじゃないのみほ?
 良いわ、漆黒の虎の王は、私が貰う……圧倒的な攻撃力で、どんな敵でも食い破ってやるわ!!」



うん、頼りにしてるよエリカさん。
そして、Ⅳ号はCチームが、Ⅲ号にはDチームが――良いよね、小梅さん、梓ちゃん?



「お任せ下さいみほさん!Ⅳ号戦車、有り難く拝領します!」

「Ⅲ号戦車は、任せて下さい西住隊長!」



うん、任せたよ。
で、最終的に決まった大洗のオーダーは……


・Aチーム:パンターG型
・Bチーム:ティーガーⅡ
・Cチーム:Ⅳ号戦車D型
・Dチーム:Ⅲ号戦車J型
・Eチーム:クルセイダー巡航戦車Mk.Ⅱ
・Fチーム:Ⅲ号突撃砲F型
・Gチーム(生徒会):38(t)戦車B/C型




と、こう言う感じになった。
特別強力って訳じゃないけど、割かし高い性能を持ってるⅢ号とⅣ号、そしてⅢ突が見つかったのは僥倖だね――特にⅢ突は破壊力抜群の
長砲身のF型だからね。
取り敢えず、これだけの戦力があるなら充分かな?クルセイダーと38(t)が不安材料だけど、其れは戦術と腕でカバーできる範囲だからね。



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その後は、戦車を洗車した後に解散。
私とエリカさんは洗車の必要がなかったから、他のチームを手伝ったんだけど、何て言うか皆洗車でも楽しそうで安心したよ……黒森峰の頃
は、こんな事は感じなかったからね。

で、今は皆で下校中で、優花里さんの提案で戦車ショップにやって来たんだけど……思った以上に専門的な物が置かれていたので驚いてる
真っ最中だよ!!

よくこんな所知ってたね優花里さん!?



「常連ですので♪」

「常連なんだ!?」

其れは其れで予想外だけど、確かにこの店は、戦車道マニアには垂涎の場所であると言っても過言じゃないからね――戦車道に必須とも言
われるアイテムが揃ってるからね。

確かに、私でも興味をそそられるものはあるけど――



『其れでは西住まほさんにインタビューをしたいと思います。勝利の秘訣とは、ずばり何ですか?』

『諦めない事、そして逃げない事ですね。』



備え付けられてた、モニターにお姉ちゃんが映ったその瞬間に私は意識が思いっきり飛んだよ――まさかお姉ちゃんがテレビ出演をするなん
て事は夢にも思ってなかったからね。



「でも、負ける気はないんでしょう?」

「言われるまでもなく、負ける気はないよエリカさん!!!」

始まる前から負ける事を考えていたら勝負にすらならないからね……例えお姉ちゃんが相手であっても、戦う事になった以上は、全力を持っ
て戦って、そして勝つだけだからね!!



――轟!!



「この闘気……申し分ないわ。任せたわよ、みほ!!」

「私の魂、貴女に預けます!」

「お願いします、西住殿ぉぉぉ!!」



了解!!
私は負けない――勝って、黒森峰を下して、お婆ちゃんの言う西住流を徹底的に否定した上でぶっ壊す予定だったからね!!私は、其れを
実行するだけだよ!!

誰が何と言おうと、私は貴女の戦車道を認めないよお婆ちゃん!

勝利の為に仲間を斬り捨てろって言うのは如何したって容認できないから、古い西住流は此処で終わりだよ――そして、あの世の淵で、見
てると良いよ、大洗が全国制覇するその瞬間をね!


お婆ちゃんの西住流は、此処で絶対に終わらせる!!――隻腕の軍神こと、西住みほが!!
己が信じて来た物が、目の前で崩れ去るその姿を、精々目に焼き付けておくと良いよ、お婆ちゃん――大会で貴女が目にした勝者こそが最
強だって言うなら、私達は其れを越えるだけだからね。

だから、その為にもまずは、大洗女子学園の戦車隊を、大会で十分戦えるレベルにまで鍛え上げないとだね!

うん、楽しみになってきたよ!!










 To Be Continued… 





キャラクター補足